2017年12月14日午前まで続いた下降チャネルの内部構造について
(この記事は2017年10月14日付の記事です)
さて、今朝書いた記事「後付け解説なら誰にでもできますが、実際にトレードするのは難しい、って話」では、
「後付け解釈通りには実際のトレードは出来ないし、それを見てクヨクヨする必要はないし」
って話をしました。
で、その続き。っていうか、そこからちょっと話を発展させて、もう少し実際のトレードに活かせる解説をしようかなと。
今回のこの下降チャネルの内部構造についてお話ししようかと思うんですが、まずはこのチャネルが形成される直前のチャートを見てみますか。
この段階だと、単に値幅の小さなもみ合いにしか見えないですよねぇ。つまり平行レンジ。この後、下降チャネルが形成されるとは普通は誰も思わないわけで。
ただ、別にこの後に下降チャネル形成されるかどうかなんて、実は問題じゃないんですねぇ。
大切なのは、「この価格帯で売り買いが交錯している」という事実です。
で、いつもこんなパターンなわけじゃないんですが、
この売り買いが交錯する価格帯(以下「ゾーン」と呼びます)が、どう移動するか?
というのを観測することが、値動きを読み込むうえで大切な1つになります。
では、このゾーンが、以降どのように移動してくかに注目してみましょう。
まずは、最初に売り買いが交錯したゾーンⒶは上下にブレイクを失敗しますが2回目の上値ブレイクに失敗した後、下限にブレイクし、価格帯はゾーンⒷへと一段下に移行します。このレンジ下限は、先のゾーンⒶにて下限ブレイク(緑枠)が失敗した際の下値ですね。これが意識されています。
で、次にこのゾーンⒷにて2回下限ブレイクをします(緑枠)が、いずれも失敗。なので次は上を試しに行くわけです。
ところが、この上限ブレイクは先のゾーンⒶの上値まで届かないわけで。つまり、上値ブレイクも失敗。2度ほど高値を目指しますが、願いかなわず諦めて下落へと。
で、この後はちょっと荒れます。
上値失敗した価格は、再度ゾーンⒷ内に収まるわけでなく、再度ゾーンⒷの下を試します。が、先の下値ブレイク失敗した価格帯(緑枠)が意識されていて、止められる。で、またまた上を目指しますが、今度は緑枠に入るのがやっとなので、やっぱ「下でしょ!」ってことで、大きく下に下げていくわけです。
しかし、これもまたⒶⒷの時と同じく、下限ブレイクしても大きく買い上がるため、Ⓑから1段ズレたところでもみ合いが始まり、ゾーンⒸを形成していくわけです。
こんな感じで、じりじりとゾーンを切り下げる形で、結果このチャートは先の下降チャネルを形成していくわけなんです。
ですから、前回説明したような後付け解釈で下降チャネルと判断するよりは、こういった値動きの読み込み方を取得していった方が、実際のトレードする際に活用できるようになります。(やり方は、ここでは説明しません。僕は、トレードの先生じゃないんで)
で、話をもう少し先の方に進めますが、
こういった内部構造を持った下降チャネルのパターンの場合、結果的に上にブレイクする傾向があります。
あ、これ・・・今この記事書いてる時点で実際にチャネルを上にブレイクしちゃってますんで、「後付け」で解説してると思われるかも。それは嫌なんで、一応チャネルをブレイクする前に僕がツイッターでツイートしたやつを載せておきます。
ポンド円は下降チャネルを描いてますが、このパターンは上にブレイクすることが多いので、頭の片隅にでも置いておくと吉。あくまで、絶対じゃなくて傾向の話。
— BOZ (@boz_trade) 2017年12月14日
で、どうしてこのパターンの下降チャネルは上にブレイクしやすいのか?ってことですが、
普通、下降トレンド、つまり値動きが下降していく場合は下げ方が強いのが一般的です。が、このパターンは、じりじりとしか下げません。ゾーンが1段そしてまた1段という形。
価格は下げていくんで、売り方の勝ちなんですが、勝った割には力は拮抗しているんですね。だからすんなり下げないし、上下に価格がぶれやすい。
おまけに、上図を見ればわかる通り、下値ブレイクしても必ずと言ってよいほど勢い良く買いあがってます。
つまり、売り方がなんとか勝っている状態ですが、実はじり貧状態とも言えて、買い方にはまだ勢いが残ってるわけです。
売り方が息を切らしてくれば、買い方が勢いを増していく・・・
これって、絶対じゃないですが、普通に考えれば起こりやすい傾向ですよね?つまり、これが上限にブレイクしやすいっていう理由。このパターンの結果傾向を知らなくても、この値動きの攻防を読み込むことが出来たら、想像つきやすいですよね?
さらには、ゾーンⒸでの大きな下限ブレイクは、何度試しても一気に買い上がられていて、大きな下ヒゲを形成。おまけに最後の方のブレイクは前回の下値に全然届かない始末。
「これは、下げ傾向のクライマックスってことじゃね?」
って、値動きを読む人の多くは思うわけです。そろそろ、買い方が巻き返してくるな、と。
じゃ、結果ですね。
やっぱ、ブレイクしましたねぇ。でもまぁ、これ絶対ってわけじゃないです。相場に絶対はないわけで、あくまで傾向のお話です。
ちなみにですが、こういった攻防は売り方と買い方の勢力が拮抗した状態で起こってるので、上値ブレイクしたからと言っても、しばらくはじり高が続くケースが多分に考えられます。一気にバイーンって伸びるのは期待しちゃダメ。大きなファンダメンタルズ要因でもない限りは。おまけに、大きなファンダメンタルズ要因で、再度下落もあり得ますから。
ってことで、まもなく大きな指標発表が行わわれます。要注意ですね。
それじゃあ、また。
後付け解説なら誰にでもできますが、実際にトレードするのは難しい、って話
(以下の記事は、2017年10月14日付けの記事を加筆修正したものです)
まぁ、本だとかブログだとかで、後付けで相場やトレードのやり方を解説するのって、良くある光景です。(ま、僕もやるんですが)
チャートに線引いたりインジケータを表示させて、
「ここがこうなるから、ここで下降トレンドが発生」とか
「ここで売って、ここで買います」とか
って、ありがちですよね。例えば、こんな感じで。
これ、今朝のポンド円15分足チャートです。余計なインジケーターは表示させずに、ラインだけ引いたやつです、
これを見る限り、解説は簡単です。
「12月8日に高値を付けた後、下落。その後、下降フラッグを形成。この下降フラッグは、下降トレンド継続を示唆するので、フラッグの下値をブレイクしたら売り。」
「その後、下降チャネルを形成しているので、レジスタンスとなる上のラインで売って、サポートとなる下のラインで買う」
とまぁ、ざっくりですがこんな感じになるわけで。
で、チャートにラインを引いて説明されたら、確かにその通りなわけで。教科書通りの解説です。こんな画像と解説をされたら普通、「うんうん」って頷いちゃいます。
でもねぇ・・・
こういうのって、結果を見てから「こうでしたよ」って言ってるだけで、解説するのはとっても簡単なわけです。「明日の天気は晴れです」って予報するんじゃなくて、「昨日は雨でした」って結果をお話ししてるだけですから。
でも、このチャートが形成される経過の中でチャートを見つめていたら、果たして後から解説したようなトレードが出来るかどうかは、とっても疑問です。
ということで、チャートの後付け解釈ではなく、現実に直面する問題点をこれから解説していこうかと。
まずは、「じゃあ、実際に先の説明通りにトレードできんのか?」ってところから。
先の図から、下降チャネルのラインに接した部分を順番にアルファベットをふってみました。
A(買い)→ B(売り)→ C(買い)→ D(売り)→ E(買い)→ F(売り)→ G(買い)→ H(売り)→ I(見送り、または売り増し)→ J(買い)
おおっ!めっちゃ儲かってますねぇ。
ただまぁ、その後はうまくいかない。Jで買ってもレジスタンスに届かずに戻ってくるのでKで損切り。ただチャネル内に戻ったので頑張って買いなおしてもLにて損切り。Mもまた同じ。
しかし、ここまでのチャネル内の教科書的な売買であれば、10勝3敗程度で大幅勝ち越しにはなります。
が、実際のトレードでは、そうは問屋が卸しません。
チャネルラインを越えた時点でブレイクと判断して買いではなく売りで攻めたり、
ラインを勢いよく抜けた後に勢いよく戻るなんて思わないからあわてて損切りしちゃったり、
下限で買ってもなかなか上に伸びずに戻ってきたので慌てて薄利で決済しちゃったり・・・
実際は10勝3敗じゃすまないし、利幅も教科書通りには獲れません。
でね、ここで持ち出されるのが「メンタル」。きちんと冷静に判断できればとか、含み益が減ることに耐えられるメンタルがあればとか、ってやつ。
後付けでチャートを見て、
「ほら、こんなに値は伸びたのに、少しの戻しにビビッて、こんな薄利決済しちゃった俺って、メンタル弱い」
「目先の値動きに振り回されず、きちんとしたポイントで売買できてていたら、勝率だってもっと上がってたのに。弱いメンタルを何とかしなくちゃ」
なんて感じで、自分を責めてしまうわけで。
でもね、違うんですよ。
後から見れば、「ほらみたことか」ってなりますが、その経過途中からは、誰だって未来は見えないんです。
ほら、この時点のチャートを見て、誰が下降チャネルをこれから形成するって言えますか?どう見たって、平行レンジでのもみ合いでしかありません。
恐らく、早い人でこの段階まで来ないとラインは引けません。
となれば、早い人でも先のポイントABCDEまでは、後付け解説の様なチャネルライン内でのレンジ取引は不可能なわけです。
ちなみに僕は、このタイミングで仕事から家に戻ってきてチャートを開いたんですが、その際に「ひょっとしたら・・・」と思って下降チャネルのラインを引いていました。
でも、それは確信とは程遠い「可能性の1つ」でしかありません。
この後、チャネルライン形成に確信が持てるのは、翌日のお昼にラインがGに到達して跳ね返されるのが確認出来てからになります。その前に、Fでラインに到達しますがDと同じレベルの高値ですから、その先の値動きが見えないリアルタイムの中では、まだチャネルライン形成とは確信しづらいわけです。
じゃあ、もう1回先ほどの後付け解釈チャート見ていきましょうか。
リアルタイムの中では、Gに到達して反転が確認できるまでチャネル形成は確信持てないわけですから、上手くいってGで初めて買いに入れます。
(それまで平行レンジと判断していれば、Eの辺りは下方ブレイクと判断して売りで入り損切りしていた可能性が高いですね)
で、後付け解釈通りにやれるならば、HIJまでうまくいきますが、Jで買ってもチャネル上限には到達せずに反落しますので損切り。その後も、損切りの連発。
勝率少なっ!!
リスクリワード比は良いはずなので利益は残るはずですけど、公衆の面前でドヤ顔して解説できる程のトレードは実現できないことが良く分かります。
しかも、ラインってその人の主観で引いていくことになるので、人によって引き方が変わってきます。特に斜めラインは、その傾向が強いので、色んな線が引けちゃいます。こんな感じで。
太線で引いた外側のラインが先の図で引いたラインと同じで、教科書的な引き方になると思います。
で、ちなみにですが、そのチャネルラインの内側に上下1つずつ太い赤線でラインが引いてあると思います。これは、教科書とかには書いてないと思うんですが、僕が良く引くラインで、この2つのラインをゾーンとしてトレードするのが現実的だと、自分勝手に思ってトレードしてます。
ちなみにもう1個。
このチャネルラインの主軸となるゾーンは薄緑色の部分になりますね。まぁ、見てその根拠が分かる方だけ分かってもらえれば結構なんですが・・・
今日は休日で、ちょっとノリノリなので、もう少し踏み込んだ解説でもしようかな・・・
と思ってしまいましたが、ちょっと別のことをやりたいんで、その後に続きのブログを書こうかと。先の後付け解釈よりは、ずっとリアルタイムのトレードで使える解説になると思いますので、こうご期待。
→ 続きは、こちら。チャネルの内部構造について解説してます。