臨機応変ということ

目線固定の弊害

トレード関連の情報を色々と見ていくと、

「上目線」
「下目線」
「目線固定」

という言葉をやたらと聞きます。

一般的に目線固定というのは、「上昇トレンドだったら買い方針のみ」という具合に、

トレンドの方向でしかエントリーしない様に行動を律する
買いか売りかの方針を決めたら、決めた方針を守る

という意味で使われてるんじゃないかなぁ・・・と思います。

確かに、それはそれで良いと思うんですが、僕の様に決して若くはなかったり、それほど器用じゃない人間は、一旦考えを決めてしまうと、その固定観念に縛られてしまいがちです。

で、僕の経験上、それって結構痛い思いするんですよ。

だってね、僕らは未来のことなんて知る由がないんですから。

なのに、綿密にチャート分析をやって目線を固定してしまうと・・・

方針と全く違った方向に動いても対処できない!

ってことになるんですよ。

売り方針で臨んで、実際には上昇してしまって損切りしても、上昇中にずっと売り時を狙い続け、上昇し続ける中で売り続ける羽目に陥ってしまいがちです。

なので、僕は目線を固定するというやり方は、あんまり好きじゃない。

やっぱりね、大切なのは

固定観念や先入観に縛られずに、間違ってたら間違ってたで素直にそれを認め、今の現実の流れについていく

という姿勢が大切なんだと思うんですよ。

つまり、臨機応変さが大切ってこと。

実例を用いて

過ちを認めよう

ちょっと、チャート使って説明しますね。

これ、オージー円1時間足チャート。

僕は昨日(2020/04/07)、この下降チャネルラインを引いて、赤い丸で記したところで売りエントリーをしたんですよ。次に価格はチャネル下限に向かって進むと判断して。

で、その後は直ぐに20pips以上の含み益が出てたんですが、もちろんライン下限に向かうと思ってるので利確はしなかったんですね。

ただ、エントリー後の値動きからすると、上にブレイクしてもおかしくない感じでした。なので、利確するか迷ったんですが、損切りしても10pipsちょっとで済むので、そのままポジションを保有することにしたんです。

で、ここは割と大切なポイントです。

改めて思い直してみると、仮に僕がポジションを持っていなかったら、値動きを見て「ブレイクするな」と踏んで買うタイミングを狙っていたはずだったと思います。

しかし、僕は売りポジションを持っていたため、自分の考えと行動に修正を加えられなかったんですね。

なので、結果は・・・

見ての通り、その後は反転上昇して、下降チャネルをブレイクしました。

僕も、まだまだですね。(* ̄∇ ̄*)ゞ テヘッ♪

では、ここでどうするか?

「売り方針」という固定観念、「価格は下がる」という先入観に縛られたままだと、

  • 損切りしない
  • ナンピン売りを続ける
  • 損切りと売りを繰り返し続ける

のいずれかを続けることになります。

でも、こういった場合は素直に

「ラインをブレイクしたので、流れが変わったかも」

という事実を受け入れる姿勢が大切なんですよ。

昔の僕なら、恐らくここでムキになって売り向かい続けたと思います。

しかし、相場は自分の想い通りになりません。どんなにムキになったところで、そこに意味はないんですよ。むしろ、相場の流れに素直に従うことが大切です。

ということで、昨日の僕がとった行動は・・・

5分足を用いて説明します。

赤い丸が売りエントリーです。値動き的に「ヤバいかな?」と思った時点で臨機応変に対処できなかったため、損切りする羽目になりました。

損切りしたポイントが青い丸のところです。

ラインを抜けた時点で、「やっぱ、そうか。抜けたか」と感じました。値動き的には、ラインをブレイクした後のフォロースルー(ブレイク後に後を追って買う勢力)もあるなと思ってたので、予め注文しておいた逆指値(STOP)を受け入れることにします。

しかし、見ての通り、ラインをブレイクした価格は、STOPには届かず再度下落を始めます。

ただ、この時点で僕は、視点(先入観)がクリアになっていたので、

  • 再度チャネル内に戻る様であれば、この値動きはオーバーシュート
  • チャネルのラインに跳ね返されたら、ロールリバーサル

と判断できます。

なので、手動で損切りするかどうかをまず判断することに。

結局、ラインに下落は止められたので、青丸のポイントで成行注文の損切りをします。売り方針をすんなり捨てたことにより、損失は13pipsほど。

で、その後にロールリバーサルだな、ということで(やや操作は遅れましたが)緑丸の辺りで買いエントリーをし直します。

後は、赤い矢印を見ての通りです。

臨機応変に買い方針にすんなりと転じたことにより、約40pipsと約20pipsのトレードが可能になりました。

3倍返し!いや、5倍返しだ!!

しかし、もし目線を固定したままで先入観を捨てられずに、売りに拘ってエントリーし続けたとしたら・・・

怖いですよね?

僕の経験上、売り向かった場合の大体のパターンといったら

ラインを越えてしまった後も、赤い丸で囲った辺りを目印に売りを続け損失を膨らませ、1つ目の緑色の丸を目印にして売った後は含み益が出ますが、今までの損失もあってか欲を出して利確できず、次の緑丸で損切り。

しかし、その後の微妙な下がり方を見て

「あー!損切りしなきゃよかった!!」

と後悔しながら、次の赤い丸でやっぱり売るんですよ。

で、損切り。

そしてついに力尽き、最後の青丸ポイント当たりからは指をくわえて下落するのを見続けながら

チックショ~~!!

と小梅太夫ばりの叫び声を上げることになります。

売り手が焼かれつくしたところが、上げ止まりになるわけですよ。

これ、相場あるあるですね。自分に良くあることは他人にも良くある。

人の常とは、世の常でもあるわけです。

相場は生物

相場とは生物(いきもの)であると同時に、生物(なまもの)です。

そう、「なまもの」。賞味期限は短いんです。

ですから、自分が分析したことに、いつまでも縛られ続けるとお腹を壊します。

例えば先ほどのオージー円の1時間足。

下降チャネルを大きくブレイクした後、再度下落してチャネルラインにぶち当たっています。

何やら、ラインに止められて反転している様に見えますよね。

先ほどの僕が紹介したトレードでは、小さな波のロールリバーサルでしたが、今度は大きな波でロールリバーサルを形成して、大きく上昇しようとする直前の様です。

ん?

ホントですかね?

それでは、恒例のシンキング・タ~~~イム!!

 

 

・・・

 

 

・・・

 

 

・・・

 

ホントにこれ、ロールリバーサルですかね?

 

・・・

 

・・・

 

・・・

 

分かりました?

 

では、答えを言いましょう。

答えは・・・

 

分かんねぇよ、そんなの。

 

が正解です。

当たりました?当たるわけないですよね?

じゃあ、解説しましょう。

先ほども言いました。相場は「生物」だと。

相場は「いきもの」ですから、ずっと同じ形に留まってはいませんし、同じところにも留まりません。

そして、そんな相場は「なまもの」ですから、分析したその時の賞味期限は直ぐに切れてしまいます。

下降チャネルと判断した相場は、あえなくブレイクしてしまったんですよね。

ということで、確かにチャネルラインに一旦止められていますが、このラインも賞味期限を過ぎてしまうかもしれません。

そして、「いきもの」である相場は、常にその形を変えてしまいます。

例えば、こんな風に。

あれ?

これって、下降チャネルを形成してたんじゃなくて、レクタングル(四角)・フォーメーションだったの?平行レンジってこと?

いえいえ、ホントのところどうかは、今のところ分かりません。

下降チャネルのラインがまだ有効で、ロールリバーサル後は上昇を始めるかもしれません。

しかし、この後は平行レンジを形成し、仮に上昇したとしても上の水平線に止められて、下降を始め、次に下の水平線へと下値を試すかもしれません。

つまり、その後の未来に「絶対」はないんですよ。

あくまで、可能性の世界。

僕らが出来ることというのは、過去から現在の値動きから、未来への可能性を探るだけ。そして、その可能性の中からリスクと優位性を見出しながら、自分がとるべき可能性(道程)を選択して歩み続けるだけなんです。

そして、そんな可能性に対して、常に臨機応変な対応をし続ける。

それが、トレーダーというものです。

なんだか、トレードと人生観は、重ね合わさることが多い様な。そんな気がする2020年緊急事態宣言発令中の春です。

流れに従う

流れに逆らわないために

臨機応変に振る舞うことは大切だと頭で分かっていたとしても、人はついうっかりと自分の先入観に縛られてしまいがちです。

では、先入観に縛られずにいるためには、どうしたら良いでしょう?何か良い判断材料みたいなものは、ないのでしょうか?

もし仮に、そう聞かれたとしたら、僕はきっとこう答えます。

 

そんなの、自分で考えれば?

 

冷たいですか?まぁ、冷たいですよね。

でも、他人の頭で考えてもらうことばかり考えて、自分の頭で考えない人は、魑魅魍魎の潜むこの相場の世界では到底生き残れません。

なので、「どうしたら良いか?」というテーマは、常に自分の頭で考え抜くことが大切です。

ただ、こんな話をしてしまった以上、「自分の頭で考えなよ」で終わらせてしまうのも、何か違う気もしますので、僕から1つの提案しておきます。

それは、移動平均線。

僕は、目線を固定するなら、それは上目線・下目線ではなく、価格推移の「流れ」を固定した方が良い、というお話をしています。

具体的に再度お話するのは面倒なので、「時間軸に関係なく流れの目線を固定しよう」あたりを参照してください。

まぁ、要するに価格の流れを抽象化した移動平均線をきちんと意識しておくことで、流れにきちんと従うことが出来るということです。

先ほどの

という、売りに固執してしまったら大損害を受けたであろう場面ですが、移動平均線を表示させると

パーフェクトオーダー。

どこをどう見ても、買いポイントを模索する場面にしか見ません。

もちろん、これは1つのヒントでしかなくて、提案です。別に移動平均線を3本表示しなくちゃいけないということでもありません。

自分の基軸となる流れを示す移動平均線を1本だけ表示させておくだけでも良いですし、移動平均線を使わず別の何かを基軸としても構いません。

ただ、チャート上に価格の流れの方向をきちんと意識させる道具(インジとか)を何か1つでも用意していくことで、それは勝手な先入観という呪縛から解き放たれる助力となると思うんですよ。

そういった工夫を自分なりに加えていくことで、流れに沿いながらも臨機応変に相場を渡り歩くコツを掴んでいけるんじゃないかなー、と思います。

チャート分析の心得

真剣にトレードに取り組んでる人にとって、チャート分析とは大切なものです。

毎日の作業として、その日の終わりまたはトレード始める前には、念入りにチャートを確認し、分析します。週末には、次週の分析をやはり念入り行います。

人によっては、凄く丁寧に時間をかけて分析しているんじゃないかなぁ?

非常に喜ぶべき姿勢ですし、その努力が早く実ってくれたら良いな、と思います。

ですから、そんな一生懸命な人へ向けて、老婆心ながら僕からアドバイスをさせてもらうとしたら、

 

そんな時間かけた分析、いらねーし

 

という一言になるでしょうか。

別にトレードで勝つためには、長時間をかけてまでやるような高度な分析は、特別必要ありません。

高度な分析などせずとも、シンプルに分析することで、トレードでは十分勝ち続けることが出来るんですよ。

さっきの僕のトレードの例、ご覧になりましたよね?

チャネルライン引いて、ラインに当たって跳ね返されたところを売っただけです。で、その行為が否定されたら損切りして、後は流れについていっただけです。

僕は普段オージー円をやらないので、たまたまチャート覗いてライン引いて見たという、ものの数十秒の分析ですよ。

ひょっとして、まさか・・・

長い時間と労力をかけて分析したら、相場の謎を解き明かせるとでも?

そこまでは思ってないにしろ、自分の労力に時間をかけたらかけた分だけ、的確な分析によって素晴らしいトレードが出来るとでも?

んなこたぁ、ない。幻想なんですよ、幻想。

例えば、バッターボックスに立つ前に、相手の投手の分析を長時間かけるだけだけて練りに練った上で、

「きっと、一球目はAでくる。もし、AじゃなくBであったら、こうやってこう対処して・・・」

って方針を決めて、その目線を「固定」してバッターボックスに立ちますかね?

で、投手がどんな球を投げてこようが、当初の方針に従ってバットを振りますか?

別に野球じゃなくても、卓球でも良いですよ。

「相手はまず、最初にこのコースでこんな回転をかけて球を打ってくる」

って方針を固定して、相手がどの様な球を打ってきても、その方針通りにラケットを振りますかね?

なんかそれって、球を見ないでバットやラケットを振るのとあんまり違わない様な気がしますけど。

根本的なところ、間違ってませんか?

トレードもスポーツも、予め練りに練って予定された架空の世界の中で、闘うわけじゃありません。

常に、現実対応です。

むしろ、時間をかけて突き詰めて分析すればするほど、その分析に縛られてしまい、臨機応変に動けなくなってしまいます。

ですから、分析なんてのはシンプルに行ってシンプルに判断しておいた方が良いんですよ。

長々とトレードのシナリオを作成するためのチャート分析する時間があるのであれば、そんな時間はトレードの検証と練習に費やすべきです。

そう、どんな球が来てもその場で臨機応変に打ち返すことが出来るための、「現実対応」という腕を磨くための、ね。

人生、何事も・・・

先ほども言いましたが、相場を自分の想い通りに操作することは出来ません。自分の力じゃどうにもならないんですよ。

だから、諦めが肝心。

相場では、諦めることが大切なんですよ。

最近の自己啓発的な風潮だと「諦めなければ、夢が叶う」と言います。

が、少なくとも相場において、それは嘘です。真っ赤な嘘でしかありません。

例えばスポーツの試合なんかは、形勢不利であっても諦めずに踏ん張ることで、逆転勝利を掴むことは可能かもしれません。

しかしそれは、自分の頑張りで何とかなる範囲での話です。

自分の努力などとは全く無縁の世界では、そんな話は通用しないんですよ。

もし、諦めなければ夢が叶うと相場の世界で信じるなら、全財産を賭けて自分が信じる方向へとエントリーすれば良いんですよ。そして、逆行したなら、借金をしてでも自分が信じた方向へとエントリーし続けたら良いんです。

だって、信じれば夢は叶うんですよね?

もしそうなら、何も考えずにエントリーしつづけたら、億万長者になれるはずです。

でも、しないですよね?

なぜやらないかと言えば、諦めなければ夢は叶うわけじゃないっていう話が、相場では通用しないってことを、実は心の奥底で分かっているからです。

相場という世界では、諦めないのは地獄への一歩なんです。

だったら、諦めたら良いんですよ。素直に。

日本では古くから、「人生、何事も諦めが肝心」と言います。そして、それは僕たちが生きていくうえでの本質です。

諦めるとは、明らかに見極めるということ。

確か、雀鬼と呼ばれた桜井章一氏の言葉だったと思います。

諦めるというのは、押して出るべき時と引き際を、きちんと見極めるということなんですよ。押して出るべき時は突き進み、引き際であれば何の躊躇いもなくその場を立ち去るということです。

これ、非常に難しいことですが、非常に大切なことです。

自分が決めた方針と逆の方向に流れが行くのであれば、素直にそれを認め、諦め、そして流れの方向へとついていく。

己の過ちを認め、進むべき方向を見極めてそちらに方向転換をすることを受け入れる。

それも、勇気です。

諦めるとは、大切な勇気のことなんです。

相場の世界において、諦めないというのは、諦めきれないという往生際の悪さのことであり、ただの醜い姿でしかありません。

  • 諦めるとは、明らかに見極めること
  • 諦めないということは、醜態

そう胸に刻んで相場に臨むことは、臨機応変さを手に入れる1つの大きな指針かもしれません。

 

・・・ということで、

今回のお話は以上です。今回の内容は、思い付きで書き始めた様なものですが、皆さんのお役に立てたなら、幸いです。

それじゃあ、また。

“臨機応変ということ” への6件の返信

  1. 今の自分にぴったりのブログ内容です(T . T)
    分かったようになって挑み、自分で考えた方向から抜け出せない…。
    ありがとうございます。
    何度もBOZさんのブログ読み返して、練習、検証してがんばります!

  2. >>ひかりんさん
    考えが固定してしまうと、なかなか抜け出せなくなるんですよね。
    常にフラットな姿勢で相場と向き合いたいものです。

  3. 記事の中で疑問が一点ありましたので質問させてください

    オジ円を数十秒分析してエントリーしたということですが、これは極端な表現をされているだけですか?
    それとも本当に数十秒分析して分足にラインを引いただけでエントリーされたのでしょうか?

    ライントレード関連の記事では月足や週足から下位足へ丁寧な分析をされているので不思議に思ったのですが

    1. >> nanashiさん
      この記事が数年前のことであるのと、ご存じの通り僕のブログ記事は誤字が多いまま放っておいていることが常なので、この時のことをハッキリとは言えないのですが、

      基本的に僕は1つの通貨ペアに対して分析に長くても5分もかかりません。なので、この記事の話も数十秒で間違いないと思います。仮に大げさだったとしても1~3分だと思います。

      このことは過去にX(旧Twitter)でも何度かお話していると思いますが、週足から下位時間足へと落とし込んで分析していても、通常1通貨ペアに対してほんの数分です。
      常に取引している通貨ペアなら大きな時間軸は頭の中に入っていますから、日々の分析は本当に数十秒あれば十分です。

      信じ難いですかね?

      でも、検証と練習に長い時間を費やしているのであれば、できるはずですよ。

      僕はトレードをスポーツに例えることが多いですが、それと一緒です。飛んできたボールに対して一瞬で判断し対応できないのであれば、それは圧倒的な経験不足でしかありません。

  4. お忙しいところ、ご返答ありがとうございます

    普段取引している通貨ペアの分析であれば短時間で終わるというのは理解できるのですが、オジ円は普段トレードされていないということでしたので、上位足からの分析で数十秒というのは早いなぁと思ってしまいました

    (所々にジョークのある面白い記事が多いので、失礼ながらこれもジョークなのかなとw)

    疑っているような質問になってしまい、申し訳ありませんでした

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