需給関係をベースにしたトレード入門(1)

前回は、かなり長々とオーバーシュートについてお話しましたが、今回は、そんな長文をきちんと読み切った人に向けた続編をお話しようと思います。

需給関係をベースにしたトレードの考え方についてです。

前回も言いましたが、現在海外では需給関係をベースにしたトレードのスキルが発達しています。日本においては、ここ1年くらいでようやく日本語解説が出てきた感じで、まだ一般的には知られていないのが現状です。

で、今回このシリーズでお話するのは、海外のそれらをそのまんま解説するという主旨ではありません。だって、海外のスキルを紹介するなら、僕なんかよりもっと英語が堪能で、それ専門に勉強している様な人の方が的確ですから。

前回もお話した様に、僕自身は海外のそれを知らずに、需給関係をベースにしたトレードを10年以上に渡って構築してきました。そこに現在の海外のスキルも参考にさせてもらいながら、更に精進を続けているのが、今の僕です。

なので、今回解説する内容は、海外のスキルとは完全に丸被りとはなりません。多分に僕なりの考え方がベースとなるお話です。

で、そこに海外のスキルも加えて紹介するという形にしようかと思ってます。

前知識として、読んでおいてもらえると良いかなと思うのが、まず

1番目の記事は、もう5年以上前の記事なので、今の考え方とは若干異なる部分もあるんですが、僕が相場を斜めラインよりも水平線の世界として見ていることが、ある程度分かる内容だと思います。

で、今回もまた

「そこまで基本的なこと、言わなくても分かるって」

というところから、めちゃくちゃ噛み砕いてお話します。

表面的に知識を拾っていくのではなく、もっと根本的な考え方から1つずつ身に着けていった方が、その後の伸び方が違うと思うんで。

それじゃあ、始まり始まり~!

需給の均衡と不均衡

市場における需要と供給について

どの様な市場であっても、買い手と売り手がいるのは、当たり前の通りです。

  • モノやサービスを買いたい要求や実際に買うことのできる量=需要
  • モノやサービスを売りたい要求や実際に売ることにできる量=供給

としますよね。

これと同様に、金融市場においても、

  • 買いたい欲求や実際に買うことのできる量=需要
  • 売りたい欲求や実際に売ることのできる量=供給

として考えます。

まず、これを頭に入れておいてください。

需要と供給の関係

市場においては、需要と供給の力関係が一致したところで、価格は決まります。

100円で買いたい人の量と100円で売りたい人の量が一致していれば、市場の価格は100円となります。

しかし、需要が供給を上回ったらどうなるでしょう?

結論から言えば、価格は上昇します。

100円で買いたい人が100人いたとしても、供給する側が50個しか売ることが出来ないのであれば、値段が高くても買わなければならない羽目になります。(需給を売買量から見た視点)

また、100円で買いたい人の量と、150円でしか売りたくない人の量が同じ場合でも、値段が高くてもどうしても買いたい人が出てくれば、価格は150円の値を付けます。(需給を欲求の大きさから見た視点)

いずれにせよ、「需要>供給」であれば、価格は上昇するんですね。

それと同様の理屈で、供給が需要を上回れば(需要<供給)、価格は下落します。

市場というのは、需要と供給の力関係で価格が上昇したり下落したりし、最終的に両者の力関係が等しくなったところ(バランスのとれたところ)で価格は落ち着きます。

需給の均衡とは

さて、この需要と供給の力関係のバランスがとれている状態が続いていることを、「需要と供給の関係が均衡している」とか、「需給関係が均衡している」などと言います。

この需給の均衡した状態について、もう少し詳しく見ていきましょう。

例えば、需給が安定せずに、価格が上下に不規則かつ激しい値動きをしている商品があるとします。グラフ化(チャート化)すると、以下の様になりますよね。

しかし、需給関係が少し安定してくれば、値段の開きはあったにしても、

「大体この商品なら、〇〇円から△△円の間で買えるよね」

なんて感じで、価格と上限と下限にある程度の一定感が生まれます。

チャートにすると、こんな感じに価格は推移します。

いわゆる並行レンジですね。この状態は、先程の値動きから比べると安定しており、需給関係は均衡しつつある状態と言えます。

で、この需給関係がどんどんと均衡してくると、価格の上下幅は小さくなっていきます。

この状態を、ボラティリティの観点からいうと、

「ボラティリティが縮小している」

と言いますよね。ボラの低下は、需給の均衡化が進んでいるという解釈もできます。

さらにこの状態を、「市場は売り方と買い方との戦場」という観点から見れば、

「小競り合いが続いている」

と言えるかもしれません。売り方と買い方の力関係が均衡した状態で勢力争いが繰り返されていると解釈できるわけです。

で、この需給の力関係が完全に一致して動かなくなると、いつどこでそれを買っても価格は一律同じ値段になります。

これをチャートにすると、ロウソク足は同時線どころか一本線(ロウソク足の実体もヒゲもない、横一本の線になったもの)が並ぶことになるわけですが、

ただ、金融市場において価格が完全一致した状態が続くというのは滅多にありません。そういったケースというのは、市場は開いているのに閑散としていて、誰も売買を行っていない様な時と言って良いかもしれません。

実際の相場では、売買によって多少の値幅が生まれるのが、需給が均衡した状態なんですよ。

で、それをチャートで表示するとこんな感じになります。

赤い四角で囲った部分が、実際の相場では「均衡している」と言える状態です。緑色の丸の様に、1つの均衡状態の中にも更に違う価格帯で均衡状態を作っているケースも珍しくありません。

とは言え、均衡しているかどうかというのは、あくまで相対的な判断です。他の値動きと比較した場合に、「均衡している」と判断するものですから、同じ均衡状態でもその値幅には差があります。もちろん、その期間にも差はあります。

なので、上図で赤く囲っていない局面でも、「均衡している」と判断できるところは当然でてきます。例えば、下の図の青丸部分とか。

結局のところ、この辺の判断は裁量です。どれが均衡状態なのかの判断は、各人の習熟度にもよりますし、需給関係をどの様な形でアナタが自分のトレードに採り入れるかによっても、変わってきます。

いずれにせよ、ロウソク足の値幅(特に実体)が縮小していき、価格が値幅の中央値に集約されていくような場面では、「需給関係が均衡している」と考えることができます。そして、値幅が小さくなればなるほど、より需給関係が均衡していると考えましょう。

ちなみに、この需給が均衡した状態を、日本の相場では古くから

「保ち合い」

と言います。値動きが膠着して横ばいになった状態のことですね。

また、既に他の記事でお話していますが、この揉み合い、膠着状態をボラティリティの観点から言えば

「スクイーズ」

と言います。

さらに言えば、この保ち合いを

「クラスター」

とも呼んだりしますよね。

ただ、海外の需給関係に注目したトレードは、均衡よりも不均衡に焦点を当てたものがほとんどのため、「不均衡」に対応する英語のトレード用語はあっても、「均衡」そのものを表す英語表記のトレード用語が「equilibrium」なのか(少なくとも僕の中では)ハッキリしていません。

なので、この記事においてはこれ以降、需給が均衡している状態を、そのまんま「均衡(状態)」とするか、もしくは「保ち合い」と表記してお話します。

需給の不均衡とは

次に、需給関係が不均衡な状態というのを、まとめておきます。

需給が均衡している状態が、「需要≒供給」なのであれば、そうでない状態が不均衡な状態ということです。つまり、

  • 需要>供給が続いている状態
  • 需要<供給が続いている状態
  • 需供の力関係が不規則に安定していない状態(「需要>供給」と「需要<供給」が不規則に繰り返されている状態)

になりますね。

既にお話しましたが、需要が供給を上回っている「需要>供給」の状態というのは、価格は上昇します。

逆に、供給が需要を上回っている「需要<供給」の状態では、価格は下降します。

至って難しい話ではありません。

で、3つ目の「需給の力関係が不規則に安定していない状態」ですが、これをチャート化したものは既にお見せしましたよね。こんな感じでした。

この状態も、テクニカル的に言えば「レンジ」と解釈します(過去記事にて説明済みです)。

が、需給関係が安定した状態のレンジではないため、過去の値動きから次の展開を想定しづらい状態ですので、同じレンジでもこちらのレンジは、トレード不可能な局面となります。

ただ、基本的に金融市場ではこの様な状況は、一時的なことがほとんどです。しばらくすると値動きの上下は安定してきて、需給関係は均衡した状態に近づいていきます。

さて、以上に見てきた様に、相場には需給が均衡した状態の局面と、不均衡の局面があります。これら需給関係の均衡・不均衡をもとに、実際のチャート図で見ると、こんな感じになります。

見ての通り、相場というのは、需給関係の均衡と不均衡を繰り返し続けているということが分かると思います。

ちなみに、需給関係の不均衡のことを英語圏のトレード界隈では、「Imbalance(インバランス)」と呼んでいる様です。アンバランスじゃないですからね、インバランスです。

ということで、この記事においても、これ以降は

  • 需給の均衡=均衡・保ち合い
  • 需給の不均衡=不均衡・インバランス

と表記してお話することにします。

さて、ここまでのお話で、需給の均衡・不均衡は把握してもらえたと思います。それでは、次に進んでいきましょう。

需給関係をロウソク足から読み解く

ロウソク足で見る需給関係

需給のバランスが「需要>供給」となると価格は上昇しますが、その上昇をロウソク足1本で表せば、もちろんそれは陽線となります。

逆に「需要<供給」の場合、その下落する様子をロウソク足1本で表すならば、それは陰線となります。

また、同じ陽線であっても、より実体の大きな陽線の方が、一定時間での上昇力が強いわけで、需給関係で言えば、不均衡の度合いがより強い(均衡がより大きく崩れている)と判断できます。(陰線の場合も、同様の解釈)

では、均衡状態の場合、ロウソク足1本はどうなるでしょう?

これは既にお話していますね。本来需給が均衡している場合、ロウソク足はヒゲも実体もない横1本線となりますが、現実の相場では実体もヒゲも小さなコマ足となります。

要するに、

  • 需要と供給の均衡が大きく崩れれば崩れるほど、ロウソク足の実体は長くなる
  • 需要と供給の関係が均衡に近づけば近づくほど、ロウソク足の実体は短くなる

ということです。

これも、至って簡単ですね。少し考えればすぐに分かることです。

では、次に進みましょう。

均衡時の複数のロウソク足の形成

では次に、均衡状態が保たれている間、ロウソク足はどの様にして複数形成されていくのかを考えてみましょう。

完全に需給は一致しなくとも、ほぼ均衡状態に入るとロウソク足は実体が小さくなるんでしたよね。

しかし、需給は完全には一致していないので、基本的には次のロウソク足で出来るだけ正確な均衡を保とうとします。つまり、1つ目のロウソク足が小さな陽線の場合、そのわずかな不均衡を解消するために、次の足ではそれをカバーするかの様な小さな陰線が生まれるんですね。

しかし、この陰線のコマ足もわずかな不均衡ですから、それを埋めるために次の足では陽線が生まれ、更にその陽線のわずかな不均衡を埋めるために次に陰線が生まれ・・・

というロウソク足の生成が繰り返されます。

もちろん、これは理屈を理解してもらうための教科書的な値動き解説図です。なので、実際のチャート上では、もう少し複雑です。

1つ目のロウソク足の不均衡を次の足だけで埋めることは出来ず、2本以上のロウソク足で不均衡を解消したりします。また、実体に比べてヒゲが長いロウソク足が続いたり、やや蛇行してロウソク足が並んでいたり・・・

とまぁ、色々なケースがあるんですね。

実際のチャートで確認してみましょう。下の図はポンドドルの日足です。

赤い四角で囲ったAとBは、先ほど解説した教科書的な均衡の保ち方です。陽線が出るとほぼ同じ値幅の陰線で不均衡を是正し、その陰線の不均衡を次の足の陽線で是正しています。

で、ここで注意してもらいたいことがあります。

それは、ロウソク足がつけたわずかな不均衡を次のロウソク足で是正する場合、必ずしも実体でそれを埋めた状態で終わる必要はないということです。例えば、前の足が陰線だった場合、次のロウソク足の値動きで上昇して一旦前の足の不均衡を埋めた後、次に下降して上ヒゲで終わってもOKです。

大切なのは、値動きが前のロウソク足の不均衡を埋めようとした形跡があるのかどうかです。

また、僕が図で解説しているものは、原理原則を理解してもらうために描いた理想的なものです。なので、現実の相場では必ずしも前の不均衡をピタリと埋めるわけではありません。完全には埋めきらないこともありますし、行き過ぎることもあります。あまり神経質にならない様にしてください。

で、この様なことを理解して見ていくと、赤く囲ったCとDも、容易に均衡状態だということが分かると思います。

次にオレンジ色で囲ったEとFを見て下さい。これは、最初のロウソク足を次の1本で是正しきれずに、複数のロウソク足で不均衡を是正して均衡を保とうとしている例です。これも容易に判断できると思います。

では次に、青色で囲ったところを見てみましょう。

これは、ロウソク足の実体だけを見ると、蛇行していたり上昇や下降をしている様に一見見えますが、ヒゲを含めたロウソク足全体で見ると、均衡状態だと分かる例です。これも、それほど難しくはありませんね。

ロウソク足の形はあくまで「一定期間における結果」でしかありません。その間の軌跡や次のロウソク足(期間)と連動してみることで、現在の値動きが均衡状態にあるのかどうかが判断できます。

次に、一番左側の緑色の四角で囲った局面を見て下さい。ロウソク足の軌跡から、この視覚の部分を1つの均衡状態と見ることが出来ますが、ロウソク足の実体を中心に見た場合は、2種類の揉み合いと見ることもできます(緑色で塗り潰した丸部分)。

ちょっとこの部分、詳しく解説しようと思ったんですが、かなり長くなるので割愛しますが、こういった細部もきちんと見ることで、実際のトレードにおいてはレンジ内取引にうまく活用できるようになります。

更にもう1点、解説しておきましょうか。

オレンジ色の四角で囲ったEとFの間にあるピンク色で塗り潰した部分を見てください。数本のロウソク足で下にじり下がりしていますよね。

しかし、このじり下がりした不均衡は、Fに入ると、次の陽線1本だけで是正されています。そしてFではこの陽線の不均衡を数本のロウソク足を使って是正しているという形になっています。

なので実際には、ピンク色の部分とFの両方を合わせて1つの均衡状態とするのが、正しい判断です。(ここでは、均衡状態を分かりやすく解説するために、敢えて分けてみただけです)

さて、ここまで解説してきて、何となく気づいた人もいると思いますが、

「プライスアクション」

というと、出来上がったロウソク足の形状だけに注目されがちです。実際、解説している側もその形状だけしか解説してませんしね。

でも、どんなに「プライスアクション」と横文字を使って格好つけたとしても、要するに「値動き」のことなんですよ。

価格がどの様に動いているのか、そのロウソク足の「軌跡」をたどることが大切なんです。丁寧にね。

とは言え、例えば上の図は日足ですから、デイトレするなら直近の数本、多くても10本程度の値動きを把握すればOKなことがほとんどです。

慣れてしまえば、ほんの数秒で済む作業ですよ。日足分析に、ほんの数秒の判断を加えるだけで、その日のトレードの分析は格段に上がります。

需給の均衡が崩れる時

さて、ここまでは均衡状態が続いている際のロウソク足の形成についてお話してきました。

今度は、均衡が続いていた需給が崩れる時のことを考えていきましょう。均衡状態が崩れるというのは、チャート上では一体どの様な時なのでしょうか?

需給が均衡している状態とは、小さなロウソク足が並んだ状態、つまり値幅の小さいレンジでした。

で、この均衡が崩れるというのは、下図の様な状態です。

そう、「レンジ・レイク」した時です。

レンジにも色々ありますが、値幅の縮小したレンジというのが、いわゆる「需給が均衡した状態」で、その均衡が崩れる時が、レンジ・ブレイクとなるわけです。

レンジ・ブレイクするパターンは、上図でお分かりの通り、主に2種類です。

  • 低値を徐々に切り上げて、ブレイクする
  • レンジ中の小さな値幅のロウソク足に対して、明らかに大きなロウソク足(大陽線・大陰線)が生まれて、ブレイクする

ただ、いずれにせよ実際にレンジをブレイクするのは、「たった1本のロウソク足」(上図赤い矢印)です。

まずはそのブレイクしたたった1本のロウソク足について、少し考えていきましょう。

需給の均衡状態が続いているということは、売りも買いも同程度の量で売買が繰り返されているということです。

なので、その均衡を破るだけの量の資金が流入しなければ、レンジは破られません。つまり、レンジをブレイクするきっかけとなった1本のロウソク足には、レンジをブレイクするだけの資金が詰め込まれていると解釈できます。

では、その需給の均衡が崩れるきっかけとなった証となるロウソク足を見比べてみましょう。

AとB、どちらのロウソク足が、均衡をより大きく崩したと思いますか?

簡単ですね。Aの方です。

BよりもAの方が、陽線が大きい。より大きく均衡を崩したということになります。

つまり、均衡状態にあった際のロウソク足たちに比べ、大陽線や大陰線が出現したというのは、需給関係が大きく崩れた証だということです。

ただ、ここで注意してもらいたいことがあります。

BよりもAの方が陽線が大きいということは、Aの方がより多くの買い資金が流入したのでしょうか?

いいえ、それは分かりません。だって、外為市場では株式市場の様に出来高が分からないんですから。なので、正確な買い資金の流入の量は分からないんですね。

例えば、大陽線AとBの買い注文量が同じであったとしても、Bの売り注文が多ければ、陽線は小さくなります。もっと言えば・・・

大陽線Aの買い注文量が100、Bの買い注文量がそれより大きい120であったとしても、大陽線Aの売り注文量が20しかなく、Bの売り注文量が100であったとしたら?

そう、買いと売りの比率はAの方が大きいので、Aの方がBよりもより大きく上昇しやすい、つまり大陽線を形成しやすいことになります。

要するに買い圧力と売り圧力の比率、バランスの問題です。

需要と供給の差が大きいほど、よりバランスが崩れた方が、均衡をより大きく崩したと判断することになります。

ロウソク足が大きければ大きいほど、資金の流入も大きいと思っている人は多いですが、違いますからね。ロウソク足が大きければ大きいほど、需給のバランスが大きく崩れていると解釈してください。

(資金流入の度合いを推し量る術は、無いこともありません。ただ、これを書き出したらまた長くなり過ぎたので、割愛しました)

いいですか。ロウソク足の長さというのは、資金量の大小そのものではなく、バランスの崩れ方(不均衡の度合い)を表すものであると、覚えておいてください。

市場は需給のバランスを保とうとする

先程お話した通り、需要が供給を上回り、需給のバランスが崩れると、価格は上昇します。そして、その不均衡が続く限りは、価格も上昇を続けます。

しかし、ここで知っておかなければいけないことがあります。

それは、需給関係が不均衡であっても、市場はその不均衡を手放しでは放ってはおかないということです。市場においては、需給のバランスを保とうとする力が働きます。

つまり、価格は上がっても、次には下げてくる。そうやって出来るだけ需給のバランスを保とうとするのが、市場の原理原則なんです。

  1. 需要が供給を上回る(需給の不均衡)と、価格は上昇する
  2. しかし崩れたバランスを保とうと、上がった価格は一旦下がる
  3. しかし、大局では不均衡は続いているため、再び価格は上がりる
  4. その不均衡を是正しようと、再び下がる
  5. 再度価格は上がり、また下がる

これを繰り返しながら、価格は上昇します。

「市場原理」というと何やら凄そうですが、そんなことはありません。

買えば価格は上がるし、売れば価格は下がります。需給が均衡状態であればまさしくその繰り返しで価格を同水準で保ちます。

しかし、「需要>供給」という状況でも、理屈は同様です。

買いたい人が売りたい人を上回っていれば、価格が上昇しますよね。

すると売りたい人たちは、価格が上がったのを見て、

「お!高く売れるぞ!今のうちに売ってしまえ!」

となって売りに出すので、一時的に供給は需要を上回って、一旦価格は下がります。

しかし、価格が下がれば、やはり買いたい人が買ってきて、価格は上昇するわけです。

しかも、需要は供給を上回っている、つまり全体的には買いの量が売りの量を上回っているわけですから、価格は売りで下がったよりも更に大きく上昇します。

で、大きく上昇したら、やっぱり売りたい人が出てくるので、価格は一旦は下がる。そして下がった価格を買いたい人は買って更に価格は上がり・・・

これを繰り返しながら、価格は上昇していくわけなんですね。

で、これが上昇トレンドです。崩れたバランスを出来るだけ修正しながら、それでも崩れたバランス全体は是正できずに上昇を続けている姿が、上昇トレンドなんですよ。

お手本の様な図にすると、こんな感じになります。

「需要>供給」という不均衡により①-②で価格は上昇したとしても、市場はバランスを保とうとし、②-③で一旦下げます。しかし、市場全体は「需要>供給」という流れなので、再び③-④で価格は上昇します。

ところが市場は均衡を保とうとし、不均衡を是正すべく④-⑤でまたまた価格は下げることになります。

しかし、やっぱり市場は全体として「需要>供給」という流れなので、⑤-⑥と価格はまたしても上昇していきます・・・

というのが、上昇トレンドの流れなんですね。

ただ、ここで1点注目してもらいたいことがあります。それは、この図にある青いラインです。

②の高値に引いたラインで⑤は止められていますね。

もちろん、これは教科書的な波の描き方です。青いラインに⑤は届かずに反転上昇をすることもありますし、青いラインを一旦下回った後に反転上昇することもあります。

しかし、敢えてお手本によって、基本的な値動きの原理を理解してもらいたいのですが、

③-④の上昇波の波は、②の高値に⑤の低値が到達することによって、帳消しにされていることに気づいてください。

①から⑥まで上昇する際、①-②-③-④-⑤-⑥という経路であっても、①-②-⑤-⑥という経路であっても、結果として上昇した値幅は同じです。つまり、①から⑥に至るまでの道のりでは、灰色で囲った②-③-④-⑤は回り道(寄り道)しただけのことでしかなく、結論だけで言えば、

「別に、灰色で囲ったコースは、無くても良かったじゃん!」

ということになるわけです。

つまりですねぇ・・・図にすると、

というのは、

というのと、結果としては同じことになるわけです。

大切なことなので、繰り返して言いますが、

③-④の波は上昇波なので、「需要>供給」という不均衡を表していますが、次の④-⑤の波で、⑤が②と同じ価格まで下落することで、③-④という不均衡の波は結果として、

②-⑤という横ばいの波、つまり均衡状態に是正されたのと同じ意味合いを持つことになるわけです。

市場というのは、不均衡が続き価格が上昇(下降)していても、この様にして出来るだけ均衡状態を作り出そうとしながら、上昇(下降)を続けているんですよ。

僕らが見慣れた、このジグザグと価格が波を描いて進んでいくという動きは、需給の不均衡とその不均衡を是正しようとする市場原理を表している動きなんですね。

ちょっと、ややこしいですかね?

でも、頑張ってついてきてください。

ロウソク足で見るトレンド時の不均衡是正の仕方

まずは基本から

では、今度は先ほどの上昇トレンドの波の図を、3本のロウソク足だけで表現してみましょう。以下の様になりますよね。

A、B、Cの3つのロウソク足が波の高値と低値を捉えています。

ただ、ちょっと見づらいんで、波を消してロウソク足だけにしてみます。するとこんな感じ。

先ほどの波と同じように、ロウソク足Aの高値(上ヒゲ)とロウソク足Cの低値(下ヒゲ)がロウソク足Bを丸々埋めきってしまっていますよね。

先程、波の形で見た考え方をこのロウソク足で当てはめるなら、

不均衡である陽線Bは、(次のロウソク足Cの低値がロウソク足Aの高値まで下げたことで)ロウソク足Aとロウソク足Cによって不均衡が是正されている

ということになります。

つまり、ロウソク足が1つ1つ形成される動きというのは、

1つ前のロウソク足の不均衡(陽線・陰線)を是正しようとしながら、新たにロウソク足が形成される

ということなんですね。

この図の次の展開として、Cの次に新たにDというロウソクが生まれたとしても、今度は陽線であるCの不均衡を是正するために、ロウソク足Dは一時的ではあっても、Bの上ヒゲの先(高値)に到達しうようとするんです。

まずは、不均衡が続いている(トレンド継続時)場合であっても、ロウソク足は1つ前のロウソク足の不均衡を是正しようとしながら形成され続ける、という基本形を覚えてください。

不均衡を埋め過ぎた場合も同じ

ところで、実際の相場では先の様にお手本的な展開とはならず、下図の様にCの低値がAの高値を越えてしまうことは、普通にあります。

しかし、これもAのヒゲとCのヒゲでBのロウソク足を埋めきってしまっているので、このパターンも「不均衡は是正された」と解釈することになります。

確率論と普遍性

ということで、この様に3本のロウソク足の内、その両側の足が、真ん中の足の実態の隙間を埋めるかのようにして形成されていくというプライスアクション・・・

このプライスアクションが、市場原理においては、基本となります。

ここでは上昇トレンドを例に解説しましたが、下降トレンド中であろうが、そしてレンジ中であろうが、同様の理屈でロウソク足は形成されていきます。

ただ、勘違いしてほしくないのですが、これはあくまで基本的な考え方です。絶対そうなるわけではありません。

トレードで勝てない人というのは、テストの回答と同じ様にたった1つの正解を求めたがります。しかし、トレードというのは現在から未来に対する差益を求める作業ですから、絶対的な1つの正解というのは存在しません。

未来に起きる事実とは不確実性の中にあるわけですから、確率で考えます。確率の高い方に向かって実行するのがトレードなんですよ。

唯一無二の正解を求めるのはただ自分自身が安心したいだけのことであって、確率思考に頭を切り替えられなければ、トレードで勝ち続けることは不可能です。

で、いつもそうですが、今回のお話もその確率論の中でお話しています。今お話しているプライスアクションも、絶対そうなるという話ではなく、大半がそうなるということです。

で、この確率ですが、一説ではおよそ8割程度と言われています。

ただ、僕自身が調べた結果では、前のロウソク足の不均衡を次の足で完全に埋めきるのは、正直8割には届きません。

また、局面によってバラツキが結構あるようで、「少ない時で6割、多い時で8割に届くかどうか・・・」という言い方が適切でしょうか。やはりトレンド時では不均衡を是正できないケースが多く、また値動きが荒い場合も是正されにくい様です。

(ただし、「完全に埋めきる」という解釈でのもとでの計算です。これについては、後ほど更に解説していきます)

では、例として、ちょっと下の図を見てもらいましょうか。次のロウソク足で不均衡を是正できなかった隙間をピンク色で塗りつぶしてみました。

上図の局面で言えば、是正しきれなかったのは3割弱で、その大半は不均衡を是正しながらロウソク足が形成されていっています。

この様にロウソク足は基本的に、前の足の不均衡(インバランス)を是正しようとしながら形成されるということを、まずは覚えておいてください。

さて、ここまでは理解できましたか?

かなり噛み砕いてお話しているので、理解できていると思います。

ではここで、もう一度先ほどの図を見てみましょう。

この図では①より前の波が描かれていませんが、仮にこれ以前の波は高値が②と同様のポイントで止められているとしましょう。つまり、②の高値で引いたラインが、レンジのレジスタンスだったら、ということです。

であれば、③-④の波でレンジ上限をブレイクし、⑤でこのラインを試してから再度上昇しているという波になりますよね。

つまり、ロールリバーサルです。

ということは、

青いラインがレンジ上限のレジスタンスだった場合、この3本のロウソク足はロールリバーサルを表していることが分かると思います。

要するに、レンジ・ブレイクという均衡を強く破った様な時であっても、市場は均衡を保とうとするんですね。

ロールリバーサルというのは、レンジ・ブレイクの判断として使われますが、実際の相場においては、実は特別な値動きというわけでもなんでもなく、ただ市場が均衡を保とうとする極日常的な値動きの中の1つにしか過ぎないんですよ。

不均衡を埋めきれない場合

さて、市場は需給の均衡を保とうとするのが原理であり、ロウソク足もそれに従って形成されていく、ということがここまでの解説で分かったと思います。

しかし、その確率は少ない時で6割程度、多い時でも8割ほどです。

当然、不均衡を是正できないこともあるわけです。図にすると、こんな感じなります。

Bの不均衡をCは是正できず、Aの高値まで下げるどころか、大して下げもせずに陽線をつけて終わっています。

ということは、このAの高値とCの低値には不均衡を是正できなかった証として、隙間ができますよね。

この埋められなかった隙間が、不均衡を是正できなかった箇所であり、ここにインバランス(不均衡)が残されていると解釈できます。

ただし、同じインバランスでも、2つの解釈ができるんですよ。

先程解説したお手本の様な画像をもう1度見てください。

これって結局、

これと同じだったわけですよね。

これ、ロウソク足に変換して考えてみてください。

このロウソク足の並びは、結局のところ、下の図と同じということになります。

Bのロウソク足は結果として、高値低値始値終値が完全に一致した一本線と同じ意味合いになります。

しかし、既にお話した通り、金融市場において完全均衡である一本線は滅多になく、実質的には値幅の小さなコマ足は、ほぼ均衡状態とみなすわけでしたね。

であれば、当然のごとく、

上図の様にわずかなインバランスが残された場合は、

上図の様に、AとCのロウソク足が完全にBを埋めきらなくとも、Bはコマ足状態と同じことになるわけですから、「ほぼ均衡状態」と考えることが出来るわけです。

 


補足:

上記の解説図を見て「ん?」って思った方もいると思うので、ちょっと補足しておきます。先ほど提示した2つの画像、

と、

は、正確なロウソク足図とは言い切れません。Aの終値とBの始値、Bの終値とCの始値が一致してませんからね。(株式の日足ならあり得ますが、外為市場では滅多にお目にかかれないロウソク足の並び方です)

しかし、これは解説の便宜上、「同じ意味合いになる」という理由でロウソク足を描いているため、その様になってしまっています。

これを波で解釈すると、

と同様の意味合いを持つことになるわけですから、この均衡状態の部分だけをそのままロウソク足に変換してみると、

という風に解釈できるという意味です。

「下手に手を加えると、逆に理解しづらいかな」と思い、上記の様に解説しています。

ただ、こちらの解説が理解しにくい人もいるかと思うので、違う解説の仕方を以下に加えておきます。

 

例えば、

この様にわずかなインバランスが残されている場合、どの様な解釈をするかというと・・・

ロウソク足1本の期間をずらして考えてみてください。

  • 1本目のロウソク足の終値は上図Aが高値に到達した時点で、そこから2本目のロウソク足が始まる
  • 2本目のロウソク足の終値は上図Cの低値に到達するまで続き、そこから3本目のロウソク足が始まる

この様に、ロウソク足が確定する時間をずらして考えると、

というロウソク足たちは、

という風にも解釈できるため、Bはほぼ均衡を保った状態と判断することが可能になります。

 

う~ん・・・どちらの解説が理解しやすいかは、人それぞれですかね。いずれにしろ混乱してしまうなら、ロウソク足ではなく、「波」で理解してください。


 

ということで、僕の流儀から言えば、前の足の不均衡を次の足で完全に是正できなくとも、そのインバランスがわずかであれば、「不均衡を是正した」と考えることになります。

先ほど僕は、僕自身が調べた結果では「不均衡を完全に是正しながらロウソク足が形成さるのは、少ない時で6割、多い時で8割程度」と言いましたが、この様に不完全ではあってもほぼ不均衡を是正したと考えられるものも含めると、

「市場において次の足が前の足の不均衡を是正するのは、8割程度」

となります。市場はトレンドが出ていても出ていなくとも、結果的には不均衡を8割ほど是正しながらロウソク足を形成していくわけです。

となると、残りの2割が気になるところです。つまり、

上図の様に、明らかに不均衡が是正されず、大きなインバランスを含んだ状態が、市場には2割ほど存在するわけです。

で、この埋められなかった値幅、つまり不均衡を是正できなかった値幅のことを、

「FVG(FairValue Gap)」

または、そのまんま

「インバランス(Imbalance)」

と呼びます。

現在の潮流から言うと、「FVG」と呼ばれることが圧倒的に多いです。この記事では、特に使い分けることなく、両方の呼び方を用いることにしますね。

ということで、この3本のロウソク足が織りなすFVGというプライスアクションについて、次章でもう少し解説していくとしましょう。

 

・・・と思って書き出してたんですが、今回の記事はここでお終いにします。さすがに長過ぎなんで。

次回は、FVGだけでなく、エントリーのタイミングをとるためのプライスアクションの見方くらいまでを解説出来たらな、と思ってます。

まぁ、需給関係をベースにしたトレードは、それだけに留まらないんですけどね。その辺りは機会があるたびに解説していこうかな、と。

それじゃあ、また。

ラインとオーバーシュート(100年の時を越えて)

既にX(旧Twitter)のポストにて、ご存じとは思いますが、

いやぁ~、久しぶりに入院してました。

ただまぁ、お陰様で大事に至らず、先日退院したところです。

もちろん退院したといっても、まだ仕事復帰できるレベルではなく、自宅療養中なんですが、

「暇なんで、ブログの記事1つくらい書いておこうかなぁ・・・」

なんてことで、今パソコンの前にいます。

今日は、久しぶりにラインのお話をしますね。

それじゃあ、始まり始まり~!

プロローグ

本題に入っていく前に、少し話しておきたいことがありますので、少々おつきあください。

深堀をしていこう

今回のお話はラインについて・・・

とは言っても、ラインそのものではなく、ラインを引いたときに現れる「オーバーシュート」についてお話しようと思っています。

ただ、それ言うと

「オーバーシュート?ああ、あれね。そんなの知ってる」

とか言ってスルーする人って、いるんですよね。

 

勝てないくせに。

 

勝てない人って、謙虚さが足りないんですよ。相場に対する謙虚さが。実は何も分かっちゃいないくせに、分かった気になって先に進もうとします。

「日足5SMA分析シリーズ」を読んで理解している方も多いと思いますが、たかが移動平均線1本に対しても、大切な思想とロジックが詰め込まれています。

勝てない人たちが、ただ読み聞きしただけで「知ってる」として、通り過ぎてしまっていることを、勝ち続ける人たちというのは、追求し続けているんです。

そして、今回お話しするお話も同様です。

ライン1本、オーバーシュート1つにしても、そこには金融市場の様々な思惑に対応するための思想とロジックが詰め込まれています。

ということで今回は、多くの人が当たり前に通り過ぎてしまう、そのヒゲを付けたロウソク足たかが1本が織りなす物語について、深堀していこうと思います。

ついて来いよ。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

世紀の大発見

先程、随分と偉そうに、

「相場に対する謙虚さが足りない」

とか言いましたが、当の僕自身、振り返ってみると恥ずかしいことばかりを繰り返していました。

その中でも、大いなる勘違い野郎だったことがあります。

あれは、もう何年前のことだったでしょう?5年前?いや、もっと前か・・・

皆さんもご存じだと思いますが、相場には「ストップ狩り」というものがあります。

僕も含めて多くのトレーダーたちが、そのストップ狩りに、いやな思いをさせられた経験があると思います。

ただ、僕はそのストップ狩りについて、しばらくの間めちゃくちゃ疑問を持っていたんですね。

「ストップ狩りって、本当に儲かるの?」

ってな感じで。

で、その答えを探して、僕はしばらくの間、チャートとにらめっこしながら、

あーでもねぇ、こーでもねぇ

と考察を繰り返していたんですが、ある日ふと、その答えを見つけちゃったんですね。

「あれ?これって、相場の原理原則じゃね?」

「ひょっとして、大発見?俺って、天才?」

ってな感じで。

その内容は、「それを知れば、トレンドの初動をかなりの確率で捉えることが出来る」というくらいの相場の真理です。

で、僕はその真理について、これを公開してドヤることで、思いっきり承認欲求満たすべきか、秘密にして自分一人で独り占めするか、ニヤケながら考えたんですね。

で、その結果、

「黙っておこう。僕だけの秘密にしちゃおう」

という選択をしたわけです。まぁいずれにしても、自己満足にしかすぎません。

が、しかし・・・

僕はそこからさらに数年後、思いもよらない形で、自分の愚かさを自覚することになります。

100年の時を越えて

今から3年前、秋頃のある日の話です。

僕は何気なく書店に足を運び、

「どうせ、くだらない内容の本しか置いてないんだろうけどな・・・」

なんて思いながら、トレード関連の書籍コーナーの前に立ったんですね。

すると、今まで見かけたことのないカバーの本が目に留まりました。

「あ、新刊か」

そう思って、手に取りパラパラとページをめくります。

 

「・・・ん?」

 

ちょっと気になることがありました。

「ここに書いてあるチャート図の解説・・・俺の相場認知の仕方と似てるなぁ?」

で、さらにページをパラパラとめくっていった直後、

 

僕の頭の中で、衝撃が走りました。

 

だってね、僕が世紀の大発見だと思って隠してた真理が、そこには普通に書かれてたんです。

しかも、その理論がアメリカで公開されたのは、今から100年前って・・・

 

あ~、内緒にしておいて良かったぁ・・・

知らずにドヤ顔で話してたら、めっちゃ大恥かいてたじゃん。

ぎりぎりセーフだぜ!

( ̄ー ̄)b

ワイコフ理論

僕が手に取った書籍の名前は、

「ワイコフメゾットの奥義」パンローリング社

著者は、デビッド・H・ウェイスという人ですが、ここに書いてあるメゾットを生み出したのは、

リチャード・ワイコフ氏

彼の理論は「ワイコフ理論」と呼ばれていますが、実はワイコフがこの理論を発表したのは、もう100年も前の話になります。

このワイコフ理論、日本での認知度はそれほど大きくはありませんが、海外においてはかなりメジャーです。

つか、今のトレード技術の発展を牽引しているのは、この理論がベースにあると言っても言い過ぎじゃないくらい。

で、今日僕がお話しようとしている「オーバーシュート」の話というのは、ワイコフが言うところの

「Spring(スプリング)」

のお話です。

ということで、前置きが長くなりましたが、本題の方はもっと長々となります。

ついて来いよ。

( ̄ー ̄)b

BOZ流ライン引き方のおさらい

BOZ流ライン引きの大前提

BOZ流においては、ご存じの通り

  • できるだけ多くのロウソク足のヒゲや本体の端っこに触れるように引く
  • 引いたラインは目安であって、ゾーンとして捉える
  • なので、価格がオーバーシュートするのは当たり前のこと

というのがライン引きの前提にあります。

BOZ流において、ラインをロウソク足のヒゲ先や実体の端に引くという考え方はしません。

なぜなら、引いたラインは目安であって、そのラインの周辺一帯には売り方と買い方の戦場があると考えるからです。

で、この戦場となった形跡のある一帯を、僕は「ゾーン」と呼んでいます。

ただ、このゾーンを2本で描くのが面倒だし、それを続けるとチャートがごちゃごちゃして見づらくなるので、僕はこのゾーンの基点をライン1本で表現するんですね。

で、それがBOZ流ライン引きとなります。

僕のラインに関する解説についてまだ知らないという方は、「お勧めの記事」から、ライン関係の記事を貪る様にして読んでおいてください。後から見直すとダメ押し感満載なんですが、それでも下手な教科書よりはきちんと書かれていると思います。

なお、ゾーンに関しては、軽く触れる程度で、具体的な引き方など、これまで詳しく解説はしてきていません。

これについては、改めて機会があれば書きたいなぁとは思ってるんですが、ただ恐らくそれだけで記事が膨大になると思うので、正直気が引けるですよねぇ。

まぁ、書くのであれば、僕のいうゾーンだけじゃなく、OBやSup&Demなんかの海外のゾーン(的なもの)についても、ちょっと触れていこうかな・・・とは考えてます。

でも、やっぱ気が引ける。だって面倒なんだもん。

ライン際を見極める

さて、本題に戻しましょう。

ラインを引くという行為は、相場の状況を把握し、それを可視化するために引くというのが目的なんですが、

実際のトレードにおいては、その引いたライン際での値動きの挙動を見極めることが、大切になってきます。

つまり、価格が

  • ラインを抜け切る(ブレイク)のか?
  • ラインに到達したら(もしくは到達せずに)反転するのか?
  • ラインを一旦抜けた後、再びラインの内側に戻る(オーバーシュート)のか?

を見極めるために、ラインを引くわけです。

チューニング

ただ、1つ問題点があります。

それは、BOZ流ライン引きというのは、「このポイントただ1点に引くのが絶対」というのがないので、人によってラインの位置が多少異なってくることになるんですよ。

もっと正確に言うと、同じ人であっても、

「この辺かな?いや、この理屈で言えば、もう少し上にも引けるぞ。いや、もっと下に引くこともできるし・・・」

ってなるわけです。

僕が解説した通りに引こうとすると、引けるラインには、その上下に値幅が出てくるんです。

で、その上下の値幅の中で、ラインを移動させて調整することを、

「チューニング」

と呼んでいます。

で、本来は、「最もアナタ自身が値動きを把握しやすい位置にチューニングして引く」というのが理想なんですが、それだとあまりにも曖昧。

ということで、チューニングの仕方としては、

「ラインは、価格が向かってくる方向に出来るだけ近い位置に引く」

ということを推奨しています。

確か、「ライン引きの手引き(3)」でお話したと思いますが、この場を借りて、もう一度そのチューニングについてお話しますね。

下の図はポンド円の15分足。BOZ流では、パターンライン以外は分足には引かないのが原則ですが、1時間足に引いた後に分足でそのラインをチューニングするという例として、解釈してください。

で、紫色で塗りつぶしたところをポイントにして、ラインを2種類引いてみました。この2本が、ラインをチューニングする際の上限と下限です。

ではまず、価格がラインに向かって上昇してくる局面(赤い矢印)を見てください。

実際にトレードする場合、どちらのラインの方が判断しやすいですかね?

そう、青色の線です。赤色の線には届かず反転するので、トレードしやすさから言ったら、青色の線になります。

ところが、ラインを抜けたてしばらくグダグダとした後、価格はもう一度このラインに向かって下がってきています(青い矢印)よね。その時は、どうでしょう?

今度は、青色のラインには届かず、赤色のラインの方がきっちり到達していて、トレードがしやすいと思います。

つまり、どちらのラインの引き方が正しいのか?なのではなく、

ラインは価格が向かってくる側に寄せて引いた方が、トレードしやすくなる

ということなんですね。

では、この後の展開も見ていきましょう。今度も価格が向かってくる方向から、近い方にチューニングしたラインと遠い方にチューニングしたラインの2本を引いてみたので、見比べてみてください。

価格は、勢い良く下から上に向かって2本のラインを抜けました。

で、ここで勘違いしてほしくないのですが、

価格が向かってくるのに近い側にラインを引いた方が良いといったので、抜けるまでは青いライン、でも抜けた後は下に向かってきているから、すぐにラインを赤いラインまで引き上げる・・・というのは、間違いです。

最初にも言った通り、「ラインとはオーバーシュートするのかどうかを見る」というのが、大きな主旨の1つです。

「オーバーシュートするかどうかを見る」

というのは、

「ラインを一旦上に抜けた後、直ぐにそのラインをもう一度下回るかどうか?」

を見ることなので、価格がラインを越えたからと言って、直ぐにラインを移動させてはいけません。

ということで、まずは青ラインから見ていきましょう。

価格は青ラインを一旦抜けた後に下へ向かいますが、そのラインに下落を阻まれて、その後上昇していますね。

つまり、オーバーシュートせずに、ロールリバーサルを形成したので、「抜けた」と判断します。ロールリバーサル形成と判断したら買いエントリー、ということになります。

では、もし赤ラインの様に、価格から遠い側に引いてしまっていたら、どの様なトレードになったでしょうか?

赤ラインを抜けた後、価格は下落をはじめ、赤ラインを割り込み陰線で終わっています。

「オーバーシュート?」

この赤ラインを使ってしまうと、オーバーシュートした様にも見えてきますし、判断が難しいですよね。

オシレーターも併せて、もう1度確認してみましょう。

ラインを割り込んで陰線で終わってしまったあと、次のロウソク足も陰線で終わっていますが、、オシレーターはそのタイミングで、高値圏でデッドクロスしてしまっているのが、分かると思います。

「反転した」

そう思って、売ってしまいそうです。

でも、結果を見ればわかる通り、その判断は誤りだったわけですよね。

この様に、値動きから遠い方向にラインをチューニングしてしまうと、オーバーシュートを見る際に判断を誤ることが続出してしまうんですね。

しかし、青いラインの様に価格が向かう側に引いてしまえば、ロールリバーサルが視認しやすいですし、この局面をオシレーターで確認してみると、

高値圏で一旦デッドクロスしますが、そのタイミングではまだ青ラインに到達していないですよね。

で、青ラインに到達したポイントでは、オシレーターはまだ高値圏を下抜けできていません。

そしてその後、価格が青ラインからロールリバースを始めるタイミングで、オシレーターはもう一度ゴールデンクロスしはじめます。

これなら、ラインを引いて観察した値動きとオシレーターの動きが一致しているので、この2つの根拠をもとに、安心してこのタイミングで買いエントリーができるわけです。

この例からもわかる様に、ラインを引く場合のチューニングは、値動きが進んでくる方向に近づけて引くことで、実際のトレードにおいては適切な判断がしやすくなるわけです。

ということで、チューニングする際には、このやり方をお勧めしています。

ただ、繰り返しますが、一旦価格がラインを抜けたとしても、完全に抜けたと判断できる、つまりオーバーシュートしなかったと判断できるまでは、そのラインは動かしませんからね。

この点を間違えずに、ライン引きの練習を頑張ってもらえたらな、と思います。

BOZ流エントリーの仕方

既にご存じの通り、僕のエントリーにおけるトリガーのロジックは、

  • 到達確認
  • 反転確認

の2つです。優先順位もこの順番です。

ここでは、この点に力点を置いて、もう一度ライン際での値動きの見極め方をおさらいしましょう。

エントリーのロジックを、ライン際での見極めに用いる場合、

①の様に、

ラインに到達したことを確認し、そこから反転が確認できたら売りエントリー(反転確認できなければ、再びライン越えを試す可能性がある)

②の様に、

ラインを一旦上抜けたが、再びラインの下側に戻り、反転が確認できたら売りエントリー(オーバーシュートを確認してレンジ内取引)

③の様に、

ラインを一旦抜けた後、もう一度ライン方向に戻ってくるが、ライン内まで戻り切れず再び抜けた方向へと反転が確認(ロールリバーサル)できたら買いエントリー(ラインブレイク取引)

となるわけですね。

(ここでは、価格がラインを上にブレイクするかどうかの例えです。ラインを下にブレイクする場合の解説は省きますが、理屈は一緒ですので、この解説の内容を逆さまに解釈して読み進めてください)

ではここで、①のようにはいかず、ラインに届かずに再度下に向かってしまった場合のことを考えてみましょう。

ラインに到達できなかった場合、そこで売って良いのかどうか判断に迷いますよね。

未到達な場合、その未到達具合を推し量る(これも到達確認)必要が出てくるんですが、それって難易度が高いです。

だから、エントリー判断が下しやすいように、ラインは価格に到達しやすい位置に引く、つまり価格が向かってくる側にチューニングして引く優位性が、ここでまた出てくるんです。

ところが、ラインに到達しやすい様に引いてしまうと、逆にそれはオーバーシュートしやすくなる様に引いてしまっているとも言えます。

でも、それでOK。ラインはオーバーシュートするように引くのが正解です。

だって、ラインにピタリと止まってから反転する①のエントリー・ロジックと、オーバーシュートしてから反転する②のエントリー・ロジックは、全く同じなんですから。

逆に、BOZ流においては、価格がラインを抜けた途端に飛び乗って良いというエントリー・ロジックは存在しません。

ラインを一旦抜けた後の価格の挙動を見てからエントリーするのが、BOZ流のやり方なんですから、何一つ問題はありません。

では、今度は③のイレギュラーなパターンはどうでしょう?

③ではラインをもう一度試してから、反転上昇していますが、こんな風にきれいなロールリバーサルが起こるとは限りません。

  • ラインを抜けたら、そのまま押し目もつけずにグングンと伸びていくパターン
  • ラインを抜けた後、一旦ラインに向かって下がってくるが、ラインには届かず反転上昇をしてしまうパターン
  • ラインを抜けた後、再びラインの下に戻ってしまうが、再度反転上昇して、ラインブレイクを成功させるパターン

こういったケースが考えられますよね。

これに関しては、最初のケースだけお話します。(それ以外のケースは、次の章以降で解説していきます)

BOZ流のエントリーのやり方は、

  • 到達確認
  • 反転確認

を経てからのエントリーとなります。

なので、ラインを越えた後に押し戻しもつけずにグングン伸びてしまう場合、僕のエントリー・ロジックにおいては、ただ指をくわえて見ているだけになります。

でも、それがBOZ流エントリーなんですよ。

そして、それが正解。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

ブレイク後にぐんぐんと伸びてしまったら、小さな時間足に切り替えて、そこでの押し目戻りを拾います。それでも押し戻しをつけなければ、指をくわえてみています。

ブレイク後に全く押し戻しをつけずに上昇し続けるのは、ごく稀にしかありません。なので、そんな滅多にないことのために、飛び乗りをしてしまうのは、危険行為以外の何物でもありません。

仮に飛び乗りで大儲けできたとしても、それは失敗でしかありません。むしろ、その失敗を成功体験としてしまうから、その後も飛び乗りを続け、資金を減らし続ける原因になるんですよ。

だって、飛び乗りは下手クソな人がやるエントリー方法だからです。まぐれで稀に勝って、必然で負け続けます。

もちろん、ライン・ブレイクの飛び乗りが絶対禁止というわけではありません。ただしその場合、

  • 適切な決済(損切り・建値・微益)が、直ぐに出来る判断力と柔軟性
  • 多くの損切によって勝率が下がっても、利益が残るくらいの総合成績

を持ち合わせたトレーダーに限ります。

もしくは、飛び乗っても良い時とダメな時の判断ができるロジックを持ち合わせたトレーダに限ります。

そう、つまりライン・ブレイクで飛び乗って良いのは、優秀なトレーダーだけなんです。

オーバーシュートの本質

さて、ここからはオーバーシュートについて深堀をしていこうと思います。

もちろん、おさらい的な内容からはじまりますが、

「そんなの知ってる」

って、終わらせないでくださいね。

改めまして、オーバーシュート

オーバーシュートとは、「行き過ぎ」のことです。一旦ラインを抜けますが、結果として元の鞘に収まってしまうことを、オーバーシュートというんでしたね。

では、聞きます。

なぜ一旦ラインをブレイクしたのに、そのままブレイクした方向に価格は進まず、再びもと来た道を戻ってしまうのでしょうか?

答えは簡単です。

それは、「フォロースルー」がないからです。

フォロースルーとは何か?

フォロースルーとは、「追随」「追随者」のことです。

買い圧力が強くなってラインをブレイクした後、さらに価格がブレイクした方向に伸びるためには、価格を押し上げるだけの買いが続く必要があります。

しかし、買いの追随(追随者)がなければ、価格はブレイクした後に、そこで止まってしまいます。

価格がラインをブレイクしても、フォロースルーがなければ、ブレイク後に価格は推進しないというわけです。

オーバーシュートの実態

ここまでの解説を含めて、オーバーシュートとは何かを説明すると、

オーバーシュートとは、買い方が買い圧力を強めてラインをブレイクさせたのにもかかわらず、その買いに追随する者(フォロースルー)が現れないために、ブレイクが失敗してしまったもの

ということになります。

もう少し具体的に解説していきましょう。

まず、ブレイクしたにも関わらず、フォロースルーが現れなければ、価格の上昇は止まってしまうんでしたね。

その場合、市場参加者たちの中には、上昇が止まったのをいち早く察した者たちが出てきます。彼らは、

  • ラインよりかなり下で買っているなら、利益を確保するために、下がらないうちに決済(売り)する
  • ブレイクさせた者、またはそれに追随して現在の価格付近で買ってしまった者は、慌てて決済(売り)する
  • 上げ止まったと判断して新規で売りエントリーする

となり、売りが出始めます。

売りが出始めると、それを見ていた人たちは慌てます。

  • 買玉をまだ持っている人たちは、利益を確保しようと急いで決済(売り)する
  • ブレイクに乗じて飛び乗った人たちは、損失を逃れようと急いで建値決済(売り)したり、損切決済(売り)
  • 下がることを見越して、新規で売りエントリーを仕掛ける

この様にして、売りが増加し、下落は加速します。特に損切などの場合はいち早く逃れようと成行決済(つまり投げ売り)するため、売りの加速度を上げる大きな要因となります。

売りが加速すれば、価格は大きく下がり出し、抜けたはずのラインの内側へと戻っていきます。

上図は、ほんの一例ですので、ロウソク足が3本になってラインの内側に戻るとは限りません。ロウソク足1本で上ヒゲをつけてラインに戻ることもありますし、2本のロウソク足で戻っていくこともあります。

(2本のロウソク足も上位足で見たら1本のロウソク足になりますし、下の時間軸ではロウソク足の数は増えます)

で、この一連の値動きのことが

「オーバーシュート」

と呼ばれるものになります。以上の様な市場参加者の行動が、オーバーシュートという現象を作り出していくわけです。

ロールリバーサルの実態

今回はオーバーシュートについて深堀りしていく回ですが、深堀りを始める前に、ここでちょっと寄り道しときます。

ついでなんで、ロールリバーサルの値動きが生み出される原理についても、言及しておくとしますね。

ロール・リバーサルとは、別名「リターン・ムーブ」と言い、下図の様な値動きのことです。レンジブレイクのダマし回避に使われるエントリー方法です。

ではここで、このロールリバーサルという値動きが起こる内側を見ていきましょう。

先ほどの例えの様に、価格が下からラインをブレイクしたとしましょう。

買い方が、買い圧力を強めてラインをブレイクさせた後、まず売り勢力が介入し出し、上昇に陰りが出始めます。

で、それを見た人たちの中には、買玉の決済(売り)を始め出すので、売りが強まり価格は下落していきます。

しかし、買い方の買い意欲がまだ全然衰えていない場合、市場参加者の動向はどうなるでしょうか?

ライン際まで価格が落ちてくると

「今が安い。買わなくちゃ!」

ということで、ライン付近から買いが入り始めます(フォロースルー)。

ラインブレイクを図った者たちも、ラインを割り込ませないように、更に買い増しして価格の下落を防ぎます。(フォロースルー)

これを見た市場参加者は、更に買い行動に走ります。

  • 新規で買いを入れる人たちがさらに増える
  • 既に買っている人たちは買玉を積み増しする
  • 売りを入れた人たちは、慌てて撤退(買い決済)する

こうやって買い行動の連鎖がはじまり、価格は更に上昇をしていきます。

結果、この一連の動きが、ロールリバーサルとなるわけです。

もちろん、このロールリバーサルは、教科書的なお手本の様なケースです。実際は、この様に綺麗にロールリバーサルを描かないことも、度々あります。

それまで形成していたレンジの様子によっては、下図の様に、

一旦ラインを割り込んでも、そこから反転上昇し、再度ラインをブレイクしていくこともあります。

でも、安心して下しさい。

値動きをきちんと見ていれば、何も問題はありません。価格は、高値低値を切り上げてきているのが分かると思います。

要するに、上昇トレンドが発生(再開)しているんですよ。

なので、エントリーの仕方としては、上昇トレンドのエントリーの仕方と同じになります。

レンジを形成する前の経緯が分かっていれば、レンジブレイクした時点で、高値と低値の切り上げが始まったことがわかるので、

「上昇トレンドが再開したな」

と判断して、上図赤丸Aの低値切り上げが確認できたポイントで入ることができます。

それまでの経緯が判断付かず、ライン・ブレイクによる高値の切り上げしか分からない場合は、直近の値動きだけで判断します。オーバーシュートした高値を価格が切り上げた時点で、直近の値動きはN字を描いて、高値低値を切り上げますから、この時点で

「上昇トレンドが発生したな」

と判断して、赤丸Bで買いエントリーすればOKです。

ただここで、赤丸Bでの買いエントリーは高値ラインのブレイクに対する「飛び乗り」と同じじゃね?って思う人もいると思います。

が、レンジをブレイクした際の飛び乗りと、トレンド発生中に高値ラインをブレイクした際の飛び乗りとでは、根本的な部分で意味合いが違っています。

トレンドが発生しているということは、上昇圧力が強いというのが確定しているわけですから、上昇トレンド中の高値ラインとレンジの高値ラインでは、その抵抗力が全く違います。上昇トレンド中の高値ラインは弱く、レンジの高値ラインは強いんです。

なので、トレンド中の高値ライン越えでのエントリーは、レンジ高値ブレイクの飛び乗りとは、性質的に意味が違ってくるんですよ。

(ただし、そうであっても赤丸AとBでは、BOZ流においてはB推奨です。その辺についても、過去にお話してますから、勝手に探して読みやがれ読んで下さい)

また、ラインブレイク後に、価格が再度ラインまで下落せず(ロールリバーサルを形成せず)に、そのまま伸びていくこともあります。買い勢力がブレイクした後も衰えずに買い続けていくパターンですね。

その場合は、指をくわえて価格の上昇を見守ります。

そして、小さい時間足で押し目をつけたところを狙って、買いエントリーします。

いずれにせよ、高値低値を切り上げたら、

「上昇トレンド発生!」

ということで、トレンドの押し目狙いでエントリーすることになります。

ロールリバーサルも、結局のところは上昇トレンドの押し目買い局面と、全く同じ値動きでしかありませんから、言ってしまえばレンジブレイクの際のエントリーの仕方は、上昇トレンドでのエントリーの仕方と全く同じになるわけです。

簡単ですね。

以上から分かる通り、ラインを価格がブレイクしたら、上昇トレンドが発生するのか、それとも反転下落に転じるのかを見極めて、価格が進むと判断した方にエントリーするのが、ラインブレイク時の基本的見方です。

クジラの気持ち

クジラと雑魚

外為という市場において、その取引に参加する人たちは、大小様々です。

保険会社や年金機構、大手投資会社などの大口の市場参加者の取引量は、圧倒的です。個々がそれぞれ1日に何十億、何百億という巨大な金額を動かします。

つまり、彼らの大口の取引量というのは、個々であっても市場価格を押し上げたり押し下げるだけの力を持っているんですね。

そういった意味も込めて、この様な大口の投資・投機参加者のことを一般的に

「クジラ」

と呼んだりします。

で、僕ら個人トレーダーや小口の機関やら団体などは、クジラに対して「雑魚」と呼ばれます。凄腕個人トレーダーが仮に1年で何億と儲け、威張り散らしたとしても、金融市場という大海原からしたら、彼の立ち位置は所詮「雑魚」でしかありません。

ストップ狩りについて

さて、前章までの解説で、ブレイクの成功失敗は、オーバーシュートするかしないかと同義であることが分かったと思います。

ところが、このブレイクの失敗・・・

実は意図的に行われていたりするといわれています。それがいわゆる

「ストップ狩り」

というものです。

ご存じの方も多いと思いますが、この原理も一応説明しておきましょう。

レンジが形成されると、そのレンジ上限下限には損切用の決済注文が入ります。レンジが長く続けば続くほど、その注文は溜まってきます。

具体的に言うと、レンジが長くなればなるほど

  • レンジ上限のすぐ上にはレンジ上限で売った人の損切用の買い注文が溜まる
  • レンジ下限のすぐ下にはレンジ下限で買った人の損切用の売り注文が溜まる

しかも、それだけでなく、

  • レンジ形成前に売った人たちの損切や利確のための決済(買い)注文
  • レンジ形成前に買った人たちの損切や利確のための決済(売り)注文

が置かれやすくなります。

レンジの外側にある数々の注文は、結果としてレンジ・ブレイクを防ぐバリアとなります。

そして、レンジが長く続けば続くほど、そのレンジ上限(ライン際)には買い注文が溜まっていくため、バリアも厚く強固になっていきます。

ちょっとやそっとの買いに走ったところで、レンジ上限にある大量の売り注文を消化し尽さなければ、価格はラインを越えて上昇していくことは出来ません。

しかし逆に言ってしまうと、バリアが厚ければ厚いほど、そのバリアを破った時の勢いは強いことになります。損切用の買い注文が多ければ多いほど、買い圧力が増し、上昇力が高まるんです。

おまけにそのラインブレイクの強さを見た他の市場参加者は、乗り遅れないように追随して新規で買いを入れ出しますから、買い圧力は更に増します。

レジサポ機能の強いラインをブレイクするというのは、それがブレイクされると、逆に高い推進力を持つことになるわけでです。

で、クジラ(大口の市場参加者)の中には、この原理を利用して自分の利益にしようとする連中がいるといわれています。

まずクジラは、わざとこの溜まった買い注文を全て買い切るだけの大量の買いを入れ、ラインをブレイクさせることで、価格を一旦大きく上昇させます。

もちろん、レンジ・ブレイクを見て飛び乗る(新規に買いを入れる)雑魚たちが集まります。クジラは、この雑魚たちの買い注文を集めることで、価格の吊り上げを手伝わせます。

ところが、ブレイクを企んだクジラは、価格を一旦ブレイクさせて価格を吊り上げた後・・・

その高い価格水準から一気に売り決済を出していき、その値幅を獲っていくわけです。

このクジラの思惑が、いわゆる「ストップ狩り」となるんですね。

怖い、怖い・・・

((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

とまぁ、このストップ狩りのお話も、結構昔から語られており、割と一般的に広まってますから、ご存じの方も多いと思います。

で、このストップ狩りも、オーバーシュートという形となって、爪痕をチャートに残すわけです。

さて、正直言うと、今日のお話は実はここまでが前置きです。それでは、本題へと入っていきましょう。

クジラたちへの疑問

ただ、僕は冒頭でお話した様に、このストップ狩りというものに疑問を持ったんですね。

「ストップ狩りって、本当に儲かるの?」

ってな感じで。

だって、クジラは価格を釣り上げるために、ストップ狩りをするんですよね?

で、その吊り上げた高い価格のまま、持ってる玉を全て売り捌けるのであれば、それは儲かりますけど・・・

下がらない様に、ちょっとずつ売っていこうしても、その間に別のクジラが売りを仕掛けてきたら、自分の持っている玉は売れずじまいになり、結局高く買って安く売ることになってしまいます。

赤字じゃん。

だから、ストップ狩りを仕掛けたクジラは、価格が下がりきらないうちに、一気に売りに出す必要があります。

でも、その玉の量は膨大ですから、一気に売れば売るほど価格も一気に下がり続けるわけです。最初は高値で売れるでしょうけど、捌き切るまでにはどんどん安い値段で売り続けちゃいけないことになります。

結果、平均売値は吊り上げた時の価格よりも、かなり低くなるわけですよねぇ・・・

それって、儲かるんですか?

金融市場のクジラは自分で買って価格を吊り上げておきながら、売る時は自分で価格を下げていくって・・・

なんか変じゃね?理屈が通らなくね?

だから、不思議だったんですよね。なぜ、頭の良いはずのクジラたちは高いリスクを背負ってまで、そんな儲からないことをしょっちゅうやるんだろう?って。

ひょっとしたら、何か別の秘密や理由があるのかもしれません。

いや、むしろストップ狩りって僕らが勝手に思ってるだけで、本当はストップを狩りにいってるんじゃなくて、ただ単にブレイクを失敗しているだけなのかもしれないし・・・

ということで、僕はそのストップ狩りという現象について、考察を続けていったわけです。

「う~んと・・・確か・・・こういったブレイクに乗ってストップ狩りにあったんだよなぁ・・・」

「そういえば、狩られて落胆していたら、その間に反対方向にトレンドが出て、乗り損ねてたなぁ・・・」

「トレンドに乗り損ねたくないから、ストップ狩りにあってもめげずに次に反対方向にブレイクしたら果敢に飛び乗ってみたけど、今度もまたストップ狩りにあって・・・」

「そうそう、立て続けにダブルでストップ狩りにあってメンタルやられてたら、結局初めにストップ狩りにあった方向にトレンドが発生して・・・そうそう、やっぱりその時もトレンドに乗り損ねちゃってたなぁ・・・」

 

ん?

あれ?

ちょっと待てよ。これって、ひょっとして・・・

 

僕は、ふと閃いて、ストップ狩りがあったと思われる局面を、いくつもいくつも確認し直します。

そして僕はようやく、クジラたちの思惑に気づくに至るわけです。

クジラたちの売買ロジック

クジラたちは逆張り思考

既にお話しましたが、クジラたちの1日の取引量たるや、相当なものです。その何分の1程度の量であっても、相場は動いてしまいます。

僕ら個人トレーダーの様な雑魚とは違い、彼らは1回の取引を何も考えずに売買してしまったら、それだけで相場を大きく動かしてしまうわけです。

そう、動かしたくなくても、動いてしまうんですよ。

例えば、僕ら雑魚トレーダーなら1ポイントの上昇が千円程度の差であっても、僕らの何千倍、何万倍も買っている人からすれば、1ポイントの上昇差額は数十万円、数百万円と膨らんでいきます。

わずかな上昇や下落が、多額の差額を生み出すんですね。

だから、ここでクジラはジレンマを起こします。

クジラは、できるだけ1ポイントでも安いところ買わなければ潜在的なマイナスを負いますが、だからと言って自分が買えば価格は上昇してしまい、潜在的なマイナスを負ってしまう・・・

そんなジレンマです。

そこで僕は思い出したんです。どこで知ったかは忘れましたが、クジラたちの売買方法の基本は、

価格が出来るだけ吊り上がらないように、下がってきたところを、静かに静かに小さく買っていくことを繰り返します。まるで波風を立てないようにそろりそろりと泳ぐクジラの様にね。

図でイメージして表すとこんな感じです。

要するにクジラは、上がってきたところを買うことはできないんですよ。だって、価格の上昇に合わせて自分が買えば、価格はより大きく吊り上がってしまいます。

だから、クジラは下がってきたところで買います。下がってきたところを買えば、価格は上昇しづらくなりますから。出来るだけ自分の買いで価格が上昇しづらい場面で買うわけですね。

つまり、基本クジラたちは逆張り思考なんです。

これが、クジラたちの売買の仕方の1つと言われているものです。

  • 価格が落ちてきたら、買う。出来るだけ価格が上がらないように買う。
  • 再び価格が落ちてきたら、買う。出来るだけ価格が上がらないように買う。
  • 更に価格が落ちてきたら、また買う。出来るだけ価格が上がらないように買う。

これを繰り返します。

で、これが結果的に落ちてくる価格を買い支え続けるといういことになるわけです。

クジラたちは一匹狼ならぬ一匹鯨

とは言え、クジラたちは、お互い連携しあって生存しているわけではありません。

基本、一匹狼ならぬ一匹鯨です。

そのクジラたちにも大小あるでしょう。

また、買い方クジラなのか売り方クジラなのかも、その思惑は各クジラそれぞれです。

大きな買い方クジラに対して、それを知らずに小さい売り方クジラが立ち向かえば、たちまちやられてしまいますし、

大クジラだとは言え、向かっていった先に何匹ものクジラがいるのであれば、たまらず退散するしかないでしょう。

同じ買い方クジラ同士であっても、それぞれです。たまたま狙う方向が一致していただけでしょうし、もちろんその売買計画も売買のタイミングも違います。

もちろん、相手の動きも気にしながらクジラたちは泳いでいるのでしょう。

しかし、その動きを目で追うことはできません。

結果的にクジラたちは、各自が自分の思惑に従って、市場という大海原を徘徊しています。

しかし、一見無秩序なクジラたちが、隊列をなして同じ方向へと泳ぎ出す時って、一体どんな時なんでしょうか?

オーバーシュートとは物語の序章

できるだけ高いところで売りたいと待ち構えている売り方には、どのような大きさの何匹のクジラがいるのか分かりません。

もちろん、低いところで買いたいと待ち構えている買い方に、どのような大きさの何匹のクジラがいるのかも分かりません。

もっと安くなければ買わないクジラもいるかもしれませんし、積極的に少しずつ買い集めているクジラもいるかもしれません。

で、例えば先ほどの解説した様に、価格を押し上げない様に落ちてきたところ、拾い続けているクジラがいたとしましょうか。

上図は、買い方の思惑です。

しかし、その逆では出来るだけ売り下げない様に上がってきた価格を上で売り続けているクジラがいるかもしれません。

この両者の均衡が、並行レンジを作ります。

しかし、この均衡がいつまでも続くわけではありません。買玉や売玉をずっと持ち続けていても、何の利益にもなりませんから。

そんな中、ある日、積極的に売りを仕掛けてきたクジラが出てきます。

下で待ち構えていたクジラは、今まで通りにその売りを買い支えようとします。

が、普段よりもその売りの量が多ければ?

そう、支えたつもりが支え切れずに、価格はレンジ下限を破って下落します。

まぁ、そうなりますよね、普通。

でも、今まで支え続けてきたクジラは実は大クジラで、売りを仕掛けてきたクジラよりも、まだまだ豊富な資金力を持っていたら、どうなります?

思い出してください。クジラは逆張り指向です。

「あ、今までよりももっと安くなった!これって大安売りじゃん!」

豊富な資金力があれば、その安くなった大量の玉を一気に買いに走りますよね。

安売りに飛びつく僕らの買い行動と一緒です。

もちろん、今まで買い支えていたクジラじゃなくとも、「もっと安いところで買いたい」とその時を待っていたクジラがいるかもしれません。

では、そんな彼らはどうします?

やっぱり、買いに走りますよね。

安いうちに大量に買っておきたいと、クジラは一気に買いに走り、価格は再びレンジへと戻ります。

では、先ほど売りを仕掛けたクジラは、その絶大な買い圧力を見てどう思うでしょうか?

「やばい!」

そう思うでしょう。

売りを仕掛けたクジラは、慌てて上に向かって逃げ出します。

そう、売った玉を出来るだけ小さな損失で済む様に、一気に買い戻しに走ります。

つまり、買い圧力は売り方のクジラの逃走によって、さらに増していくんです。

同様に、レンジ下限ブレイクについて売りに走った違う小クジラやマグロやサケ、そして雑魚たちも、慌てて逃走を図ります。

恐怖は恐怖を生み出し、買い圧力はさらに圧力を増し続けて、価格を上昇させていきます。

そして・・・

恐怖を伴いながら増幅し続ける買い圧力は、ついに上のレンジを破ります。

しかし、その恐怖の逃走は収まりません。(フォロースルー)

では、買い方だったクジラたちは、それを見てどう思うでしょうか?

「やべぇ!このまま上がり続けたら、さらに高いところで買うことになっちゃうかも!早く買わなくちゃ!値上がりする前に買わなくちゃ!」

と、ダメ押しで買いに走るかもしれません。(フォロースルー)

雑魚たちも、大群をなして一斉に買いに走ります。(フォロースルー)

そう、上昇トレンドの発生です。

そして、買い方には正のスパイラルが、売り方には恐怖という名の負のスパイラルが起こり、上昇トレンドを形成していきます。

 

どうです?

理解できましたか?

 

上昇トレンドが発生する場合、その多くは買い方が買い進めが起因ではなく、売り方の仕掛けが発端、そしてその失敗が原動力となっていることが多いんですよ。

同様に、下降トレンドが発生する場合、その多くは売り方の売り進めが起因ではなく、買い方の仕掛けが発端となり、そしてその失敗が原動力となっているんです。

言い換えましょうか。

  • 上昇トレンドの発生の起因は、売り方のブレイクの失敗、つまり下限レンジでのオーバーシュートが発端となりやすい
  • 下降トレンドの発生の起因は、買い方のブレイクの失敗、つまり上限レンジでのオーバーシュートが発端となりやすい

となるわけです。

もっと言い換えるとすれば、

トレンドが始まる直前に、反対方向でオーバーシュートが起こることが多い

ということなんですよ。

さらに近年では、1度のオーバーシュートだけでなく、2回のオーバーシュート、つまり一度上にオーバーシュートし、今度は下にオーバーシュートした後に、本格的な上昇が始まるといったケースも多々見受けられます。

皆さんも、ストップを刈られて落ち込んでいる最中に、トレンドが始まってしまい乗り遅れたなんて経験、あると思います。

でも、その狩られたストップもまた、トレンドを形成するための一助となっていたんです。

もちろん、これはあくまで仮説でしかありません。だって、クジラたちの売買方法は、外部の人間には確認できないんですから。しかも、今時のクジラはほぼAIだし。

しかしながら、僕らトレーダーは、そのカラクリが「真実」かどうかなんて、どうでもよい話です。

僕らトレーダーはただ、チャートに現れるその「事象」に基づいて、行動をとるだけなんですから。

それじゃあ、本当にその事実があるのか、チャートを確認するとしますか。

例えば、先日もポンド円で、そんなトレンドが発生する前にオーバーシュートが起きました。

違う日にもありますね。

違う通貨も挙げておきますか。こっちは、ユーロドル。

人気のゴールドも。

挙げてみたらキリがないですね。大きめのオーバーシュートが起こった後は、その反対方向に価格はブレイクしてトレンドを形成していくことが、結構な比率であるんですよ。

で、このトレンドが始まる前のこのオーバーシュートのことを、100年前にワイコフは、

「Spring(スプリング)」

と名付け、その相場の原理原則を説いていました。

ワイコフったら、スゲェ~!!

BOZ流のロジックの意味

さて、ここまで話して、ようやく僕が言ってきたBOZ流のロジックの真意が理解できたでしょうか?

  • ブレイクに飛び乗ってはいけない
  • ラインを引いて、オーバーシュートを見極める
  • 常に到達確認して反転でエントリーする

という真の意味が。

言ってることは、トレードとしての基本しか言ってませんから、何も珍しいことは言ってません。

が、その断片と断片は、実は全て奥深いところで繋がっています。

実際のチャート図を用いて説明していきますね。

今回は分かりやすい様に、反転確認にはレンジに強いオシレーターを使って判断してみましょう。使うのはストキャスです。パラメーターは、初心者でも扱いやすい様に(52-3-3)を用いてみます。

まず、下降トレンドが続いた後に、一旦レンジを形成し始めたところで、上図の様に分足に切り替えて様子を見ます。

で、高値低値が安定してきた辺りで、

「並行レンジかな?少なくとも高値は並行のレジスタンス」

と判断し、上図四角形の辺りでレンジ高値を上抜けないことを確認(到達確認)し、オシレーターが高値圏を下抜けたタイミング(反転確認)でエントリーします。

次に低値レジスタンスになるであろうと想定したラインに到達したのを確認し、反転するかどうかを見ます。

すると、2でラインに到達すると抜けることなく反転を始めます。オシレーターが低値圏を上抜けたことを確認し、ここで決済します。

時間的に余裕があるのであれば、ここでドテン。買いエントリーもします。

ところがどうでしょう?

価格は先ほどの高値レジスタンスに到達することなく、再度下落を始め、レンジ低値のラインを試します。

抜けるかどうかを確認し、抜ける様なら赤丸2で買ったポジを手仕舞います。抜けないなら、そのまま保留。

すると、抜けずに反転上昇を始めます。

しかし、やはり赤い四角で囲ったレンジ高値までは到達せずに、先ほどの小さな高値で上昇を止められてしまいます。

売り圧力が再び強まってきた可能性が大。

なので、買いの警戒を始めます。上図を見ての通り、レンジの中に更にレジスタンスが出来た可能性があるので、ラインを引いて様子を見ます。

次に、引いたラインを何度か試している最中にオシレーターは高値圏に突入します。そして、赤丸3のポイントで、オシレーターは高値圏を下抜けたので、ここで買いポジを持っていたら決済します。

ただし、新たに売りエントリーはしません。なぜなら、レンジの中の小さなレンジというのは、もっと大きな時間軸ならOKでも、分足の中の出来事であれば、少しの買い圧力で上へと持っていかれる可能性が大きいからです。

さて、次の展開を見ましょう。

レンジの中にレンジが生まれた(以下、「小レンジ」と記述)可能性を想定し、その低値たちにラインを引いておきます。

高値3から下落した後、先ほど引いた小レンジ下限のラインを価格はややオーバーシュートした形で反転上昇し始めます。このオーバーシュートはスプリングの可能性があるので見守っていると、案の定、小レンジの中のレンジを上抜けました。

さて、ここで本懐です。上昇を始めた価格が、最初に規定したレンジの上限に価格がどう向かうのかを見守ります。

すると、価格はレンジを上抜けます。

ここで、オーバーシュートするのかブレイクを完成させるのかを見守ります(赤色の四角5)。

すると、価格はレンジ内に再び戻りました。

オーバーシュートです。

しかも、レンジ内に戻る際には大陰線をつけていますよね。大きな売りが入ったということです。

はい、これってクジラの参入です。

クジラについていくために、即売りで入れたら入った方が良いですが、下落が早いためついていけなかった人の方が多くなるかもしれません。その際は、赤丸6でラインを割り込んだ時点で、オシレーターは高値圏を下抜けているので、ここで入るのが賢明な判断です。

先程は3で売りを見送りましたが、今度はオーバーシュートしてクジラが参入した後の出来事です。このラインは、大クジラたちが売りで返してくるであろう重要なレジスタンスに早変わりしたと見なします。

その後は、赤丸7で低値をつけ再度上昇しますが、やはり赤丸8でレジスタンスのラインに上値を阻まれ、再度下落します。

高値5→高値8と、高値を切り下げた波が発生します。下降トレンドが発生した可能性が大です。なので、ここでエントリーするのもありです。(初心者向けではないですが)

売りエントリーしたら、今度はレンジ下限を

  • 抜けられず反転上昇するのか?
  • オバーシュートするのか?
  • 抜け切るのか?

を見るんでしたね。

抜けられずに反転上昇、もしくはオーバーシュートしてしまったら、レンジ内取引の鉄則として、決済します。

では、次の展開を見ていきましょう。

高値8で反転下落した後は、見ての通り、レンジ下限を大きくブレイクします。なので、ポジションは保有したまま。

次に、このブレイクが、オーバーシュートで終わるのかどうかを見ます。

ただまぁ、低値7も切り下げたので、高値低値の切り下げが明らかになり、下降トレンドが発生したと判断できるので、割と自信をもって追撃に臨めるんじゃないかと。

で、低値9を付けた後は、赤丸10や11で、ロールリバーサルが完成しています。

分割エントリーする人は、ここで玉増しします。

で、後は見ての通りですね。

結果、上図赤い四角5のオーバーシュートがスプリングとなり、レンジをブレイクし、下降トレンドが始まっているのが、分かると思います。

で、売りエントリーポイントは遅い人でも上の赤丸3つが可能です(対応が早い人なら、もっと早く入れてましたよね)が、それでもこの下降トレンドを初動を早い段階で獲れていた、という展開になりました。

つまり、僕が今まで何度も口をしてきた

  • ブレイクでは飛び乗らずオーバーシュートを見る
  • 到達確認と反転確認でエントリーする

ということは、結果として

トレンドの初動を獲る

ということに繋がっていくんですよ。

BOZ流のエントリーロジックは、結果としてトレンドの初動を結構な確率で獲り続けることになります。

言い換えるとすると、

「ブレイクでは飛び乗らずにオーバーシュートを見る」

というのは、

「クジラの餌(ブレイクでの飛び乗り)にはならず、クジラが出動(オーバーシュート)するのを見る」

ということであり、

「到達確認し、反転確認でエントリーする」

というのは、

「クジラがいる位置を見つけ(到達確認)、クジラが動き出したことを確認(反転確認)する」

という作業のことなんです。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

洗練されていくワイコフ理論

ワイコフ理論を僕が知ったのが、3年前のことです。

しかし、その時を同じくして、海外では恐らくこのワイコフ理論をもとに発展したであろうトレードのメゾットが、次々と洗練化されています。

ワイコフは需要と供給のサイクルによって相場を理解しようとしました。そしてそこには、需要となるゾーンと供給となるゾーンが存在します。

で、現代のトレーダーたちは、その需給ゾーンと供給ゾーンを、具体的なロジックを用いて、解き明かそうとしています。

大口の売買行動にターゲットを絞り、彼らが待ち構える需給と供給のゾーンを見つけ出し、クジラが行動を起こすのを察知しようとします。

そのトレードのメゾットは、かなり洗練されていて、体系化されてきているのというが広い世界でのトレードの潮流です。(日本の狭くて胡散臭いSNS界隈とは別物)

ただ、この手のトレードにおいても、ライン同様、流派の様なものが存在ます。それらの中でも、今最も勢いのある勢力を挙げるとすると、それは「SMC(スマート・マネー・コンセプト)」でしょうか。

これらのトレード・メゾットを日本でも勉強している人はいると思います。ただ、それらはまだ一般的には知られていないのが現状でしょう。

最近はチラホラと日本語での解説も見かける様になりましたので、いずれ日本でも一般的に認知されていくかもしれませんね。

ただねぇ・・・

同じ流派であっても、それは解説者によって、言ってることが違っていたりして、曖昧な部分も多いんですよねぇ。

なので、「みなさんも、興味があったら・・・」と言いかけたんですが、沼に嵌る可能性がありますから、ちょっと今のところは何とも言いづらいです。

僕自身、いくつかそのやり方を試しているんですが、基本的に僕がBOZ流ライン引きから行うゾーンの特定の仕方と、被ってることが多いように感じます。

ただ、僕自身のやり方にも、至らぬ点が多々あると思うので、常に他に学びながら、改良を続けていかなくちゃ、とも思いながら、日々自分の技術とロジックに磨きをかけようと頑張っています。

さて、随分と話が長くなってしまいました。今日はこの辺で、お開きとしましょうか。

それじゃあ、また。

波の正しい捉え方

前回の記事を昨日アップしたばっかりなんですが、仕事も休みで時間があったのと、一昨日良い題材になりそうな相場があったので、ちょっとそれについてお話でもしようかなと。

テーマは「波の捉え方」です。

それでは、始まり始まり~~!

波の捉え方

2023年11月16日午前中までのゴールドを実例に

下の画像は、一昨日の午前中までを表示したゴールド(XAU/USD)の1時間足チャートです。

で、赤く囲った部分を見てもらいたいんですが・・・

アナタだったら、この部分における価格の波をどう捉えるでしょうか?

恐らく大体の人は、ダウ理論を利用して波を捉えようとするため、波をこんな感じで捉えると思います。

下降していく波を青色で、上昇していく波を緑色で描いてみました。

ただ、ちょっと見えづらいんで、ロウソク足を拡大して解説しますね。

A地点から、高値安値を切り下げていく波を大まかに捉えていくと、上図の様に青色1からはじまり、2,3,4と続いて青色5までの波が描けると思います。

で、青色5で底値を付けた価格は、次に上昇へと転じています。

その波を緑色のラインで示したわけですが、こちらも緑色1から2,3,4と続いて緑色5まで到達するとそこからはZに向かって大きく下落しています。

とまぁ、大体の人が、こんな感じで波の把握していくんだと思います。

 

でもこれ、波の捉え方が完全に間違ってます。

 

波の捉え方にも、流派というかそれぞれ確立された理論をお持ちの方々いるので、一概には言えないんでしょうけど、

それでも、この波の捉え方は間違っています。

ダウ理論で見る場合

もう一度、先ほどの画像を見てみましょう。緑色の波に注目してください。

緑色で描いた上昇する波をダウ理論で見ていくと、

  • 青色5から緑色1の推進1波
  • 緑色2から緑色3の推進2波
  • 緑色4から緑色5の推進3波

と推進波が3つ形成された後に、5からの下落で直近低値4を下回ってZで終わっています。

ということは、推進波3つが終わった後に直近低値を価格が下回ったため、ダウ理論の解釈で言えば、ここで上昇トレンドは一旦終了。次はレンジか下降トレンドへと移行することになるはずです。

ってことは、この様な波の捉え方をしていると、この日の午後からのトレード方針は「売り方針」となるわけで、仮に上昇してきたら絶好の戻り売りチャンスが訪れたと判断することになります。

で、そんな方針でそのタイミングを5分足なんかで待ち構えていたりなんかすると、

反転下落の定番パターンである三尊(ヘッド&ショルダー)が現れ、絶好の売りのチャンスが訪れます。

「ここで売って、爆益じゃん!!」

ところが、現実は甘くありません。そんな願いは虚しく・・・

あれれ?爆益どころか、爆損じゃん。

ってな感じで、この後は強い上昇へと転じてしまいます。

 

なぜ、こんな悲劇が起こるのでしょうか?

それは、波の捉え方が間違っているからです。

もう一度、先ほど描いた波の画像を見ていきましょう。

恐らくフラクタル構造を知ってる人は、上図の青色4-5の波の中にあるオレンジで示した波の高値を緑色1が上抜いたのを見て、いち早く「下降トレンド終了」と思ったことでしょう。

しかし、オレンジ色の波というのは、あくまで青4ー青5という波の一片の中にある小さな複数の波の中の出来事でしかないんですよ。

となると、青5ー緑1を結んだ緑色の上昇波というのも、対オレンジ色の波のレベルでしかなく、青色の波のレベルで言えば、1つ下の波でしかありません。

つまり、緑色で描いた波の描き方は、青色で描いた下降する波よりも一つ下の波を描いてることになるんですよ。

言ってること、難しいですか?

難しいですよね。頭がゴチャゴチャしてきた人も、多いと思います。

それでは、もう少し分かりやすくするために、違う角度から解説してみますね。

ダウ理論で言えば、下降トレンドが否定されるのは、「直近高値を切り上げるまで」です。

上図で言えば、、下降トレンドの直近高値は青色4になりますよね。

じゃあ、その青色4を切り上げたのは、いつですか?

そう、青色3にきて、ようやく直近高値を切り上げたわけです。

となると、ダウ理論を意識して正しい波を捉えようとするならば、少なくともまずは

上図の様に、青色5から一気に緑色3までを引いた赤いラインを1つの波と捉えることになるわけです。

青4-青5の下降波の中にオレンジ色の波があるように、赤色の波の一辺の中に青5ー緑1-緑2-緑3という複数の波が存在するということですね。

しかし、ちょっと待ってください。

青5ー緑3までを1辺の波とするならば、その後の緑3-緑4や緑4ー緑5の波は、小さ過ぎやしませんかね?そんな気がしてきますよね。

ダウ理論上、1辺の波の中には、3つの推進波が存在することになりますから、

  • 青5ー緑1
  • 緑2-緑3

と数えてもあと1つ足りません。

であれば、波の捉え方としては、

青色5から緑色5までを1辺の涙として一気に引いてしまっても、何も問題はないんですよ。

であれば、このチャートの解釈は、

  • 青色の波で構成された下降トレンドは、直近高値を越えたことにより、一旦は否定された
  • しかし、Zはまだ直近低値(青5)を切り上げたとは言えないので、現段階では上昇トレンドが始まっているとは断定できない
  • ということは、この後の展開は、レンジもしくは下値を切り上げて上昇トレンドが発生するということになる
  • いずれにせよ、下げてきたらその後の反転を狙った買い方針

といった具合に、先ほどとは真逆の方針になるわけです。

で、この買い方針を立てて5分足でタイミングを待ち構えていたとしたら、

まぁ、トリガーをどうするかは人それぞれでしょうけど、僕からしたら青丸で下値を試して越えられず上昇に転じた辺りからは、分かりやすい場面でしかないわけで。

他のインジを見てもらっても、恐らく大体は機能してると思いますよ。

上図赤丸ポイント以外にもエントリー出来る箇所はいくつかありますし、多少タイミングが間違っていたとしても、もう買ってるだけでOK。大した恐怖も感じずに、価格は上がり続けてくれた展開となったわけです。

沼に嵌らぬよう

さて、波の見方、ややこしかったでしょうか?

ややこしいですよね。

そして、ややこしくて正解です。

下手にフラクタル構造が絡んでくるんで、波を正確に捉えようとすると、実際分けわからなくなったりします。

また、僕はあえて先ほどのチャートを赤い線で囲んでその部分だけを見るようにして解説しましたが、その前の波まで考慮しようとすると、また別の解釈が出来たりして、混乱が始まります。

ある程度熟達した人であっても、一旦そう思って捉えた波が、相場の値動きが進むにつれ、あとから修正するというのは、珍しいことではありません。

要するに、フラクタル構造を絡めながら波を上手くとらえるというのは、実際は難しいんですよ。

ですから、実際に波の捉え方を正確に突き止めようとすると、

沼に嵌ります。

しかし、トレードの技術を上げるために、物事を突き詰めていくというのは、正しい道です。なので、険しい道を突き進むことを、僕は否定しません。

ただ、波を捉えるという作業は、険しい道であると同時に、沼に嵌りやすい。

沼に嵌ってしまって、そこから抜け出せないのであれば、それは実際にトレードで利益を得るという目的とは違う道に進んでしまっているのと同じです。

なので、ある程度波を捉える技術は学ぶべきですが、トレードで利益を稼ぐという技術を磨くという意味での本質からかけ離れてしまうのであれば、そこで一旦波に関する学習から離れるべきだと思います。

だってね、波の捉え方なんて、正確無比に分からなくても、ある程度認識できるレベルの技術があれば、それだけで十分勝てるんですから。

レベル3で十分勝てるのであれば、無理にレベル10を目指す必要なんてありません。

僕らがやっているテクニカルというのは、座学ではないんですよ。実学であり、実務者としての腕と知識を学ぶためのものなんです。

勝てる以上の知識をご披露してドヤりたいなら、それはトレーダーではなく、「別の何者か」でしかありません。

もう1つの波の捉え方、それは「流れ」

沼に嵌らぬように。

とお話しましたが、そんな沼に嵌る前に、もっと別な波の捉え方のお話をしておきます。

これは、素のチャートで「あーでもない、こーでもない」と頭を悩ませることなく、非常にシンプルで初心者でも理解しやすい、とっても実用的なやり方です。

僕はこのブログではそれを

「流れ」

と呼んでいます。

このやり方、このブログでは既にお話していますが、結構昔のことなので知らない人も多いでしょうし、忘れちゃったって人も多いでしょう。

なので、ここでもう一度解説しておこうと思います。

「流れ」について

BOZ流、というか僕がこのブログで解説する際に用いる用語に

「流れ」

というものがあります。

この「流れ」とは、トレンドが上とか下とか、トレンドレスでレンジだとか、そういった部分的なことではなく、価格が推移する軌道全体のことを示します。

例えば、チャートに手書きでその流れを書き込むと、下図の様な感じになります。

青色の曲線でなぞった様に、価格が推移する軌道を抽象的に描いたものが、僕の言うところの「流れ」です。

価格の推移を、ロウソク足の山と谷を直線で結んだ「波」で把握するのではなく、もっと抽象的に価格の軌道を曲線で表したものが「流れ」なんですね。

で、こういった流れは、わざわざ手書きで描いたり、頭の中でイメージしてみる必要はありません。

インジを使えばOKです。

で、そんなインジは特別仕様なものでもなんでもなく、どんなチャートソフトにもデフォルトで用意されている超メジャーなインジ、

単純移動平均線

です。

単純移動平均線は、僕らに価格の流れを、端的に簡略化してそれを視覚化してくれます。

例えば75期間程度の移動平均線であれば、下の図の様に、チャート全体の大まかな流れを表現してくれます。

もちろん、75SMAで表現される流れは、大まかな流れです。

この大まかな流れの中にある小さな波をもっと的確にとらえた流れを表現したい場合は、もっと短い期間の移動平均線を使います。下の図は、20SMAです。

先の図と見比べれもらえれば分かる通り、より細かな流れを表現してくれています。

しかし、この20SMAで表現した流れの中には、さらに小さな波が存在しますよね。これを更に流れとして表現したい場合は、さらに短い期間の移動平均線を使います。下の図は、10SMAを用いて、それを表現したものです。

先ほどの20SMAを使った流れよりも、より実際の価格推移に近い流れを表現してくれていると思います。

で、波を把握したい場合、この「流れ」を用います。

先ほど闇雲に波を描いチャート図が、下の図でした。

これに、20SMAを表示して価格推移の流れを見てみると、以下の様になります。

「流れ」は緩やかな曲線です。そして、緩やかな山と谷を形成しています。その緩やかな山と谷の部分に印をつけたのが、下の図です。

赤丸部分のところは、誰もが理解できる箇所ですが、青丸部部だけはちょっと微妙です。

これを説明するには、いくつかの議論が必要になるので割愛しますが、この青丸部分にも緩やかな山と谷が存在すると仮定しておきましょう。

では、この流れの山と谷を実際のロウソク足の山と谷に当てはめて、波を考えてみましょうか。

移動平均線は遅行指標ですので、そこに表現される山と谷は、実際の値動きよりもやや遅れて表現されます。

なので、

  • 赤丸aの山は高値Aの山に相当
  • 青丸bの中にある山と谷は1と2に相当
  • 赤丸cの谷は3の谷に相当
  • 赤丸dの山は4の山に相当
  • 赤丸eの谷は5の谷に相当

となります。

ということで、この20SMAの流れに合わせた山と谷を実際の高値低値を用いて波としてラインを引いてみると、この一連の下降トレンドの波は、

と上の図の様になり、最初にロウソク足だけを見て引いた

こちらの波と全く同じ軌跡となります。

で、注目してほしいのは、この後の上昇の局面です。

最初にロウソク足だけを見て引いた波は、上図の緑色のラインでしたね。青色5を起点として、緑色1、2、3、4、5の山と谷で形成される波です。

で、この波捉え方は、既に間違いだと解説しています。

では、20SMAを用いて表現した流れは、山と谷をどう表現しているでしょうか?

そうです、この上昇する価格推移の過程において、流れは赤丸eの谷と赤丸fの山しか形成していません。

つまり、これを参考に実際のロウソク足に波のラインを引いてみると、

間違った波の引き方である1、2、3、4の山と谷をすっ飛ばして、青丸5と緑丸5を結んだ1辺の波になるんですね。

これって、先ほどロウソク足だけを見て最終的に修正を終えた波である

こちらの波の捉え方と、同一になるんですよ。

凄くないですか?凄いですよねぇ。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

 

要するに、どうやって波を捉えたら良いかは、特別考える必要もなく、

移動平均線を引いてしまうだけで、ぱっと見だけで正しい波が把握できる

ってわけなんですよ。

これで沼に嵌ることなく、時間と労力を無駄に費やすことなく、波を正確に把握することが出来る様になったと思います。

最初の方の解説で

「はぁ?意味わかんね」

( ̄へ  ̄ 凸

となった人でも、難しく考えることなく波を捉えることが出来る様になると思います。

ちなみにここで引いた波のもう1つ下の波を見たい場合は、移動平均線ももう1つ下の10SMAを用いればOKです。

やっぱり簡単ですね。そして、実用的です。

 

複雑怪奇なモノゴトを複雑に考えても、答えは出ません。むしろ、そうやってしまうと息苦しくなり何も行動が出来なくなってしまいます。

そうではなく、複雑なモノゴトをシンプルに捉え、シンプルに考え、シンプルに行動する。

生き方もトレードも、一緒なんですよ。

 

そして、これがBOZ流!

( ̄∇+ ̄)vキラーン

 

さて、僕のドヤ顔はこの辺でお終いにしておくとしましょうか。

それじゃあ、また。