ラインとオーバーシュート(100年の時を越えて)

既にX(旧Twitter)のポストにて、ご存じとは思いますが、

いやぁ~、久しぶりに入院してました。

ただまぁ、お陰様で大事に至らず、先日退院したところです。

もちろん退院したといっても、まだ仕事復帰できるレベルではなく、自宅療養中なんですが、

「暇なんで、ブログの記事1つくらい書いておこうかなぁ・・・」

なんてことで、今パソコンの前にいます。

今日は、久しぶりにラインのお話をしますね。

それじゃあ、始まり始まり~!

プロローグ

本題に入っていく前に、少し話しておきたいことがありますので、少々おつきあください。

深堀をしていこう

今回のお話はラインについて・・・

とは言っても、ラインそのものではなく、ラインを引いたときに現れる「オーバーシュート」についてお話しようと思っています。

ただ、それ言うと

「オーバーシュート?ああ、あれね。そんなの知ってる」

とか言ってスルーする人って、いるんですよね。

 

勝てないくせに。

 

勝てない人って、謙虚さが足りないんですよ。相場に対する謙虚さが。実は何も分かっちゃいないくせに、分かった気になって先に進もうとします。

「日足5SMA分析シリーズ」を読んで理解している方も多いと思いますが、たかが移動平均線1本に対しても、大切な思想とロジックが詰め込まれています。

勝てない人たちが、ただ読み聞きしただけで「知ってる」として、通り過ぎてしまっていることを、勝ち続ける人たちというのは、追求し続けているんです。

そして、今回お話しするお話も同様です。

ライン1本、オーバーシュート1つにしても、そこには金融市場の様々な思惑に対応するための思想とロジックが詰め込まれています。

ということで今回は、多くの人が当たり前に通り過ぎてしまう、そのヒゲを付けたロウソク足たかが1本が織りなす物語について、深堀していこうと思います。

ついて来いよ。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

世紀の大発見

先程、随分と偉そうに、

「相場に対する謙虚さが足りない」

とか言いましたが、当の僕自身、振り返ってみると恥ずかしいことばかりを繰り返していました。

その中でも、大いなる勘違い野郎だったことがあります。

あれは、もう何年前のことだったでしょう?5年前?いや、もっと前か・・・

皆さんもご存じだと思いますが、相場には「ストップ狩り」というものがあります。

僕も含めて多くのトレーダーたちが、そのストップ狩りに、いやな思いをさせられた経験があると思います。

ただ、僕はそのストップ狩りについて、しばらくの間めちゃくちゃ疑問を持っていたんですね。

「ストップ狩りって、本当に儲かるの?」

ってな感じで。

で、その答えを探して、僕はしばらくの間、チャートとにらめっこしながら、

あーでもねぇ、こーでもねぇ

と考察を繰り返していたんですが、ある日ふと、その答えを見つけちゃったんですね。

「あれ?これって、相場の原理原則じゃね?」

「ひょっとして、大発見?俺って、天才?」

ってな感じで。

その内容は、「それを知れば、トレンドの初動をかなりの確率で捉えることが出来る」というくらいの相場の真理です。

で、僕はその真理について、これを公開してドヤることで、思いっきり承認欲求満たすべきか、秘密にして自分一人で独り占めするか、ニヤケながら考えたんですね。

で、その結果、

「黙っておこう。僕だけの秘密にしちゃおう」

という選択をしたわけです。まぁいずれにしても、自己満足にしかすぎません。

が、しかし・・・

僕はそこからさらに数年後、思いもよらない形で、自分の愚かさを自覚することになります。

100年の時を越えて

今から3年前、秋頃のある日の話です。

僕は何気なく書店に足を運び、

「どうせ、くだらない内容の本しか置いてないんだろうけどな・・・」

なんて思いながら、トレード関連の書籍コーナーの前に立ったんですね。

すると、今まで見かけたことのないカバーの本が目に留まりました。

「あ、新刊か」

そう思って、手に取りパラパラとページをめくります。

 

「・・・ん?」

 

ちょっと気になることがありました。

「ここに書いてあるチャート図の解説・・・俺の相場認知の仕方と似てるなぁ?」

で、さらにページをパラパラとめくっていった直後、

 

僕の頭の中で、衝撃が走りました。

 

だってね、僕が世紀の大発見だと思って隠してた真理が、そこには普通に書かれてたんです。

しかも、その理論がアメリカで公開されたのは、今から100年前って・・・

 

あ~、内緒にしておいて良かったぁ・・・

知らずにドヤ顔で話してたら、めっちゃ大恥かいてたじゃん。

ぎりぎりセーフだぜ!

( ̄ー ̄)b

ワイコフ理論

僕が手に取った書籍の名前は、

「ワイコフメゾットの奥義」パンローリング社

著者は、デビッド・H・ウェイスという人ですが、ここに書いてあるメゾットを生み出したのは、

リチャード・ワイコフ氏

彼の理論は「ワイコフ理論」と呼ばれていますが、実はワイコフがこの理論を発表したのは、もう100年も前の話になります。

このワイコフ理論、日本での認知度はそれほど大きくはありませんが、海外においてはかなりメジャーです。

つか、今のトレード技術の発展を牽引しているのは、この理論がベースにあると言っても言い過ぎじゃないくらい。

で、今日僕がお話しようとしている「オーバーシュート」の話というのは、ワイコフが言うところの

「Spring(スプリング)」

のお話です。

ということで、前置きが長くなりましたが、本題の方はもっと長々となります。

ついて来いよ。

( ̄ー ̄)b

BOZ流ライン引き方のおさらい

BOZ流ライン引きの大前提

BOZ流においては、ご存じの通り

  • できるだけ多くのロウソク足のヒゲや本体の端っこに触れるように引く
  • 引いたラインは目安であって、ゾーンとして捉える
  • なので、価格がオーバーシュートするのは当たり前のこと

というのがライン引きの前提にあります。

BOZ流において、ラインをロウソク足のヒゲ先や実体の端に引くという考え方はしません。

なぜなら、引いたラインは目安であって、そのラインの周辺一帯には売り方と買い方の戦場があると考えるからです。

で、この戦場となった形跡のある一帯を、僕は「ゾーン」と呼んでいます。

ただ、このゾーンを2本で描くのが面倒だし、それを続けるとチャートがごちゃごちゃして見づらくなるので、僕はこのゾーンの基点をライン1本で表現するんですね。

で、それがBOZ流ライン引きとなります。

僕のラインに関する解説についてまだ知らないという方は、「お勧めの記事」から、ライン関係の記事を貪る様にして読んでおいてください。後から見直すとダメ押し感満載なんですが、それでも下手な教科書よりはきちんと書かれていると思います。

なお、ゾーンに関しては、軽く触れる程度で、具体的な引き方など、これまで詳しく解説はしてきていません。

これについては、改めて機会があれば書きたいなぁとは思ってるんですが、ただ恐らくそれだけで記事が膨大になると思うので、正直気が引けるですよねぇ。

まぁ、書くのであれば、僕のいうゾーンだけじゃなく、OBやSup&Demなんかの海外のゾーン(的なもの)についても、ちょっと触れていこうかな・・・とは考えてます。

でも、やっぱ気が引ける。だって面倒なんだもん。

ライン際を見極める

さて、本題に戻しましょう。

ラインを引くという行為は、相場の状況を把握し、それを可視化するために引くというのが目的なんですが、

実際のトレードにおいては、その引いたライン際での値動きの挙動を見極めることが、大切になってきます。

つまり、価格が

  • ラインを抜け切る(ブレイク)のか?
  • ラインに到達したら(もしくは到達せずに)反転するのか?
  • ラインを一旦抜けた後、再びラインの内側に戻る(オーバーシュート)のか?

を見極めるために、ラインを引くわけです。

チューニング

ただ、1つ問題点があります。

それは、BOZ流ライン引きというのは、「このポイントただ1点に引くのが絶対」というのがないので、人によってラインの位置が多少異なってくることになるんですよ。

もっと正確に言うと、同じ人であっても、

「この辺かな?いや、この理屈で言えば、もう少し上にも引けるぞ。いや、もっと下に引くこともできるし・・・」

ってなるわけです。

僕が解説した通りに引こうとすると、引けるラインには、その上下に値幅が出てくるんです。

で、その上下の値幅の中で、ラインを移動させて調整することを、

「チューニング」

と呼んでいます。

で、本来は、「最もアナタ自身が値動きを把握しやすい位置にチューニングして引く」というのが理想なんですが、それだとあまりにも曖昧。

ということで、チューニングの仕方としては、

「ラインは、価格が向かってくる方向に出来るだけ近い位置に引く」

ということを推奨しています。

確か、「ライン引きの手引き(3)」でお話したと思いますが、この場を借りて、もう一度そのチューニングについてお話しますね。

下の図はポンド円の15分足。BOZ流では、パターンライン以外は分足には引かないのが原則ですが、1時間足に引いた後に分足でそのラインをチューニングするという例として、解釈してください。

で、紫色で塗りつぶしたところをポイントにして、ラインを2種類引いてみました。この2本が、ラインをチューニングする際の上限と下限です。

ではまず、価格がラインに向かって上昇してくる局面(赤い矢印)を見てください。

実際にトレードする場合、どちらのラインの方が判断しやすいですかね?

そう、青色の線です。赤色の線には届かず反転するので、トレードしやすさから言ったら、青色の線になります。

ところが、ラインを抜けたてしばらくグダグダとした後、価格はもう一度このラインに向かって下がってきています(青い矢印)よね。その時は、どうでしょう?

今度は、青色のラインには届かず、赤色のラインの方がきっちり到達していて、トレードがしやすいと思います。

つまり、どちらのラインの引き方が正しいのか?なのではなく、

ラインは価格が向かってくる側に寄せて引いた方が、トレードしやすくなる

ということなんですね。

では、この後の展開も見ていきましょう。今度も価格が向かってくる方向から、近い方にチューニングしたラインと遠い方にチューニングしたラインの2本を引いてみたので、見比べてみてください。

価格は、勢い良く下から上に向かって2本のラインを抜けました。

で、ここで勘違いしてほしくないのですが、

価格が向かってくるのに近い側にラインを引いた方が良いといったので、抜けるまでは青いライン、でも抜けた後は下に向かってきているから、すぐにラインを赤いラインまで引き上げる・・・というのは、間違いです。

最初にも言った通り、「ラインとはオーバーシュートするのかどうかを見る」というのが、大きな主旨の1つです。

「オーバーシュートするかどうかを見る」

というのは、

「ラインを一旦上に抜けた後、直ぐにそのラインをもう一度下回るかどうか?」

を見ることなので、価格がラインを越えたからと言って、直ぐにラインを移動させてはいけません。

ということで、まずは青ラインから見ていきましょう。

価格は青ラインを一旦抜けた後に下へ向かいますが、そのラインに下落を阻まれて、その後上昇していますね。

つまり、オーバーシュートせずに、ロールリバーサルを形成したので、「抜けた」と判断します。ロールリバーサル形成と判断したら買いエントリー、ということになります。

では、もし赤ラインの様に、価格から遠い側に引いてしまっていたら、どの様なトレードになったでしょうか?

赤ラインを抜けた後、価格は下落をはじめ、赤ラインを割り込み陰線で終わっています。

「オーバーシュート?」

この赤ラインを使ってしまうと、オーバーシュートした様にも見えてきますし、判断が難しいですよね。

オシレーターも併せて、もう1度確認してみましょう。

ラインを割り込んで陰線で終わってしまったあと、次のロウソク足も陰線で終わっていますが、、オシレーターはそのタイミングで、高値圏でデッドクロスしてしまっているのが、分かると思います。

「反転した」

そう思って、売ってしまいそうです。

でも、結果を見ればわかる通り、その判断は誤りだったわけですよね。

この様に、値動きから遠い方向にラインをチューニングしてしまうと、オーバーシュートを見る際に判断を誤ることが続出してしまうんですね。

しかし、青いラインの様に価格が向かう側に引いてしまえば、ロールリバーサルが視認しやすいですし、この局面をオシレーターで確認してみると、

高値圏で一旦デッドクロスしますが、そのタイミングではまだ青ラインに到達していないですよね。

で、青ラインに到達したポイントでは、オシレーターはまだ高値圏を下抜けできていません。

そしてその後、価格が青ラインからロールリバースを始めるタイミングで、オシレーターはもう一度ゴールデンクロスしはじめます。

これなら、ラインを引いて観察した値動きとオシレーターの動きが一致しているので、この2つの根拠をもとに、安心してこのタイミングで買いエントリーができるわけです。

この例からもわかる様に、ラインを引く場合のチューニングは、値動きが進んでくる方向に近づけて引くことで、実際のトレードにおいては適切な判断がしやすくなるわけです。

ということで、チューニングする際には、このやり方をお勧めしています。

ただ、繰り返しますが、一旦価格がラインを抜けたとしても、完全に抜けたと判断できる、つまりオーバーシュートしなかったと判断できるまでは、そのラインは動かしませんからね。

この点を間違えずに、ライン引きの練習を頑張ってもらえたらな、と思います。

BOZ流エントリーの仕方

既にご存じの通り、僕のエントリーにおけるトリガーのロジックは、

  • 到達確認
  • 反転確認

の2つです。優先順位もこの順番です。

ここでは、この点に力点を置いて、もう一度ライン際での値動きの見極め方をおさらいしましょう。

エントリーのロジックを、ライン際での見極めに用いる場合、

①の様に、

ラインに到達したことを確認し、そこから反転が確認できたら売りエントリー(反転確認できなければ、再びライン越えを試す可能性がある)

②の様に、

ラインを一旦上抜けたが、再びラインの下側に戻り、反転が確認できたら売りエントリー(オーバーシュートを確認してレンジ内取引)

③の様に、

ラインを一旦抜けた後、もう一度ライン方向に戻ってくるが、ライン内まで戻り切れず再び抜けた方向へと反転が確認(ロールリバーサル)できたら買いエントリー(ラインブレイク取引)

となるわけですね。

(ここでは、価格がラインを上にブレイクするかどうかの例えです。ラインを下にブレイクする場合の解説は省きますが、理屈は一緒ですので、この解説の内容を逆さまに解釈して読み進めてください)

ではここで、①のようにはいかず、ラインに届かずに再度下に向かってしまった場合のことを考えてみましょう。

ラインに到達できなかった場合、そこで売って良いのかどうか判断に迷いますよね。

未到達な場合、その未到達具合を推し量る(これも到達確認)必要が出てくるんですが、それって難易度が高いです。

だから、エントリー判断が下しやすいように、ラインは価格に到達しやすい位置に引く、つまり価格が向かってくる側にチューニングして引く優位性が、ここでまた出てくるんです。

ところが、ラインに到達しやすい様に引いてしまうと、逆にそれはオーバーシュートしやすくなる様に引いてしまっているとも言えます。

でも、それでOK。ラインはオーバーシュートするように引くのが正解です。

だって、ラインにピタリと止まってから反転する①のエントリー・ロジックと、オーバーシュートしてから反転する②のエントリー・ロジックは、全く同じなんですから。

逆に、BOZ流においては、価格がラインを抜けた途端に飛び乗って良いというエントリー・ロジックは存在しません。

ラインを一旦抜けた後の価格の挙動を見てからエントリーするのが、BOZ流のやり方なんですから、何一つ問題はありません。

では、今度は③のイレギュラーなパターンはどうでしょう?

③ではラインをもう一度試してから、反転上昇していますが、こんな風にきれいなロールリバーサルが起こるとは限りません。

  • ラインを抜けたら、そのまま押し目もつけずにグングンと伸びていくパターン
  • ラインを抜けた後、一旦ラインに向かって下がってくるが、ラインには届かず反転上昇をしてしまうパターン
  • ラインを抜けた後、再びラインの下に戻ってしまうが、再度反転上昇して、ラインブレイクを成功させるパターン

こういったケースが考えられますよね。

これに関しては、最初のケースだけお話します。(それ以外のケースは、次の章以降で解説していきます)

BOZ流のエントリーのやり方は、

  • 到達確認
  • 反転確認

を経てからのエントリーとなります。

なので、ラインを越えた後に押し戻しもつけずにグングン伸びてしまう場合、僕のエントリー・ロジックにおいては、ただ指をくわえて見ているだけになります。

でも、それがBOZ流エントリーなんですよ。

そして、それが正解。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

ブレイク後にぐんぐんと伸びてしまったら、小さな時間足に切り替えて、そこでの押し目戻りを拾います。それでも押し戻しをつけなければ、指をくわえてみています。

ブレイク後に全く押し戻しをつけずに上昇し続けるのは、ごく稀にしかありません。なので、そんな滅多にないことのために、飛び乗りをしてしまうのは、危険行為以外の何物でもありません。

仮に飛び乗りで大儲けできたとしても、それは失敗でしかありません。むしろ、その失敗を成功体験としてしまうから、その後も飛び乗りを続け、資金を減らし続ける原因になるんですよ。

だって、飛び乗りは下手クソな人がやるエントリー方法だからです。まぐれで稀に勝って、必然で負け続けます。

もちろん、ライン・ブレイクの飛び乗りが絶対禁止というわけではありません。ただしその場合、

  • 適切な決済(損切り・建値・微益)が、直ぐに出来る判断力と柔軟性
  • 多くの損切によって勝率が下がっても、利益が残るくらいの総合成績

を持ち合わせたトレーダーに限ります。

もしくは、飛び乗っても良い時とダメな時の判断ができるロジックを持ち合わせたトレーダに限ります。

そう、つまりライン・ブレイクで飛び乗って良いのは、優秀なトレーダーだけなんです。

オーバーシュートの本質

さて、ここからはオーバーシュートについて深堀をしていこうと思います。

もちろん、おさらい的な内容からはじまりますが、

「そんなの知ってる」

って、終わらせないでくださいね。

改めまして、オーバーシュート

オーバーシュートとは、「行き過ぎ」のことです。一旦ラインを抜けますが、結果として元の鞘に収まってしまうことを、オーバーシュートというんでしたね。

では、聞きます。

なぜ一旦ラインをブレイクしたのに、そのままブレイクした方向に価格は進まず、再びもと来た道を戻ってしまうのでしょうか?

答えは簡単です。

それは、「フォロースルー」がないからです。

フォロースルーとは何か?

フォロースルーとは、「追随」「追随者」のことです。

買い圧力が強くなってラインをブレイクした後、さらに価格がブレイクした方向に伸びるためには、価格を押し上げるだけの買いが続く必要があります。

しかし、買いの追随(追随者)がなければ、価格はブレイクした後に、そこで止まってしまいます。

価格がラインをブレイクしても、フォロースルーがなければ、ブレイク後に価格は推進しないというわけです。

オーバーシュートの実態

ここまでの解説を含めて、オーバーシュートとは何かを説明すると、

オーバーシュートとは、買い方が買い圧力を強めてラインをブレイクさせたのにもかかわらず、その買いに追随する者(フォロースルー)が現れないために、ブレイクが失敗してしまったもの

ということになります。

もう少し具体的に解説していきましょう。

まず、ブレイクしたにも関わらず、フォロースルーが現れなければ、価格の上昇は止まってしまうんでしたね。

その場合、市場参加者たちの中には、上昇が止まったのをいち早く察した者たちが出てきます。彼らは、

  • ラインよりかなり下で買っているなら、利益を確保するために、下がらないうちに決済(売り)する
  • ブレイクさせた者、またはそれに追随して現在の価格付近で買ってしまった者は、慌てて決済(売り)する
  • 上げ止まったと判断して新規で売りエントリーする

となり、売りが出始めます。

売りが出始めると、それを見ていた人たちは慌てます。

  • 買玉をまだ持っている人たちは、利益を確保しようと急いで決済(売り)する
  • ブレイクに乗じて飛び乗った人たちは、損失を逃れようと急いで建値決済(売り)したり、損切決済(売り)
  • 下がることを見越して、新規で売りエントリーを仕掛ける

この様にして、売りが増加し、下落は加速します。特に損切などの場合はいち早く逃れようと成行決済(つまり投げ売り)するため、売りの加速度を上げる大きな要因となります。

売りが加速すれば、価格は大きく下がり出し、抜けたはずのラインの内側へと戻っていきます。

上図は、ほんの一例ですので、ロウソク足が3本になってラインの内側に戻るとは限りません。ロウソク足1本で上ヒゲをつけてラインに戻ることもありますし、2本のロウソク足で戻っていくこともあります。

(2本のロウソク足も上位足で見たら1本のロウソク足になりますし、下の時間軸ではロウソク足の数は増えます)

で、この一連の値動きのことが

「オーバーシュート」

と呼ばれるものになります。以上の様な市場参加者の行動が、オーバーシュートという現象を作り出していくわけです。

ロールリバーサルの実態

今回はオーバーシュートについて深堀りしていく回ですが、深堀りを始める前に、ここでちょっと寄り道しときます。

ついでなんで、ロールリバーサルの値動きが生み出される原理についても、言及しておくとしますね。

ロール・リバーサルとは、別名「リターン・ムーブ」と言い、下図の様な値動きのことです。レンジブレイクのダマし回避に使われるエントリー方法です。

ではここで、このロールリバーサルという値動きが起こる内側を見ていきましょう。

先ほどの例えの様に、価格が下からラインをブレイクしたとしましょう。

買い方が、買い圧力を強めてラインをブレイクさせた後、まず売り勢力が介入し出し、上昇に陰りが出始めます。

で、それを見た人たちの中には、買玉の決済(売り)を始め出すので、売りが強まり価格は下落していきます。

しかし、買い方の買い意欲がまだ全然衰えていない場合、市場参加者の動向はどうなるでしょうか?

ライン際まで価格が落ちてくると

「今が安い。買わなくちゃ!」

ということで、ライン付近から買いが入り始めます(フォロースルー)。

ラインブレイクを図った者たちも、ラインを割り込ませないように、更に買い増しして価格の下落を防ぎます。(フォロースルー)

これを見た市場参加者は、更に買い行動に走ります。

  • 新規で買いを入れる人たちがさらに増える
  • 既に買っている人たちは買玉を積み増しする
  • 売りを入れた人たちは、慌てて撤退(買い決済)する

こうやって買い行動の連鎖がはじまり、価格は更に上昇をしていきます。

結果、この一連の動きが、ロールリバーサルとなるわけです。

もちろん、このロールリバーサルは、教科書的なお手本の様なケースです。実際は、この様に綺麗にロールリバーサルを描かないことも、度々あります。

それまで形成していたレンジの様子によっては、下図の様に、

一旦ラインを割り込んでも、そこから反転上昇し、再度ラインをブレイクしていくこともあります。

でも、安心して下しさい。

値動きをきちんと見ていれば、何も問題はありません。価格は、高値低値を切り上げてきているのが分かると思います。

要するに、上昇トレンドが発生(再開)しているんですよ。

なので、エントリーの仕方としては、上昇トレンドのエントリーの仕方と同じになります。

レンジを形成する前の経緯が分かっていれば、レンジブレイクした時点で、高値と低値の切り上げが始まったことがわかるので、

「上昇トレンドが再開したな」

と判断して、上図赤丸Aの低値切り上げが確認できたポイントで入ることができます。

それまでの経緯が判断付かず、ライン・ブレイクによる高値の切り上げしか分からない場合は、直近の値動きだけで判断します。オーバーシュートした高値を価格が切り上げた時点で、直近の値動きはN字を描いて、高値低値を切り上げますから、この時点で

「上昇トレンドが発生したな」

と判断して、赤丸Bで買いエントリーすればOKです。

ただここで、赤丸Bでの買いエントリーは高値ラインのブレイクに対する「飛び乗り」と同じじゃね?って思う人もいると思います。

が、レンジをブレイクした際の飛び乗りと、トレンド発生中に高値ラインをブレイクした際の飛び乗りとでは、根本的な部分で意味合いが違っています。

トレンドが発生しているということは、上昇圧力が強いというのが確定しているわけですから、上昇トレンド中の高値ラインとレンジの高値ラインでは、その抵抗力が全く違います。上昇トレンド中の高値ラインは弱く、レンジの高値ラインは強いんです。

なので、トレンド中の高値ライン越えでのエントリーは、レンジ高値ブレイクの飛び乗りとは、性質的に意味が違ってくるんですよ。

(ただし、そうであっても赤丸AとBでは、BOZ流においてはB推奨です。その辺についても、過去にお話してますから、勝手に探して読みやがれ読んで下さい)

また、ラインブレイク後に、価格が再度ラインまで下落せず(ロールリバーサルを形成せず)に、そのまま伸びていくこともあります。買い勢力がブレイクした後も衰えずに買い続けていくパターンですね。

その場合は、指をくわえて価格の上昇を見守ります。

そして、小さい時間足で押し目をつけたところを狙って、買いエントリーします。

いずれにせよ、高値低値を切り上げたら、

「上昇トレンド発生!」

ということで、トレンドの押し目狙いでエントリーすることになります。

ロールリバーサルも、結局のところは上昇トレンドの押し目買い局面と、全く同じ値動きでしかありませんから、言ってしまえばレンジブレイクの際のエントリーの仕方は、上昇トレンドでのエントリーの仕方と全く同じになるわけです。

簡単ですね。

以上から分かる通り、ラインを価格がブレイクしたら、上昇トレンドが発生するのか、それとも反転下落に転じるのかを見極めて、価格が進むと判断した方にエントリーするのが、ラインブレイク時の基本的見方です。

クジラの気持ち

クジラと雑魚

外為という市場において、その取引に参加する人たちは、大小様々です。

保険会社や年金機構、大手投資会社などの大口の市場参加者の取引量は、圧倒的です。個々がそれぞれ1日に何十億、何百億という巨大な金額を動かします。

つまり、彼らの大口の取引量というのは、個々であっても市場価格を押し上げたり押し下げるだけの力を持っているんですね。

そういった意味も込めて、この様な大口の投資・投機参加者のことを一般的に

「クジラ」

と呼んだりします。

で、僕ら個人トレーダーや小口の機関やら団体などは、クジラに対して「雑魚」と呼ばれます。凄腕個人トレーダーが仮に1年で何億と儲け、威張り散らしたとしても、金融市場という大海原からしたら、彼の立ち位置は所詮「雑魚」でしかありません。

ストップ狩りについて

さて、前章までの解説で、ブレイクの成功失敗は、オーバーシュートするかしないかと同義であることが分かったと思います。

ところが、このブレイクの失敗・・・

実は意図的に行われていたりするといわれています。それがいわゆる

「ストップ狩り」

というものです。

ご存じの方も多いと思いますが、この原理も一応説明しておきましょう。

レンジが形成されると、そのレンジ上限下限には損切用の決済注文が入ります。レンジが長く続けば続くほど、その注文は溜まってきます。

具体的に言うと、レンジが長くなればなるほど

  • レンジ上限のすぐ上にはレンジ上限で売った人の損切用の買い注文が溜まる
  • レンジ下限のすぐ下にはレンジ下限で買った人の損切用の売り注文が溜まる

しかも、それだけでなく、

  • レンジ形成前に売った人たちの損切や利確のための決済(買い)注文
  • レンジ形成前に買った人たちの損切や利確のための決済(売り)注文

が置かれやすくなります。

レンジの外側にある数々の注文は、結果としてレンジ・ブレイクを防ぐバリアとなります。

そして、レンジが長く続けば続くほど、そのレンジ上限(ライン際)には買い注文が溜まっていくため、バリアも厚く強固になっていきます。

ちょっとやそっとの買いに走ったところで、レンジ上限にある大量の売り注文を消化し尽さなければ、価格はラインを越えて上昇していくことは出来ません。

しかし逆に言ってしまうと、バリアが厚ければ厚いほど、そのバリアを破った時の勢いは強いことになります。損切用の買い注文が多ければ多いほど、買い圧力が増し、上昇力が高まるんです。

おまけにそのラインブレイクの強さを見た他の市場参加者は、乗り遅れないように追随して新規で買いを入れ出しますから、買い圧力は更に増します。

レジサポ機能の強いラインをブレイクするというのは、それがブレイクされると、逆に高い推進力を持つことになるわけでです。

で、クジラ(大口の市場参加者)の中には、この原理を利用して自分の利益にしようとする連中がいるといわれています。

まずクジラは、わざとこの溜まった買い注文を全て買い切るだけの大量の買いを入れ、ラインをブレイクさせることで、価格を一旦大きく上昇させます。

もちろん、レンジ・ブレイクを見て飛び乗る(新規に買いを入れる)雑魚たちが集まります。クジラは、この雑魚たちの買い注文を集めることで、価格の吊り上げを手伝わせます。

ところが、ブレイクを企んだクジラは、価格を一旦ブレイクさせて価格を吊り上げた後・・・

その高い価格水準から一気に売り決済を出していき、その値幅を獲っていくわけです。

このクジラの思惑が、いわゆる「ストップ狩り」となるんですね。

怖い、怖い・・・

((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

とまぁ、このストップ狩りのお話も、結構昔から語られており、割と一般的に広まってますから、ご存じの方も多いと思います。

で、このストップ狩りも、オーバーシュートという形となって、爪痕をチャートに残すわけです。

さて、正直言うと、今日のお話は実はここまでが前置きです。それでは、本題へと入っていきましょう。

クジラたちへの疑問

ただ、僕は冒頭でお話した様に、このストップ狩りというものに疑問を持ったんですね。

「ストップ狩りって、本当に儲かるの?」

ってな感じで。

だって、クジラは価格を釣り上げるために、ストップ狩りをするんですよね?

で、その吊り上げた高い価格のまま、持ってる玉を全て売り捌けるのであれば、それは儲かりますけど・・・

下がらない様に、ちょっとずつ売っていこうしても、その間に別のクジラが売りを仕掛けてきたら、自分の持っている玉は売れずじまいになり、結局高く買って安く売ることになってしまいます。

赤字じゃん。

だから、ストップ狩りを仕掛けたクジラは、価格が下がりきらないうちに、一気に売りに出す必要があります。

でも、その玉の量は膨大ですから、一気に売れば売るほど価格も一気に下がり続けるわけです。最初は高値で売れるでしょうけど、捌き切るまでにはどんどん安い値段で売り続けちゃいけないことになります。

結果、平均売値は吊り上げた時の価格よりも、かなり低くなるわけですよねぇ・・・

それって、儲かるんですか?

金融市場のクジラは自分で買って価格を吊り上げておきながら、売る時は自分で価格を下げていくって・・・

なんか変じゃね?理屈が通らなくね?

だから、不思議だったんですよね。なぜ、頭の良いはずのクジラたちは高いリスクを背負ってまで、そんな儲からないことをしょっちゅうやるんだろう?って。

ひょっとしたら、何か別の秘密や理由があるのかもしれません。

いや、むしろストップ狩りって僕らが勝手に思ってるだけで、本当はストップを狩りにいってるんじゃなくて、ただ単にブレイクを失敗しているだけなのかもしれないし・・・

ということで、僕はそのストップ狩りという現象について、考察を続けていったわけです。

「う~んと・・・確か・・・こういったブレイクに乗ってストップ狩りにあったんだよなぁ・・・」

「そういえば、狩られて落胆していたら、その間に反対方向にトレンドが出て、乗り損ねてたなぁ・・・」

「トレンドに乗り損ねたくないから、ストップ狩りにあってもめげずに次に反対方向にブレイクしたら果敢に飛び乗ってみたけど、今度もまたストップ狩りにあって・・・」

「そうそう、立て続けにダブルでストップ狩りにあってメンタルやられてたら、結局初めにストップ狩りにあった方向にトレンドが発生して・・・そうそう、やっぱりその時もトレンドに乗り損ねちゃってたなぁ・・・」

 

ん?

あれ?

ちょっと待てよ。これって、ひょっとして・・・

 

僕は、ふと閃いて、ストップ狩りがあったと思われる局面を、いくつもいくつも確認し直します。

そして僕はようやく、クジラたちの思惑に気づくに至るわけです。

クジラたちの売買ロジック

クジラたちは逆張り思考

既にお話しましたが、クジラたちの1日の取引量たるや、相当なものです。その何分の1程度の量であっても、相場は動いてしまいます。

僕ら個人トレーダーの様な雑魚とは違い、彼らは1回の取引を何も考えずに売買してしまったら、それだけで相場を大きく動かしてしまうわけです。

そう、動かしたくなくても、動いてしまうんですよ。

例えば、僕ら雑魚トレーダーなら1ポイントの上昇が千円程度の差であっても、僕らの何千倍、何万倍も買っている人からすれば、1ポイントの上昇差額は数十万円、数百万円と膨らんでいきます。

わずかな上昇や下落が、多額の差額を生み出すんですね。

だから、ここでクジラはジレンマを起こします。

クジラは、できるだけ1ポイントでも安いところ買わなければ潜在的なマイナスを負いますが、だからと言って自分が買えば価格は上昇してしまい、潜在的なマイナスを負ってしまう・・・

そんなジレンマです。

そこで僕は思い出したんです。どこで知ったかは忘れましたが、クジラたちの売買方法の基本は、

価格が出来るだけ吊り上がらないように、下がってきたところを、静かに静かに小さく買っていくことを繰り返します。まるで波風を立てないようにそろりそろりと泳ぐクジラの様にね。

図でイメージして表すとこんな感じです。

要するにクジラは、上がってきたところを買うことはできないんですよ。だって、価格の上昇に合わせて自分が買えば、価格はより大きく吊り上がってしまいます。

だから、クジラは下がってきたところで買います。下がってきたところを買えば、価格は上昇しづらくなりますから。出来るだけ自分の買いで価格が上昇しづらい場面で買うわけですね。

つまり、基本クジラたちは逆張り思考なんです。

これが、クジラたちの売買の仕方の1つと言われているものです。

  • 価格が落ちてきたら、買う。出来るだけ価格が上がらないように買う。
  • 再び価格が落ちてきたら、買う。出来るだけ価格が上がらないように買う。
  • 更に価格が落ちてきたら、また買う。出来るだけ価格が上がらないように買う。

これを繰り返します。

で、これが結果的に落ちてくる価格を買い支え続けるといういことになるわけです。

クジラたちは一匹狼ならぬ一匹鯨

とは言え、クジラたちは、お互い連携しあって生存しているわけではありません。

基本、一匹狼ならぬ一匹鯨です。

そのクジラたちにも大小あるでしょう。

また、買い方クジラなのか売り方クジラなのかも、その思惑は各クジラそれぞれです。

大きな買い方クジラに対して、それを知らずに小さい売り方クジラが立ち向かえば、たちまちやられてしまいますし、

大クジラだとは言え、向かっていった先に何匹ものクジラがいるのであれば、たまらず退散するしかないでしょう。

同じ買い方クジラ同士であっても、それぞれです。たまたま狙う方向が一致していただけでしょうし、もちろんその売買計画も売買のタイミングも違います。

もちろん、相手の動きも気にしながらクジラたちは泳いでいるのでしょう。

しかし、その動きを目で追うことはできません。

結果的にクジラたちは、各自が自分の思惑に従って、市場という大海原を徘徊しています。

しかし、一見無秩序なクジラたちが、隊列をなして同じ方向へと泳ぎ出す時って、一体どんな時なんでしょうか?

オーバーシュートとは物語の序章

できるだけ高いところで売りたいと待ち構えている売り方には、どのような大きさの何匹のクジラがいるのか分かりません。

もちろん、低いところで買いたいと待ち構えている買い方に、どのような大きさの何匹のクジラがいるのかも分かりません。

もっと安くなければ買わないクジラもいるかもしれませんし、積極的に少しずつ買い集めているクジラもいるかもしれません。

で、例えば先ほどの解説した様に、価格を押し上げない様に落ちてきたところ、拾い続けているクジラがいたとしましょうか。

上図は、買い方の思惑です。

しかし、その逆では出来るだけ売り下げない様に上がってきた価格を上で売り続けているクジラがいるかもしれません。

この両者の均衡が、並行レンジを作ります。

しかし、この均衡がいつまでも続くわけではありません。買玉や売玉をずっと持ち続けていても、何の利益にもなりませんから。

そんな中、ある日、積極的に売りを仕掛けてきたクジラが出てきます。

下で待ち構えていたクジラは、今まで通りにその売りを買い支えようとします。

が、普段よりもその売りの量が多ければ?

そう、支えたつもりが支え切れずに、価格はレンジ下限を破って下落します。

まぁ、そうなりますよね、普通。

でも、今まで支え続けてきたクジラは実は大クジラで、売りを仕掛けてきたクジラよりも、まだまだ豊富な資金力を持っていたら、どうなります?

思い出してください。クジラは逆張り指向です。

「あ、今までよりももっと安くなった!これって大安売りじゃん!」

豊富な資金力があれば、その安くなった大量の玉を一気に買いに走りますよね。

安売りに飛びつく僕らの買い行動と一緒です。

もちろん、今まで買い支えていたクジラじゃなくとも、「もっと安いところで買いたい」とその時を待っていたクジラがいるかもしれません。

では、そんな彼らはどうします?

やっぱり、買いに走りますよね。

安いうちに大量に買っておきたいと、クジラは一気に買いに走り、価格は再びレンジへと戻ります。

では、先ほど売りを仕掛けたクジラは、その絶大な買い圧力を見てどう思うでしょうか?

「やばい!」

そう思うでしょう。

売りを仕掛けたクジラは、慌てて上に向かって逃げ出します。

そう、売った玉を出来るだけ小さな損失で済む様に、一気に買い戻しに走ります。

つまり、買い圧力は売り方のクジラの逃走によって、さらに増していくんです。

同様に、レンジ下限ブレイクについて売りに走った違う小クジラやマグロやサケ、そして雑魚たちも、慌てて逃走を図ります。

恐怖は恐怖を生み出し、買い圧力はさらに圧力を増し続けて、価格を上昇させていきます。

そして・・・

恐怖を伴いながら増幅し続ける買い圧力は、ついに上のレンジを破ります。

しかし、その恐怖の逃走は収まりません。(フォロースルー)

では、買い方だったクジラたちは、それを見てどう思うでしょうか?

「やべぇ!このまま上がり続けたら、さらに高いところで買うことになっちゃうかも!早く買わなくちゃ!値上がりする前に買わなくちゃ!」

と、ダメ押しで買いに走るかもしれません。(フォロースルー)

雑魚たちも、大群をなして一斉に買いに走ります。(フォロースルー)

そう、上昇トレンドの発生です。

そして、買い方には正のスパイラルが、売り方には恐怖という名の負のスパイラルが起こり、上昇トレンドを形成していきます。

 

どうです?

理解できましたか?

 

上昇トレンドが発生する場合、その多くは買い方が買い進めが起因ではなく、売り方の仕掛けが発端、そしてその失敗が原動力となっていることが多いんですよ。

同様に、下降トレンドが発生する場合、その多くは売り方の売り進めが起因ではなく、買い方の仕掛けが発端となり、そしてその失敗が原動力となっているんです。

言い換えましょうか。

  • 上昇トレンドの発生の起因は、売り方のブレイクの失敗、つまり下限レンジでのオーバーシュートが発端となりやすい
  • 下降トレンドの発生の起因は、買い方のブレイクの失敗、つまり上限レンジでのオーバーシュートが発端となりやすい

となるわけです。

もっと言い換えるとすれば、

トレンドが始まる直前に、反対方向でオーバーシュートが起こることが多い

ということなんですよ。

さらに近年では、1度のオーバーシュートだけでなく、2回のオーバーシュート、つまり一度上にオーバーシュートし、今度は下にオーバーシュートした後に、本格的な上昇が始まるといったケースも多々見受けられます。

皆さんも、ストップを刈られて落ち込んでいる最中に、トレンドが始まってしまい乗り遅れたなんて経験、あると思います。

でも、その狩られたストップもまた、トレンドを形成するための一助となっていたんです。

もちろん、これはあくまで仮説でしかありません。だって、クジラたちの売買方法は、外部の人間には確認できないんですから。しかも、今時のクジラはほぼAIだし。

しかしながら、僕らトレーダーは、そのカラクリが「真実」かどうかなんて、どうでもよい話です。

僕らトレーダーはただ、チャートに現れるその「事象」に基づいて、行動をとるだけなんですから。

それじゃあ、本当にその事実があるのか、チャートを確認するとしますか。

例えば、先日もポンド円で、そんなトレンドが発生する前にオーバーシュートが起きました。

違う日にもありますね。

違う通貨も挙げておきますか。こっちは、ユーロドル。

人気のゴールドも。

挙げてみたらキリがないですね。大きめのオーバーシュートが起こった後は、その反対方向に価格はブレイクしてトレンドを形成していくことが、結構な比率であるんですよ。

で、このトレンドが始まる前のこのオーバーシュートのことを、100年前にワイコフは、

「Spring(スプリング)」

と名付け、その相場の原理原則を説いていました。

ワイコフったら、スゲェ~!!

BOZ流のロジックの意味

さて、ここまで話して、ようやく僕が言ってきたBOZ流のロジックの真意が理解できたでしょうか?

  • ブレイクに飛び乗ってはいけない
  • ラインを引いて、オーバーシュートを見極める
  • 常に到達確認して反転でエントリーする

という真の意味が。

言ってることは、トレードとしての基本しか言ってませんから、何も珍しいことは言ってません。

が、その断片と断片は、実は全て奥深いところで繋がっています。

実際のチャート図を用いて説明していきますね。

今回は分かりやすい様に、反転確認にはレンジに強いオシレーターを使って判断してみましょう。使うのはストキャスです。パラメーターは、初心者でも扱いやすい様に(52-3-3)を用いてみます。

まず、下降トレンドが続いた後に、一旦レンジを形成し始めたところで、上図の様に分足に切り替えて様子を見ます。

で、高値低値が安定してきた辺りで、

「並行レンジかな?少なくとも高値は並行のレジスタンス」

と判断し、上図四角形の辺りでレンジ高値を上抜けないことを確認(到達確認)し、オシレーターが高値圏を下抜けたタイミング(反転確認)でエントリーします。

次に低値レジスタンスになるであろうと想定したラインに到達したのを確認し、反転するかどうかを見ます。

すると、2でラインに到達すると抜けることなく反転を始めます。オシレーターが低値圏を上抜けたことを確認し、ここで決済します。

時間的に余裕があるのであれば、ここでドテン。買いエントリーもします。

ところがどうでしょう?

価格は先ほどの高値レジスタンスに到達することなく、再度下落を始め、レンジ低値のラインを試します。

抜けるかどうかを確認し、抜ける様なら赤丸2で買ったポジを手仕舞います。抜けないなら、そのまま保留。

すると、抜けずに反転上昇を始めます。

しかし、やはり赤い四角で囲ったレンジ高値までは到達せずに、先ほどの小さな高値で上昇を止められてしまいます。

売り圧力が再び強まってきた可能性が大。

なので、買いの警戒を始めます。上図を見ての通り、レンジの中に更にレジスタンスが出来た可能性があるので、ラインを引いて様子を見ます。

次に、引いたラインを何度か試している最中にオシレーターは高値圏に突入します。そして、赤丸3のポイントで、オシレーターは高値圏を下抜けたので、ここで買いポジを持っていたら決済します。

ただし、新たに売りエントリーはしません。なぜなら、レンジの中の小さなレンジというのは、もっと大きな時間軸ならOKでも、分足の中の出来事であれば、少しの買い圧力で上へと持っていかれる可能性が大きいからです。

さて、次の展開を見ましょう。

レンジの中にレンジが生まれた(以下、「小レンジ」と記述)可能性を想定し、その低値たちにラインを引いておきます。

高値3から下落した後、先ほど引いた小レンジ下限のラインを価格はややオーバーシュートした形で反転上昇し始めます。このオーバーシュートはスプリングの可能性があるので見守っていると、案の定、小レンジの中のレンジを上抜けました。

さて、ここで本懐です。上昇を始めた価格が、最初に規定したレンジの上限に価格がどう向かうのかを見守ります。

すると、価格はレンジを上抜けます。

ここで、オーバーシュートするのかブレイクを完成させるのかを見守ります(赤色の四角5)。

すると、価格はレンジ内に再び戻りました。

オーバーシュートです。

しかも、レンジ内に戻る際には大陰線をつけていますよね。大きな売りが入ったということです。

はい、これってクジラの参入です。

クジラについていくために、即売りで入れたら入った方が良いですが、下落が早いためついていけなかった人の方が多くなるかもしれません。その際は、赤丸6でラインを割り込んだ時点で、オシレーターは高値圏を下抜けているので、ここで入るのが賢明な判断です。

先程は3で売りを見送りましたが、今度はオーバーシュートしてクジラが参入した後の出来事です。このラインは、大クジラたちが売りで返してくるであろう重要なレジスタンスに早変わりしたと見なします。

その後は、赤丸7で低値をつけ再度上昇しますが、やはり赤丸8でレジスタンスのラインに上値を阻まれ、再度下落します。

高値5→高値8と、高値を切り下げた波が発生します。下降トレンドが発生した可能性が大です。なので、ここでエントリーするのもありです。(初心者向けではないですが)

売りエントリーしたら、今度はレンジ下限を

  • 抜けられず反転上昇するのか?
  • オバーシュートするのか?
  • 抜け切るのか?

を見るんでしたね。

抜けられずに反転上昇、もしくはオーバーシュートしてしまったら、レンジ内取引の鉄則として、決済します。

では、次の展開を見ていきましょう。

高値8で反転下落した後は、見ての通り、レンジ下限を大きくブレイクします。なので、ポジションは保有したまま。

次に、このブレイクが、オーバーシュートで終わるのかどうかを見ます。

ただまぁ、低値7も切り下げたので、高値低値の切り下げが明らかになり、下降トレンドが発生したと判断できるので、割と自信をもって追撃に臨めるんじゃないかと。

で、低値9を付けた後は、赤丸10や11で、ロールリバーサルが完成しています。

分割エントリーする人は、ここで玉増しします。

で、後は見ての通りですね。

結果、上図赤い四角5のオーバーシュートがスプリングとなり、レンジをブレイクし、下降トレンドが始まっているのが、分かると思います。

で、売りエントリーポイントは遅い人でも上の赤丸3つが可能です(対応が早い人なら、もっと早く入れてましたよね)が、それでもこの下降トレンドを初動を早い段階で獲れていた、という展開になりました。

つまり、僕が今まで何度も口をしてきた

  • ブレイクでは飛び乗らずオーバーシュートを見る
  • 到達確認と反転確認でエントリーする

ということは、結果として

トレンドの初動を獲る

ということに繋がっていくんですよ。

BOZ流のエントリーロジックは、結果としてトレンドの初動を結構な確率で獲り続けることになります。

言い換えるとすると、

「ブレイクでは飛び乗らずにオーバーシュートを見る」

というのは、

「クジラの餌(ブレイクでの飛び乗り)にはならず、クジラが出動(オーバーシュート)するのを見る」

ということであり、

「到達確認し、反転確認でエントリーする」

というのは、

「クジラがいる位置を見つけ(到達確認)、クジラが動き出したことを確認(反転確認)する」

という作業のことなんです。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

洗練されていくワイコフ理論

ワイコフ理論を僕が知ったのが、3年前のことです。

しかし、その時を同じくして、海外では恐らくこのワイコフ理論をもとに発展したであろうトレードのメゾットが、次々と洗練化されています。

ワイコフは需要と供給のサイクルによって相場を理解しようとしました。そしてそこには、需要となるゾーンと供給となるゾーンが存在します。

で、現代のトレーダーたちは、その需給ゾーンと供給ゾーンを、具体的なロジックを用いて、解き明かそうとしています。

大口の売買行動にターゲットを絞り、彼らが待ち構える需給と供給のゾーンを見つけ出し、クジラが行動を起こすのを察知しようとします。

そのトレードのメゾットは、かなり洗練されていて、体系化されてきているのというが広い世界でのトレードの潮流です。(日本の狭くて胡散臭いSNS界隈とは別物)

ただ、この手のトレードにおいても、ライン同様、流派の様なものが存在ます。それらの中でも、今最も勢いのある勢力を挙げるとすると、それは「SMC(スマート・マネー・コンセプト)」でしょうか。

これらのトレード・メゾットを日本でも勉強している人はいると思います。ただ、それらはまだ一般的には知られていないのが現状でしょう。

最近はチラホラと日本語での解説も見かける様になりましたので、いずれ日本でも一般的に認知されていくかもしれませんね。

ただねぇ・・・

同じ流派であっても、それは解説者によって、言ってることが違っていたりして、曖昧な部分も多いんですよねぇ。

なので、「みなさんも、興味があったら・・・」と言いかけたんですが、沼に嵌る可能性がありますから、ちょっと今のところは何とも言いづらいです。

僕自身、いくつかそのやり方を試しているんですが、基本的に僕がBOZ流ライン引きから行うゾーンの特定の仕方と、被ってることが多いように感じます。

ただ、僕自身のやり方にも、至らぬ点が多々あると思うので、常に他に学びながら、改良を続けていかなくちゃ、とも思いながら、日々自分の技術とロジックに磨きをかけようと頑張っています。

さて、随分と話が長くなってしまいました。今日はこの辺で、お開きとしましょうか。

それじゃあ、また。

波の正しい捉え方

前回の記事を昨日アップしたばっかりなんですが、仕事も休みで時間があったのと、一昨日良い題材になりそうな相場があったので、ちょっとそれについてお話でもしようかなと。

テーマは「波の捉え方」です。

それでは、始まり始まり~~!

波の捉え方

2023年11月16日午前中までのゴールドを実例に

下の画像は、一昨日の午前中までを表示したゴールド(XAU/USD)の1時間足チャートです。

で、赤く囲った部分を見てもらいたいんですが・・・

アナタだったら、この部分における価格の波をどう捉えるでしょうか?

恐らく大体の人は、ダウ理論を利用して波を捉えようとするため、波をこんな感じで捉えると思います。

下降していく波を青色で、上昇していく波を緑色で描いてみました。

ただ、ちょっと見えづらいんで、ロウソク足を拡大して解説しますね。

A地点から、高値安値を切り下げていく波を大まかに捉えていくと、上図の様に青色1からはじまり、2,3,4と続いて青色5までの波が描けると思います。

で、青色5で底値を付けた価格は、次に上昇へと転じています。

その波を緑色のラインで示したわけですが、こちらも緑色1から2,3,4と続いて緑色5まで到達するとそこからはZに向かって大きく下落しています。

とまぁ、大体の人が、こんな感じで波の把握していくんだと思います。

 

でもこれ、波の捉え方が完全に間違ってます。

 

波の捉え方にも、流派というかそれぞれ確立された理論をお持ちの方々いるので、一概には言えないんでしょうけど、

それでも、この波の捉え方は間違っています。

ダウ理論で見る場合

もう一度、先ほどの画像を見てみましょう。緑色の波に注目してください。

緑色で描いた上昇する波をダウ理論で見ていくと、

  • 青色5から緑色1の推進1波
  • 緑色2から緑色3の推進2波
  • 緑色4から緑色5の推進3波

と推進波が3つ形成された後に、5からの下落で直近低値4を下回ってZで終わっています。

ということは、推進波3つが終わった後に直近低値を価格が下回ったため、ダウ理論の解釈で言えば、ここで上昇トレンドは一旦終了。次はレンジか下降トレンドへと移行することになるはずです。

ってことは、この様な波の捉え方をしていると、この日の午後からのトレード方針は「売り方針」となるわけで、仮に上昇してきたら絶好の戻り売りチャンスが訪れたと判断することになります。

で、そんな方針でそのタイミングを5分足なんかで待ち構えていたりなんかすると、

反転下落の定番パターンである三尊(ヘッド&ショルダー)が現れ、絶好の売りのチャンスが訪れます。

「ここで売って、爆益じゃん!!」

ところが、現実は甘くありません。そんな願いは虚しく・・・

あれれ?爆益どころか、爆損じゃん。

ってな感じで、この後は強い上昇へと転じてしまいます。

 

なぜ、こんな悲劇が起こるのでしょうか?

それは、波の捉え方が間違っているからです。

もう一度、先ほど描いた波の画像を見ていきましょう。

恐らくフラクタル構造を知ってる人は、上図の青色4-5の波の中にあるオレンジで示した波の高値を緑色1が上抜いたのを見て、いち早く「下降トレンド終了」と思ったことでしょう。

しかし、オレンジ色の波というのは、あくまで青4ー青5という波の一片の中にある小さな複数の波の中の出来事でしかないんですよ。

となると、青5ー緑1を結んだ緑色の上昇波というのも、対オレンジ色の波のレベルでしかなく、青色の波のレベルで言えば、1つ下の波でしかありません。

つまり、緑色で描いた波の描き方は、青色で描いた下降する波よりも一つ下の波を描いてることになるんですよ。

言ってること、難しいですか?

難しいですよね。頭がゴチャゴチャしてきた人も、多いと思います。

それでは、もう少し分かりやすくするために、違う角度から解説してみますね。

ダウ理論で言えば、下降トレンドが否定されるのは、「直近高値を切り上げるまで」です。

上図で言えば、、下降トレンドの直近高値は青色4になりますよね。

じゃあ、その青色4を切り上げたのは、いつですか?

そう、青色3にきて、ようやく直近高値を切り上げたわけです。

となると、ダウ理論を意識して正しい波を捉えようとするならば、少なくともまずは

上図の様に、青色5から一気に緑色3までを引いた赤いラインを1つの波と捉えることになるわけです。

青4-青5の下降波の中にオレンジ色の波があるように、赤色の波の一辺の中に青5ー緑1-緑2-緑3という複数の波が存在するということですね。

しかし、ちょっと待ってください。

青5ー緑3までを1辺の波とするならば、その後の緑3-緑4や緑4ー緑5の波は、小さ過ぎやしませんかね?そんな気がしてきますよね。

ダウ理論上、1辺の波の中には、3つの推進波が存在することになりますから、

  • 青5ー緑1
  • 緑2-緑3

と数えてもあと1つ足りません。

であれば、波の捉え方としては、

青色5から緑色5までを1辺の涙として一気に引いてしまっても、何も問題はないんですよ。

であれば、このチャートの解釈は、

  • 青色の波で構成された下降トレンドは、直近高値を越えたことにより、一旦は否定された
  • しかし、Zはまだ直近低値(青5)を切り上げたとは言えないので、現段階では上昇トレンドが始まっているとは断定できない
  • ということは、この後の展開は、レンジもしくは下値を切り上げて上昇トレンドが発生するということになる
  • いずれにせよ、下げてきたらその後の反転を狙った買い方針

といった具合に、先ほどとは真逆の方針になるわけです。

で、この買い方針を立てて5分足でタイミングを待ち構えていたとしたら、

まぁ、トリガーをどうするかは人それぞれでしょうけど、僕からしたら青丸で下値を試して越えられず上昇に転じた辺りからは、分かりやすい場面でしかないわけで。

他のインジを見てもらっても、恐らく大体は機能してると思いますよ。

上図赤丸ポイント以外にもエントリー出来る箇所はいくつかありますし、多少タイミングが間違っていたとしても、もう買ってるだけでOK。大した恐怖も感じずに、価格は上がり続けてくれた展開となったわけです。

沼に嵌らぬよう

さて、波の見方、ややこしかったでしょうか?

ややこしいですよね。

そして、ややこしくて正解です。

下手にフラクタル構造が絡んでくるんで、波を正確に捉えようとすると、実際分けわからなくなったりします。

また、僕はあえて先ほどのチャートを赤い線で囲んでその部分だけを見るようにして解説しましたが、その前の波まで考慮しようとすると、また別の解釈が出来たりして、混乱が始まります。

ある程度熟達した人であっても、一旦そう思って捉えた波が、相場の値動きが進むにつれ、あとから修正するというのは、珍しいことではありません。

要するに、フラクタル構造を絡めながら波を上手くとらえるというのは、実際は難しいんですよ。

ですから、実際に波の捉え方を正確に突き止めようとすると、

沼に嵌ります。

しかし、トレードの技術を上げるために、物事を突き詰めていくというのは、正しい道です。なので、険しい道を突き進むことを、僕は否定しません。

ただ、波を捉えるという作業は、険しい道であると同時に、沼に嵌りやすい。

沼に嵌ってしまって、そこから抜け出せないのであれば、それは実際にトレードで利益を得るという目的とは違う道に進んでしまっているのと同じです。

なので、ある程度波を捉える技術は学ぶべきですが、トレードで利益を稼ぐという技術を磨くという意味での本質からかけ離れてしまうのであれば、そこで一旦波に関する学習から離れるべきだと思います。

だってね、波の捉え方なんて、正確無比に分からなくても、ある程度認識できるレベルの技術があれば、それだけで十分勝てるんですから。

レベル3で十分勝てるのであれば、無理にレベル10を目指す必要なんてありません。

僕らがやっているテクニカルというのは、座学ではないんですよ。実学であり、実務者としての腕と知識を学ぶためのものなんです。

勝てる以上の知識をご披露してドヤりたいなら、それはトレーダーではなく、「別の何者か」でしかありません。

もう1つの波の捉え方、それは「流れ」

沼に嵌らぬように。

とお話しましたが、そんな沼に嵌る前に、もっと別な波の捉え方のお話をしておきます。

これは、素のチャートで「あーでもない、こーでもない」と頭を悩ませることなく、非常にシンプルで初心者でも理解しやすい、とっても実用的なやり方です。

僕はこのブログではそれを

「流れ」

と呼んでいます。

このやり方、このブログでは既にお話していますが、結構昔のことなので知らない人も多いでしょうし、忘れちゃったって人も多いでしょう。

なので、ここでもう一度解説しておこうと思います。

「流れ」について

BOZ流、というか僕がこのブログで解説する際に用いる用語に

「流れ」

というものがあります。

この「流れ」とは、トレンドが上とか下とか、トレンドレスでレンジだとか、そういった部分的なことではなく、価格が推移する軌道全体のことを示します。

例えば、チャートに手書きでその流れを書き込むと、下図の様な感じになります。

青色の曲線でなぞった様に、価格が推移する軌道を抽象的に描いたものが、僕の言うところの「流れ」です。

価格の推移を、ロウソク足の山と谷を直線で結んだ「波」で把握するのではなく、もっと抽象的に価格の軌道を曲線で表したものが「流れ」なんですね。

で、こういった流れは、わざわざ手書きで描いたり、頭の中でイメージしてみる必要はありません。

インジを使えばOKです。

で、そんなインジは特別仕様なものでもなんでもなく、どんなチャートソフトにもデフォルトで用意されている超メジャーなインジ、

単純移動平均線

です。

単純移動平均線は、僕らに価格の流れを、端的に簡略化してそれを視覚化してくれます。

例えば75期間程度の移動平均線であれば、下の図の様に、チャート全体の大まかな流れを表現してくれます。

もちろん、75SMAで表現される流れは、大まかな流れです。

この大まかな流れの中にある小さな波をもっと的確にとらえた流れを表現したい場合は、もっと短い期間の移動平均線を使います。下の図は、20SMAです。

先の図と見比べれもらえれば分かる通り、より細かな流れを表現してくれています。

しかし、この20SMAで表現した流れの中には、さらに小さな波が存在しますよね。これを更に流れとして表現したい場合は、さらに短い期間の移動平均線を使います。下の図は、10SMAを用いて、それを表現したものです。

先ほどの20SMAを使った流れよりも、より実際の価格推移に近い流れを表現してくれていると思います。

で、波を把握したい場合、この「流れ」を用います。

先ほど闇雲に波を描いチャート図が、下の図でした。

これに、20SMAを表示して価格推移の流れを見てみると、以下の様になります。

「流れ」は緩やかな曲線です。そして、緩やかな山と谷を形成しています。その緩やかな山と谷の部分に印をつけたのが、下の図です。

赤丸部分のところは、誰もが理解できる箇所ですが、青丸部部だけはちょっと微妙です。

これを説明するには、いくつかの議論が必要になるので割愛しますが、この青丸部分にも緩やかな山と谷が存在すると仮定しておきましょう。

では、この流れの山と谷を実際のロウソク足の山と谷に当てはめて、波を考えてみましょうか。

移動平均線は遅行指標ですので、そこに表現される山と谷は、実際の値動きよりもやや遅れて表現されます。

なので、

  • 赤丸aの山は高値Aの山に相当
  • 青丸bの中にある山と谷は1と2に相当
  • 赤丸cの谷は3の谷に相当
  • 赤丸dの山は4の山に相当
  • 赤丸eの谷は5の谷に相当

となります。

ということで、この20SMAの流れに合わせた山と谷を実際の高値低値を用いて波としてラインを引いてみると、この一連の下降トレンドの波は、

と上の図の様になり、最初にロウソク足だけを見て引いた

こちらの波と全く同じ軌跡となります。

で、注目してほしいのは、この後の上昇の局面です。

最初にロウソク足だけを見て引いた波は、上図の緑色のラインでしたね。青色5を起点として、緑色1、2、3、4、5の山と谷で形成される波です。

で、この波捉え方は、既に間違いだと解説しています。

では、20SMAを用いて表現した流れは、山と谷をどう表現しているでしょうか?

そうです、この上昇する価格推移の過程において、流れは赤丸eの谷と赤丸fの山しか形成していません。

つまり、これを参考に実際のロウソク足に波のラインを引いてみると、

間違った波の引き方である1、2、3、4の山と谷をすっ飛ばして、青丸5と緑丸5を結んだ1辺の波になるんですね。

これって、先ほどロウソク足だけを見て最終的に修正を終えた波である

こちらの波の捉え方と、同一になるんですよ。

凄くないですか?凄いですよねぇ。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

 

要するに、どうやって波を捉えたら良いかは、特別考える必要もなく、

移動平均線を引いてしまうだけで、ぱっと見だけで正しい波が把握できる

ってわけなんですよ。

これで沼に嵌ることなく、時間と労力を無駄に費やすことなく、波を正確に把握することが出来る様になったと思います。

最初の方の解説で

「はぁ?意味わかんね」

( ̄へ  ̄ 凸

となった人でも、難しく考えることなく波を捉えることが出来る様になると思います。

ちなみにここで引いた波のもう1つ下の波を見たい場合は、移動平均線ももう1つ下の10SMAを用いればOKです。

やっぱり簡単ですね。そして、実用的です。

 

複雑怪奇なモノゴトを複雑に考えても、答えは出ません。むしろ、そうやってしまうと息苦しくなり何も行動が出来なくなってしまいます。

そうではなく、複雑なモノゴトをシンプルに捉え、シンプルに考え、シンプルに行動する。

生き方もトレードも、一緒なんですよ。

 

そして、これがBOZ流!

( ̄∇+ ̄)vキラーン

 

さて、僕のドヤ顔はこの辺でお終いにしておくとしましょうか。

それじゃあ、また。

僕とインジの奇妙な関係(2)インジ・マニアな僕がインジを避けるその理由

さて、前回は最近弄っていたインジ達の紹介をすることで、インジに対する考え方をお話したわけですが、最終的に僕は、

弄りまくったインジ達を実際のトレードで使うことは滅多にない

ということに言及して、お話が終わりました。

なぜか?

今回は、そんなお話の続きをしていこうと思います。

それでは、始まり始まり~~!!

インジケーターを扱う、ということの本質

僕の黒歴史

このブログの読者さんは既にご存じの通り、相場歴25年以上の僕のその前半はほぼ負け続けの歴史でした。

その当時の僕といったら、沢山のインジをチャート上に張り巡らし、

「このインジのこの設定は効く?効かない?」

みたいな感じで、大した検証もしてないくせに検証した気になりながら、聖杯を探し続ける日々でした。

で、もうトレードで勝つなんて自分にはもう無理なんじゃないかと何度も思いながらも、ある日ふと、

「自分はチャートを見ているようで、実は何も見ていないんじゃないか?」

という疑問が湧いてきたんですね。

で、チャートからインジを外し、ロウソク足だけの素のチャートだけにして、

「そこから何が見えるのか?」

という作業をやり始めたわけです。

その辺りのことは、「チャート・デザインの勧め(1)」に書いてあるんで割愛しますが、そういった作業を繰り返す中で、1つ気が付いたことがあるんですよ。それは、

「僕は、インジケーターを用いることが苦手なんじゃないだろうか?」

ということに。

今ではインジ・マニアな僕が言うのも不自然に思われる方もいるかもしれませんが、事実僕はそう思いましたし、今でもそう思っているんです。

同じインジでも、認知の仕方は人それぞれ

本題に入る前に、ちょっと注釈入れときます。

インジケーターというのは、端的に言ってしまうと

「相場状況を視覚的に理解できるように表現したもの」

のことです。

なので、ロウソク足もラインも、言ってしまえばインジそのものです。

ただ、それを言うとちょっとややこしくなり、この後の文章に常に断りを入れ続けると面倒なので、とりあえずここでは、

「相場で値の付いた数値を使って計算式を用いないものや、お絵かきレベルなもの」

つまりロウソク足とライン以外をインジケーターと限定してお話していきます。

それでは、本題に入っていきましょう。

例えば、こんな素のチャートを見てみましょうか。ポンド円の4時間足です。

このチャートを見て、何をどう解釈するのか?

それを理解するために、インジケーターは存在します。

例えば、最もメジャーな移動平均線だったり、

一目均衡表だったり、

ボリンジャーバンドだったり

もちろん、それ以外にもインジは沢山ありますよね。色んな組み合わせ方もあります。

例えば以前、海外で話題になったシステム「MASTER ENTRY Indicator」だとこんな感じになります。

まぁ、どんなインジを用いようが、どんな組み合わせをしようが、結局のところインジケーターというのは、相場の状況を視覚化することが目的です。

では、どのインジを用いるべきか?

それはこのブログで何度も言ってきている通り、

「裁量トレードにおいて、インジケーターとそのパラメーターは、自分が認識しやすく理解しやすいものを選べば良い」

というのが、僕の見解です。

上の4つのチャートは、それぞれ違うインジをメインチャートに貼っていますし、いずれも相場の状況を視覚的に表現しようとしています。

が、これら4つのチャートは、いずれも見え方が違ってますよね。人によっても、見え方や感じ方は違ってきてると思います。

ゴチャゴチャして見えにくいものがあったり、逆にシンプル過ぎて良く分からなかったり。数種類のインジがあった方が、理解しやす人もいるでしょうし、1つ2つに限定した方が頭が混乱しない人もいると思います。

例えば前回でも少し触れましたが、移動平均線の10SMAと一目均衡表の転換線の大まかな動きは非常によく似ています。

下図では青色の移動平均線が10SMAです。

下図の一目均衡表では、赤い線が転換線です。

見比べてみると、全体的な大まかな流れは、両者非常によく似ているのが分かると思います。

もちろん、この2つをEA化してバックデータを採れば、その成績に違いは出てくるでしょう。

しかし、僕らは機械ではありません。正確無比に指示通りに常に同じイン・アウトを繰り返し続けるわけじゃありません。

裁量トレーダーの場合、インジの線にタッチした瞬間に常にエントリーするとは限りません。仮に線にタッチしたとしても、線の角度やその他の状況を見ながら、エントリーのタイミングをややずらしてみたり、見送ってみたりします。

飛んできたボールの軌道やスピード、回転のかかり方や、相手の位置関係によって、そのボールの打ち返し方を微妙に変えていくのと同じです。

裁量トレードは、スポーツの要領に近いんですね。

であれば、スポーツで使う道具を自分の好みで選択するように、トレードにおいてもその道具(インジ)も自分の好み、つまり自分にとって認識しやすく扱いやすいと思うものを、各自が用いるべきなんです。

で、先の10SMAと転換線。両者は大まかな動きが似通っていても、細かいところでは動きが違ってきています。MAでは価格に近づくように上からせり上がってきている場面でも、転換線は角度が平らになっていたりします。

エントリーする際に、どちらがその判断をしやすいか?というのは、人それぞれの認知の違いになります。10SMAを使った方がやり易い人もいれば、転換線の方が判断しやすいという人もいて当然です。

なので、インジというものは、誰かが使っているからという理由で用いるべきではなく(とっかかりとしてはそれでOKですが)、あくまで自分にあったものを選択していくべきなんです。

どんなインジを使っても、実は簡単

で、ここではもう1つ覚えておいてほしいことがあります。それは、

どんなインジをどう組み合わせて使ったとしても、「トレンドの局面」というのはいずれも理解しやすい

ということなんですよ。

このブログでは、再三言ってきていますが、

「勝てないうちは、まずはトレンドフォローだけをやって、腕が上がったらレンジの検証と練習にチャレンジすべき」

というのは、トレンドがトレードしやす局面であると同時に、多くのインジがトレンド時には機能しやすいという特徴があるからです。

これは、メイン・チャートに表示されるインジというのは、その多くが「トレンド指標」であるためです。

ちょっと、見てみましょうか。

先ほどのポンド円4時間足チャートの場合、ハッキリとトレンドとして認識できるのは、

大体、赤い四角で囲った辺りの局面です。

じゃあ次に、先ほどインジを貼った4つのチャートを、上図の赤で囲った部分に注目して見ていきましょうか。描画はしないので、各自で確認してみてください。

確認しました?で、気が付きましたかね?

トレンドがハッキリと出ている局面は、どんなインジを貼ったチャートであっても、

「分かりやすい局面」

なんですよ。

そう、実はどんなインジを使おうとも、比較的トレードで利益を出しやすい局面なんです。

でも、実際はなぜ難しいのか?

とはいえ、実際のトレードをトータルで勝てる人は、あまりいません。

なぜでしょうか?

答えはそれほど難しくはありません。

赤く囲った部分の様に、ハッキリとトレンドが出ている局面というのは、実際の相場ではあまり多くないからなんです。

実際は、緑色で囲ったような部分、つまりレンジもしくは初心者レベルではトレンドが出てるのか出てないのか判別が難しい局面がほとんどなんですよ。

相場では、この様なレンジの局面が7~8割を占めることになります。市場のほとんどの時間が、レンジで占められてるんです。

しかし、メインチャートに表示されるインジのほとんどは、「トレンド指標」です。

つまり、多くのインジが誰もが扱えるレベルで機能する局面というのは、実際2割から3割程度なんですよ。

それ以外の大半の期間は、機能しづらい時間が続きます。

ちょっと、見てみましょうか。

上図、緑で囲った部分を、次のインジを貼った4つのチャートを使って、見ていってください。

分かりましたかね?

この緑で囲った局面では、いずれのインジも蛇行が始まり、各インジが絡み合ったり重なりあったりして、

「ワケわかんねー!」

状態になってしまうんですね。

だから、結果的にインジは簡単というわけにはいかなくなるわけです。

こういったレンジ、またはトレンドが出ているのかはっきりしない相場付きというのは、既に出来上がったチャートを後付けで見れば「分かった気」になれるんですが、実際に値動きが形成されていく過程では、振り回されやすい局面にあたります。

なので、リアルなトレードではインジを頼りにエントリーやエグジットを繰り返すことで、損失を膨らまし続けることになります。

で、インジに対する不信感が生まれたところでトレンドが発生し、絶好のチャンスを逃します。

しかも、人というのは悲しい性を持ち合わせています。そんなチャンスを逃したトレンド状態を見て、悔しがり、しかし値動きの大きさに不安を抱え、にもかかわらず「爆益」という欲望を膨らませることで、トレンド中の天底狙いの逆張りを繰り返すんですよ。せっかく貼ったインジが示す状況を無視しながら、ね。

で、焼かれ続け資金を減らし続けた後に、トレンドは収束を迎えます。

そうなると値動きは小さくなりますよね。だから、深層心理の部分での不安は消えます。

不安が解消されたことと、トレンドに逆らったトレードで負け続けたことを反省し、そこから始めるトレードは、インジが機能しない部分でのインジ頼りの順張りトレードです。

そうやって、レンジ局面で負け続けると、再びインジに対する信頼は・・・

ってなことを繰り返し続けるんですよ、負け続ける人というのは。

使ってはいけない局面でインジを使い、使うべきわずかな局面でインジを使わない。

これが、人が人であるが故の悲しい現実です。

インジを扱える様になるということ

ここまでの話をまとめると、

メインチャートに表示されるインジというのは、そのほとんどがトレンド指標。だから、トレンド時は比較的トレードが容易。しかし、相場のほとんどはレンジ期間。トレンドが出るのは2~3割程度。

ですから、インジを攻略するって、むしろレンジの方が大変なんです。

だから僕はこのブログで、

「勝てるようになるまではトレンド・フォローだけでトレードするべき。レンジは勝てるようになってからチャレンジ」

と繰り返し言っていますよね。

インジを扱える様になるというのは、トレンド時だけではなく、レンジをどう見極めのか?そして、レンジの際には、どう扱えば良いのか?を知ることなんです。

  • まずは、自分が選択したインジで、トレンド局面とレンジ局面を見極められるようにし、レンジは避けトレンドのみをトレードすると決める
  • 見極め(ガイドライン)が出来たら、トレンド局面でそのインジが扱える様に、検証と練習を繰り返す
  • トレードはトレンド局面でしかやらず、トレンド局面が訪れない期間は、レンジに対する考察を深める
  • 選択したインジでレンジ内取引が出来るのかどうかを検証し、出来るなら扱える様に練習、出来ないのならば逆張り指標のインジを用いてレンジ内取引が出来る様に検証と練習を繰り返す

この様な過程を経て、初めて

「インジが扱える」

ということになるんです。

インジというものが、単にエントリーのタイミングをサインで教えてくれる道具だという認識でいる限り、勝ちトレーダーには一生たどり着けません。

インジ・マニアな僕の場合

実はインジが不得手な僕

では、相場に対する僕の認知の仕方って、どんな感じなんでしょう?

冒頭でお話しましたが、

「僕はインジが得意じゃない」

って自分では思ってるんです。

要するに、チャートにあまりインジを貼ってしまうと、むしろゴチャゴチャとして相場を把握しづらくなるタイプなんです。

例えば先ほどの様に、移動平均線を貼った場合、

一応僕はインジ・マニアなんて、扱えることは扱えるんですが、実はチャートから相場の状況を認識しづらくなってしまいます。

メイン・チャートに曲線などが入り込むと、どうしてもその向こう側が見づらくなってしまうんですよ。インジをメインチャートに貼れば貼るほど、むしろそちらに目が行き過ぎて、相場の理解の仕方が二重三重になって、分かりづらくなってしまうんです。

もちろんそれは、移動平均線に限った話でなく

これらの曲線達がチャートに入ってしまうと、そちらに目を奪われがちになります。

しかし、素のチャートに戻して見ることで、

僕にとっては見えてくるものが、非常に見えやすくなってくるわけで。

言ってしまうと、素のチャートが良いとか悪いとかではなく、僕は僕なりの苦肉の策が、チャートからインジを極力外すということだったんですね。

勝てる様になるきっかけが、全てのインジを外し、素のチャートとにらめっこを続けたところから始まった、というのも実は僕の認知の得手不得手が関係していたのかもしれません。

で、インジを外した素のチャートから見える景色。それを他者にも分かるように可視化したものが、僕にとっての「ライン」になります。

僕の中では「ライン」と言っても、それは価格帯を仕切る1つの目安のことで、実際はそのラインとラインの間の値動きの移動が気になるんですね。

これを、もうちょっと他者にも分かる様に可視化して説明すると、次の様な図になります。

左端から説明していきますが、

紫色での価格帯にあった価格が、その後ブレイクして上昇トレンドを形成するわけですが、これは赤色で囲ったクラスターがエレベーターに乗るかの様に上昇していくようなイメージ。(あくまで視覚的イメージで話しています)

次に緑色で囲ったAのエリアを価格は上下しながら移動していますが、徐々に高値を切り下げていく様を見ながら、

「あぁ、売り圧力が上から徐々にかかってきてるみたい。ってことは、次は下の価格帯に移動していくかな?」

そんな感じで感じで僕はチャートを見ます。

すると、やはり緑枠Aのエリアにあった価格は徐々に下へと落ちていきます。次の下の赤い枠に移動し、次は紫枠のエリアへ・・・って感じで下落していく様に見ているんですね。

底値を付けた後は再び上のエリアに戻り、赤い枠の中を上下します。

で、Bの緑エリアで分かる通り、赤枠を一旦ブレイクして高値を更新した後、赤い枠に一旦戻りますが、下値を切り上げる形で再び赤枠を上にブレイク。上昇トレンドの始まりです。

まぁ、こんな風に僕は価格がそれぞれ上下にエリアを移動するというイメージで相場を把握しようとするので、

こんな風にチャート表示してしまうと、その点が見えなくなってしまうんですよ。

もちろん、メインチャートにインジを貼っても、きちんと見える人もいるんでしょうけど、僕は見えづらい。

それが僕のチャートに対する認知の得手不得手なんです。

また、僕の様に値動きのエリアが上下するという相場の見方をしなくとも、相場状況を把握できる人もいるでしょうから、そんな人にとっては逆に僕の相場の見方は邪魔になってしまうかもしれません。

そんな人は、むしろインジを友好的に活用した方が、成績が良くなるはずです。

まぁ、いずれにせよ、これが僕のチャートの認識の仕方としては、最も腑に落ちるやり方なんです。

ですから僕は、インジが好きでインジを弄りまくるくせに、結局はトレードに滅多には用いないという、不思議なことを繰り返し続ける羽目になっています。

僕なりの工夫

とは言え、僕はやっぱりインジが好きな人です。

インジの良さを知っているつもりですし、素のチャートだけで全てが理解できると思うほどの自信家でもありません。

なので、インジを使う際には、僕のチャートの認知の仕方の基本を邪魔しないように、色々と工夫をしています。

例えば、ボリンジャーバンドなんかは、

こんな風に、描画の色を極力薄くして、チャートを見る際の妨げにならないようにしたりしてます。

また、ボタンやキーをタッチすることで表示のオンオフを切り替えられるインジを使ったりします。

ボリンジャーバンドなら、そういったものがいくつも出ています。僕の場合は「Mi_BollingerBand」というものを使ってます。

移動平均線は、ある方(紹介すると勝手に依頼したりする人が出てくるのを避けるため名前は伏せます)に作ってもらったインジを使っていて、

右上端の小さなボタンで4本の移動平均線を表示したり非表示にしたり出来る様にしています。

アナタにとってのインジのあり方

繰り返し言いますが、同じチャートを見つめていても、人によってその認知の仕方には得手不得手があります。

ですから、自分なりのインジを自分なりの表示の仕方で用いることが、アナタにとっての理想的なインジのあり方なんだと思います。

インジが爆益を生み出すサインを出してくれるものだと思っている限り、決してたどり着くことの出来ない聖杯探しの旅は続きます。というより、迷宮に迷い込んだままでそのトレード人生を終えるでしょう。

しかし、アナタが自分自身にとって最も認識しやすいチャート表示を探す旅に出たとしたならば、その道の先には「利益」という目的地が待っていることでしょう。

ひょっとして僕ら裁量トレーダーにとっての「聖杯」とは、自分なりのチャート表示の最適解を見つけ、その最適解をきちんと扱えるようになるのことなのかもしれませんね。

 

ということで、今回のお話はここまです。

それじゃあ、また。