目先の値動きに振り舞わされないためのチャート表示術

環境認識は大切。

そんなことは頭で分かっていても、実際は目先の動きが気になってしまい、不安と欲望の狭間で、5分足や1分足なんて小さな足ばかりをガン見し続けている人って、多いと思うんですよね。

で、結局は目先の値動き(ノイズ)に振り回されて損切りを量産し続けるという、負のスパイラルに陥るわけで。

実は僕自身、勝てなかった頃というのは、完全にそんな人でした。もちろん、紆余曲折を経て、今ではそんな自分からは抜け出せているわけですが・・・

ただ、近頃は別の問題が出てきたんですね。

それは、歳をとって記憶力が衰えてきたということ。今までは何も問題のなかったチャート表示の仕方だったのに、何かと不都合が生まれる様になってきたんです。

ということで、ここしばらくの僕は、

「初心者にも、僕の様に記憶力が衰えた人でも、上手く活用できるチャート表示のあり方って、どうすれば良いだろうか?」

ということについて、色々と検討を続けてました。

で、今日はそんなチャート表示を組み立てるうえでの考え方と、一応今の時点で僕自身が

「これって、使えるんじゃね?」

と思えるチャート表示のモデルを紹介していこうかと思います。

それでは、始まり始まり~!!

チャート表示の2つのタイプ

MTFタイプと単一表示タイプ

トレードする際のチャートの表示の仕方というのは、トレーダーによってそれぞれだと思いますが、大まかに言えば

  • MTF(マルチタイムフレーム)を用いてトレードするタイプ
  • 単一表示(1つの時間軸だけ表示)でトレードするタイプ

の2つに分かれるんじゃないかと。

MTFとは、同じ通貨ペアで複数の時間軸を同時に表示してトレードするやり方です。例えば下の図の様な感じ。

まぁ、この例は単なる一例でしかなく、人によって表示するチャートの数も、時間足の組み合わせも変わってきます。

それに対して、単一表示タイプのトレーダーは、複数の時間軸のチャートを同時に表示しません。1つの時間軸を画面いっぱいに表示するだけです。

このタイプのトレーダーは、1つのチャートを適宜に時間軸を切り替えてトレードします。

例えば、分析する際は日足→4時間足→1時間足と画面を切り替えながら分析していって、1時間足でチャートを監視し、エントリーする際は、分足に切り替えてタイミングをとるというやり方です。

で、僕の場合は、この単一表示タイプのトレーダーだったんですね。

ところがここ最近、記憶力が衰えてきたため、例えば1時間足を見ていても、その上位足の状態を覚えてないことが多くなってきたんですよ。覚えてないだけならまだしも、違う通貨ペアの状態と記憶がすり替わっていたり、15分足を見てるつもりで実は4時間足だったり。

僕がチャート表示を新たに考え直すきっかけが、まぁそんな感じだったわけです。

それぞれの長所と短所

では、この2つのタイプ、どちらが良いのでしょうか?

正直なところ、両者とも一長一短な部分があるので、一概には判断できません。

まず、MTFは複数の時間軸を同時に表示しているため、一覧性に優れています。

それに対して単一時間軸表示は、一覧性において劣ります。時間軸をその都度切り替えるため、作業が煩雑になりますし、時間軸を切り替えた後でもその値動きの状態は、ある程度記憶しておく必要があります。

ただ、一覧性の優劣は、そのままトレードの優劣に繋がるわけではありません。

MTFの場合、一覧性に優れている分、色んな時間足に目移りしてしまい、トレードの軸がブレてしまう可能性があります。

例えば、1時間足の波に乗るつもりでエントリーしたのに、思惑通りに値動きが進まないと、トレードの根拠であるはずであった1時間足を無意識に軽視して、他の時間足に自己強化の情報を求めだしたりするんですね。結果、傷口を広げるだけなんですが。

その点、単一表示は一旦方針が決まったら、その時間軸に固定されますから、ブレまくるということはありません。

しかし、そうであっても下手なトレーダーは、MTFの時と同様に、自己都合を強化してくれる情報を求めだし、ロジックとは関係なく別な時間足を表示して、それをずっとガン見し続けたりします。

やってることは、MTFであっても単一表示であっても、一緒だったりするんですよね。

また、それ以外にも両者には長所短所はいくつもあります。

MTFはモニター内でチャートを何分割化するため、単一表示に比べ、表示される期間(ロウソク足の数)が少なくなります。

そのため、両者では同じ時間軸であっても、チャートから見える景色が違ってくるんですね。

下の図は、MTFで4分割した際の1時間足です。

しかしこれを、分割せずに表示したものと比べてみると・・・

横の表示範囲が広くなっただけで、印象が全く変わってしまっているのが分かると思います。

まぁ、印象が違うだけで、値動きそのものは同じですから問題はないんですが、ロウソク足の表示本数が多い方が、全体像は浮き彫りになりやすくなりますから、分析はしやすくなります。

また、MTFでラインを引く場合、分割されたチャートそれぞれに繰り返し引いていかないといけません。

4時間足チャートにラインを引いたら、次に1時間足チャート、そしてその次に15分足チャート・・・といった具合に、チャートの数だけ手間がかかります。

もちろん、この手間を解消するため、1つのチャートにラインを引くと他のチャートにもそのラインが自動的に引かれるというインジケーターを利用するという手もあります。

ただ、僕の経験から言うと、ラインをシンクロさせるインジは、他のインジと相性が悪いことが多く、不具合が起こるケースが出てきやすいんですね。

以上の様に、MTFにしろ単一時間表示にしろ、長所と短所があるため、一概にこちらが良いとは言えないということが分かると思います。

短い時間足ガン見問題

冒頭でお話した様に、トレードで勝てない人の特徴の1つに、5分足や1分足ばかりをガン見してしまうという問題があります。

身に覚えのある人、多いと思います。

なぜ、そんなことになってしまうかというと、

「ちょっとした値動きも見逃したくない」
「初動をいち早く捉えたい」

という欲望と不安に振り回されているからです。

その結果、確かに

ちょっとした値動き(ノイズ)を見逃さず
そのノイズの初動をいち早く捉えてエントリーしているわけですから

買えば下がるわ、売れば上がるわ、お陰様で損切り連発するわで、見事に行動と結果が伴っているわけす。

щ( ̄∀ ̄)ш ヶヶヶ

 

間違った行動は、その通りの結果しか生まないんですよ。

 

で、目先の値動きに振り回される自分を反省して、

「1分足は見ない」ルールとか
「5分足を見てばかりはダメ」ルールとか

紙に書いて貼ったりして、自分に言い聞かせたりするんですが、

やっぱり不安になって、5分足や1分足を見出し、そのままずっと小さな時間足に釘付けになったりするんですよねぇ。

しかし先にも話した通り、この手のケースはチャート表示をMTFにしようが単一表示にしようが、改善されないんですよ。

標語みたいなルール作って、紙に書いて見えるところに貼り付けたくらいで、行動が改善さるんだったら、巷は成功者で溢れかえってますし、犯罪もこの世からなくなってますって。

ですから、僕らトレーダーはトレードのロジック、そしてトレードにおける作業の流れを、自然と繰り返し実行できる様に、頭と身体に叩き込まなくちゃならなんですね。

トレードという作業の手順を明確化・形式化して、その作業工程をきちんと踏んで行動できる様にする必要があるんです。

ルール作りというのは、自分で感じた心得的なものを自分に心がけさせるものではなく、仕事を作業として工程通りに進ませるための具体的手順なんですよ。

仕事だって料理だって、スポーツだって何だって、作業手順をきちんと踏まえなくちゃマトモなものは出来上がらないじゃないですか。それと一緒なんですよ。

で、トレードするうえで大切な作業工程を身に着けるために必要なものの1つに、「エントリー作業工程表」を利用するということがあります。(これについては、「ルールを守れないという人へ」を参照してください。工程表の見本もダウンロードできるようにしてあります)

そして最近思うのは、チャート表示の視認性を工夫すること、チャート表示の見方の手順を確立すること、これらも間違った行動を改善する手助けになるんじゃないだろうか、ってことなんですね。

ということで、この辺りの問題点も出来るだけ解消できるチャート表示のあり方、使い方をこれからお話していこうと思います。

チャート表示における1つの提案

さて、以上の様なことから、ここしばらくの間、僕は初心者や僕の様に記憶力が落ちてきた人にも適したチャート表示の仕方を考えてきたわけですが、

今の段階では、こんな感じに仕上がってます。

まぁ、見ただけじゃ分からないと思うので、このチャート組表示の考え方や使い方なんかを、これから解説していこうと思います。

セットアップ用チャートとトリガー用チャート

既に何度もお話していますが、トレードにおいてはセットアップとトリガーがあります。(詳しくは「エントリーの背景(1)」を参照してください)

で、トレードを実行するうえで、このセットアップとトリガーという手順は省くことが出来ません。トレードの上手い人は、意識せずとも気が付けばこの手順を踏んでいることが多いです。

しかし、トレードで上手く勝てない人っていうのは、こういった手順自体が曖昧なんですよねぇ。

ということで、チャート表示に

  • セットアップ用チャート画面
  • トリガー用チャート画面

の2つを用意します。図で説明すると、以下の様になります。

セットアップ用画面が大きく、トリガー用画面が極端に小さくなっているのが分かると思います。

これは先ほどお話した様に、小さな分足ばかりをガン見してしまう行為を防ぐ(し辛くする)ための表示の仕方です。

5分足や1分足ばかりを見てしまうのは、要するにセットアップを無視してトリガーばかりが気になっているだけに過ぎません。

しかし、本来で言えば、セットアップのないトリガーは存在しません。

にもかかわらず、トリガーばかりを気にしているのは、単に感情や欲望に振り回されているだけであって、ロジックでトレードをしていないからなんですよ。

なので、前提となるセットアップがメイン・チャートとして、自然と目が行きやすい様に、大きく表示してあります。セットアップ用と言っても、これだけでタイミングを計れるなら、この画面だけでトレードすれば良いわけですし。

逆に、トリガーとなる小さな時間足チャートは、小さく表示します。小さな時間足ばかり見てしまう行為を防ぐために、トリガー用の画面は、あえて見づらくなるようにしてるんですね。

トリガーとなる分足チャートは、チャートポイント付近に価格が近づいた段階で見るだけですし、トリガーはあくまでエントリーのタイミングを計るためのものなので、それほど広い範囲でチャートを表示しておく必要性もありません。

作業工程別にチャートを表示し、その視認性を調整することで、ロジックに沿ってトレードを実行しやすくなる様な画面分割のやり方を考えると、上図の様な分割の仕方に落ち着くと思います。

セットアップ用とトリガー用の時間足は?

恐らく多くのトレーダーが気になっているものの1つに、

「セットアップ用チャートとトリガー用チャートには、どの時間足を用いるべきか?」

があると思います。

これに関しては、基本的にボラティリティー(値動きの速さを含む)とポジションの保有時間によって変わってきます。

通常、FXの通貨ペアでデイトレードする場合は、

  • セットアップは、4時間足か1時間足
  • トリガーは、15分足か5分足

を基本にすると思っていた方が良いかと思います。

例えば、ユーロドル(EUR/USD)でデイトレードする場合、4時間足か1時間足を用いてどの局面でトレードするかを判断します(セットアップ)。そして、ボラの小さな局面では15分足をトリガーに用いてタイミングを計り、ボラの大きな局面では15分足だと追いつけないことが多くなるので、5分足を見てエントリーのタイミングを計ったりすれば良いわけです。

ただし、セットアップとトリガーの時間軸の関係性として

  • セットアップ4時間足+トリガー15分足
  • セットアップ1時間足+トリガー5分足

という組み合わせは、比較的相性が良くなります。

というのも、同じ通貨ペアでも4時間足と1時間足では、トレードで乗ろうとする波の大きさが違います。もちろん4時間足の方が1時間足よりも大きな波になりますよね。

それに対してトリガーとする時間軸が小さすぎると、ちょっとした値動きはノイズになりやすくなるんですよ。4時間足に対して5分足は48:1の比率で違い過ぎるわけですから、5分足のちょっとした値動きは4時間足の大きな波に対して、ノイズにしかならないことが多くなるわけです。

それに対してセットアップ1時間足とトリガー15分足では、その比率は4:1にしかなりません。波の大きさの違いがそれほど大きくないため、わざわざ15分足をトリガーにしなくとも、1時間足だけ見てトレードしても良いことも多くなります。

しかしその点、

  • 4時間足:15分足 = 16:1
  • 1時間足:5分足 = 12:1

となり、時間軸の差が大き過ぎたり小さすぎるということもありません。

こういったことは、前提として覚えておくと良いかもしれませんね。

また、セットアップとトリガーは、保有時間の長短によって、時間軸の範囲を変えてみることも大切です。

スキャルピングの場合は

  • セットアップが1時間足か15分足
  • トリガーが5分足か1分足

スイングトレードの場合は

  • セットアップが日足か4時間足
  • トリガーは1時間足か15分足

なんて感じで。

ただし、小さな時間足の値動きに振り回されてしまう人は、例えスキャルピングであっても、1分足は厳禁です。(つか、小さな値動きに振り回される人は、スキャルピングそのものが厳禁ですが)

また、最近人気のゴールド(XAU/USD)など、普段からボラティリティーの高いものの場合は、単位時間で動く値幅が通常の通貨ペアとは大きく違うので、普段から時間足を一段下げておいた方が良く、

  • セットアップは、1時間~15分足(4時間足も使いますが、その際はポジション保有時間がスイング寄りになります)
  • トリガーは、5分足か1分足

という感じの方が何かと都合良いです。

(今回アップしているチャート表示画像は、ゴールドなのでセットアップは15分足以上、トリガーは5分足と1分足です。これ以降の解説は、ゴールドでトレードすることを前提にお話していきます)

ちなみに、トレーダー同士の会話で、「1時間足で見て、5分足で入った」というのは、「セットアップに用いた時間軸が1時間足で、トリガーには5分足チャートを用いた」という意味になります。

次に、セットアップ用画面について、もう少し詳しくお話します。

セットアップ用画面について

セットアップ用画面は、トレードする上でのメインのチャートになります。このセットアップ用画面だけを抜き出して見ると、下図の様になります。

セットアップ用画面には、分析用チャートと各時間軸を一覧できるミニチャート(オシレーターと同様にサブウィンドウに表示されます)を用意しました。

これについて、もう少し詳しくお話しますね。

分析用チャート

分析用チャートはメイン中のメイン・チャートになります。相場分析は、この分析チャートを用いて分析します。

使い方は、単一表示のやり方と同じです。

大きな時間足から徐々に小さな時間足へと(週足→日足→4時間足→1時間足→15分足)切り替えながら分析していきます。

分析後は、セットアップに用いる時間足(例えば上図で言えば15分足)を表示して、トレードがブレない様に固定します。

この分析用チャートだけでトレードが可能であれば、これだけでトレードしてしまえば良いです。それくらい、メイン中のメインのチャートだと思ってください。

なお、上図の分析用チャートに表示しているテクニカルは、ラインと200SMA、RSIですが、これは単なる一例です。

このブログの読者の方にとっては言わずもがなですが、使うテクニカルは各自使いこなせているものを自由に使えば良いです。

各時間軸一覧ミニチャート

もう一度、先の図を見てみましょうか。

各時間軸一覧ミニチャートは、別ウィンドウを用いているわけではなく、オシレーターと同様にサブウィンドウに表示できる「FFx BollingerBands」というインジを用いています。

環境認識から現状認識へと分析していく際に用いる、日足・4時間足・1時間足・15分足のミニチャートを並べています。

このミニチャート、なぜ表示させているのかというと、MTFと単一表示の長所を活用し短所を補うためです。

単一表示にしていると、例えば上図の様に15分足を見ている場合は、上位足の状況もある程度は覚えておく必要があります。

しかし、既にお話した様に、僕の様に記憶力が衰えてきた者からすると、ホント忘れてしまうんですよ、さっきまで見ていたはずの上位足の状況を。

なので、このミニチャート一覧は僕のためにある様なもので、記憶力が確かな人には必要ないかもしれませんね。

しかし、これを表示しておくことで、MTFとしての一覧性を確保しつつも、ミニチャートであるがゆえに、トレードする時間軸がブレてしまうことをガッツリ防いでくれるんですよ。

さらに、このミニチャート一覧には、非常に有用な工夫がしてあります。

それは、ぱっと見で各時間軸の局面がトレンドにあるのかレンジにあるのかが分かる様にテクニカル設定をしてあるからです。

工夫その1

この「FFx BollingerBands」というインジは、ミニチャートにボリンジャーバンドを同時に表示することが可能になってます。(別シリーズでは移動平均線や一目均衡表を表示できるものもあります)

で、ボリンジャーバンドとは、

  • ボラティリティが高まっている局面なのか縮小している局面かを一目で判断できる
  • 価格が進む方向性とその強弱を、ぱっと見で判断できる
  • 値動きのおおよその移動範囲を、ぱっと見で教えてくれる

という特徴があります。(詳しくは、「ボリンジャーバンドの使い方」シリーズをご覧ください)

ボリンジャーバンドを用いてトレードしようとすると、もちろん他のテクニカル同様に熟達した腕が必要になりますが、

「今の局面はどんな状況なのか」

という状況判断をぱっと見で判断するだけなら、少しボリンジャーバンドを勉強しただけでも掴むことが可能です。

仕掛けその2

ボリンジャーバンドはミドルバンド(移動平均線)に20期間や21期間を使うことが一般的ですが、利用者によっては13や55、200期間など様々だったりします。

また、標準偏差の設定も基本は±2σを使いますが、そのほかに±1σや±3σなども同時に表示している人も多く、使い方は様々です。

しかし、今回のこのミニチャートでは

  • ミドルバンド40期間(つまり40SMA)
  • 標準偏差±2σ

という設定を意図的に使っています。

40SMAというのは、このブログでもそれほど紹介してないと思うんですが、実はその時間軸でレンジに入ったことを示唆しやすい特徴があります。

レンジに入っても、20MAなどの短期移動平均線は、蛇行しがちです。逆に、75MAなどはレンジに入っていても、角度は緩やかになってはきますが、直ぐには横を向いてはくれません。

しかし、40~55期間あたりのSMAはレンジに入ると横を向いたまま進んでくれることが多いんですよ。(もちろん、レンジ幅等にもよるので、絶対ではありませんが)

で、僕の場合は、50期間台は横を向き出すのが遅くなるため、こういったレンジ突入の可能性判断は、40期間を意識することが多いんですね。

細かい数値は各自の好みで良いと思いますが、この辺りの数値を使うことで、トレンドなのかレンジなのかがぱっと見で判断しやすくなるわけです。

また、標準偏差に±2σを用いているのにも理由があります(このFFx BollingerBandsは、標準偏差を1つしか表示できないということもありますが)。

理論上、値動きがボリンジャーの上下バンド内に収まる確率は

  • ±1σ ・・・約68.3%
  • ±2σ ・・・約95.5%
  • ±3σ ・・・約99.7%

ですが、実際のトレードで用いる場合、単純にこの数値で理解しているのは実用的ではありません。ミドルバンドに40SMAを利用している場合、

ヨコヨコのレンジで価格が進んでいる局面では

  • ±1σ・・・価格はバンドを越えることが多い
  • ±2σ・・・価格は高い確率でバンド内に収まる
  • ±3σ・・・価格はバンドまで届かないことがほとんど

になります。

しかし、上か下に強い方向性が出ている(トレンド発生時など)局面では

  • ±1σ・・・価格はほぼ常にバンドを越える
  • ±2σ・・・価格は高い確率でバンドを越える
  • ±3σ・・・価格は高い確率でバンド内に収まる

ということになるんですね。

また、強い方向性はないがトレンドが出ている場合は、±2σが上限下限となって収まることが多くなります。

以上のことを総合的に考えると、±2σを用いるとぱっと見で

  • 価格推移はヨコヨコなのか方向性が出ているのかが分かる
  • 方向性が出ていて、その値動きが強ければ±2σを越えて推移
  • 方向性が出ているが、その値動きが強くなければ±2σにタッチしながら推移

ということが分かるわけです。

ちょっと見てみましょうか。

ミニチャートは左足から順に日足(D1)、4時間足(4H)、1時間足(1H)、15分足(M15)が並んでいます。

D1では、40SMAが上昇から緩やかに下降しているのが分かりますが、基本40SMAの下を中心にヨコヨコで推移しています。

4Hでは、急落してからは40SMAの下でヨコヨコです。

1Hでは、下降から上昇しているのが見て取れますが、今はヨコヨコの状態です。

M15では、ヨコヨコから急上昇してますが、結局先のヨコヨコ上限まで戻ってきています。

とまぁ、ぱっと見で各時間足の状況が把握できます。

注意してもらいたいのは、このミニチャートでは詳しく分析する必要はないということです。なので、ここには、エントリーポイントを掴むためのテクニカルを用いる必要はありません。

繰り返し「ぱっと見」と言っている通り、一見して大まかに各時間軸の状況を把握できることが重要なんですよ。そのための、テクニカル設定を施してるわけです。

詳しい分析は、あくまでメインである分析用チャートで把握するわけですからね。

このメインの分析用チャートと各時間軸一覧ミニチャートを見ることで、「木を見て森を見ず」状態にならずに、常に相場の全体像を眺めながらトレードできる環境を整えます。

また面白いことに、分析用チャートで表示した時間足の全体像は、ミニチャートにおいては1つ上の時間軸が体現しているんですよ。

上図を見ての通り、分析チャートの時間足は15分ですが、ミニチャートでこの価格推移の全体像を上手く表現しているのは、同じ15分足ではなく1時間足です。

他の時間軸も同様です。

  • 分析用チャート4時間足 ≒ ミニチャート日足
  • 分析用チャート1時間足 ≒ ミニチャート4時間足
  • 分析用チャート15分足 ≒ ミニチャート1時間足

逆に言えば、ミニチャートで見る1時間足をより細かく見ているのが分析足チャート15分足ということにもなりますよね。

この様に、各時間軸同士の相関性を感じながらチャートを見ることで、より相場全体像を眺める感覚を掴むことができ、木を見て森を見ず状態からはサヨナラしやすい環境に持っていくことが出来るんじゃないかというのが、僕の現時点での見解です。

FFx BollingerBandsについて

このミニチャートを表示するインジケーター「FFX BollingerBands」(無料)は、MT4の下部に表示される「ターミナル」から「マーケット」タブをクリックし、そこから検索してダウンロードすることが出来ます。

MT4から直接ダウンロードしたインジは、自動的にインストールされるのでMT4を再起動せずにそのまま利用することが出来ます。

設定ですが、一般的なディスプレイの解像度(1920×1080)であることを前提にすると、パラメーターは

  • Timeframes(表示する時間軸)は、「M15,H1,H4,D1」
  • Candles_per_TF(表示するロウソク足の数)は、「75」
  • ボリンジャーバンドの設定は、Period_(ミドルバンドの期間)が「40」、Deviations(標準偏差)は「2.0」

にします。色は各自の好みで変更してください。

これによって、トリガー用のチャートもロウソク足の表示本数を同じく75本程度になる様に調整すると、綺麗に全てのチャートが納まるようになります。

では次に、トリガー用の画面の解説に移ってきましょう。

トリガー用画面について

既に説明した通り、トリガー用画面は小さな時間足ばかりをガン見することを避けるため、セットアップ用画面に比べ、大幅に小さく表示します。

下の図を見ての通り、トリガー用チャートは2つ用意してあります。下の図は、ゴールドなので上が5分足、下が1分足になっています。

なぜ2つ用意してあるかと言えば、ボラティリティーによってタイミングをとる時間足を変えた方が良いからです。

例えば、ゴールドであってもボラがおとなしい時間帯や方向性がハッキリしない局面では、1分足でを見ていると振り回されてしまったりします。

逆にボラが大きくなって、方向性が出ていたり値動きが激しくなってくると、5分足だと追いつけないことが多くなり、1分足を使うことが多くなります。

ただ、使い分けが上手くできないのであれば、大きい時間軸の方(この場合は5分足)だけを表示して、トリガーも固定した方が良いです。

その場合、小さい時間足は表示しない方が良いですね。その場所には相関性のある別の通貨ペアを表示しておくとか、発注用のダイアログやウィンドウを表示させておいた方が良いです。

また、表示範囲ですが、ロウソク足は75本程度表示出来ればOKです。先のミニチャートも75本表示設定にすれば、一般的に現在普及しているモニター画面で丁度良く収まるはずです。

なお、上図では、200SMAとストキャスティクスを表示していますが、これもあくまで一例でしかありません。トリガーに用いるテクニカルも、各自が使い慣れて得意とする物を自由に用いれば良いです。

ただ、値動きに振り回されやすい人は、オシレーターを表示しておくことをお勧めします。高値低値まで引き付けて反転を狙う場合、オシレーターはその補助として心強いはずです。

使うオシレーターは、やはり自分が使い慣れたものなら何でも良いですが、初心者の方にはスロー・ストキャスティクスが扱いやすいんじゃないかと思います。

また、トリガーとして5分足と1分足(15分足と5分足)のどちらを用いるか迷った場合に、実際の値動きの山と谷がオシレーターの山と谷ときちんと合致している方を選択するなどの使い方も出来ます。

で、トリガー用チャートの利用手順ですが・・・

もちろん、セットアップ用チャートで、セットアップに入る、もしくはチャートポイント付近に価格がこなければ、トリガー用チャートは見ません。見る必要がないんで。

で、セットアップ用チャートにてセットアップに入る、もしくはチャートポイントに近づいてきた場合に、虫眼鏡でその部分を覗く感じでトリガー用チャートを見ることになります。

この様にして細部を覗くことで、効率的なエントリーポイントを探します。

エントリー後の振る舞いについて

エントリーした後は、そのままトリガー画面を注視している人が多いと思います。

でもそれって、チキン利食いの大きな原因の1つです。

エントリー時に小さな値動きに振り回されるのと同様、エグジットも小さな値動きに振り回されてしまうんですよ。

なので、原則として、ポジションを持ったら見る画面はセットアップ用チャートです。

15分足の波に乗るつもりでセットアップに入ったのであれば、15分足を見てエグジットを判断するのが、当然の道理です。

で、エントリーする際と同様に、セットアップ用画面にて、抵抗されるポイントや目標ポイントに近づいたら、再びトリガー用チャートを見て、タイミングを計ってエグジットします。

トレードは入る時も出る時も、その手順は一緒です。

ただ、セットアップは15分足で入っても、1分足で伸ばせそうな1波だけを切り取ろうとする非常に短期のレベルでスキャルピングをする場合は、エントリー直後もトリガー用画面を見ていてもOKですが、まぁこれは一般的ではないので、参考程度に。

また、損切りについてですが、STOPを置く位置もセットアップ用画面で決めます。

買い方針、売り方針は、セットアップで決まるわけで、損切りはその根拠が失われた時に行います。であれば、その根拠はセットアップ用チャートで判断したわけすから、セットアップ用チャートでストップを決めなければいけません。

出来るだけ小さな損切りで済まそうと、ビビりながらトリガー用画面でSTOPを決めてしまうと、損切り貧乏の原因になりますよ。

もちろん、腕が上がれば、トリガー用画面でSTOPを設定してもOKでしょうし、スキャルピングの場合はトリガー用画面でSTOPを設定した方が良いケースも多々ありますからね。

しかし、基本が出来てない人は、その様に器用に振る舞おうとしても、実際は損失を膨らませるだけです。

まずは基本に忠実に実行することを心がけてください。そのための、チャート表示設定なんですから。

トレード実例

さて、チャート表示のやり方と見方の手順の解説は終わったので、ここからは、実際にこのチャートを使ってトレードする実例を紹介しようかと。そっちの方が、ピンとくるでしょ。

ということで、今日の午前中に僕が実際にゴールドをトレードしたものを紹介します。

まずは、メインチャートにて、環境認識からの現状認識を行ないます。

(例のごとく、実際のトレード時以降の値動きは隠しますが、ミニチャート部分まで隠しておくのは面倒なので、放置します。その辺は大目に見てください)

まずは日足。

ずっと続いていた上昇トレンドは高値を付けた後に、調整局面(高値はやや不安定の右肩下がり、低値は一定の価格帯で止められている)がずっと続いていましたが、今週の月曜日にネックラインを下にブレイクしました。

現在は、200SMAに止められている状況ですね。まだ下げる余地は十分に考えられますが、一応200SMAタッチということで、警戒した方が良い局面です。

次は4時間足。

ヨコヨコのレンジがずっと続いてましたが、レンジ下限をブレイクしているのが、分かります。レンジをブレイクした後は、ほぼ一方的にさがり続けている状態です。

じゃあ、この時点で仕掛けることは出来るか?

まず、今は下落局面ですから、売りを考えることがセオリーです。しかし、そのためには根拠が薄すます。狙うなら、一旦大きく戻してからが適切ですし、仮に今売りを仕掛けたとしたら、STOPを置くことになる直近高値までは、背筋が凍り付くほどの値幅があり過ぎです。

また、今はロウソク足を見てもRSIを見ても、下落が一旦止められているのが分かります。

とてもじゃないですが、売る気にはならないですねぇ。売る条件が整うには、しばらく時間がかかりそうです。

じゃあ、買いは?ロウソク足からもRSIからも、下落が一旦止められていたんですよね。しかも、確か日足レベルでも200SMAで止められていたはずです。だったら、買い方針の方に妙があるんじゃ?

しかし、この4時間足だけの「止められた」という事実だけで買い判断し、反転上昇を狙って買うのは、ちょっと勇気が必要です。

なので、この時点で4時間足の波でトレードすることは考えられません。

次に行きましょう。1時間足です。

200SMAに頭を抑えられながら続いていた平行レンジを下限ブレイクした後は、綺麗な下降トレンドを描いて、一旦止められていますね。

ここでは表示していませんが、止められているのはブレイク前の平行レンジとちょうど同じ値幅を少し超えたところです。

RSIを見ると、低値を更新できずに低値圏を上に脱しています。

う~ん・・・

これがもう少し早く、昨晩遅くだったら買いで仕掛けられたかもしれませんが、今から買いに行くのはちょっと遅すぎ感満載です。STOP置くのも直近低値からは60pips以上あるみたいですし。

じゃあ、売りは?

下降トレンドの最中ですから、売りで攻めるのセオリーです。戻しをつけている様にも見えます。

ここで、実際に戻しの到達点を確認して見ました。チャートには表示してませんが、今現在の価格の戻しは、先の平行レンジの値幅のちょうど2倍の位置で頭を抑えられた後に陰線をつけ始めたところです。

売るにはギリギリ間に合うかなー、というところでしょうか。

ただ、もうちょっとチャートの詳細を見たいので、15分足に切り替えます。

下降トレンドの中、戻している局面はチャネルを形成していることがハッキリしてきました。

これって、下落を示唆する下降フラッグじゃん!

で、実際に僕がこのラインを引いたタイミングで、価格は下降フラッグチャネルにタッチするかしないかまでに迫ってきたんですね。

ブレイクするなら売りのセットアップ、ブレイクせずに反転上昇するなら買いのセットアップです。

チャートポイント付近に価格が近づいてきたので、ここで初めてトリガー画面を見ることになります。トリガー画面を見ながら、下降フラッグを価格がブレイクするか反転するのかを見ることにします。

ただ、ここでちょっと寄り道。

ミニチャートにボリンジャーバンド(40)を使ったので、トリガー用画面のテクニカルにもボリンジャーバンドを用いてみようかと思います。

ボリンジャーバンドの設定は、ミニチャートと同様にミドルバンドには40期間を使ってみますか。5分足40SMAって、1分足200SMAの近似値なんですよねぇ。ゴールドでは1分足200SMAも割と機能するので、使う価値はあると思います。

また、標準偏差は±2σと±3σを表示します。

個人的には2σで十分なんですが、既に説明した通り、レンジの時は±2σに収まることが圧倒的ですが、トレンド時は3σまで伸びることの方が多いので、まぁスキャルでのエントリーやエグジットに使えるかなということで、表示することにしてみますね。

以下がトリガー画面です。(トレード時より先を隠すのは面倒なので、手を加えずに説明しますね)

5分足の方は、一旦画面を最大化して下降フラッグのラインを引いた後に、元のサイズに戻してあります。(ちなみに、僕はこの時、セットアップ画面とトリガー画面の両方を見ながら観察してたので、ラインは引いてません。引いた方がトレードしやすいなら、引いた方が良いです)

番号を振ってますが、5分足と1分足で同じ番号の場合は、同じ場面だったということです。

で、まず1を見てください。下降フラッグのラインは一旦抜けたかに見えて単なるオーバーシュート(行き過ぎ)だったことがわかります。

5分足も1分足も共に̠̠-2σに支えられてチャネル内に戻ってきました。1分足のストキャスは上手く反転を捉えてます。

ということで、次は下降フラッグの上限に向けて上を目指すので、セットアップ完了と同時に買いのトリガーを引くことになります。

簡単ですね。

と言いたいところなんですが、こういった判断はセットアップに入りそうな局面で既に方針を持っておくなどして、瞬時に判断し行動に移さないと、見ての通り、一気に駆け上がってしまいエントリーのタイミングを逃してしまいます。

そう、分かりやすい局面というのは、誰もが反応するんで、躊躇していたら他者に先んじられてしまうんですよ。トレードというのは、奪い合いなんです。

で、偉そうに言っている僕も実はこの時、別なことをしながらチャート見てたんで、出遅れてしまい、見送る羽目になってしまいました。

(* ̄∇ ̄*)ゞ テヘッ♪

ということで、気を取り直して、次は下降フラッグ上限での値動きの振る舞いを見ることにします。

一気に上昇した価格は、直ぐに下降フラッグ上限に達しました。

で、2の部分を見てもらいたいんですが、5分足では+3σに頭を抑えられ、1分足では+2σの内側まで戻ってきました。ストキャスも反転し出したので、ここで売りエントリーです。

と言いたいところなんですが、値動きの最先端だけじゃなく、もうちょっと広い範囲でトリガーも見てほしいんですよね。

5分足も1分足も2の時点では、値動きの上昇が衰えているとは言い切れませんよね。ボリンジャーバンドは上向いたままで、上昇の勢いが衰えていないことを表しています。

つまり、「反転」ではなく、単に「反発」しただけの可能性が高いわけで。

1の時は上昇過程の中での下落からの反発上昇なので、価格は一気に反転したわけですが、2の時は逆張り。上昇力が弱まっているわけではないので、簡単に反転してくれるとは限らないんですよ。

しかも5分足200SMAを越えてきてるので、一旦下に押し戻されても、再度上に反発してくる可能性は高いわけです。実際に、そうでしたしね。

なので、こういった時は慌てず様子を見た方が賢明です。

ただ、僕は先ほども言いましたがこの時は他のこともしながらだったので、再びチャンスを逃すのが嫌でした。STOP位置もそれほど大きくならないでしょうから、僕はこのポイントで売りエントリーしています。

では、次の展開を見ていきましょう。

案の定、2で反発下落はしたものの、5分足では200SMAが抵抗となり、1分足ではミドルバンドに支えられる形で、再び上に向かい出してます。

で、注意点ですが・・・

ここで1分足ばかり見ていると、3で入りやすいんですよねぇ。前回の高値を越えてないところで、一度陰線が出てますし、ストキャスも反転し出してますし。

しかし、やっぱりその直後に上昇を再度始めます。3でインした人は、ビビッて直近高値を越えた直後に損切りしちゃったりするんじゃないかと。で、嫌味の様にそこが最高値になるわけですが。

覚えておいてもらいたいんですが、トリガーは値動きが強い局面じゃないと、5分足よりも1分足の方がノイズが多く、テクニカルでもダマシを連発しがちです。

ゴールドの様なボラの高いものであっても、今は下降トレンド中の緩やかな調整局面でしかありません。モミモミすることを繰り返しながら緩やかに上昇しているだけなんですよ。

こういった局面の中で、小さい方のトリガー画面ばかりを見てると、いくらセットアップからのトリガーという正しい手順を踏んでいても、値動きに振り回されちゃいがちになります。

逆に、強い方向性が出ているなどモミモミがほとんどない局面では、大きな時間軸のトリガーを見ていても、入りどころがなかなか掴めません。むしろ小さい時間軸のトリガーを使ってタイミングを計るべきです。

大切なことなんで、もう一度言いますよ。

トリガーは、方向性のシッカリした値動きの強い局面以外は、大きい時間軸の方でタイミングをとらないと、ノイズに振り回されやすくなります。大小両方を見るクセをつけるか、それほど器用に振る舞えないのであれば、方向性が強くモミモミが少ない時以外は、大きい時間軸を見てタイミングをとる要領を掴みましょう。

話を元に戻します。

再び上昇してきた価格は、やはり下降フラッグ上限のラインにタッチして止められます。

5分足の4を見てもらうと、小さな上ひげを2回つけた後、価格は+2σの内側に押し戻されました。このタイミングでストキャスも高値圏から反転を始めます。

先ほど、1分足ばかり見ていると・・・という話をしましたが、そのくせ反転というのはその兆候が小さな時間軸から徐々に大きな時間軸へと受け継がれていきます。

この場合もそうで、1分足の4では、ボリンジャーバンドは上昇を止めて横を向き出してますよね。5分足よりも先に反転の入り口が示されています。

で、僕はちょうどこのタイミングでチャートを見ていたので、すかさず玉増しの売りエントリーをしています。結果的にナンピンですが、これは正しいナンピンのやり方です。(詳しくは、「建玉操作としてのナンピンについて」をご覧ください)

また5分足5を見ると、ここが三尊の右肩となっておりストキャスも反転を示唆しているため、保守的にここで入ることもお勧めです。僕は見てなくて入ってないですけど。

さて、利確のタイミングですが・・・

本来はこれ、下落継続の可能性が高い下降フラッグですから、フラッグ下限でブレイクするかしないかの挙動を見るわけです。ブレイクするならそのまま持っていれば良いですし、反転するなら利確です。

ただ今回は、スキャルピング寄りのそれほど値幅の広くない下降フラッグ内でのトレードなので、下限ラインにタッチで一旦利確し、その後に反転するかブレイクするかを見て再びエントリーをした方が、1度のトレードできちんと値幅が獲れます。

僕は今回、ちょっとこの後はチャートを落ち着いて見れくなりそうだったので、6の陰線の2つ前にある陽線のヒゲの辺りで利確して相場を抜けました。

ところで、6の部分をもう一度見てください。下降フラッグの下限ラインに価格がタッチした後に、上昇を始めますが、今度はミドルバンド(40SMA)がレジサポとなって頭を抑えられています。

で、この部分、よく見ると三尊のネックラインと同じ場所です。

そう、つまりSMAから見ても三尊から見ても、ロールリバーサル!

ということで、ライン際の近くでこれが起こった場合は、ラインをブレイクしやすいんですね。確かに見ての通り、その直後に綺麗にブレイクしています。

なので、ブレイク前にここで売りエントリーをするということも可能ですし、これを見てラインブレイク直後にエントリーしても、ダマシに引っ掛かる可能性は少なくなります。

で、ブレイク後の利確ポイントですが・・・

日足を見た時に、下から上昇してくる200SMAで止められていたのを覚えてますか?

日足200SMAは強力で一筋縄ではいかないので、僕だったら直近低値手前を利確目標にします。今チャート見ましたが、やはり直近低値に届かず反転上昇してますしね。

先にも述べましたが、余程のスキャルでもない限り、ポジション保有後は、トリガー画面を注視するのは止めて、セットアップ画面で俯瞰して見ます。

その方が、小さな値動きに振り回されてチキン利食いをしてしまうのを防ぎやすくなります。セットアップに固定した時間軸の波が、自分の乗りたい波になるわけですから、その中にあるもっと小さな小さな波に振り回される必要はないんですよ。

 

さて、ここまで、僕の考えたチャートの表示の仕方とその使い方をお話してきました。今回はこの辺でお開きとしましょうか。

ただ、注意してもらいたいのは、いくら表示の仕方を変え、トレードの手順を整え、トリガー画面を小さくしてみたとしても、1分足をガン見し続けることは可能です。

トレード履歴が浅く悪い癖がつき切ってない人は、割と改善しやすいと思いますが、下手にトレード履歴が長くなると、長く身についてしまった悪い習慣から抜け出すのは、一苦労も二苦労もあります。

僕がその悪い例ですから。(* ̄∇ ̄*)ゞ テヘッ♪

なので、手順を意識しつつ、小さな足ばかりをガン見しない様、トレードを仕事として捉え、作業工程を遵守できる様に常に心掛けながら、トレードに励んでください。

それじゃあ、また。

チャート・デザインの実際(1)

検証すればつまづく

僕は常日頃、

「練習と検証をしましょう」

と言ってますが、どんなに言ってもやらない人はいるんですね。

答えを自分で探さずに、他人から運んできてもらおうとする人です。

いや、自分では探しているつもりなんですよ。本やネットの記事なんかで「探す」という行為はしてますから。

でも、それって根本的に間違ってます。

繰り返し言いますが、本やネットで情報を知っただけで、スポーツが上手くなる人はいませんし、工芸品を上手く作ることが出来るようになる人もいません。

当たり前のことです。

自分で練習や検証、そして実践を積み重ねることでしか、上手くはならないんですよ。

どんなに一生懸命になって本やネットで情報を探ろうとも、そこには手引きやガイド、お手本しか書いてありません。

これ、先の「チャート・デザイン」シリーズで幾度となく使った画像です。覚えてますよね。

で、僕の解説を読んで納得して、上図を見て「なるほど」と思ったとしても、それは単に「知っただけ」でしかありません。

僕の記事を読んで、本当に検証と練習を繰り返した人なら、きっとこう思うはずですよ。

「BOZのブログに書いてあること、色々やってみたけど、思ってた以上に上手くいかない」

ってね。

そして、それが正解です。

分かりやすい相場

解説書に書いてあることは、基本的にお手本の様な局面ばかりですし、それは僕のブログの記事も例外ではありません。

説明しやすい様に、理解してもらいやすい様に、「分かりやすい」局面を用いて、解説しています。

しかし、実際の相場が作り出す値動きは、千差万別な顔つきをしています。基本を知っていたところで、それだけで対応できるとは限りません。

ちょっと見てみましょうか。以下は、以前Twitterに僕が載せた画像に一部手を加えたものです。

Aのポイントは、「チャート・デザインのすすめ」シリーズの第5話までの内容を、きちんと使えるレベルで自分のモノにしていたら、比較的

「分かりやすい相場」

だったはずです。

ガイドラインは、シンプルに下降トレンドを示していますから、素直に戻り売りを狙う局面ですよね。

では、「チャート・デザイン」シリーズで用いたディテールを表示して、このAの局面をアップしてみると

到達ポイントを探るテクニカルだけでエントリーするなら、上図青丸のaかbでエントリーですよね。

保守的にトレードしたとしても、赤丸cもしくはdのポイントでエントリーです。

つか、覚えてますか?

この局面って、実はシリーズ第5話でお話した僕のトレード例とほぼ同じです。この時もやはり僕は、5分足を見ながらaのポイントでエントリーしてます。

で、この様に解説通りの典型的な局面というのは、検証と練習をある程度重ねてしまえば、難易度はそれほど高い場面ではないはずです。

いわゆる「分かりやすい」局面ですから。

この様な分かりやすい局面を「難しい・・・」と思ってしまう人は、単純に検証と練習を積み重ねることで得た経験値が、乏しいだけなんじゃないですかね。

頭で完全に理解してから、検証や練習に臨もうとしているとか。

でも、その姿勢ってどうなんでしょうかね?

例えば、バスケットボール部に入部した人が、練習に参加もせず、まずは教科書を机の上で読み続け、ルールや基本的動作、またその他のテクニックを頭で完全に理解し、その数か月後に初めてボールを触る・・・

とかってしますか?

しませんよね?つか、それって異常です。

スポーツにしろ趣味にしろ仕事にしろ、普通は実際にやりながら覚えるものですから。

だから必要なのは、

考えてから走るんじゃなくて、走りながら考える

ってことなんですよ。

で、走りながら考えた結果、比較的直ぐに自分のモノにできる局面が

「分かりやすい相場」

と言えるのかもしれません。

難しい相場

じゃあ、今度は下図のBを見てください。

ここはガイドラインで考えると

「分からなくなってきたなぁ・・・」

という場面ですよね。

75SMAは下を向いていますが、価格はその上に乗っかってきています。しかし、完全に上抜けたわけでもないし・・・

いくらレジサポの直下で頭を抑えられている感を醸し出しているとはいえ、ガイドラインからは外れています。

ということで、一旦セットアップは解除、その後の振る舞いを待ってから判断しなくちゃいけない局面です。

ただ、その後の展開を待っていても、一体どの段階で「分かる局面」になったのか、「分からない局面」になったかを判断するのは、実際には、僕がブログで解説していた範囲だけでは、難しいんですよ。

教科書などでは、一律に説明しきれない箇所です。

つまり、こういった局面は、「分かりづらい相場」ということです。

で、分かりづらい局面というのは、どうしても自分で検証を繰り返して、より具体的なガイドラインを自分自身で設定しないと、トレードは困難になります。

ちょっと見づらいと思うので、アップして見てもらいたいんですが、

この図の時点ではロウソク足は75SMAの上で終わっていますから、この段階ではまだ

「分からない」

と判断するしかありません。

では、次の展開を見てみましょう。

ロウソク足は陰線となり、75SMAの下で終わっています。しかも、この陰線はここ数時間の中では最も大きく強いものすし、75SMAも下をシッカリと向いたままです。

じゃあ、これはガイドラインとして「下降トレンド」と判断する場面なんでしょうか?

その答えは、アナタしか知りません。

検証した結果、アナタが「下降トレンドと判断してOK」とガイドラインで設定しているのであれば、それが正しい判断ですし、

検証した結果、アナタが設定したガイドラインには及ばないため、「まだ下降トレンド再開とは判断してはダメ」と判断するなら、それはそれで正しいんですよ。

で、結果だけ先に見せてしまえば、

レジサポを上抜けて上昇してしまってますから、「下降トレンドが再開した」と判断してはダメな局面だったことが分かります。

 

しかし、本当にそうでしょうか?

 

結果だけを何となく見てれば、そんな風に判断してしまいがちです。

でも僕は、先ほどの

この陰線で75SMAを下回った時点で「下降トレンド再開」と判断してもOKとするガイドラインもアリだと思うんですよね。

例えば、この時点で「下降トレンド再開」と判断したら、その時の方針は

「戻り売り」

でしたよね。

しかし、このBで陰線を付けた時点で即エントリーするというディテールではなく、この時点から「戻り売り」を狙うと決めていたら、どうです?

直ぐにはエントリーせずに、もちろんこの後に「戻る」場面を狙い待ちするわけです。

じゃあ、次の展開を見てみましょうか。

戻り売りの局面を狙っていたら、結果として再び価格は75SMAの上に戻ってしまうわけで、戻り売りをする前に

「また、分からない場面に突入しちゃった」

ってなるわけですよ。

ですから、このガイドラインを適用しても、実際は売らずに済むんですね。つまり、この様に間違ってはいなかったってこと。

で、その後の展開も

再び陰線が75SMAを下抜きますが、戻り売りの場面を狙っていても、結局は75SMAの上に価格が戻ってしまうので、売ってしまうという失敗は起こらないわけですよね。

で、僕は今、この局面だけを採り上げて解説してますが、通常、千差万別の顔を持つ相場の全ての局面を、誰かが1つ1つ説明してくれるなんて、あり得ないですよね。

こういった部分は、各自が検証して、自分なりのガイドラインを具体的に作らなくちゃいけないんですよ。

そうでなければ、僕らは様々な局面において実質的な対応は出来ないんです。

「知ってるだけじゃ、出来ない」

と僕はこのブログで何度も言ってますが、こういった分かりづらい局面は、まさにその典型例なんです。

もちろん、検証の結果、自分のロジックが完成していれば、ここで売る人もいるかもしれませんよ。

例えば、環境認識として上図をガイドラインにして「売り局面」と判断した場合、スキャルピングとして5分足で戻り売りを狙うのであれば・・・

上図5分足の赤い矢印が、1時間足で陰線をつけて75SMAを下抜けた波動です。

これを見て、青い矢印の波を獲りに行くのは、その人のスキルによっては可能な局面です。

いずれにせよ、自分が検証して確率的に作り上げたロジックであり、練習によってそれが実行可能なスキルとして持ち合わせているのであれば、

誰がどう言おうが、それは各自の自由ですし、それが正しいトレードなんです。

 

自由にやったら良いさ

 

僕が常にそういうのは、そういった意味も大きいからなんですよ。

検証した結果、そこに優位性があると判断したロジックをアナタが確立しているのであれば、仮にその局面で負けたからといっても、それは「正しい負け方」ということになります。

正しい負け方

ここでちょっと、僕が先週、損切りした時のお話をします。

これ、ポンド円の1時間足です。

赤い四角の部分で、この時の僕は何度か買いを仕掛けました。見ての通り、上昇する75SMAから反発している局面ですね。

(実際のこの時の僕は、違うロジックでトレードしていたので、このMAは表示していませんでした。しかし、結果としてチャート・デザインシリーズで紹介したガイドライン通りの展開になっていましたので紹介しています)

この局面、もう少し見やすくなるように、15分足に切り替えてみます。

上図の緑色MAは1時間足75SMAの近似値ですが、MAで何度となく跳ね返されているのが分かると思います。

で、この局面で僕は、上図水平線を抜けて上昇すると踏んで、買ったんですね。

しかし、見ての通り、何度も上値を試しますが、水平線に阻まれて上昇ききれませんでした。

なので僕は、下で買っては上がりきれないと逃げるを繰り返すトレードをしていたんですね。

で、最後はもう寝る時間だったので、そのまま放置。起きたら損切りになっていた、という展開です。

で、結果として最後のトレードは負けで終わったわけです。

しかし、この損切りした場面って、残念がって後悔する場面でしょうか?

「あー、早めにエグジットしておけば良かった」とか
「エントリーしなきゃよかった!」とか

そんな風に嘆く場面だったのでしょうか?

ここで多くの人が結構勘違いします。

トレードとは、確率のもとで行われます。だから、勝率7割であっても、トータルで3割は必ず負けるんですよ。

逆に言えば、その3割の負けを許容することで、トータルで勝とうとするのがトレードです。

ですから、正しくトレードして、それで負けるのは、むしろそれは正しい負け方となります。

逆に、ロジックに反してトレードをして負けた場合、それは明らかに間違った負け方ですし、仮にそれで勝ったとしても、それは間違った勝ち方であり、過ちでしかありません。

そういった観点で言えば、正しく負けた場合は、それを悔やむ必要も嘆く必要もないわけです。

じゃあ、先のトレードで損切りしてしまった場面。これは、正しい負け方だったのでしょうか?

さて、恒例のシンキング・タイ~ム!!

 

 

・・・

 

・・・

 

・・・

 

考えました?

では、正解の発表です!

その答えは!

 

そんなん、知らねーよ。
人それぞれだろ。

 

が、正解です!

これ、冗談でも何でもありません。

というか、僕が常日頃、「検証しろ」と言っている意味が、ここにもあるんですよ。

僕が「チャート・デザイン」シリーズで例に出したガイドライン「1時間足75SMA」で言えば、

MAが上昇していて価格がその上に位置している場合は、買い方針

ですから、買い判断は正しいことになります。

75SMAからの反発からの買いをディテールとして組み込んでいれば、それもまた買い判断は正しいことになります。

ですから、僕が前回までに例で挙げた範囲内での判断であれば、この局面での買いは正しい判断となり、

正しい負け方

ということになるわけです。

しかし、同じこの局面でも、きちんと各自が検証していたら、必ずしも皆が買い判断になるわけではありません。

もう一度、チャート図を見てみましょうか。

赤い四角で囲った直前に、青丸の部分で、上昇する75SMAを一旦下抜けるも願い叶わず直ぐに反転上昇してしまっています。

この様に、一旦75SMAを試した後に直ぐにまた75SMAを試す場合を検証した人いますか?

このケースを検証して、この場合は「上昇に失敗することが多い」と判断していて、買い方針のガイドラインから外していたならば、

「ここで買ったのは間違いであり、反省しなければいけない負け方」

ということになります。

また、この青丸のポイントでの下値の試し方によっても、判断が変わっていたかもしれませんよね。

「上図の様にMA付近で小競り合いがあるならば、次は危ない。でも、小競り合いなく反転上昇していたなら、次にMAを試した時も買い方針は有効」

とかね。

他にも、色々考えられますよね。

例えば、上図では75SMAの直ぐ上にレジサポがあります。こういった場合はスルーすると検証して決めることもできます。

で、エントリーしてはいけないとしていたのに、トレードしてしまえば、それは間違ったトレードです。勝っても負けてもそれは「ダメな勝ち方」「ダメな負け方」です。

しかし、「エントリーしてもOK。しかしレジサポで様子を見てエグジットを決める」としている人であれば、ここでのエントリーは正しいエントリーになります。

で、その結果負けた場合は、

「レジサポでの振る舞いを見てエグジット出来る実力が自分にはなかった。実力がつくまで、このケースは買わないことにしよう」

とか

「レジサポ付近で上手く立ち回れる様に練習しなくちゃ!」

など、次に自分が採るべき手段を、色々と前向きに検討出来ることになるわけです。

しかし、検証もせずに、記事の内容だけで納得して分かった気になり、先の局面で買って失敗した人は、この1回の負けで全てを判断しようとしてしまいます。

胸を張って負けても良い場面であっても、何が問題だったかも振り返らずに、ただクヨクヨして悔やんだりします。

それどころか

「この手法は間違ってる。信用できない」

ってなったりして、再び打ち出の小槌的な手法探しの旅に出ます。

まさに、負けるべくして負ける思考回路と行動性なんですよ。

 

さて、ここまでお話してきた様に、

相場には「分かりやすい相場」と「分かりづらい相場」があります。

で、「分かりやすい相場」とは、頭で比較的理解しやすい内容で、検証と練習することで、直ぐに身に着けることができる局面のことです。

しかし、多くの場合は「分かりやすい相場」ではなく、「分かりづらい相場」に直面します。

そして、そんな「分かりづらい相場」とは、ある程度検証を重ねないと、実践で用いることが難しい場面です。

また、きちんと検証して自信を持ってトレードできなければ、正しく負けても悔やんでしまい、むしろ今後正しくトレードすることを妨げてしまう局面です。

この点を踏まえながら、検証と練習に励んでもらえたらなぁ、と思いながら、今回はここまで。

それじゃあ、また。

チャート・デザインのすすめ(7)

前回に引き続き、今回もディテール作成のレシピ集をお送りします。

これまでのお話は、

ということで、忘れちゃったという人は確認してから、読み進めていってください。

それでは、始まり始まり~!

ディテールを設定しよう(3)

レシピその5(騙し絵を見抜く)

前回、1時間足と5分足の見え方が大きく異なるというお話をしました。そのせいで、買い時を売り時と勘違いしてしまうこともあるわけです。

で、そんな乖離を埋めるために、前回は5分足のデザインを変えてみるという作業をしましたよね。覚えてますか?

1時間足の流れの目線を5分足に固定させるという工夫をしてみたんですよね。

しかし、だからといって、

「じゃあ、5分足も15分足も、40SMAや75SMAの情報を・・・」

なんて考えてしまうと、際限なくインジケーターが増えていってしまいます。

そうなったら、元の木阿弥。

なので、今持っている情報を活用することで工夫します。どうするのかというと、

MA同士の関係性を把握することで、下位足を見たまま上位足の様子を想像できる様にしてしまう

という感じでしょうか。

ちょっと何言ってるか分からないと思うんで、実際にやってみましょうか。

これ、200SMAを加えてデザインを手直しする前のチャート図です。売り目線になってしまいがちな見え方ですね。

しかし、この様な状態になる時の1時間足って、どの様な状況だったでしょうか?

そう、1時間足10SMAまで価格が落ちてきた時です。以下がその1時間足。

要するに、1時間足が10SMA辺りにある時って実は、

5分足だと、75SMA付近にいる時(上図青い四角部分)なんですよ。

ということはですよ・・・

1時間足で上昇トレンド中でも、価格が10SMAを割り込んでくると、5分足では75SMAを割り込んでくるので、価格は下降し出した様に見え始めてくるんですね。

上図5分足チャートは、トレンドラインを割り込んだだけでなく、3本のMAはデットクロスして、パーフェクトオーダーが完成しています。ここから売りを仕掛けたくなる様な局面です。

しかし、先のMAの関係性を知っていれば、1時間足が上昇トレンド中なら、価格はまだ1時間足10SMAを下抜けた程度だということが、想像できると思います。

1時間足で確認してみましょうか。

上図を見ると、先ほどの5分足で見た局面は、1時間足では10SMAは下抜けたものの、20SMAまでは届かずに押し目を付けて反転上昇する直前の局面だったことが分かります。

この様に予め、

価格が5分足75SMA付近 ≒ 価格は1時間足10SMA付近

という関係性を知っていれば、

「価格が5分足で75SMAを割り込んできて売り時に見えてきた」

という状況は、わざわざ1時間足を見なくとも

「ということは、1時間足だと10SMAを割り込んで押し目を付けてきた辺りなのかな?」

と想定しながら、5分足チャートを見ることが可能になるんですよ。

まるで視点を変えることで、同じ絵でも違う人の顔に見える騙し絵を見抜くかの様に、ね。

ちなみにですが、15分足の場合も同じようなことが出来ます。

端的に言ってしまうと、1時間足が上昇トレンドにある場合、

  • 価格が15分足40SMA付近にあるなら、1時間足では10SMA付近
  • 価格が15分足75SMA付近にあるなら、1時間足では20SMA付近
  • よって価格が15分足75SMAを越えて下降し出しても、1時間足では40SMA付近にいることが多い

という傾向が見えてきます。便利ですねぇ。

ただ、注意してもらいたいのは、これらはあくまで「傾向」でしかありません。

僕が他の記事でお話している

「日足5SMA、4時間足20SMA、1時間足75SMA」

というのは、かなり近似値で、

「1時間足20SMA、5分足200SMA」

は、それよりもやや近似値から離れるのですが、

このレシピその5でお話している事例は、それらよりも傾向が低いものです。

相場つきによって表情は変わり、例えば1時間足において各移動平均線がかなり接近してきているポイントでは、5分足ではどうとでも受け取れる様に見えたりします。

なので、あくまで1つの基準として見る様にしてください。

もし、もっと整合性を図りたいのであれば、各自で検証して、近似となる数値を探し出して利用してください。

ただ、それを突き詰めると、各時間軸で違うパラーメーターのMAを用いることになったりして、むしろ混乱する可能性もありますが。

いずれにしろ、各自が各自のスタンスできちんと検証することでしか、その感覚(コツ)は掴めません。

レシピその6(自分のセンスと視力の限界を知る)

こういった話をしながら、下の様な図を見せると、

「1時間足では押し目でも、5分足では下降トレンドなんだから、5分足レベルで考えて売って利益を得た方が良いじゃん」

って考える人は、結構いると思います。

確かにこの図を見ると、5分足では赤い四角で囲ったポイントから下降トレンドを形成しています。ここで売っていたら、結構な利益になっていたはずです。

でも、それって既に出来上がったチャートを見て、既に下降トレンドを形成しているのを後付けで見てるから、そう考えるわけですよね?

じゃあ、リアルタイムで先が見えない状況の中だったら?

そのポイントから売って、きちんと利益が出るくらいに下降トレンドを形成するって、どう判別するんですか?

そういったスケベ心でチャートをいつも見ているから、先ほどのレシピ5で挙げた5分足チャートの様に、

こういった場面で売りを仕掛け、売った直後に

売ったポイントが底となって、爆上げしたりするんですよ。

まさに、負けるべくして負けてるわけです。

僕は何度も言ってます。

全ての波を獲ろうとするのは、単なる欲でしかなく、それがやりたいなら、きちんとした場面できちんと勝てる様になってから考えればよい、と。

1時間足上昇トレンド中の下降する1波(押し目)を獲ろうとするのは、

  • きちんと上昇波を獲れる様になり
  • その後、その押し目が反転するポイントを高確率で想定できる様になり
  • さらには素早い展開に対応できる臨機応変さと技術を持ち合わせる様になり

その時になって、初めてチャレンジすれば良いんです。

だから、本気で勝ちに行きたい人は、前回の記事で解説したこと、もう1度心に刻んでくださいね。

「順張りからの順張り」

そこが、アナタの主戦場です。

レシピその6(200SMA)

200SMAは、それだけでチャート・ポイントとなる不思議な移動平均線です。

細かいことは、僕の200SMAの記事に譲りますが、この移動平均線を1本引いておくだけで、何かと便利です。

例えば、前回の記事のレシピ4の解説で用いた1時間足の深い押し目のポイント。

この部分を15分足で見ると・・・

黒と赤い水平線がチャートポイントとなって、反転上昇をしているのが分かると思います。

じゃあ、この15分足チャートに200SMAを引いてみますね。すると、

赤い水平線と200SMAが合致したポイントで、価格は反転しているわけです。

ついでなんで、この15分足を200SMAだけ残して、俯瞰して見てみましょうか。すると、

まぁ、相場つきによって価格の流れは一様ではないのですが、上図の周期の流れの中では、200SMAがキー・ポイントとなっているのが、分かると思います。

200SMAは、前回お話した5分足における1時間足20SMAの代用MAとなるだけではなく、各時間軸のチャートポイントを提示してくれることが多く、非常に便利なツールなんですね。

値動き主体のトレーダーでも、この200SMAだけは引いておくという人もいるくらいです。

200SMAを1本加えておく、というのもディテールの作成の上で、大きな1つのアイデアになります。

レシピその7(圧力を表現する)

同じ移動平均線を見て、同じところで押しや戻しを付けているのを見ても、そこでエントリー出来る人と出来ない人がいます。

例えば、上図下降トレンド中の戻しを拾おうと考える局面(赤丸部分)を見ても、

「お!チャンス!」

と思う人もいれば、

「いや、まだまだ上昇するかも・・・」

と思ってしまう人もいるでしょう。

これまで、色んなお話をしてみましたが、それでもやっぱり躊躇してしまう人って、いるんじゃないかなぁ・・・?

で、このレシピ7では、そんな人に向けて、更にデザインを強化してみよう、ってお話。

 

移動平均線って、各期間の終値の平均値を繋いだものでした。大雑把な言い方をすれば、売買結果の平均値ですね。

ということは、移動平均線は「売り方と買い方の勢力の境界線」という見方も出来るわけです。

で、この境界線の傾きは、買い方と売り方の勢力の強弱を表していることになります。

  • 移動平均線(境界線)が上を向いている時は、買い勢力が優勢で買い圧力を増している
  • 移動平均線が下を向いている時は、売り勢力が優勢で売り圧力を増している
  • 移動平均線が横を向いている時は、両勢力の力が拮抗している

図にしてみると、

こんな感じになると思うんですよ。

で、2つの移動平均線の間が広がったり縮んだりする様も、その圧力の増加と縮小を意味することになります。

短期買い圧力が一旦治まり、一時的に売り圧力が巻き返しを図っているところが「押している」局面ですね。

その後、売り勢力が返り討ちにあって再び買い圧力が増し始めると、短期移動平均線は「U字」の形を描き、そこが「押し目」であることを表現してくれます。

で、そんな「圧力」を意識してチャートを見れるようになると、まだ躊躇してしまう人でも、見え方が変わってくるんじゃないかな、と思うんですよ。

それじゃあ、もう1度チャート図を挙げますので、そんな圧力を視覚的に感じながら、もう1度見てみて下さい。

見えますか?

う~ん・・・難しいかなぁ・・・

まぁ、見えなくもないことはないんですが、図で書いた様には単純に見えませんよねぇ。

ということで、こういった移動平均線による圧力を感じるためには、今以上にデザインしていく工夫が必要です。

ただ幸いなことに、こういった移動平均線の視覚性を意識してチャートをデザインしてくれるインジケーターは、いくつかあります。

例えば、GMMA。

長期的なEMAを期間順に並べる(上図、赤色のEMA群)ことで長期的動向を表すと同時に、短期的なEMAを期間順に並べる(青色のEMA群)ことで短期的動向をを表現するというインジケーターです。

赤色の長期EMA群がガイドラインを表し、青色の短期EMA群がディテールを表しているということになりますかね。

具体的なGMMAの使用方法は他に譲るとしますが、

長所は以下の点。

  • 長所1・・・売買の圧力の増減を、視覚的に容易に把握できる
  • 長所2・・・相場のトレンド局面も、視覚的に一目瞭然
  • 長所3・・・トレンドの転換局面は、自動的にトレードできない仕様になっているので、無駄なトレードを排除できる

短所は以下の点。

  • 短所1・・・EMAの数が多過ぎて、値動き自体が見づらい
  • 短所2・・・レンジ局面でトレードしたい人には、トレードがやりにくい
  • 短所3・・・メインチャートに他のテクニカルを用いにくい

これを用いるかどうかは、やっぱり各自の判断に委ねられます。

ただ、数多くのMAを用いなくとも、その両端にあるMA(最短期間のMAと最長期間のMA)を表示しておけば、その2つの線同士の広がりや狭まる様を見ることで、圧力の増減は十分確認できるはずです。

う~ん・・・

そう言えば、これさっきもやりましたね。ここから、もっと視覚的にハッキリ分かる様に工夫したかったんでした。

じゃあ、このMA同士の間隔を塗りつぶすとか色付けしちゃうとかは?

で、そんな視点から恐らく作られたのが、MAリボンというインジケーターです。これをGMMA的に表示すると、

こんな感じになりますね。(GMMAの最短EMAの期間は3ですが、ちょっと見づらくなるので上図では期間を5にしています)

また、僕がこの記事で例えている様なガイドラインとディテールの考え方を、このMAリボンを使ってデザインすると、次の様な感じになったりします。

まずは、ガイドラインの75SMAとディテール25EMAにMAリボンを用いた例。

続いては、ガイドラインに75SMA、ディテールを25EMAと40SMAにしてMAリボンを用いた例です。

この様に、MAリボンを使って移動平均線同士の間を色付けすることで、それがまるで「壁」の様に視覚的に圧力を感じることができますよね。

単に「線」だと心もとなく感じる人は、これを「帯」や「壁」「水圧」などに見立てることで、価格が押し戻されるイメージの手助けにすることもできるんですね。

もちろん、MA同士の間を色付けしなくとも、十分判断できる人は、それでOKです。

これは、チャートの見た目を自分の個性に合わせてデザインすることで、自分の視覚的な認知の仕方を、適切なトレードが出来る様に合わせていくための

「チャート・デザイン」

なんですから。各自が各自の個性を活かして、目的に合わせたデザインを心がけてみて下さい。

レシピその7(反転確認を強化する)

色々とディテールを考えてみましたが、

「移動平均線はトレンド系インジケーターだし、これで反転確認をしていくのは、どうも自信がない」

という人がいても、おかしくはありません。

で、そういう人は、オシレーターを加えてみるのも1つの手段です。

上図は、20SMAと40SMAのディテールに、オシレーターの1つであるRCIを加えたものです。

僕のRCIの解説では、3本RCIを解説しています。既に扱えるようになている人は、3本用いても構いませんが、情報は増やせば良いというわけでもないので、最初のうちは短期線1本で十分かと。

で、上達していって、もっとMAとRCIの関係性を考えながらトレードしたくなったら、1本ずつRCIを加えていけば良いだけですから。

ただまぁ、繰り返し言ってますが、更に上達していけば、今度は「引いていく」ことになりますけどね。

もちろん、RCIじゃなくとも、ストキャスティクスなど別のオシレーターを用いても構いません。自分が最も扱いやすいものを選べば良いと思います。

詳しくは、僕のオシレーターやRCIの記事を参考にしてください。

レシピその8(利確のディテール)

エントリーよりも、難しいのがエグジット(利確・損切り)です。

で、説明するのもエグジットの方が難しい(特に利確の方は)ですが、スルーするわけにもいかないので、チャート・デザインのディテール設定という視点に絞って、解説していきましょう。

利確の考え方

エントリーよりもエグジットの方が難しいという大きな原因は、精神的なプレッシャーによるものです。

人は含み損を膨らますより、含み益が減ってしまうのを嫌がる性質を持ってますから、冷静な判断が出来なかったりします。

また、仕事や家庭との兼ね合いなどにより、ポジションを持っていられる時間も人それぞれですし、

ポジションを持った後は、しばらく放置できる人もいれば、チャートで監視し続けないと不安な人もいるでしょう。

各自の性格や生活状況によっても、大きく左右されるのがエグジットなんです。

で、そんなエグジットには大きく分けて2つの考え方が想定できます。

  • いくつもの波を乗り越えながら、出来るだけ利を伸ばす
  • 大きな押しや戻しは避け、波1辺の出来るだけ先っぽで利確を目指す

前者は、一時的に含み益が減ったりしますし、下手をすれば大きな利益を吹っ飛ばしかねませんので、メンタルの負担は大きいですが、伸びた時の利益はバカになりません。

逆に後者は、精神的負担は少ないですが、利幅は限定的な、勝率重視の考え方です。

で、教科書的なことを言えば、出来るだけ利益を伸ばすことを考えた方が良いです。

が、僕としては、一概にそうとは思わないんですよねぇ。

相場つきとしてボラが大きくないと、伸ばそうとして逆に失敗することって珍しくないんですよ。

「もっと利を伸ばせたはずなのに!!」

と嘆いて、頑張ってみたら急にボラが大きくならずに、70pipsあった利益が逆に損切り。

それを何度も繰り返し、反省して早めに利食ったら、今度はどんどん価格は伸びていく・・・

ってことは珍しいことではないんですね。

むしろ、ボラティリティを予め考慮しながら利益の伸ばし方をその都度変更するなんてのは、結構な腕前にならないと、難しいんですよ。

ですから、各自が自分のメンタルや技術、また生活スタイル等を考慮しながら、どちらを選択するか?

というより、その両者の間のどの辺りを目指すか?

を考えながら、自分のスタイルを確立するべきだと、僕は思います。

ラインを用いる場合

利確のディテールを設定する際の考え方は、エントリーポイントを見つける時と、原則同じです。

  • 到達ポイントを探る
  • 反転するのかしないのかを探る

という2つの視点のうち、どちらか1つ、もしくは両方を用います。使うテクニカルも、既にお話したものと、ほぼ同様になります。

到達ポイントだけで利確する人は、出来るだけ狙った波の先っぽを捉えて終わらしたいという考え方です。

反転するかどうかを探る人は、これ以上伸びる様だったらまでポジは持ったまま、反転するなら利確するという考え方です。

また両者を合わせながら、出来るだけ長く、上下する波を乗りこなそうとする人もいるでしょう。

で、先ほども言いましたが、自分がどの様にして利確のディテールを設定するのかは自由です。今の自分に最も適した「最適解」を探していけば良いんだと思います。

ただ1時間足をメイン時間軸としているデイトレーダーは、あまり複数の波を渡り歩くほどの時間はないと思います。伸ばそうとすると、どうしてもスイングになりがちなんで。

ということで、数十分から10時間以内で利確することを想定しながら、具体例をお話しましょう。

上図、赤い丸で売りエントリーをしたとします。

下落すると想定した価格の到達ポイントを、上図では4時間足で認識できるレベルの水平線を使って想定してみました。現在価格から近い順で、ラインを引いていきます。

この中で、どれをエグジットの目標値にするかは、人それぞれですね。

最も保守的なのは、1の水平線でタッチしたら即利確するというものです。

あまりポジションを持っていられない、もしくは持っていたくない人は、ここで決済するのもアリです。

でもまぁ、これは1時間足チャートなので、1で利確したとしても40pips前後の利幅にはなるでしょう。

チャートを監視しながらエグジットを考えられる環境なら、1で反転するか抜けるかを見て、次は2で反転するか抜けるかを見る・・・を繰り返して、利益を伸ばすことも可能ですね。

また、他のテクニカル(フィボナッチなど)を用いて、根拠が複数あるポイントを目標値として、そこに指値を置いて待ち構えるという方法も考えられますね。

で、結果はこんな感じですね。

理想的なエグジットのタイミングは3か4でした。オシレーターも低値圏に到達していますしね。ただしポジション保有時間は8時間以上ですが。

なお、オシレーターを用いる場合は、後付けだと上手く効いてる気がしますが、実際に動いてるチャートで用いると判断が難しいので、慣れが必要です。(まぁ、テクニカル全てに言えるんですが)

ロウソク足を用いる場合

もう1つ、利確の仕方を紹介しましょうか。ロウソク足だけを見てやるやり方です。

これ、きちんとトレンドに乗ってないと上手く使えないんですが・・・

単純なルールは、

  • 売りで入った場合は、陰線が続くまでポジションを持つ
  • 買いで入った場合は、陽線が続くまでポジションを持つ

というものです。

ただ、実際に扱う場合は、ここに各自が若干のルールを加えます。

例えば、「売りで入った場合は、陰線が続くまでポジションを持つ」ということは、最後の足が陽線で終わった場合にエグジットするということです。

しかし、この陽線が前の足(陰線)のハラミ足等で終わった場合は、次の足の挙動を見ます。

で、例えば、

  1. 次の足が、陽線の高値を抜いた時点でエグジットする
  2. 次の足が、陰線で終わったならエグジットせずに次の足の挙動を見る

という2つのどちらかのルールで、利確します。

実際の例を用いながら、お話しますね。

エントリー1で売りを建てた場合、ロウソク足が陰線を描き続けるまでは利確しません。

で、aで陽線が出ました。しかし、手前の陰線よりも低値をつけてますし、実体だけで考えると、ハラミ足になります。

ということで、次の足の挙動を見ます。

先のルール1「次の足が、陽線の高値を抜いた時点でエグジットする」を用いるのであれば、bがaの高値を抜いた時点でエグジットします。

しかし、ルール2「次の足が、陰線で終わったならエグジットせずに次の足の挙動を見る」を用いている場合は、bは陰線で終わったので、更に次の足の挙動を見ることになります。

で、cは陽線ですが、完全にハラミ足です。そのまま次の足の挙動を見ます。

最終的に、dの陽線は手前の陰線と実体はほぼ同じであると同時に、完全に包み足です。なので、上昇力が強いと判断して、ここで利確します。

次にエントリー2を見てみましょう。

陰線が続いた後、eで陽線が出ますが、ハラミ足です。なので、そのまま様子を見ます。

ルール1を用いている場合は、fがeの高値を抜いた時点で利確します。

ルール2を用いている場合は、そのルールを適用し続けると、gまで持つことになりますね。手前の陰線を抜いて陽線を付けて終わったところで利確します。

この2つの例だけを見れば、いずれもルール2を用いた方が得の様に感じるでしょうが、1のルールで利確しなければ、その後大きく上昇を続けてしまい、利確どころか損切りになるケースも多々あります。

なので、どちらが正解ということはありません。

保守的に利確したい人はルール1を、伸ばせるときは伸ばしたい人はルール2を用いることになるでしょう。

もちろん、別のルールを作って見てもOKです。

移動平均線を用いる場合

また、移動平均線によって利食いするという方法もありますよね。

売りポジションの時は、特定のMAを上抜けてロウソク足が確定したら利確するとか。エグジット用のMAを2本用意して、そのクロスでエグジットするとか。

ただ移動平均線をエグジットのディテールとして用いる際には、注意が必要です。

確かにこのやり方は、トレンドが比較的緩やかだったり、トレンドが強くともしばらくは深い押しや戻しをつけない場合は、とても有効です。

上図を見ての通り、利幅を伸ばせるところまで伸ばせちゃいます。

しかし、トレンドの押しや戻しの上下が激しい場合は、結構振り回されます。

上図の様な押しや戻しが激しい時は、下手に移動平均線でエグジットを試みると、利を伸ばすどころか薄利撤退や損切りを繰り返す羽目になります。

この様に、相場つきによってパフォーマンスがかなり違ってきますので、注意してください。

もちろん、たった1つの正解はありませんし、エントリー以上に利確のためのエグジットには、たくさんの答えがあると思います。

それくらい、各トレーダーの事情に合わせた自分なりの答えが必要なんですね。

最初は、チキン利食いでもOKじゃないですか。徐々に対策を講じていけば良いんです。

「利食い千人力」

と、先人たちはそう言っています。

レシピその9(損切りのディテール)

今回のチャート・デザインは、トレンド中の順張りがガイドラインですから、損切りに関しては、明確です。

  • 上昇トレンドの際は、直近低値を抜いたら損切り
  • 下降トレンドの際は、直近高値を抜いたら損切り
  • 直近のレジサポを抜いたら損切り

というものです。

ただ、直近高値(低値)より手前にあるレジサポは、破られることが多々あります。

ですから、「直近高値(低値)を抜いたら」を損切りの基本としておいてください。

で、ここで考えるべき点が2点。

まず1点目は、「直近高値(低値)をどの程度(何pips)抜いたら、『抜けた』と判断すべきか?」という問題です。

で、その答えですが、

「ズバリ言って、10pipsです。10pips開けてSTOPを置いてください。」

 

って、僕が言うと思いますか?

言わないですよ。自由にやってください。

 

そういったことはやはり、自分で検証して、自分なりの答えを出すしかないんです。

抜けたと思ったら、それは単なるオーバーシュートで、価格は直ぐに引き戻されるかもしれません。

その際に、直近高値(低値)の直ぐそばに置いていれば切られる確率は高くなります。しかし、遠く離して置いていた場合、いざ損切りとなった時の損失幅は大きくなります。

何をどう考え、どのスタンスをとるかは、やっぱり各自が自分の検証と考えに基づいて決めるしかありません。

さて、注意すべき点の2つめですが、これは

「どこを直近高値(低値)とするべきか?」

という問題です。

上図のAで反転確認をとって、売りエントリーをした場合、直近高値はBでしょうか?それともCでしょうか?

答えは、Cです。

(その理由は割愛しますね。このシリーズで解説し出したらキリがないんで、各自が勉強しておいてください)

ただ、もう1つ考え方があるんですよ。

もう一度、チャートを良く見てください。

下降トレンド中の価格がAまで戻りをつけて、そこで反転下落すると考えて、売りエントリーしたんですよね?

ということは、思惑通りであれば、そのAが次の直近高値になるはずです。

ですから、Aを直近高値として、そのすぐ上にSTOPを置いちゃうという考え方もできるんですよ。

ただし、この考え方というのは、損切りするということに抵抗がない人なら採用してOKな考え方です。

「BやCにSTOP置いたら、損失幅が大き過ぎる。出来るだけ小さく抑えたい。損切りは厭わないし、切られてもまた戻り売りの場面が来たら入れば良いんだから」

と思える人限定のやり方ですかね。

で、結果どうなるかといえば、

Aでエントリーした売りポジションは、Zまで踏み上げられて損切りされ、損切り直後に反転下落するんですね。

まぁ、こういった風になっても

「全然OK。切られても直ぐに入り直せば良いだけだし。大きな額の損切りになるよりはマシ」

という考え方の人が採るべきSTOPの考え方なんですよ。

ちなみに、僕もこの考え方でSTOPを置くことが(ケースバイケースですが)結構あります。性格的に、僕はこっちの方があってるんで。

ただ、きちんとしたポイントでエントリーできない人は、これやると小さな損切りを連発して、塵も積もれば山となる方式で資金を溶かしていきますので、お勧めはしませんよ。

さらに追加で言わせてもらうと、仮に僕がこの図のAのポイントで売ったとしたら、実際にSTOPを置く場所は、

上図に引いたレジサポの上になります。これ、さっきSTOPを置く場所として挙げたもう1つのポイントの部分です。

ここに置いておくことで、一旦踏み上げられても、損切りされずに済む可能性が高まるわけです。

さて、エグジットのディテール設定についての考え方は、これくらいにしておきましょうか。

レシピその10(デザインの仕上げ)

各自ディテールの設定が定まったら、最終的に視覚的な仕上げをしていきます。

まぁ、単純に言ってしまえば、重要度や優先順位などを踏まえながら、認識しやすい様にテクニカルの色や太さを変えていくという作業です。

例えば、チャート・デザインでもっとも根幹をなすのは、ガイドラインでした。

しかし、ディテールに目ばかりが言ってしまいがちの人は、

ガイドラインに用いるテクニカルの表示を太くしてみたり、目立つ色にしてみることで、まずはそこに目が行く工夫をします。

また、重要度の順番に目立つ色を使い分けることを考えたりもします。

どの色が目立つかは、人によりますけどね。

更に、テクニカルを数種類用いる場合は、全体を眺めながら、整理整頓することを心がけます。複雑さは、意味を持つどころか混乱しか生まれませんから。

例えばこれ、RCIの解説記事の時にお話しましたが、

上図の様に移動平均線3本とRCI3本の計6本の線を、個別に考えてバラバラに並べて見ても、一体何のどこをどう見て良いか分からなくなります。

しかし、移動平均線とRCIの各線を同期をとり、同じ同期をとったもの同士を同じ色で表示してしまえば、

随分とスッキリします。同じ6本線が表示されていても、どれのどこをどう見て良いかが一目瞭然になります。

この様に、テクニカルの色や太さだけでなく、パラメーター等にも規則性を持たせることで、視覚情報を整えることも大切です。

ディテールの作成がある程度出来上がったら、もう一度、チャート全体を見渡してください。

そして、整合性を図ります。

統一できるものは統一し、順序立てることができるものは順序だてます。そして、要らないものは容赦なく削ぎ落していくんですよ。

そうやって、チャート・デザインは1つの作品として完成していきます。

レンジのデザインについて

レンジは実力に比例する

ご存知の通り、僕が言うところの「相場4大局面」は、世間一般的なレンジをレンジとして解釈はしていません。

  • 取引が可能だと判断できるレンジ=レンジ局面
  • 取引が可能かどうか判断できないレンジ=分からない局面

でしたね。

なので、用いたガイドラインから「レンジ」を判別できるなら、そちらもデザインを試みるべきです。

しかし今回は、初心者向けにガイドラインを設定したので、「レンジ」は自ずと省かれる形になってしまいました。

だってね、

後付けでチャートを解釈するだけなら、「これはレンジです」なんて、ちょっと勉強すれば誰だってできるんですよ。

しかし、リアルに相場が動きながら価格が形成されている中で、それがレンジであるといち早く認識するのは、実力に比例します。

初心者であればあるほど、皮肉なことに、

「あ、これはレンジだ」

と分かった頃が、大体レンジの最終局面だったりします。

しかし、実力が上がっていけば行くほど、そこがレンジであると認識できるタイミングは早くなっていきます。

トレンドとレンジは別物

もう言わずもがなでしょうが、トレンド局面をチャート・デザインしていくことと、レンジ局面をチャート・デザインしていくことは、全くの別物です。

それを構成するロジック自体が、全く違ってきますし、用いるテクニカルにだって、トレンドを捉えるのが得意なものと、レンジを捉えるのが得意なものがあります。

同じテクニカルでトレンドにもレンジにも対応できるものもありますが、その見方や考え方は、トレンドとレンジの時では違ってきます。

ですから、レンジにおけるディテールを設定していく際には、違うテクニカル、もしくは同じテクニカルであっても違う発想で、取り組む必要があります。

で、このレンジに対するチャート・デザインの解説は、今回のこのシリーズでお話するつもりはありません。

理由は、このシリーズでお話したロジックに焦点を当てて、検証と練習を重ねれば、順張りだけで十分勝てる様になると思っているからです。

まぁ、このシリーズで、レンジを書き出したら、それこそ膨大な量になり過ぎるというのが本音なんですが。

ということで、レンジ(トレンドの反転局面も含む)について、今後この「チャート・デザイン」シリーズでお話するかは、今のところ不明です。

レンジ7割のホントとウソ

巷ではよく、

「相場の中でレンジは7割(8割)」

と言います。

確かにその通りなんですが、だからと言って、

「レンジの局面が圧倒的に多いから、チャンス的にはレンジを先に極めた方が得だな。レンジからやりたい」

という素人感覚は、完全のNGです。

その世間でいうところのレンジの多くは、僕が言うところの「分からない局面」ですから。トレードが実質可能なレンジ局面をリアルタイムで判別するには、実力が伴わないといけないんですよね。

ですから、実力が伴わないうちは、むしろレンジはトレンドよりも少ないかもしれません。

また、レンジのエントリーポイントは、基本的にレンジ上限到達時とレンジ下限到達時なので、値幅のあるレンジは、そこに到達するまでに時間を要します。

しかし、トレンドは1度発生してしまえば、押しや戻しを形成する場面は、何度もあるわけです。

そういった面を考えると、エントリーチャンスとしての頻度は、実際のところ、レンジよりもトレンドの方に分があるかもしれませんよ。

(もちろん、トレーダーの技術によってエントリーチャンスは増えていくのは、言わずもがなです)

ですから僕としては、まずはトレンド攻略に絞ってチャート・デザインをしていくことをお勧めします。

トレンドで獲れる様になってから、レンジのことは考えれば良いんです。焦る必要はどこにもありません。

レンジを考え出すころになったら、僕のその他のレンジに関係する記事を参考にして、ガイドラインとディテールを作成してくださいね。

シリーズの終わりに

新型コロナウィルスによる自粛活動の中、僕は今までにないペースで、この「チャート・デザイン」シリーズを更新してきました。

しかしまぁ、このシリーズもとりあえずは、今回で終了です。

僕なりに分かりやすく書いたつもりですし、初心者に向けてこのレベルで書いている解説書は、有料無料を問わず、そうはないかな、という自負も僕なりにはあります。

もちろん、だからといって読んだだけでトレードが上達するわけじゃあ、ありませんけどね。

実際にやってみると、それこそ右往左往ばかりの日々になってしまうかもしれません。

でも、それで良いんですよ。

冒頭でも言いましたが、そうやってでしか自分の道は切り開けません。

誰かの頭で誰かに答えをもらおうという姿勢は、この勝負の世界においては

「負け犬根性」

でしかないんですよ。

もちろん、何から何までゼロから始めろ、という話はしていません。最初は、誰かのモノマネから始めても構いません。いや、むしろそっちの方が近道です。

ただし、きちんとその人のテクニカルの考え方を踏まえながら、きちんとチャートに向き合っていかなければ、どんなにマネしてみたところで、本質そのものからは遠ざかってしまうだけです。

僕らはモノマネがしたくてトレードをやっているわけじゃなく、お金を手にしたいからトレードをやっているわけです。

それなのに、誰かの表面的な部分のモノマネで終わってしまえば、それはモノマネですらなく、贋作でしかありません。

そのデザインでお金を稼ぐことは出来ず、ひょっとしたら、その贋作を売るというインチキ商売でお金を得ようとしてしまうかもしれません。

しかし、このブログをご覧の読者さんは、きっとそれは本望ではないはず。

でしたら、自分の道は自分で切り開いていってください。

各自が各自の個性を活かす形で、チャート・デザインをしていく。

そうやって道が開かれていくことを、僕は願ってやみません。

それじゃあ、また。