チャート・デザインのすすめ(3)

さて、前回の予告からすれば、今回は設定したガイドラインに沿って、ディテールを作成してく解説をする予定でした。

が、ちょっとその前に・・・

ガイドラインにそって、実際に相場を見ていく例を挙げておいた方が良いかなぁ、と。

細部に移る前に、骨子の部分をきちんと把握できるようにしておかないとね。

ということで、始まり始まり~!

ガイドラインを用いてみよう

前回に使ったユーロドルの1時間足に日足5SMAをガイドラインに用いたチャート図が、これでした。

とりあえず、これを使ってチャートの左側から少しずつガイドラインを適用させながら判断していこうと思います。

左側の方までチャートを隠しながら説明しますね。

ここ、前回説明しましたが、価格は2度ほど下降する75SMAの上抜けを試みますが、抜けきれずに失敗した場面です。

下降トレンドと判断し、売り方針という場面ですね。

もちろん、この段階で飛び乗るのではなく、75SMAに向かって価格が一旦上昇してから再び反転下落をするタイミング、つまり戻り売りのタイミングを待つ場面です。

で、この戻り売りの方針は、価格が下降する75SMAを明確に上抜けるまで続きます。

この方針で戻り売りを狙った場合、上図赤丸で記した辺りで4回ほどのエントリーポイントがあったことになります。


もう少し細かく見れば他にも数箇所の戻り売りのタイミングがありますし、より小さい時間軸でタイミングを狙うと、もっとエントリーポイントは探せるはずです。

が、ここはチャートデザインのお話なので、この1時間足のみで考えることにします


で、実際にこの戻り売りのポイントをどう捉えるのか?

というのを見つけようとテクニカルを適用していくのが、この後に解説することになる「ディテール」の作成ということになります。

なので、今はガイドラインの解説なので、その辺は飛ばしていきます。

今の段階では、ガイドラインに従って上図赤丸の様な戻り売りのポイントを売る「方針」を立てる局面であると分かってもらえれば、OKです。

さて、続けましょう。

この赤丸の部分も、前回お話しました。75SMAを価格が上抜けた後、しばらく(2~3時間)はその上に滞在します。

ですから、この時点で「下降トレンドではなくなった可能性大」ということで、

「分からない局面に突入した」

と判断します。ここからは、何らかのガイドラインが適用されるまでは「分からない」としてトレードはしてはいけない局面ということになります。

ちなみに、移動平均線だけでなく、ダウ理論や値動きなどもガイドラインに用いていたとしたら・・・

まず、低値Aから低値Bの切下げた値幅に注目して下さい。それまでは大きく低値を切り下げ続けてきましたが、Bの時点では低値の切下げ幅が極端に小さくなっています。

75SMAのガイドラインに従って下降トレンドは進行中と判断は続けますが、この時点で

「あれ?下降する力が弱まってきてるかな?」

と、一応は警戒心を持ってチャートを眺めることになります。

そして次の低値C。この時点で、低値はBからCへと切り上がりました。

ということで、ダウ理論もガイドラインに用いているのであれば、Cの時点で「下降トレンドは少なくとも一旦終了」という判断になります。

75SMAだけをガイドラインに用いるよりも、「分からない」「手を出してはいけない」と判断するタイミングが早くなるわけですね。

そしてその後、75SMAを上抜け。しかし、赤い丸の部分は直近高値と同値で止められたため、やはり「分からない」局面であるとハッキリします。

まぁ、この様にガイドラインに用いるテクニカルは複数の方がより的確に4大局面を判別することが可能になります。

が、前回もお話した通り、慣れないうちはまず1つのテクニカルに集中して習熟度を上げる努力をした方が良いです。

話がそれました。続けましょう。

上図赤い丸のポイントを見てください。75SMAが上を向き出し、価格が75SMAの上で反転上昇を始めました。

この時点で、「分からない」という局面は終了し、

「上昇トレンドが発生したと判断し、押し目買い方針」

というガイドラインが適用されることになります。この赤丸のポイント以降は、75SMAが上を向きつつ価格が75SMAより上にある限り、この押し目買いの方針は続きます。

ちなみにですが、これもダウ理論を用いていれば、もっと早く局面の切り替わりを判断できています。

上図青丸を見れば分かる通り、高値も低値も75SMAが反転上昇始める前に既に切り上がっていますので、より早く上昇トレンド発生を感知できたことになりますね。

次に、上図赤丸Eを見てください。価格は75SMAを下抜けたまま滞在しています。75SMAはまだ上を向いたままですが、この時点で上昇トレンドが継続するかは「分からない」ことになりました。

ということで、ここで買い方針は終了。「分からない」局面に突入したので、Eのポイントからはトレードはしない方針に切り替わります。

DからEまでの上昇トレンド中には、大まかに5か所の押し目買いポイントがあったのが分かると思います。

なお、ダウ理論では、まだ直近低値FはEの時点では切り下げていませんので、まだ上昇トレンドは終わっていないことになります。

続いて、上図赤丸のポイント。ここはちょっと面白い場面です。

まだ慣れていない人は、75SMAは横を向いたままなので、ここはまだ「分からない」と判断します。

その後、価格の下落が続き、75SMAが下を向き出せば、その段階で初めて「下降トレンド開始。売り方針」と判断することになります。

欲を出して早めに仕掛けてしまうと、ガイドラインの意味をなさなくなりますので、初心者は注意しなくちゃいけない場面です。

しかし、この場面は慣れた人だと、ちょっと違ってきます。この赤丸の時点で

「75SMAに頭を抑えられて抜けそうもないかな。この揉み合いを下抜けたら75SMAは下を向き出すことになるので、下抜けたと同時に売り方針に転換しよう」

という判断を下す人も出てくると思います。この辺が、経験値・習熟度によるところなんですよねぇ。

ただし、初心者は絶対にこういった判断は止めてください。経験と腕による判断ではなく、欲望に左右された判断になりますから。

前回も言いましたよね。検証と練習によってガイドラインは具体性を加えていきますが、初心者が技術もないのにいきなりトレードで新たなガイドラインを加えるのは間違いだと。

欲望にまみれただけの醜い姿でしかないんですよ。

こういった早合点を繰り返すのは、むしろトレードの上達から遠ざかってしまいますので、注意してください。

さて、初歩向けのガイドラインに従うとすると、大体赤丸Gの辺りで75SMAは下向き出しますから、この辺りにきてようやく

「下降トレンド開始。戻り売り方針」

という判断になります。この方針は、75SMAを価格が上抜くまで続きます。

で、Hのポイントで、価格は75SMAを上抜いたまま滞在します。なので、ここからは

「分からない局面。トレードはしない方針」

ということになるわけですね。

・・・とまぁ、実際にガイドラインを適用しながら相場を見ていきました。

みなさん、この例をもとに、相場状況の4大局面を判断して売買方針を立てる検証と練習を繰り返してみて下さい。

この感覚が身に付けば、後はエントリーポイントを探るディテールを作っていけば良いだけです。

ただ、ここから新たに解説に入っていくのはちょっと長すぎるので、今回はこの辺でお開きとします。

次回こそは、チャート・デザインにおけるディテールの作業についてお話しますね。

それじゃあ、また。

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