さて今回は、前回の続き・・・
と思ってたんですが、書いてる途中で、、ちょっと煮詰まってしまいました。
(* ̄∇ ̄*)ゞ テヘッ♪
ま、それもあって、今回は内容を急遽変更。
RCIについてお話します。
RCIは、昨年あたりからトレーダーの間で、急激に関心が集まっているオシレーターなんですが、
需要がある分、今後はRCIをネタに、糞レベルな内容で高額の商材を売りつける様なものが出回るんじゃないかなぁ?
という懸念が、僕にはあるんですね。
RCIに関する正しい基本的知識って一般的にはそれほど知られていないと思ってるんで。
ということで、もうちょっときちんと考察されたRCIの使い方なんかをお話することで、RCIに関する基礎知識を底上げすることに貢献出来たらな、と思ったんですね。
RCIを使う人のレベルが底上げされてれば、くだらない情報に振り回されたり、下手に騙される人も少なくなるんじゃないかなぁ・・・と。
ということで、ちょっとRCIについてお話を進めていきます。
今回お話する内容は、僕が今所属している「RCIサクセション」というトレード研究グループの中でお話している内容の一部です。
本来、ここでの情報は非公開なんですが、上述の様な事情を考えたところ、
「基本的ロジックの一部であれば、公開しても良いんじゃね?」
というメンバーの同意もありまして、お話することが可能になりました。
恐らく、今現時点では世間一般には知られていない内容を公開することになりますので、今まで以上に目を見開いてご覧くださいね。
それでは、始まり始まり~!
RCI概要
まずは、さらっと概要から。
RCIとは、「Rank Correlation Index(順位相関指数)」の略語で、数あるオシレーターの内の1つなんですが、その中でも実は一風変わった存在です。
通常、オシレーターは売買の過熱感を表すインジケーターですから、
「一定の期間でどれだけ値を上げたのか?どれだけ値を下げたのか?」
という、いわゆる「値幅」が気になるところです。
ところがRCIの計算式には、推移した値幅が100pipsであろうが1pipsであろうが、それに関しては一切考慮されていません。
計算式でいうと、
- 価格の終値が高い順に順位を付け
- ロウソク足の新しい順に順位を付け
この2つの関係性だけを考えているのが、RCIというオシレーターなんですね。
つまりRCIは、推移した値幅との関係性を考えるオシレーターではなく、推移した価格の時間(期間)との関係性を重視したオシレーターと捉えることができます。
もうちょっと小難しい話をするならば、
RCIとは「スピアマンの順位相関係数」を用いて相場を表現するオシレーターで、その計算式は
RCI = { 1 – 6 × d ÷ [n × (nの2乗 – 1)] }×100(%)
- n = 期間
- d = 「日付の順位」と「終値の順位」の差を2乗して合計した数値
- 日付の順位 = 期間の中で最も新しい日(当日)の順位が1位で、日付が古くなる程順位が下がる
- 終値の順位 = 期間の中で最も終値が高い日から順位をつけていく
となります。
ただ、裁量トレーダーであれば、ここまでは覚えてなくても良いかな?と。頭が混乱するなら、スルーしてもOKです。
もともとRCIは、1本の折れ線グラフで表示されるオシレーターです。
しかし、応用的にRCIを複数本表示させて利用することが多く、最近は3本のRCIを表示させたものが主流となっている様ですね。
実際にチャートに表示させると、こんな感じになります。
RCIの基本的な見方ですが、原則としては通常のオシレーターの要領と同じです。(詳しくは「オシレーター概要」をご覧ください)
縦軸が100~-100%の間で表示される折れ線グラフで、
- 0より上が買い方優位
- 0より下が売り方優位
- 80%以上は高値圏(買われ過ぎ)
- -80%以下は低値圏(売られ過ぎ)
となります。
ただし、RCIに関しては謎な部分が多く、開発者も僕が調べた限りでは良く分かりません。
なので、パラメーターのデフォルト値もハッキリしておらず、良く使われる数値として
- RCIを1本だけ表示する場合は、「6」を期間とする
- RCIを3本表示する場合は、「9-26-52」を期間とする
ことが多いという感じですかね。
まぁ、RCIはここ最近でこそ良く耳にしますが、少し前までは使ってる人もあまりいませんでしたし、そもそもこのRCIを使っているのは日本人くらいという噂もあるほどです。
なので、関心が集まっている割には、RCIについてきちんと考察された情報って、意外に少ないんですよ。
ネットなど巷で見かけるRCIのお話に関しても、僕が調べたり検証していったことと比較すると、
「はぁ?」
という内容であることが意外と多いんですね。RCIに関する有益な情報は、非常に乏しいのが現状です。
ですからRCIに関しては、誤った情報が多分に加わったものが「基本的知識」として流布しているのが現状、と思った方が良いかと。
ということで、冒頭でも軽くお話しましたが、この状況を放置しておけば、
「これからRCIを使ってトレードを一生懸命に頑張ろう!」
と思っている人たちにとっては、不利益ばかりになってしまいます。
なので、これから僕がRCIについて考察した内容を、一部ですがお話していきます。
RCIのコンセプト
まずは、手始めに
以下はポンド円1時間足チャートです。俯瞰して見れるように、ロウソク足の幅を小さくしています。
見ての通り、価格は波を打ちながら推移していますね。
で、僕はチャート図を見る時、まずは次の画像の様にザックリと波を見ます。
で、僕がトレードする場合、通常はここでラインを引いて、そのままトレードするか補助としてインジケーターを使うんですが、
今回はRCIのお話なので、まずはRCIだけを表示します。
僕の場合、この段階ではRCI1本だけでいいかなーと。それが以下の図です。
特殊な見方はしません。先日僕が書いた記事「オシレーター概要」での見方をベタに使うだけです。
解説を加えた図は、以下の様になります。
赤い丸の部分で売買を行なうことになるんですが、
これを見ると、RCIは先ほどザックリとみた波の一辺(スイング)を上手く捉えていると思いませんか?
まぁ、スイングトレードでザックリと獲りに行きたいなら、これだけで十分かと。
RCI強えぇ・・・!
ただ、実際のトレードとなると、実は上手くいかないことの方が多いんですよ。次の図を見てください。
上図の赤い丸の部分は絶好の買いエントリーポイントですが・・・
このタイミングに居合わせるのって、仕事をしていたり家事や育児、その他もろもろも用事をしていれば、結構難しいですよね。大体は、逃してしまいます。
例えば、仕事がようやく終わってチャートを覗いたと思ったら、上図の青丸のタイミングだったりするわけで。
しかし、だからと言って青丸の部分で慌てて飛び乗ってしまえば、高値掴みの可能性もあります。
できれば、この上昇トレンドの押し目を狙いたいところです。
ということで、先ほどザックリと見た波の中にあるさらに小さな波に注目します。いわゆるフラクタル構造、ってやつですね。
赤線で示した様な、細かい波の出来るだけ低いところで入りたいわけです。
じゃあ、どうするかというと・・・
この小さな波に合わせて、もう1本RCIを表示してみましょうか。
RCIの赤い線が、それになります。緑色のRCIよりも短い期間を用いて表示しています。
で、上昇トレンド中の小波に乗りたいわけですが、これも難しいことは考えずに、RCIの赤い線が下降から反転上昇するポイント(赤い丸)で、単純に拾っていけば良いわけです。
ザックリと押し目を付けて上昇した場面を捉えてくれます。
ただ、黒い斜め線で示した通り、価格が上昇しているにもかかわらず、RCI(赤)はダイバージェンスを起こしながら、下値を切り上げています。
0ラインをまたいでウロウロしているので、レンジっぽい振る舞いになってきてるのが分かると思います。
そろそろ変化が起きそうだなぁ・・・
というところで、RCI(緑)の線が反転下落して、下降の波が始まります。
おぉ!これだけで、十分トレードできるじゃん!
と言いたいところなんですが、実際にトレードする立場であれば、もう少し厳密性を求めたいなと思うんじゃないでしょうか?
このチャート図をよく見ると分かりますが、大文字Aで反転したポイントは小文字a、大文字Bで反転したポイントは小文字bですからね。
もっと早く谷間を捉えられたらな、と。
ということで、この際の対応を考えるとすると、
- 更にRCIの期間を短くとる
- 下位時間軸(例えば5分足)でタイミングをとる
の2つが考えられます。
1の場合、安直にパラーメーターを短くとると、インジケーターの性質上、ダマシが増えます。
それに対し、反転を捉える時などは、小さな時間軸から大きな時間軸へと変化の兆候が表れていきますから、エントリーはより小さな時間軸でタイミングをとった方が、効率的です。
なので、お勧めなのは2です。
しかし、今回はRCIに関する解説ですから、1のより小さな期間のRCIを使って判断することにします。
ということで、ここで更に短い期間のRCIを表示してみますね。
青色の線で表示してみましたが、ちょっと見づらいですかね。
このポンド円1時間足チャートは、俯瞰して見れるようにロウソク足を小さく表示してあるので、僕らが見たい緑色の矢印の波の部分を、もう少しクローズアップしてみましょうか。
RCI(赤)のAの反転ポイントで入るより、RCI(青)のaの反転ポイントで入った方が、より有利な位置でエントリーできることが分かります。
次のBですが、b1の方がやや有利ですが、ちょっとヒヤッとする場面です。b2では明らかにBよりも良いポイントです。
Cに関してはc1もc2も、ほぼ変わらないかなぁ?という印象ですね。
とまぁ、こんな感じで傾向を見ていくと、RCI(赤)よりも短い期間であるRCI(青)の方が、より有利な位置でのエントリーの可能性が高く、またエントリーポイントを提示してくれる数も多いことが分かると思います。
この様に、RCI(長期:緑)で状況を把握しつつ、RCI(中期:赤)やRCI(短期:青)で実際のエントリーのタイミングを計ることで、有効なトレードが可能になることが分かってもらえたんじゃないかなー、と思います。
RCIって、結構便利じゃん!
しかし、ここまでの解説を読んでいて、恐らく皆さんは
「チャートに表示したRCIは、価格の波に上手く沿っているけど、RCIのパラメータ(期間)は、何を使ってるの?」
という疑問が、ふつふつと湧いてきてるんじゃないでしょうか?
まぁ、そうでしょうね。わざとパラメータの数値は言ってませんでしたから。
では、そろそろ本格的なお話に突入するとしますか。順を追って、このカラクリをお話していきますね。
RCIの基本的な考え方
まずは、下の画像をご覧ください。
最初に表示したRCI(緑)1本のチャート図に、移動平均線を表示してみました。75SMAです。
よくみると、このRCI(緑)と75SMAは、面白いくらいに対応してませんか?
反転のタイミングはほぼ同じか、RCIの方がやや早いくらいですかね。
ちなみに、75SMA1本引いただけで、レンジの箇所は分かりますよね。トレンドが出ていれば、価格はSMAの上か下で推移、レンジの場合はSMAをまたいでいます。
ぱっと見で判断できますよね。
で、ここからが本題です。
僕のRCIに対する考え方は、端的に言ってしまえば、
「RCIというオシレーターは、移動平均線をオシレートする」
というものです。
つまりRCIは、価格そのものよりも、移動平均線の過熱感を表現しやすい性質があるということです。
もちろんこれは、厳密な意味での「RCI = MAをオシレート」ということにはならないかもしれません。
しかし、「RCI ≒ MAをオシレート」と言ってしまって間違いないくらいの、強い傾向を持っています。
なぜ、そうなるのか?
その理由は、計算式を見ても分かりません。自然の摂理なのか、単なる偶然の一致なのか、僕にはまだその謎を掴めていません。
しかし、事実として言えるのは、
移動平均線とRCIは、一定の比率で算出したパラメータを用いると、互いを補完するような動きをすることになり、結果としてRCIが対応する移動平均線の過熱感を表現してくれることになる
ということです。
RCIと移動平均線を対応させる方法
で、実際に、RCIと移動平均線を対応させるためのやり方ですが、その計算方法は簡単です。
「移動平均線:RCI = 10:26」
です。移動平均線(10)に対して、RCI(26)です。
正確な数値にするとなると、小数点が出るかと思いますが、この比率でほぼ近似値をとることができます。
移動平均線(20)を使っているなら、それに対応するRCIのパラメーターは
20 × 2.6 = 52
で、RCI(52)となります。
SMA(25)なら、「25 × 2.6 = 65」でRCIの期間は65、
SMA(5)なら、「5 × 2.6 = 13」でRCIの期間は13ですね。
もちろん僕は、この記事の解説で用いたRCI(緑)の数値も、このやり方で割り出しています。
SMA(75) × 2.6 = RCI(195)
ということですね。もう一度、SMA(75)とRCI(195)を表示したチャート図を見てみましょうか。
RCIは見事にSMAの過熱感を表しくれています。
で、その次に表示したRCI(赤)ですが、期間は52です。つまり、SMA(20)にRCI(52)は対応しているということですね。
ちょっと見てみますか。
赤色で示し20SMAが描く波と、赤色で示したRCI(52)が描く波を見比べてみて下さい。(見づらくならない様に、RCI(緑:195)の表示は消しています)
両者が描く波のの山と谷は、気持ちが良いくらいに高確率で一致しているのが分かると思います。
次に、3本のうち最も短期間だったRCI(青)ですが、SMA(10)に対応させているので、RCIの期間は26になります。
ということで、ここまでの解説で用いたRCI3本とそれに対応させた移動平均線を全て表示しておきましょうか。
さて、それではこのRCIへの理解をさらに進めるために、もう少し細かいお話へと進んでいくことにしましょうかね。
なぜ、RCIとMAを同期させる必要があるのか?
移動平均線と流れについて
僕の記事「時間軸に関係なく流れの目線を固定しよう」をご覧の方は、既にお分かりだと思いますが、
移動平均線(MA)は、価格推移の「流れ」を抽象化して、僕らに表現してくれています。
移動平均線の期間を長くすればするほど、価格の推移は抽象化され、より大きな波の形を表現してくれます。
逆に移動平均線の期間を短くすればするほど、移動平均線は実際の価格の推移に近づいていき、より小さな価格の波を表現してくれるようになるんですね。
最終的に移動平均線の期間を「1」とすると、それはロウソク足の終値だけを結んだラインチャートになります。つまり、期間1の移動平均線は価格推移そのものだということですね。
で、価格の波がフラクタル構造だということは、ご存知だと思います。(知らない人は、「「これがBOZ流!ライントレードの基礎2」をご覧ください)
なので、移動平均線は
- 長期線=大きな波を抽象化
- 中期線=その1つ小さな波を抽象化
- 短期線=さらに1つ小さな波を抽象化
することが多くなります。
ただし、インジケーターは過去の価格の値を加工して表現したものです。
ですから、必ず実際の価格のよりも遅れて表現されます。移動平均線も山と谷も、RCIの山と谷も、実際の価格の波の山と谷よりも、遅れて表現されます。
では、ちょっと先のチャート図をもう1度見てください。
実際の価格の波の山と谷よりも、どの移動平均線もどのRCIも、遅れて表現されているのが分かると思います。
期間が遅くなればなるほど、遅行する度合いは大きくなります。
ですから、エントリーのタイミングは期間の短い方を用いることで、より適切なポイントを掴みやすくなるわけです。
ただし、期間を短くとればとるほど、実際の値動きのノイズに振り回されやすくなります。つまり、ダマシが増えるんですね。
これらインジケーターに共通する弱点は、必ず頭の片隅に置いておく必要はあります。完璧なインジなど、この世には存在しないんですから。
ということで、その弱点を込みで、もう一度、先のチャート見てみましょう。
長期(緑)のMAとRCIは、大きな波の一辺を表現しているのが分かりますね。
で、一辺の波の流れの中には更に小さな波があります。
それを中期(赤)のMAとRCIが表現してくれています。緩やかな山と谷が描かれていますね。
そして、その波の中にあるもう一段小さな波を表現しているのが、短期(青)のMAとRCIです。
つまり、このチャート1枚で、3本のMAとRCIは、1つの波がフラクタル構造であることを表現してくれているんですよ。
ここまで、理解できましたか?
それでは、先に進んできましょう。
なぜ移動平均線は必要か?
でも、MAとRCIが同じ波の構造を表現してくれるんだったら、どちらか1つで良いんじゃね?RCI使うなら、MAはいらなくね?
という疑問、湧いてくるかもしれません。
しかし、やはりRCIは所詮オシレーターであるが故、その弱点を補ってくれる存在が必要です。
そして、その役割がMAとなります。
MAはチャート上に、実際の価格(ロウソク足)に沿う形で表示されます。MAと価格の位置関係などを見ることで、
- トレンドが発生している
- しかも、このトレンドは強め
- でも、こっちのトレンドは弱め
- なんだかレンジに入りそう
- 今は、レンジ
といった感じに、いやそれ以上に、相場の状況を視覚的に把握しやすくしてくれます。
しかし、RCIだけ見ていると、売買の過熱感は表現してくれますが、実際の値動きの特徴は、上手く掴めません。
ですから、RCIだけで相場を判断しようとすると、難しい局面って結構あるんですよね。
0ラインをまたいでウロウロしていると思ったら、いきなり下へと強く下げ出して・・・でも価格はそれほど動いてない・・・
なんて感じで、不可解な行動をRCIが示すことは、沢山あるわけです。
価格は上昇しているのにRCIは低下している、なんてのは日常茶飯事です。
では、ちょっと、実際のチャートでそんなRCIの欠点を確認してみますか。
最近のポンド円1時間足チャートですが、例のごとく右側の部分は隠しています。
で、赤丸のポイントを見てください。
Aの局面では、赤色のRCI(52)が高値圏に突入し始めたところで、青色のRCI(26)が反転下降を始めています。
Bの局面では、赤色のRCI(52)は、上端に張り付き出して横ばい、青色のRCI(26)は高値圏ラインを下抜けています。
このRCIの振る舞いを見て、どう判断しますかね?
RCI(26)が下降し始めたので、この後RCI(52)も後を追う様にして下降を始めることを想定して「売り局面」として捉えることも出来ますし、
まだRCI(52)はトレンド継続中を示しているので、RCI(52)も下降を始めるまでは「様子見」と判断するなど、
結局は「売り場探し」ということになりやすいです。
じゃあ、結果はどうかというと、
価格は上昇しているにも関わらず、RCI(26)は下降を続けており、RCI(52)も緩やかに下がり始めるという結果だったということが分かります。
後付け解説であれば、「ダイバージェンスを示しています」とドヤ顔できる場面ですが、この局面にリアルタイムで居合わせていれば、売り場探しは見当違いだったということが分かると思います。
しかし、このチャートに移動平均線も表示していたら、どうでしょう?
RCIに対応させたMAを表示してみましょうか。
メインチャートの赤い丸部分を見てください。
20SMAは安定して上昇を続けています。そしてそこに、価格と10SMAは下降しながら近づいているので、移動平均線使いの人なら、
「押し目を拾う局面だ!」
となると思います。つまり、この局面は売り場探しなのではなく、買い場探しだったんですね。
もし、移動平均線とRCIを同期させて併用していれば、RCIのAやBでの判断は
「20SMAは上昇力を維持していることがRCI(52)でも裏付けられている中、10SMAは力を落として20SMAに接近している。ということは、調整局面なので押し目を形成する可能性が高い。価格が反発を始めたら買いに出よう!」
となるでしょうし、また
「押し目を付けて買った後、10SMAも上昇を始めたが、それに対応するRCI(26)は下降を続けている。上昇力が弱まっている証拠。深追いせずに早々と決済した方が良さそうだな。」
とも判断できます。案の定、押し目を拾った直後は一旦大きく上昇しますが、その後は伸び悩み、一旦大きく下げた後に上昇を再開しています。
この様に、RCI単体で用いると判断を誤りやすい局面なのに、同期させた移動平均線を用いると、むしろRCIが判断の強い根拠づけに一躍買っていることになるわけです。
RCI単体で用いた時の弱点が、移動平均線と共に用いることで、むしろ強みになるわけです。
オシレーターは、チャートメイン部分に表示されるわけでなく、サブ画面に折れ線グラフで表示される「振り子」の様な存在ですから、具体的な価格の推移の状況を把握するのに、不得意な部分もあるんですよ。
しかし、それをMAは補ってくれるんですね。
そういった意味で、MAはRCIを用いてトレードするにおいても、とても大切な役割を果たしてくれます。
なぜRCIが必要なのか?
じゃあ逆に、RCIを使わないで、移動平均線だけでも良いじゃん!だって、MAだけでトレードしている人も沢山いるし。
という疑問も、あるかもしれません。
まぁ、MAだけでトレードできる人はそれでやって全然OKですが、MA自体にも弱点はあるわけで。
例えばですね、以下の画像をご覧ください。
価格が上昇をした後に、反転下落を始めた場面です。価格の流れ(移動平均線)も、それに準じて反転下落を始めてますよね。
じゃあ、この下落の流れは、どこまで続くんですかね?
下降トレンドが始まったなら、ずっと長く下降するでしょうし、上昇トレンドの調整局面なら、比較的直ぐに折り返して再び上昇を始めるでしょう。
じゃあ、どっち?
これ、移動平均線だけ見てたら、イマイチ分かりづらいですよね。
でも、RCIを見ればハッキリします。
RCIを見てみると、RCIは下降し始めたばかりで、まだ0ラインにすら到達していません。下落が過熱するには、まだまだありますよね。
「ってことは、まだこの下降の流れは続くんじゃね?」
と判断できます。
では、次の展開見てみましょうか。
RCIが下限に近付いてきてます。
ってことは、そろそろこの下落の流れは終焉?と判断できます。
「MAを上抜けたこの陽線強いし、この辺で買いかな?」
って、判断できますよね。
じゃあ、次の展開。
買って正解の局面でした。
もしショートポジションを持っていたのであれば、上昇圧が強いので、うっかりしていたら逃げ遅れていた可能性が大です。
この様に、RCIを見ていたら、どのくらいまでこの流れ(移動平均線の下降)が続くのかが、自ずと予測できるわけです。
RCIは移動平均線の過熱感を表現してくれるため、MAの弱点を補うことが可能になるんですね。
やっぱ、RCIって使えるじゃん!
情報は整理して使う
ここまで読んでもらった方は、MAとRCIを対応(同期)させて用いることの有益性を理解してもらえたかと思います。
MA(10)なら、RCI(26)
MA(20)なら、RCI(52)
といった具合に、互いに連携させることで、互いを補完し合います。
そして、そこには相乗効果が生まれます。
1つの「見ようとしているもの」を、2つの別の角度から洞察していることになるからです。今まで見えなかったものが、見えてくる可能性が高まってくるんですよ。
しかも、情報の乱雑さを防ぎます。
もし仮に、MAとRCIを別々の道具としてしか見ていなかったら、どうなってるでしょうか?
次の図を見てください。移動平均線もRCIもバラバラの期間で設定して表示してみました。
これだと、各線が不規則にあっち向いたりこっち向いたりとして、もう何のどこをどう見たら良いかすら、迷子になってしまいます。
しかし、MAとRCIの各線を同期しておいて、さらには同じ色にしておくと・・・
今、自分がどのMAを見て、そのMAの過熱感はRCIのどの線を見れば良いかが分かる様になりますよね。
情報が乱雑に置かれているのではなく、きちんと把握しやすい状態で並べておくことは、判断を行なうにおいて、非常に良い環境となります。
MAとRCIの各線をきちんと対応させておくことは、より洗練されたトレードの道具として用いることに繋がっていくんですね。
さて、ここまででRCIを扱う上での最も基本的な考え方、
「RCIは、MAをオシレートする」
という内容が理解できたでしょうか?
しかし、基本コンセプトを理解しただけじゃ、実際のトレードに活かすまでには、ちょっと距離があり過ぎかな、というのがホントのところです。
ということで次回は、もっと具体的なRCI各論的なお話に進んでいこうかと思います。
RCI各線の振る舞い方やら、その関係性などについてお話します。
RCIの使い方の説明で良くある「2本のクロスでエントリー!」に、実はあまり優位性がないということにも触れていきますので、お楽しみに。
それじゃぁ、また。