ライン引きの手引き(2)

さて前回は、間違って引きやすい水平線と正しいアプローチで引いた水平線を比較して解説をしました。

で、今回は前回のチャートをもとに斜め線を引く解説をする予定だったんですが、やっぱ辞めました。僕自身の説明力の不足さも相まって、混乱するんじゃないかと思うので。

まぁ、基礎シリーズではお話していますが、水平線であろうが斜め線であろうが、どちらが良いのかではなく、正しいアプローチであればどちらもきちんとした成果が出せます。

なので、ここでは水平線に対してもう少し詰めてお話ししておいた方が良いんじゃないかと。

欲張って「あれもこれも」となる前に、1つのことに長けていることの方が、トレードの上達は早いと思うんですよね。別のことに手を出すのは、その後からでも遅くはありませんから。

ということで、前回解説したのは、このチャート図のところまででした。

で、このラインが機能しているということで、例のごとくこのラインと等間隔にラインを引いてみます。するとこんな感じ。

さて、このチャート見て、何か気づきませんか?

チャート下部のラインが、あまり機能していませんよね。

赤い丸の部分、最初の方はラインが意識されている様ですが、次第に機能しなくなっています。

なぜだと思います?

思い出して欲しいのですが、水平線とは魔法の杖でもなんでもなく、市場参加者が注目する価格帯に線を引いただけのものです。

なので、この辺りにはここで引いた129.17付近の水平線よりも注目される価格帯があると考えられます。

じゃあ、それは何でしょう?

端的に答えを言ってしまえばそれは、

 

キリ番

 

です。実は、この場面では129.00というキリ番が意識されています。

ということで、ここにラインを引いてみましょうか。ついでに130.00というキリ番にもラインを引いてみます。区別しやすい様にキリ番ラインは赤色にしておきますね。

上図Aの部分を見てください。129.00のキリ番にラインを引いてみると、こちらのラインの方が意識されているということが分かると思います。

129.00のキリ番ラインに到達するまでは、その手前の129.17付近に引いたラインが意識されている様ですが、一旦それを下回るとこのラインはほとんど意識されず、むしろ市場は、

129.00を越えるかどうかに意識が向かっています。

129.00を越えさえないという買い手の意志と、129.00越えを試そうとする売り手の意志とのぶつかり合いですね。

そして、この攻防戦は割と分かりやすい形で買い方が勝ち、売り方は敗走。価格は上昇を始めます。

上図チャートを見ると分かる通り、この価格の上昇中、等間隔に引いた黒色ライン(129.47と129.77のライン)は明らかに機能していています。

その後、等間隔に引いた13.07ラインの手前、キリ番13.00ラインにくると、一旦止められてしまいます(緑色で囲ったBの部分)。やはりキリ番は意識されている様ですね。

しかし・・・

価格がこのキリ番13.00ラインと等間隔13.07ラインを一気に突き抜けた後は、等間隔ライン13.37付近のラインで止められ反転下落しますが・・・

この後、キリ番13.00ラインは機能しなくなります。下の図を見てみましょう。

青丸で囲ったCの部分を見れば分かる通り、キリ番13.00ラインは全く機能していないと言ってよいほど、ライン上を何度もまたいでいます。

キリ番ラインどころかその上にある等間隔13.07ラインも繰り返し越えては戻される形となっています。(水色の丸①の部分)

これは、この2つのラインの価格帯が機能していないというよりも、むしろこの価格帯が意識されているがゆえに、このライン周辺での売り買いの攻防が激しくなっていると考えられます。

Aの場合は、129.00ラインを死守しようと、このライン際より上での攻防でしたが、

Bの場合は、130.00ラインを一旦越えられてしまっているので、それを押し戻そうとする売り方と、そこを押し返そうとする買い方とのラインをまたぐ形での攻防です。

つまり、意識はされているが故にラインをまたぎながら揉み合っているという状況ですね。

しかし、この攻防に変化が現れるのが水色の丸部分②のところです。

水色の丸①では13.07ラインを何度もオーバーシュートしていましたが、水色②の場面では、ピタリと止められています。高値が切り下がりました。

そして、130.00ラインより下で価格が納まった状態で市場の日付は変わります。②の後に小さな下窓が開いてますが、そこが日付の変わり目です。

日付が変わってアジア市場では、緑色の丸D群を見れば分かる通り、130.00ラインが意識されている様ですね。この価格帯まで来ると、価格は反転してしまいます。

じゃあ、その後の展開を見ていきましょうか。

キリ番130.00ラインが意識されつつも、緑色の四角で囲った様に、なんだかんだ言ってレンジはレクタングル・フォーメーションを形成。

その後、強く下方ブレイクしますが、その途中経過では黒ラインは効いています。

ただ下値を付けて強く戻した辺りから、ラインはキリ番も黒ラインも効いているとは言えない状態になります。

青色の丸で囲ったEを見てください。先ほどのチャートのCと同様、2種類のラインは確かに意識されていて、この一帯で買い方と売り方による攻防が激しく行われています。

そして、それが故にこの2つのラインは、実際のトレードを行なううえで機能しているとは言いづらい状態となっています。

で、このEでの激しいもみ合いに勝負がつくと、価格はブレイク前のレクタングル・フォーメーションの下限ライン(129.77)目指して上昇を始めます。

しかし、Fの部分を見てもらえば分かる通り、この黒ライン129.77には届きません。

ラインに届かず反転した場合は、「上昇も力尽き、ここまでか・・・」と判断し、売りを検討するのが定石です。

が、後付け解説でその様に言うのは簡単です。実際のトレードでは、どのタイミングで「届かなかった」と判断するかは難しいんですよ。

様子を伺っている間に、今度はその下の黒ライン129.47ラインにも届かず反転し、揉み合いを形成。ようやく下のラインにタッチしたと思ったら、Gの部分で見られる通り、効いてるのか効いてないのか、ラインをまたぐようにして揉み合ってしまってます。

正しいアプローチで引いたラインが意識されているのは、分かった。でも、レジサポとしての機能がハッキリしていなくちゃ、トレードできないじゃん!

ってなると思うんですよね。確かに、その通りです。

実際、ラインをまたいで攻防が繰り返されている時って、いわゆる「乱高下」って傾向も多く、手を出さないのが得策です。

ただ、ちょっと様子を伺っていれば、もう少し見えてくることもあるんですよ。

 

BOZ流ライントレードの骨格が、

「価格は等間隔に引かれた水平線の間を移動している」

であるのは、既に何度もお話しています。

いわゆる、同じ値幅での値動きを様々な形で繰り返すのが、その時々の相場環境だということなんですが、今回のケースも、結局は同じなんですよ。

ちょっと、下の図を見てください。

緑色の枠で囲ったXを見てください。価格は、黒ライン130.70と129.77を上限としたレクタングル・フォーメーションを形成して揉み合っていますよね。値幅はちょうど30pips。

で、同じく緑色の四角で囲ったYとZを見て下さい。同様に、同じ値幅30pipsで価格が揉み合っているのが分かると思います。

Zは比較的分かりやすいレンジを形成しているので、このレンジ下限を抜けたら売りだということが分かると思います。

Yはちょっとややこしいので解説しますが、

一応Yもこの値幅で揉み合ってるんですが、青丸aの下値を付けた後に青丸bでこの値幅をブレイクして高値を更新します。

その後、価格は再びYのレンジ内に戻ってきますが、cでは黒ライン129.17に支えられる形で低値を切り上げて、再びこのYの値幅を越えていってますよね。

これ、ダウ理論での高値低値を切り上げ始めたということで、上昇トレンドが発生したと判断する場面です。つまり、絶好の買い場面なわけですよ。

この様に、「価格は同じ値幅を形成しながら移動している」ということを把握しておけば、一見ラインが機能して見えない局面でも、トレードに活用できる場面が結構あるんじゃないかと。

相場って、面白いですね。

ということで、今回はこの辺でお終いにします。それじゃあ、また。

 

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