(以下の記事は、2017年10月14日付けの記事を加筆修正したものです)
まぁ、本だとかブログだとかで、後付けで相場やトレードのやり方を解説するのって、良くある光景です。(ま、僕もやるんですが)
チャートに線引いたりインジケータを表示させて、
「ここがこうなるから、ここで下降トレンドが発生」とか
「ここで売って、ここで買います」とか
って、ありがちですよね。例えば、こんな感じで。
これ、今朝のポンド円15分足チャートです。余計なインジケーターは表示させずに、ラインだけ引いたやつです、
これを見る限り、解説は簡単です。
「12月8日に高値を付けた後、下落。その後、下降フラッグを形成。この下降フラッグは、下降トレンド継続を示唆するので、フラッグの下値をブレイクしたら売り。」
「その後、下降チャネルを形成しているので、レジスタンスとなる上のラインで売って、サポートとなる下のラインで買う」
とまぁ、ざっくりですがこんな感じになるわけで。
で、チャートにラインを引いて説明されたら、確かにその通りなわけで。教科書通りの解説です。こんな画像と解説をされたら普通、「うんうん」って頷いちゃいます。
でもねぇ・・・
こういうのって、結果を見てから「こうでしたよ」って言ってるだけで、解説するのはとっても簡単なわけです。「明日の天気は晴れです」って予報するんじゃなくて、「昨日は雨でした」って結果をお話ししてるだけですから。
でも、このチャートが形成される経過の中でチャートを見つめていたら、果たして後から解説したようなトレードが出来るかどうかは、とっても疑問です。
ということで、チャートの後付け解釈ではなく、現実に直面する問題点をこれから解説していこうかと。
まずは、「じゃあ、実際に先の説明通りにトレードできんのか?」ってところから。
先の図から、下降チャネルのラインに接した部分を順番にアルファベットをふってみました。
A(買い)→ B(売り)→ C(買い)→ D(売り)→ E(買い)→ F(売り)→ G(買い)→ H(売り)→ I(見送り、または売り増し)→ J(買い)
おおっ!めっちゃ儲かってますねぇ。
ただまぁ、その後はうまくいかない。Jで買ってもレジスタンスに届かずに戻ってくるのでKで損切り。ただチャネル内に戻ったので頑張って買いなおしてもLにて損切り。Mもまた同じ。
しかし、ここまでのチャネル内の教科書的な売買であれば、10勝3敗程度で大幅勝ち越しにはなります。
が、実際のトレードでは、そうは問屋が卸しません。
チャネルラインを越えた時点でブレイクと判断して買いではなく売りで攻めたり、
ラインを勢いよく抜けた後に勢いよく戻るなんて思わないからあわてて損切りしちゃったり、
下限で買ってもなかなか上に伸びずに戻ってきたので慌てて薄利で決済しちゃったり・・・
実際は10勝3敗じゃすまないし、利幅も教科書通りには獲れません。
でね、ここで持ち出されるのが「メンタル」。きちんと冷静に判断できればとか、含み益が減ることに耐えられるメンタルがあればとか、ってやつ。
後付けでチャートを見て、
「ほら、こんなに値は伸びたのに、少しの戻しにビビッて、こんな薄利決済しちゃった俺って、メンタル弱い」
「目先の値動きに振り回されず、きちんとしたポイントで売買できてていたら、勝率だってもっと上がってたのに。弱いメンタルを何とかしなくちゃ」
なんて感じで、自分を責めてしまうわけで。
でもね、違うんですよ。
後から見れば、「ほらみたことか」ってなりますが、その経過途中からは、誰だって未来は見えないんです。
ほら、この時点のチャートを見て、誰が下降チャネルをこれから形成するって言えますか?どう見たって、平行レンジでのもみ合いでしかありません。
恐らく、早い人でこの段階まで来ないとラインは引けません。
となれば、早い人でも先のポイントABCDEまでは、後付け解説の様なチャネルライン内でのレンジ取引は不可能なわけです。
ちなみに僕は、このタイミングで仕事から家に戻ってきてチャートを開いたんですが、その際に「ひょっとしたら・・・」と思って下降チャネルのラインを引いていました。
でも、それは確信とは程遠い「可能性の1つ」でしかありません。
この後、チャネルライン形成に確信が持てるのは、翌日のお昼にラインがGに到達して跳ね返されるのが確認出来てからになります。その前に、Fでラインに到達しますがDと同じレベルの高値ですから、その先の値動きが見えないリアルタイムの中では、まだチャネルライン形成とは確信しづらいわけです。
じゃあ、もう1回先ほどの後付け解釈チャート見ていきましょうか。
リアルタイムの中では、Gに到達して反転が確認できるまでチャネル形成は確信持てないわけですから、上手くいってGで初めて買いに入れます。
(それまで平行レンジと判断していれば、Eの辺りは下方ブレイクと判断して売りで入り損切りしていた可能性が高いですね)
で、後付け解釈通りにやれるならば、HIJまでうまくいきますが、Jで買ってもチャネル上限には到達せずに反落しますので損切り。その後も、損切りの連発。
勝率少なっ!!
リスクリワード比は良いはずなので利益は残るはずですけど、公衆の面前でドヤ顔して解説できる程のトレードは実現できないことが良く分かります。
しかも、ラインってその人の主観で引いていくことになるので、人によって引き方が変わってきます。特に斜めラインは、その傾向が強いので、色んな線が引けちゃいます。こんな感じで。
太線で引いた外側のラインが先の図で引いたラインと同じで、教科書的な引き方になると思います。
で、ちなみにですが、そのチャネルラインの内側に上下1つずつ太い赤線でラインが引いてあると思います。これは、教科書とかには書いてないと思うんですが、僕が良く引くラインで、この2つのラインをゾーンとしてトレードするのが現実的だと、自分勝手に思ってトレードしてます。
ちなみにもう1個。
このチャネルラインの主軸となるゾーンは薄緑色の部分になりますね。まぁ、見てその根拠が分かる方だけ分かってもらえれば結構なんですが・・・
今日は休日で、ちょっとノリノリなので、もう少し踏み込んだ解説でもしようかな・・・
と思ってしまいましたが、ちょっと別のことをやりたいんで、その後に続きのブログを書こうかと。先の後付け解釈よりは、ずっとリアルタイムのトレードで使える解説になると思いますので、こうご期待。
→ 続きは、こちら。チャネルの内部構造について解説してます。
先生のブログ読み始めて2週間になりますが牛乳にレモン汁を注いだように頭の曇りが晴れつつあります。もっと応用して実践してゆこうと思います。