チャート・デザインのすすめ(5)

前回からディテールの解説に入ってますが、案の定長くなり過ぎて、考え方の説明だけで終わってしまった感があります。

ということで、今回はディテール作成に用いるテクニカルについてのポイントを具体例を挙げながら、お話していくことにします。

それでは、始まり始まり~!!

ディテールを設定しよう(1)

まずはポイントを再確認

今回設定するディテールですが、ガイドラインはここまでお話した流れを踏まえて、

1時間足チャートに日足5SMA分析

を初心者レベルの解釈で用いることを前提にお話を進めていくことにします。

すると、こんな感じでしたね。

で、分からない局面では、トレードはしない方針でしたので、ここにディテールを設定することはありません。

不確定要素(リスク)の大きい場面を対処できな場合は、容赦なく切り捨てるんでしたね。

ですから、ディテールを設定する際は、上図の「戻り売りゾーン」と「押し目買いゾーン」だけで考え、検証することになります。

で、ディテールを設定する際に必要な視点は

  • 押し戻しの到達点を探るためのテクニカル
  • 反転確認をするためのテクニカル

の2つでした。考えるべきポイントは、至ってシンプルです。

では、これからディテール作成に用いるテクニカルについて、もうちょっと具体的に解説していくとしましょう。まずは、到達ポイントを探るテクニカルから。

到達ポイントを探るテクニカルについて

到達点を探るテクニカルとは

押しや戻しがどの程度まで進行するのか、その到達ポイントを見当つけるためのテクニカルの主なものとして

  • ライン
  • フィボナッチ
  • 移動平均線

があると、前回お話しました。

ラインやフィボナッチは、チャートポイントを探るためのテクニカルです。

押しや戻しは、チャートポイントを少なくとも一旦は目指す(試す)という「相場の原理」みたいな考え方を利用して、到達ポイントを探ります。

また、移動平均線も、同様に到達ポイントを探るツールとして使えます。

え?そうなの?

と思う人も多いですが、確かにその通りなんです。

要は、「グランビルの法則」で考えるんですよ。全部説明するには、かなりの内容になりますので、要点だけ述べると、

「移動平均線から離れた価格は、やがて移動平均線に近づき、そして再び離れていく」

というものです。

これを今回のお話に準(なぞら)えると、

「トレンドを形成しながら移動平均線から離れた価格は、やがて調整局面(押しや戻し)によって移動平均線に近づき(到達ポイント)、そして再び離れて(反転して)いく」

ということになります。

ですから、移動平均線を用いた場合、価格の到達ポイントを探るためのテクニカルになり得るわけです。

また、これは至って不思議な現象ですが、代表的な期間の移動平均線に価格が到達する場合は、なぜかライン等で見当をつけたポイントと合致することが多いです。

これ、不思議なんですよねぇ。偶然の一致なんでしょうが、偶然にしては多い様な気がします。

いずれにせよ、これらのテクニカルを1つないし複数用いて、押しや戻しの到達点を探ることになります。

もちろん、1つよりも複数のテクニカルが重なったポイントは、より根拠が強くなりますよ。

ラインを用いた具体例

ちょうど前回のブログを書いている最中に、お手本の様な展開があったので、それを用いながら解説するとしますね。

これ、ドル円1時間足です。赤い矢印で示した通り、ガイドラインでは戻り売り狙いのゾーンに入ってます。

このゾーンに入ってから見る限り、少なくとも3回は戻り売りを狙えるポイントがあったのが、チャートを見ると分かると思います。

で、僕は昨日、鼻くそをほじりながら前回のブログ記事を一生懸命書きながら、上図赤い丸のポイントに価格が到達したところで、売りエントリーをしたんですね。

では、僕は何を根拠に、このポイントでエントリーしたでしょうか?

まぁ、ライン引きを練習している人にとっては簡単ですね。

ここにレジサポになり得るラインが引けるからです。

ただ、アップして良く見てもらえれば分かると思いますが、正確にはこのラインに到達はしていません。

まぁ、僕のブログをご覧の方は、

「ラインとは、価格がピタリとタッチしするとは限らないし、それを期待するためのモノでもない」

というのは、ご存知のはずです。

ラインとは、その周辺で売買の攻防が行われることを視覚的に表す方法でした。

ラインの上や下、あるいはラインをまたぎながら攻防が繰り返されるわけで、「ラインにピタリと止められて反転する」というのは、その攻防の1形態でしかないんですね。

ということで、次にこの戦いが繰り広げられるであろう域帯(ゾーン)を見当つけてみると、以下の様な感じになります。

中核となるラインの上下に、点線でラインを引いてみました。この上下の点線に囲まれたゾーンが主戦場になるんじゃないかと、見当をつけます。

で、このゾーンは結構強力です。

上図は4時間足ですが、先ほど引いた水平線は、4時間足もから引けるレベルであることがわかります。しかもこの水平線は、日足でも確認できるレベルです。

だから強力なんですよ、このチャートポイントは。

でね、ガイドラインによってこの局面は「下降トレンド」、つまり売り勢力が圧勝している場面だということを、僕らは把握しています。

ですから、仮に買い方が巻き戻しを図って上昇してきても、売り方はこの主戦場に圧倒的な主力部隊を待機させて待ち構えている可能性が高いわけです。

つまり、「返り討ち」ポイント。

これが、押し戻しの到達点になる可能性が高いわけです。

で、僕はこのライン付近に価格が近づいた時点で、5分足に切り替えて、その価格の振る舞いを観察します。

上図5分足チャートにおいて、最初に価格がこのチャートポイントに侵入した陽線のロウソク足を見てください。

一旦ゾーンに入り込みますが、ゾーンの外側に押し出されてこのロウソク足は終わっています。

で、このロウソク足が終値を付けた時は、1時間足のロウソク足も終値をつけたタイミングでした。

なので、次の足の振る舞いを見て判断します。隣の陰線ロウソク足ですね。

これを見ると分かる通り、価格はもう1度上値を試しますが、先ほどの高値にも届かずに再びゾーンの外側へと追いやられてしまいます。

で、僕はそれを見た時点で売りエントリーをしました。上図の赤い矢印の辺りですね。

通常は、ロウソク足が確定した時点で判断しますが、この場合はチャートポイントが強力であるのと、下降トレンドとしての方向感がシッカリしていた(売り勢力の強い)ので、それを待たずにエントリーしたわけです。

さて、何となくでしょうが、押しや戻しの到達点を探ることの大切さ、分かってもらえたでしょうか?

こういった到達ポイント探しは、常に意識する必要があります。

ライン引きを始めたばかりの人でも引ける様なラインを引いてみました。

これを見ても、戻り売りのポイントを、ラインは上手く捉えているのが分かると思います。

上図、赤い丸は、価格がラインに綺麗に到達した後に反転下落したポイントです。

もしそこが強力なチャートポイントであれば、ヒゲ先で入るのが、ある意味ライントレーダーの真骨頂とも言えます。ただし、強弱が見極められなきゃNGですけどね。

で、次に青い丸をご覧ください。これらは、ラインに到達せずに反転下落したポイントです。

しかしこの、「ラインに到達せずに反転下落した」という事実も大切です。

「売り圧力が強いので、ラインに到達できなかった」

と判断できるからです。(ラインでピタリと止まるとは限らないという考え方でしたよね)

ただし、その辺の細かい判断は、経験値や技術的に個人差がありますけどね。このブログの読者さんなら、言わずもがなでしょう。

ただ、上図の場合で言えば1点。Aのポイントはラインから離れすぎているため、実際にこれだけでエントリーするのは、経験上難しいかなぁー、と思いますけどね。

また、Bはラインではなくガイドラインとして用いている75SMAです。この75SMAはディテールとしても活用できるため、このポイントでエントリーを意識するのは十分可能ですね。

移動平均線を用いた具体例

次に、移動平均線を到達ポイントを探るテクニカルに用いる場合なんですが・・・

とりあえず長所と短所を挙げておきますね。

  • 長所・・・到達ポイントを探ると同時に反転確認もできる
  • 短所・・・ラインより、やや判断が遅れることがしばしば

まぁ、短所は短所とも言えないレベルです。

例えば、レジサポを探しても上手く探せずにラインを引けない時って、特に初心者ではあるんですよ。

でも、そんな時に移動平均線は、まるで正義の味方の様に颯爽と登場し、押しや戻しの到達点を示してくれることがあるんです。

なので、むしろ長所の方を評価した方が良いのかなぁ、というのが僕の印象です。

で、移動平均線を到達ポイントを探るテクニカルとして用いる場合ですが、ラインと同様に、「ピタリと止められるか」などとは考えなくても良いです。

緑色の丸のポイントは、教科書的にピタリと止められた箇所です。

まぁ、こういったのはパラメーターの調節によって作為的に表示できるので、むしろ「ピタリ」は偶然の一致と思っておいた方が良いくらいかも。

上図の青い丸のポイントの様に、一旦抜けた後に押し戻される方が、珍しくありません。

これ、ガイドラインの設定の時にもお話したと思いますが、一旦越えても直ぐに引き戻されたり、直ぐに引き戻されなくともライン際でくすぶってる状態であれば、

「止められて、弾かれた」

と判断します。トランポリンで跳ね返されるイメージで良いかと思います。

ただ、これもガイドラインの設定時にお話しましたが、キッチリ抜けた後に直ぐに戻らない場合(上図、赤い丸のポイント)は、注意が必要です。

一旦引き戻されても、再びMAを抜いてくる可能性も高くなります。

戻ってきた時に、MAの傾斜がきちんとついているかどうかも、大切なポイントになってきますから、注意して観察する必要があります。

では、先ほどライン引きで用いた時のチャートに、今度はディテールとして移動平均線を表示して見ましょうか。

とりあえず、そうですねぇ・・・僕が好んで使う20SMAを1本だけ表示してみますね。

上手く戻したポイントを捉えてくれていますね。

で、もちろんですが、移動平均線と共にラインを用いるなど、複数の根拠をもとにトレードした方が、エントリーには信頼が持てる様になります。

見ての通り、2つのテクニカルを用いて判断した方が、より強い根拠づけとなります。やや曖昧な部分でも、2つのテクニカルによってエントリーの根拠が強くなっているのが分かると思います。

さて、到達点を探るテクニカルの例は、これくらいにしておきましょう。

次に、反転を探るためのテクニカルの例を解説していきます。

反転を探るためのテクニカルについて

前回、反転を探るためのテクニカルとして

  • ロウソク足
  • オシレーター
  • 移動平均線

の3つを挙げてみました。

ちょっと、これらについて説明していきましょう。

ロウソク足について

ロウソク足で判断するというのは、例えばプライス・アクションだとか酒田五法だとかですね。

ありがちなのは「ピンバー(長ヒゲ)」ですかね。

またロウソク足レベルでダウ理論を用いることもあります。

ちょっと図が適当で申し訳ないんですが・・・

例えば、ロウソク足の高値と低値を結んで、それを波として見るんですね。で、この高値と低値を見ながら、ダウ理論を適用すると・・・

頂点となるロウソク足の次の足で、上昇トレンドが崩れたことになり、更にその次の足で下降トレンドが発生したことになります。(もちろん、ロウソク足レベルでの話ですよ)

また、この波を良く見ると三尊(トップ&ショルダー)であることも分かると思います。反転示唆のパターンですね。

こういった感じで、ロウソク足レベルで反転を確認することが可能です。

よく値動き主体のトレーダーが、

「インジは遅い。値動きが最速」

と言いますが、理由はこういった風にロウソク足単位で値動きを判断しているからです。インジは過去の値動きを計算して表示しますから、その意味では値動きが最速です。

ただし、これには注意が必要です。そこには真実と嘘が入り混じってますから。

これについては、後ほど軽く触れておくつもりです。

オシレーターについて

オシレーターは、主にレンジの高値や低値からの反転を捉えることに使われるテクニカルです。

しかし、トレンド中の押し戻しの反転を捉えることも、可能なんですね。

例えば、ストキャスティクスを使った場合は、こんな感じです。

見ての通り、移動平均線で頭を抑えられた後の反転下落を、ストキャスティクスは上手く捉えています。

もちろん、オシレーターは、レンジに強くトレンドに弱いのが特徴ですが、使い様によっては十分に役に立つテクニカルとなります。

詳しくは、「オシレーター概要」をご覧ください。

移動平均線について

移動平均線については、既にお話している通り、押し戻しの到達点を探ると同時に反転を判断するのにも用いることが可能な、お得感丸出しのテクニカルです。

到達ポイントを探る際に用いた画像は、これですね。

イメージとしては、移動平均線をトランポリンの様にして見ると、お話しましたよね。

ピタリと止められようが、一旦抜けようが、そこから押し戻された場合、

「移動平均線で、価格は反発した」

と見ます。

で、この反発を既に「反転した」と判断することもできます。

もちろん、これは移動平均線の傾きがシッカリしている場合に限るとか、各トレーダーによって判断は違ってきますが。

また、単に反発をしただけでは反転下落(反転上昇)とは見なさずに、そのまま反発した方向に価格が進行するのを確認してから、「反転した」と判断する人もいるでしょう。

例えばですねぇ・・・

ロウソク足単位でラインを意識するという方法もあります。

反発したロウソク足の低値や終値を次の足が抜いたら、反発から反転下落へと格上げして判断するとか、

反発したロウソク足の手前周辺のロウソク足群から抵抗帯を割り出し、そこを価格がブレイクしたら、反転下落したと判断するとか、

要は、ロウソク足1本ではなく、複数のロウソク足の値動きを見て反転を判断するという方法ですね。

こちらの方が、ロウソク足1本で判断するよりは、保守的ですが高確率となります。

また、より反転確認に信ぴょう性を持たせようとする場合に用いられるものに

2つの移動平均線のクロス

があります。ゴールデン・クロスとデット・クロスですね。

上図は、8SMAと13SMAを用いた例です。赤い丸で示したところが、クロスをしている箇所で、上手く機能していると思います。

ただ、クロスを用いると反転確認に信ぴょう性は増しますが、その分タイミングは遅くなります。

上図では、クロスしたポイントに赤い丸をつけてますが、その赤丸の価格でエントリーしているわけではありません。実際にエントリーする箇所は、そのクロスしたポイントにあるロウソク足です。

実際のエントリーは、価格が比較的進行した後になります。

なので、出来るだけ反応を早くするために、期間も出来るだけ短いものを用いたくなるんですが、2つの期間が短ければ短いほど、無駄なクロス(ダマシ)も増えていきます。

逆に、2つの移動平均線の期間が大きいと、押しや戻しを上手く拾えなかったりします。

まぁ、どの方法、どの期間を用いるかは、人それぞれの判断です。

ミスは多くとも判断が早い方を好む人もいれば、判断が遅くなっても確実性を望む人もいますから。むしろ、一挙両得を望むと毎回の取引がちぐはぐになって、パフォーマンスは低下します。

いずれにせよ、各自が検証と練習を重ねた結果、自分が最も適していると思う基準で、「反転確認」をディテールの設定に加えるべきですね。

この辺りに、トレーダーの「個性」が出てくるんじゃないかと。

反転確認のみの危うさ

押しや戻しを捉えるには、到達ポイントを探るテクニカルと反転確認を行なうテクニカルを併用することで、高い信ぴょう性を確保できます。

が、状況によっては、両方の条件が揃わなくとも、どちらか一方で判断する場合もあると思います。

ただ、僕の経験則から言わせてもらえば・・・

到達ポイントの視点のみでエントリーするよりも、反転確認の視点のみでエントリーすることの方が、失敗するケースが圧倒的に多いです。

例えば、先ほどから利用しているドル円チャートの5分足ですが、

この赤い矢印でのエントリーは、「反転」とまでは言い切れない段階でのエントリーです。

しかし、なぜここでエントリーが可能だったかと言えば、先ほど言った通り、チャートに引いたこの抵抗帯のゾーンが強力だからです。

戻しの到達ポイントとして、このゾーンは強力だと判断していたからですね。

しかし、到達ポイントを無視して、反転を探るためのテクニカルだけで戻り売りをしていたら、どうなっていたでしょうか?

下の図を見てください。

先ほどのドル円5分足で、戻しを形成している途中の場面です。

赤い丸のポイントで、ロウソク足はピンバーを作ってます。上ヒゲの長さは全体の長さの8割弱(78.6%)、おまけに陰線で終わっています。

俗説的テクニカル解説に従えば、「ここで売らなくちゃ!」レベルの反転示唆です。その後のロウソク足も下落に従っていますし。

しかし、ふたを開けてみれば・・・

教科書の様なダブル・ボトムからのロール・リバーサルで上昇しています。

つまり、このピンバーを戻り売りの根拠としてエントリーしてしまったら、見事に失敗。無傷で逃げるの難しい場面ですよねぇ。

まぁ、これはほんの一例でしかありませんが、

「ロウソク足1本で判断するテクニカルは、当てにならない」

というのが、実際のところです。

世間では、当たり前の様に「ピンバー!ピンバー!」って、横文字使って言ってますけど、僕からすると

え?マジで言ってんの?

レベルです。

もうちょっと正確に説明しましょうか。

ロウソク足1本~3本レベルで判断するテクニカルは、的確なチャートポイントで用いる場合はかなり有効ですが、単独ではちょっと怪しい

という代物です。

もちろん、大きな時間軸になるほど、信ぴょう性は増してきますが。

上図は5分足チャートですが、1時間足レベルであっても、チャートポイントではないところで出現するピンバーは、ダマシになるケースが数多く見受けられるんですよ。

試しに、1時間足チャートをつらつら~っと眺めてみて下さい。効かないピンバーは続々と出てきます。そして、反転をきちんと示唆したピンバーは、チャートポイントで出現していることがほとんどなんです。

つか、単独のピンバーよりも、チャートポイントで見せるたいして大きくもないヒゲの方が、むしろ信ぴょう性が高かったりします。

ただ、このことは何もロウソク足に限ったことじゃないんですよ。

反転確認に用いるテクニカルって、きちんとしたチャートポイントでは割と機能するんですが、そうでない場所ではダマシが結構多いんです。

なので、僕は反転確認のみを根拠にエントリーすることは、あまりお勧めしません。

  • チャートポイント付近で反転示唆をしているのか?
  • 複数のテクニカルが反転確認を示唆しているのか?
  • チャートパターンなどの複数のテクニカルの中で、その反転示唆を示すテクニカルはきちんと意味を持っているのか?

といった感じで、複合的に見ることで反転確認の信ぴょう性は増すということを、頭の片隅にでも置いておいてください。


余談ですが、先ほどのチャートをもう一度確認してみて下さい。

実はこのピンバーのヒゲ先、5分足レベルですが価格が一旦止められている形成があるの、分かります?破線で示してあるのが、それです。

もちろん、5分足レベルの抵抗線なので、チャートポイントとしてはとっても弱いわけですが、スキャルピングであれば、ヒゲ先で入って、ダブル・ボトムのネックライン付近で利確するといったことが可能なんですね。

また、ダブルボトムをブレイクした後のロールリバーサルから、下降トレンド中の戻しの1波を次のチャートポイントまで買いで獲ることも可能ですね。

でもまぁ、最初はこういった細かいことは考えなくても良いです。これは、トレードが上達してからチャレンジしてみたら?という余談だと思っておいてください。

まずは、きちんとした局面できちんとしたトレードが出来るようになることが先決です。


 

さて、ディテール作成に用いるテクニカルについてのポイントを、サラッと解説してみました。まぁサラッと言っても十分長すぎますが。

ということで、今回はここまで。

次回は・・・というか次回こそは、実際にテクニカルをチャートに当てはめてみながら、ディテールを仕上げていく例というかアイデアを紹介していこうと思います。お楽しみに。

それじゃあ、また。

 

チャート・デザインのすすめ(4)

これまでの3回に渡って、チャート・デザインの骨子であるガイドラインの作成とその利用例をお話しました。

で、今回こそはディテールのお話へと進めていきますね。

それでは、始まり始まり~!

ディテールとは

ガイドラインとディテール

一般的にディテールと言えば、「詳細」とか「細部」ということになります。

で、トレードにおけるチャート・デザインのディテールも、ガイドラインに対して「詳細」という意味合いを持ちます。デッサンの後に、細かい部分を作り込んでいく様なイメージですね。

でも、ちょっと分かりづらいかなぁ?

じゃあ、順を追って説明しますね。

まず、「トレードには、セットアップとトリガーがある」というのは、このブログの読者なら既にご存知ですよね。

で、その手順としては

  1. 環境認識等によって、トレードの前提条件となる状況を判断する(セットアップ)
  2. セットアップによって売買の方針が決まったら、エントリーのタイミングを計る(トリガー)

という順番を踏むことになります。

であれば、その目的と手順に沿ってテクニカルも適用していく必要があるわけですよね。

ということで僕は、

その目的と手順をハッキリとさせて、自分に必要なテクニカルを適用する様を「チャート・デザイン」とし、

  1. ガイドラインの設定・・・セットアップのためのテクニカルの適用
  2. ディテールの設定・・・トリガーのためのテクニカルの適用

という手順を踏みながら、チャートをデザインしていくことで、的確なトレードに臨むことが出来るんじゃないか?

という僕なりの方法論を、ここ数回に渡ってお話しているわけです。

なので、これからお話する「ディテール」というのは、トリガーを判断するためのテクニカルの適用の仕方だと思って、読み進めていってください。

例えば、ガイドラインによって今の相場状況を

「上昇トレンドであり、押し目買い方針」

と判断したならば、次にディテールによって、その押し目買いのタイミングを見つけようとする。

そんな風に考えてもらえたらな、と。

では、具体的にお話をしていきましょう。

ディテールの目的

もう一度基本に戻ってもらいたいんですが、ガイドラインによって4大局面を判別したら、とるべき方針は、以下の5つでした。

  1. 上昇トレンド中は押し目買い方針
  2. 下降トレンド中は戻り売り方針
  3. レンジ中はレンジ内取引(レンジ上限で売って、レンジ下限で買う)
  4. レンジを抜けたらブレイクアウト狙いで、抜けた方向でエントリー
  5. 分からない局面ではトレードはしない

で、1の上昇トレンド中の押し目買いとは、価格が一旦下落してから反転上昇したポイントを買うということですし、2の戻り売りはその逆ですね。

いずれも、反転したところをエントリーポイントとします。

じゃあ、3のレンジ内取引は?

レンジ上限まで到達した価格が反転下落したところを売り、レンジ下限に価格が到達したら反転上昇したところを買うわけですね。

つまり、1や2と同様に反転したところをエントリーポイントとします。

じゃあ、4のブレイクアウト狙いは?

これは、レンジを抜けたところでエントリーしますので、反転狙いじゃないですね。

しかし、レンジ・ブレイクはダマシが多いため、多くの場合はブレイクしたら直ぐにそれに乗っかるのではなく、ロール・リバーサールを待ってエントリーする方法が多くとられます。

で、ご覧の通り、ロール・リバーサルを用いるなら、やっぱりそれも反転狙いです。

要するに、エントリーポイントって、ほぼほぼ「反転するポイント」のことなんですよ。

ですから、トリガーを判断するためのディテール設定も、まさにそのまんま。

ディテール設定とは、反転ポイントを探るためのテクニカルを用いる

ということになるんです。

なんか、ほとんどの人がトレードを難しく考えてますけど、それって値動きの全てを捉えようと勝手に複雑に考えすぎてるだけなんですよ。

相場の4大局面を把握したら、後は

  • 買い方針なら買うための反転ポイント探し
  • 売り方針なら売るための反転ポイント探し
  • 分からないならトレードしない

という、実は反転ポイント探ししかすることはないんです。

 

はい!たった今、目が覚めた人、手を挙げて!

 

\(o ̄∇ ̄o)/ハーイ

 

至ってシンプルです。

 

4大局面を把握したら、後は反転ポイント探しするだけ。たった、これだけです。

これなら、トレードを勉強するポイントも明確だし、焦点を絞って検証も練習もできるし。

 

おっと、これがBOZ流!

( ̄∇+ ̄)vキラーン

 

何度も言ってますが、上昇トレンド中の押しの1波を獲ってみたりなど、縦横無尽に相場を渡り歩くことに憧れるのは構いませんが、そういったことは勝てる様になってから考えたら良いんですよ。

まずは、勝てる様になればいいんです。

全ての値動きを捉えることや天底を当てること。それに対して、トレードで勝つこと。これはイコールじゃないですから。

さて、僕のドヤ顔もこれくらいにして、次に進みましょうかね。

ディテール適用時の考え方

目的をハッキリとさせよう

ディテールに用いるテクニカルですが、これもガイドラインの時と同じで、

「何を使うかは自分次第」

ということになります。

ただ、「あの人が使ってるから」とか、闇雲に何でも使えば良いってわけじゃないです。

きちんと目的意識を持って取り組まないと。

じゃあ、その「目的」って何?って話ですが、ティテールの目的は先ほどお話していますよね。

反転ポイントを探る目的で、テクニカルを用いる

でしたね。

じゃあ、反転ポイントを探るって、具体的には?

  1. どのくらいまで押し戻しは進行するのか?
  2. 反転したと判断するには?

の2つになります。

下降トレンドの際、戻しはじめた価格は、一体どこまで上昇するんだろうか?どこで上げ止まるんだろうか?

という視点と、

下降トレンドで戻していた価格が、再度反転下落したと判断するにはどうしたら良いんだろうか?

という2つの視点ですね。

で、この2つの視点それぞれを意識してテクニカルを用います。

1の様に、到達点を探る目的に用いるテクニカルで例を挙げるとすると

  • ライン
  • フィボナッチ各種
  • 移動平均線(グランビルの法則)

2の様に、反転確認を探る目的に用いるテクニカルで例を挙げるとすると

  • ロウソク足(プライス・アクション等)
  • オシレーター
  • 移動平均線(ゴールデン・クロス等)

になります。

移動平均線は1と2の両方を考えるうえでも使えるテクニカルの代表格ですね。

まぁ、どのテクニカルを用いるにしろ、きちんと目的意識を持って的確なツールを選択する必要があるわけです。

ちなみにですが・・・

1の視点だけでエントリーする人もいます。

見当をつけていたポイントまで押し戻しの価格が到達したら、そこで即エントリーするという方法です。

そして、エントリー・ポイントから少しでも逆行したら、即損切りします。(スキャの場合は、少しでも利が乗ったら建値にSTOPを置いて、損失ゼロで逃げる準備をしたりもします)

この場合、上手くいったら利幅は大きくなりますし、損切り幅は最小限に抑えられます。ただし、想像できる通り、勝率は低くなります(スキャは別ですが)。

また、2の視点だけでエントリーする人もいます。

どこまで押し戻しが進行するのかの見当は付けずに、単に何らかのテクニカル(なんちゃってテクニカルも含む)を根拠に「反転した」と判断してエントリーする方法です。

1に比べ損切り幅は大きくなりますが、「反転した」という安心感から、エントリーは比較的しやすい傾向にあると思います。

しかし、僕の見解からすると、きちんとしたチャートポイント以外のところでテクニカルが反転を示唆したとしても、機能しないことが結構多いです。いわゆる、「ダマシ」を食らいやすいんですね。

なので、勝率を上げていくためには、

押しや戻しがどこまで進むのかを見当をつけ、そのポイントできちんと反転したかどうか?を判断してから、エントリーするという、1と2の視点を併用した方法が望まれます。

まぁ、1や2のみの視点でエントリーするか、1と2の両方の視点でエントリーするかは、トレーダーの性格や方針次第ですけどね。

ちなみに僕の場合で言うと、方向感がシッカリしている時に強いチャートポイントまで到達した場合は、そのまま1のみの視点でエントリーすることが結構ありますが、基本は1と2の視点を併用することを心がけています。

テクニカルの特徴を理解しよう

先ほど、目的別にテクニカルをいくつか挙げてみましたが・・・

そもそもテクニカルを用いる際には、それぞれの目的に沿って、それに適したテクニカルを選択しなくちゃいけません。

「それって効くの?もっと効くやつない?」

といった乏しい発想は、薬物中毒者の発言と全く変わりがありません。

ですから、目的に沿ったテクニカルを選択するには、そのテクニカルの特徴や本質を踏まえておかなければいけません。

しかし、残念なことに、テクニカルの教科書を開いてみても、通り一辺倒なことしか書いてないか、裏技や必殺技じみたことしか書いてないものしかないというのが実情です。

だから、自分でチャートにテクニカルを表示し、問題意識を持ちながら手と頭を動かし続けてでしか、1つのテクニカルの本質を掴むことは出来ません。

まぁ、仮に書いてあったとしても、細かいニュアンスとか感覚的な部分って多いですから、やっぱりそれを読んで知ったところで、実際に使い込まなければ、実践で用いるには程遠いと思った方が良いです。

繰り返し言ってますが、

スポーツや工芸、ゲームや仕事・・・この世のあらゆるモノゴトは、知ったからと言って出来るわけじゃありません。経験の中でしか掴めないことの方が多いんですよ。

そしてそれは、トレードにおいても例外ではありません。

完全な答えを求めない

ガイドラインの設定時でもそうなんですが、特にディテールを設定する際に気を付けなくちゃいけないことがあります。それは

正解探し(聖杯探し)

です。

トレードというのは、確率で考えます。簡単に言ってしまえば、「絶対はない」ということです。

まぁ、頭じゃ分かってるんでしょうけどねぇ・・・

実際にディテールを設定しようとすると、どうしても「たった1つの答え」を探そうとしてしまいがちになるんですよ。

子供の頃からずっと、学校で出された問題には、必ず「答え」がありました。そして、そこにある正解はいつも「1つ」であり、「それ以外は間違い」という学習を繰り返すことで、僕らは成長しています。

無意識に「完全なる正解」を探しがちになるのは、僕らの性質とも言って良いのかもしれません。

ですから、そういった自分の持っている性質には注意しながら、ディテールの設定を行なう必要があります。

心がけとしては、

「効いてる?効いてるな。こっちは?おお!こっちも効いてる!」

といった感じで、闇雲に効いてるポイントばかり探すのではなく、

「このポイントは効いてるけど、こっちは効いてない。この違いは何だろう?」

と、効いてるポイントと効いてないポイントを比較して、その背景にどんな違いがあるのだろうか?という問題意識を持ちながら考えることです。

そうすることによって、「たった1つの正解探し」から解放されてモノゴトを考えられる可能性は高まると思いますよ。

完璧を求める姿勢は大切ですが、それよりはまず、自分が勝てる様になることが先です。聖杯探しは、それが出来るようになってから、少しずつ求めていけば良いんじゃないでしょうかね。

( ̄ー ̄)ニヤリ

切り捨てる勇気

完璧な答えなどなく、トレードは確率で考えるのであれば、最も大切なことは

分からないところでは、トレードはしない

ということになります。

トレードが確率であれば、自分が「分かる」という局面でも勝率は100%にはなりません。

じゃあ、「分からない」局面は?

もちろん、「分からないん」ですから、この局面での確率はガッツリと低くなります。つまり、やればやるほど負けが込むんですよ。

だったら、分からないところは、思い切って切り捨てる。

そして、「分かる」局面に絞って、徹底的に検証・練習を重ねることで、勝つ確率を高めていくしかないわけです。

経営戦略で言うところの「選択と集中」ってやつですね。

僕らの時間は有限です。限られた時間の中で、何に集中すべきか?

「目先の値動きに釣られて飛び乗ったら、やられちゃったー!」

なんて感じで、欲望に振り回されてる時間など、僕らにはないんですよ。

ガイドラインの時点で切り捨てる

前回使ったガイドラインを用いたチャートを、ちょっとここで表示してみます。

これを初心者向けのガイドラインを適用すると、以下の様な感じになるんでしたよね。

で、移動平均線のみをガイドラインで用いる場合は、レンジはレンジでも、それが取引可能なレンジなのかどうかは、わかりません。

なので、ここは全て「分からない」局面として、思い切って切り捨てます。

「いつか使うかもしれないから・・・」

とか言って、いつまでもとっておいちゃダメです。汚部屋から脱出するかの様に、思い切って切り捨てちゃってください。

その「いつか」は、待ってるだけじゃ永遠に来ません。腕を磨いて、新たに実際にガイドラインに適用できるレベルになるまでは、ディテールの検証からは切り捨てます。

現時点で分かるところだけで、ディテールを考えます。

ディテールからも切り捨てる

ディテールを考えていくと、ドツボに嵌ることがあります。例えば、移動平均線をトリガーとした場合の例を挙げてみましょうか。

これ、ユーロドルの1時間足にガイドラインとして75SMAを表示したものです。

もちろん、このガイドライン自体をトリガーとして利用することも可能です。

上図、緑色の丸で記したポイントが、それですね。

でも、トレードできるタイミングは、かなり少ないですよね。指をくわえながら上昇していく価格を見てるだけの方が多くなってしまいます。

しかしよく見ると、それ以外のところでいくつか押し目を付けてますから、そこも狙いたいところです。

ということで、移動平均線をもう1本追加して見ます。

 

追加してみたのは、40SMAです。見ての通り、エントリーポイントが増えました。やったね!

しかし、良く見てください。まだ押し目を付けてるところは、ありますよねぇ。

この部分も、上手く捉えられたらなぁ・・・って思いますよね?

じゃあ、更に移動平均線を追加してみましょうか。

追加したのは、15SMAです。これを見ると、かなりのポイントでエントリーすることが可能だということが分かります。

どうでしょう?凄くないですか?
これでアナタの欲望は、見事に達成されたわけです。

 

Σ( ̄口 ̄*)はっ!

 

こういった感覚でテクニカルを用いていくと、ドツボに嵌っていくわけなんですよ。

ドツボその1

まず、こういった感覚でテクニカルを追加していくと、その数は際限なくなってしまいます。

もう1度先ほどのチャートを見てみましょうか。

追加した移動平均線2本(40SMAと15SMA)は、上手く価格の押し目を捉えてますよね。

どうしてだと思います?

答えは簡単です。

既に出来上がったチャートに、後付けで移動平均線のパラメータを当ててみて、上手く効いてる期間のMAを採用してみたからですよ。

しかし、相場というのはその時々で色々な顔を見せます。同じ上昇トレンドでも、強弱はありますし、押し目を付ける深さも千差万別です。

違う場面の上昇トレンドを抽出したら、上記の期間のMAはあまり機能せず、違う期間を用いた方が機能することも普通にあるわけで。

ですから、そうやって様々な状況に対応しようとして移動平均線を加えていったら・・・

際限なく移動平均線の数は増えていく
(((;゚Д゚)))ガクガクブルブル

わけなんですよね。

で、増やしていった結果、一体どの期間の移動平均線を見て、どう判断すればよいのかが、全く分からなくなってくるわけです。

汚部屋に逆戻り!

本末転倒とは、まさにこのことなんですね。

ドツボその2

もう一度、先ほどのチャート図を見てみましょうか。

これ見た時に、何か気づきませんでしたか?

ちょっと、良く見てください。

分かりました?

じゃあ、ちょっと下の図を見てください。

トレンド中というのは、その終盤以外で順張りをしてしまえば、下手なエントリーであっても大体救われるんですが・・・

先の見えない不安の中でのトレードというのは

  • 戻ってくることを期待して、損切りできない
  • 損失を小さく抑えたい気持ちが強すぎて、損切り貧乏

といった損切り2大症候群を発症しやすいのが特徴です。

で、上図1や2のポイントでエントリーした場合、比較的直ぐその後にエントリーポイントを下回って含み損が発生します。損切り貧乏の症状が発生しやすいポイントですね。

また3、4、5のポイントでエントリーしてしまった場合、直ぐに逃げてしまえば十分に利益を残せますが、利を伸ばそうと粘ってしまうと、結果的に含み損を発生させてしまいがちな場面です。

こういった場合って、なぜか判断を誤りやすいんですよねぇ。

3の場合は損切りできずに損失を膨大に膨らませてしまいがちですし、4や5の場面では損切り貧乏になりやすい場面です。

意外と難しい局面なんですよ。

で、何が言いたいかというと、要するに

エントリーポイントを増やせば増やすほど、リスクも同時に増えてしまう

ということなんです。

「たくさんエントリーしたい!」

という欲望を満たそうとすればするほど、リスクの数も増やしてしまうわけです。

でね、僕も不思議なんですが・・・

エントリーポイントを増やしたと同時にリスクが増えたとしても、この上図を見る限り、確率的には勝率も高い(チャートで見える範囲だけなら勝率7割以上)ですし、リスクリワードだって良いはずです。

しかし、実際にトレードしたとするとなぜか、その様なパフォーマンスにはならないんですよ。

これ、裁量トレードの面白いところです。

仕事やら用事やらでチャート見れない時に限って、なぜか絶好のエントリーポイントだったりします。

で、ようやく時間が出来てエントリーして見ると、先ほどの1の様な場面で損切り。

で、怖くなって次のポイントを見送ると「あー、エントリーしておけば良かった!」となって、次にエントリーすると、それは先ほどの2のポイント。やっぱり損切りしちゃうんですねぇ。

その後は、恐る恐るエントリーしたり出来なかったりを繰り返し、利益が出てもチキン利食い。

で、グングン伸びた上昇トレンドの結果をチャートで見ながら、じれったい気持ちを抱えるんですねぇ。

そして、チキン利食いや見逃しエントリーを反省して、揺れ動く自分の心を叱咤激励し、気持ちを固めます。

「よしっ、ここだ!」

そう覚悟してエントリーした渾身の一撃は、見事トレンドの頂上付近。高値掴みをした挙句、覚悟の度合いに比例して損切りが出来ない・・・

欲しがれば欲しがるほど、怖がれば怖がるほど、相場は僕らの弱いところを突いてくる

これが、「トレードあるある」の本質です。

だからね、エントリーポイントを増やすことで利益を伸ばそうという発想より先に、

リスクは、思い切って切り捨てる

ってことが大切だと、僕は思うんですよ。

もちろん、全てのリスクを排除することなんて出来ません。

しかし、大きな不確定要素は、徹底的に潰す。

そういった心がけが大切です。

そのためには、検証と練習を繰り返していくしか他になく、その過程で小さくできない大きなリスクは、切り捨てることが必要なんですよ。

「これは効いてる。こっちも効いてる」

という視点の前に、

「このリスクは排除できる?もしくは対応できる?」

という視点です。

このチャート図で示した例で言えば、

  • 深い押し目を拾う(期間の長いMAでポイントを探る)場合は、エントリーの数は少ないがリスクの数も少ない
  • エントリー数を増やそうと、浅い押し目を拾おうとすればするほど、その後に深い押し目を付けることも多くなり、リスク(不確定要素)も増えてくる

ということなんですよ。

もし、浅い押し目を拾おうとすることが原因でリスクが増え、そのリスクに自分が対処できないのであれば、思い切って15SMAは切り捨て、深めの押し目だけを狙う。

という発想も大切なんです。

自分が望んだエントリー数と増大するリスクに対して、どうバランスをとるのか?このリスクに対して、自分は対応できるのか?

それが出来ないのであれば、思い切って切り捨てることが大切です。

相場の強弱を考慮しよう

ちょっとこれは、先ほどのお話と重複してしまうんですが、大切な事なので改めて解説します。

相場の波を捉えるためには、その波の強弱を考慮することが必要です。具体的に言えば、

  • トレンドの強弱
  • 押し戻しの強弱

の2つがあります。

例えば、同じトレンドといっても、角度の鈍い(弱い)トレンドもあれば、角度の鋭い(強い)トレンドもあります。

ザックリと赤い矢印でトレンドの角度を示してみましたが、それぞれに強弱の違いがあるのが分かると思います。

また、同じトレンドの中でも、複数の強弱の違いがあるのも分かりますよね。

こういった場合、例えば同じ期間の移動平均線を用いても、その流れの強さを上手く捉えきれなかったりします。

上図を確認してもらえれば分かる通り、緩やかなトレンドの時はトレンドの波に沿う様に移動平均線も表示されますが、トレンドが強くなればなるほど移動平均線と価格には乖離が生まれます。

こういった点も踏まえながら、テクニカルを適用していく必要があります。

また、トレンドごとに、押しや戻しの大きさの度合いに違いがあります。

上図を見ての通り、ほとんど押し戻しを付けずに進行していくトレンドもありますし、深く押し戻しを付けながら進んでいくトレンドもありますよね。

では、この図に2本の移動平均線を加えてみますね。青色が10SMAで赤色が40SMAです。

移動平均線で押し戻しを判断する場合、価格が移動平均線に届いていないと、押し戻しを判断しにくくなります。

で、この図を見れば分かる通り、深い押し戻しは40SMAまで届いていますが、浅い押し戻しは40SMAに届いていませんよね。

深い押し戻しには40SMAは向いていますが、浅い押し戻しを推し量るのに40SMAは向いていないことが分かります。

しかし、10SMAは40SMAよりも期間が短く、価格推移に寄り添いやすい傾向があるため、10SMAは浅い押し戻しを上手く捉えることができています。

この様に、同じMAであっても、その期間によってトレンドの強弱や押し戻しの深さを上手く表現きるかどうかが違ってきます。

移動平均線に限らず、波の強弱を考慮しながら、テクニカルをどう適用したら良いかを考えることも大切です。

一寸先の闇に慣れよう

どのテクニカルを適用すべきか?パラメーターはどうすべきか?

実際にディテールの設定を模索する際は、まずは出来上がったチャートを使って、そこにテクニカルを表示します。そして自分なりに、

「あーでもねぇ、こーでもねぇ」

と、頭と手を動かしながら、模索していくことになります。そうやって、試行錯誤の中でディテールは作られていくわけです。

ただ、出来上がったチャートで作り上げたディテールは、そのまま実践でも使えるとは思わないでください。

インジケーターって、出来上がった後から見ると

「効いてる!」

って見えるんですが、価格形成途中だと上手くそのポイントを捉えられないことが多いんですよ。

後付けで見たら機能してる様に見えても、

  • 実は、上手くいってる箇所ばかりに目が行ってしまってることが多くて、上手くいかないケース(ダマシ等)を見逃していたり
  • 止まってるチャートでは簡単そうに見えても、実際に動いているチャートだとエントリーが難しくて慣れが必要だったり

検証や練習を繰り返している人は、既にご存知ですよね。

ですから、後付けのチャートでディテールの叩き台が出来上がったら、次は実際に先の見えないチャートで検証をします。

これ、重要ですからね。

先の見えない状態で検証と練習を重ねないと、腕も上がらないですし、自分とそのインジの相性も分からないはずです。

慣れてくると、先が見えるチャートでも、「この動きだと、俺は結構騙されやすいんだよなぁ」とか判断できる様になりますよ。何事も慣れです。

より深く考える

多くのトレーダーは、自分で勝手に相場を複雑にしている。

僕はそう思うんですよ。

確かに、相場というものは複雑怪奇であって、決して単純なものではありません。

しかし、だからといって、トレーダー自身が相場を複雑に捉え、複雑に考えて複雑に行動しようとしても、かえって身動きがとれなるだけです。結局は、その複雑さの中に溺れてしまうだけ。

ですから、むしろシンプルに考えシンプルに行動する。

そっちの方が、複雑な相場の世界を身軽に渡り歩くことに繋がっていきます。

しかし、シンプルというのは「簡易さ」「お手軽さ」のことではありません。

シンプルであっても、それは底の浅いものではなく、深いものなんだと思うんですよ。

だから、少数精鋭。

無数に散らばるモノではなく、1つもしくは限られた少数のモノたちを深く深く追求する姿勢が大切です。

多分・・・いや、きっと僕らは、

モノゴトを足し算で考えがちなんです。モノも情報も、加えて加えてため込んでいくことで、何かを得ようとしているのかもしれません。それが豊かさだと思っているのかもしれません。

しかし、本当に大切なのは、引き算をして突き詰めていくこと。その方が、むしろ本質へとたどり着く近道なのかもしれません。

┐(  ̄ー ̄)┌ フッ・・・

 

ということで、ディテールのお話は、まだ前置きでしかないのに、随分と長くなってしまいました。

話は尽きないので、今回はこの辺でお開きにしようと思います。

トリガーについて、もっと深く考えたい方は、

をぜひ読んでおいてください。

今回のお話や上記リンク先の内容は、トリガーを考えるうえで、非常に大切な内容です。

できれば、今回の話は次に進む前に、繰り返し読んで頭の中に叩き込んでほしいなー、と。

で、次回の内容ですが・・・

実際にディテールを設定していく作業を、具体的な例を挙げながらお話していこうと思ってます。

ガイドラインに移動平均線を利用したんで、ディテールにも移動平均線を用いようかな、と思ってます。今のところ。

それまでの間、とりあえずはガイドラインの検証と練習、頑張ってください。できればガイドラインも、先の見えないチャートで練習した方が良いかな。

検証ソフトも今は、無料のものもあります。ThinkTraderというアプリは、無料でいいの?レベルで機能も充実しています。英語が苦手でも、日本語で解説しているサイトもいくつかありますので、十分活用できると思いますよ。

こういったものを活用して、ぜひ検証と練習に励んでみて下さい。

それじゃあ、また。

チャート・デザインのすすめ(3)

さて、前回の予告からすれば、今回は設定したガイドラインに沿って、ディテールを作成してく解説をする予定でした。

が、ちょっとその前に・・・

ガイドラインにそって、実際に相場を見ていく例を挙げておいた方が良いかなぁ、と。

細部に移る前に、骨子の部分をきちんと把握できるようにしておかないとね。

ということで、始まり始まり~!

ガイドラインを用いてみよう

前回に使ったユーロドルの1時間足に日足5SMAをガイドラインに用いたチャート図が、これでした。

とりあえず、これを使ってチャートの左側から少しずつガイドラインを適用させながら判断していこうと思います。

左側の方までチャートを隠しながら説明しますね。

ここ、前回説明しましたが、価格は2度ほど下降する75SMAの上抜けを試みますが、抜けきれずに失敗した場面です。

下降トレンドと判断し、売り方針という場面ですね。

もちろん、この段階で飛び乗るのではなく、75SMAに向かって価格が一旦上昇してから再び反転下落をするタイミング、つまり戻り売りのタイミングを待つ場面です。

で、この戻り売りの方針は、価格が下降する75SMAを明確に上抜けるまで続きます。

この方針で戻り売りを狙った場合、上図赤丸で記した辺りで4回ほどのエントリーポイントがあったことになります。


もう少し細かく見れば他にも数箇所の戻り売りのタイミングがありますし、より小さい時間軸でタイミングを狙うと、もっとエントリーポイントは探せるはずです。

が、ここはチャートデザインのお話なので、この1時間足のみで考えることにします


で、実際にこの戻り売りのポイントをどう捉えるのか?

というのを見つけようとテクニカルを適用していくのが、この後に解説することになる「ディテール」の作成ということになります。

なので、今はガイドラインの解説なので、その辺は飛ばしていきます。

今の段階では、ガイドラインに従って上図赤丸の様な戻り売りのポイントを売る「方針」を立てる局面であると分かってもらえれば、OKです。

さて、続けましょう。

この赤丸の部分も、前回お話しました。75SMAを価格が上抜けた後、しばらく(2~3時間)はその上に滞在します。

ですから、この時点で「下降トレンドではなくなった可能性大」ということで、

「分からない局面に突入した」

と判断します。ここからは、何らかのガイドラインが適用されるまでは「分からない」としてトレードはしてはいけない局面ということになります。

ちなみに、移動平均線だけでなく、ダウ理論や値動きなどもガイドラインに用いていたとしたら・・・

まず、低値Aから低値Bの切下げた値幅に注目して下さい。それまでは大きく低値を切り下げ続けてきましたが、Bの時点では低値の切下げ幅が極端に小さくなっています。

75SMAのガイドラインに従って下降トレンドは進行中と判断は続けますが、この時点で

「あれ?下降する力が弱まってきてるかな?」

と、一応は警戒心を持ってチャートを眺めることになります。

そして次の低値C。この時点で、低値はBからCへと切り上がりました。

ということで、ダウ理論もガイドラインに用いているのであれば、Cの時点で「下降トレンドは少なくとも一旦終了」という判断になります。

75SMAだけをガイドラインに用いるよりも、「分からない」「手を出してはいけない」と判断するタイミングが早くなるわけですね。

そしてその後、75SMAを上抜け。しかし、赤い丸の部分は直近高値と同値で止められたため、やはり「分からない」局面であるとハッキリします。

まぁ、この様にガイドラインに用いるテクニカルは複数の方がより的確に4大局面を判別することが可能になります。

が、前回もお話した通り、慣れないうちはまず1つのテクニカルに集中して習熟度を上げる努力をした方が良いです。

話がそれました。続けましょう。

上図赤い丸のポイントを見てください。75SMAが上を向き出し、価格が75SMAの上で反転上昇を始めました。

この時点で、「分からない」という局面は終了し、

「上昇トレンドが発生したと判断し、押し目買い方針」

というガイドラインが適用されることになります。この赤丸のポイント以降は、75SMAが上を向きつつ価格が75SMAより上にある限り、この押し目買いの方針は続きます。

ちなみにですが、これもダウ理論を用いていれば、もっと早く局面の切り替わりを判断できています。

上図青丸を見れば分かる通り、高値も低値も75SMAが反転上昇始める前に既に切り上がっていますので、より早く上昇トレンド発生を感知できたことになりますね。

次に、上図赤丸Eを見てください。価格は75SMAを下抜けたまま滞在しています。75SMAはまだ上を向いたままですが、この時点で上昇トレンドが継続するかは「分からない」ことになりました。

ということで、ここで買い方針は終了。「分からない」局面に突入したので、Eのポイントからはトレードはしない方針に切り替わります。

DからEまでの上昇トレンド中には、大まかに5か所の押し目買いポイントがあったのが分かると思います。

なお、ダウ理論では、まだ直近低値FはEの時点では切り下げていませんので、まだ上昇トレンドは終わっていないことになります。

続いて、上図赤丸のポイント。ここはちょっと面白い場面です。

まだ慣れていない人は、75SMAは横を向いたままなので、ここはまだ「分からない」と判断します。

その後、価格の下落が続き、75SMAが下を向き出せば、その段階で初めて「下降トレンド開始。売り方針」と判断することになります。

欲を出して早めに仕掛けてしまうと、ガイドラインの意味をなさなくなりますので、初心者は注意しなくちゃいけない場面です。

しかし、この場面は慣れた人だと、ちょっと違ってきます。この赤丸の時点で

「75SMAに頭を抑えられて抜けそうもないかな。この揉み合いを下抜けたら75SMAは下を向き出すことになるので、下抜けたと同時に売り方針に転換しよう」

という判断を下す人も出てくると思います。この辺が、経験値・習熟度によるところなんですよねぇ。

ただし、初心者は絶対にこういった判断は止めてください。経験と腕による判断ではなく、欲望に左右された判断になりますから。

前回も言いましたよね。検証と練習によってガイドラインは具体性を加えていきますが、初心者が技術もないのにいきなりトレードで新たなガイドラインを加えるのは間違いだと。

欲望にまみれただけの醜い姿でしかないんですよ。

こういった早合点を繰り返すのは、むしろトレードの上達から遠ざかってしまいますので、注意してください。

さて、初歩向けのガイドラインに従うとすると、大体赤丸Gの辺りで75SMAは下向き出しますから、この辺りにきてようやく

「下降トレンド開始。戻り売り方針」

という判断になります。この方針は、75SMAを価格が上抜くまで続きます。

で、Hのポイントで、価格は75SMAを上抜いたまま滞在します。なので、ここからは

「分からない局面。トレードはしない方針」

ということになるわけですね。

・・・とまぁ、実際にガイドラインを適用しながら相場を見ていきました。

みなさん、この例をもとに、相場状況の4大局面を判断して売買方針を立てる検証と練習を繰り返してみて下さい。

この感覚が身に付けば、後はエントリーポイントを探るディテールを作っていけば良いだけです。

ただ、ここから新たに解説に入っていくのはちょっと長すぎるので、今回はこの辺でお開きとします。

次回こそは、チャート・デザインにおけるディテールの作業についてお話しますね。

それじゃあ、また。