前回の記事を昨日アップしたばっかりなんですが、仕事も休みで時間があったのと、一昨日良い題材になりそうな相場があったので、ちょっとそれについてお話でもしようかなと。
テーマは「波の捉え方」です。
それでは、始まり始まり~~!
波の捉え方
2023年11月16日午前中までのゴールドを実例に
下の画像は、一昨日の午前中までを表示したゴールド(XAU/USD)の1時間足チャートです。
で、赤く囲った部分を見てもらいたいんですが・・・
アナタだったら、この部分における価格の波をどう捉えるでしょうか?
恐らく大体の人は、ダウ理論を利用して波を捉えようとするため、波をこんな感じで捉えると思います。
下降していく波を青色で、上昇していく波を緑色で描いてみました。
ただ、ちょっと見えづらいんで、ロウソク足を拡大して解説しますね。
A地点から、高値安値を切り下げていく波を大まかに捉えていくと、上図の様に青色1からはじまり、2,3,4と続いて青色5までの波が描けると思います。
で、青色5で底値を付けた価格は、次に上昇へと転じています。
その波を緑色のラインで示したわけですが、こちらも緑色1から2,3,4と続いて緑色5まで到達するとそこからはZに向かって大きく下落しています。
とまぁ、大体の人が、こんな感じで波の把握していくんだと思います。
でもこれ、波の捉え方が完全に間違ってます。
波の捉え方にも、流派というかそれぞれ確立された理論をお持ちの方々いるので、一概には言えないんでしょうけど、
それでも、この波の捉え方は間違っています。
ダウ理論で見る場合
もう一度、先ほどの画像を見てみましょう。緑色の波に注目してください。
緑色で描いた上昇する波をダウ理論で見ていくと、
- 青色5から緑色1の推進1波
- 緑色2から緑色3の推進2波
- 緑色4から緑色5の推進3波
と推進波が3つ形成された後に、5からの下落で直近低値4を下回ってZで終わっています。
ということは、推進波3つが終わった後に直近低値を価格が下回ったため、ダウ理論の解釈で言えば、ここで上昇トレンドは一旦終了。次はレンジか下降トレンドへと移行することになるはずです。
ってことは、この様な波の捉え方をしていると、この日の午後からのトレード方針は「売り方針」となるわけで、仮に上昇してきたら絶好の戻り売りチャンスが訪れたと判断することになります。
で、そんな方針でそのタイミングを5分足なんかで待ち構えていたりなんかすると、
反転下落の定番パターンである三尊(ヘッド&ショルダー)が現れ、絶好の売りのチャンスが訪れます。
「ここで売って、爆益じゃん!!」
ところが、現実は甘くありません。そんな願いは虚しく・・・
あれれ?爆益どころか、爆損じゃん。
ってな感じで、この後は強い上昇へと転じてしまいます。
なぜ、こんな悲劇が起こるのでしょうか?
それは、波の捉え方が間違っているからです。
もう一度、先ほど描いた波の画像を見ていきましょう。
恐らくフラクタル構造を知ってる人は、上図の青色4-5の波の中にあるオレンジで示した波の高値を緑色1が上抜いたのを見て、いち早く「下降トレンド終了」と思ったことでしょう。
しかし、オレンジ色の波というのは、あくまで青4ー青5という波の一片の中にある小さな複数の波の中の出来事でしかないんですよ。
となると、青5ー緑1を結んだ緑色の上昇波というのも、対オレンジ色の波のレベルでしかなく、青色の波のレベルで言えば、1つ下の波でしかありません。
つまり、緑色で描いた波の描き方は、青色で描いた下降する波よりも一つ下の波を描いてることになるんですよ。
言ってること、難しいですか?
難しいですよね。頭がゴチャゴチャしてきた人も、多いと思います。
それでは、もう少し分かりやすくするために、違う角度から解説してみますね。
ダウ理論で言えば、下降トレンドが否定されるのは、「直近高値を切り上げるまで」です。
上図で言えば、、下降トレンドの直近高値は青色4になりますよね。
じゃあ、その青色4を切り上げたのは、いつですか?
そう、青色3にきて、ようやく直近高値を切り上げたわけです。
となると、ダウ理論を意識して正しい波を捉えようとするならば、少なくともまずは
上図の様に、青色5から一気に緑色3までを引いた赤いラインを1つの波と捉えることになるわけです。
青4-青5の下降波の中にオレンジ色の波があるように、赤色の波の一辺の中に青5ー緑1-緑2-緑3という複数の波が存在するということですね。
しかし、ちょっと待ってください。
青5ー緑3までを1辺の波とするならば、その後の緑3-緑4や緑4ー緑5の波は、小さ過ぎやしませんかね?そんな気がしてきますよね。
ダウ理論上、1辺の波の中には、3つの推進波が存在することになりますから、
- 青5ー緑1
- 緑2-緑3
と数えてもあと1つ足りません。
であれば、波の捉え方としては、
青色5から緑色5までを1辺の涙として一気に引いてしまっても、何も問題はないんですよ。
であれば、このチャートの解釈は、
- 青色の波で構成された下降トレンドは、直近高値を越えたことにより、一旦は否定された
- しかし、Zはまだ直近低値(青5)を切り上げたとは言えないので、現段階では上昇トレンドが始まっているとは断定できない
- ということは、この後の展開は、レンジもしくは下値を切り上げて上昇トレンドが発生するということになる
- いずれにせよ、下げてきたらその後の反転を狙った買い方針
といった具合に、先ほどとは真逆の方針になるわけです。
で、この買い方針を立てて5分足でタイミングを待ち構えていたとしたら、
まぁ、トリガーをどうするかは人それぞれでしょうけど、僕からしたら青丸で下値を試して越えられず上昇に転じた辺りからは、分かりやすい場面でしかないわけで。
他のインジを見てもらっても、恐らく大体は機能してると思いますよ。
上図赤丸ポイント以外にもエントリー出来る箇所はいくつかありますし、多少タイミングが間違っていたとしても、もう買ってるだけでOK。大した恐怖も感じずに、価格は上がり続けてくれた展開となったわけです。
沼に嵌らぬよう
さて、波の見方、ややこしかったでしょうか?
ややこしいですよね。
そして、ややこしくて正解です。
下手にフラクタル構造が絡んでくるんで、波を正確に捉えようとすると、実際分けわからなくなったりします。
また、僕はあえて先ほどのチャートを赤い線で囲んでその部分だけを見るようにして解説しましたが、その前の波まで考慮しようとすると、また別の解釈が出来たりして、混乱が始まります。
ある程度熟達した人であっても、一旦そう思って捉えた波が、相場の値動きが進むにつれ、あとから修正するというのは、珍しいことではありません。
要するに、フラクタル構造を絡めながら波を上手くとらえるというのは、実際は難しいんですよ。
ですから、実際に波の捉え方を正確に突き止めようとすると、
沼に嵌ります。
しかし、トレードの技術を上げるために、物事を突き詰めていくというのは、正しい道です。なので、険しい道を突き進むことを、僕は否定しません。
ただ、波を捉えるという作業は、険しい道であると同時に、沼に嵌りやすい。
沼に嵌ってしまって、そこから抜け出せないのであれば、それは実際にトレードで利益を得るという目的とは違う道に進んでしまっているのと同じです。
なので、ある程度波を捉える技術は学ぶべきですが、トレードで利益を稼ぐという技術を磨くという意味での本質からかけ離れてしまうのであれば、そこで一旦波に関する学習から離れるべきだと思います。
だってね、波の捉え方なんて、正確無比に分からなくても、ある程度認識できるレベルの技術があれば、それだけで十分勝てるんですから。
レベル3で十分勝てるのであれば、無理にレベル10を目指す必要なんてありません。
僕らがやっているテクニカルというのは、座学ではないんですよ。実学であり、実務者としての腕と知識を学ぶためのものなんです。
勝てる以上の知識をご披露してドヤりたいなら、それはトレーダーではなく、「別の何者か」でしかありません。
もう1つの波の捉え方、それは「流れ」
沼に嵌らぬように。
とお話しましたが、そんな沼に嵌る前に、もっと別な波の捉え方のお話をしておきます。
これは、素のチャートで「あーでもない、こーでもない」と頭を悩ませることなく、非常にシンプルで初心者でも理解しやすい、とっても実用的なやり方です。
僕はこのブログではそれを
「流れ」
と呼んでいます。
このやり方、このブログでは既にお話していますが、結構昔のことなので知らない人も多いでしょうし、忘れちゃったって人も多いでしょう。
なので、ここでもう一度解説しておこうと思います。
「流れ」について
BOZ流、というか僕がこのブログで解説する際に用いる用語に
「流れ」
というものがあります。
この「流れ」とは、トレンドが上とか下とか、トレンドレスでレンジだとか、そういった部分的なことではなく、価格が推移する軌道全体のことを示します。
例えば、チャートに手書きでその流れを書き込むと、下図の様な感じになります。
青色の曲線でなぞった様に、価格が推移する軌道を抽象的に描いたものが、僕の言うところの「流れ」です。
価格の推移を、ロウソク足の山と谷を直線で結んだ「波」で把握するのではなく、もっと抽象的に価格の軌道を曲線で表したものが「流れ」なんですね。
で、こういった流れは、わざわざ手書きで描いたり、頭の中でイメージしてみる必要はありません。
インジを使えばOKです。
で、そんなインジは特別仕様なものでもなんでもなく、どんなチャートソフトにもデフォルトで用意されている超メジャーなインジ、
単純移動平均線
です。
単純移動平均線は、僕らに価格の流れを、端的に簡略化してそれを視覚化してくれます。
例えば75期間程度の移動平均線であれば、下の図の様に、チャート全体の大まかな流れを表現してくれます。
もちろん、75SMAで表現される流れは、大まかな流れです。
この大まかな流れの中にある小さな波をもっと的確にとらえた流れを表現したい場合は、もっと短い期間の移動平均線を使います。下の図は、20SMAです。
先の図と見比べれもらえれば分かる通り、より細かな流れを表現してくれています。
しかし、この20SMAで表現した流れの中には、さらに小さな波が存在しますよね。これを更に流れとして表現したい場合は、さらに短い期間の移動平均線を使います。下の図は、10SMAを用いて、それを表現したものです。
先ほどの20SMAを使った流れよりも、より実際の価格推移に近い流れを表現してくれていると思います。
で、波を把握したい場合、この「流れ」を用います。
先ほど闇雲に波を描いチャート図が、下の図でした。
これに、20SMAを表示して価格推移の流れを見てみると、以下の様になります。
「流れ」は緩やかな曲線です。そして、緩やかな山と谷を形成しています。その緩やかな山と谷の部分に印をつけたのが、下の図です。
赤丸部分のところは、誰もが理解できる箇所ですが、青丸部部だけはちょっと微妙です。
これを説明するには、いくつかの議論が必要になるので割愛しますが、この青丸部分にも緩やかな山と谷が存在すると仮定しておきましょう。
では、この流れの山と谷を実際のロウソク足の山と谷に当てはめて、波を考えてみましょうか。
移動平均線は遅行指標ですので、そこに表現される山と谷は、実際の値動きよりもやや遅れて表現されます。
なので、
- 赤丸aの山は高値Aの山に相当
- 青丸bの中にある山と谷は1と2に相当
- 赤丸cの谷は3の谷に相当
- 赤丸dの山は4の山に相当
- 赤丸eの谷は5の谷に相当
となります。
ということで、この20SMAの流れに合わせた山と谷を実際の高値低値を用いて波としてラインを引いてみると、この一連の下降トレンドの波は、
と上の図の様になり、最初にロウソク足だけを見て引いた
こちらの波と全く同じ軌跡となります。
で、注目してほしいのは、この後の上昇の局面です。
最初にロウソク足だけを見て引いた波は、上図の緑色のラインでしたね。青色5を起点として、緑色1、2、3、4、5の山と谷で形成される波です。
で、この波捉え方は、既に間違いだと解説しています。
では、20SMAを用いて表現した流れは、山と谷をどう表現しているでしょうか?
そうです、この上昇する価格推移の過程において、流れは赤丸eの谷と赤丸fの山しか形成していません。
つまり、これを参考に実際のロウソク足に波のラインを引いてみると、
間違った波の引き方である1、2、3、4の山と谷をすっ飛ばして、青丸5と緑丸5を結んだ1辺の波になるんですね。
これって、先ほどロウソク足だけを見て最終的に修正を終えた波である
こちらの波の捉え方と、同一になるんですよ。
凄くないですか?凄いですよねぇ。
( ̄∇+ ̄)vキラーン
要するに、どうやって波を捉えたら良いかは、特別考える必要もなく、
移動平均線を引いてしまうだけで、ぱっと見だけで正しい波が把握できる
ってわけなんですよ。
これで沼に嵌ることなく、時間と労力を無駄に費やすことなく、波を正確に把握することが出来る様になったと思います。
最初の方の解説で
「はぁ?意味わかんね」
( ̄へ  ̄ 凸
となった人でも、難しく考えることなく波を捉えることが出来る様になると思います。
ちなみにここで引いた波のもう1つ下の波を見たい場合は、移動平均線ももう1つ下の10SMAを用いればOKです。
やっぱり簡単ですね。そして、実用的です。
複雑怪奇なモノゴトを複雑に考えても、答えは出ません。むしろ、そうやってしまうと息苦しくなり何も行動が出来なくなってしまいます。
そうではなく、複雑なモノゴトをシンプルに捉え、シンプルに考え、シンプルに行動する。
生き方もトレードも、一緒なんですよ。
そして、これがBOZ流!
( ̄∇+ ̄)vキラーン
さて、僕のドヤ顔はこの辺でお終いにしておくとしましょうか。
それじゃあ、また。