主婦とホストと波の三角関係

気が付けばここ数回は、インジケーターを用いたトレードのお話が続いていました。

でもね、やっぱ値動きそのものは大切です。

だって値動きとは、価格推移そのものですから。僕らは、価格を取引しているんであって、インジケーターのシグナルを取引しているわけじゃありません。

ですから、結果的にインジケーターと併用するにせよ、しないにせよ、きちんと値動きを見ながらチャートと向き合うことが、トレードの精度を上げていくためには大切なんじゃないかなぁ~?と思うわけです。

ということで今回は、基本的な波の見方を先日までのポンド円チャートを使って、お話していこうかと思います。

ただねぇ・・・

実はこの記事、何とか今週の市場が始まる前にアップしたくて、日曜日の仕事終わった後に必死に書いてたんですが、

全然間に合わねぇ。

おまけに、寝落ちしちゃったし。

ということで、既に今週のポンド円の値動きは分かっちゃったって話は抜きにして、

それでは、始まり始まり~!!

波の形成過程を考えよう

僕のTwitterをご覧の方は、先日のこのツイートご存知かと思います。

ということで、先週金曜日の時にリアルでポンド円チャートを見ていた人は、その時の自分の見方、考え方、そして心理状況を踏まえながら、今回の解説を読んでください。

僕の考えが絶対というわけじゃないですが、トレードが上手くいかないという人にとっては、僕のチャートの見方と自分のチャートの見方を比較することで、何か具体的に掴めるものがあるんじゃないかと。

では、まずは先週金曜日までのポンド円15足チャート。

先週の金曜日がざっくりと赤丸で囲ったところですね。

で、この既に出来上がったチャート全体を、後付け解説でザックリと言ってしまえば、

緑色の矢印が示す様に、下降してきた価格は1月30日日本時間の夕方で反転上昇。その後は上昇トレンドを形成しますが、金曜日にはレンジ(三角保ち合い)を形成。

となるわけですが、今回はそういったお話をしたいんじゃないんですね。

この波を描いて価格が形成されている過程の中で、その時々でどの様に思考していくか?をお話したいんですよ。

また、実際のトレードでは、まずは大きな時間軸を見て、その傾向を踏まえて考えていくのが筋なんですが、そういった大局観も脇に置いてお話します。

今回は、あくまで波が1つ1つ形成されていく中で、それを見ながら、その都度どう判断していくのかをお話するのが目的ですから。

ということで、下落から反転上昇を始めた辺りまで時を戻します。そこから先は例のごとく、隠しながら進めていきますね。

赤丸から上昇を始めるまでの間では、高値(緑丸)を切り下げながら緩やかに下降していますが、低値(青丸)はきちんと切り下げているというより、やや不規則な印象ですよね。値動きが不安定かな~?と。

こんな状況の中であれば、赤い丸で反転上昇したとしても、再びダラダラと下げたり上がったりする可能性は大です。だって、それまでの低値(青丸)からの反転上昇が、みんなそんな感じですから。

ただし、少しだけ明るい兆しがあります。

それは、オレンジ色の四角の部分。ここを揉み合った後に強めに下抜けていったわけですが、この下落を否定するかのように一気に反転上昇し、先ほど揉み合っていたオレンジ色の四角の部分の高値も抜きました。

上昇が強い。ひょっとして・・・

しかし、まだ分かりません。その後の経過を見ます。

勢いよく上昇したものの、Aを頭にして再度下がってきました。

どの程度下げるんでしょうか?その下げ方によって、再び上昇を始めるのか再び下落傾向に転じるのかの分かれ目になります。

まず注目するのは、先ほどオレンジ色の四角部分で囲った揉み合いの低値です。

ここを抜けたら、やっぱ下落傾向かな、と。

しかし・・・

オレンジ色の揉み合い部分の低値でピタリと止められて再度跳ね上がりました。

「ここを上抜けたら、買っても良いかな」

という判断になります。

なぜかというと、

ダウ理論で見ます。

赤い矢印を辿ってみれば分かる通り、低値は切り上げているので、次はAの高値を価格が上回れば、

高値切上げ&低値切上げ=上昇トレンド

という解釈になります。

ただ、これは比較的小さな波での判断なので、手放しで安心はしていられません。なので、Aを抜けたところで買いエントリーしても、小ロットで臨むか、いつでも逃げれる準備はしておきたいところです。

では、その後の状況を見てみましょう。

大きく抜けましたね。チャート上にあるめぼしい高値(緑丸)も全て上抜けてます。強い上昇示唆です。

また、先ほどお話した様に、早々とAを上抜けたところで「上昇トレンド確定!」と考えて、即飛び乗っていれば、上手く上昇気流に乗れたという展開です。

ただ、僕としてはもう少し慎重になっても良い場面かな?とも思っています。

なぜかというと、緑丸Yの高値、気になりませんか?目立った直近高値はここになるので、ここを抜けてからの方が、手堅い様にも思えます。

実は、この高値Yというのは、結構重要なポイントなんです。

このYの先っぽを通る黒色の水平線を引いておきましたが、良く見ると、この周辺で過去に何度も価格が反発するなどの反応しているのが分かると思います。

というのも、この水平線で記した価格は142.00のキリ番だからです。だから、意識されているんですよねぇ。

ですから、このYを上抜いたのを確認してから、買いエントリーするというのが、手堅いところかなぁ、と思うわけなんですね。

ただし、

上図にある最後のロウソク足付近のような高値で買うのは、禁物です。

タイミング的に先ほどのAやYを上抜いたタイミングで買えなかった人は、グングンと上昇する価格を見て、

「これを逃したら、勿体ない!!」

と高値掴みをしてしまいがちです。

しかし、これはやってはいけないことです。勝てない人は、何度も何度も経験したはずですよね。高値を追いかけて買うのは、自殺行為に等しいってことを。

これ、「ジグザグと描く波の渡り方」を読んだ人なら、もうお分かりですよね。完全に欲望に振り回されているだけの行為なんです。

「押し目待ちに押し目なし」

という言い方もされますが、「勿体ない」と思ったところで、買わなければ儲かりもしませんが損もしないんです。全然もったいなくない。

本当に勿体ないのは、欲望に振り回されて、高値を追いかけ高値掴みをして損失を出してしまうことなんですよ。

もう1度先の画像を見てください。

上昇トレンドの場合、

「価格を直近低値が下回らない限りは、上昇トレンドとして買い方針」

というのが、トレードの基本です。

この図で言えば、Bを下回ったら損切りということになります。

しかし、AやYを上抜いた時点で買うのであれば損失は限定的ですが、流石にこの図の最後のロウソク足付近の価格帯で買うのは、

ちょっと、損失額が大き過ぎやしませんかね?

ということなんです。

許容できるのであれば買えば良いですが、その損失幅、90pipsくらいありますよ?ホントに許容できるんですか?

デイトレなら、絶対に許容してはいけない損失幅です。見送りが賢明という判断になります。

主婦目線、最強説

主婦はプロの相場師

さて、ここで肝に銘じてほしいのが、チャートと向き合う時、トレードに臨むときのその感覚です。

決して欲望に振り回されるんじゃなくて、本来のマトモな自分の感覚を前面に押し出して欲しいんです。

そういえば、時を同じくして先週の金曜日に、僕はTwitterでこんなことをつぶやいています。

(注:「寝上がって」は誤字で「値上がって」が正解です)

普通の人の売買行動って、欲しいものを買いたい時は、出来るだけ安く買おうとするのが当たり前の行動なはずです。

ましてや主婦だったら、最近の野菜の妥当な相場価格を知っていますし、どの位安く買えたらお得感満載なのかも分かります。

もちろん、この位の高値だったら買うのを諦めようという「引き際」も心得ています。

「野菜ならあそこのスーパー、でも魚ならこっちのスーパーが安い」

というのも知っていますし、鶏肉の特売日も、ポイント倍増デーも予め把握済みです。

つまり、主婦というのは実は相場においての、プロなんですよ。しかも、凄腕の。

そうやって、家計を支えているんですから。

で、そんなプロが、高値に飛びついてしまうというのは、よほど緊急性があるとかじゃない限り、しないはずですよね。

なのに、なぜ飛びついてしまうのか?

それは、欲望に目が眩んでしまっているからです。

ホストに入れ込んだ主婦の悲劇

欲望に目が眩んでしまったその光景は、まるでホストに入れ込んでしまった主婦の様です。

お気に入りのホストに気に入られたい、嫌われたらどうしよう、彼をナンバーワンにしたい!などと、実はどうでも良いことばっかりに目が行きます。

ですから、ホストのほんの少しの動向が気になって気になって仕方がない。

小さな素振りを見逃したら、お気に入りのホストは私じゃなくて他の女に視線を注ぐかもしれない・・・

なんて行為は、15分足で見ても十分対応できる相場を、5分足1分足と細かく見ることで、少しの振る舞いも見逃さない様にするのと同じです。

これ、ポンド円の5分足です。緑色の丸で囲った部分が、ちょうど先ほどまで見ていた15分足の最新高値の部分です。

価格のちょっとの振る舞いでも気になって仕方がなくなってしまった心理状態なので、5分足でより細かい振る舞いを見ようとしています。

これ、ホストの一挙一動が気になって気になって仕方がない色狂いした主婦の行動ですね。

で、色狂いした主婦は青い四角で囲ったオシレーター(ストキャスティクス)のじれったい態度にもう、気が気じゃありません。

「冷たくされたくない、私に優しくして!」

そんな思いからストキャスが赤丸aを示した時に

「ここを逃したら、彼は私から離れていく!」

と判断して、今月の生活費に手を付けます。

しかし、彼の気持ちは更に下がっている様に思えるので、今度は赤丸bのタイミングで家を購入するための頭金として積み立てていた定期を崩して貢ぎます。

さらに赤丸cでは、家族の積み立て保険も解約して貢ぎます。

それでも彼の気持ちは下がり続けているので、ついに借金にまで手を出して彼に貢ぎだすんです。そして、そんな借金を繰り返し繰り返して、彼に貢ぎ続けます。

しかし、家族にどんな理由を付けようが、主婦が夜な夜な外出するなんて、バレバレです。しかし、そんな不自然すぎるという状況判断(環境認識・現状認識)すら、彼女は出来なくなっているんですよ。

だって、お目当てのホストの一挙一動しか目に移らないんですから。

そして、この欲ボケした主婦は、赤丸eで全てを失います。

ギャ~~~~~ッ!!!

笑えない光景です。これは悲劇というより、ホラーかもしれません。

しかし、そんな風になりたいですか?

なりたくないですよね?嫌ですよね?

本来なら、マトモな主婦として相場を見極める目を持っているはずなのに、そんな末路は迎えたくないはずです。

だったら、改めましょう。改めたら良いじゃないですか。

ではここで、主婦目線に切り替えて、もう一度先ほどのチャート図を見てみましょうか。

AやYを越えた辺りの安い価格で買えなかったからと言って、ご近所さんの主婦がこのチャート図の最後のロウソク足の終値で、目の色を変えて白菜を買ったとしたら、どう思います?

「え?嘘でしょ?信じられない・・・」

って、冷静に思いますよね。

はい、ではそんな冷静な目線になったところで、本題へと戻りましょう。

値動きに対する待ち構え方

正しいお祈りトレードの仕方

ではもう一度、先ほどのチャートを見てみましょう。

さて、この局面からチャートに向き合った僕らは、

「こんな高いところでは買えない。もっと安く買える局面を探そう!」

ということになります。

ということで、僕らがこの時できることと言えば、決して買いエントリーのボタンをポチッと押すことではなく、

「下がれ!下がれ!」

とお祈りするくらいのものです。

そう、正しいお祈りトレードとは、買ってから「上がれ!」とお祈りするのではなく、買う前に安く買うために「下がれ!」とお祈りすることなんです。

なんなら、替え歌でも作って歌ってもいいですし、YouTbeでも観ながら音楽に合わせてノリノリで踊ってみてもOKです。

だって、暇でしょ。上がり続けてる価格をずっと見てても。

お勧めは、この辺でしょうか。

ただし、この時間帯は日本時間では深夜なので、騒音によるご近所迷惑はお気を付けください。

・・・とまぁ、そんなこんなで時間を潰していると、調整局面に差し掛かって下がり出します。

良い感じですね。安く買えそうなので、お得感丸出しです。

では、次の展開を考えていきましょう。

お祈りの後は

お祈りしながら、歌を歌って動画見ながらノリノリで踊っていたら、神に願いが通じ、実際に下がってきました。

しかし、ぬか喜びしているだけじゃ埒が明かないので、

  • どの辺まで下がりそうか?
  • 反転上昇した際のエントリーの方法(トリガー)は?

ということくらいは、予め検討をつけておかなくちゃいけません。

例えばこんな感じかな。

上昇を始める前までの高値を斜めラインで結び、ここをブレイクしたとするならば、ロールリバーサル(レジサポ転換を確認して反発上昇)でエントリーするとか。

キリ番から上で揉み合ってるゾーンに注目して、このゾーンの上値で跳ね返されたらエントリーするとか。

このゾーン内に入ったら、再びそこから上に抜け出したタイミングでエントリーするとか。

で、その後の経過を見てみますね。

Dで反発。ロールリバーサルですね。しかし、先ほどのCの高値で止められています。

仮に、青色のゾーンを上抜けた時に買ったとしましょうか。

その場合、Eで決済してもOKです。40pipsは獲れてる感じですかね。

また、他に判断材料があるなら、まだ上昇すると判断して持っていても全然OKです。余裕で建値もしくは微益決済できますから、損はありません。

ほらね、賢い主婦の様に安値を探して買うと、結構余裕でしょ?でも、色ボケした主婦の様にして高値掴みしてたら、顔面蒼白だったはずです。

で、その後の展開をちょと見てみます。

CとEの高値をブレイクしたところで買いですかね。またFの反転局面を捉えられるなら、そこで買ってみるのも手ですね。

まぁ、常日頃言ってますが、こういった時にタイミングをとるのは、何でも良いんですよねぇ。値動きで判断しても、インジケーターを使っても。

ポイントさえ踏まえていたら何で判断しても良い、というのが僕の考え方ですから。

ちょっと、見てみますか。

先ほどのDの反転は、多少のタイミングが違っていますが、移動平均線のゴールデンクロスで買っても、ストキャスティクスの低値圏でのクロス、もしくは低値圏を上抜けで買っても、RSIのラインブレイクで買っても、めでたく成功しています。

で、先ほどのFのポイントの反転も移動平均線とRSIは、上手くタイミングを捉えています。


ただし、ストキャスティクスの青丸ですが、僕はストキャス使いじゃないんで、ここが正しい買いシグナルとなるかは分かりません。

ストキャス使い込んでる人なら、ひょっとしてここで買い判断できてるかも・・・ということで、他とは違って青色で囲ってみました。


まぁ、何が言いたいかと言えば、繰り返しになりますが、

きちんとしたチャートポイントで、きちんと使い込んでいる道具を使えば、ダマシも少なく、きちんとしたエントリーができるんだぜぃ!!

ということです。

先ほどの色ボケした主婦は、同じストキャスティクス使っていても、ダマされ続けてましたよねぇ。

でも、きちんと状況を踏まえて、正しいポイントで正しく道具を使えば、正しいトレードが出来るんですよ。

ということで、先に進みましょうか。

危険な三角関係

再三言ってますが、Gの辺りの様にある程度価格が進んでしまったのを追っかけるのは、御法度です。

下がるのを見守りながら、次の状況を窺います。

で、気が付くとこんな感じ。

ぱっと見、三角保ち合い(トライアングル)に見えます。ということは、

「パターンを形成しているから、そこをブレイクした方向にエントリー!」

と考えがちなんですが、安易な判断は危険です。ちょっと、解説します。

これ、僕の主観の域を脱してないかもしれませんが、近年、

高値を切り下げ低値を切り上げながら三角に保ち合うパターンは、分足チャートでは実質的には形成されないことが多い

というのが、僕の印象です。

このGの場面の前のE-Fの部分を見てください。ここでも高値を切り下げ安値を切り上げた三角保ち合いが形成されている様に見えます。

しかし、実はそう見えるだけ。

値動きが既に形成された後、つまり出来上がったチャートで判断するのと、形成途中で判断していくのとでは、ちょっと勝手が違ってきます。

実際、この局面で価格が形成されている途中で、保ち合いのラインを引こうとすると、以下の図の様になるはずです。

価格の形成途中でラインを引こうとすると、低値を結ぶラインが、気の早い人で緑色のライン、そうでない人でも赤色のラインになりがちです。

で、何も考えずに「ラインを割り込んだ」と思って売ると、上の図を見れば分かる通り、痛い目に合うわけです。

この様に、高値切下げ安値を切り上げながら保ち合いが始まった様に思える場面は、結構な確率で裏切られますから、注意が必要です。

で、そんな注意するポイントですが、具体的には以下の2点に気を付ければよいかと。

  1. ラインはあくまで仮定として考え、別の可能性を考慮しておく
  2. ボラが縮小する時間帯を考慮する

順を追って説明していきます。

1.ラインはあくまでも仮定

斜めに引くラインの厄介なところって、既に出来上がったチャートでは綺麗に引けても、価格の形成途中だと、上手く引けないことが多いんですね。

経験値が大切で、初心者には結構難しいんですよ、斜めラインって。

当初は三角保ち合いに見えても、その後の価格推移で結果的に、平行レンジとなったり、下降フラッグになったりします。

いや、むしろそっちの方が多いかと。

なので、「これ、三角保ち合いじゃね?」と思っても、あくまで仮ラインとして見ておく必要があります。

そしてそのためには、気持ちとチャートに余白を用意しておくことが大切です。

結果の出せないトレーダーのほとんどは、

「少しでも初動を捉えてチャンスを掴みたい!」

と思って、何でもかんでも斜めラインを引いてみたりします。

でも、それって先ほどのホストに入れ込んだ哀れな主婦と同じ行為でしたよね?ちょっとの挙動に敏感に反応して、痛い目にあい続けるという・・・ね。

ですから、気持ちに余裕(余白)を持って臨まないと。

で、そのためには、チャートにも余白を持って臨みます。

例えばこんな感じ。

「赤ラインの様に安値を切り上げている様に見えるけど、その後の展開では青ラインaやbくらいは下げても不自然じゃないな。」

と考えるんです。

そのうえで、直近低値Dを表す青ラインdを下回らない限りは、買い目線固定で買い時を待ち構えます。

そうやっておいてから、先に説明した様なインジケーターを利用して反転を捉えてみるのも、1つの手なんですよ。

でもまぁ、実際に無理してこのE-Fの波で反転上昇を捉える必要はありません。

気持ちとチャートに余白を持っていたら、直近高値CとEを結んだオレンジ色の水平線をブレイクしたら、「上昇トレンド再始動」として買えば良いだけなんですから。

ホストに狂った主婦の様に、ちょっとしたノイズに振り回されないためには、気持ちとチャートには余白を持って臨むことが大切です。

2.ボラが縮小する時間帯を考慮する

トレンドを描いてきた価格が保ち合いを形成する場合には、実は2つのパターンがあります。それは、

  • 買い方と売り方の攻防が拮抗している時
  • 単なる商い薄状態

ロンドン市場前半やニューヨーク市場前半など、市場参加者が多い時間帯での保ち合いは、売買が拮抗しているケースが多く、一旦形成されたパターンはそのまま継続しやすい傾向にあります。

ところが、商い薄の時間帯(ボラティリティが縮小する時間帯)は、単に取引が少ないという理由で保ち合い状態になっていることがほとんどです。

その場合は、最初は三角保ち合いに見えても、そのままズルズルと横ばい状態が続くので、結果として当初思っていた形とは違う形の保ち合いが形成されてしまいます。

このE-Fの局面、実はアメリカの市場もほぼ終わっていて、しかも東京市場が開始する前の閑散した時間帯です。

E-Fの高値を結んだラインをブレイクして強く上に上昇し始めたのは、ちょうど東京市場が始まる午前9時です。

ボラが縮小する時間帯に、細かい値動きを気にして追ってしまうと、ノイズに振り回されてしまいます。

保合いの高いところで買ったり、低いところで売った状態のまま、ズルズルと保ち合いで決済もできず生殺しにあった挙句、損切りでトドメを刺されるという悲劇は、できるだけ避けたいものです。

低ボラ、再び

さて、三角保ち合いの注意点は以上です。ここから再び、Gの高値からの三角保ち合いを見ていきましょうか。

東京時間午前9時から始まったポンド円の上昇は、その1時間後の午前10時でGの高値を付けます。

で、そこで保ち合いがはじまるわけですが、もう既にご存知の通り、東京時間では午前9時55分の仲値公示の後は、市場が閑散とすることが多くなります。

ですから、この三角に見える保ち合いも、この後は違う形に変形してしまいやすいわけです。

その後の展開を見てみましょうか。

三角保ち合いは、やはり機能してませんね。

これ、5分足で拡大して見ると、如実にその嫌~な感じが分かります。

ボラの低い時間帯に、5分足の様な小さな時間軸のチャートをガン見して、

「チャンスを逃したくない!初動を捉えて出来るだけ値幅を儲けたい!」

なんて風に色ボケしていると、ちょとした挙動に振り回されます。

「あ!ラインをブレイクした!今がチャ~ンス!」

と思って買ったりすると、その後にジリ下がり。でも下がりきらずに上がってきますが、上がりきらずに・・・

という感じで、ホストに焦らされ続けるんですよ。

こういったボラの低い時間帯は、あまりチャートを見ないのが賢明で、仮に見ていたとしても、

せめてこんな感じにラインを引いて、気持ちとチャートに余裕を持たせていた方が、賢明です。

 

さて、いつものことですが、随分とお話が長くなってしまいました。

当初の予定では、先週末までのの解説をしようと思ったんですが、まだこの時点でまだ金曜のお昼過ぎです。

なので、この後のお話は次回へと持ち越すことにします。

また、もう週も明けてしまい、市場も再び動き出してしまっていますから、どうせならってことで、昨日(月曜日)のポンド円の値動きも使ってお話を展開させていこうかな、と。

おまけに、僕は昨日のポンド円下落の最中に、逆張りを仕掛けて失敗しています。昨日の僕のTwitterをご覧の方は知ってると思いますが。

で、これも良い話のネタになるので、それも交えてお話していけたらなと思ってます。お楽しみに。

それじゃあ、また。

 

オシレーター概要

僕のブログを継続的にご覧になってる方はご存知だと思いますが、

相場環境をきちんと把握できているならば、実際のエントリーやエグジットに用いるテクニカルは、

何でも良い。
自由にやったら良いさ。

というのが、僕のトレードに対する考え方です。セットアップとトリガーについての話ですね。

トリガーはプライス・アクションで判断しても良いし、ラインを用いても構いません。移動平均線を根拠にエントリーしようが、MACDを用いようが、それは各自が使い込んだものを使えば良いと思ってます。

で、今回は、そんなトリガーの例としてこのブログに何度か登場している「オシレーター」について、その概要をお話しようかと思ってます。

「オシレーターに興味あるけど良く知らない。取っ掛かりとして、まずは端的にその概要を知りたい」

という人のために、お話しようかと。

オシレーターとは

トレーダーの人で、「インジケーター」と言った場合、

「何それ?美味しいの?」

って人はいないと思います。インジケーターとはどんなものかというのは、大体分かるかと。

実際の相場の値動きから、一定期間の終値だとか高値低値だとかの値を抽出して計算し加工し、その結果をチャート上に描画することで、値動きの特質を捉えようとするテクニカルの装置のことです。

移動平均線とかボリンジャーバンドとか、MACDとかRSIなどがそれですね。

で、そんなインジケーターは、主に2種類に分けられます。

  • トレンド系インジケーター(移動平均線・ボリンジャーバンド・一目均衡表など)
  • オシレーター系インジケーター(ストキャスティクス・RSI・MACDなど)

トレンド系インジケーターは、チャートのメイン画面にロウソク足と共に表示されます。トレンドを推し量る際に使われることが多いです。

それに対して、オシレーター系インジケーターは、チャートのメインとなる画面の下にサブ画面が用意され、折れ線グラフの様なものが表示されます。こんな感じです。

上図は、RSIというオシレーターを表示したものです。この折れ線グラフに表示された線の推移を見て相場の状況を判断します。

しかし、オシレーターの中にはこの線が複数表示されているものもあります。

上図は、ストキャスティクスというオシレーターを表示したものですが、2本の線で表現されているのが分かると思います。

さて、そんなオシレーターですが、では果たしてこのオシレーターは、一体相場の何を見ようとして使われるものなのでしょうか?

端的に答えを言えば、

オシレーターは、主に相場の過熱感を見る分析方法

として使われます。

とは言っても、やっぱり知らない人にとっては、

「過熱感?何それ、美味しいの?」

ってな感じですよね。

ということで、もう少し具体的にオシレーターの特徴をお話していきます。

1.相場の買い圧力と売り圧力を見る

とりあえず、ストキャスティクスを表示した先ほどのチャート図を見てみましょうか。

で、上図のロウソク足の値動きとこのストキャスティクスをざっと見比べてみると、

  • 実際の値動きが上に向かっている時に、ストキャスティクスの2本の線も上に向かっている
  • 実際の値動きが下に向かっている時に、ストキャスティクスの2本の線も下に向かっている

のが分かると思います。図にすると、以下の様な感じ。

赤い矢印で示した様に、買い上がっている時は、オシレーターも上に向かっています。また、青い矢印で示した様に、売り下がっている時は、オシレーターも下に向かっています。

要するに、オシレーターは、買い圧力が強まってくると上に向かい、売り圧力が強まってくると下に向かうという傾向にあるんですね。

2.相場の過熱感を推し量る

買い圧力が高まれば高まるほど、オシレーターは上に向かい続けます。

しかし、いつまでも買われ続けるわけじゃありません。買い続けられていけば、買い手は次第にいなくなってしまいます。

その様な買い圧力が過熱感を増してきた状態を、オシレーター使いは「買われ過ぎ」と呼んでいます。

その逆で、売り圧力が過熱感を増してきた状態を、オシレーター使いは「売られ過ぎ」と呼んでいます。

では、実際のオシレーターでは、どの部分を見て「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を判断するんでしょうか?

買われ過ぎエリアを赤色に、売られ過ぎエリアを青色に塗りつぶしてみました。

基本的に、オシレーター上端部分を「買われ過ぎエリア(高値圏)」とし、下端部分を「売られ過ぎエリア(低値圏)」とします。

具体的にどの範囲を高値圏・低値圏とするかは、各オシレーター並びに各トレーダーにて違いがあります。上図では、80%以上が高値圏、20%以下が低値圏としています。

そして、買われ過ぎエリアに折れ線が突入したら「買われ過ぎ」、売られ過ぎエリアに折れ線が突入したら「売られ過ぎ」と判断するわけです。

3.買い圧力と売り圧力の逆転するポイントを見る

もちろん、売られ過ぎれば、いずれ価格は下げ止まり、今度は買い圧力が勢力を増して反転上昇し、価格は上がっていくことになります。

逆に、買われ過ぎれば、いずれ価格は上げ止まり、今度は売り圧力が勢力を増して反転上昇し、価格は下がっていくことになります。

で、オシレーター使いは、その売り買いの圧力が逆転するポイントを、「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」の局面で見て取ろうとするわけです。

相場の過熱感を見て、

「これ以上、価格は上がりそうもないな。決済しよう」
「そろそろ反転上昇しそうだな。買って見るか」

などの判断に使われます。

つまり、売り買いの圧力が逆転するポイントが、売買ポイントというわけなんですね。

では、実際にその買い圧力と売り圧力が逆転するポイント(売買ポイント)は、どこになるんでしょうか?

先ほどの図で見てみましょう。

買われ過ぎエリアに突入した線が、反転して買われ過ぎエリアを下に抜け出したポイントに青丸を付けてみました。

ここが、買い圧力と売り圧力が逆転したと判断する場面で、売りポイントとなります。

もちろん、それとは逆に、売られ過ぎエリアに突入した線が、反転して売られ過ぎエリアを上抜けしたポイント(赤丸)が、買いポイントとなります。

2本の折れ線で表現されるオシレーターの場合、先にエリアを抜けた方の線を基準にします。2本目が抜けるのを待つと売買のタイミングが遅れることがほとんどになります。

また、ストキャスティクスの様に、折れ線が2本ある場合、その線がクロスするポイントにも注目します。

今度は、高値圏と低値圏で2つの線がクロスしたところに青丸を付けています。そのポイントで買場を繰り返すと、割と高値低値を捉えることができ、収益になることが期待できるのが分かると思います。

以上をまとめると、オシレーターにおける一般的な売買ポイントは、

  • 高値圏に到達した後に反転して高値圏を下抜けたところで売り
  • 低値圏に到達した後に反転して低値圏を上抜けたところで買い

もしくは

  • 高値圏で2本のラインがデット・クロスしたところが売り
  • 低値圏で2本のラインがゴールデン・クロスしたところが買い

となります。

なお、インジケーター全般に言えることですが、期間設定(パラメーター)は各自の好みで設定でき、期間を短くすると反転を捉える反応が早くなりますが、ダマシが増えます。逆に、期間を長くするとダマシが少なくなりますが、反転を捉えるタイミングが遅くなります。

3.レンジに強くトレンドに弱い

オシレーターは、俗にレンジに強くトレンドに弱いと言われます。

先ほどのチャート図は、敢えてレンジ相場にオシレーターを表示したので、割と上手く機能していると思います。

しかし、オシレーターをトレンド時に何も考えずに使うと、痛い目を見ることが多くなります。

上図は、下降トレンド時にストキャスティクスを表示したものです。

高値圏まで届かずに反転することがほとんどなので、杓子定規的に売りを狙おうとしても、下落中の売り時を捉えることができません。

しかし、これが下降トレンドであると判断できていれば、高値圏に到達せずともデット・クロスで売るという発想が出来ますが、ストキャスティクスだけではトレンドの判断はできません。

また、下降トレンドの発生を考えずに低値圏のゴールデン・クロスで買ってしまうと、売れないまま損失を雪だるま式に増やします。

高値圏に到達せずともデット・クロスしたら売ることにしても、買いエントリーした価格よりも低い価格で売るはめになったりすることが多発します。

この様に見れば、オシレーター系インジケーターは、レンジに強くトレンドに弱いと言われているのが理解できると思います。

そのため、オシレーターを利用する場合は、トレンドを掴むことを得意としたインジケーターと併用するケースがほとんどです。(これについては、後程触れるとします)

ただし、サブ画面に表視されているインジケーターでも、売買の過熱感を推し量るのではなく、トレンドの強弱を推し量るインジケーターもあります(代表的なのが、ADXやDMIです)。

なので、サブ画面にインジケーターが表示されているからといって、全てが相場の過熱感を推し量るためのインジだとは思わないでください。

4.売り買いの優勢を見る

オシレータの中には、単純に売買の過熱感を見るだけではないものもあります。過熱しているかどうかだけじゃなく、買い勢力の優勢が続いているのか?売り勢力の優勢が続いているのか?を見ることが出来るものがあります。

以下は、オシレーターの代表格RSIを表示したものです。

RSIは、他のオシレーターと同様に上限に買われ過ぎエリア(80%や70%以上とすることが多い)、下限に売られ過ぎエリア(30%や20%以下とすることが多い)があります。

しかし、もう1つ見方があって、その中間となる50%を境にそれより上が買い優勢エリア、50%以下が売り優勢エリアという見方が出来ます。

(買い優勢エリアは40%以上、売り優勢エリアは60%以上という見方もあります)

では、上図を再度見てください。RSIは、50%をまたぎながら、上下を繰り返しています。つまり、買い優勢も売り優勢も続かず、相互の勢力が繰り返し現れているので、

「レンジ」

という判断です。

しかし、下図の様に

下降トレンドが発生している際は、50%以下の「売り勢力エリア」だけで推移していますよね。

つまり、売り勢力の強い状況がずっと続いているから、売り勢力エリア内でRSIはずっと動き続けているわけです。

この様に見ると、

  • 売り勢力エリアでRSIが推移を続けている時は、下降トレンド
  • 買い勢力エリアでRSIが推移を続けている時は、上昇トレンド

という判断が出来ることになります。

つまり、加熱感を見ると共にトレンド判定が可能なオシレーターもあるわけです。

が、これは僕から言わせると・・・

後付けで見ると分かりやすいですが、リアルタイムで実際に価格が形成されている場合、トレンド判断は意外と厄介です。

この手のオシレーターだけで「価格がトレンドを形成している」と判断した場合、実際のトレンドはかなり進んでしまった後ということが、結構あるんですよ。

ちょっと見てみましょうか。

RSIだけでトレンドを判断しようとした場合、恐らく上図の様に、50ラインに達せずに反転したところで、その可能性を考え出すはずです。

しかし、それはあくまで「可能性」であって、この後再びRSIは上を向いてら50ラインを越えていくかもしれません。

なので、静観して様子を見ることになります。

で、その後は・・・

青丸のとことまできてようやく戻り売りを仕掛ける場面になるわけですが、トレンドは結構進んでしまった後です。オシレーターだけにトレンド判定を頼ると、こういうことが結構多くなるんですね。

実際にトレードする場合は、オシレーターに頼ることなく、もっとトレンド判定を早く行なうことを考えた方が効果的です。

5.トレンド時の張り付き

トレンドが発生した際に、そのトレンドの勢いが強く、あまり押し戻しを明確にせずに価格が進行している場合、オシレーターは、高値圏や低値圏に張り付いたままになる傾向にあります。

上図は、下降トレンド時にRSIとMACDを表示したものですが、ご覧の通り、低値圏にラインは張り付いたままになっています。

上昇トレンドの場合は、その逆で高値圏に張り付いたままの状態になります。

で、こういった場合は「トレンド継続中」と判断します。

上昇トレンド中に、オシレーターが高値に到達してしまってそれ以上上に行けなくなったからといって「トレンドが終わる」と判断してはいけません。

むしろ、この状態はトレンドが強かったり長期化していることの証であるため、「トレンド継続中」と判断します。

ただし、張り付いた状態なので、オシレーターが売買ポイントを提示することは、あまりありません。

張り付いたままのオシレーターだけ見ていたら、トレンド発生中に指をくわえたまま手を出せない状況が続いてしまいます。

この張り付き現象は、「トレンド継続中」を教えてくれると同時に、オシレーターの弱点でもあります。

6.ダイバージェンス

オシレーターの見方で有名なものに、「ダイバージェンス」があります。このダイバージェンスを見るためだけにオシレーターを表示している人もいるくらいです。

ダイバージェンスとは、逆行現象のことで、下の図を見てください。

価格は高値低値を切り下げながら下落しているにも関わらず、オシレーターはそのラインの低値を切り上げていますよね。これが、ダイバージェンスです。

このダイバージェンスは、俗にトレンドの終焉を示唆していると言われます。

しかし、必ずトレンドが終わるということではありません。その可能性が出てきたと判断する材料です。

ただ、僕のこのダイバージェンスに対する見解は、トレンド終焉の示唆というよりも、単純に

トレンドの波動が弱まっていることを表現している

というものです。

上昇トレンドなら、その上昇する波の勢いが衰えてきている場合にダイバージェンスが起こり、下降トレンドならその逆になります。

なので、再度トレンドの勢いが加速する可能性もありますし、そのまま衰えてトレンドが終了する場合もあるわけです。

また、波動が弱まってきていると知るのは、ダイバージェンスに頼らずとも、きちんと値動きそのものを見ていたら分かりますし、ダイバージェンスよりもむしろ早く捉えることも可能です。

ということで、値動きを主体に見ることが出来る人にとっては、このダイバージェンスは無用の長物かもしれません。

ただ、これを言ったらキリがないんですよねぇ。ダイバージェンスに限らず、トレンド判定や反転確認も、インジケーターに頼らずに値動きで捉えられるわけですから。

しかし、値動きだけで全てをを把握できる人は少ないわけですし、エントリーの根拠をより強化するための役割として、オシレーターをはじめとするインジケーターは、非常に有効だというのが、僕の考えです。

さて、ここまでで、ざっとオシレーター全般の概要を観てきました。

ただし、各オシレーターには、その見方や扱い方には特徴があります。ですから、何でもかんでも「オシレーター」と一括りにして同じ扱いをするわけにはいかない部分もあるんですよね。

ということで、次の章では、各オシレーターには違いがあることを分かってもらうために、個別のオシレーターに軽く触れてみたいと思います。

オシレーターそれぞれ

オシレーターの代表格と言えば、

  • ストキャスティクス
  • RSI
  • MACD

かな?と思います。

もちろん、「はぁ?ATRもあるだろ」などの異論もあると思います。

しかし、実際に日本で良く目にしたり耳にするもので、利用方法の情報量や入手のしやすさからすると、やはり上の3つに軍配があるのかな、と。

で、ここからは、これら各オシレーターについて個別に軽く触れる程度の紹介をしてみたいと思います。

ストキャスティクスについて

前章においてオシレーターを説明する際、主にストキャスティクスを使って見てきました。なので、それほど多くを説明する必要はないかな、と思います。

ただ、ストキャスティクスとしての個別の特徴のお話がまだなので、軽く触れていこうと思います。

扱いやすい

ストキャスティクスの特徴は、一般的に言われているオシレーターの特徴を、比較的そのまま表しています。この後お話するRSIやMACDの様な個別の特徴が少ないです。

ザ・オシレーター的な感じ。

そのため、オシレーターとして初心者にとっては、扱いやすい存在なのかなと、個人的には思っています。

上限下限での張り付きが少ない

かといって、そんなストキャスティクスにおいても、オシレータの特徴の1つである

「強めのトレンドが継続していると、オシレーターは上限下限に張り付いたままになりやすい」

という現象が非常に少ないのが特徴的です。

張り付く数も少なく、張り付いても直ぐに山や谷を形成し始めます。

そのため、他のオシレーターよりも強めのトレンド時でエントリーポイントを見つけやすいという利点があります。

しかしそれは同時に、ダマシにあいやすいという弱点とも言えるので、注意が必要です。

ファストとスロー

ストキャスティクスには2種類あって、

  • ファスト・ストキャスティクス
  • スロー・ストキャスティクス

に分かれます。

計算式の組み合わせの違いによって、この2種類は分かれますが、こ基本的に

  • ファスト・ストキャスティクスは、値動きに対する反応が早いがダマシが頻発する
  • スロー・ストキャスティクスは、前者に比べて値動きに対する反応が遅いがダマシが少ない

という特徴があります。

好みで用いてもらえれば結構なんですが、ダマシの多いファスト・ストキャスティクスは実際の相場で振り回されることが多くなるので、個人的にはお勧めしません。特に初心者には。

なお、この記事で用いたものは、全てスロー・ストキャスティクスです。ストキャスティクスの利用を考えている人は、まずはスロー・ストキャスティクスから始めてみることをお勧めします。

折れ線の見方について

今回の記事は、紹介程度なので、スルーしようかと思ったんですが、ちょっと気になる点があるので、軽く触れておきます。

まず、RSIの様に折れ線グラフの中央にライン(50ライン)を引いて、

「50ライン付近で反発した」

などの動きを見ようとする解説もありますが、個人的には懐疑的です。なぜって、僕自身がやってみたりしたんですけど、良い結果が得られなかったからです。

まぁ、どんなインジケーターも、奥の深さというのはあるので、僕の技術が至らなかっただけかもしれませんが。

ただ、基本的に「売られ過ぎエリア」「買われ過ぎエリア」での

  • エリアに突入後に再度抜けたポイント
  • エリア内でのクロス

を売買ポイントとして見るだけで、十分通用しますので、細かい動きに関しては使いなれてからの挑戦で良いかな、と。

で、ついでにもう1点加えますが、

売買ポイントの見極めにおいて、信用度の高いパターンがあると言われています。

そのやり方は、ストキャスティクスの開発者が提唱していて、

  • 高値圏を85%以上、低値圏を15%以下という厳しめな設定にし、そこに侵入した後に鋭い角度で抜けたところを売買ポイントとする(スパイク)方法
  • 高値圏を70%以上、低値圏を30%以下という緩めの設定にし、エリア内でダブル・ボトム(トップ)の様な形を形成し、2本の線が2回クロスを繰り返したら、そこを売買ポイントとする(ガービッジ)方法

です。後者は言葉だけだと分かりづらいので、以下に図を載せておきます。

ただこのガービッジ、僕としてはあまり有効だとは思ってないんですねぇ。

というのも、「2回クロスしたら」が売買ポイントですが、基本的に既に1回目のクロスで売買してしまってるからです。

しかし、1回目のクロスを見送ってガービッジが起こるのを待っていたら、結構な売買ポイントを指をくわえたまま眺めるだけになってしまいます。

さらに、これまた個人的印象ですが、ガービッジが特に信頼性高いものとは思えないんですよ。上図は、解説に適したいわゆる「良い例」として挙げていますが、上手くいかないケースも多々見受けられます。

ただ、正確に検証した結果ではないので、あくまで「個人的印象」として捉えておいてください。

RSIについて

RSIは、先にも説明しましたが、単に売られ過ぎや買われ過ぎを見るだけではなく、トレンド判断も可能でした。

Rサブ画面の真ん中より上部だけでRSIが推移している場合は上昇トレンド中、下部だけで推移している場合は下降トレンド中でしたね。

ただ、それだけでなく、実はライントレードの様なトレードがRSIでは可能となります。以下の図を見てみましょう。

①や②はパターンラインからのブレイクで売りのトレードが可能です。

また、今までの下降トレンドを特定付けていた高値ラインに水平線(赤い線)が引けるため、そこを上にブレイクしたところで買いエントリーします。

更にはそのラインからロール・リバーサールが起きた④で買いトレードが出来ます。

(このやり方を僕は突き詰めてやっていないので、きちんとしたライン引きとその判断が出てきてなかったらゴメンなさい)

この様に、ライントレードの様なトレードが出来るのがRSIの特徴です。

ちなみに、このRSIの見方は、2009年に陳満咲杜氏がその著書「FXトレーディングの真実」にて公表したのが、日本では最初だと思われます。それまでは、先の一般的なオシレーターの見方しかされていませんでした。

で、その発表直後、このRSIを使ってGFF氏が10万円の証拠金をたった3ヶ月で6億円する様をニコ生動画で配信したのは、有名な話です。まぁ、その後はハイレバが原因で証拠金は30万円になってしまいましたが。

まぁ、このRSIは扱えば扱うほど奥が深いというのが僕の印象ですが、初心者にはやや扱いづらいオシレーターという印象も強いです。

MACDについて

MACDは、相場の過熱感を計るオシレーターであると同時に、非常にトレンド系インジケーターに近い側面を持つと言われています。

というのも、その計算方法が指数平滑移動平均線(EMA)を基にしているからです。(詳細は割愛します)

で、ストキャスティクスやRSIは、折れ線グラフの縦軸のメモリの範囲が100~0、オシレーターによっては上下の範囲を+100から-100としているものもありますが、

MACDの場合は、縦軸のメモリは真ん中の0ラインを中心として上下に数値が広がりますが、その上限下限の数値は決められていません。

ちょと、実際にMACDを表示したチャート図を見てみましょうか。

ストキャスティクスの様に2本線ですね。2本のうち、先行して上下動をする線(赤い線)が基本となる線で「MACD」と呼び、遅れて上下する線(青い線)を「シグナル」と呼びます。

で、このMACDラインが上下に伸びれば伸びるほど、縦軸の数値も伸びていきます。数値の上限下限が決まってないんですね。

なので、「売られ過ぎエリア」とか「買われ過ぎエリア」みたいな概念はありません。

しかし、基本的にこの2本の線のクロスする箇所が売買ポイントとなるのは、一般的なオシレーターの見方と一緒です。

上図の赤丸で示したところが、そのポイントです。

正確に言えば、0ラインより上でデット・クロスした場合が売りポイント、0ラインより下でゴールデン・クロスした場合が買いポイントとなります。

ただし、MACDは縦軸の上限下限が予め決められておらず「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」が判断できないため、0ラインよりもどのくら乖離したところでクロスした方がより有効な売買ポイントになるかは、各自の裁量によるところが大きくなります。

また、0ラインより上でゴールデンクロスしたり、0ライン近くでクロスすることもあり(青丸)ます。この辺もどう判断するかは、各自の裁量によるところが大きくなりますので、初心者の方は、0ライン付近のクロスに安易に手を出さないのが得策です。

更に、MACDにはそれ以外にも売買ポイントがあります。

それは、MACDライン(赤い線)が0ラインを上から下に割り込んだら「売りポイント」、下から上に上抜けたら「買いポイント」という見方です。

ただ、そこをポイントにする場合は、トレンドが発生するなど、そこからある程度価格を伸ばしていかないと失敗する可能性が高いというのは、上図を見て見ればお分かりかと思います。

そのため、このMACDラインと0ラインのクロスを売買ポイントにするのは、相当熟達していない限りは、お勧めできません。

更に、もう1点。

MACDの折れ線グラフの中に、棒グラフ(緑色)が見えますよね。

この棒グラフを「ヒストグラム」と呼びます。

一般的に、このヒストグラムと0ラインのクロスが売買ポイントとなるんですが、良く見ると分かる通り、それはMACDとシグナルのクロスするポイントと重なります。

なので、MACDというオシレーターには、ヒストグラムを省略しているものが結構あります。

MT4に標準で入っているMACDにはヒストグラムがなく、その反面、MACDラインをラインではなく棒グラフで表示しています。そのため、MACDラインとヒストグラムを混同してしまいがちです。以下がその図です。

きちんと見比べてみるとMACDラインをこの棒グラフが代用しているのが分かると思います。(上図では、赤い線がシグナルですが、下図では青い線がシグナルです)

混同しない様に気を付けてください。

なお、ヒストグラムの山と谷は、実際の値動きの山と谷に一致しやすい傾向にあります。

ただ、実際にこの山と谷の判断は、リアルタイムでトレードした場合には意外と難しいため、むしろ利確ポイントとして最初は見ていた方がトレードしやすいかと思います。

さて、駆け足ですが、ざっとRSIとMACDの概要をお話してみました。

どのインジケーターでもそうですが、実際のトレードで使いこなすのは簡単ではありません。

概要を知ったからといって、分かった気にならず、きちんと使いこなせる様になってからトレードに臨むことが大切かと。

実際の使用例

さて、それではオシレーターの実際の使用例を挙げていきましょうか。

先述の通り、オシレーターはレンジに強くトレンドに弱いという傾向があります。

そのため、実際のトレードに用いる際は、トレンド系インジケーターと併用するのが常になります。

トレンド系インジケーターは、トレンドに強くレンジに弱いのが特徴です。

そのため、トレンド系とオシレーター系を併用することで、両者の長所短所を補完し合おうとするのが一般的なインジケーターの用い方です。

そうですねぇ、今回はストキャスティクスを使ってみましょうか。以下がその図です。

下降トレンド中、ストキャスティクスは赤丸で示した通り、買われ過ぎエリアまで到達せずにデット・クロスしています。なので、基本に忠実であればあるほど、売りでエントリーするチャンスはありません。

しかし、下降トレンド中なのに、売られ過ぎエリアではゴールデンクロス(青丸部分)を繰り返しています。なので、ここで教科書通りに買ってしまうと、損切りを多発してしまいます。

つまり、トレンド発生中にストキャスティクスのみに頼ってトレードすると、勝つことは難しいんですね。

ということで、ストキャスティクスの弱点を補うために、トレンド系インジケーターを表示してみます。

今回は、そうですねぇ・・・

このブログで度々登場する移動平均線を併用してみましょうか。移動平均線を用いて、トレンド判定を行います。

移動平均線でトレンドを見る場合は、通常2本か3本の移動平均線を表示することが多いです。今回は、20SMAと50MAの2本を使ってみましょうか。

移動平均線による下降トレンド判定は、

  • 上から「長い期間のMA」→「短い期間のMA」→「価格」の順番になっている
  • 基本的に全てのMAが下を向き出した

というのが条件です。

上図を見ると、20SMA(黒色の線)が50SMA(青色の線)とデット・クロスしたところから下降トレンドが始まったことが分かります。

で、今回は上手く20SMAで価格が抑えられて下落していってますので、MAだけでエントリーするのは可能です。

ただし、ここでストキャスティクスを併用することで、エントリーのタイミングを計りながら、自信をもって売りエントリーをすることが出来ます。下図を見てください。

下降トレンド中だということが分かっているため、相場が「買われ過ぎる」ということは滅多にありません。

なので、買われ過ぎエリアに到達せずとも、ストキャスティクスのデッド・クロス(青丸)でエントリーをすれば良いわけです。

上図では、20SMAに価格が抑えられた局面(赤丸)のどのタイミングで売りエントリーをしたら良いかを、ストキャスティクスは上手く提示してくれていますよね。

また、下降トレンド中なので、売られ過ぎるのは当たり前ですし、また基本的に買いで攻めることはありません。

ですから、ストキャスティクスが売られ過ぎエリアに到達しても、またそこでゴールデン・クロスをしたとしても、買いエントリーをすべきではないことが分かります。

むしろ、売られ過ぎエリアでのゴールデン・クロスは、利確ポイントとして活用できます。

以上の様に、トレンド系インジケーターを併用することで、オシレーター系インジケーターは威力を発揮します。

なお、上図はトレンドの強さが運よく20SMAに沿う形で展開しているため、20SMAで価格が止められていますが、さらにトレンドが強い場合は、そう上手くはいきません。下図を見てください。

価格は20SMAまで到達せずに下落を続けています。これじゃあ、MAだけでエントリーのタイミングは掴めません。

この場合、より短いMA(例えば10SMA)を表示して、そのタッチから反転下落するポイントを見つけたり、より小さい時間軸を見てタイミングを狙ったりしますが・・・

オシレーターを表示させている場合は、そんな手間はいらなくなります。

移動平均線が下降トレンドを示唆している間は、ストキャスティクスを用いて、デッド・クロスを戻り売り局面としてエントリーし続けていけば良いだけなんです。

このトレンドに関する詳しいお話は、「トレンドの正体」にてお話しています。まだ読んでいない方は、ぜひ読んでおいてください。

では、違う局面を見てみましょうか。

Aの部分を見てください。20SMAが横を向き出しました。

そして、20SMAは50SMAに糸が絡む様に絡みだし、50SMAも横を向き出します。

これ、移動平均線によるトレンド判定では、

トレンド・レス、つまりレンジということです。

となれば、レンジに強いオシレータは全開でその威力を発揮する場面です。

上図赤い丸部分を見てください。買われ過ぎエリアでデッド・クロスした場面で売り、売られ過ぎエリアでゴールデン・クロスした場面で買うことを繰り返していけば良いだけです。きちんと、収益になってますよね?

この様に、インジケーターを用いてトレードをする場合、一般的にはトレンド系とオシレーター系を併用することで、両者の得手不得手を補い合い、収益につながるトレードを繰り返すことが可能になります。

終わりに

さて、今回はさらっとオシレーターについてその概要をお話しました。そして最後には、実際のオシレーターの使い方をお話してみました。

しかし、今回お話したトレンド系インジケーターとオシレーター系インジケーターを併用してトレードするというのは、極めて一般的というか、教科書的お手本の様なトレード手法です。

しかし、多くの人がなぜ同じ様にインジケーターを表示させて勝てないのか?

それは、どこかに秘密があるわけではありません。

単に、本来あるべき姿のインジケーターの使い方をしていないだけなんです。インジケーターそれぞれが持つ本質を踏まえたうえで、

当たり前のことを、ごく当たり前に

トレードすれば良いだけなんですよ。当たり前のことが出来ないから、勝てないんです。

もちろん、当たり前のことを当たり前の様に実行するには、杓子定規にはいきませんし、簡単に出来るわけじゃありません。

まずはインジケーターの本質を捉えることが大切。

そして、

繰り返し繰り返し練習し、上手くその道具を扱える様になることが大切です。

それによって、特別面倒なことや秘密の手法を用いずとも、結果を出していくことは可能なはずです。

頑張ってください。

それじゃあ、また。

 

 

ジグザグと描く波の渡り方

プロローグ

相場の上げ下げを予想する人って結構いますが、実際のところ、その当り外れはトレーダーにとって、それほど重要ではありません。

だってね、下手なトレーダーは「上がる」と予想しても、買えば下がるし損切れば上がるわけで、負けた後から、

「上がる予想は当たってたのに・・・」

と言って悔しがるのが常ですから。

分析や予想が当たったところで、トレーダーにとっては、上手く獲れなきゃ意味はありません。

しかし、現在の価格と未来の価格との値幅を獲っていくのがトレーダーの仕事なのに、なぜ上げ下げの予想が当たっても上手く獲れないんでしょう?

それは、価格は一直線に進まず、ジグザグと波を描いて進むからです。

全体的に価格は上がっていても、その過程では上がったり下がったりするわけです。上がったところで買ってしまえば、その後は下がり出しますし、下がってきたところを売ってしまえば、その後に価格は上がり出します。

ですから、トレーダーの仕事というのは、上がる下がるを予想することよりも、

ジグザグと描く価格の波の、どこで入って、どこで降りるのか?

ということが重要なんですよね。

上手いトレーダーは、上がると分析し予想したとしても、実際の価格が下がりだしたのなら、その波に乗っていくか、次の波が来るのを待つものです。

そう、予想よりも、現実対応。それが、トレーダーの在り方です。

そこで今回は、価格がジグザグと描く波の乗り方について、僕なりのお話をしていこうかと。

(ただし、今回はエントリーポイント中心にお話します。エグジットのポイントについては、違う機会で)

まず、基本的なエントリーポイントの考え方をお話し、次に、その波にうまく乗れない人、特に高値掴みや往復ビンタを繰り返してしまう人にジグザグ感覚を身に着ける方法を僕なりの解釈でお話していきます。

そう言えば以前にも、「エントリーのタイミングをどう考えるか?トレンドフォロー編」で、その辺りのことは触れているんですが、今回はもう少し視点を変えてお話していきますね。

それでは、始まり始まり~!!

ジグザグの基本

平行レンジの場合

下の図は、もうお馴染みですが、平行レンジを単純化したものです。

で、この様な相場つきの場合、どこで買ってどこで売るかというと、これまたお馴染みのポイントとなります。もちろん、下図の様になりますよね。

更に、もう少し具体的にエントリーポイントを図説するならば、下の図の様になるかと。

上昇した価格が山の頂上を越えて下がり出したところで売り、下降している価格が谷間を越えて上がり出したところを買う。

つまり、単にラインにタッチしたから売買するのではなく、反転したのを確認してから売買をすることが、より適切なエントリーとなるわけです。

で、この売買のやり方、これが全ての相場局面における考え方の基本になります。

ジグザグと進む波の山越えで売り、谷越えで買うということですよ。

単に「知ってるよ」に留めるのではなく、実際にトレードで使える様にキッチリと頭の中に刷り込んでおいてください。これが、全ての基本になるんですから。

では、次に進みましょう。

チャネルの場合

下図は、これまたお馴染みのチャネルを単純化したものです。

そして、この下降チャネルの売買ポイントは・・・

そう、平行レンジの考え方と同じですね。以下の様になります。

上図は下降チャネルですが、上昇チャネルも考え方は同様です。

また、レンジには他にも様々な形(ペナント等)がありますが、考え方は基本的に同じです。

トレンド時の考え方

チャネルとトレンドの違い

実際にトレードしようとチャートに向き合った場合、「チャネル」と「トレンド」の違いが分からなくなる時ってありませんか?

ないですか?あーそーですか。

でも、このチャネルとトレンドは、そのロジックが似通っていることが意外にあるんですよ。実際のトレードで、その違いに気づかないと、判断を誤る可能性もあるんで、ちょっと、確認していきましょう。

では、もう1度、先ほどの下降チャネルの図を見てください。

ダウ理論における下降トレンドの定義は、「高値低値を切り下げながら価格は全体的に下降していく」ことになりますが、

上図の下降チャネルもまた、きちんと高値低値を切り下げています。

「なら、下降チャネルって、下降トレンドなんじゃね?」

ってことになってしまいそうです。

で、実際はどうかというと・・・

  • 下降トレンドが下降チャネルを形成しているパターン
  • 下降トレンドではない、つまりレンジとしての下降チャネルのパターン

の2つがあります。

上下する波の力関係だったり、相場全体との兼ね合いで判断するので、似ているからと言っても同じではありません。

例えば、下の図はユーロドルの1時間足チャート(以下、A図と呼びます)。

ぱっと見、下降トレンドですね。しかも、トレンドラインに平行して低値にもラインが引けます。下降チャネルを形成していると言えます。

しかし、本当に下降トレンドでしょうか?

もう少し詳しく見てみましょうか。まずはこの図に、中期移動平均線として75SMAを表示してみます。青色の線がそれです。

価格はほぼ、下降する75SMAの下で推移していますよね。

移動平均線を利用した下降トレンドの判別方法は、

「下降する移動平均線の下で価格は推移している」

ですから、その条件をクリアしてます。

また、この1時間足で見た局面を4時間足で俯瞰して見ると、

4時間足における下降トレンドの下降する波(推進波)の1つを形成していることが分かりますよね。

ですから、やはりこの局面は「下降トレンド」と言えることが分かると思います。

では、次にポンド円の15分足チャート(以下、B図と呼びます)を見てみましょう。

ぱっと見、下降チャネルを形成していますが、下降トレンドには見えません。

しかし、この値動きも、高値低値を切り下げていると解釈できなくもなさそうです(例が悪くてゴメンなさい)。だったら、下降トレンドなんじゃ?

ややこしいですよね。もう少し具体的に説明しましょうか。

先ほどと同様に、75SMAを表示してみます。

価格は下降する移動平均線の下で推移せずに、まるで75SMAを中心にして交差するようにして推移しています。

「下降トレンドとは、下降する移動平均線の下で価格は推移している」

という移動平均線を用いた下降トレンドの定義には反していますから、この局面は、下降トレンドではないわけです。

なぜ、この様な違いが生まれるかというと、それは上下する波の強弱の違いにあります。

先ほどのA図をもう一度見てください。

下降トレンドとは言え、価格は一直線に下落しているのではなく、ジグザグと上下に波を描きながら下降しています。

しかし、下降する波は上昇する波に比べ、長く、そして角度も鋭いのが分かると思います。つまり、下降波の方が勢いが強いんですね。

その状況で、高値低値を切り下げながら全体として下降していますから、移動平均線も下降し、価格はその移動平均線の下で推移し続けているわけです。

これが、下降トレンドの特徴です。(上昇トレンドはその逆ですね)

しかし、B図の方は、

高値低値を切り下げていると言ってもA図とは違い、上昇する波と下降する波の勢いに違いは明確にはありません。波の動きは比較的ランダムで、強く上げたと思ったら強く下げたり、弱く上がったと思ったら弱く下げたりしています。

ですから、移動平均線の角度も緩やかで、移動平均線をまたぎながら価格は上下しているんですね。

「トレンド」ではなく「レンジ」の特徴を色濃く残しているわけです。

ですから、このB図は下降トレンドではなく、下降チャネルであると言えるんですね。

ちなみに、このB図も1時間足で俯瞰して見てみましょうか。

見ての通り、上昇トレンド中の調整局面にあたるわけで、いわゆる「上昇フラッグ」と呼ばれるパターンとなっています。明らかにこの局面は下降トレンドではなく、レンジであることが分かります。

ということで、同じ下降チャネルであっても、レンジの場合と下降トレンドの場合があることが分かってもらえたと思います。

(混乱を避けるために、これ以降「下降チャネル」とだけ言ったら「レンジ」のことだとして、お話を進めていくことにします)

で、もう1度違いを端的にまとめると・・・

ジグザグと波を描きながら、高値低値を切り下げ続けていても

  • 下降チャネルは、上昇する波と下降する波の力は均衡
  • 下降トレンドは、下降する波が主流(強い)

と言えることになります。

では、違いが分かったところで、次にトレンドでのエントリーポイントの説明に移っていくとしましょう。

トレンドの場合

繰り返し言いますが、下降トレンドは下降チャネルと違って

  • 下降する波が強く
  • 上昇する波が弱い

と言えます。

下の図を見れば分かる通り、下降する波の力は上昇する波の力と比較すると、角度が鋭く長いですよね。

ということは、

下降トレンドの場合は、買いで攻めるのは難しい

ということが、自ずと分かってきますよね。

価格が上昇し出したと思って買ったとしても、勢いよく下落してきた波に飲み込まれて溺れてしまう可能性が高くなります。

反対に下降トレンドの場合は、下手なポイントで売ってしまって逆行しても、下降する波の勢力が強いので、結果的に救われる可能性が高くなります。

ですから、同じ様にジグザグと上下に波を描いていて価格が推移していても、平行レンジやチャネルの時とは違い、トレンドの場合は

  • 上昇トレンドなら買い一辺倒
  • 下降トレンドなら売り一辺倒

というエントリーの仕方の方が、リスクも低く抑えられ、最も効率良いわけです。

ですから、下降トレンド時のエントリーポイントで効率的なのは、平行レンジやチャネルの「買いポイントなしバージョン」になるわけで、図にすると

こんな感じになるわけです。

(下降トレンドの時に絶対に買ってはいけないということではありませんが、もしそれをするなら、それなりの技術を身に着けた上級者になってからチャンレンジしてください)

この辺の詳しいことは、

を読んでおいてください。読んでない人は必ず、読んだ人は復習を兼ねて、ね。

さて、ここまでの解説で、ジグザグと描く波のどこでエントリーすべきかが、分かったかと思います。

  • レンジの場合は、山越えで売って谷越えで買う
  • 上昇トレンドの場合は、谷越えで買うの一辺倒
  • 下降トレンドの場合は、山越えで売るの一辺倒

となるわけです。

でもねぇ・・・

言うは易し行なうは難しです。

頭の中で分かっていても、実際のトレードとなるとその通りに振る舞うのって、結構難しいんですよね。

ということで、ここまで解説した基本概念を踏まえ、この後は、もう少し実践よりのお話をしていこうかと。

ジグザグ感覚を身に着けよう

現実との乖離

頭の中の強烈な印象

さて、ここまででレンジとトレンドのエントリーポイントを単純化して説明しました。こういった風に整理してみると、エントリーポイントって意外とシンプルなんだなってことが、分かると思います。

 

が、しかし!

 

そもそも、値動きがジグザグと進むというのは、言われなくとも本当は皆、分かっているはずです。

こんな感じの横向いたレンジだったり、

上下に大きく波を描きながら上昇していく様子だったり、

そんな値動きが相場のほとんどだというのは、恐らくほとんどの人が分かっているはずです。

ところが、僕たちの頭の中で印象に残りやすい値動きというのは、先日のポンドの様に、

押し目も付けずに価格が「バイ~ン!」と一気に駆け上がる様や、反対に「ガラッ!」と一直線に暴落する様です。こういった状況が脳裏に焼き付けられてしまっています。

だって、上手く獲れたら歓喜し、獲れなかったら落胆するどころか机をたたいて悔しがったりしますから。その印象は強烈です。

逆に、価格がジグザグと進まれると、せっかく買って得た含み益が一時的に目減りすることが繰り返されます。それって、心地良いことではありません。出来ればそんな嫌な思いをすることなく、順調に含み益が増え続けることを望んでしまうのは、人の心の常です。

ですから、高値掴みや往復ビンタを繰り返してしまうトレーダーというのは、常に価格が一直線に進むイメージに引きずられてトレードを繰り返してしまっています。

実際にトレードすると・・・

その様なイメージが脳裏に焼き付いたまま、実際に相場にトレードしてしまえば、上手くいくはずがありません。

「ジグザグと価格は進むんだ。だから山越えで売って谷越えで買って」

と頭で分かっていても、リアルでチャートに向かっていると、こんな感じになっちゃうんじゃないでしょうか。

目先の値動きに、釣られるんですよ。

上図の様に価格が勢いよく伸びてくると

「あ!ブレイクした!」

みたいに感じてしまうんですね。「ジグザグ」という値動きの意識はどこか遠くへ行ってしまいます。

「ここを逃したら、もったいない!」

という勿体ないお化けに取りつかれ、飛び乗って買ってしまうんですね。

で、結局は次のような展開になるわけで。

買ったと思ったらそこが高値で反転下落。ブレイクしたと感じたラインも下回ったのでヤバいと思い慌てて損切りするわけです。

で、次の展開はというと・・・

損切りしたと思ったら、勢いよく反転上昇。しかも今度は先ほどの買いポイントを上抜ける始末。

「やっぱ、買いで正解だったんじゃん!チックショー!!」

と早計な判断を下してしまった自分を悔しがりながら、慌てて買い直すわけです。

しかし・・・

見事高値掴みを繰り返し、往復ビンタを喰らって、断末魔の叫びをあげてしまうという結末が待っています。

そして後日、冷静になってチャートを見直すと・・・

「ジグザグと上下する波の山を越えたところで売って谷を越えたところで買うってBOZのブログで勉強したはずなのに、

全く逆じゃん!

山の頂上付近で買って、谷底付近で損切り売りしてるって・・・

一体、自分は何をやってるんだ!!」

ってなるんですよねぇ。

トレンドが始まっていない時って、勝てないトレーダーはいつもこんな感じです。

恐らく、上昇する余地も下降する余地もたくさんある様に潜在的に思っているので、値動きを常に後追いしてしまうんですよ。

ところが、例えば上昇トレンドが既に始まってしまい、ある程度値が進んでしまった場面に直面すると・・・

今度は、さらに上昇を続けた場合の上値余地より、下落した場合の下値余地の大きさの方に魅力が生まれ、「ガラッ!」と一気に値が下落するのを、心の裏側で期待し出します。

そして、上昇トレンド中に値ごろ感から、逆張りを繰り返し出します。

これも、先ほど説明したトレンド中のエントリーの方法とは、全く逆ですよね。

上昇トレンド中では、売りを控え、谷越で買う一辺倒のはずでした。

しかし、勝てないトレーダーは、レンジの時と同様、トレンド中でも真逆のことをやり続けてしまいます。

で、上図の様に売り続たトレーダーは、負けに負けを重ね続け、もうこれ以上手が出せなくなったところが高値となって、

当初期待していた「ガラッ!」が、現実となります。

この様に、実際のトレードと頭の中でのトレードには乖離があるわけです。

かといって、目先の値動きに釣られているメンタルを責めたところで、何一つ改善されません。(経験者は語る)

じゃあ、どうやってそういった事態を改善していけば良いのでしょうか?改善策はあるんでしょうか?

ヒョウになろう

本来、ジグザグと描く波の山で売り谷で買うべきところを、その真逆に、山で買い谷で売ってしまうのは、初心者やトレードで勝てない人の典型的な行動パターンです。

そんなつもりはないのに、結果としてなぜそうなってしまうのか?

答えは簡単です。

ダメなパターンを繰り返してしまう人は、常に目先の値動きに振り回され続けているからです。

イメージとしては、動くおもちゃを闇雲に追っかけ回し続ける子猫みたいなものです。

しかし、きちんと波の山で売り谷で買うトレーダーというのは、その波の山や谷が来るのを待ち構え、タイミングを計って上手くその波に乗ろうとします。

イメージとしては、獲物が近づいてくるのを息をひそめて木の上でジッと待ち続け、射程距離にその獲物が入ったら、タイミングを見計らって獲物に飛びつくヒョウの様な感じでしょうか。

下の動画は、ヒョウが狩りをするシーンです。残酷だと思う人は見ない方が良いです。ただ、ゼロ・サムなFXトレードの世界は、これと同様に残酷な世界ですけどね。

いくらヒョウであっても、逃げ回る獲物を闇雲に追いかけまわしているだけなら、その狩りはほとんど成功しません。

それと同じなんですね。

トレードをするというのは、値動きを追いかけまわすのではなく、適切なポイントが来るのを待ち構え、タイミングをとって波に乗るということなんです。

トレードをする際は、自分がヒョウになることを意識してみて下さい。

ボリンジャーバンドで改善しよう

矯正するために

しかし、値動きを後追いすることが習慣化してしまった人にとっては、「山で売って谷で買う」というのは、至難の業です。

どうしても、目先の値動きを追っかけてしまいがち。もう癖みたいなもんでしょうかね。

そこで、こういった悪い行動パターンを矯正していく方法を見つける必要があります。

で、そんなアナタに僕がお勧めしたいのは「ボリンジャーバンド」です。

ジグザグと波を描くということを意識し、「山で売って谷で買う」ことを習慣化させるために、このボリンジャーバンドというテクニカルは、非常に有効だと僕は思っています。

なにせ、僕自身が実際に値動きの後追いを矯正するために使ったツールですから。

ということで、ジグザグを意識し、山で売って谷で買うことを習慣化させるためのボリンジャーバンドの用い方を、これからお話しようと思います。

なお、ボリンジャーバンドに関する詳しい使い方は、僕の「ボリンジャーバンドの使い方」シリーズに譲ります。

逆張り指標としてのボリンジャーバンド

インジケーターを紹介する程度の入門書において、ボリンジャーバンドは常に「逆張り指標」として紹介されます。こんな感じで。

赤い丸が+2σにタッチした場面で、売りポイントになります。青い丸が-2σにタッチした場面で、買いポイントになります。

まぁ紹介程度なので、素人相手にはこの程度の適当さで「何となく分かった気」にさせることはできます。

が、良く見れば分かる通り、実際はこれだけじゃ売買はしにくいのが現状です。(詳しくは「ボリンジャーバンドの使い方」シリーズをご覧ください)

でも、この売買ポイント・・・

  • 売りポイント=買ってはいけないポイント
  • 買いポイント=売ってはいけないポイント

と逆転の発想をして、もう一度見直してみて下さい。

そう捉えると、「失敗をしないため」の実践的なポイントとして様変わりして見えませんか?

え?見えない?

「買ってはいけない、売ってはいけないポイントとして見るも見ないも、そんな高いところでまさか買うわけないし、そんな安いところで売るわけないじゃん。バカにしてんの?」

とか思ってしまいましたか?

じゃあ、先ほどの往復ビンタを喰らった時のチャートをもう1度見てみましょうか。

このチャート図に、ボリンジャーバンドを表示してみます。

良く見てください。

買ってしまった2つのポイントは、ボリンジャーバンドでは買いポイントですか?

違いますよね。買ってはいけないポイントです。

じゃあ、損切りして売ったポイントは、ボリンジャーバンドでは売りポイントですか?

違いますよね。売ってはいけないポイントです。

つまり、実は勝てない人の特徴というのは、

後付けで見れば「買うわけねーじゃん」と思うポイントで、常に買ってしまいがちなんです。そして、後付けで見たら「売るはずがない」と思うポイントで、常に売ってしまいがちなんですよ。

しかし、これを見れば分かる通り、ボリンジャーバンドを用いると、買ってはいけないポイントと、売ってはいけないポイントを明確に提示してくれています。

目先の値動きに釣られて、価格の山で買ってしまうことを防ぎ、価格の谷で売ってしまうことを防いでくれるわけですね。

僕はボリンジャーバンドの真骨頂は実は、こういった見方にあると思うんですよ。

「ボリンジャーバンドは、売買してはいけないポイントを教えてくれる指標」

まずは、この考え方を頭に叩き込んでください。

順張り指標から派生した逆張り指標

ボリンジャーバンドとは、順張り指標から派生した逆張り指標です。つまり、順張り指標であると同時に、逆張り指標であるということ。

なので、この2つの特徴を意識してボリンジャーバンドを用いると、上手くジグザグを意識してトレードが出来るようになります。

実際の活用の仕方は簡単。

  • レンジの時は逆張り指標として用いる
  • トレンドの時は順張り指標として用いる

ということです。

具体的に見ていきましょうか。

レンジの場合

まず、レンジの場合のエントリーポイントを見直してみましょうか。

この平行レンジにボリンジャーバンドを表示したとすると、以下の落書きの様になります。

下手くそな図ですみません。

しかし、図でお分かりの様に、レンジの場合は、ボリンジャーバンドを逆張り指標として用います。

もちろん、これは単純化することで理解しやすいようにした図なので、実際のチャートではもっと複雑な感じになります。

先ほどのボリンジャーバンドを表示した平行レンジのチャート図で見てみましょう。

これ、ボリンジャーバンドを紹介するだけのいい加減な解説なので、もうちょっと実践的に解説していきます。

チャート左端からの矢印で記した様に、価格は上昇トレンドを描いていましたが、高値を越えられずに、まずはAで安値を更新します。

ここで、一旦トレンドは終了したと考えながら、次の値動きを見ます。Aが押し目となって、直ぐにトレンドが再開するかもしれませんし、このままレンジを形成するかもしれません。

下手なトレーダーは、Aの辺りで売りを仕掛けてしまいがちです。「これから暴落するかも!」なんて下心バリバリで。

しかし、Aは-2σの付近です。絶対に売ってはいけない場面です。

むしろ、Aで買って見るのは全然OKです。高値を越えていけば、上昇トレンドの押し目を拾えることになりますし、高値を越えられなくても、そこでエグジットすれば十分な利益を手にできます。

結果として、Bで直近の高値を越えられませんでした。また、価格は+2σに阻まれ、ボリンジャーバンドは横を向き出した様に見えます。

レンジの可能性大ですね。ここで利確します。また、+2σ付近は買いは控える場面であり、レンジ判断なので売りを検討する場面です。ということで、売ってみましょうか。

ちなみに、直近高値と同値で止められてますので、この時点で目安として赤い水平線を引いておきましょう。(低値の水平線は、この段階ではまだ引けません)

次に、Cで-2σにタッチしたので利確します。おまけに反転上昇し、かつ75SMA(青色)がボリンジャーバンド内に侵入して横を向き出しました。レンジの可能性は確信へと変わります。自信をもってここは買いですね。

その後、Dの直前で+2σに一旦値は抑えられます。水平線に届かず反転下落する可能性もあるので、ここで利確してOKです。

ただ、高値水平線には届いていないので様子見。Dで+2σを一旦越えて水平線に到達しますが、越えられません。+2σ内に引き戻されたので、ここで売りエントリーです。

次にEで-2σを一旦越えます。ここで利確。その後-2σは越えきれずに反転したので、ここで再び買いですね。なお、この段階でようやく目安となる低値が2本引けそうなので、ここで引いておきましょう(破線と実線)。

ところが、Eで買ったものの、上まで到達せずに再度下落し出します。低値ラインも一時越えてきました。

しかし、-2σは越えていませんし、ここは売り(損切り)をしてはいけないポイントでしたよね。バンドがエクスパンションし、明確にラインを越えていかない限りは堪えます。怖いけど。

で、その後はテクニカル通りに反転上昇します。ホッと一息ですね。Gでほぼ+2σにタッチしたのでここで利確します。

リアルな僕なら、先ほど損切りになりそうでヒヤヒヤしてメンタル疲れているので、恐らくここでドテン売りはできないでしょう。

その後、一旦ミドルバンドと75SMAに阻まれて再度上昇しますが、Hのところで+2σで上昇を阻まれます。セオリーとしては売り場面ですね。(ただ、詳細は省きますが、僕ならここもスルーするかも)

次に、Iでは-2σにタッチはしませんでしたが、水平線に阻まれています。無理にタッチする義務は値動きにはないので、すんなり利確、ドテン買いです。

が、またしても反転下落。損切りの準備をしてヒヤヒヤものですが、Jで-2σに届かず反転上昇します。ホッと一息。

Kの辺りで利確します。最初のタッチで利確しても良いですし、水平線まで我慢できればそこで利確してもOKかと。

ただ、ボリンジャーバンドはエクスパンションを始めています。ブレイクする可能性も考えて、エグジットせずに持って様子を見るのも手です。

で、その直後に水平線を価格はブレイクします。しかし、+2σは「買ってはいけないポイント」なので、新規買いは控えましょう。

ただ、実はこのブレイクしたポイント、上達したら買っても良い場面です。ただ、様々な条件を見極められないと失敗するので、勉強し始めの方は、セオリー通りに「買ってはいけない」として見送ることが大切です。

結果として、価格は戻ってきました。ここでロールリバーサルし、水平線に跳ね返されえて再度上昇するならば買いですが、水平線の下に潜ってしまいました。Lで売りですね。

で、以下は省略します。水平線とボリンジャーバンドに従って売買を繰り返すだけですね。

ただ、Pで売った後は、ライン越えた後に損切りですね。しかし、上級者なら、Pの後の矢印の値動きを見て「ブレイクするかも」と判断して、建値付近で薄利決済するかもしれません。しかし、それは別のテーマになるので割愛します。


このチャートは4時間足チャートです。実際のトレードでは、このチャートでチャートポイント付近に来たら、下位足に切り替えて反転するかどうかを観察し、タイミングを計ってエントリーしますが、ここでは割愛します。このブログの他の記事を参考にしてください。

さらに、このチャートは比較的大きな時間軸のため、+2σ付近もしくはそれを越えていても、実は下の時間軸でトレードできるケースがあります。これに関しては、この記事内でこの後に解説するつもり。


さて、以上の様な感じで、レンジには対応します。もちろん、下降チャネルでも同じです。

ここに先ほど同様、ボリンジャーバンドを表示した場合の落書きをすると、こんな感じになります。

もちろん、こんなに実際のチャートは単純じゃないので、実際のチャート図を下に載せておきます。

先ほどの下降チャネル1時間足にボリンジャーバンドを表示してみました。

やはり、単純化した図よりも、実際のチャートは複雑なので、細かく見ていくと、ボリンジャーだけをあてにして綺麗に全てを獲ることは難しいことが分かると思います。ラインはきちんと引かないと。

で、このチャートのトレードも解説したいのですが、先ほどの解説が長すぎたので省略します。皆さん、このチャート図を使って色々と考えてみて下さい。

ちなみに、上の図を15分足で見ると・・・

上位足でチャートポイント付近に来たのを確認したら、この様に下位足を表示してタイミングを計ります。下位時間軸でもボリンジャーバンド±2σとラインを越えられずに反転したのを確認して売買をするんでしたね。具体的なやり方は、他の記事を参考にしてください。

トレンドの場合

それでは次に、トレンドの場合を見ていきましょう。

まずは、トレンドの場合のエントリーポイントを再確認しておきます。

下降トレンドなら売り一辺倒、上昇トレンドなら買い一辺倒でした。

で、上昇トレンドの場合は、移動平均線は上を向き、基本的にはその移動平均線の上で価格が推移しているんでしたね。

では、その様な性質のトレンドにボリンジャーバンドを表示すると、どうなるんでしょうか?今まで同様、お絵かきをしてみました。すると、こんな感じです。

しかし、実際にはこの様な出来過ぎた上昇トレンドは、あまりありません。

なので、実際のチャートを使って、ボリンジャーを用いたエントリーポイントを説明すると、以下の様な感じになります。

トレンドには強弱があるので、どの移動平均線に沿って推移するかが、その都度違います。

先ほどのお絵かき図の様に、ボリンジャーのミドルバンド(20SMA)の様な短期移動平均線に常に止められるわけではありません。

75SMAの様な中期移動平均線に沿ってトレンドが形成されている場合は、そこまで押し目を形成することは珍しくありません。

そこで、ミドルバンドの付近と-2σに注目してください。上図では見やすい様にミドルバンドと-2σを緑色に表示してます。

で、この2本の線で囲まれた部分をゾーンとして捉えます。

そして上昇トレンド中は、このソーンが押し目買いを狙う領域にします。ゾーン付近またはゾーン内で押し目を付けて反転するのを待ち構えるんですね。

もちろん、上昇トレンド中の+2σ(上図では、赤色の線)付近は、値動きの上昇が抑えられやすい場面なので、絶対に買ってはいけないポイントとなります。

要するに、上昇トレンド中というのは、

  • ミドルバンドから-2σは谷を形成しやすいゾーンなので、買いを狙う場面
  • +2σは山を形成しやすい場面なので、買ってはいけない局面

ということになり、これを意識すると上昇トレンド中は、ジグザグと進む値動きが意識される様になります。波の山で値動きを後追いして買うことは避けられ、押し目を付ける谷を待ち構えて買い場を探す感覚が身に付くわけです。

なお、上昇力がより強い場合は、バンドウォークと呼ばれるように+2σ付近で上昇推移を続けたり、+2σを越えたまま上昇を続けることもあります。

この様な場合は、先のルールに従うと、なかなか買いポイントのゾーンにまで価格は落ちてはくれませんので、トレードできないことになります。

でも、それで良いんですよ。諦めましょう。

全ての値動きを捉えたいという欲望を満たすためにトレードするのはお門違いです。自分の技術で勝てる確率の高い場面を探すのが、トレードです。

下手に手を出してしまえば、高値掴みして負け続けていたころの自分に逆戻りですよ。相場では勝つこと以前に負けないことが大切なんです。

 

ただし!

 

実際は+2σ付近で上昇を続けていても、買うことが出来る場合があります。

もう1度、先の図を見てみましょうか。

青色の四角で囲われたAの部分を見てください。この局面は、+2σを越えているため、絶対に買ってはいけない場面でしたよね。

しかし、このチャート図は4時間足という比較的大きな時間軸のチャートです。このAの局面を下位時間軸で覗いてみましょうか。例えば、15分足でみるとこんな感じになります。

先ほどのAの部分が、上図15分足ではオレンジ色の四角で囲った部分になります。

これを見れば分かる通り、上昇トレンド中の買い狙いゾーンで押し目を何度か付けていますね(赤い丸の部分)。短い時間軸では、十分にトレードできるレベルです。

5分足で見ると、もっと押し目を拾いやすいかもしれません。

この様に、上位時間軸で相場の状況を把握しつつ下位時間軸を見れば、4時間足チャートでは手を出せなかった値動きも、十分な押し目を狙ってトレードすることが出来る様になります。

自分のトレードスタイルに合わせ、チャートに長めに張り付くことができるのであれば、こういった短い時間軸でのトレードも、積極的に取り入れていく必要があります。

さて、トレンド中における谷越えの拾い方は以上です。いわずもがな、下降トレンドの場合は、上昇トレンドと逆の考え方になります。

一応、下降トレンドのチャート例も挙げておきますか。

戻り売りを狙うゾーン(緑色の線で囲った部分)が上昇トレンドとは逆になりますね。

そうそう、今回はエントリーポイントの解説なので、エグジットの解説はおざなりにしてますが・・・

例えば下降トレンドの場合、保守的ならば赤色の線、つまり売ってはいけない-2σにタッチしたと同時に利確(買い)してもOKですし、ライン越えしたなら、終値が-2σのバンド内に戻るまで粘って利確しても良いです。もっと粘るトレードスタイルもありでしょう。

もちろん、トレンドが終了したと判断するまで、ずっと持ち続け、押し目や戻りで買い増し売り増しをし続けるというトレードのやり方だって、ありです。

これは各自の資金やレバレッジ、性格や取引時間の長短などトレードスタイルによって異なります。各自が最も適していると思うポイントでエグジットを検討してください。

ジグザグを捉えるために必要なこと

さて、エントリーポイントを捉える考え方と、ジグザグ感覚へと矯正するためのやり方の解説は、以上になります。

ただ、僕は事あるごとに言っていますが、

やり方や考え方を知ったからといって、出来るようになるわけではありません。

バック転のやり方を言葉で教えてもらったら、いきなりバック転が出来るようになるなんて、誰も思わないでしょ?それと同じです。

今回のボリンジャーバンドを使ったジグザグ感覚を身に着けるための解説も、同じですよ。読んだだけじゃ、上手くできないはずです。

実際にやってみると、想像しているよりも上手くいかず、分からないことだらけになると思います。

しかし、繰り返し繰り返し、検証と練習を行なうことでしか、その実践感覚を身に着けていくことは出来ません。

ただ、今は便利な時代です。

一昔前なら検証ソフトは有料のものしかありませんでしたが、今は無料でも十分にトレードの練習が出来る検証ソフトやアプリがあります。

iPhonを使っている人ならば、「ChartBook」というアプリが有名ですね。僕のスマホはAndroidなので使ったことないですが。

PCやAndroidスマホなら、「ThinkTrader」(旧「Trade Interceptor」)があります。

これら検証ソフトは、過去データを使うので、相場の経過時間のスピードを上げて取引を繰り返すことが出来ます。なので、リアル市場でデモ取引するのに比べ、短時間で膨大な取引を練習することが出来ます。

この様な検証ソフトを活用すれば、この記事で解説したやり方を繰り返し繰り返し練習し、自分の身に着けていくことの大きな手助けになります。

「ジグザグと進む値動きを捉える感覚を身に着ける」

年末年始のお休みを活用して、そんな目標を立ててチャレンジしてみるのも良いかもしれませんね。

それじゃあ、また。