ライン引きの手引き(1)

これ、今さっき保存したポンド円の5分足チャート。例のごとく、右側の一部の値動きを隠してます。

この時点でチャートを見てトレードを組み立てようと考えるとします。

その際、この時点の価格の直近には、多分以下の様な感じでラインを引きたくなると思うんですよね。

で、この青と赤のライン内でレンジの動きをするか、ブレイクしたらそちらについていこうというシナリオを建てると思うんですよ。以下の図の様な感じで。

でもねぇ・・・

こういった考え方というか手順でトレードを組み立てると、トレードは全く上手くいかないんですよ。

そもそも、その引いた2本のラインって、正しく引けてるんですかね?間違ったラインを引いていたら、建てたシナリオも全く機能しませんよねぇ。

ちょっと確認してみましょうか。以下は、1時間足で見た場合。

機能するか怪しくなってきました。つか、既に結果を見せちゃってるんで、機能してないのがお分かりかと。じゃあ、4時間足はどうでしょう?

もうね、お分かりかと思いますが、引かなくて良いラインです。

既にライントレードの基礎シリーズでお話してますが、ラインは大きな時間軸から引いていかないと無意味なラインを引きがちになります。

ということで、正しくラインを引き直しましょうか。

比較しやすい様に、まずは先ほどの間違って引いたラインのチャートをもう1度見ておきましょうか。それが下の図。

続いて、正しい手順でラインを引いたチャートを5分足で見てみましょう。それが下の図。

青いラインは先ほどよりもやや下にズレて、最初に揉み合った高値部分は、オーバーシュートとして片づけられます。

赤いラインは先ほどと比べると大きく下にズレることになります。

で、この青と赤の水平線の中値が黒いライン。中値ラインも重要だというのは、基礎シリーズで説明済みですよね。この黒いラインは5分足だけを見て引いた先ほどの赤いラインよりも下に位置しますが、こちらの方が正しく機能するはずです。

じゃあ、結果を見てみましょうか。

5分足だけを見て引いた間違ったラインのチャートだとでは・・・

機能してませんね。赤いラインは完全に無視されています。

では、正しい手順で引いたチャートを見てみると・・・

正しいアプローチで引いたラインは、きちんと機能するんですね。

 

でも、結果の出たチャートを見ると価格は揉み合いながらやや下降しているのが分かると思います。チャネルが形成されていますよね。上昇フラッグの可能性も出てきました。

じゃあ、一番最初に見たチャート、

この時点で、斜め線を引けていたら尚更良かったんじゃね?と思うんじゃないかと。

しかし、この段階で斜め線を引こうとすると、初学者は特に混乱すると思うんですよね。間違った線をガンガン引きがちになるんじゃないかと。

ということで、次回は上のチャート図の時点、もしくはもっと早い段階で斜め線を引く考え方をお話しますね。

それじゃあ、また。

 

トレンドの正体

※この記事は、2019年1月31日に特定の人向けに公開したものを再編集して公開しています。

まずは、お題を

突然ですが、ちょっと下のチャート図を見て下さい。

これ、ポンド円の1時間足チャートに20期間移動平均線を表示したものです。以前、「エントリーのタイミングをどう考えるか?トレンドフォロー編」の記事の中で解説に用いた画像なんですが・・・覚えてますかね?

赤丸Bで上昇トレンドが確定したとすると、それ以降に20SMAを表示して

  • 価格が20SMAを上抜いたところで買う
  • 価格が20SMAで反発したところで買う
  • 価格が20SMAを完全に下抜いたら決済

という極めてシンプルなルールでトレードを試みました。

すると、裁量なので個人差が生まれますが、大体6、7回トレードして5回ほどの勝利になります。この程度の回数じゃ正確な勝率は導き出せませんが、この場面だけで言うと勝率70%以上ということになりますね。

トレードは、特に凝ったことをやらなくとも、シンプルに対応することで、十分通用するということを説明したんですが・・・

ただ、この移動平均線を使ったトレード、実は王道の20SMAを使っているから機能しているというわけではありません。

実は、期間をいくつに設定しても勝てるんですよ。

なぜでしょう?

 

シンキング・タ~イム!!

 

・・・

 

・・・

 

・・・

 

さて、分かりましたか?

まぁ、正解するかしないかよりも、考えることの方が重要です。

考えましたか?

では、今回の記事はこのチャート図を題材にして、トレードに対する本質的な部分に少し迫ってみようかと思います。

皆さん、自分なりの考えを持ちながら、読み進めていってください。

まずは相場環境を確認

どの様な期間の移動平均線を用いても機能するかどうかを確認する前に、まずはこのチャート図の相場環境を確認しておきましょう。

先ほどのポンド円1時間足の素のチャートが、下図になります。

ぱっと見て、上昇トレンドです。

では、まずはこのチャートに「トレンドは上ですよ」ということを意識するために、トレンドラインを引いてみましょうか。

すると、こんな感じになります。(チャート画像を保存した日が異なるので、下図は上図よりもやや時間が経過しています)

Aを起点にトレンドラインが引けます。既に出来上がったチャートのなので上手く引けてますが、リアルタイムでこのラインが引ける様になるのは、早い人でC、確実なところで言えばDの部分だと思います。

緑色で囲った部分がトレンドラインから突き抜けていますが、ご存知の通りBOZ流のライン引きでは、これをオーバーシュートとして片づけ、これを横切ってもOKということになっています。

これにより、遅くともDのポイントで、トレンドラインが引けることになり、上昇トレンドの根拠が1つ完成です。

さらにこの上昇トレンドを根拠づけるのが、先ほどの緑色で囲ったオーバーシュートの部分です。

オーバーシュートとは「行き過ぎ」のことです。相場というものは常に過熱を帯びると行き過ぎるもので、行き過ぎた後は、一気に戻ってしまいます。

このオーバーシュート、1時間足では数本のロウソク足で形成されてますが、4時間足では2本の包み足であり、陰線を付けた後に長い下ひげを伴った大陽線で形成されています。これ、上昇示唆の形ですね。

さらに、この2本を1本にまとめるとプライスアクションで言うところのピンバーになります。しかも長ヒゲだけでなく陽線も大きめです。完全な上昇示唆ですよね。

しかし、なぜこの大きなオーバーシュートが上に向かう根拠となるかというと・・・

下に大きく下げた時に売りを建てた人たちが多数いるはずですが、その中には、一気にせり上がった時に捕まったまま逃げきれずに、まだ売りポジションを持ったままの人たちが数多くいるからです。

つまり、含み損を持った損切り予備軍がたくさんいるってこと。売り方の損切りは、買い決済です。しかも投げ売りならぬ投げ買いですから、上昇力が強い。(今回は下につけたオーバーシュートですが、もちろん上につけたオーバーシュートの場合はこの反対となります)

ですから、オーバーシュートは大きければ大きいほど上昇示唆(反対の場合は下降示唆)になるわけですね。

さて、次に最も大切なダウ理論。ダウ理論を活用するために、高値安値に注目する必要があるんですが、下の図をご覧ください。

一見すると、高値安値が規則正しく切り上げているわけではなく、ゴチャゴチャしていて、何が何だかわかりません。

こういった場合、スイングラインを引く一定のスキルがないと難しく、おまけにそのスイングラインの引き方すら、いくつかの見解があり、人によって引き方が違ってきます。

じゃあ、どうしたらいいの?

ということですが、よくわからない場合は、俯瞰して見ます。ロウソク足の表示を小さくして全体をより広く見る様にするか、1つ上の時間軸を見ると良いです。

俯瞰することで、余計な波は見えなくなり、大切なポイントとなる波と高値安値が浮き彫りになりやすくなるんですよ。下は、時間軸を上げた4時間足チャートです。

赤丸が低値で青丸が高値ですが、随分とスッキリとしましたね。オーバーシュート部分を無視すれば、高値安値も順調に切り上げているのが分かると思います。

ちなみに、この4時間足のチャートからの判断は、1時間足よりもっとシンプルですね。

下降トレンドを上抜けた後、再度下落を2回ほど試しますが(2回目はオーバーシュートの部分)、いずれも下降トレンドラインがサポートとなって跳ね返されています。つまり、オーバーシュートが終わったことで、やはり上昇する根拠が強くなっています。

では、1時間足に戻ってみましょう。

4時間足で確認した高値安値を1時間足で強調し、それ以外の高値安値は薄くしてみました。こうしてみるとトレンドラインが確定したDのポイントよりも、早く上昇トレンドが発生していることが掴めると思います。

が、

最も大切なのは、誰の目から見てもわかるトレンドです。高いスキルを持った一部の人にしか分からないものは、相場参加者の多くが分からないわけですから。

なので、スイングラインのスキルがあまりない人でも、

「これ、上昇トレンドじゃね?」

と分かるようなポイントを考えることも大切です。

となると、やはりトレンドラインが遅くとも引けた赤丸Dのポイントまで待って上昇トレンド確定と思った方が、確実ですね。

 

ということで、Dの時点までくると上昇トレンドを裏付ける

  • ダウ理論
  • トレンドライン
  • オーバーシュート

という3つの強力な根拠が揃ったことになります。

移動平均線の期間を変更してみよう

では次に、移動平均線の期間をどの様に設定しても、本当に勝てるのかを考えましょう。

いくつかの期間に変更して、見ていきます。エントリーのルールは、先ほどの20SMAの時と同じで、移動平均線を上抜くか反発で買うこととします。エグジット(利確・損切り)も先ほどと同じで、移動平均線の下抜け確定としましょうか。

では、まずは10MAから行きますか。

やはり裁量で判断するので、エントリーの回数やポイントは人によってやや異なるとは思いますが、基本的に青色とオレンジ色の丸の部分でエントリーすることになると思います。

青色はほとんどの人が利確できるエントリーポイントで、オレンジ色がほとんどの人が損切りか良くてチャラで終わったエントリーポイントです。

ちなみに、チャート画像に印をつける際、最後の方でエントリーできるポイント2箇所つけ忘れてました。1つは青丸になり、もう1つはオレンジ色になります。見れば分かりますよね。

で、緑色の丸なんですが・・・

緑丸Aは、通常ここを反発したと捉えますが、その前に3回ほど上昇を止められています。正直手を出しづらいところなので、このラインを越えられないなら見送る場面です。

また、緑丸Bのところは、人によって判断が違うでしょうが、僕なら反発したと捉えない箇所です。

以上の様に見ていくと、10MAを用いてエントリーした場合、計13トレード、10勝3敗です。おまけにその3敗もほぼ建値かその付近で損切りできますから、利大損小という理想的な展開です。

では次に、40MAを見ていきましょう。

同様に、青色の丸は利確できるエントリーポイントで、オレンジ色の丸は損切りで終わるエントリーポイントです。 

計8トレード、6勝2敗です。

当然ですが、期間を増やすほどトレードチャンスは少なくなります。

また、「移動平均線の角度は無視で」というルールにしてましたが、移動平均線の期間をこの程度の期間まで大きくしていくと、角度も重要になってきているのが分かると思います。

MAが下向きの時は反発・上抜けをスルーというルールにすると、オレンジ色の丸は2つともスルー。また、最初のオレンジ色の丸の次の青丸もスルーになります。

そうすると、結果は5戦5勝0敗になりますね。

次に75MA。

エントリーポイントはザックリと青丸で囲っただけにしてます。もう、解説しなくともお分かりですね。

この様に見ていくと分かる通り、移動平均線の期間を変更してみても、結果的に勝ててしまうわけです。

他の期間のMAに関しては、ご自分で試してみてください。結果的にどの期間に設定しても勝てることになりますから。言わずもがな、期間が大きすぎるとトレードがほとんど出来ない状態になりますが・・・

また、単純移動平均線(SMA)だけでなく、指数(平滑)移動平均線(EMA)や加重移動平均線(WMA)などを用いて調べてみるのも面白いかもしれません。いずれにしても、結果勝てることになりますから。

なお、上記は解説のため、ほんの数回の結果で勝率を出していますが、実際に検証する際は、ほんの数回・数十回程度のトレード回数では統計上意味をなさないです。予め、考慮しておいてください。

なぜ、期間を変更しても機能するのか?

さて、上図の様な上昇トレンドで移動平均線を用いた場合、どの様な期間に設定したとしても、結果的に勝つことが出来るということが分かったと思います。

では、期間をどの様に設定しても結果的に勝てるのはなぜでしょう?

 

以前、この質問をTwitterで僕が出した際、この質問に対する皆さんの考えはほとんど、

移動平均線の性質に意識が行き過ぎ

ていました。

このブログ記事を読んで考えた人も、恐らくほとんどの人が、移動平均線が機能する理由を、移動平均線の性質に理由を求めたんじゃないでしょうか?

皆さん、移動平均線の方に意識が行き過ぎなんですね。

もっと言いましょうか。

 

皆さんは、トリガーばかりに意識が行き過ぎです。

 

そして、トレードの本質はそこにはありません。

 

僕は「これがBOZ流!ライントレードの基礎(6)」の中で、

手法には、セットアップとトリガーが存在する

とお話しています。(読んでない人は、読んで!必ず)

トリガーとは、実際にエントリーする時の具体的な合図のことでしたよね。エントリーのタイミングを計る時のものです。ほとんどの人は、このトリガーが手法そのものであると誤解しています。

しかしこのトリガーは、前提条件があって初めて有効です。そして、その前提条件が「セットアップ」というわけです。

実はトリガーというのは別の言い方をすると、「買いなら買い」「売りなら売り」と予め決まっている前提条件の中で、損失や利益、精度を最も効率的に行えるポイントを知らせる合図のことです。

つまり、

買う(売る)という方針が既に前提条件によって整っている中で、効率的な売買が行えるポイントを見つけるために用いるのがトリガー。

ということです。

じゃあ、その前提条件が整うって?

はい、それが「セットアップ」でしたね。

セットアップとは、トリガーを発動させるための前提条件のことです。このセットアップが完了することなく、トリガーを発動させることはありません。というより、セットアップを無視してトリガーを発動させることは、無意味以上に危険です。

じゃあ、今回の解説、トリガーは何でしたっけ?

移動平均線ですね。

じゃあ、セットアップは?

 

・・・

 

・・・(考えてください)

 

・・・

 

・・・

 

・・・(考えましたか?)

 

・・・

 

・・・

 

ヒント:トリガーは価格が移動平均線を上回るか反発するかでしたね。では移動平均線を表示させる前に何を解説してましたっけ?

 

・・・

 

・・・(もうお分かりですよね?)

 

・・・

そうです。

セットアップが完了したのは、「上昇トレンドが確定した」というところです。もう一度、その時のチャート画面を見てください。

上昇トレンドが確定したのは、Dの場面でしたね。

その根拠は、

  • ダウ理論上、上昇トレンドは継続している
  • 遅くともDの場面でトレンドラインが引ける
  • 大きなオーバーシュートがある

かなり強い根拠です。もう上がるしかない。

もっと言ってしまえば、下降トレンドやレンジが発生する根拠が見当たらない。

つまり、「上昇トレンド確定」というセットアップが完了した以上、「買う」という行為は確定。あとは、「いかに効率的に買うか?」という視点で、トリガーを待つだけなんですよ。

僕は、

「セットアップが重要。極端に言えばトリガーなんてどうでも良い」

という話をしているはずです。

もし「買う」ためのセットアップが完了していたら、その前提条件がなくなるまでは、基本的に何をやっても(トレンドの最高値未満で買えば)ほぼ勝てるんですよ。

どの様に移動平均線を用いたとしても。また、それ以外のインジケーターを用いたとしてもです。

結果的に、何をやっても勝てるんですよ。

証明してみせましょうか?

トレンドの正体

まずは、今まで解説に用いてたチャートの状況をもっと明確にするために、上図の期間よりも先に進んだチャート画像を新たに取得しました。それが、下の図です。

トレードはダウ理論を核にして行います。ダウ理論における上昇トレンドは、

  • 高値を切り上げ続けている
  • 低値を切り上げ続けている

ことで成立するんでしたよね。

ですから、高値が切り下がり低値が切り下がった時点で、上昇トレンドは終了と判定することになります。

で、ここで上昇トレンドが確定した時点から、トレンドが終了した時点までを確定させて、上昇トレンドの範囲を明確化します。それが、以下の図です。

赤い丸が先ほどまで解説してきて上昇トレンドが確定してセットアップが完了した場面。

その後、高値が切り下がり(緑丸)低値も切り下がってトレンドラインを割り込みました(青丸)。ここで、トレンドの終了が確認できるわけです。

では、ここに20MAを表示してみましょうか。

見やすい様に色を変えてみました。緑色の枠で囲った部分が上昇トレンドが確定している範囲で、青丸で囲った部分が20SMAを下回った部分です。

では、ルールを決めましょうか。

損切りは、ダウ理論を利用して、直近低値を下回ったところ。利確はとりあえずエントリー値よりも価格が上昇していることが分れば良いので、直近高値を更新したらどのタイミングでも良しとしますか。

では、先の解説とは逆に、20MAを下回ったところで、買ってみてください。

 

「え!?下回ったところで買うの?」

 

はいそうです。

 

「でも、ちょっとそれは・・・」

 

つべこべ言わずにやってみてください。

 

で、負けましたか?

負けるどころか、勝ちましたよね?

20MAを下回ったところで買っても、価格は直近下値を下回る前にエントリーポイントを越えて上昇しています。

これを見れば分かる通り、移動平均線を上抜けようが下抜けようが、結局はどこで買っても基本的には勝つんですよ。

いや、移動平均線だけでなく、どの様なインジケーターを用いたとしても、ほぼ勝つことが出来ます。

例えばこれ、MACD。

俗にエントリーポイントと言われているところを、ザックリと印つけてみました。

先ほどと同じルールでやってみると、最後の青丸部分は逃げきれない人多そうですが、それ以外はほぼ利確できます。

じゃあ、次はストキャスティクス。パラメータは弄るの面倒なので、見やすい様にラインの色を変える以外はデフォルトのままでやってみます。

ストキャスティクスは、パラメーターを「5-3-3」でやってしまうとダマシを連発するので有名ですが、それでも圧勝です。

最後の4回は損切りする可能性が高いですが、それでも微益決済か建値決済で逃げる余地はありますよね。

まぁ、他のインジケーターでも試しにやってみて下さい。

何をやっても勝てますから。

 

もちろん、目をつぶっていても、です。

 

目をつぶって、チャートを見ずに自分勝手なタイミングで適当に買って見ても、勝てちゃいますよ。

流石にそれは言い過ぎだと思います?

じゃあ、やってみますか。

緑色の四角で囲った部分が、上昇トレンドの部分でした。

では、この四角い部分を、目をつぶって適当に指差ししてみて、そこをエントリーポイントとしてみて下さい。

そして、直近低値を下回る(損切りする)前に、そのポイントよりも価格は上昇しているかどうかを確認してみましょう。

何度も何度も試してみてください。

 

で、負けましたか?

恐ろしいほどの高確率で勝ちましたよね?

 

勝てる可能性が低くなるのは、下図の通りトレンド終了の直前のM字の波動(青と赤で示したライン)だけのはずです。

しかも、このM波動で買ったとしても、損切りせずに建値決済や微益決済で済むことが多いです。

高確率で損切りとなるのは赤丸で囲った最高値圏か、最後の調整波(赤色のライン)だけです。

それ以外は、どこでエントリーしようとも、直近低値を下回る前に確実にエントリーポイントよりも上昇して利益になるんですよ。

 

で、これがトレンドの正体です。これがトレンドの本質なんです。

 

上昇トレンドというのは、高値低値を切り上げていく構造であるため、トレンド終焉の場面、つまり最高値圏かトレンド最後の調整波で買わない限りは、エントリーポイントよりも確実に価格は上昇するんです。

端的に言ってしまえば、

上昇トレンド中は、インジケーターに関係なく、買って買って利確しまくって、最後の1回だけ利確できずに直近低値を下回って損切りになる。損切りになったらトレンド終了だと思って買いを控えれば良い。

ただ、それだけなんですよ。

「セットアップが重要、トリガーは極端に言えばどうでもいい。」

という意味が、分かったでしょうか?

「上昇トレンド確定」というセットアップが完了していたら、後はどこで買っても高確率で勝てる。目をつぶって買っても勝てるんです。

トレンドとは構造上、そういった本質を持っているんですよ。

ところが、

多くのトレーダーの視点はトリガー、つまりインジケーターの動きばかりに集中し、見当外れのトレードをしてしまっているんですね。本質から全く離れたところで、トレードしているんです。

 

セットアップが重要。トリガーはセットアップが大前提でしか意味をなさず、単に売買を効率化するためのもの

 

このことを、繰り返し繰り返し、頭の中に叩きこんでください。

ということで、僕が出した質問の答えは、

「移動平均線の期間どころか、それを上抜けしようが下抜けしようが、上昇トレンドというセットアップが完了していれば、どこで買っても、高確率で勝てるから」

ということになります。

億トレーダーが生まれる日

億を稼いだトレーダーというと、何やら有能な技法や能力を持っている様に思いがちですが、実はそうでもなかったりします。

先に示したポンド円のチャート図はわずか数十日間のトレンドですが、株式市場なんかはトレンドが数年に渡ることは当たり前の様にあります。

「永遠のレンジ相場」と呼ばれるFX市場でさえ、数か月に及ぶトレンドもありますし、トレンドが長続きしない代わりにレバレッジを株式よりも大きくかけることができます。

そんな金融市場で、上昇トレンドが発生している最中にトレードを始め、直近低値を下回らない限り損切りせずに買って買って買いまくり、利確しまくっていたら、倍々ゲームで資産がみるみる増えてしまうんですよ。

下手に勉強して知識を蓄えてしまい、トレードして上手くいかない恐怖を知ってしまう前の「無知」な状態が、むしろ億トレーダーを生む重要な要素になっていたりします。

だから、億を稼いだトレーダーは次から次へと消えていくんですよ。

自分は巧みな手法と巧みな判断力を用いてトレードして稼いでいるつもりでいても、実は単に「上昇相場」という環境の中で泳がされていただけ。まるで、お釈迦様の掌で暴れてただけの孫悟空かのように。

そして、そんな上昇相場が終わってしまえば、今までのその手法とやらは通用せずに、億を稼いだ期間よりも遥かに早い勢いで資産を溶かしていくわけです。

トリガーの意味

じゃあ、トレンド中はどこで買っても勝てるなら、適当に買ったらいいじゃん!

ということに、最終的にはなりますよね。

ただ、それではあまりにも効率が悪すぎる。含み損を長く持ちすぎたり、リスク・リワード比が悪すぎたり。

また、トレンドが発生したと思っていても、直ぐに終わってしまうかもしれません。もっと大きな時間枠で見たら、そのトレンドは単なる調整波でしかないことも当たり前のようにありますから。

だから、僕らトレーダーはトレンドが発生しているからといっても、単にどこでも買って良いという言葉で済ますわけにはいかないんですよ。

  • 含み損が発生しても、出来るだけ小さく短いポイントで
  • リスク・リワード比が良いポイントで
  • 実際の損切りも、打撃が大きくなり過ぎないポイントで

そんな風に効率化を図るために、出来るだけ効率的なトリガーを設定する必要があるんですよ。

逆に行ってしまえば、トリガーとは、トレードの効率化を図る単にそれだけのことなんです。

自分の性格や資金状況、ライフスタイルなどにあったトリガーを探す。

そんな意味合いで、インジケーターを用い出すと、今まで見えていたチャートの景色は、少し違って見えてくるようになるのかもしれませんね。

 

さて、今回はこれにてお終い。皆さんの目から鱗が落ちてくれたら、幸いです。

それじゃあ、また。

 

BOZ流!ライントレードの基礎(リターンズ)

一応、ライントレードの基礎シリーズは一旦お休み、ということだったんですが・・・

ライントレードにおいて基本的な、というか物凄く大切なことを書いてなかったことを思い出したんですね。

で、それを話しておかなくちゃこのシリーズは一旦休止できないなと思い、やや慌てる感じで戻ってまいりました。

ということで、早速ですが、始まり始まり~!

ラインを引く意味

誰が見ているのか?

そもそも、なぜトレードするのにラインを引くのか?

という問いかけに対し、既にこの基礎シリーズではお話しています。

ラインを引く理由、それは市場参加者の大多数が注目しているポイント(値)を見つけ出すこと。

市場参加者の多くは、どのポイントに注目しているだろう?つまり、どの価格帯で、大量の資金が流れ込み、敗者は撤退し、勝者は利確をするんだろう?

ということをラインを引くことで視覚化していこうというのが、ライン・トレードの姿勢です。

ですから、ごく少数の特異な人しか引かないラインを見つけることや、自分しか知らない秘密のポイントを見つけることが、ライン引きの目的じゃないんですね。

まぁ、言われてみれば当たり前のことでしょうが、実際にチャートに向かってラインを引いていくと、気が付けば相場の謎を解明しようと躍起になってしまっていたりします。

そして、本題から外れていく・・・

そうなりがちなので、ラインを引く際は、きちんと目的意識をもってそこから外れない様に心がける必要があります。

規則性を見つけよう

BOZ流ライントレードにおける環境認識とは、相場の秩序・規則性を見出すというものでした。

規則性がなく、不規則にただ漂う価格であれば、僕らはトレードできません。いや、することはできますが、その方向性に優位性を見出すことは出来ません。

規則性があるからこそ、僕らはトレードが可能となるわけです。

ですから、取引のバックボーン(環境認識)だけではなく、実際の取引のタイミングを模索するためのライン引き(現状認識)においても、規則性を見出す必要があります。

今回は、ここに少し焦点を当てながら、お話を展開させていきたいと思いますが、チャートと向き合う際には必ず、

  • 多数が注目する値を見出すこと
  • 規則性を見出すこと

の2点を念頭に置きながら、ラインを引くようにしてください。

いつの間にか複雑に

クシにおける補足

前回の「ライントレードの基礎7β」でお話したクシですが、図で確認すると、こんなでしたね。

クシとは、トレンドに対して反対側に進む調整波をサポート(レジスタンス)する斜めラインのことでした。

で、上図における下降トレンド中には、同じ角度のクシが引け、ここを割り込むとトレンドが再開しています。

で、前回お話し忘れていたことが2点。

まず、BOZ流において水平線やトレンドラインは1時間足以上で引くというのがルールでしたが、

クシはパターンラインと同じで分足に引いてもOKです。

なぜなら、クシは実際のトレードでタイミングをとるのに活用するためのラインだからです。

BOZ流は、1時間足が基本となる時間軸で、タイミングをとる際に分足を活用するんでしたよね。

なので、クシはパターンラインと同じで分足に引いてもOKです。

そしてもう1点。

それは、トレンド中に発生する複数のクシは、いつも同じ角度に引けるわけではないということです。

(まぁ、同じ角度で引こうと思えば引けなくもないですが、そうすると本来の調整波としての意味合いから外れてしまいますので、それを僕は「クシ」としての位置づけにはしていません)

そして、クシが常に平行に引けなければいけない必要性も、ありません。

クシとは調整波を支える斜めラインなわけです。なので、単にクシをブレイクすれば、トレンドは再開するんですよ(もちろん、確率論として)。

しかし、このクシが「同じ角度に引ける」という規則性が現在の相場にあるのであれば、さらに使い勝手が良くなります。

前回は、その実例をお話したと思います。まだ見ぬ未来の価格の動向を予め想定し、クシを引いて待ち構えることによって、計画性のあるトレードが可能になるわけです。(詳しくは、前回の記事をご覧ください)

規則性を見出すというのは、トレードを行なううえで、とっても便利なんですね。

いつの間にか複雑に

で、クシの様なラインは割と扱いやすくて結構役に立つんで、この手のライン引きに慣れていくと、実際のトレードをで多用していくことになります。

しかし、それを繰り返していくと、いつの間にかこんな感じになるかと。

相場を把握しようと夢中になればなるほど、どんどん狭い感覚でクシが並んでいき、チャートがゴチャゴチャとしてきます。

なぜ複雑になっていくかというと、理由は2つ。

  • 実際にこのクシがラインとして機能しているから
  • 目先のことに集中してしまうから

ということになるでしょうか。

上図は4時間チャートなので分かりづらいかもしれませんが、1時間足チャートなどに落として実際にトレードしていくと、この斜めラインは結構効いているんですね。

おまけに、この斜めラインは相場の規則性を体現しているので、等間隔に引けることが多い。

なのでラインを1本追加し、さらに1本追加し・・・と、目先の値動きを追いながらトレードしていると、いつの間にラインが狭い感覚でどんどん増えていくわけです。

もちろん、これでトレードを繰り返すことも可能です。しかし、判断の仕方や扱いは今まで比べて難しくなります。

つまり、それって上級者のやることです。

ライントレードの基礎を学んでいる真っ最中の人が、こういったことをやっていくと、むしろ相場がどんどん分からなくなっていきます。

相場の流れを捉えようとすればするほど、実はその局面を把握することが難しくなっていくんですね。

そして、

「どうやったら、今の流れが把握できるんだろう?」
「何処と何処をどう結んだら、機能するラインが引けるんだろうか?」
「こう引いたら、ラインが効いてるんじゃ?」

などと考えながら、色んなラインを引いてみたりします。

例えばこんな感じかな。

別にこういったことが悪いわけじゃありません。

色んなラインを引いていって、検証していく分には構わないんですよ。検証していって、自分なりのライントレードのスタイルを築いていくのは、大切なことです。

でも、今この場合は、そうではないですよね?

様々なラインを検証する目的ではなく、チャートを分析してトレードするつもりでラインを引いてたんですよね。

であれば、本末転倒。

機能するかどうか知りもしないラインを引いて、一体何をしようというのでしょうか?

冒頭でお話したラインを引く目的を、完全に見失ってますよね。

じゃあ、どうすれば良いかというと・・・

基本に立ち返ろう

複雑化してしまう自分に気づこう

チャート分析を続けていくと、気が付けば上記の様にラインが増え、また別のラインも足し、それでも分からないので様々なインジケーターを表示して、現在の相場を解明しようとしてしまいがちです。

つまり、頑張って分析すればするほど、僕らはモノゴトを複雑に捉えようとしてしまうんですね。

しかし、複雑な状況を上手く渡り歩けるのは、上級者だけ。

いや、上級者だって複雑な道のりは安易には歩けないはずです。

そうであれば、初心者や初級者にとっては尚更のことです。複雑難解な世界に入り込んでしまえば、負けを繰り返し続け、結局は退場してしまうことになります。

なので、大切なのは自分自身を客観視すること。一生懸命になり過ぎて、チャートを複雑化してしまっている自分自身に気づき、本来のラインを引く目的から目をそらさないことが大切なんですね。

本来の意味を思い出そう

ちょっと先ほどのクシを並べ過ぎたチャート画像を、もう1度見てもらいましょうか。

クシがゴチャゴチャっと並んだ局面ありますよね。これの一番上のクシをブレイクした後の価格は、一番下の水平線にタッチした後に反転上昇し、ジリ上がりしています。

つまり、これってレンジ相場です。

ここで下降トレンドは終了するのかもしれませんし、調整局面のレンジ相場を終えると再び下落するかもしれません。もちろん、未来のことは誰にも分かりません。

しかし、少なくとも言えることは、ここで下降トレンドは一旦休止ということです。

じゃあ、クシの役割は?

クシとは、トレンドの調整波を捉えるためのものでした。レンジ相場の上昇波に引くラインではありません。

ですから、この斜めラインが機能していようがしてなかろうが、「クシ」としての役割は一旦終了ということになります。

つまり、この局面はクシを引き続ける必要がない場面、ということですね。


もちろん、調整波ではない上昇波や下降波にラインを引いてはダメということではありません。

クシというのは、あくまでトレンド中の調整波に引いて活用するもので、そうでない局面での上昇波や下降波に引く斜めラインとは意味合いや活用の仕方が異なります。

そういった意味で、「クシを引き続ける必要がない場面」と言っています。

上述した様に、この斜めラインは機能していますので、これでトレードできる人は、引いてトレードしても構いません。


まずはリセット

では、チャートが複雑化してしまった時は、どうするか?

答えは簡単です。

まずは、チャートをその局面だけでよいので、出来るだけ真っ新な状態にします。つまり、ゴチャゴチャ引いてしまったラインを、思い切って消しちゃうんですね。

リセットするつもりで、ね。

とりあえず、環境認識に使うライン以外は外してしまいましょうか。すると、こんな感じになります。

等間隔に引いた水平線と日足チャネルのラインだけ残しました。

では、今現在の局面をもう1度見直していくことにしましょう。

振り出しから見直そう

さて、リセットしたところで、もう1度気分を新たに相場を見直します。見る場所はもちろん、下図の赤丸部分です。

これを見ると分かる通り、価格は日足チャネルの下限ラインに到達すると、そこで揉み合っている状態です。

大きな時間軸の重要なラインでは、売り方と買い方の攻防が交錯して激しく揉み合うので、値動きが不安定になりやすくなります。

では、もう少し値動きを細かく見ていきましょうか。

分かりやすい様に線を色分けしてみました。

まず赤丸Aの部分を見てください。赤色ラインと青色ラインが交錯する部分で、揉み合った後に反転上昇。上の黒ラインまで到達すると再度下落します。

その後、赤色ラインと青色ラインの間で揉み合った後に下に抜け、緑色ラインまで到達(緑丸B)すると反転上昇。

しかしその後は、赤色ラインと青色ラインを交差する様にして何度も揉み合っています。

この時、赤色ラインと青色ラインは確かに「効いている」と言えます。

しかし、赤丸や青丸を見れば分かる通り、価格は各ラインをまたぐ形で揉み合っているわけですから、実際のトレードにおいては、このラインをそのまま活用しようとすると、

「一体どこで抜けた反転したを判断したらよいんだろう?」

となってしまいます。判断しづらいんですね。

なので、ラインをまたいで揉み合っていることが常態化している場合は、トレードしやすい様に、その揉み合っている高値や安値にラインを引いて、トレードしやすくします。

するとこんな感じですかね。見やすくなる様に、先ほど色分けしたラインの色はもとに戻してあります。

上図の通り、複雑に動いていた様に見えたこの局面は、実は単に平行する水平線の間を上下している値動きに過ぎないことが分かると思います。レクタングル・フォーメーションですね。

でも、ちょっと待ってください。よく見れば、このレクタングル・フォーメーションを形成しているかに思える局面は、高値安値を切り上げている様に見えます。

であれば、水平線ではなく斜めラインが引けそうですよね。チャネルを想定してラインが引けそう。

しかし、その場合に考えられるチャネル・ラインは2つです。

1つは、Bを基点に引いた緑色の斜めラインです。チャネル展開することを想定して上にも1つラインを引いています。

もう1つは、元の鞘ですが、今まで引いていたクシと同じ角度の斜めラインです。

Bよりも1つ上の安値、さらにもう1つ上の安値を基点とすると、今までのクシと同じ角度でラインを引くことができますね。これを基準としてチャネル展開を想定することができます。

(赤色のラインが3本引いていますが、規則性を表すために敢えて引いています。一番上の垢ラインは、実際には特に引かなくてもOKです)

ラインという名の道具

どれが正しい?

さて、一旦リセットしてから改めてチャートを見直してみました。

しかし、見直してみると・・・

  • レクタングル・フォーメーション
  • チャネル

の2つの違った展開が考えられます。しかも、チャネルを想定しても、そこには2種類の違うチャネルが考えられます。

一体、どの見方が正しいのでしょうか?

さて、それでは恒例のシンキング・タ~イム!!

 

・・・

・・・

・・・

 

「BOZ流は水平線に優先順位を置くから、レクタングル・フォーメーションを想定すべきなんじゃ?」

まぁ、確かに水平線が基軸です。が、この局面では、その選択が正しいのでしょうか?

再び、シンキング・タ~イム!!

 

・・・

・・・

・・・

 

「今までの一連の規則性に沿った方が良いから、チャネルを想定した方が正解なんじゃ?」

おぉ!考えましたねぇ。でも、本当にその判断は正しいのでしょうか?

 

・・・

・・・

・・・

 

答え、言いますね。

その答えは・・・

 

 

どっちでも良い

 

 

です。もっと言えば、

 

好きにやったら、良いさ

 

ということになります。

すみません、ひっかけ問題みたいな質問して。でも冗談ではなく、ホントどっちでも良いんですよ。どちらを選択しても、正解です。

ラインはトレードするための道具

ラインは、相場の真実を暴き出すためのものでも、相場の真理を導き出すものでもありません。

う~ん・・・ちょっと言い過ぎかな。

僕自身、ラインを引いていて、その深遠さに驚くことも多々ありますし、ラインとは相場の真理や摂理の一端を導き出すための重要なツールである側面は確かにあると思います。

でも、端的に言ってしまえば、

ラインとは、ライン引きの職人がトレードをするために使う道具でしかない

というのが、僕の考えです。

「このケースの場合は、この道具を用いた方が良い」

という使い分けは確かに存在します。

ゴルファーがパターを使い分けたり、彫刻師が彫刻刀を使い分ける際には、その局面において向いている道具を選びます。

ただ、それがセオリーだからといって、自分が扱いきれない道具を使ってモノゴトを成し遂げようとするのも、本末転倒です。

彫刻師は、セオリー以前に、その部分を表現するのに自分が最も上手く扱える彫刻刀を選ぶのではないでしょうか。自分が上手く扱えない彫刻刀で掘ってみても、素晴らしい彫刻は出来上がりませんからね。

トレードもそれと同じです。

ラインは、チャート分析をしてトレードの判断に用いるための道具ですが、何を使うのが正しいのかは、自分がきちんと扱えるものを選択するのが最適解です。

ですから、斜め線であろうが水平線であろうが、パターンラインであろうがチャネルラインであろうが、自分がトレードをするにおいて扱いやすい方を選べば良いんです。

上手く扱えるものを選び、上手く扱えないのなら使わない方が良い。それは、道具を使ってモノゴトを成し遂げようとする職人であれば、当然の判断です。

さらに言ってしまえば、

チャート分析において、どの道具(ライン)を使うかというのは、

どの視点からチャートを分析するのか?
どういったアプローチでチャートを観察するのか?

ということでしかありません。

トレーダーは自分なりのアプローチで、相場を正しく解釈する方法を身に着け、それによってチャートから相場の動きを浮き彫りにしていけば良いんですよ。

それぞれのアプローチが正しい方法で行われているのであれば、どのアプローチを用いたとしても、正しく機能します。

「えぇっ!マジっすか!?」

マジっすよ。

ということで、今回のチャート判断において、レクタングル・フォーメーションを選ぶべきかチャネル・ラインを選ぶべきかは、たいした問題ではありません。

自分が扱いやすい方を選ぶべきなんです。

(もちろん、両方を上手く使いこなせるんであれば、それはそれで構いません。僕自身、今回のこの局面では両方を利用していますし)

それではこれから、レクタングル・フォーメーションとチャネル・ラインを用いた場合でのトレードを個別に解説してくことにしましょうか。

どちらも、使える道具ですよ。


予定としてはこの記事は、相場がお休みの週末にアップしたかったんですが、体調を崩してしまい、今日にずれ込んでしまいました。

本当は、相場が動き出す前に解説をして、「さて、ではこれからどう動くんですかねぇ?楽しみですね」として終わった方が面白いかなと思ってたんですが、週も明けてしまい、もう結果はある程度出てしまっています。

タイミングを逃してしまったので後付け解説感は否めないですが、まぁその辺はご愛嬌ということでご覧ください。


レクタングル・フォーメーションの場合

レクタングル・フォーメーションを利用してトレードする場合は、至ってシンプルです。

このボックスを上抜けしたら買い、下抜けしたら売り。このボックス内に収まって上下にレンジを形成し続けるのであれば、レジスタンスを反転したら売り、サポートで反転上昇するなら買い。

考え方と方針は、至ってシンプルですね。

そこに、未来予測はありません。価格が向かう方向についていくだけです。

では、結果を見ていきましょうか。

これ、4時間足チャートなんで、もう少し詳しく見るために1時間足チャートで見てみましょう。

ちょとトリガーまで解説するのは難儀なので、値動きだけで解説しますね。(手抜きとか言わない様に)

一昨日(7月1日)の月曜日朝は、窓開けのレンジブレイクという状態で始まりました。この後、一気に価格は上昇するわけですが、1時間足レベルの水平線(オレンジ色)に阻まれてAの地点で反転下落します。

Aではタイミングをとるのが難しいかもしれませんが、絶好の売り場と考えられます。

(ただ、この早朝の段階で、どの程度の人がトレードするかは分かりませんけどね。スプレッドは広いし、商い薄のため価格が不安定になる可能性も否めませんから。まぁ、見送るというよりチャート見ていない人の方が多いでしょうね。僕も見てませんし)

その後、窓埋めセオリー通りに窓を埋める形でボックス内に価格は戻ってきます。窓埋め狙いなら売りエントリーもありですが、この辺りは売り買いの攻防が繰り返される場面でもあるので、見送った方が安全です。

もし窓埋めセオリーで売りエントリーしているなら、窓を埋めたら速攻逃げた方が良い場面です。

で、ボックス内に戻ってきた価格はBでラインに阻まれて反転上昇し、ボックス上限のレジスタンス付近でCの様に揉み合います。

丸半日以上揉み合っているので、この場合は上下どちらかに抜けたら素直に付いていって良い場面です。

結果として下に抜けました。

ただ、ここは展開が早い場面で見逃したり入り遅れるかもしれません。その場合は、リスクをとれないのであれば、価格を後追いするのは控え、指をくわえて価格が戻るのを待っていた方が安全です。そのまま下落を続けるかもしれませんが、少なくとも損はしませんからね。

しかし、今回は指をくわえていて正解だったようです。再び価格は点線ラインまで戻ってきますが届かずにDで反転下落を始めます。ここ、絶好のエントリーポイントですね。

下落した価格はボックス下限に到達します。Eを見れば分かる通り、ここは日足チャネルの下限ラインと合致する場面ですね。

大事な節目ですから、タッチすると同時に一旦利確して、抜けるか抜けないかを様子見て再エントリーを判断した方が良い場面です。深夜ですから、利確して寝ちゃうのも最善策です。

ただ今回は大きく揉み合うことなく、割と早い段階で下抜けたようです。ロウソク足の陰線の長さを見れば分かる様に、下落の強さが伺えます。

尚、今回は先週末からのチャートをもとに週明けからの展開を解説していますが、この相場つきがレクタングルのレンジだと早めに気づいているのであれば、ブレイク前にレンジ内取引を繰り返すことが十分できたはずですね。

ということで、今回のこの局面、レクタングル・フォーメーションを利用してトレードするのは正解だったということが、分かったかと思います。

では次に、チャネルを利用したトレード解説に移るとしましょうか。

チャネル・ラインの場合

チャネル・ラインを引いてトレードする場合、2種類のラインが考えられるとお話しましたね。

この段階では、どちらが機能するかが分からないので、2つとも引いたままにしておきます。

この後の値動きの展開で、どちらのチャネルが機能しているか判断し、それに合わせてトレードすることになります。

ただ、ここで1つ補足を。

これはライントレードというよりは、波形分析になるんですが・・・

ちょっと、この場面を思い出してもらいたいんですよ。

前回、クシを説明した際に用いた画像ですが、

レンジ中の上昇波には一定の角度がありました(青色斜めライン)が、この上昇波の角度が緑色で囲った部分で緩やかになり(つまり上昇波が弱まった)、その直後にレンジをブレイクして下降トレンドが始まっています。

これ、「波形が崩れた・・・」って言うんでしたよね。

じゃあ、もう一度、先ほどのチャート図を見てみましょうか。

気づきました?気づきましたね。

赤い斜めラインは、今までの下降トレンドにおける調整波(上昇波)の規則性を表しています。

しかし、緑色の斜めラインは、今までの赤い斜めラインよりも角度が緩やかになっています。

ということは、もしこの後に、価格が赤色ではなく、緑色のチャネルに沿って動くとすれば、

上昇波の強さが弱まっている

と判断できるはずです。

つまり、緑色のチャネルに沿って動いていることが確定した後は、価格は下落傾向を強める可能性が濃厚になってくる、ということです。

おぉ!なんか、ワクワクしてきましたねぇ。本当はこれこそが、今週の相場が始まる前にお話したかったことだったんですが・・・

まぁ、グダグダ言っても仕方ないので、結果を見てみましょうか。

 

Aの部分を見てもらえば分かる通り、緑色のチャネルラインにタッチした後に反転下落しています。

緑のチャネルが機能したということになりますね。

しかも、先ほどお話した通り、緑チャネルが機能していることから上昇波が弱まっていることが判明し、この後には下落を強めてチャネルを下方ブレイクする結果となりました。

1時間足に切り替えて、少し細かく見ていきましょう。

チャネルラインの真ん中には、このラインと同じ角度のラインが引けて節目となるということは、以前お話しています。(詳しくは「価格の値動きを生み出すゾーンのお話」をご覧ください)

で、チャネルを用いてトレードするとは言え、このライントレードはBOZ流ですから、環境認識上に必要なラインは残してありますし、これを抜きにトレードはしません。

なので、それらを加味してチャートを覗いてみましょう。

まず、窓を開けて始まった相場は、そのまま上昇を続けますが、緑色のチャネル上限のラインに阻まれて(赤丸Aの部分)反転下落をします。

ここで、緑色のチャネルが上昇波動であると確定するわけです。絶好の売り場ですね。(ただ、この辺の解説は先ほどのレクタングル・フォーメーションの時にやったので省略します)

その後、価格はチャネルのミドルラインを一旦抜けますが点線の水平線に阻まれてBで揉み合った後に反転上昇。

しかし、今度はチャネルミドルラインにて、Cの様に揉み合いを続けます。この揉み合いは半日以上も続いているので、抜けた方向に素直についていけばOKです。

で、下方向に抜けますが、一旦点線ラインまで戻します。Dの場面では点線ラインに阻まれ、反転下落しますので、ここはやはり絶好の売り場となります。

おまけに赤いチャネル・ラインを想定していた人からしても、このDの場面は、ラインを下方ブレイクした後に戻ってきたものの赤いチャネル・ライン内に戻りきれなかったと判断する場面です。

こりゃあ、絶好の売り場として逃す手はありません。

しかも、緑チャネルが機能したことで上昇波動が弱まっているといことが確定しているわけですから、相対的にこの後の下落の勢いは強まっていきます。下落の強さは、見ての通りです。

価格は、あっけなくチャネル下限ラインを抜けます。

そして、日足チャネル下限まで到達。ここで一旦決済して、様子見した方が良さそうです。その後、Eの部分では日足チャネル内に価格は戻しきれずに、再度下落を始めていきました。

・・・と、チャネルを利用したトレードの解説は、駆け足ですが以上となります。

正しいアプローチ

もうご覧の方は、気づいていると思いますが・・・

レクタングル・フォーメーションで解説したポイントA~Eと、チャネル・ラインで解説したポイントA~Eは、全く一緒です。

重ねてみましょうか。

結局のところ、レクタングル・フォーメーションでトレードしようが、チャネル・ラインでトレードしようが、見ているポイントはほとんど一緒になります。

ここからも分かる様に、

どの道具を使ってトレードするのが正解なのかではなく、その道具の使い方が正しければ、どの道具を使っても正しいトレードは出来る

ということなんですよ。

どのラインが優秀だとか、どの種類のラインを使うのが正しいのかではなく、正しくラインを用いて正しいアプローチでトレードを行なうことが、大切なんですね。

そして、これこそがBOZ流ライントレードの本懐となります。

両方用いた方がより信頼性あるトレード

ちなみにですが、例のごとく、この局面における僕のトレードをご紹介します。

実際の僕のチャートでは、緑色で囲った様なボックス表示はしていません。この図のボックスの上限と下限にラインが引いてあるだけです。上図は読者が分かりやすい様にレクタングル・フォーメーションをボックス表示しています。

で、さらに追加されているラインは、

このレクタングル・フォーメーションの中央に引いたミドル・ラインです。

そして、このボックスの上限レジスタンス付近に引いた赤い太めの斜めラインです。

これを見ればお分かりの通り、レクタングル・フォーメーションやチャネル・ラインを単独で用いるより、両方を用いた方が、

大切なポイントにおいては、両者のラインは合致しやすい

ということから、より信頼性のあるトレードが出来ます。自信をもってトレードが出来るんですね。

ということで、水平線にしろ斜めラインにしろ、いくつかのラインを使いこなせるのであれば、併用して用いることをお勧めします。

もちろん、1つだけでも充分トレードは出来ますが、腕を磨いたうえで複数を同時に扱うことが出来れば、より信頼性の高いトレードが実現できるわけです。

で、僕の実際のトレードですが・・・

僕はこの赤い太めの斜めラインを引いて、昨日の夕方、ここに価格が到達するのを待ち構えてました。

で、到達後に反転を確認して上の青丸の部分で売りエントリーをします。

その後の下落を見ながら、レクタングルの中央に引いたミドル・ラインでの攻防を見て、「一旦ここから戻すかな?」ということで下の青丸部分で利確しました。やったね!

そして、もちろん戻しを形成した後の反転を捉えて、Dの辺りを過ぎたところで全力で売りをかまします。どうです?凄いでしょ?

と言いたいところなんですが、僕は利確した後に体調が悪いのにもかかわらずお酒を飲んでしまい、Dの辺りではチャートを見てるどこじゃなくなってました。

ということで、例のごとくアホなことを繰り返す日々を送っています。

「良いんだよ、負けなきゃ」

と、僕は自分で自分を慰めるのに、今日も必死です。

終わりに

タイミングの取り方

僕は、ライントレードについて、もう1つ大切なことを言い忘れていました。

それは、タイミングの取り方です。

ラインに到達したその後に、

  • そこを抜けたと判断するタイミング
  • そこから反転したしたと判断するタイミング

は、どうやって計ったら良いのでしょうか?という、問題あるある。

これに対して、僕の答えは明確です。

 

「好きにやったら、いいさ」

 

セットアップさえ整っていれば、トリガーは自由であると、

それが僕の考え方です。

事あるごとにこのブログでは言ってますが、タイミングの取り方は、各自が得意とするテクニカルで「これが自分には一番合ってる」と思うやり方でやれば良いと思っています。

ただ、1つだけ僕からお伝えしたいのは(先日、twitterでも呟きましたが)、

みんな、欲深さから初動を獲りたがるけど、それがフライングのもと

だということです。

ラインに近づいてきたら、タイミングをとる準備をします。これは徒競争で言うところの

「位置について~」

です。

そしてラインにタッチ、というよりはライン周辺を含むゾーンに侵入(ラインを突き抜けることも含む)してきたら、

「よ~い」

なんですよ。

でも、ほとんどの人がこの「よ~い」がかかったら、次の「ドーン!」を待たずに、エントリーしちゃうんです。

つまり、フライングです。

フライングしたら、そのレースは失格です。

しかし、「ドーン!」で多少出遅れたとしても、失格にはなりません。やや不利な状況かもしれませんが、ゴールまで走りきる権利は手にすることが出来るんですよ。

もちろん、スタートが明らかに遅過ぎたら、勝負にならないので走り出さないことが必須条件ですけどね。

そういった場合は、次のレースまで待ちます。

この様に、

「位置について、よ~い、ドーン!」のタイミングをきちんと体で覚え込ませること。

これが今の僕に言える、たった1つの、そして大切なタイミングの取り方です。

ライン職人として

「トレードは知識ではなく、技術である」ということも、僕は事あるごとに言っています。

ですから、トレーダーは職人気質であるべきだと、僕は思っています。

そしてライントレーダーは、ライン引きの職人として、日々腕を上げることを目指していかなければいけないと思っています。

「ここはこうやってラインを引いて、ここはこんな具合でバーっとやって、グーっと堪えて、ほらよって感じで利確するんでぃ!」

って、そんな感じで良いのかもしれません。

僕は、「トレードを教えられるようになれたら」という想いで、とりあえずこうやって言葉にしてブログを書いていますが、本来トレーダーは職人ですから、言葉にできなくたって良いんだと思うんですよ。

日ごろ積み重ねた練習と検証と経験から、腕を磨いていって、それを言葉で説明できなくとも、身体に染み込ませた感覚で的確なトレードをやる。

語るよりも腕で見せる。

それが、裁量トレーダーとしての本懐じゃないかと。

知的に振る舞ってうんちくを語るよりも、むしろそのことの方が大切なんじゃないかと、そう僕は思っています。

いつか近い未来、このブログを読んだ職人たちが、ラインという道具を用いて、チャート画面に相場本来の姿を思い思いに浮き彫りにできる様になれたら・・・

そんなことを思いながら、このライントレードの基礎シリーズは、ここで一旦幕を下ろしたいと思います。

 

あー、やっぱ今日のBOZは一際カッコ良いわ、マジで。

ということで、それじゃあ、また。