ルールが守れない理由
僕だって昔は
先日、Twitterでも呟いたんですが、
「そういえば僕は今、トレードするのにルールとかほとんど意識してない」
ということに、ふと気が付きました。
もちろん、ルールを意識していないというのは、ルールがないというわけじゃありません。ルールを意識しなくとも、ルールに沿ったトレードが出来ているということです。
ただまぁ、仕事にしろスポーツにしろボードゲームにしろ、こういうのってトレード以外の世界じゃ当たり前のことなんですけどね。
なぜかトレードの世界だけが
「ルールが守れないっ!」
と騒いでいます。不思議ですねぇ。
とは言いつつ、僕だって勝てない頃は、やっぱりルールが守れない人でした。
例えば、以前の僕は
- 環境認識をきちんとやる
- 上位足と同じ方向にトレードすること
- シグナルが出ていないのにエントリーしてはいけない
- 負けを取り返そうとムキになってトレードをしない
- ポジションを持っている間は席を離れてはいけない
なんてルール(実際は、もっと細かい)を、紙に書いて見えるところに貼っていたりしたんですが、
正直言って、全然守れない。
そして、それを自分のメンタルの弱さのせいにして自分を責める。そんなことを、ずっと繰り返していました。
でも、そんな真っ暗闇の中を抜けた今、振り返ってみると
「随分と、馬鹿だったな」
って、そう思うんですよ。
そんなルール、守れるわけないじゃん。つか、守れる方がどうかしてるでしょ。
ってな感じで。
ということで、今日のお話は、トレード・ルールが守れなくて頭を悩まさせている人に、お贈りします。
3種類のルールが守れない人
僕は、ルールが守れないという人には、3種類のタイプがあると思っています。その3種類とは
- 欲しがるだけの人
- 努力の方向性が間違っている人
- 作業工程が明確でない人
という感じになるでしょうか。では、具体的にお話しますね。
1.欲しがるだけの人
誰だって、お金は欲しいし、自由も欲しい。あれもしたいし、これもしたい。でも、あれはやりたくないし、それとは関わりたくない、って気持ちがあります。
だから、「お金もあるし自由もある」という人になりたい。
でも、なりたいだけ。
なるためにしなくちゃいけないことは、やりたくはない。
「確かに、そんなワガママな奴いそう」
なんて他人事のように思うかもしれませんが、結構誰にでも心の中にそんな自分がいるものです。
これ、ダイエットに例えてみると分かりやすいかな。
痩せたい、スタイル良くなりたい、という「なりたい自分」はいても、そのためにダイエットを頑張り続ける人って、少ないじゃないですか。
痩せたい、でも痩せるための努力はしたくない。
だから、楽して痩せられる商品や方法ばかりを追い求める。
しかし、こういった気持ちを心に抱えている人は、努力どころか、楽なことですら続けられないんですよ。
ただ朝にバナナ食べるだけのダイエットも続けられないし、座ってスイッチを入れるだけのダイエットマシンすら物置台になり果ててしまう。
なぜ?
だって、そもそもやる気がないから。
なりたい、でもやりたくない。
ただそれだけのことなんですよ。
で、トレードでもこれと同じ様な人が沢山います。
トレードで稼げるようになりたい。でも、そのための努力はしたくない。
だから、楽して稼げるトレードの手法や商品、方法ばかりを追い求める。
ダイエットできない人の構造と全く同じなんですよ。
やることなんて決まってるのに、やらないで近道ばっかり探してる。
で、そんな自分に反省して、
「今度こそは」
って。でも、また同じことの繰り返し。
こういった人は、すんなり諦めた方が良いです。
なぜなら、こういった態度というのは、投資家でも投機家でもなく、単なる消費者もしくは浪費家でしかないからです。
自分の欲望を満たすためにお金と時間を費やし、相場やそれらに関係する商品にお金を奪われていくだけの、ね。
「消費者としてのトレーダー」
こういった人を世間一般では、「ネギを背負ったカモ」と呼んでいます。
ただ、こういった怠惰な心というのは、誰にでもあったりするんじゃないでしょうか。間違いなく、僕の心の中にもあります。
もちろん、ほとんどの人は、こういった怠惰な気持ちで心が100%満たされているわけではないでしょう。でも、前向きな気持ちのどこか1割とか3割とか、個人差はあっても、そんな具合に誰の心にもあったりするんじゃないかなぁ?って思うんですよ。
なので、こういったことは他人事は思わずに、真摯に自分と向き合う気持ちが大切かなと。
2.努力の方向性が間違っている人
でも、トレードに取り組む多くの人は、一生懸命に勉強していると思うんですよ。トレード関連の書籍を読み漁ったり、経済や金融の勉強をしたり。
また、ネットでトレードに関する有益な情報を得ようと、TwitterやYouTubeを活用したり、僕の様にブログを書いている人の記事を参考にしたりなんかして、ね。
でもねぇ・・・
正直、それに費やす時間の多くが無駄なんですよね。
ちょっと、下の図を見てもらえますか。
見ての通り、平行レンジです。
じゃあ、今の相場がこの平行レンジだとしたら、どこで買ってどこで売りますか?
ある程度勉強した方なら、答えは簡単だと思います。
大まかに言えば、上図の様になりますよね。正解です。
じゃあ、次はこれ。
この下降チャネルの売買ポイントは?
これも簡単ですね。
大まかに言えば、上図の通りになりますよね。
でも、本当の問題はこの後からです。
「じゃあ、アナタはリアルにチャートに向き合って、実際の取引を行なうとしたら、上図の様にして売買できますか?」
恐らく出来ないですよ。勝てない人のほとんどは、ほぼ確実といってよいほど出来ない。知ってるけど、出来ないんです。
だってね、それが物の道理です。
本で読んだバットの振り方とボールの見極め方。それを知ったら、バッターボックスに立って、来る球をポンポン打てるようになれるんですか?
将棋や釣り、仕事だってそうです。本やネットで知識を手に入れたら、いきなり他者から抜きんでる実力が付くとでも?
知識を得ただけでモノゴトを上手く渡り歩ける様になることなんて、この世の中にはほとんど無いんですよ。極めて当たり前のことです。
トレードのやり方は人ぞれぞれ何で一概には言えませんが、例えば僕の様なライン引きは、上図の段階になる前には既に、下降チャネルの可能性に気づいています。
しかし、本やネットの情報で知識を得て、後は毛の生えた程度しか経験のない人は、言われなければ、その可能性に気づきません。
この辺まで来ると、きちんとトレードできる人は、下降チャネルと判断して既に買いのエントリーを行なっています。
しかし、知識だけしかない人は、この段階に来てもチャネル形成に気づきませんし、仮に気づいても、自信が持てずに躊躇してしまいます。
「あれ?どう線を引いたら良いんだろう?」
なんて迷っている間に、価格は勢いよく上昇を始め、上図緑色の丸の辺りで慌てて飛び乗ったりします。
トレードをきちんと出来る人は、引いたラインを修正するなど、実際の相場の値動きに合わせ、常に臨機応変に対応しようとします。
そして、チャネル上限で買いポジションを決済し、また売りポジションを建てます。
知識ばかりの人は、高値掴みをしてしまったポジションを損切りするか、損切りできずにずっと含み損に耐え続けます。
また、知識ばかりの人でチャネル上限で新規参入しようとする人は、
「売りたい」
とは思いますが、
「でも、ひょっとしてまだ上に上がるかも」
などと不安がよぎったりして、実際のエントリーに躊躇してしまいます。
仮に売りを建てることが出来たとしても、下落途中に価格が一旦上に戻し始めると、不安になって薄利決済したりします。
しかし、トレードできる人は、そのままポジションを保持し、チャネル下限で利確。さらに買いポジションを建てます。
下の図は、もう説明しなくとも分かりますよね。
トレードが出来る人は、臨機応変に対応しつつも、結局は教科書通りに淡々とトレードを繰り返します。
知識ばかりの人は、教科書の内容は知っていても、その通りにせずに、自分勝手にやってみたりやらなかったりして、自滅していきます。
この違い、何だと思います。
経験の差ですよ。検証と練習によって培われた体感レベルの技術を持っている人と知識しかない人の差です。
検証や練習を重ねた人は、その経験と技術を裏付けにした自信があります。
しかし、知識ばかりの人には、自信が持てません。裏付けになる経験も技術もないからです。
でもこんなこと、トレード以外の世界じゃ極めて当たり前の話です。子供だって知ってることですよ。
なのに、トレードの世界だけは、この当たり前のことが置き去りにされています。
もし、僕が勝てなかった頃の自分に今、会うことが出来て
「頑張ってるのになかなか勝てません。ルール違反もよくやります。どうしたら良いでしょうか?」
と相談されたら、きっと逆にこう質問を返します。
「じゃあ、アナタがトレードしているそのやり方、ルール通りにやった場合の勝率とペイ・オフ・レシオを教えてください。」
きっと、答えられないですよ。
勝てない人のほとんどは、自分のやっているそのトレードのやり方で得ることのできる具体的な結果(勝率やペイ・オフ・レシオ等)を分かっていない。
実は、自分が勝てるかどうか全く分からないやり方でトレードしているわけです。
自分ですら結果の分からないルールって、守れるんですかね?
普通、成果の分からないモノゴトには不安を覚えます。不安で曖昧な物事をやろうとしたって、ルール通りに出来ないのが当たり前です。
ビルとビルの屋上に大きなハシゴを渡して、「ここを渡ってください」と言わても普通には歩けないでしょ?
「ほら、手と足を大きく振って下を見ずに、笑顔を絶やさずに!ルール通りにやって!」
と言われても出来るはずがない。
命綱が付いていても足はすくむし、ハシゴじゃなくて吊り橋であったとしても簡単にはできない。
つまり、そういうことなんですよ。
だから、経験の浅い人は、実際の相場に直面するとメンタルが揺さぶられ、ルール通りのトレードが出来なくなるんですよ。
ルールの守れない人は、基本的にトレードに対する不安があるんです。そして、その不安の素は、圧倒的な経験不足。検証と練習による裏付けがないから、自信がない。
自信がないのにトレードをするのは、自分の欲望に突き動かされているから。
そんな状況の人が、ルール守れると思います?
守れないですよね。守れる人の方が、どうかしてるぜ!
逆にね、アナタが寝食惜しんで検証と練習を続け、「勝率8割、平均利益:平均損益 = 2:1」ということがハッキリしたトレードの方法を手に入れたとしたら、どうします?
そのルール、守れないどころか、守らないことの方が不安になりますよね。
ですから、一生懸命にトレードの上達に励んでいるという人は、情報を得ることに時間とお金を費やすんじゃなくて、今ある知識を実際のトレードで使える様に検証と練習を繰り返すことへと、努力の方向性を変えていかないといけないわけです。
冒頭でお話した、僕がルールを気にしてトレードしていないという呟きに対して、SSSURFFF@ちゅぱ太郎(@SSSURFFF)さんは、
ルールは
補助輪と思ってます。
最初は必要だけど
自転車乗れるようになったら
じゃまになる。
さふお
— ちゅぱ太郎?@さーふ? (@SSSURFFF) September 6, 2019
と、随分と格好つけたことを言ってたんですが、正直なところ
なるほど~!
と唸ってしまいました。
ルールが守れないという人は、自転車の乗り方の知識ばかりを探すんじゃなくて、実際に自転車に乗って練習を繰り返さなくちゃいけません。
早く補助輪をとって自転車で自由に走り回る日を目指しながら、ね。
3.作業工程が明確でない人
ある程度、検証や練習はやっているけど、それでも上手くトレードできないという人もいるかもしれません。
でも、そういった場合は、検証の甘さに原因があるんだと思います。
検証が甘い場合、実際にトレードすると上手くいかない場合に直面してしまうので、不安になりやすくルール違反をしてしまいがちになります。
また、検証自体が曖昧なものであると、実際のトレードにも曖昧さが出てしまいます。
で、その一端を表しているのが、
エントリーするまでの作業工程が明確になっていない
ということなんじゃないかと。
仕事でもなんでもそうですが、実際にやることに具体性がなく曖昧だと、モノゴトをきちんと進められないことがほとんどです。
今、何をすべきか?
次に何をやるべきか?
これをハッキリさせておく必要があります。
そのためにはまず、自分のトレードにおける具体的なエントリーの作業工程を書き出してみることをお勧めします。
検証が曖昧だと、具体的なエントリーの作業工程も曖昧になるので、作業工程を書き出すことが難しいはずです。
そして、上手く書き出せなかった部分の曖昧さが、ルール違反の大きな原因箇所となっているんじゃないかと。
そういった部分を上手く見つけ、検証し直すことで具体的な工程を確立していきます。
そして、一連のエントリー工程が具体的に定まったら、それを図表などにして、実際のトレードの際に各工程ごとにチェックをする様にします。
1つの工程が完了しないと次に進めない、という手順を踏んでいくことで、ルール違反はかなり改善されることになります。
トレードはお金を稼ぐ1つの手段です。トレードも仕事として捉え、その業務遂行を明確にしていきましょう。
トレード作業工程の基本
では、初心者向けにその作業工程をお話します。
ただ、トレードには色んなやり方があります。人によって、やり方や考え方は違いますし、同じ人でもいくつものやり方を使い分けていたりします。
なので、ここでは僕が考える基本的なエントリーの作業工程の構築の仕方をお話します。
もちろん、僕の考え方が大本になっているので、少なくとも以下の記事を読んでいること前提でお話しますので、あしからず。
トレードの基本3パターン
トレーダーにとって、相場には4つの大きな局面があります。それは、
- 上昇トレンド
- 下降トレンド
- レンジ
- 分からない
でしたね。
であれば、明らかな認識性と優位性をもつトレードの基本パターンは以下の3つしかありません。
- トレンド・フォロー(トレンド方向と同じ方向にエントリー)
- レンジ内取引(レンジの上限で売り下限で買う)
- レンジ・ブレイク(レンジをブレイクしたらその方向でエントリー)
以上がトレードの基本3パターンです。
上昇トレンド中の下降する調整波を獲ろうとか、天底を狙うだとか、そんなことは上手くなってから考えれば良いわけで、
あっちもこっちも欲を出して手を出す必要なんて、ないんですよ。
まずは、認識性も優位性も高い、このたった3つの基本パターンを確実に獲っていけるいける様にすれば良いわけです。
BOZ流!基本パターンのエントリー局面
で、この3つの基本パターンのエントリー局面を、僕の場合でもう少し具体的に言うと、
- トレンド中の調整局面から反転したところ
- トレンド中の調整局面でパターンを形成したら、そこをブレイクしたところ
- レンジ際で反転したところ
- レンジをブレイクしたところ
でエントリーすることになります。
簡単に言ってしまえば、トレンドかレンジかを判断出来たら、後は反転するかブレイクするかの2点だけです。至ってシンプルですね。
ということで、初心者向けにエントリー作業工程表を作ってみました。
- エントリー作業工程表(xlsx形式) ←クリックしてダウンロードできます
見た目は、こんな感じになります。
(注意:この表に書いてある「10SMAライン抜け」と「終値が20SMA抜け」というのは、思い付きで書いたものです。実際に有効なのかは分かりません)
こうやって見ると、別に大したものではなさそうですけどね。
でも、実は非常に大切です。
では、このエントリー作業工程表の使い方をお話していきましょう。
作業工程表の解説
この作業工程表は、見本として作成したものなので、書き込みづらいなど使いづらい様ならば、適宜変更してもらって構いません。
また、この作業工程表は、僕のトレードの考え方に準ずるので、各自のやり方で便宜的に書き換えてもらってOKです。
が、僕のブログの読者で初心者の方は、下手にアレンジを加えるよりは、まずはこの通りにやってもらった方が良いのかな、と思います。
では、この使い方をお話します。
環境認識から
まず、環境認識は相場にどの様な規則性があるかを確認するんですが、その過程からトレンドが出ているのかレンジなのかを判断します。
それが、以下の部分です。
環境認識によって、トレンドが発生しているのか、レンジなのかを判断します。
分からなければ、トレード不可能と判断。エントリーは、分かる様になるまで出来ません。
レンジの場合は、そのレンジ名を書き込みます(例えば「平行レンジ」「下降チャネル」等)。
レンジと判断した場合でも、そのレンジがどの様な形を形成しているのか分からなければ、トレードはそれが分かる局面に来るまで待つことになるので、トレードは出来ません。
で、トレードが出来そうな環境下だなと判断したら、工程表の上部にある「通貨ペア」に通貨ペアの名称を、「メイン時間」にトレンドやレンジと判断した時間足を書き込みます。
「タイミング時間軸」には、エントリーのタイミングをとる際の時間足を書き込みます。常に同じ時間足であればこの段階で書いてOKです。状況によって変える人は、タイミングをとる段階で書き込みます。
では、次からは「トレンド」の場合と「レンジ」の場合に分けて説明していきます。
トレンドの場合
環境認識によってトレンドと判断した場合は、「トレンド」に〇印などのチェックを入れ、次の工程に進みます。
価格がトレンド方向とは逆方向に動いている調整局面であれば④「調整中」にチェックを入れます。
価格がトレンドと同じ方向に推進した状況であれば、①「推進中」にチェックを入れ、調整を待つので②「調整待ち」にチェックを入れます。
調整待ちの状態から調整に入ったのを確認したら③「調整中」にチェックを入れます。
言わずもがな、③と④の「調整中」は同じです。相場を観察し出した時のタイミングが違っているだけです。
調整に入ったら、その調整がフォーメーション(トライアングルやフラッグ等)を形成しているのか、調整波が1辺だけの単なる押し目や戻しを付けているだけなのかを判断します。
調整波が1辺の押し・戻しの場合
調整波がジグザグと波を描かずに、単に1辺の押し・戻しであると判断した場合は⑤「押し・戻し」にチェックを入れ、工程表上部の「反転条件(ルール)」の欄に、反転確認をする方法(これがトリガー)を書き込みます。
そしてトリガーを引くタイミング、つまり調整から再びトレンド方向へと価格が反転するタイミングを待つことになります。
この段階でタイミングをとる時間軸を決める人は、工程表上部にある「タイミング時間軸」にもその時間足を書き込みましょう。
次に、反転を待っていることも明確にするため⑥「反転待ち」にチェックを入れます。
その際に、STOPの位置も決めます。工程表上部の「STOP条件(ルール)」の欄に損切りの条件を書き込み、設定したSTOPが施行された場合の損失幅(pips)を⑥「反転待ち」の下にあるカッコ(S )の欄に書き込みましょう。
それが終わったら、タイミングをとる時間軸に切り替えて、実際に反転が確認できるのを待ちます。
で、反転が始まり、書き込んだ反転条件のルールを満たしたら、「反転確認」にチェックを入れ、エントリーします。
以下はその記入例です。
調整波がフォーメーションを形成している場合
調整波がジグザグと複数の波を描いている場合は、基本的にフォーメーションを形成します。
その場合は、⑦「フォーメーション」にチェックを入れ、フォーメーションの名前を書き込みます。
で、このフォーメーションをトレンド方向にブレイクしたらエントリーすることになるため、工程表上部の「ブレイク条件(ルール)」の欄に、その判断方法を書き込みます。
そしてブレイク待ちであることを明確にするために、⑧「ブレイク待ち」にチェックを入れます。
その際に、STOPの位置も決めます。工程表上部の「STOP条件(ルール)」の欄に損切りの条件を書き込み、設定したSTOPが施行された場合の損失幅(pips)を⑧「ブレイク待ち」の下にあるカッコ(S )の欄に書き込みましょう。
それが終わったら、実際にパターン・ブレイクが確認できるのを待ちます。
そして、ブレイクが起こり、書き込んだブレイク条件のルールを満たしたら、「ブレイク確認」にチェックを入れ、エントリーします。
以下はその記入例です。
「トレンド」時のエントリーまでの作業工程は以上になります。次に、「レンジ」の場合を説明します。
レンジの場合
環境認識によって現在がレンジであると判断した場合は、「レンジ」に〇印などのチェックを入れます。
次に「レンジ名」にレンジの名称を入れます。レンジがどの様な形を形成しているのかまだ分からない場合は、「分からない」にチェックを入れ、「レンジの形がわかるまでトレードは不可能」と判断します。
「レンジ名」を記入したら、価格がライン付近に来るまで何もすることはありません。「ライン付近に来るの待ち」にチェックを入れて、その時が来るのを待ちます。
レンジでのトレードは、ライン際での反転による「レンジ内取引」か、ラインをブレイクする「レンジ・ブレイク」のどちらかになります。
なので、「ライン付近に来るの待ち」をしている間に、「ブレイク条件(ルール)と「反転条件(ルール)」に、規定したトリガーを書き込んでおきます。
そして、ライン付近に来たら「ライン付近到達」にチェックを入れ、画面をタイミングをとる時間軸に切り替えます。
この際に、「STOP条件(ルール)」に記入を入れ、「ライン付近到達」下の(
S )に損失想定幅を書き込みます。
そして、ブレイクが確認できたら「ブレイク確認」にチェックを入れてエントリー、反転が確認できたのなら「反転確認」にチェックを入れてエントリーします。
以下はその記入例。
さて、エントリー作業工程表の解説は以上です。理解できたでしょうか?
この様に、エントリーに至るまでの作業工程を明確にすることで、
- 今、自分は何をしているのか?
- 今、自分は何のために待っているのか?
- 次は何をするのか?
- この工程を行なうための定義(例えばトレンド判定の仕方)が甘いのではないか?
などのことが分かってきます。
自分が歩む道のりを具体的にハッキリとさせることで、安易なルール違反を防ぐことが出来るようになります。
このエントリー作業工程表、皆さんのトレードに上手く活用してもらえたらと思います。
が、しかし・・・
この後からが、本当に大切なお話になります。
大切なこと
さて、エントリー作業工程表も用意できました。これで、ルール通りにエントリー作業を進めることが出来ます。
さぁ、これから常勝への一歩を進み始めるぞ!
とお思いの方もいるかもしれません。
しかし残念ながら、このエントリー作業工程表を用いながらトレードを始めると
確実につまづくことになります。
で、僕は皆さんに、実はそうであることを期待しています。
そう、正しくつまづくことに。
実際にこのエントリー作業工程表を用いながらトレードをしていくと、色々な疑問や問題点にぶち当たるはずです。
例えば、下降トレンド局面で調整波が1辺であると判断して、戻り売りをしたら、価格はジグザグに波を描き出してしまうことが、きっとあるでしょう。
「え~!?上手くいかない!!」
でもね、それで良いんですよ。
その時々で、違う手順、違う方法でトレードしていたら、そういった問題点にいつまで経っても気づかないんですから。
検証も上手くいかず、結果も曖昧な状態がずっと続いていくだけなんです。
大切なことは、同じ手順、同じ方法で、トレードを繰り返すことです。
同じ工程で繰り返しトレードすることで、どの工程にどんな課題があるのかが浮き彫りになります。
先ほど例えた「下降トレンド局面で調整波が1辺であると判断して、戻り売りをしたら、価格はジグザグに波を描き出してしまう」という問題に直面したら、
「エントリー前に見分ける方法はないのか?」
「エントリーした後に回避策はないのか?」
という課題をもとに、再び検証をすることが出来ます。
例えば、上昇トレンド中に押し目買いをし、上手く上昇したと思ったら、直ぐに反転下落して損切りになってしまうことも、きっとあると思います。
しかし、そんな問題に直面したら、
「実は、上位足でレンジを形成していて、メイン時間軸ではレンジ上限目指して上昇トレンドを形成していただけ。レンジ上限に達する直前でエントリーしたため、反転下落してしまった」
という事実を見つけることが出来るかもしれません。
そうであれば、環境認識から現状認識までのやり方や考え方が、より強化できる結果につながるはずです。
同じ工程で繰り返しトレードすることで、技術的な課題を具体的に浮き彫りにすることができ、その課題に対して具体的に取り組むことが出来るようになります。
同じ作業工程を繰り返すことで発生した課題は「正しい課題」であり、その正しい課題は繰り返し検証することで、正しくクリアすることができるんですよ。
しかし、日ごろ手順も方法も曖昧でその都度バラバラなトレードをしてたら、この様に自分が抱えている具体的な課題は見えてきません。
見えてくるのは、見当はずれな課題ばかり。
そして、結果的には技術に焦点が当たることはなく、
「目先の値動きに翻弄されてしまった」とか
「ムキになってしまい、無謀なトレードを繰り返した」とか
自分の行動やメンタルばかりに焦点を当ててしまうんですよ。
具体的な技術の向上が図れないくせに、自分の行動やメンタルばっか気にしてたって、一生勝てるはずねぇだろうが、ボケ。
ということで、皆さんが世間に蔓延るトレードを教える資格も実力もない連中の戯言に惑わされないことを祈りつつ、今日はこの辺でお終いとします。
それじゃあ、また。