多通貨ペア監視のノウハウ(1)相関性の把握編

お久しぶりです。前回の記事から6ヶ月が経ちました。相変わらずの不定期ぶりですねぇ。

で、今回は前回の続き・・・と言いたいところですが、続編用に用意していた画像たちがPCの故障と共にどこかに行ってしまったため、モチベーションがダダ下がりに。

ということで、今回はXでアンケートした結果を受けて、

「各通貨の相関関係と複数通貨ペアの監視の仕方」

というテーマで、お話しようかと思います。

複数の通貨ペアを取引する人はもちろん、1つの通貨ペアしか取引しないぜって方にも参考になるお話かと思います。

それじゃあ、始まり始まり~!

なぜ、複数の通貨ペアを監視した方が良いのか?

トレードにおけるメリット

複数の通貨ペアを監視することで、トレーダーは大きなメリットを受けることができます。そのメリットは大きく分けて、

  • 市場の動向を把握することができる
  • トレード・チャンスが増える

の2つになります。

市場の動向を把握するというのは、今市場では何が(どの通貨が)テーマとなって売買が行われているのかを知るということです。

「市場は今ドルがテーマになってて、NY市場開始とともに市場はドル売り主導の展開となっている。なので、ドル売りで攻めよう」

ってな感じで、市場の動向を把握することができる様になるんですね。

また、複数の通貨ペアを監視することで、今最も自分にとって取引しやすい局面にある通貨ペアを選択することができる様になります。

1つの通貨ペアしか取引しない場合、トレードチャンスがなかなかやってこないことが多かったりして、結果的に割と強引なトレードをして負けを重ねたりする人っていませんか?いますよね?

でも、監視する通貨ペアがある程度あれば、その中から自分が最も得意とする局面を選んでトレードすることが可能になりますから、単にトレードできる回数が増えるだけでなく、勝率の高くなる取引を選択することができるわけです。

トレーダーにとっては、良いことばっかりです。

ただ、多通貨ペアをそのために監視するといっても、きちんとしたノウハウは必要です。

ということで、これから解説に入っていきましょう。

市場の動向を知るために

通貨の相関関係

市場の動向を把握するのにまず大切なことは、

「通貨の相関関係を知る」

ということになります。

じゃあ、通貨の相関関係って何?って話になりますが、その中で最も主軸となるのが、「各通貨の強弱の関係」です。「ドルが強い」とか「円が弱い」とかってヤツですね。

例えば「ドルが最も強い」というのは、市場ではドルが最も買われているということになりますし、「ユーロが最も弱い」というのであれば、市場ではユールが最も売られているということになります。

で、これを知ることで、売買の方針が立てやすくなります。

例えば、今現在ドル買い傾向が強いのであれば、それに沿ってドル買い方針にすることが可能になります。さらに「市場ではドルが一番強く、円が一番弱い」のであれば、ユーロ/ドルやオジー/ドルを選択せずに、ドル/円を取引銘柄にしてドルを買って円を売った方が上手くいく可能性は格段に上がりますよね。

この様に、通貨の強弱を把握することは、取引の方針を立てる上で重要な役割を担います。

通貨強弱チャートやグラフについて

さて、通貨強弱というと、それを表すチャートやグラフがあったりします。で、それらを用いて市場を把握しようとする人も、結構多いのではないでしょうか。

しかし、実際にそれが実践トレードで役に立つのかどうかは疑問・・・というより、その利用価値を実践レベルにまでもっていくのは、結構大変なんですね。

例えば、通貨強弱チャートで割と知られているのが、OANDAのサイトに掲載されている通貨強弱チャートです。8通貨の強弱関係をチャートで表してくれます。

えっとこの上のスクショ、実は数年前のものです。今はだいぶ改善されていているため、あえて「一般的な強弱チャートって、多くの場合こんな感じ」という意味合いで出してみました。

これを見ると分かる通り、正直見づらいです。多くの線がゴチャゴチャと入り組んでいて、どの通貨が一番強くて、その次はどれかとか、分かりづらいんですよ。今、円はどの程度の強さでどんな傾向なんだろ?って直ぐには順を追っていかない限り分かりづらいですよね。

ただ、今のOANDAさんの強弱チャートは随分と改善されています。下図がそれです。

現時点で最も強い順に各国の国旗が並ぶ仕様になっているので見やすいですし、その国旗マークにポイントするとその通貨の推移だけが見れる仕様になっていますし、例えば「ドルと円だけ」とか「ユーロとドルだけ」みたいに、自分が見たい通貨だけを指定して見ることも出来るんですね。

なので、あえて強弱チャートを使うなら、OANDAさんの通貨強弱チャートは、結構お勧めです。

ただしかし、それでも実践で用いるには、まだまだ障壁画あります。

OANDAさんに限った話でなく、多くの強弱チャートの場合、どの様なロジックでそれが成立してるのか分からないんですよ。どういった要素を使って、どの様な計算を用いて強弱を表しているのか?がさっぱり分からない。

なので、それぞれの強弱チャートを見比べても、推移の仕方が違いますし、場合によっては強弱のランクも違ってきます。

また、見たい期間も分からないことが多い。例えば、ここ1ヶ月をトータルに考えて強弱を検討したくても、今見てるチャートがそれを表してくれるのかも謎ですし、今ここ数分の強弱だけを知りたくても分からなかったりします。(分かる仕様のチャートもあります)

おまけにロジックが分からないので、「今、ドルが圧倒的に強い」と分かっても、それが今後も続くのかどうかは分かりません。ドルを買った瞬間が実はピークを迎えていて、そこからドルは下がり続けるかもしれませんよね。

つまり、強弱チャートを見て方針を立てたところで、ロジックが分からなければそれは単なる過去の推移データでしかなく、これからの方向性は全く想定がつかないんですね。

もちろん、それらの壁を乗り越えて、実際のトレードに有益に扱えるようになる可能性はあります。

が、その道のりは遠いはず。だったら、通常のチャートを把握できるように四苦八苦してた方が、もっともっと有益なんじゃないですかね?

ということで、僕は個人的にあまり通貨強弱チャートを用いるのはお勧めしません。

もし、それらを用いるのであれば、そのロジックが分かるものを使ってください。仮に知らないものを活用するのであれば、それは「あくまで今時点までの状況を表しているだけ。今ここから先のことは分からない」という意味合いで見る様にしてください。

通貨相関関係をチャートから読み解く

さて、ここからは通常の通貨ペアのチャートを用いることによって、通貨の相関関係を読み解くやり方をお話していくことにしましょう。

まずは基本をおさえよう

外為市場において、取引量が大きい通貨とえいば

  • ドル
  • ユーロ

の3つで、これを世界三大通貨と呼びます。

で、通貨の相関性を把握する際には、この世界三大通貨の相関性を見ることが基本になります。

やり方としては、まずこの3つの通貨で構成される通貨ペア

  • ユーロ/ドル
  • ドル/円
  • ユーロ/円

のチャートを表示し、これらを比較することになります。

下の図は、これら3通貨ペアを同時に表示した15分足チャートです。水色で囲った時間が東京市場の時間、オレンジ色が欧州時間、紫色が欧米時間です。

これを見ると、欧州時間から米国時間が始まった当初までは

  • ユーロ/ドルは下降(ユーロが売られ、ドルが買われている)
  • ユーロ/円も下降(ユーロが売られ、円が買われている)
  • ドル/円は上昇(ドルが買われ、円が売られている)

ということになります。

つまり、この3者の関係を見ると、欧州時間帯では、

  • ドルはいずれも買われている
  • ユーロはいずれも売られている
  • 円は売られたり買われたり(ユーロに対しては買われ、ドルに対しては売られる)

となりますから、この時の相場としては

  • ドル買いがテーマ(目的・主導)
  • ユーロ売りがテーマ(目的・主導)
  • 円は、ただドルを買う目的のために円を売っただけであり、ユーロを売る目的のために円を買っただけ

ということが考えられますね。つまり、ドル買いユーロ売りが、この時の欧州市場での動意(意志・思惑)であると推測できるわけです。

であれば、基本的にこの欧州時間の通貨選択としては、ドル買いとユーロ売りに動意・目的があるため、この2つの組み合わせである「ユーロドル」をショートでトレードするのが、最も合理的な判断になります。

円そのものは、ドル買いしたい人、ユーロ売りしたい人のそれぞれの都合によって、売られたり買われたりしているに過ぎないわけですから。

ところが、米国時間に入る直ぐに、相場の動向が変わってきているのが分かると思います。

  • ユーロ/ドルは上昇を始める(ユーロが買われ、ドルが売られる)
  • ユーロ/円は上昇を始める(ユーロが買われ、円が売られる)
  • ドル/円は方向性をなくす(ドルと円は売り買いが交錯する)

ですよね。ということは、これらの3通貨は米国時間には、

  • ユーロはいずれも買われている
  • ドルも円もユーロに対しては売られている
  • ドル/円では売られたり買われたり

ということですから、

  • ユーロ買いがテーマ(目的・主導)
  • ドルと円はユーロを買うために売られているだけ
  • だからドル/円は方向性がなく売られたり買われたり

ということになりますね。

つまり、欧州時間では「ドル買い・ユーロ売り」がテーマだったのが、米国時間に入ると「ユーロの買戻し」のみがテーマになり、そのためにドルや円が売られているだけということが分かると思います。

この場合の取引方針は、ユーロ絡みの通貨ペアでユーロを買うことになるわけで、じゃあどの通貨ペアにするかは、各通貨ペアをテクニカルで判断し、最も自分が取引しやすいと思える通貨ペアを取引することになります。

とまぁ、以上が相関性を見る際の考え方の基本となります。理解できたでしょうか?

この相関関係の把握の仕方、時間をかけずにものの数秒で把握できるようになるには、頭の中で理解しただけじゃ難しいです。毎度毎度、この3つの通貨を見比べることで、身に着けなくちゃいけません。

ただ、慣れるまでの間は、以下のような表を全てのパターン作っておいて、手元に置きながら見比べて判断するのも有効な手段です。

(全てのパターンを図にしてアップしようと最初は思ったんですが、それだとその図を写すだけで済み、丸っきり脳みそに汗をかかずに済ませがちです。なので、あえて1パターンしか表にしてません。少なくとも一度は自分の頭を悩ませながら考えてください。そうじゃないと、成長はしないですよ)

ただ、パッと見で直ぐに把握できるようになるまでに、それほど時間はかかりません。比較的容易な道のりなので、積極的に取り組んでみてください。

三大通貨以外の通貨の相関性は?

さて、世界三大通貨であるドルとユーロと円の相関性を見る方法は分かったと思います。

では、この世界三大通貨以外の通貨との相関性を把握する場合は、どうしたら良いでしょうか?

まぁ、原理は同じです。

先ほどの三大通貨の時と同じ様に、比べたい通貨を3つ指定し、それらを先ほどと同じようにして比べて見れば良いだけです。

例えば、「私は、ドルと円とポンドを取引する」という人であれば、比較する通貨ペアは、

  • ドル/円
  • ポンド/円
  • ポンド/ドル

の3つになりますよね。この3つを先ほどと同じ要領で見ればよいわけです。簡単ですね。

ただ、この3通貨に加え、もっと正確に相関性を把握しようとすると、結局は取引量が世界2番目のユーロとの相関性が気になり出したりします。

そう考えてしまうと、取引するしないにかかわらず、実質的に監視する通貨はドルとユーロとポンドと円の4種類になってしまいますよね。しかしそうなると、比較する通貨ペアは、

  1. ユーロ/ドル
  2. ユーロ/円
  3. ユーロ/ポンド
  4. ドル/円
  5. ポンド/ドル

と5つになり、見る通貨が1つ増えただけで、見なければいけない通貨ペアチャートは2つ増えることになるわけです。

では、比較する通貨をさらに1つ加えて5つにした場合は、どうなるでしょう?先ほどの4通貨に豪ドルを加えると、比較する通貨ペアは、

  1. ユーロ/ドル
  2. ユーロ/円
  3. ユーロ/ポンド
  4. ドル/円
  5. ポンド/ドル
  6. ユーロ/豪ドル
  7. 豪ドル/ドル
  8. 豪ドル/円

となり、比較する通貨ペアはいきなり8つに膨らみます。

監視する通貨を1つ増やすごとに、実際に監視する通貨ペアはそれ以上に増えていくことになるんですよ。

世界主要通貨と呼ばれる通貨は7つです。さらに、最近はこれにNZ(ニュージーランド)ドルを加えて相関性を把握したがる傾向がありますから(理由は後述)、これらの通貨ペアを全て観察しようとすると、全部で28通貨ペア・・・

その通貨ペアの数は膨大に膨らんでいき、情報過多となり処理が難しくなっていきます。

いや、情報処理という観点以前に、リソースの問題が出てきます。数十個もチャートを並べらべても問題のないPC環境を持ってる人って、どれくらいいるんでしょう?ほぼいないですよね。

仮に並べられる環境を用意したとしても、そのおびただしい数のチャートを見比べて、それぞれの相関性を正しく判断するのに、一体どれくらいの時間を費やすんでしょう?極めて実践的ではないのは、言わずもがなでしょう。

まぁ、その手間を省くためにもあって「通貨強弱チャート」があるんですが、これも先ほどお話した通り、実際には実践に応用するのは難しいんですよねぇ・・・

では、どうするべきか?

最適化を実現するために

気にし過ぎは禁物

まず最初に言っておきたいことがあります。

それは、「通貨の相関性を気にし過ぎてはいけない」ということです。

人の性(さが)というのは恐ろしいもので、人は不安を解消するために、無限に情報を収集しようとします。

で、通貨の相関関係もその1つなんですね。

相関性を気にしだすと、人というのは、市場の動向を余すことなく正確に把握したくなるんですよ。そして、そのために観察する通貨ペアをあれもこれもと増やしたくります。重箱の隅をつつくかの様に、細かいことが気になり出すんですね。

しかし、それは有益性を求めている様に見えて、実は不安の裏返しにすぎません。単に、不安を解消したいだけのことなんですよ。

端的に言いましょうか。

トレードで勝つために、各通貨間の相関性を知る必要なんて、実はないんですよ。

ないんです。

ではなぜ相関性を知った方が良いかと言えば、それは知らないよりも知っている方に「メリット」があるからです。

つまり、勝つために手助けとなる要因ではあっても、勝つための必須条件ではないんです。

なのに、不安を解消したいがために、通貨の相関性を知るために処理しきれない膨大な情報量を手にしようとする・・・

それって、

バカなの?
ねぇ、ほんとバカなの?

って言われても仕方がない行為なんですよ。

目的が別な何かとすり替わってる。勝利の道とは逆方向に進んでいるだけなんです。

勝つために必要な部分だけを残し、あとは削り取るのか?それとも、不安を解消する目的のために必要以上の情報を取り込み続けようとしているのか?

まずは、自分自身にそれを問いかける必要があります。

トレード・チャンスも同じこと

この記事の冒頭で、複数の通貨ペアを監視することで、トレード・チャンスも増えるということにも軽く触れました。

このことも単純に捉えれば、監視する通貨ペアが増えれば触れるほど、トレードチャンスも増えると考えてしまいがちです。

でも、現実はどうでしょう?

監視する通貨ペアが増えれば増えるほど、その情報量は多くなり処理が煩雑になります。判断に時間がかかるばかりでなく、正しく判断できるかも疑問です。

なので、この「チャンス」ということ自体も、人を欲望の渦に引き込んでしまう要因があるんですよ。

「チャンスを逃したら、勿体ない!」

その欲深さが、実は本当のチャンスからアナタ自身を遠ざけてしまうんです。トレードで勝てない人にとってのチャンスとは、そのほとんどがピンチなんですよ。

本当のチャンスを掴み取りたいのであれば、それはやはり自分にとって適切な情報量に収めることに注力してください。適切な情報量が、素早く正しい判断を生み出すんです。

正しい知識を武器にしよう

多通貨ペアの相関性を把握することでトレードにメリットをもたらしたいのであれば、自分にとって適切な情報量に絞り込む必要があります。

同様に、多通貨ペアを監視することでトレードチャンスを掴み取りたいのであれば、自分にとって適切な情報量に絞り込む必要があります。

つまり、情報量を最適化するためには、現実的に自分が処理できる範囲内の数の通貨ペアに抑える必要があるんです。自分のトレードにとって必要な通貨と必要ではない通貨を正しく取捨選択できなくちゃいけないんですね。

しかし、そのためには、通貨に対する正しい知識がバックボーンとして必要になります。また、その知識を正しく実践に用いるためのノウハウを身に着ける必要があります。

ということで、ここからはそれらについて詳しくお話を進めていくことにしましょう。

と言いたいところですが、やっぱりそれは長くなりそうなので、今日はここまで。次回に繰り越しということにしますね。

この記事をアップする前に、既に次回の記事は書き進めているので、

「やっぱ、次の記事は違う内容にしよっと」

ってことにはならないと思いますので、ご安心を。

それじゃあ、また。

裁量トレーダーのためのトリガーの考え方(1)

ご無沙汰してます。恒例のごとく、ずっとブログ更新してませんでした。

まぁ、書く気がある時と、そのモチベーションに見合った空き時間がないと、ブログは書かないのが、僕のスタイルですからねぇ。

で、今回のテーマですが、「トリガー」について回お話します。

トリガーについては、このブログで何度もお話していますが、今回はもっと突っ込んだ具体的なところまでお話していこうかと。

もちろん、このブログは裁量トレーダーに向けたものなので、「裁量トレーダーのためのトリガー」についてのお話になります。

書き始めたら、いつものごとく長くなり過ぎたので、数回に分けて解説していきますね。

それじゃあ、始まり始まり~!!

トリガーについて

セットアップとトリガー

セットアップとトリガーについては、もうこのブログで何度も言い散らかしていますから、詳細は過去ログから漁って理解してもらうとして、まぁ端的に言ってしまうと、

  • セットアップとは、売り方針なのか買い方針なのかを決める前提条件の事。環境認識から現状認識まで落とし込むことによって、この方針が決まる。
  • トリガーとは、セットアップによって売買の方針が決まったら、どのタイミングでエントリーをするかを規定するもの。

ということでした。

構文として例えるなら、

  • もし〇〇という条件を満たした場合は買い方針となり、その場合はAAAという条件がそろった場合に買いエントリーをする
  • もし△△という条件を満たした場合は売り方針となり、その場合はBBBという条件がそろった場合に売りエントリーをする

の「もし~となり」の部分がセットアップで、「その場合は~エントリーする」の部分がトリガーとなります。

セットアップはトリガーに対して優位

これも口酸っぱく言っていますが、セットアップが正しければ基本的にどこでエントリーしてもトレードは成功する確率は高くなります。

まぁ、そりゃそうでしょう。前提条件が間違っているなら、その後の行動も間違いですから。

極端な言い方をすると、セットアップが正しければ、セットアップが解除されるまでの間なら、目をつぶって適当なタイミングでエントリーしたとしても、勝てます。

本当に?

まぁ、このブログの常連さんならとっくにご存じの通り、それは本当の話です。既に「トレンドの正体」にてお話していますので、読んでない方は目をかっぽじって読みやがってください。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

ということで、上記の記事を読んで相場の原理原則を理解できている方なら、セットアップが重要でトリガーはそこに従属するものであると腑に落ちているはずです。

しかしながら、それを知らない多くの勝てない人というのは、「トリガー=手法」もしくは「毛の生えた程度の環境認識をテクニカルで認識+トリガー=手法」と思い込んでいる方が多いんですよねぇ・・・

だから、いつまで経っても勝てないし、聖杯探しという無駄な時間を費やし、詐欺レベルもしくは完全に詐欺な連中の金づるになってしまうわけです。

ということで、

セットアップが間違っていれば、トリガーなんて意味ねーんだよ。

ってことを常に頭に置きながら、ここから先の解説を読み進めていってください。

トリガーとは効率化

繰り返し言いますが、セットアップが正しければ、基本的にどこでエントリーしても成功する確率は高くなります。

とは言え、「どこで入っても」というのは、正直なところ効率が悪すぎです。

例えば、下降トレンド中の戻り売りを狙う場合、戻り(上昇)の途中から売ってしまっても、更に価格は上がってしまい、含み損で苦しい思いをします。精神衛生上よろしくないですよね。

その逆行、まだ耐えられるレベルなら良いですが、思っていたよりも大きく進んでしまえば、恐怖によって損切りしてしまったりします。

で、損切りした途端に価格は勢いよく下がりだす・・・

なんてことは、トレードあるあるです。なので、出来るだけ逆行に曝されないポイントで、エントリーできることが理想的です。

また、結果として下がって利確できたとしても、もっと高い位置でエントリーしていれば、利幅はもっと獲れたことになりますし、仮に損切りなった場合でも、やはりもっと高い位置で売りエントリーしていれば、損切幅も小さくて済んだはずです。

この様に、リスク・リワード比(利益幅と損失幅の比率)や勝率、またメンタル面での効率化のために、出来るだけ効率の良いポイントでエントリーしようとするためのルールが「トリガー」というものになります。

セットアップの方が重要とは言え、トリガーを軽視していれば、結果としてトレードは上手くいかないことの方が多いんです。

トリガーとはトレードの効率化。非効率ではトレードもままならない。

そう覚えておいてください。

BOZ流におけるトリガーの位置づけとは

セットアップ用画面とトリガー用画面

既に何度か記事にしていますが、セットアップにはセットアップ用のチャート画面、トリガーにはトリガー用のチャート画面を用います。

で、まずは環境認識から現状認識までをセットアップ用の画面で行います。そして、1時間足の波を切り取ってトレードしたいのであれば、1時間足を用いてセットアップが整うのを待ちます。

そしてセットアップが整ったら、タイミングを計りやすいように5分足などのより小さな時間足のトリガー用の画面にて、値動きを観察し、トリガーを引くタイミングを狙ってエントリーします。

チャート画面の表示例

で、実際のセットアップ用の画面とトリガー用の画面の表示の仕方ですが・・・

そういったことは、特に規定していません。各自が相場状況を把握しやすい様に、各自が工夫をして表示します。

もちろんそれは、定番のMTF表示であっても構いません。例えば下図の様に、

日足→4時間足→30分足までを現状認識していき、セットアップのメインが30分足、5分足をトリガーとして用いてみたり、

上図の場合なら、セットアップは15分足まで落とし込んで5分足をトリガーとすることも可能ですし、

  • 4時間足がセットアップで、15分足がトリガー
  • 1時間足がセットアップで、5分足がトリガー

という風に、その場の状況に応じて分けて使える様にしてもOKです。

また、表示の仕方を、自分なりにもっと工夫することも大切です。以前紹介した例をいくつか挙げるとすると、

この様に、セットアップ画面を常に大きくして、トリガー画面を小さくしておくことで、短い時間足に気を囚われづらくしてみたりとか、

日足、4時間足、1時間足、5分足をサブ画面に常に表示しておいて、メイン画面はその都度時間軸を切り替えて使うという表示方法も考えられます。

相場における認知の仕方や判断には、個人差があります。なので、自分が最もしっくりくる表示方法を工夫するのが、その人にとってのベストな形です。

セットアップとトリガーのテクニカル

セットアップとトリガーに使うテクニカルやその設定は、同じであっても別々であっても構いません。

なぜなら、セットアップに判断しやすいテクニカルと、トリガーにおいて判断しやすいテクニカルは、アナタにとって同じとは限らないからです。僕自身、両者のテクニカルは同一ではないですし。

要するに、「どのテクニカルを使うべきか?」というのは、大して重要ではないんですよ。どんなに素晴らしいテクニカルを知ったところで、それを扱う腕がなければ、単なる無用の長物でしかありません。

大切なのは、自らが選び、検証と練習を重ねることで熟達したテクニカルを用いることなんですね。

本当に画面は分けるべきか?

しかし、ここで1つ疑問が・・・

仮に、セットアップ用のチャートとトリガー用のテクニカルが同じなのであれば、わざわざ別々に画面を用意する必要はないのでは?という疑問です。

もちろん、「絶対に分けろ」とは言いません。1つのチャート画面をその都度切り替えて用いることも、ありっちゃありです。

もっと言えば、セットアップ用のテクニカルとトリガー用のテクニカルが違っていたとしても、MT4などであれば、各時間足に各インジの表示・非表示を設定できます。なので、わざわざセットアップ用とトリガー用の画面を分けて用意する必要性はないのでは?

まぁ、それで勝てるなら、それで良いんですよ。そちらの方が自分に向いていて、それで勝てるなら、何も問題はありません。

ただ、それだと多くの人が過ちを犯します。

「セットアップが重要」ということが分かっているつもりでも、悲しいかな勝てない人というのは、いざトレードを始めようとすると、目先の値動きばかりが気になってしまい、結果的にトリガー用の短い分足ばかりをガン見してしまいます。気が付けば、より大きな時間足の状況なんてすっかり頭の中から消え去ってしまっているんです。

そしてそれが、負けを喫する大きな要因です。

なので、そういった状況を回避する意味では、セットアップ用のチャート画面とトリガー用のチャート画面は別々にして、常に同時に見える状態にしておくという工夫は、とっても大切なんですよ。

僕自身、若い頃は1つの画面を切り替えることで済ましていましたが、歳を取り記憶力が薄れてきたり、ミスが頻発するようになってからは、セットアップとトリガーの画面は分けるようにしてますからね。

基本やセオリー、原理原則を身に着けているのあれば、

トレードなんて自分のやりやすいように、やりたいようにやったら良いのさ。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

というのが、BOZ流でしたね。そういうことです。

到達確認と反転確認

BOZ流において、エントリーポイントを決める際には、

  • 到達確認
  • 反転確認

の2つが必要でしたね。

で、この到達確認と反転確認が、BOZ流では基本的なトリガーの仕様となります。

ただ、ここで注意しなくちゃいけないことがあります。

それは、到達ポイントを設定するのは、トリガー用画面ではなく、セットアップ用画面で行うということです。

環境認識から現状認識まで落とし込んだ際、例えば1時間足の波を切り取りに行くのであれば、到達ポイントは1時間足以上の時間軸で探します。

なぜなら、1時間足の波に乗りたい場合、それよりも小さな時間足でしか確認できないポイントとは、無視されがちだからです。1時間足の波で言えばどうでも良いポイントを気にしたところで、その波には上手く乗れません。

なので、到達ポイントの設定はセットアップ用チャートで行います。そして価格がそのポイント付近まで来たら、トリガー用チャートにて値動きを観察し、到達確認と反転確認を行うことになります。

トレード・スタイルにおける注意点

以上のプロセスは、基本的にどの時間軸に対しても同じです。例えば日足をセットアップに用い、トリガーを1時間足で引くトレーダーもいるでしょうし、30分足をセットアップにして、分足をトリガーにする人もいるかもしれません。それぞれが最もやりやすい形を見つけて、トレードに臨むのが最適です。

ただ、注意しなければいけないのは、スキャルピングです。スキャに関しては、少し勝手が違ってきます。ポジションの保有時間が違っていても、トレードのロジックは原則として同じですが、正直スキャだけは違ってくることがあるんですよ。

例えば、5分足に生まれる波の一辺を獲っていこうという様なスキャの場合、セットアップは5分足でトリガーは1分足なのでしょうか?

それでOKな人は、それで臨んでもらって構いません。

しかし、スキャであってもセットアップは例えば1時間足などの大きめの時間軸を用い、トリガーは5分足にして、その5分足の波だけを獲っていくというトレードの仕方の方が、個人的には有用かな?と思っています。

いくらスキャであっても、大きな時間足は重要なんですよ。

そして、僕のスキャルピングもその様なスタイルです。スキャであっても、1時間足や4時間足は繰り返し良く見ています。

また、スキャルピングと一口に言っても実は、

  • 通常のロジック通りに到達確認と反転確認を行ってトレードするもの
  • 反転確認を行わず、ポイントに到達後の「反発」(反転ではない)を狙ってトレードするもの

の2種類があったりします。

前者の場合は、今までお話してきているプロセスを踏みながらトレードしますが、後者の場合はちょっと質が違います。

大きな時間軸において重要なポイントに価格は到達すると、必ずと言って良いほど大きな売りや買いが入ります。

例えば、4時間足において重要なサポートとなるポイントまで価格が下落してきた場合、かなりの高確率で大きな買いが入り、価格は一時的にせよ反発上昇します。サポートラインを下にブレイクしたり、サポートされて反転上昇を始めるのは、その反発を繰り返した(1度きりの時も稀にある)後のことになるわけです。

で、そんな反転やブレイクが始まるまでの間の一時的に反発した値幅だけを獲りに行くというスキャルピング・トレードのやり方があるんですよ。

そして、そんなスキャをやる場合、反転確認は不要になります。そしてその際のトリガーは、到達確認とそのポイントで止められたことを値動きで察知する技術になるわけです。

ですから、そんなスキャをやる場合は、自ずとトリガーのロジック自体が違ってきますし、また大きな売玉や買玉が入るポイントを知るには、1時間足以上のチャートを見ている必要がありますから、セットアップはやはり1時間足や4時間足になってきます。

以上のことから、スキャルピングであっても大きな時間軸は重要ですし、またスキャの種類によっては、トリガーのロジックのプロセスには反転確認を含まないものがあるということを、きちんと頭の中に留めておいておいてください。

反転確認には2種類ある

さて、実はもう1つ重要な注意点があります。この話、具体的にこのブログで触れてたかどうかは記憶が曖昧なんですが、

実は、反転の種類は2種類あるんですよ。それは、

  • トレンド中の押しや戻しがお終わり、再びトレンド方向へと進み出す際の反転
  • トレンドが終了し、そこが天底となって逆方向にトレンドが始まる場合の反転

です。

同じ「反転」であっても、この2つは全くの別物です。

前者は、大局の流れの中で一時的な逆行や停滞が起こった後に、再び大局に沿った流れに戻るときの現象です。しかし後者は、大局そのものの流れが変わってしまう現象です。

全くの別物なんですよ。

なので、それら反転の確認方法も自ずと違ってきます。

もっと言ってしまえば、前者の反転確認は「トリガー」でしかありませんが、後者の反転確認は、逆方向へとトレンドが開始したと判断する「セットアップ」ということでもあるんです。

にもかかわらず、これを混同したままでいると痛い目にあいます。トレンド中の反転確認のテクニカルを用いて、天底を責め続けたところで、それは負け数を量産していくことにしかならないんですよ。

絶対に混同してはいけませんからね。

裁量トレードにおけるトリガーとは

システム・トレードと裁量トレードの違い

自動売買を行うEAを作る場合、テクニカルに条件を与えて、バックテストを繰り返します。そうやって、勝率や損益のデーターをとり、有効な条件の組み合わせを導き出そうとする作業が行われます。

この場合、トリガーを引くのはアプリケーション、つまりコンピュータによるものなので、条件にあったポイントを正確無比にフル稼働で実行することが出来るわけです。

ということは、自動売買システムによるトレードと裁量トレードでは、決定的な違いが出てきます。それは、

  1. EAは、与えられた条件(ルール)を確実に実行するが、裁量はルール通りに実行することもしないこともできる
  2. EAは、与えられた条件(ルール)以外のことは一切考慮しないが、裁量はルール以外のことを考慮して判断することが可能

ということです。

で、多くの勝てない人が気にしてばかりなのは、1番目のルール通りにトレードできるかどうかということ。決めたルール通りにトレードしなくて負けてクヨクヨ嘆いたりする、恒例の勝てない人あるあるですね。

(もちろん、大した検証も出来ていなルールを守れたところで勝てるとは限らないんですが、勝てない人はそんなことすら気づきません)

しかし、今回ここで注目してもらいたいことは、2番目の方。与えられた条件以外のことまでも判断材料として考慮できるのかどうかということです。

あのね、僕は常日頃言っている通り、トレードはスポーツにとても良く似ているんですよ。

バッティングに例えると、EAというのは与えられた条件通りの球速とコースでボールが飛んできた場合のみ、決められたタイミングで決められた通りのバットの振り方しかしません。

しかし裁量というのは、基本や定石というのはあっても、向かってくるボールの球速やコースや変化によって、バットの振り方や振るタイミングをその都度変化させて、ヒットを狙う様なものです。

相場付きのニュアンスの違いによって、基本ルールに合致していても、トレードを見送ってみたり、また条件全てに合致せずとも優位性が高いと判断したらトレードを実行したりするのが、裁量というものなんですよ。

この点が、裁量トレードとシステムトレードの決定的な違いです。

ただし、この「ニュアンス」という言葉・・・

曖昧なので出来れば別な言葉を用いたいのですが、これに代わる言葉が正直見当たりません。

でもまぁ、そうですよね。こういったニュアンスの変化を捉えることがどれくらい出来るかどうかで、スポーツも優劣が生まれるんですから。

全ての人が、千差万別の事象を全て条件化し、それに対するベストな行動様式も全て具体化して行動できるのであれば、スポーツは身体能力を除いた全ての技術の部分において、各人の間に優劣は生まれないはずです。

しかし、実際には優劣が生まれるわけで・・・

つまり、これが上手い下手の差、技術の差になるんですね。

で、トレードもこれと同じなんですよ。

だから、同じテクニカルを用いて同じルールでトレードをしても、裁量の場合は、EA化してバックテストした結果とは同じにはなりません。

勝てない人というのは、「裁量」という名の「下手クソさ(技術力と判断力の無さ)」を加えることでバックテスト以下の結果しか出せません。

そして、裁量で勝つ人というのは、要所要所においてはバックテストの結果からは証明できない様な成果を出します。

それが裁量トレードというものなんです。

トリガーの実例をもとに

さて、ここからは実際に僕が使用しているトリガーの中から、比較的多くの人が使いこなしやすいかな、というものを1つご紹介します。

で、このトリガーの実例をもとに、「トリガー」というものそのものを理解してもらえたらな、と思います。

トリガーの具体例

トリガーに使う基本インジとパラメータ

それでは、具体的なトリガーの設定をご紹介します。

使うのは5分足と、1分足。

基本とするインジとパラメーターは、以下の通りです。

  • 5分足には、20SMA、10SMA、8EMA、ストキャスティクス(期間14)
  • 1分足には、20SMA、10EMA、ストキャスティクス(期間14)

これだけです。

(Xでは、先に公開しましたが、1分足の10EMAを誤って10SMAと表記していたようです。EMAが正しいので、混同しない様にお願いします)

ただ、実際の僕はもう歳で、結構チャートが見づらくなっているため、5分足の10SMAと8EMA、1分足の20SMAと10EMAの位置関係が見やすい様に、MA ribbonというインジを使っています。

MA ribbonは、2本のMAの間を色付き表示してくれるもので、知っている方も多いかと。

で、それらのテクニカルをチャートに適用すると、以下の様になります。

左側のチャートが5分足で、右側のチャートが1分足です。

ストキャスには、80,70,50,30,20%にラインが5本引いてありますが、あまり気にしなくて良いです。

以上が、今回紹介するトリガーの基本テクニカルとその設定になります。

実際には他のインジも使いますが、それはまた後ほど紹介するとして、トリガーを引くための基本となる設定は、まずはこれだけであると理解しておいてください。

それでは、実際にこのトリガーの使い方を説明していきましょう。

 

と言いたいところですが、ここまで来るのに非常に長くなり過ぎました。

ということで、具体的なトリガーの使い方や、その実例は次回となります。楽しみに待っていてください。

それじゃあ、また。

ここ最近のドル円相場用いてセットアップの解説

ここ最近、時間と体調の都合でブログ更新できてない(いつものことじゃん、とか言うな)ので、今日はサクッと短めで記事書いちゃおうと思います。

内容は、先月末辺りからのドル円相場のチャート解説。長くならない様に、セットアップくらいまでに留めようかな、と。

今回は、いつもと違って本当にサクッとした解説に留めるんで、実際に自分でチャートひらいて、この記事に合わせて、

「あーでもねぇ、こーでもねぇ」

って感じで、自分で手を動かしながら読み進めることをお勧めします。

それでは、始まり始まり~!

とりま、ラインは2本でOK

Xとか覗いてると、なんかどーでも良いラインをいくつも引いて、占いみたいな解説してるの、たまに見かけるんですが、

基本、ラインなんてそれほど多く引く必要はないです。

なぜかって?

だって、水平線にしろ斜め線にしろ、効いてる様に見える線なんて無限に近く引けるから。

で、沢山ライン引いちゃえば、そりゃーどこかしらに当たって効いてる感出せちゃいますからね。

でも、そんな程度じゃ、実際のトレードでは勝てるはずもねぇ。

ということで、ここ最近のドル円相場のチャート解説を僕なりにします。

が、普段このブログでのチャート解説と言えば、環境認識から現状認識までを解説するのが常ですが、今回は省略します。

出来れば、自分なりに週足から1時間足までを自分なりに現状認識してから、ここから先の記事を読み進めてもらった方が、学習としては効果的かも。

ということで、下の図をご覧ください。ドル円の1時間足チャートです。

水平線が2本だけ引いてあります。上の線は週足からも引けるラインで、下の線は日足から引けるけど実際は4時間足以下でしか表示しないラインです。

勘違いしてほしくないんですが、この2本のラインは、今この時点のチャートを見て引いたラインではありません。このチャート図に表示されている値動きが出来る前に、とっくに引いているラインです。(ただし、微調整はしてありますけど)

で、見ての通り、上昇トレンドから上の水平線で止められ、その後は下の水平線を一旦オーバーシュート(上図赤い四角Zの部分)した後は、再度上のラインに到達していますよね。

で、僕の場合、上図赤丸Aで上値を止められたのを確認して、セットアップが完了です。

どんなセットアップかと言えば、

「基本この2本の水平線の中をレンジ移動」

というセットアップです。

もう1度、チャート見てください。

上昇トレンドから最初の週足レベルの水平線で止められますが、その後はZまで強く下降してますよね。

BOZ波動論を読んだ方はお判りでしょうけど、上昇の推進波に対して調整波となる下降は強すぎです。

なので、原則としてZから再度上昇しても直近高値となる上の水平線を越えることはなく、この後はレンジ展開になりやすい環境にあるというのが、予め想定できます。

(ファンダメンタルズ的に言えば、この日は円安抑制のための口先介入がありましたから、大きく下落。高値警戒感が出てきた感じです)

ただ、Zのオーバーシュートがこの2本の水平線エリアの内側に戻ってきた段階では、レンジがどの様な形で展開するかは分からないんですね。

下降チャネル(上昇フラッグ)なのか?並行レンジなのか?トライアングルなのか?

なので、次の展開を見守らなくちゃいけません。

で、次の画像。(2本の水平線、混乱しない様に上の方を赤色に変えました)

オレンジ色の斜め線を見てください。下降する青色の波動は強いのですが、それと同等の強さで上昇波動は返してきます。

この時点で、もう1度高値を目指す想定ができます。

で、実際に高値(赤い水平線)に到達しますね。でも、越えられない。

で、越えられないことを赤丸Aで確認できた時点で、このレンジの形が高値を切り下げる下降チャネルやディセンディング・トライアングルではないと分かります。

想定できるのは、高値を切り下げないレンジ。つまり、高値も低値も切り下げない並行レンジ(レクタングル・フォーメーション)か、高値を切り下げず低値を切り上げていくアセンディング・トライアングルのどちらか。

ただし、ここで注意!

並行レンジであったとしても、教科書的な解説にある様な、

こんな分かりやすい綺麗なレンジが来るとは思わないことが大切。

何度も言いますが、

レンジ内部の値動きは、基本的には「不規則」

なんですよ。だから、レンジ高値で売ったら綺麗にレンジ低値まで到達してくるとは思っちゃいけない。

そういった想定で、実際のトレードは臨む必要があるんですね。

で、もう既に結果は見えてるので、後付け解説しちゃいますが、結論としてこのレンジは、

並行レンジの中に並行レンジが。つまり、レンジの入れ子状態です。

が・・・

別に特別な値動きではないですよ。良くある値動きです。

既に他の記事でも何度か解説している通り、別に並行レンジでなくともチャネルであっても、その内部構造ではクラスター(つまり小さな並行レンジ)を形成しているというのは、ごく普通の値動きでなんですよ。

なので、これに惑わされてしまうのであれば、それはただ単に

検証不足
練習不足

でしかありません。

チャートの前に居て、トレードしながら一喜一憂ばかりしてるくせに、実はチャートなんて大して見ちゃいないということです。

 

あれ?ひょっとしてまさか・・・

ちょっとやったくらいで、トレードで大金手にできるとか思ってんの?

え?バカなの?

ねぇ、ほんとバカなの?

そんな都合の良い話なんてないことくらい、小学生でも分かるよね?

とりあえず大谷翔平を目指して日々頑張ってる野球キッズ達にでも謝っとけ。

 

としか言いようがありません。

とは言え、実際のデイトレは大変

まぁ、戒めになる様にキツい言い方をしてますが、実際のところ、この相場をデイトレで獲るのは、そう簡単じゃないのかな?とは思います。

後付け解説するなら、めっちゃ簡単な相場ですけど。

既に出来上がったチャートを見て、規則性を見出すことなんて、簡単なんですよ。

でも、値動きが形成途中のリアルタイムでチャートを見ていたら、価格は上を行ったり下へ行ったりとするわけですからねぇ。

特に、今回の様な相場つきは、

レンジの中にレンジが作られる「レンジの入れ子状態」なわけですから、細かいことを言うと

「セットアップも入れ子状態」

なわけです。セットアップしたレンジの中に、更にレンジのためのセットアップがあるんですからね。

ということは、実際にエントリー判断するトリガーもややこしくなりがちで、特に小さな時間軸で無暗にトリガー引こうとすると、騙しにあいやすくなります。

 

僕がね、「初心者や勝てない人は、まずはトレンドだけを狙え」と繰り返し言っているのは、そういうことなんですよ。

レンジは、トレンドを獲りに行くよりもずっと難しいからなんです。

とりあえず、ヒントをチラホラと

今回の記事は、冒頭でもお話しした様に、サクッと終わらせるつもりで書いてます。

なので、細かいことはあまり説明するつもりはないんですが・・・

ただ、ヒントだけでも1つ2つ紹介しておきましょうかね。

ラインで見る場合

青色の波動とそれと同等の波動、この力関係の中で値動きの攻防が繰り返されます。

そして不規則に動きやすいレンジ内部でポイントとなりやすい箇所って、どこでしたっけ?覚えてますか?

そう、「半値」です。

なので、とりあえずこの青色の斜め線で示した波動の半値をフィボでも引いて調べてみてください。

あとは、2本の水平線のレンジ内部にもフィボ当てて考えてみてください。

自ずと見えてくるものがあると思います。

ボリンジャーバンドを使う場合

インジに関しては、何度も言っているように、各自が認知しやすく、検証と練習を繰り返して熟達したものを使うべきですから、どのインジを使おうと、それはトレーダーそれぞれの自由です。

ただまぁ、今回はこういった相場つきに強みを発揮しやすいボリンジャーバンドを表示させておきますね。

以下がそれです。

もちろん、紹介するだけですから、これ以上は何も言いません。

ボリンジャーバンド使いの人は、あれこれと頭を悩ませながら、検証と練習を繰り返して使いこなせるようにしてください。

補足

このブログの常連さんたちには、もう言う必要ないと思ってますが・・・

ちょっと補足として、波の捉え方について言及しておきます。

上図チャートの前半では、上昇トレンドを形成して、赤い水平線に到達しています。

そこから勢い良く加工をしてZを形成するわけですが、良く見るとチャート緑丸(2か所)の低値を切り下げています。

これを見て、

「ダウ理論上では、低値を切り下げたから上昇トレンドは終了だ。ここから下降トレンド」

みたいな判断をする人がいる様です。

が、それは大きな間違い。

まず、低値を切り下げた場合、「上昇トレンドは終了」と判断できますが、そこから下降トレンドが開始するわけではありません。

下降トレンドが発生したと判断できるのは高値切り下げと低値切り下げが発生した時です。

なので、緑丸の低値を切り下げたとしても、正しい判断は

「とりあえずここで上昇トレンドは一旦終了かな。レンジに移行するかもしれないし、この後下降トレンドが発生するかもしれない。また、上昇トレンドが再び再開するかもしれない。」

ということになります。

それだけじゃあ、ありません。

このチャートは1時間足です。この緑丸の部分を更に上の時間足で見てみてください。

4時間足で見ると、この緑丸の部分なんて波の谷にはなってませんよ。せいぜい分かるのは、更にその下の赤い四角で囲ったレンジの箇所です。

しかし、このレンジの箇所ですら日足で見ると、横ばいの波ではなく単なるコマ足1個にしか過ぎません。

近視眼的な相場の見方は、禁物です。

トリガーとは、現実対応のための技術

僕はいつもトレードをスポーツになぞらえて説明しますが、例えば・・・

ピッチャーが投げ終わった後、その映像を見て、

「この時は、この様にバットを振るべきだった」

というのは、簡単ですよね。

でも、僕らはいつだってプレイヤーなんですよ。

今まさに飛んでくるボールを打ち返さなくちゃいけない。

どの様なボールが来るかをいくつか「想定」し、実際に飛んできたボールに合わせて「現実対応」しなくちゃいけないんです。

それが、プレイヤーである裁量トレーダーのすることなんですよ。

で、その現実対応が、「トリガー」なんです。

セットアップに対して、

どのタイミングでエントリーの引き金を引くべきなのか?どのタイミングで手仕舞いをするべきなのか?

ということを判断する技術が、裁量トレーダーにおけるトリガーです。

 

で、今回僕がなぜこの相場に関して記事を書いたかというと・・・

この相場つきで各自がセットアップの取り方とトリガーを、繰り返し繰り返し検証・練習して欲しいんですね。

レンジ相場の検証と練習において、この相場つきは絶好の練習場になると思うんですよ。

出来れば、過去検証ソフトを使って、先の値動きが見えない状態で練習してみることをお勧めします。

 

ということで、今回は手短ですがこの辺でお終いにしようと思います。

それじゃあ、また。