相場の局面を考えてみる

Twitterでも告知していた通り、そもそもは「セットアップ」についてもう少し詳しい記事を書こうと思っていました。

しかし、ちょっと思うところがあり、今日はそのセットアップ以前のお話をしようかと。

セットアップについては、既に「これがBOZ流!ライントレードの基礎6」にてお話していますが、端的に言えば、

「セットアップとは、トリガーの前提条件」

ということになります。ただ、この説明だと、セットアップとトリガーの関係性は分かっても、トレード全体からみたセットアップの位置付けや重要性は、いまひとつ掴みきれないと思うんですよね。

なので、セットアップに辿り着くまでのお話を順を追って説明していった方が、実際のトレードに役立つことになるんじゃないかと。

ということで、今回はまず「相場の局面」についてのお話です。では、始まり始まり~。

相場の局面

相場には色んな局面がある

チャートを覗くと、価格はジグザグと進みながら、様々な軌跡を描いています。

そして、描かれた軌跡は、様々な局面を僕らに教えてくれます。例えば、こんな感じでしょうか。

価格の上下動にザックリと注目して見れば、上図の様に見えたりします。

さらに、価格が横ばいとなっている部分にも注目すると・・・

 しかし、視点を変えると、こんな見方も出来たりします。

ラインを境に、価格は上に行ったり下に行ったりしているだけの様にも見えますね。

さらには、上図とは違う境目を気にする人もいるかもしれません。

この様に、チャートから見える値動きは、僕らに様々な状況、局面を教えてくれます。

ただ、僕らはトレーダーです。このくらいザックリで終わらせておいても、実際のトレードでは扱いづらいわけで。

そこで今度は、チャートが示す局面を、実際にトレードが出来るくらいまで落とし込んで見ていくとしましょうか。

上図のチャートは後ほど使うんで、ちょっと違うチャートでやってみましょう。下図はユーロドル4時間足ですが、以下の様な感じになるんじゃないかと。

おっ!なんか、トレーダーらしくなってきましたねぇ。

図から分かるとおり、

  • レジスタンスにぶち当たって上値を抑えられている局面
  • サポレジが効いてる局面
  • 下降トレンドが始まった局面
  • 調整局面
  • 下降トレンドから反転上昇が始まった局面
  • トレンドラインが引ける局面
  • 高値で乱高下している局面
  • サポートをブレイクした局面etc…

と、実際にトレードする際のポイントとなる局面が、いくつも見つけられます。自由にチャートを見ていけば、他にも様々な局面を見つけられるかと。

この様に、相場には色々な局面があるわけです。そして、上図の様な辺まで、各局面を落とし込んでいけると、実際のトレードに活用できる情報になっていきます。

相場の3大局面をアップデートしよう

今まで見てきた通り、相場には様々な局面があります。

しかし、皆さんもご存知の様に、相場の局面は大きく分けると、

  • 上昇トレンド
  • 下降トレンド
  • レンジ(横ばい)

の3つしかない、と言われています。確かにその通りです。

ジグザグと波を描いて進む価格が、上に向かっているのか下に向かっているのか、それとも何だかんだ横ばいなのか?

言ってしまえば、相場にはこの3つしかありません。

しかし、僕らはトレーダーです。単にチャートを分類するだけが仕事じゃないんですね。実際のトレードに活かせる区分け方をしないと。

となると、この3つの分類は、正直なところ実用的ではありません。

ちょっと、説明します。

まず、この3大局面のうちの「レンジ」についてですが、レンジというと皆さん、こんな感じをイメージしませんか?

何だかんだ言って、横ばいのレンジですね。

じゃあ、これは?

①と④はトータルに見れば、横ばいっぽく、②はやや下向き加減、③は上向いている様に見えます。

これらは、一体何でしょう?

 答えは、上図全てがレンジです。3大局面の中で、上昇トレンドと下降トレンドに定義できないものは、全てレンジになります。

しかし、ここで大きな問題点があります。

先の一般的なイメージのレンジには、高値や低値に一定の規則性がありました。だから、トレードに活用できる局面です。

ところが、上図の①~④はいずれも高値や低値が不規則です。

もし、この①~④がリアルタイムで値動きを形成している途中であったら、もはやお手上げです。上に向かうと思ったら勢いよく下に抜け、下に向かうのかと思ったら上に行ったり。価格はどこからどこに進んでいくのが、全く分かりません。

要するに①~④の様に高値安値が不規則なレンジは、「分からない」局面だと言えます。

似た様なことは、トレンドにもあります。上昇や下降の傾向が認められても、値動きが比較的不安定で、「これって、ホントに上昇トレンド?」と迷ってしまう様な局面。

こういったケースも、やはり「わからない」局面だと言えます。

そして、分かる局面ではトレードが可能ですが、分からない局面ではトレードをするのは不可能です。

だって、値動きがどう進むのか想像がつかないんですから。

ですから、僕らトレーダーにとって実務上、値動きに規則性が見出せない、どの様にトレードして良いか分からない局面のことを、「分からない」局面であると、明確に区別する必要があります。

ということで、BOZ流においては、相場の3大局面を、トレーダー向けとして4大局面にアップデートしておきましょう。

  • 上昇トレンド
  • 下降トレンド
  • レンジ
  • 分からない

むしろ、この「分からない」ことを、トレーダー自身がハッキリと「分からない」と自覚することが、トレードにおいては物凄く大切です。

認識が違えば局面も変わる

ではちょっと、この「わからない」という局面を具体的に見てみましょうか。下図は、先ほどのポンド円1時間足です。

 薄い青色で囲った部分、緩やかに上昇していますが、これが上昇トレンドと言い切るにはやや不安定です。

赤い丸で記した部分ですが、高値は切り上げていますが、低値は切り下げています。

こういった局面は、後付けで解説しようと思えば、何とでも理屈付けられるでしょうけど、リアルタイムでトレードすると、ほぼ振り回されるんですよ。

ラインAとBの保ち合いを下方ブレイクしたものの、再度上昇。下値を切り上げながらラインBも越え、さらにBにサポートされた場面です。この後は、ラインAをめがけて上昇し、このラインを越えるか越えられないかを見るのが、通常なんですが・・・

①まで上昇したものの、ラインAに到達するどころか、直近高値を越えられずに反転下落してしまいます。おまけに今度は、ラインBまで越えてしまうんですね。

この時点で、「あー、上じゃなくて下か」と買いポジ投げちゃったり、損切りしたり、売り建てたり・・・

ところが、②で反転上昇。今度は①を越えて、ラインAまで到達してしまうんですね。

「あれ?やっぱり上か?」

なんて思ってると、反転下落してラインBを越え、先ほど付けた低値②をさらに下回るわけで。

しかもこのチャート、1時間足ですからね。5分足じゃないんですよ。ほぼ丸2日かけて、このぐちゃぐちゃな値動きを描いてるんです。リアルタイムでトレードしようと構えていたら、振り回されっぱなしで、たまったもんじゃありません。

結局は、④で下値を付けた後、ラインBもAも越えて⑤の高値まで到達してしまいます。散々振り回されて諦めた直後に当初の思惑方向へと素直に伸びていくという、相場あるあるがこの局面だったかもしれません。

じゃあ、この薄青色で囲った局面は、一体何だったの?レンジなの?上昇トレンドなの?ってことになります。

 こういった局面、つまり値動きに規則性が見いだせず、「?」となってしまう局面が

分からない

という局面なんですね。

こういった分からない局面は、トレードは控えなくちゃいけない場面です。手を出せばやられる確率が高いので、値動きの規則性が分る局面が来るまで、静観しておかなくちゃいけません。

ちなみに、上図のチャートの見方の正解を軽く説明しておきましょうかね。先ほどのチャート図は、こんな感じでした。

で、まるで誘導尋問の様で申し訳ないんですが、実は注目する局面の範囲が違います。現実的なのは、下図の赤い枠で囲った部分です。

先ほどまでは、赤い矢印線で値動きを追ってみましたが、上図の赤い矢印線は、そうではなく、スイングラインです。

緑色で囲った部分は、複雑で不規則な値動きを繰り返していますが、スイングラインを引いてみると、余計な波は省略されますので、随分とスッキリした印象になります。

実はこの赤い枠で囲った部分、ややこしく動いてはいますが、もっと上の時間軸で見れば、なんてことはない下落途中の調整局面でしかありません。

俯瞰して見れば、単純な様に思えるものも、近視眼的になればなるほど複雑怪奇に見えてきます。

ただ、人の認識能力って、色んな偏りとか盲点があると僕は思っていて、こういった状況下だと、きちんとした判断がなかなか難しいんですね。

もう一回先ほどのチャートを見てみましょうか。

緑色で囲った部分の左端で、価格は一旦大きく下落しています。その後、徐々に価格はせり上がっているんですが・・・

こういった値動きをされると、僕らの意識はこの下落直後からの値動きに集中しがちになり、視点が緑色の部分ばかりに向かいやすくなるんです。

しかしまぁ、こいうったことは誰にでも起こることです。ドヤ顔で解説している僕だって、正直なところ、この場面でトレードしたら、

そう、こっちの値動きに気を取られてたかと思うんですよ。ノーポジならまだしも、ポジション持ってた場合は、特に陥りやすい。

目先の値動きに囚われず、どの様な状況においても、的確な判断で相場を見ることのできる認識スキル。これは、遠い道程ですが、トレーダーとして日々精進が必要ですね。僕もこの記事を書きながら、心を引き締める想いでいます。

全ての局面でトレードする必要はない

分かる、分からないを明確にしよう

相場には様々な局面があります。

が、その局面がどういった局面なのかを判断できない場合もありますし、ましてや全ての局面を正しく認識できるわけでもありません。

しかし、それを恥じることはありません。

トレーダーにとって大切なのは、その局面が「分かる」のか「分からない」のかをハッキリと認識できるかどうかです。

そして、

分かる局面だけでトレードし、分からない局面ではトレードしない

という極めてシンプルな判断と行動が大切です。

分からない局面でトレードしても勝てる確率は低いわけです。だって、分からないんですから。

分からない局面とは、トレードしてはいけない局面であり、仮に分からない局面で勝ったとしても、それは実力ではなく、単なるまぐれでしかありません。

 

もちろん、リアルタイムで分からない局面であっても、後から分析してみれば分かるかもしれません。スキルがないだけで、もっと上達すれば分かる様になる局面もあるかもしれません。

しかし、リアルタイムで分からないのであれば、それは「分からない」局面でしかありませんし、今現在「分からない」のであれば、それも「分からない」局面でしかありません。

ですから、今現在の自分自身のスキルで「分かる」局面と「分からない」局面があるということを明確化しておかなければダメなんです。

分かる分からないを曖昧にしたトレードを繰り返すという行為は、実は何も分かってないのに、何か分かった気になってトレードすることです。

非常に危険な行為でしかありません。

「僕は、上昇トレンドしか判断できません」
「私は、平行レンジしか良く分からないんです」

それで、良いんですよ。

1つだけでも局面が認識できるのであれば、その局面だけをトレードすれば良いんです。つか、1つであろうが百であろうが、分かる局面だけでトレードするのが、トレーダーとしての本来の姿です。

「でも、それだとトレードチャンスが少ないです」

 

はぁ?

 

じゃあ、分からない局面でトレードするのはチャンスなんですか?チャンスの無いところでトレードしようとすることが、チャンスなんでしょうか?

分かる局面、つまりチャンスのあるところでチャンスを掴もうとするのが、トレーダーの仕事なんですよ。

分からない局面は、練習と検証を繰り返し繰り返し行って、少しずつ分かる様になってくれば良いだけの話じゃないですか。

全ての局面でトレードしなくちゃいけないルールなんて、この世には存在しません。むしろ、全ての局面でトレードをしてはいけないことの方が、鉄則です。

恥じるのは欲にまみれた自分の姿

分からなければトレードはしない。これは、極めて当たり前のことです。

そして、分からないことがダメなんじゃなくて、分からないくせにトレードをしようとすることがダメなんですよ。

冷静に考えてみてください。分からない局面なのに、一体どうやってトレードが出来るんですか?

分からないのにトレードをするのは、ただ欲に目が眩んだ姿でしかありません。

お金を儲けたい、早くトレードがしたい、もしここでエントリーしないで価格が伸びたら勿体ない・・・

全部が全部、全てが欲望だけのトレードじゃないですか。

こちらの姿を恥じることの方が、トレーダーとして、そして人として大切なことなんじゃないですか?

随分と厳しい言葉を投げかけていますが、もちろんこの言葉は、自分自身に返ってくる覚悟を持って、僕は書いているつもりです。

しかし、現実のトレード界隈は・・・

とは言え、現実のこのトレード界隈では、そういったことを実行するのが難しいことを、僕は知っています。

多くの人がね、実はこの分かる局面、分からない局面すら認識せずにトレードしているんですよ。

なんか、色んなテクニカルがあるじゃないですか。で、これ見よがしにそれを説明ている連中も溢れるほどいる。(まぁ、僕もその一人ですが)

で、その多くは怪しい連中でしかないわけで。

しかし、そんな連中の言葉を参考にして、多くの人が自分のトレードを組み立てているのが現実です。

で、「環境認識」とか言って、インジケーター表示した日足チャートとかを見て、

「う~ん、今日は上目線かな?」

って。

そして、「マルチタイムフレーム」とか言って、1時間足や分足なんかも表示させて、そこに「手法」とか言ってインジケーターをいくつも張り巡らして、

「待つことが、大切」

みたいに唱えながら、ず~っとず~っと、シグナルが点灯するのを待つ。チャートにかじりついて、待って、待って待ち続ける。

で、結局待ちきれなくてエントリーしたりして。

それを、メンタルの弱さとかのせいにして自分を責めて見たり。トレード日記に、反省点とかを書いて自分を鼓舞して、

そして次の日は、きちんと待って・・・

でも、勝ったり負けたり。

そしてそれを、メンタルの弱さのせいにして・・・

で、次の日はまた待ちきれなくて、ルール違反をして・・・

日々自分を責め続ける日々の繰り返し。

そのくせ、自分がトレードできる局面なのかどうかなんて、何一つ見ちゃいない。

いやぁ~・・・僕だってそんなことしてたら、待ちきれないですよ。ルール違反だって、バリバリやっちゃいますって。

むしろ、ルール違反しない人の方が不思議です。だって、

 

根本的なところが、間違ってるんですから。

 

まさに、負けるべくして負けているわけで。

 

まずは、その局面が分かるところなのか、分からないところなのか?

それを見る目を養うことが必要です。

もちろん、値動きで形成される局面を見ようとしたら、今張り巡らしてるインジケーターは、邪魔になってきますよ~。

しかし、それに気づいたら、また一歩成長です。

 


さて、今回のお話はここまでです。相変わらず、長くなり過ぎたので。

次回は、この「局面」について、もう少し掘り下げていきたいなと思ってます。楽しみにしてください。

それじゃあ、また。

エントリーのタイミングをどう考えるか?トレンドフォロー編

例えば、「今日は買い方針!」なんて決めたとして、チャート見てエントリーしたものの、

「買ったら逆行して損切り!でも、その後に反転して上昇!マジかよ・・・」

なんてことは、初心者には結構あるもので。

言ってしまえば、方向性は良くても、エントリーのタイミングが全く分かっていないから起こるんですが、

どのタイミングでエントリーしたら良いのかって、実はボヤ~としてて、分かっている様な分かっていない様な感じの人は、初心者ではなくとも結構多いんじゃないかと。

ということで今日は、エントリーするタイミングをどう設定していくかを、ちょっと解説していこうと思います。

まずは、下の図を見てください。

買い方針で臨むことを決めていたアナタがチャートを覗くと、上図の赤丸のポイントまで上昇しているのを見たとします。

では、アナタはどのタイミングでエントリーしますか?

 

目先の値動きばかりが気になる人の場合、特にこの上昇が勢い良くてロウソク足がグングン伸びちゃっている場合は、

「このチャンスを逃したくない!」

とか思ってしまい、飛び乗ってしまうんですよ。

で、良くあるのが・・・

買って直ぐに反転下落し、怖くなって損切りすると、そこから反転上昇・・・ってやつ。このパターンを繰り返し、挙げ句の果てには

「方向性は間違ってないし、エントリーして10pips位は含み益になるんだから、俺はスキャルピングに絞ってやった方が良いのかも」

などと、何一つ自分のエントリーポイントの精査を行なうことなく、スキャルに逃げ込んだりするんですよねぇ。すみません、昔の僕のことです。

しかし、飛び乗りを繰り返してると、たまにはそのままバイ~ンと伸びて大きく利益を掴むこともあって、やめられないんですよねぇ。

でも、改めて上の様に説明すれば分かる通り、分析してみたりシナリオ作りをしているつもりでいても、実際は目先の値動きに釣られ感情だけのトレードになってしまってる人が多いんですよ。

エントリーポイントをきちんと判断できる様にならないと。

じゃあ、こういった局面の時は、どの様に考えるか?

まずは損失幅を考えよう

とりあえず、「自分が何をしようとしているのか?」をきちんと把握しておきましょう。上記の例で言えば、上昇トレンドに乗ろうとしているんですよね。

「上昇トレンドに乗るために、買う」

はい、そうですね。

では次に、今買った時の損失幅と利幅を考えます。今回は利確の目安となるポイントを提示してないので、仮にそれが50pipsとなる利幅だとしましょうか。

で、損失幅、つまり損切りする箇所がどこになるかを考えます。

損切りポイント(以下、「STOP」と呼ぶことにします)は、エントリーの根拠が失なわれる箇所に置きます。

さっき確認した通り、エントリーするのは上昇トレンドに乗るためでしたよね?

上昇トレンドとは、ダウ理論では高値と低値を更新し続けている状態です。

となると、直近低値を価格が下回った時点で、上昇トレンドの継続は否定されます。つまり、トレンドに乗るとして買った根拠が失われるのが直近低値を下回った箇所です。

ですから、その直近低値を下回ったところにSTOP(損切りポイント)を置くことになるわけです。

そして、STOPから現在値までの幅が、今この時点でエントリーした際の損失幅となるわけです。

じゃあ、アナタがその損失幅を許容できるのかを考えましょう。

仮にこの損失幅が40pipsだったとしましょう。これがアナタにとって1回のトレードの損失幅として大きいのであれば、現時点でのエントリーは見送りです。

ましてや、想定した利幅が50pipsであれば、利幅:損失幅=50:40ですから、リスクリワード比は約1.25。損失比率としては大き過ぎですねぇ。やっぱ、見送りです。(リスク・リワード比に関しては、機会をみていずれお話します)

この様に、まずはSTOPの位置を確認し、エントリーしようとするポイントからの損失幅をみます。そして、その損失幅が許容できる範囲なのかどうかで、エントリー出来るのか出来ないのかを決めることが必要になります。

「じゃあ、見送ったあとはどうするの?」

次の押し目などの調整波を待ちます。

「たいした押し目も付けずにバイ~ンって伸びちゃったら?」

そのトレードは諦めましょう。

「え!?でも、せっかくのチャンス、勿体ない!」

それは、「勿体ない」という感情だけのトレードですよね。仮にその後に100pips、200pipsと一気に伸びようとも、損失を許容できない状況なのであれば、そのトレードはチャンスとは呼べないんでよ。むしろピンチです。

目先の欲望を満たすためだけのトレードは止めましょう。大切なのは、負けてもかすり傷程度の戦いを繰り返し繰り返し行うことなんです。本当に勝ち続けたいのであれば、バイ~ンと伸びるのを指をくわえて見ることのできる覚悟が必要です。

「分かりました。でも、なぜ押し目なんかを待つ必要があるわけ?」

許容できる損失幅内でトレードできるチャンスを待つからです。

「意味が分かりません。」

じゃあ、ちょっと詳しく説明しますね。

エントリーポイントの2つのパターン

上記の様に上昇トレンドに乗ろうとする場合、エントリーするポイントは2つあります。それは、

  • 直近高値を越えたところ
  • 直近低値を下回らずに反転したところ

いずれも、ダウ理論を根拠にしたエントリーポイントとなります。図にすると、以下の様な感じ。

どちらのポイントでエントリーするかは、各自のトレードスタイルによります。どちらも一長一短がありますからね。1つ1つ説明していきます。

エントリーポイント1について

 上直近低値を切り上げ、直近高値も切り上げた直後、つまり上昇トレンドの継続が完全に確定したその場面が、上図のエントリーポイント1になります。

よくトレンドフォロワーが、「高いところで買って、より高いところで売る」ということを言いますが、それがこのエントリーのやり方です。

エントリーポイント2よりも上昇トレンド継続の根拠が厚いので、信頼性は高くなります。レンジ相場のブレイクアウト手法と混同しない様に!似ている様で全く別物です)

 ただ、信頼性が高い反面、短所もあります。エントリーポイント2と比較すると、

  • 損失幅が大きく、利幅が小さくなる
  • 含み損が出る時間が長くなる傾向

の2点が特徴的です。まずは、下の図を見てください。

利確ポイントとSTOPの位置は、感情や思い付きで決めるのではなく、理屈で決めるわけですから、エントリーポイントが違っても、同じ位置になります。

なので一目瞭然ですね。エントリーポイント1は2に比べて、利幅が小さくなり、損失幅がどうしても大きくなります。

また、含み損に耐えなきゃならない時間も長くなります。下の図を見てみましょう。

エントリーした直後に、素直に価格が伸びてくれるとは限りません。直近下値を下回らない限り、トレンドは継続と判断するので、その間の下落場面は含み損を抱えたまま我慢しなくちゃいけないんですね。

で、上図で見れば分かる通り、エントリーポイント1は2に比べ、その値幅も時間も長くなる可能性が大きいわけで。予め、含み損を抱えてる場面があることは想定済みでエントリーする必要があります。

エントリーポイント2について

 エントリーポイント2は、1と比較すると既に上述した様に、

  • 損失幅が小さく、利幅が大きくなる
  • 含み損を抱えている時間が少ない

というメリットがあります。

その逆にデメリットは、エントリーポイント1と比較すると、

  • 信頼性が低い
  • 判断が難しい

ということです。まずは下図を見てください。

エントリーポイント2とは、Aのラインで押し目をつけて反転したと判断してのエントリーです。

しかし、そこが本当の押し目であるとは限らないわけで。小さな波を打っただけなのかもしれないんですよ。

Aラインが本当の押し目ポイントではなかった場合、Aは直近低値とはならず、Bラインが直近低値として継続して見られることになります。

なので、Bラインを割り込むまでは上昇トレンドの継続が否定されたことにはならず、上図の様にSTOPを越えて損切りした後に再度上昇するという可能性は十分にあるわけです。

この様に、エントリーポイント2は1と比べ、信頼性が低くなるというデメリットがあるわけです。

そして、この信頼性が低いというデメリットとリンクするのが、もう1つのデメリットである「判断の難しさ」という点です。

エントリーポイント1の場合は、難しい手法を必要とするわけではなく、単純に言えば直近高値を越えたらエントリーすれば良いだけです。

しかし、Aラインで押し目を付けて反転したと判断するのは、実際のリアルトレードでは結構難しいんですよ。

この反転確認を、どういった手法を用いるかで勝率が変わってきます。

また、相場つきやトレンドの強弱などによって、同じ手法を用いても偏りがでますし、手法によっても得意不得意な場面がありますからねぇ・・・

なので、エントリーポイント2を選択する場合は、結構大変になります。勝率を上げるような信頼性のある判断が出来るようになるのは、どういった手法を用いれば良いか、各々が検証を続けて自分なりの答えを結論付けていかなくちゃいけません。

どちらのポイントを選択すべきか?

では、エントリーポイント1と2、どちらを選択すべきでしょうか?

結論から言えば、それは各トレーダーの性格やスキル、トレードスタイルによります。

損切りが躊躇なく行える人は、2のポイントで攻めてみるのも良いかもしれません。Bラインを割り込むまでは繰り返しエントリーを続けてみたり。

(また、この局面に関しては唯一ナンピンが許される場面です。Bを割り込むまでは分割して買うという予め計画性を持ったナンピンは、その場しのぎのナンピンとは別物ですから)

逆に損切りするのが苦手で含み損ばかり抱えているのに慣れている人(という言い方は変ですが)は、ポイント1をエントリーポイントとするのも手です。

手法に自信がない人は1のポイント。検証やトレーニングを続け、自信の持てる手法を手にしたら2に挑戦するのもアリですね。

 ちなみに僕は、ポイント2でエントリーするトレードスタイルです。僕は損切りすることに比較的抵抗が少なくて、逆に損失幅を極力小さくして利幅を伸ばしたいタイプなんで、必然的にエントリーポイントは2となります。

また、僕は含み損を抱えたままじっとしているのがあまり好きではなく、失敗なら失敗で早く結論を出したい人。エントリーした後は、ほぼチャートから離れてテレビ見たりネットを徘徊したり、ギターを弾いたりと、他に費やす時間を楽しみたいんで、含み損を抱えている時間は少ない方が楽ですしね。

エントリーポイントは、トレーダー各々で自分の性格や取引スタイル等を考えて決めるべき事柄です。誰かに決めてもらうのは止めましょう。

反転確認について

基本的に、下降トレンドから反転上昇を捉える反転確認より、今回お話したトレンドフォロー、つまり上昇トレンドでの押し目を付けてからの反転確認の方が、成功率は高いです。

なので、「難しい」と言っても、難し過ぎるくらいに考える必要はありません。

ただ、注意する点がいくつかあります。今回のお話は手法のお話ではなく、エントリポイントをどう考えるかのお話なので、補足程度にちょと説明します。

シンプルに考えたいのに・・・

繰り返し言いますが、トレンドの天底を見極めて逆張りをしようという反転確認に比べ、トレンドに沿ってエントリーする際の反転確認は、それほど難易度が高くありません。

「難しい」というのは、エントリーポイント1に比べての話です。

なので、トレンドフォローの場合は、とてもシンプルなやり方で充分通用します。むしろ巷で色々と語られている手法よりずっとシンプルでOKです。

例を挙げましょうか。これ、今僕が記事を書いてる時点でのポンド円の1時間足チャートです。

高値低値を更新し続けていることを確認して上昇トレンドが続いていると判断するには、ロウソク足だけの方が見やすいんですが・・・

どの波のどの高値低値を基準に見ていけば分からない人って結構多い、というかほとんどの人がそうかと思います。

なので、インジケーターなんかを表示させたりするわけですね。どのテクニカルを使うかは人それぞれですが、まぁ一般的っぽい移動平均線3本とオシレーターでも表示させてみましょうか。

とりあえず、移動平均線を3本(20、50、100期間)とMACDを表示してみました。

なんか、チャートがゴチャゴチャしてます。こういった風に情報を沢山並べると、やっぱり情報過多でゴチャゴチャになり、判断がしづらくなるんですね。具体的に、下の図で解説します。

青色の矢印を見てください。上昇トレンドの中に、トレンドが弱い時期と強い時期があります。

で、トレンド強の時は、比較的分かりやすいですよね。ずっとパーフェクトオーダーですし、MACDとの兼ね合いも割と揃ってます。トレードしやすい環境です。

しかし、トレンド弱の期間の場合はどうでしょう?

反転上昇を捉えたい部分の多くが、黄色っぽい四角の枠で囲んだ部分の様に、インジケーターがゴチャゴチャしていて判断しづらくなってしまっています。

この期間は、ミストレードを連発したり、どうしたら良いか分からなくて何も出来なかったり・・・

で、赤い丸部分はパーフェクトオーダーが完成した部分です。見れば分かる通り、ゴチャゴチャした期間が終わった頃にパーフェクトオーダーが完成しています。

随分と高い位置での買い物になってしまいますが、それでもゴチャゴチャ場面に翻弄されるよりは、思い切ってパーフェクトオーダーの時のみのエントリーとシンプルにしてしまえば、まだマシかもしれません。

しかし!

そんなことなら、インジケーターなんて表示させずに、最初っからエントリーパターン1の直近高値更新でエントリーした方が、よっぽどシンプルですし確実です。

元々は、エントリパターン2で入るための反転確認じゃなかったんでしたっけ?

ということで、「結局俺は何をやってるんだー!!分けわからなくなってきたー!!」状態が続き、目先の値動きに翻弄され、感情だけのトレードが続いて、やればやるほど負け越していきます。

おまけに、この画面上のトレンドは、トレンド弱の方が強の時よりもずっと長い期間が続いていますから、このトレンド中のほとんどはずっとトレードしづらい思いをすることになるんじゃないかと。

もっとシンプルに考え、シンプルに行動しよう

ということで、もっとシンプルに考え、シンプルに行動してみましょうか。

先ほどのロウソク足のチャートを見てください。

本来は、高値低値を確認して上昇トレンド継続を確認していきます。

が、それが出来ない人が多そうなので、とりあえず

「なんか、右肩上がりだな」

と思えるなら、ざっくりとトレンドラインを引いておきましょう。厳密なライン引きは、とりあえずスルーで良いです。ざっくりと適当に。(気になる人は、このブログの「ライントレードの基礎」の記事を読んでください)

で、そこに移動平均線を1本だけ引いてみましょうか。とりあえず短期トレード向けの王道20MAにしておきます。

するとこんな感じになります。

 

これ、後付けチャートになっちゃってるんで申し訳ないんですが、ちょっと補足説明しますね。

緑色で囲った部分は勢いよく下落した後に勢いよく元の価格に戻ってます。これはオーバーシュートとして片づけます。(詳しくは、「ライントレードの基礎」をご覧ください)オーバーシュートは「やっぱり上に行きますよ~」という示唆にもなります。

で、トレンド判定の知識が少なくとも、なんとなくトレンドラインを引こうと思ったら、早い人で赤丸A、遅い人でも赤丸Bの辺りで引けると思います。

じゃあ、現時点がBの部分から始まるとしましょうか。そこから先は見えない状態として考えてください。

ちなみにトレンドラインを引きましたが、このトレンドラインを使ってトレードはしません。

「トレンドは上ですよ」

ということを意識するだけのために引きました。トレンドフォローのため、反転上昇を捉えて買いエントリーする目的を忘れない様にるためです。

さて、準備は整いました。

後は、何も考えずに、20MAで反発、もしくは一旦下抜けた後に20MAを上抜けた場面を買っていきます。(エントリーの解説なので、エグジットに関しては解説しません)

難しく考えなくて良いです。移動平均線の角度とかも考えずに、ただ単純に、20MAで反発もしくは上抜けた場面を買っていきましょう。

さて、結果どうでしたか?

青色の丸部分が、買った場面です。オレンジ色の丸部分は、習熟度によって判断が分かれるところですが、それでも7回トレードして、失敗したのは1、2回程度かと。少なくとも勝率7割。

う~んと・・・僕は、何か難解で誰にも知られない秘密の方法を使ってトレードしましたっけ?してないですよね。

至って、シンプルです。シンプルに考え、シンプルに行動しただけです。

でも、ほとんどの人がこんな単純な作業すら出来ない。

なぜでしょ?

その話を始めると、今回の主題とはかけ離れていきそうです。この話の続きは、またの機会をお楽しみに。

それじゃあ、また。

 


ps:

ということで、このお話の続きは以前、僕がTwitterで出した質問にお答えした人だけに公開したんですが、大幅に加筆編集を加えて一般公開しました。

興味のある方は、ご覧ください。

また、言葉巧みな有料のトレード商材の宣伝に釣られる前にぜひ読んでおいてください。

今までの固定観念から抜け出せるかも

→ 「トレンドの正体