ボリンジャーバンドの使い方(1)

前回お伝えした通り、今回は「ボリンジャーバンドの使い方」をお話します。良くある教科書的な内容に留まらない様に、トレーダーによるトレーダー目線でのお話になればなと。

ボリンジャーバンドとは

まぁ簡単に言うと、ボリンジャーバンドとは、移動平均線とその上下に標準偏差を表す線を表示したテクニカルです。

標準偏差って?・・・となるんですが、そんなことよりとりあえずは、ボリンジャーバンドを表示したチャートを見てみましょうか。

分かりやすい様に真ん中の線を赤くしてみましたが、その赤い線が単純移動平均線で、ボリンジャーバンドでは「ミドルバンド」と呼ばれています。このミドルバンドの設定期間ですが、最もメジャーなのは20期間です。人によっては、フィボナッチ指数を用いて、21や13を使う人もいます。

ミドルバンドの上下にいくつかの緑色の線がありますが、これがボリンジャーバンドと呼ばれる線で、標準偏差を表したものです。

標準偏差に関しては、詳しくは他に譲ります。僕は座学としてこのボリンジャーバンドを説明するつもりはあまりないので。

とりあえず、移動平均線から価格が「これ以上離れないであろう確率」を表したのが標準偏差だと思ってもらってOKかと。単位はσ(シグマ)で表し、+σは移動平均線の上、-σは移動平均線の下に表示されます。価格がこれ以上離れないであろう確率は

  • ±1σ ・・・約68.3%
  • ±2σ ・・・約95.5%
  • ±3σ ・・・約99.7%

となります。最もメインで使われているのは、±2σです。

±2σのバンド(線)内にほとんどの値動きは収まると知っていれば、確率の具体的な数字は忘れてもらって結構でです。トレードには何ら支障はありません。

ただ、相場とは常に行き過ぎるものなので、実際にこの確率内に値動きが収まるかというと、「そうでもない」と思っておいてください。

で、今回の説明で用いるボリンジャーバンドの設定ですが、

  • ミドルバンドには20期間
  • ボリンジャーバンドは±2σ

という最もメジャーかつシンプルなものを使用します。最も多くの人が見ていると思われる移動平均線の期間を使い、余計な表示を排除して、最もメジャーなバンドを上下に1本ずつ表示するだけです。

こんな感じになりますかね。

1つ前に提示したチャート図に比べると、随分すっきりしたと思います。ただ、僕は値動きそのものを大切にトレードしたいので、これでも結構邪魔です。

ライントレードの手法で用いる際は、もっと目立たない色を選択して使うことになると思います。しかし、ここはボリンジャーバンドの解説なので、このまま行くとしましょうか。

トレードにボリンジャーバンドを使う意味

ボラティリティという言葉を知っていますか?ボラティリティとは価格変動率のことで、簡単に言うと値動きが激しいか少ないかのことです。

基本的にトレードというのは、値幅を獲る仕事です。なので、ボラティリティが高まっている時にトレードをします。逆に、ボラティリティが小さくなっている時は値幅が獲れないので、トレードを控える時になります。

言われてみれば、「そんなの当たり前じゃん」ってなりそうですが、実際にトレードする際には、意識されてないことが多いんじゃないかと。

そこで登場するのがボリンジャーバンドです。

ボリンジャーバンドは、ボラティリティを視覚化してくれる特徴があります。ボラティリティが大きい時は、上下のボリンジャーバンドが大きく開き、ボラティリティが小さい時は、逆に小さくしぼんでいくんですね。

先ほどの画像にボリンジャーバンドを重ねて表示してみると、こんな感じになります。

より細かにボラティリティの変化を表してくれてますね。

また、ボリンジャーバンドは、ボラティリティの高低だけでなく、その方向性も示してくれます。ミドルバンドを中心としたバンドが向かう方向が、価格の移動する基本的な方向です。

ボラティリティの大きさと方向性を視覚化してくれるボリンジャーバンドは、その性質を活かしてトレードを行なうことになります。

ボリンジャーバンドのパターン

ボリンジャーバンドの上下が大きく開く様子を「エクスパンション」(拡張)と呼び、小さくしぼんでいる様子を「スクイーズ」(縮小)と呼びます。

そして、ボリンジャーバンドを用いてトレードを行なう場合、そんなボリンジャーバンドの動きをパターン化して捉えた方が、判断しやすくなります。バンドの動きのパターンは、大きく分けると5つです。

  1. バンド幅が狭く横ばい(スクイーズ)
  2. バンド幅が拡張(エクスパンション)
  3. ミドルバンドが進む方向と反対側のバンドが反転(順行)
  4. ミドルバンドが進む方向のバンドが反転(スクイーズの開始)
  5. バンド幅が広い横ばい

まずは、1~4までをぱっと見、チャートで確認しましょう。

ボラティリティが低くなっている時、ボリンジャーバンドはスクイーズしています(1)。

その後、爆発するかの様にボラティリティは高まり、価格が上昇を始めると、ボリンジャーバンドはエクスパンションをはじめます(2)。

エクスパンションしたバンドはその後、発生したトレンドと反対側のバンドだけが反転をはじめます(3)。ボラティリティの拡大が落ち着いたことを表しています。

この状態からトレンドが続く場合は、上下のバンドがほぼ平行に並んで続く順行状態となります。この際、トレンド側のバンドに沿う形で価格が移動する様子を「バンドウォーク」と言います。

しかし、このボラティリティが収まってくると、今度はトレンド側のバンドも反転をはじめ、両側のバンドが縮小をはじめます(4)。

この様に、ボラティリティは縮小と拡張を繰り返しながら、価格は移動しているわけです。ボリンジャーバンド的に言えば、スクイーズとエクスパンションの繰り返しで相場は形成されているということになりますね。

では、この5つのパターンをそれぞれ、実際のトレードに則しながら、もう少し掘り下げて説明していきたいと思います。

1.スクイーズ

上下のバンドが縮小した状態が、スクイーズです。その際、バンドはほぼ横ばいとなっています。

このスクイーズした状態というのは、値動き的に言えば、狭いレンジ相場の時です。なので、フォーメーションを形成していることもあります。

ちょっと、見てみましょうか。

Ⓐのスクイーズの場面は、典型的な狭いレンジ相場で、俗にいうレクタングル(四角)・フォーメーションを形成しています。

様々なフォーメーションは基本的に値動きの収束場面なので、それに伴ってボリンジャーバンドもスクイーズしています。

Ⓑのスクイーズの場面では、価格の高値安値にはばらつきが見られます。レンジ相場には変わりないのですが、フォーメーションとしては判断しづらいですよね。

しかし、こういった場合でも、ボリンジャーバンドは価格の上下動の範囲を目安として提示してくれます。

ボリンジャーバンドは「ほとんどの確率で値動きがこの中に納まる線」でしたよね。これを越えて価格が突き進むことは滅多にない線でした。

なので、高値安値がバラバラであっても、ボリンジャーバンドに当たって反転したり、越えてもすぐにバンド内に戻ってしまっているのが分かると思います(オレンジ色の丸部分)。

この様に、ボリンジャーバンドは、様々な狭いレンジ相場をスクイーズという形で僕らに知らせてくれます。

また、一般的にこのスクイーズの状態というのは、エネルギーを貯め込んでいる状態だと思ってください。このスクイーズの期間が長ければ長いほど、エネルギーが沢山蓄積されていくので、エックスパンションを起こした際の値動きは大きくなる傾向にあります。

スクイーズのパターンにある場合、値動きはほとんどないので、トレードは控える方針となります。エクスパンションが起こるのをじっと待ち構える期間ということですね。

2.エクスパンション

上下のバンドが一気に広がっていく状態がエクスパンションです。スクイーズの期間が長ければ長いほど、エネルギーが一気に放出するかの様に大きなエクスパンションが起こる可能性が高くなります。

そのため、エクスパンションの開始当初は、±2σを越えたまま価格が伸びていくことが多くなります。

また、価格とミドルバンドが向かう方向にトレンドが発生する傾向があります。

スクイーズからのエクスパンションとは、狭いレンジをブレイクした形、いわゆるレンジブレイクの状況を表しています。

ボラティリティのところでお話した様に、ボラティリティの低い時から大きな時へとトレードするのが、最も値幅を獲りやすいタイミングです。

なので、エクスパンションが起きたら、その初動を捉えて、価格が動いた方向へとエントリーするのが基本となります。

先ほどのチャートで確認してみましょう。Ⓐの箇所を見てください。

ボラティリティが一気に高まる状況なので、躊躇していると価格はどんどんと進んでしまいます。乗り遅れない様に、出来るだけエクスパンションの初動を捉えることが肝心です。

ただ・・・

近年は、このスクイーズからエクスパンションには、ダマシが多くなっている様に感じます。先ほどのチャートのⒷを見てください。

エクスパンションの初動を捉えて飛び乗ったら、ダマシにあったパターンですね。その後、反転上昇して大きく値を伸ばしています。

こういったことは、多々あります。他にも、これとか。

次は、結構酷いです。

次なんて、もっと酷い。

いや、挙げたらキリがないくらいです。正直な話、単純にスクイーズからのエクスパンションに飛び乗ったら、騙される確率の方が近頃は高いんじゃないかと。

特に、ポンドがらみの通貨ペアは。しかも欧州時間が始まる前後はね。

きちんと検証してダマシの頻出確率調べたわけじゃないですが、僕は痛いほどこれで狩られ続けた経験があるんで、身にしみて感じてます。

ダマシの回避法は、いくつかあるでしょう。例えば、レンジブレイクでよく使われる「レジサポ・サポレジ確認後にエントリー」というヤツ。

要するに、エクスパンションしたら直ぐに飛び乗るんじゃなくて、ブレイク直後に一旦戻しや押しが入るのを待ち、再び反転したらエントリーするというヤツです。

ただ、エクスパンションした後は、押しや戻しを付けずに一気に駆け上がることが多いですので、そんな時は入るタイミングが見つからず、一気に上昇したり下落している様子をただ指をくわえてみているだけになります。

それで良いですか?

良いんですよ。何もかも欲しがる強欲ぶりは、結局負け続ける根本的な原因です。目に入るもの全てを欲しがるんじゃなく、獲りやすい場面だけを狙って獲りに行くんです。

まぁ、他にもダマシ回避の方法は色々あるんでしょうけど、今回は手法を解説する記事ではないので、これに関してはこの辺で切り上げるとします。

3.順行

エクスパンションは、ボラティリティの拡大が始まったことを示しますが、それが落ち着いてくると、ミドルバンドと価格が向かう方向とは逆側のボリンジャーバンドが反転し出します。

トレンドが継続する場合は、そのまま上下のボリンジャーバンドがほぼ平行になりながら価格は移動していきます。僕はこの状態を「順行」と呼んでいます。(誰かが、そう言ってたと思うんですが、誰かが思い出せません)

ただここで注意してほしいんですが、ボリンジャーバンドの解説だと、

エクスパンション → 順行 → 縮小開始 → スクイーズ

といった流れで説明されるので、順行は常にエクスパンションで始まり縮小を始めると終わると勘違いされやすいのですが、そうとは限りません。

つか、クネクネと蛇行をしながら、順行を続けていることの方が、結構多いです。

ちょっと見てみましょう。

細かく見ていけば、順行から短いスクイーズと短いエクスパンションが見られる箇所もあります。

が、この図からも、必ずしも順行はエクスパンションから始まって縮小で終わっているわけではないことが分かります。

順行のパターンの時のトレードの方針ですが、トレンド発生までと行かなくとも、値動きの方向性はハッキリしている状態ですから、ミドルバンドの方向性と同じ方へとエントリーするのが鉄則です。

ただ、順行中にさらにボラティリティが高まることは、ほぼありません。なので、価格が伸びているからといって、それを追う様にして飛び乗ると、いきなり反転して損切り・・・なんて憂き目にあったりします。

なので、トレードの方針としては、押しや戻しを待っての順張り(トレンドと同じ方向へのエントリー)です。

押しや戻しの目安ですが、ボリンジャーバンドのみで判断する場合は、

  • ミドルバンド付近まで来て反転
  • ミドルバンドに跳ね返されるようにして反転
  • ミドルバンドを一旦抜けるも、再びミドルバンドを越えてきた
  • 値動きとは反対側のボリンジャーバンド(上昇しているなら-2σ、下降しているなら+2σ)にタッチして反発したところ

となります。ただし、あくまでミドルバンドに方向性がハッキリしている時のみのエントリーとなります。

確認してみましょう。

赤い丸の部分は、ルール通りに押しや戻しを待ってエントリーすべき箇所です。結果、そのトレードは成功しています。

オレンジ色の丸の部分は、ルール通りのエントリー箇所ですが、結果的に失敗した可能性の高い箇所です。素直にバンドにタッチした時点でエグジットすれば利益になりますが、方向性がハッキリしているため、多くの場合は「高値更新するぞ」という欲が出来ます。その願望でもう少し粘ってしまったら、損切りする羽目になりそうな場面です。

緑色の丸の部分は、エントリーを見送るべき箇所です。

緑の丸において、最初の3か所は、ミドルバンドが横を向いたり方向性を変えてきたりなど、微妙なところです。こういったところは、見送る必要があります。

緑の丸の後半の4箇所は、ルール通りの箇所ですが、バンドがかなり縮小している場面です。ボラティリティの縮小局面はトレードは控えるべき場面でしたね。

上図のチャートだけで言えば、エントリーしても獲れる可能性はありますが、常にそう都合よくはいきませんので、ここは見送った方が賢明です。

特にトレンドがある程度継続している場面で、トレンドを継続させながらバンドが縮小する時はトレンド終了を示唆することが多々ありますので、注意してください。

4.スクイーズの開始

順行が始まる時は、トレンドとは反対方向のバンドが反転しました。しかし、この状態からボラティリティの低下が始まると、今度はトレンド方向のバンドが反転しはじめ、バンドの幅が縮んでいきます。

これは改めて図で説明する必要はないでしょう。

ボラティリティが縮小していく場面なので、トレードは見送る場面となります。既にポジションを持っている人は、利益確定の決済を検討する場面ですね。

では、おさらいの意味も込めて、1~4までのパターンを改めて確認してください。

さて、では次に5番目のパターンを見ていきましょうか。

5.バンド幅が広い横ばい

ミドルバンドがほぼ横ばいですが、スクイーズの時とは違ってバンド幅が広いまま継続してくパターンがあります。

スクイーズは狭いレンジ局面ですが、このパターンは広いレンジ相場を示しています。

このパターンは、大きな時間軸でしか見られないのが特徴です。5分足や15分足ではほぼ皆無です。値幅の広いレンジ相場においては、バンドをクネクネと蛇行している状態になるからです。

このパターンが見られるのは、1時間足以上になります。ただし、1時間足はやや判断しづらい形となって現れます。

①は期間も短くやや先細り気味ですが、1時間足の中では比較的判断しやすい形状です。

②はバンドが波打っており、「バンドが幅広で横ばい」とは判断しづらいです。上図は既に出来上がったものを見ているので、見えなくもないですが、リアルタイムでこの値動きが形成される過程では、小さなスクイーズとエクスパンションを繰り返しており、バンドの形状に頼ってトレードしようとすると上手くいかないことが多いかと。

ある程度「横向きの幅の広いバンドが続いている」として判断しやすいのは、4時間足以上になるかと。

このパターン5では、上のボリンジャーバンドで売り、下のボリンジャーバンドで買うというレンジ内取引をするのが、トレード方針となります。

しかし、ここで1つ疑問を持った人いませんかね?

「一体どこまでが狭いバンド(スクイーズ)で、どこからが幅広のバンドなのか?その境目は?」

確かにそうなんですよ。見ようによっては、スクイーズしてると言ってもまだ足りないと思う幅もあるでしょうし、幅広と言っても十分スクイーズしている程度の幅もありますしね。

おまけに多くのチャートソフトの画面は、表示する値動き全体に合わせて拡大縮小します。同じ値幅でもケースバイケースで大きく表示されたり小さく表示されるんですから。

で、結論から言うと、

バンド内部(レンジ内)で、トレードが可能な値幅があるかどうか?

という基準で判断します。

僕はデイトレーダーですし、このブログはデイトレード向けに解説しています。なのでそれを基準としてお話すると、バンド内部の値幅が

  • 20pipis未満は完全にスクイーズ
  • 40pips以上は完全に幅広
  • 20~30pipsはケースバイケース

としています。分けた基準は「レンジ内取引がしやすいかどうか?」です。

レンジ内取引とは、レンジの上限で売りレンジの下限で買うを(場合によっては繰り返し)行なうトレードのことです。

単純化した図だと以下のようなものを見かけます。

まぁ、現実のトレードはそんなに単純ではないので説明を加えますが、現実問題、レンジの上限下限ピッタリで売買を繰り返すのは難しいんですね。

なぜなら、レンジ上限に当たった時点では反転するのか抜けるのかは、分からないからです。

レンジ上限で売るには、そこから価格が反転したのを確認する必要があります。となると、レンジ上限よりも下で売ることになるわけですよね。

反転確認に要する値幅は、狭くて数pips、広ければ20pips以上を必要とすることだってあります。更には取引にはスプレッドがかかるわけで。

ですから、実際のレンジ内取引の場合は、

実際に獲れる値幅 = レンジの値幅 ー 反転確認に要した値幅(往復分)ー スプレッド幅(往復分)

となります。

で、この実際に獲れるであろうと踏んだ値幅に対して、リスク許容額、つまり損失した時の値幅がどのくらいになるかを割り出します。

獲れるであろう値幅:損失した際の値幅 = 2:1

が理想ですが、最低でも 1.5:1 は欲しいところです。

もちろん、これよりも比率が悪い場合は、ノートレードです。参入する意味がないからです。つまり、バンドはスクイーズしていると判断します。

で、その基準が先に示した

  • 20pipis未満は完全にスクイーズ
  • 40pips以上は完全に幅広
  • 20~30pipsはケースバイケース

となるわけです。

もちろん、トレードスタイルや手法、状況によって変わってきます。各自のスタイルに合わせてケースバイケースのところは判断した方が良いかと。

ただ、もっと知っておいてほしいのは、先の上記の単純な図よりも、値動きはもっと複雑だということです。

レンジ上限下限が一定だということは、むしろ稀ですし、レンジ内の値動きは不規則です。図で示した様な教科書的にトレードできる場面というのは、実際には少ないです。

先に上げた図の①を、もう1度見てください。

①は、1時間足では比較的分かりやすいバンド幅の広い形状であると、先ほどお話しました。既に出来上がったチャートで見れば、普通に獲れそうな局面ですし、多くの解説者は獲れる様な解説をします。

しかし、この分かりやすい局面でもリアルでトレードした場合は結構難しいです。

では、実際にリアルトレードしている気分で、①の左側から見ていって、右側部は見えないと思いながら、チャートを細かく見ていきましょう。以下の解説は、ボリンジャーバンドのみを使ってトレードしている前提です。

まずはAの辺りを見てください。リアルタイムでチャートを見ていたら、スクイーズからのエクスパンションとして高値掴みしやすい場面です。

慎重派はここを見送り、少し様子を見てAで反転したことを確認して売りを建てます。また、高値掴みした人も損切りドテン売りの場面です。

Aで売りを建てた人はBで決済できます。ボリンジャーの下のバンドに到達しましたからね。

じゃあ、Bで買いを建てるセオリーを実行した人は、どうなるか?

Cの場面では、ミドルバンドが下を向き始めてます。上下のバンドも下を向き始めてます。ほとんどの人は危険を感じてCの反転場面で決済するか、Dの辺りで建値決済(損失ゼロ)するでしょう。

Eまで持っていれば利益になりますが、恐らくこのチャートのボリンジャーバンドのみで判断してEまで持てる方が不思議です。

Eまで持てた人は、むしろ「損をしたくない」という感情が勝って決済できず、「上がれ!上がれ!」と願いながら持っていたらたまたまEまで到達して勝てたというパターンがほとんどでしょう。

運が良かっただけなので、これを実力と勘違いしたらトレードが上達しません。

Dでのエントリーはボリンジャーバンドだけだと根拠が乏しいので見送りです。

Eの場面では売りを建てやすく、Fで決済しやすい局面です。ここは逃したくない場面ですね。

Fではセオリー通りの買いエントリーも出来ます。下のバンドは上を向いてますが、上のバンドは平行です。買いなら、まだいけそうですね。ただ、全体的にバンドは縮小傾向にあるので油断はできません。慎重派なら、見送る場面かも。

で、Fで買った人の多くはバンドがスクイーズを始めたので薄利決済で一旦逃げているかもしれませんね。

次のスクイーズからのエクスパンションまで持っていた人は、相当な値幅を獲れましたが、正直なところ、ここまで持つ根拠がボリンジャーバンドだけでは見当たりません。スクイーズし始めたらトレードを控えるのがセオリーですから。

ルール違反を犯してまでポジションを保留していた人は(他のテクニカルの根拠を予め持っていたならOKですが)、この局面で勝ったとしても、基本的に感情だけのトレードしているだけなので、実際はトレードが下手な人です。

この手の人は、たまたま勝ったことに大喜びして、何も反省しないので、いつまで経っても下手なままです。むしろ、勝ったことを後悔すべきです。

身に覚えのある人は、気を付けましょうね。(僕は過去に身に覚えがあり過ぎて、むしろ思い出したくもないくらいですが)

この様に実際にリアリティを持ってチャートを見ると、一見分かりやすそうな局面でも、教科書通りのトレードをするのは難しいということが分かってもらえたかと思います。


以上、5パターンの解説ですが、この分類の仕方に関して僕は、バカラ村さんのDVD「15時からのFX ボリンジャーバンドとフォーメーション分析」を参考にしています。興味のある方は、どうぞ視聴してみてください。ボリンジャーバンドだけでなく、上位足と共にボリンジャーを見る使い方や、フォーメーション分析、取引時間など、非常に参考になるお話がされてます。

ただ、これが発売された時から見ると、今その解説のままトレードが出来るかどうかは、正直なところ疑問符が残ります。あと、バカラ村さんのお喋りは、あまり上手くありません。

でもまぁ、その辺を差し引いても、ためになるDVDだと思いますよ。下手なトレード本を買うよりは、ね。

ただ、ボリンジャーの解説だけ知りたいならとか、僕のライントレードに活用するためにボリンジャーだけを知りたいなら、僕のブログ解説だけで十分です。観る時間は、トレードの練習と検証に充てた方が良いかと。


さて、解説が長くなってしまいました。書き始めた当初予定していたよりも、かなり長くなってます。

なので、今回は一旦ここでお終いにします。

トレーダーとして、実践的にボリンジャーバンドを用いるための注意事項等は、次回に持ち越すとしましょう。

それじゃあ、また。

これがBOZ流!ライントレードの基礎6

前回は、BOZ流ライントレードにおける環境認識についてお話しました。

次に、手法へと入っていこうと思うのですが、実際に手法へと具体的なお話を進める前に、予め知っておくべき事柄がいくつかあります。

今回は、それらについてのお話になります。

BOZ流ライントレード、その手法の前に

セットアップとトリガーについて

手法には、セットアップとトリガーが存在します。知っている人、知らない人を含め、BOZ流ライントレードを使いこなすには必要なことなので、まずはきちんと説明しておこうかと思います。

トリガーとは

トリガーとは、俗に「仕掛け」とも言われるもので、実際に取引を開始するためのシグナルのことです。別の言い方をすると、エントリーのタイミングを計って実際にエントリーするための条件のことで、

「インジケーターAが◯◯した時に、インジケーターBが△△したら、エントリー」

みたいな、実際にエントリーするための具体的な合図のことを、トリガーと言います。

世間一般では「手法」というと、このトリガーのことを指していることが多い様に思います。

ただ、実際は単にこのトリガーが成立しただけでトレードが上手くいくわけではありません。まぁ、2つか3つの合図でエントリーして勝ち続けられるんだったら、誰だって名トレーダーになれますもんね。世の中、そんなに甘くはありません。

セットアップとは

セットアップとは、「取引をするためには事前にこれだけの条件が揃ってないと、エントリーできませんよ~。」という、それら条件群のことです。

要するに、トリガーの前提条件です。セットアップが完了しなければ、どんなにシグナルが発せられようがトリガーを発動させてはいけません。

鯉釣りに例えて考えてみましょう。釣り糸にウキやおもりや釣り針を付けて仕掛け(トリガー)を作ります。で、水面に仕掛けを垂らして、ウキがピクピクっと反応(シグナル)したら、鯉が釣れる・・・とでも?

何も考えずに仕掛けを水面に垂らし、ウキがピクピクっと反応したとしても、釣り針に引っ掛かるのは、ゴミだったり岩だったり。風や波による気のせいかもしれません。

もし、その仕掛けを垂らした水面が、海だとしたら?鯉は淡水魚なので、海じゃ釣れません。

川であっても、山奥の渓流に鯉は生息していませんし、川の中流でも、川のど真ん中ではなく、鯉の餌がありそうな草陰の方でなければなかなか釣れません。真昼間に鯉は餌になかなか食いついてきませんから、早朝に釣り糸を垂らす必要があります。

鯉を釣るには、仕掛けだけでなく、色んな条件を満たしている必要があるんですね。そしてそんな条件達を「セットアップ」と呼びます。

話をトレードに戻しましょう。トレードの場合、よくある様な例を挙げると、

「日足、4時間足の価格は20MAと共に上昇しており、上昇トレンドが確認される」
「1時間足の10MA、20MA、40MAがパーフェクトオーダー」

という条件が揃った(セットアップ)場合にのみ、

「5分足が20MAに接近した後にロウソク足が反発、ストキャスティクスが20%ライン以下でゴールデンクロス」

というトリガーによって買いエントリーされる。

といった感じでしょうかね。もちろん、BOZ流では、この手のセットアップは用いませんが。

とりあえず、エントリーするためのトリガー、そしてそのトリガーを発動させるための前提条件であるセットアップ。このトリガーとセットアップを合わせたものが、いわゆる「手法」というものだと理解できたでしょうか?

で、セットアップは、トリガーを発動するための「背景」であるため、このセットアップに環境認識で得た情報を用いることは、一般的に多いと思います。

なので、「環境認識と手法」と「セットアップとトリガー」というのが、割とゴッチャになってる印象があります。

しかし、BOZ流では前回お話した様に、環境認識は相場環境の秩序を見出すこととしているので、環境認識は環境認識、手法は手法、そして手法の中にセットアップとトリガーがある、として明確に区別しています。

恐らく混乱しないと思うので、ご安心を。

重要なのは、セットアップ

よく極論として、

「環境認識がしっかりできていれば、手法なんてどうでも良い」
「セットアップがきちんと出来ていれば、トリガーはたいして重要ではない」

という言い方がされます。もちろん極論としてですが。

しかし、そう言ってしまうほどに、環境認識やセットアップとうのは重要なんですね。

時代時代で、億を稼ぐ様なトレーダーが注目されますが、一時を過ぎるとそれらトレーダーは相場から消えてしまっています。実際のところ、時代を越えて勝ち続けるトレーダーというのは、ほんの一握りです。

なぜか?

トリガーばかりに焦点が当たっていて、セットアップ(環境認識も含む)のことなど、何も気にしていないからです。

例えば小泉政権時にネット・トレードが一般的になってきた頃や、アベノミクスが始まった頃などの株式市場は、単純に相場全体が何年にも渡って上昇相場を形成していたわけです。

そんな中では、どんな手法であろうが、買えば儲かるんです。だって、上がり続ける相場なんですもん。

つまり、どんなにトリガーを駆使してトレードしていると思っていても、トレードしている本人たちが気づかないところで、偶然にそのトリガーに適切なセットアップが整っていた、ということです。

ですから、そのセットアップとなる相場の背景や前提条件が時代と共に崩れていくと、そのトリガーも機能しなくなるわけで。

本人は、その理由もわからず、今まで勝ち続けていた手法で、今度は自らを滅ぼしていくことになります。

そういえば、FXでも以前は着物トレーダーとかミセス・ワタナベと呼ばれた人達がいましたね。スワップ狙いで外貨を買っていたわけですが、あれが儲かったのも「円安」という大前提があったからです。

しかし、リーマンショックにより急激な円高に振れた途端に、彼女たちのほどんどははじけ飛びました。そして、今度は急激な円高に乗ってショートで儲かった人たちが現れますが、円高が落ち着いた辺りで、彼らの多くもはじけ飛んだ様です。

この様なことからも分かる通り、セットアップというのは、とても重要です。

で、BOZ流においても、それは同様です。トリガーよりもセットアップの方が重要で、それさえシッカリしていれば、トリガーは各自の好みでもOKだと思っています。

それほどまでに、セットアップは重要だというです。

監視時間軸について

BOZ流ライントレードでの監視時間軸は、基本的に1時間足を主軸としています。必要に応じて、違う時間軸にその都度切り替えてトレードをします。

なので、MTF(マルチタイムフレーム。複数の時間軸のチャートを同時に表示させるやり方)は使いません。

また、5分足などの小さな時間軸でずっとチャートを監視し続けるのも、禁止です。

理由は簡単。小さな時間軸のチャートを常に表示させておくと、そちらばかりを気にしてしまうからです。初心者や勝てない人は、細かい目先の値動きばかりが気になります。

しかし、デイトレードにおいてチャートを注視しなければならない時、つまりチャートポイント付近に到達した時というのは、1日にそう何度もないんですよ。

にもかかわらず、相場の状況をある程度俯瞰せずに、小さな時間軸ばかり見ていると、大局を見失いがちで、目先の小さな値動きに反応しただけの取引を行いやすくなります。常にエントリーできそうな局面の様に見えてきて、ポジポジ病も発症しやすくなるんですよ

そういった意味でも、分足チャートを常に表示しておくことは得策とは言えません。つか、禁止しています。

また、1時間足以上の時間軸も常に表示しておく必要はないと考えてます。なぜなら、環境認識を行うにおいて、BOZ流では必ず週足レベルから日足、4時間足、1時間足へと落とし込んでいますから。

特に日足チャートは、ロウソク1本の形状が変わるだけですから、常に表示する意味はあまりありません。大きな時間軸は、たまに切り替えて確認する程度でOKかと。

基本的に1時間足チャートで監視し、必要に応じて分足に切り替えるという方法は、見知らぬ土地の目的地に行くことをイメージしてもらえると分かりやすいかもしれません。

例えば、初めての東京旅行。もちろん、地元から東京に来るまでは、都道府県を縦断するような大きな地図や路線図などを広げると思います。

で、東京に着いたら、今度は今までよりも小さな地図、都内を一望できる地図や路線図を広げるはずです。そして、都内を動き回るには、このレベルの地図が基本となると思います。

仮に今、新宿にいるとして、これから秋葉原のメイド喫茶に行くとしましょうか。

「秋葉原って、どうやって行ったら良いんだろう?」となれば、この基本となる地図や路線図を見て、移動しますよね。

しかし、秋葉原に着いたら、その地図だとメイド喫茶までの道のりが良く分からないわけで。今度は、秋葉原駅周辺が詳しく分かる地図を見ることになるわけですよね。

常に複数の地図を広げておく必然性はなく、必要な時に必要な地図を広げれば良いわけです。

BOZ流ライントレードも、これと同じです。大きな時間軸から少しずつ俯瞰する位置を落としていって、1時間足まで落とし込みます。そして、向かう先(ライン)に近づくまでは、そのまま1時間足チャートを眺め、近づいてきたらもっと小さな時間軸にズームアップして値動きを見るわけです。

ライントレードにおいては、MTFの必要性はあまりありません。BOZ流ライントレードのいける環境認識と手法を両立させられる絶好の時間軸が1時間足にあり、基本的にはそれを監視時間軸にします。

なので、大きなモニターをいくつも必要とはしません。小さなノートパソコンの画面が1つあれば充分トレードできます。

また、1時間足チャートを表示させておくだけでよいので、1つのモニターだけで通貨ペアを複数表示させて監視することも可能です。トレードチャンスが来たらその通貨ペアだけを拡大表示させれば良いんですから。

物々しいトレード環境を用意する必要性がないんですね。

僕自身、以前は複数のモニターにずっと貼り付くようにしてトレードしていました(勝てない頃です)が、このライントレードをするようになってからは、1つのモニターだけで事足りています。

仕事や遊びでメインのパソコンを使う時は、トレードはデスクの脇に設置してある13インチのノートパソコンをチラ見しながらトレードしています。

BOZ流は、ずっとチャートにかじりついてる必要がないので、それで十分なんですね。

とまぁ、以上のような理由から、BOZ流では1時間足を監視時間の主軸として利用しています。

5分足と15分足について

エントリーのタイミングをはかる時など、細かい値動きを見る必要性がある時には、分足を使います。で、実際に使うのは、5分足か15分足になります。

じゃあ、どちらを使うべきか?

ということですが、どちらにもメリットとデメリットがありるので、自分の特徴や相場状況に合わせて使った方が良いんですが、まぁ敢えて言うのであれば、

BOZ流で推奨する短期足は、15分足になります。

「え?5分足じゃないの?」

と思う方も多いかと思いますが、実はこれ、結構重要なことなので、次に詳しく見ていくことにしましょう。

5分足のメリット

5分足のメリットは、15分足に比べて、値動きの兆候を先取りしやすいということです。

例えば、ラインに到達して反転を始める場合、その兆候はより小さな時間軸から見えてきます。その点で言えば、1時間足より15分足、15分足より5分足の方に、分があります。

また、それ以外でも、何らかの微妙な価格の変化に対しては、5分足の方が分かりやすいですしね。こちらも1時間足より15分足、15分足の方よりも5分足の方が有利な価格でエントリーしやすくなります。

そういった意味でも、一般的に5分足の方が好んで使われている様に思います。

ただし、僕の経験からすると、実際は5分足の持つデメリットって、結構大きいと思うんですよ。このデメリットを意識できているかどうかは重要ですので、次に見ていきましょう。

5分足のデメリットその1:見え方の問題

まずは、切り替えた時の見え方の問題。

1時間足チャートと5分足チャートでは、相場の見え方が全く違います。いや、当然と言えば当然なんですが、それにしても見え方が違い過ぎるんですね。

だってね、5分足というのは1時間足の1/12の時間軸です。格差が大き過ぎます。それに対して15分足は1時間足の1/4でしかありません。こちらの方が、切り替えた時の連携が取りやすいわけです。ちょっと、見てみますか。

まずは1時間足チャート。

続いて15分足チャート。

1時間足を4倍にしたことになるんですが、画面を切り替えても、流れが掴めます。

じゃあ、今度は5分足と比べてみましょうか。まずはもう1度、1時間足チャート。

続いて、5分足チャート。

見え方が、随分と違って見えます。なにせ1時間足を12倍にズームアップしたわけですから。見比べてみて、1時間足の山と谷が5分足ではどれに当たるのか、一瞬戸惑ってしまうくらいです。

この違いって、実際にトレードする場合、結構大きいんですよ。上の時間軸の流れが切り離されて5分足を見ることになりやすくなるんで。

一般的に時間軸の間隔は5倍前後(逆から言うと1/5前後)が良いとされています。

週足は日足の5倍、日足は4時間足の6倍、4時間足は1時間足の4倍です。1時間足は15分足の4倍ですが、5分足だといきなり12倍の開きが出来てしまうんですから。

細かな値動きを優先させることで、時間の流れの連携を乱してしまうデメリットは感じていなければいけません。

しかし、デメリットはこれだけじゃありません。まだまだ、あるんですよ。

5分足のデメリットその2:心理面を揺さぶられやすい

より小さな時間軸の方が、目先の値動きに対して、心理的に大きく左右されやすくなるという大きな問題点があります。

例えば、デイトレードを始めたばかりの初心者は、「MTF(マルチタイムフレーム)が良いですよ」「常に表示するのは、日足と1時間足と5分足が良いですよ」みたいなことを教えられがちです。

しかし、結局ガン見するのは、5分足ばかり。で、トレードが上手くいかなかくなると、今度はガン見する足が5分足から1分足へと移りがちです。

なぜか?

答えは、「目先の値動きばかりが気になるから」です。目先の値動きが気にならなければ、小さな時間軸なんて見ないでしょ。直近の目先の値動きが気になるから、見る時間軸が次第と小さくなっていくんです。

では、なぜ目先の詳細な値動きが気になるのでしょうか?

答えは簡単です。多くの人は、テクニカルを表示して、色々あーだこーだと考えを巡らしているくせに、実際は欲望と恐怖で取引しているだけだからです。

どんなに沢山のテクニカルを表示させようと、未来の値動きを表示することは出来ません。一寸先は闇なんです。

全く先の値動きが見えないから、目先の値動きばかりが気になってくるんです。直近の細かい値動きが気になって気になって仕方がなくなります。そして、より短い時間軸が、そんな欲望と恐怖を加速させ、より目先の値動きに振り回されるようになっていくんです。

その結果、目先の値動きに釣られただけのトレードをしやすくなり、またエントリーやエグジットのタイミングを取るのも早くなりがちになってしまいます。

少し詳しく説明しましょう。まずは、値動きが大きく動く時のケースから。

短い時間軸でチャートを見ていると、値動きが荒い場合は、その荒波に巻き込まれやくなります。

例えば、下のチャートは、ユーロドルが週足レベルの高値を付けた場面。

4時間足である程度俯瞰して見ると赤丸の部分の値幅はこの程度。結構の値幅ですが、俯瞰した分、小さく見えます。

しかし、これが5分足だと、

上の画像は静止画ですが、実際に目の当たりにした価格の移動は、画面いっぱいを大きく物凄いスピードで移動しているわけで。基本的に、こういった状況に人は圧倒されて振り回されちゃうんです。

おまけに、リアルタイムだと現在より先の値動きは見えないですから、どうしても目先の値動きに釣られてしまいます。

勢いよく伸びる価格に釣られて買い、次に勢いよく下落する恐怖で損切りか良くて薄利。急激に落ちる価格に釣られて売り、急激に上昇する恐怖でまた損切り、良くて薄利。

結果、往復ビンタ喰らって、身も心も証拠金もズタズタに・・・

でもまぁ、大体の人は、こういった苦い経験から値動きが荒い場合は、手を出すのを控える様になったりします。

でも、それだけじゃあ、何も問題は解決していないんです。

目先の値動きが気になるというのは、言ってしまえばそのチャートを見つめる視点は一番右側(つまり最新)のロウソク足の値動きとインジケーターの動きしか見ていないことになります。見ているようで左側の今まで値動きが辿ってきた経路などは眼中から外れてしまっているんです。

周りが見えなくなってしまうのは危険です。恋は盲目と同じです。悪い男に引っ掛かっても、冷静に判断できないし周りの意見も聞こえなくなり、結局自分を傷つけてしまうのと同じなんです。

だから、ゆっくりとした値動きであろうが、目先の値動きしか気にならない状況というのは、ミスばかりを繰り返します。

例えばこのポンド円の5分足。

まずは緑色で四角に囲った部分を見てください。

後付けで見ると、「ここじゃ普通は入らないでしょ」と思うところですが、リアルタイムでチャートを見ていたら、実際は違います。先の値動きなど全く見えない状況ですから。

先の見えない中で目先の値動きばかり気にしていたら、バイ~ンと伸びたイメージと青丸で囲った長ヒゲのイメージ、そして青丸の1時間ラインを反転した様に見えるという根拠だけで、赤丸の部分で買いエントリーを繰り返しがちになります。

結局は高値掴みを損切りするか、保ち合い相場に持ち越されて高値を握ったまま・・・

なんて経験ありませんかね?僕は勝てない頃、いつもそうでした。

で、反省をして、値動きの荒い時は手を出さないことにして、ずっと待ち構えるんですね。

そして、上図チャートの一番右側の赤い丸の部分。もう一度チャート見てみましょうか。

ずっとずっと待って、ようやく1時間ラインに振れたところを反転しました。ロウソク足を見ると、どう見てもラインで反発してます。

しかし、今度は慎重に・・・ということで、他のインジケーターを表示。すると、MACDでは0ラインより下でゴールデンクロスしてる!ストキャスティクスもゴールデンクロスした後に、売られ過ぎ圏を上抜けてます!

これで買う根拠は揃いました。買いエントリーです。やったね!

ということで、結果を見てみましょう。

ギャーーー!!

見事と言ってよいくらいの高値掴みです。その後、100pipsほど下落してます。

なぜ、このようなことが起きるのか?何をやっても高値掴みだなんて。

もちろん、それは目先の値動きしか見ていないからです。チャートを画面いっぱいに広げてみても、結局見ているのは、チャートの右端の、しかも最新のロウソク足の上げ下げばかりです。それ以外に目を配るのも、インジケーターの一番右端の動きだけです。

まさに、負けるべくして負けているんですよ。

チャートの左側にも目を向けましょう。今まで辿ってきた経路を見ていたら、絶対にそこでは買いませんから。

単純に、「狭いもみ合い」というレクタングル・フォーメーションを形成していたので、そこでサポレジされたことで、下落することが確定。1時間ラインも下抜けて、大きく下落したんですね。

ちなみに1段上の15分足で見てみましょう。

5分足では気づきづらいフラッグが形成されていました。2段構えのフォーメーションのブレイクだったわけですが、目先の値動きばかり気にしていたら、どう価格が形作ろうとも、気づかずにいたはずです。


ついでですが、この記事を書いている最中に、トレードしました。僕が寝ている間に4時間ライン(太い水平線)から反転下落しており、中途半端な位置だったので見送ったまま外出しました。が、途中スマホでチャート確認すると、欧州時間入る前に大きく下落している真っただ中。下落局面を獲れなかったので、僕は予め予定していたところ(前回解説した、斜め線と水平線が出会ったところ)で反転直後に買いエントリーしました。正確には出会う直前でしたが。出会う前だったので、もう1度下値を試すのを警戒して、早々と決済してます。+30pips位の利益です。


まぁ、いずれにせよ、以上の様な失敗は、目先ばかり気にして、それまでに辿ってきた値動きが目に入らなかったために、繰り返し起きた現象です。

「エントリーすると、途端に逆に動き出してばかり。まるで相場が自分のことを監視していて、わざと損をさせているかの様だ。」

と感じてしまっている人の多くは、大体このパターンです。僕がこの泥沼から抜け出せたのも、この自分の心理面に気づいたからです。

なので、目先の値動きばかり気になってしまう人は、そこから抜け出すためにも、思い切って1つ上の時間軸から俯瞰して見た方が良いんですよ。

さらに、まだ短い時間軸でのデメリット要因はあります。

「あともう一呼吸待っていたら、そこでエントリーしなかったのに・・・」

ってこと、良くありませんか?僕は、昔良くありました。

そうなるのも、短い時間軸ばかりを見ているからです。短い時間軸をガン見していると、どうしても

「このタイミングを逃したら、価格が先に進んじゃって、損しちゃう」

といって、早めにポジションを取りがちになるんですね。今この瞬間の値動きや、表示したテクニカルが、

「ほら、今だよ、今!」

って言ってる様に思えてくるんです。

で、実際に買ってみると、その途端に下がってきて、損切りすると今度は上がってきたりしてね。経験ないですか?

要するに、エントリーのタイミングが早すぎるんですよ。

なぜか?

やはり、その理由は、欲望です。思惑の方向に価格が進むと、人はポジションを持ってもいないのに「損するかも」って思ってしまいがちなんです。

勝てない人は、波の始まりから終わりまでを見て、その全部を取りたがります。後からチャートを見て

「もっと早くエントリーしてれば、もっと獲れたのに!」
「もっと我慢してポジション持ってれば、もっと獲れたのに!」

と、「もっと、もっと」って、欲望丸出しなんです。

そして、これを助長しがちなのが、小さな時間軸チャート、目先の細かい値動きなんです。ちょっとの値動きに、欲望のスイッチが入って、早めにポジションを取りやすくなります。

急いては事を仕損じる

このことわざは、トレードにおいても格言です。

以上、15分足と比べた際の5分足のデメリット、分かってもらえたでしょうか?恐らく、勝てない人の多くが、このデメリットにハマってしまっているのが原因じゃないかと。

迷ったり不安になったら、より短い時間足を見るのではなく、1段上の時間軸から俯瞰して見るという心の余裕も、トレードにおいては必要です。

5分足と15分足、どちらを選ぶべきか?

これらの特徴を見ていくと、やはり15分足に分がある様に思えます。なので、どちらかというならば15分足をBOZ流では、推薦します。

が、もう少し突っ込んだことを言えば、ラインによって5分足と15分足の対応を変えることも必要かと。その点については、この後お話します。

ラインに近づくまで、のんびり待とう

で、当然のごとくライントレードは、ラインを抜けるか反発するかでトレードを開始するわけですから、ラインの周辺のみで取引が開始されます。

もちろん、それはBOZ流でも同じで、ラインの周辺のみでトレードを開始します。ラインとラインの間にある空間のほとんどは、基本スルーです。

なので、ラインの周辺まで価格が近づくのを待ちます。鼻くそほじりながらとか、テレビ観ながらとかして。もちろん、仕事や勉強をしていても構いませんし、料理を作っていてもOKです。愛と平和について語り合いたいなら、どんどんやっちゃってください。

ま、要するにラインに近づくまでは、あんまりチャートを気にかけないのが基本姿勢です。定期的に覗くだけにするとか、ライン付近に来たらアラームが鳴る様にしておくとかで、対応していきましょう。

ラインによって対応を変える

既にお話した様に、ライン周辺では買い方と売り方との攻防戦が行われます。そして、そこで勝った方に付いていくのが、ライントレードです。

しかし、その攻防戦は、ラインの注目度(重要度)によって変わってきます。大きな時間軸で引いたラインの方がより攻防が激しくなる傾向にあります。

なので、BOZ流ライントレードでは、引いた時間軸のラインによって対応を変えることにしています。

おおよその目安として、

  • 1時間足で引いたライン(以下、1時間ライン)
  • 週足・日足・4時間足で引いたライン(以下、週足ライン・日足ライン・4時間ライン)

の2つに分けて対応を変えます。具体的な対応方法は、セットアップのところで解説しますが、ただ1点。

先ほどの5分足と15分足の件ですが、1時間ラインに関しては、展開が早いので基本5分足、その他のラインでは攻防に時間を費やすことが多いので、基本15分足というスタンスを取った方が、トレードはしやすくなると思います。

波形、しかし・・・

ここまで書いておいて、僕は重大な問題に気づきました。

というのも現在の僕は、このライントレードの手法にはロウソク足と波形を主に用いてエントリーしています。

しかし、波形に関して説明していたら、それこそ膨大な量と時間が・・・
しかも、それを実際に扱えるようになるにも膨大な時間が・・・

なので、正直悩みました。どーしよっかな?って。

そこで、2つの方針を取ることにしました。

まず1つは、波形とロウソク足の基本中の基本を説明(と言っても、書籍で書いてあるのを見たことないので知らない人も多いかな)。そしてもう1つは、思い切ってインジケーターを1つ登場させることに。波形をあまり知らなくとも、インジケーターを用いることで代用させちゃいます。

ではまずは、波形とロウソク足の基本から。

再びダウ理論

もうこれ、基本中の基本なんですよ、ダウ理論は。

で、知ってる人は沢山いるんですが、実際のトレードに活用している人は、あんまりいないのが現状です。

しかし、これほど使える理論はそうありません。本当の意味で、使い方を知らないんでしょうね、きっと。

では、まずはおさらいします。ダウ理論においては、

  • 上昇トレンドとは、高値と安値がそれぞれ切上げ続けて上昇している状態のこと
  • 下降トレンドとは、高値と安値がそれぞれ切下げ続けて下降している状態のこと

このライントレードの基礎シリーズでも何度か登場しているので、知らないとは言わせません。知ってますよね?

じゃあ、値動きを見る時に、ダウ理論意識してます?

多分、ほとんどの人が意識してないのに、「現在は上昇トレンドだ」とか「下目線は変わらず」とか言ってたりします。

ダメですよ、それじゃあ。基本中の基本なんですから。

例えばこれはポンド円の1時間足。

この長い下降トレンド、どこまで続くんですか?というお題。

もうこの右端まで下落が続いてるの見えてますが、リアルタイムだと、一旦「ひょっとして・・・」という場面が出てきます。それはどこでしょうか?

ダウ理論を知っているという人なら、一瞬で分かるはずですが・・・

答えは次の図。

青い丸の部分ですね。しかし、結果的に上値も下値も切り下げたのでダウントレンド継続です。

ところが、チャート右下の赤い丸の部分で、またしても下値を切り上げてます。ここで、再び下降トレンド継続に「?」が付く状況が認識できるはずです。

波形にこなれてくると、ここで下降トレンドが終了して、恐らくレンジではなく反転する確率が高いと判断するようになります。

が、ダウ理論上ではまだ確定していません。次の展開を見ます。

高値も切り上げました。赤丸の直近高値だけならレンジの可能性もありますが、緑色の丸の下降トレンド最後の戻り高値も越えてますね。

これでほぼ下落トレンドが終了して、反転上昇の兆しが見えました。この後、下値を切り上げて反転したところを買えば、かなり底に近いところで上昇トレンドを捉えることが出来るはずです。その後の展開を見てみましょう。

手法にもよりますが、基本的にはオレンジ色の辺りのどこかで買いエントリーできたはずです。

しかし、この反転の兆しを捉えるのに、何かインジケーター使いましたか?オシレーターのダイバージェンスとか必要でしたか?必要ないですよね?ダウ理論だけで十分だったはずです。

そして僕は今、野球で言うところのキャッチボールのやり方を説明しただけです。無料で。でも、十分に反転の兆しは捉えられましたよね。

しかし世の中には、「知ってる」と言ってキャッチボールすら出来ないくせに、消える魔球を投げたがる人達ばかりです。

そして、そんないい加減な欲望に付け込んで、何十万もお金をとりながら、このレベルのことすら教えられない輩が蔓延ってます。くれぐれも気を付けてください。

さて、以上がダウ理論で相場の流れを見ましょう、という簡単なお話でした。次に移ります。

ロウソク足の見方

ロウソク足には、酒田五法だとかプライスアクションだとか、色んな見方があります。詳しいことはそれらに譲るとして、ここでは有名なロウソク足の見方にダウ理論を適用させましょう、という解説をします。

価格の反転を示唆する有名なものに、「ピンバー」があります。ピンバーとは、いわゆる長いヒゲを付けて実体が小さなロウソク足のことです。

しかし、単純にピンバーが出たからと言って安直にエントリーするのはいただけません。

上図の様に、単純に長いヒゲで判断してエントリーしても上手くいかないことが多いです。

まず、ピンバーであっても、それが陽線なのか陰線なのかで大きく違います。

ロウソク1本を波形で見ると、経過がどうであれ、ロウソク足1本分の時間内での勝者と敗者がハッキリします。

しかし、これだけじゃあ確定できません。ダウ理論をさらに活用するためには、複数のロウソク足で見ていく必要があります。

同じ様に価格が下降してきたとしても、上図の様に捉え方は全く変わってきます。

上のロウソク足3本からは、ダウ理論上から、まだ下降の可能性が見出せます。しかし、下のロウソク3本からはダウ理論上から、反転上昇の可能性が見出せます。

この様に、ロウソク足は1本だけで判断せず、複数を組み合わせて波形として捉えると、より信ぴょう性が高まります。

この様にして先ほどのチャートを見ると、

長いヒゲを付けただけでは、そこで参入する根拠が何もないということが分かると思います。

また、以前にこんな画像を提示しました。

波形ではなく、複数のロウソク足を1本のロウソク足にまとめて見ることで、反転の兆しがあるのかどうかを判断できます。ただし、これは上位時間軸のロウソク足を見ることで、代用も出来ます。

いずれにせよ、ロウソク足は複数の足を波形として見ることで、より信ぴょう性の高い判断材料にすることができるわけです。

インジケーターを加える

先述した通り、環境認識さえシッカリしていれば手法はたいして重要ではなく、セットアップがきちんと出来ていればトリガーは有効性が認められるものなら何を使っても問題ありません。

ということで、今回は波形やロウソク足に熟達していなくとも、手法を用いるうえで代用できるインジケーターを1つ加えて解説していこうかと。

そして、そのインジケーターは、僕自身が補助として普段も用いているメジャーなテクニカル「ボリンジャーバンド」を利用するつもりです。

使い方に関しては、次回お話しすることにしましょう。


さて、今回はここで終わりです。次回のお話はBOZ流ライントレードにおけるトレードのシナリオ作りとセットアップに入っていく予定です。

ただ、ボリンジャーバンドに関しては、使い方をあまり知らないという人もいると思うので、ライントレードの基礎の次回の前に、ボリンジャーバンドの使い方だけの記事を書くつもりです。

もちろん、後付け解説でしか使えないような解説にするつもりはありません。出来るだけ実用性を伴ったボリンジャーバンドの解説にしたいと思いますので、こちらもお楽しみに。

それじゃあ、また。

これがBOZ流!ライントレードの基礎5

さて、これまで4回に渡ってライントレードの基礎についてお話をしてきました。

そして、今回5回目は最終回・・・の予定でしたが、かなり長くなりそうなので、撤回しますね。この「ライントレードの基礎」はまだまだ続きそうです。

それでは、さっそく行ってみましょう。

環境認識について

今まで4回に渡って、ラインの引き方を解説してきました。前回に至っては、週足からラインを引いていって、徐々に1時間足まで落とし込んでいったと思います。

そして、BOZ流ライントレードでは、そこまでが環境認識を行なううえでの作業となります。前回まで説明した通りにラインが引ける様になったら、もう環境認識は終わったも同然です。

と、そこで話を終わらせてしまうと、雑な解説になってしまいそうなので、BOZ流ライントレードにおける環境認識について、少し掘り下げていきたいと思います。

BOZ流ライントレードの環境認識とは

環境認識をザックリと説明するならば、今現在の相場環境がどの様な状況にあるのかということを把握する、ということです。

で、よく説明されるデイトレードでの具体的な環境認識のやり方は、

「日足、4時間足、1時間足を見て、上昇トレンドか下降トレンドかレンジかを確認する」

といった感じですかね。要するに上位足の方向性を把握しておきましょう、ということですね。

ただ、BOZ流ライントレードにおける環境認識は、それとはちょっと違います。

BOZ流ライントレードにおいては、現在の相場環境にはどの様な秩序があるのかを見出すことが、環境認識となります。今の相場にはどの様な規則性があって、その中で価格はどの様にして移動しているのかを把握していくのが、環境認識です。

え?何言ってるのか分からない?

じゃあ、もっと具体的に説明していきましょう。

相場環境の規則性を知ろう

前回ラインを引き終えた時のチャートが、下の図です。

ラインを引いてる途中は、「なんだかチャートがゴチャゴチャしてきたな」という印象になりがちですが、1時間足まで落とし込んでくると、とてもシンプルになったと思います。

しかも、そのライン達は秩序を保っていますよね。気が付けば、ほぼ等間隔でラインが引けているんですからね。

そして価格は、一見複雑な動きをしているかに見えて、実は秩序だって引かれたラインとラインの間を移動し続けているだけです。

この様に、ラインを引いていくことで、僕らが今、向き合っている相場環境の規則性を見出すことが、BOZ流ライントレードの真骨頂となります。「今の相場環境にはこんな規則性があるんだ」と認識することそのものが、環境認識なんです。

そして、よくある様な「上目線だ、下目線だ、レンジだ」の類は、このBOZ流ではたいして重要ではありません。

いや、もちろん重要ではないという意味ではありませんよ。現在が上昇トレンドに位置しているのかとか、方向性は常に意識に置いておかなければいけません。

ただ、他の人が耳にタコができるくらいに繰り返すほどには、BOZ流においては、重要視していないということです。

だってね、どんなに下降トレンドを描いていようが、落ちてきた価格がラインで反発したら、買うんですよ。それがライントレードですから。そして反発した価格が次に向かうのは、次のラインです。

もう一度、上のチャートを見てください。そして、今までの解説通りに練習して引いた自分のチャートも見てください。

価格は、複雑怪奇に動いていますが、単純化してしまえば、やっぱり秩序だって引かれたラインとラインの間を移動し続けているだけです。たったそれだけなんです。

そして僕たちは、そのラインの引き方、つまり相場の規則性を見出す方法を手に入れました。そしてその相場の秩序を認識しています。

もう1度言いますよ。

BOZ流ライントレードでは、ラインを引くことで、相場環境の規則性を見出します。そして、それが環境認識です。

水平線と斜め線が出会う時

最も重要なのは、水平線

既にお話していますが、水平線と斜め線では、水平線の方が重要です。

なぜなら、水平線とは価格そのものだからです。100円という価格の「点」に時間という横軸の流れが加わり、それが「水平線」になります。

注目されるポイントとは、全て「価格」です。その価格を時が進んでも明確に把握できる様に描画したものが、水平線なんです。

水平線とは、注目される価格そのもの。

BOZ流が、平線を最重要視するのは、そんな至ってシンプルな理由からなんです。

トレンドラインは、トレードしづらい

それに対して、BOZ流では、世間一般的に言われているほど、トレンドラインを重要視していません。

もちろん、重要ではないと思っているわけではありませんよ。重要じゃなかったら、ラインは引かないし。

ただ、BOZ流で引くラインの中では、重要度は低い扱いとなります。

なぜでしょうか?

結論から言えば、トレンドラインでのトレードは、実際にはやりづらいからです。後付けで分析する分には良いんですが、リアルにトレードするには、ちょっと扱いづらいんですよ。

例えば、下の図はドル円の4時間足チャートですが、

まずは、A1をポイントとしてAラインが引けます。で、A2でラインを下抜けますが、戻っちゃいますねぇ。売ってしまっていたら、損切りです。その後も、ラインを割り込んでも、ラインに沿ってせり上がっていくパターンが続きます。

次に、B1をポイントとしてBラインを引いた場合ですが、これもB2で下抜けた後にラインに沿ってせり上がっていきます。結果、ラインの上に戻ってしまいますね。その後も、ラインを下方ブレイクしますが、やはりそのまま下落せずにラインに沿ってせり上がっていってますよねぇ。

で、C1をポイントとしてCラインを引いたところで、ようやくラインがきちんと機能します。C2で下抜けて初めてきちんとした下落をはじめました。

しかし、トレンドが開始してからCラインが引けるまでに結構な時間が経ってますし、C1で初めてラインが引けたので、次のトレードチャンス(トレンドラインに近づいて反発するまで)は、ずっと後になります。このラインでトレードしようとすると、上昇トレンドのほとんどは指をくわえたまま傍観しているだけになってしまいます。

他にも例を挙げてみましょか。下の図はユーロドルの1時間足チャートです。

まず最初にA1をポイントにしてトレンドラインAが引けるんですが、その後に2度ほどラインにタッチして反発しているんで、このラインは効いてる様に思えます。

ただ、B1で一旦ラインを割り込みます。まぁ、下ひげを付けてラインの上に戻っているので、よくあるオーバーシュートとして片づけても良いんですが、そのままAラインでトレードしようと思っても上手くいきません。

ラインを割り込んだからといって売っても価格は何度もせり上がって行くんですね。結果、損切りです。

A2まで来てラインブレイクした後は、Aラインの上部には戻らずに最終的には下落するんですが、実際のトレードだとA2で売りを建てても、やはりせり上がっていくので、ほとんどの人は損切りをした後に下落するという歯がゆい損失トレードになるんじゃないかと。

では、B1で一旦割り込んだので、こちらをポイントにしてBラインを引き直してみた場合はどうでしょうか?

結局はB2に至るまでの間、ずっとラインに接触することはありません。つまり、上昇トレンドが続いていても、Bというトレンドラインを根拠にトレードすることは出来ないんですね。

そして、ようやくB2に到達して下方ブレイクしたので売ったとしても、やはり価格はトレンドラインに沿ってせり上がっていきますね。損切りした途端に下落するという、これまたやはり嫌なパターンです。

この様に、上昇トレンドラインを下方ブレイクしたにもかかわらず、そのまま価格がラインに沿ってせり上がっていくことって、そんなに珍しくありません。例を挙げたら、キリがないくらいです。

もちろん、一発で何度も機能するトレンドラインが引けることも、多々あります。しかし、そうはいかない事例も多々ある様だと、

「トレンドラインって、リアルなトレードには、なかなか活用できないじゃん!」

と思ってしまうのが、実際のところです。そのため、BOZ流におけるトレンドラインは、他のラインと比べると重要度が低くなってるんですね。

ちなみに上のチャートに水平線を加えてみましょうかね。

トレンドラインを下方ブレイクしたのに、結局はせり上がっていた箇所は、単に水平線(レジサポ)で支えられて反発していただけだということが、分かりますね。

この例からも、上昇トレンドはトレンドラインを基準に進んでいるのではなく、水平線の間を移動しながら上昇しているということが、見てとれます。

BOZ流が水平線を最も重視し、トレンドラインの重要度を低くしているのが分かったかと思います。

でも、あまりにも有名なトレンドラインが、実際にはトレードしづらいのって、ちょっと変ですよねぇ。でも、実は理由があります。大まかに言うと、

  • 流派によるトレンドラインの引き方が違いすぎる
  • 指値・逆指値を置きづらい

ということなんですね。でも、これを説明していると日が暮れてしまいますので、またの機会に譲るとしましょう。

トレンドラインの活用法

じゃあ、使えないトレンドラインを引く意味なんてあるの?

という疑問がわいてくるかもしれません。

しかし、引く意味はあります。トレンドラインは手法として扱いづらい面が多々あるのは確かですが、環境認識としては十分に意味があるんですよ。

詳しく解説していきます。

まずは、なぜトレンドラインが引けるのか?ということを説明しますね。

例えば下降トレンドとは、価格が上下に行ったり来たりしながら、結局は高値を切り下げ、安値も切り下げていくわけですが・・・

下げてから戻ってくる、その戻り高値を上から順にA、B、C、D・・・としましょうか。

で、AからBへと移動した値幅とその移動にかかった時間の比率と、BからCへの値幅と時間の比率、CからDへの値幅と時間の比率が全て同じだったら?

簡単な算数の問題ですね?

三角形の高さを値幅、底辺を時間としたら、その比率が常に一定ならば、どの様な大きさの三角形であっても、高さと底辺を結ぶ斜辺の角度も、常に一緒です。

要するに、移動する値幅とそれにかかった時間の比率が同じであるから、トレンドラインが引けるということです。

これはまさに、秩序です。相場が規則性をもっているということに他なりません。

しかし、先ほど見た通り、価格はトレンドラインに反発しているのではなく、水平線に反発しているわけですよね。

ということは・・・

とりあえず、前回ラインを引いてみたチャートをもう1度見てみましょう。

上図の通り、やっぱり水平線で反発しています。そして、その水平線で反発したところに、トレンドライン(上記はチャネルラインですが)が引けるわけです。

つまり、水平線とトレンドラインが重なるところが、ポイントになるわけですよね。そういった秩序、規則性がその相場にはあるわけです。

であれば、現在からみて、水平線とトレンドラインが未来で出会う(重なる)ところが、次のポイントだと推測できるはずです。

下図は、先ほどのユーロドル1時間足チャートです。

この先をもう少し見てみましょうか。

上昇トレンドが終了して、下降チャネルが引ける感じなので、水平線とチャネルラインが出会う辺り(赤い丸の部分)が次のチャートポイントとなりそうかなと予測を立てることが出来ます。つか、環境認識上、今の相場はそういった秩序で動きやすそうですよね。

ということで、結果は・・・

ズバリ、当たっちゃいましたねぇ。チャートポイントとなる価格だけでなく、おおよその時間まで見当をつけることができます。

BOZ流において、トレンドラインの重要度は他のラインに比べて低いとはいえ、環境認識においては、きちんとした相場の規則性、秩序を表現してくれる大切なラインであることに変わりはありません。

フォーメーションの認識

環境認識において、忘れてならないのがフォーメーション(パターン)認識です。だって、フォーメーションそのものが、秩序ですから。

例えば、ディセンディング・トライアングルであれば、下値が同じ価格で支えられながら、上値は徐々に切り下がっている状態です。

ライン際まで来たら反転を待つかブレイクするのを待つだけなんですから、もう「フォーメーション」という秩序だった環境を提供してもらっているようなものですよね。これを利用しない手はありません。

日足レベルのフォーメーションだと、かなり大規模なものです。例えば、下図はユーロドルの日足です。

青ラインで囲ったフォーメーションは比較的大きなもの、緑ラインで囲ったフォーメーションは比較的小さなものです。

①は、日足で見れば上昇トレンドの途中の下降フラッグでしかありませんが、下位足でみたら、大規模な下降チャネルです。

4時間足レベルで見ても、画面いっぱいに広がるこの規模ですからねぇ。下図の様に15分足で見たら、下降トレンドしか見えなかったりします。

この規模のフォーメーションであれば、数日間にも渡る下降トレンドと上昇トレンドの繰り返しです。パターンラインを引けたら、トレンドの山と谷を捉えることも可能です。

②のシンメトリー・トライアングルの4時間足も見てみましょうか。

水平線と併用すると、随分とトレードしやすい環境になります。

③の小さめな下降フラッグですが、これも1時間足で見ると、

結構な規模になりますね。デイトレードで言えば、十分に値幅のとれる規模のフォーメーションです。

・・・と、ここまでのフォーメーションの解説、ひょっとして鵜呑みにしてませんか?

実は僕、ちょっと意地悪してみました。巷に蔓延るいい加減な後付け解説をやってみたんですが、気づきましたか?

知識さえあれば、過去に起きたことを説明するなんて、簡単なんですよ。しかし、僕らはトレーダーです。リアルにトレードして勝ち続けることを目的にしています。

なので、常にリアリティーを持ってチャートを見なくちゃいけません。

実は、BOZ流ライントレードにおけるフォーメーションの認識は、とても重要なんですが、フォーメーションだけでは先ほど解説した様には、簡単にトレードは出来ないんですよ。

ちょと、きちんと解説しますね。

フォーメーションが形成されていると認識するには、以下の2点が最低限の条件となります。

  • 高値が2点以上必要
  • 安値が2点以上必要

だって、フォーメーションですもん。上下に2点以上山と谷がないとパターンラインは引けないんですよ。

ということで、フォーメーションの内部でトレードするには、上下4点のポイントを付けてからになります。

であれば、先ほどの①は・・・

この15分足チャートの画面いっぱいに広がる下降トレンドは、

安値2回目をつける前なので、下降チャネルを形成しているとは認識できない中での下降トレンドです。後付け解説の様なフォーメーションだけのトレードは結構無理があるということが分かると思います。

じゃあ、実際のリアルでの環境認識はどうやってやるかというと、やはり水平線を最重要視したうえで、フォーメーションを予測してく作業になります。

具体的に説明しましょうか。上図チャートが下降チャネルを描く前までさかのぼってみます。

まず高値Aを付けた後に水平線のあるBまで下落した安値をつけました。ここまではAとBの水平線しか意識できません。

しかし、Bの安値をつけた後の上昇は、Aのラインまでは届かずにCで反転します。この時点でAとCを結ぶパターンラインとBの水平線によるディセンディングトライアングルの可能性が意識されます。

しかし、今度はDで反転。BDのラインが引けるので、下値を切り上げるトライアングルの可能性も出てきました。

ですが、この時点では、いずれのフォーメーションも可能性の段階でしかないんですね。

そして、この可能性を頭において、環境を認識していく必要があります。

なぜって?

僕らトレーダーは、過去のチャートを見て過去を分析するわけじゃないからです。現在から未来に向かってトレードするんですから、常に可能性と向き合うことがトレーダーとしての仕事になります。

では、次の展開を見ていきましょう。

Xの青い楕円形部分に注目してください。ACとBDのトライアングルと、ACとBの水平線のディセンディング・トライアングルの可能性を持ったまま、BDラインをブレイクしました。が、すぐ下にBラインがあります。水平線の方が重要なのでこのブレイクには乗りません。

すると案の定、Bラインで一旦サポートされますね。しかし、その後に抜けます。もしトレードするなら、この水平線を抜けてからです。

そしてこの時点で、ACとBDのトライアングルもACとBラインのディセンディング・トライアングルもブレイクしてしまったので、このフォーメーションのことは忘れてください。過去分析ではなく、今現在の環境分析なんですから。

で、次に向かうのはその下の水平線になるわけですが、そこに到達せずにEで下値を付けて反転します。

そしてこの時点で、ACに引いた斜め線と平行なラインがEをポイントに引けることに気が付きます。しかし、まだ可能性の段階ですが。

そして、青丸Yでほぼチャネル確定。そしてZでチャネルが確信に変わります。なぜなら、水平線と斜め線が出会ったところで、反転しているからです。これは、先ほどお話しましたね。

移動値幅と時間に規則性があることが確定したわけです。ということで、ここから下降チャネルで相場が展開すると、環境認識が出来るわけです。その後の展開は見ての通りです。

チャネルであっても、あくまでも水平線を基準として価格は移動しています。水平線とフォーメーションを同時に認識することで、相場環境の秩序はより明確になっていくと思います。

ただ、正直なところ、フォーメーション内でのトレードは、相当大規模でない限り、慣れが必要です。

なので、慣れないうちは、フォーメーションを見つけたら、フォーメーションのブレイクを狙うことを基本にしてください

先ほどのユーロドル日足チャートをもう一度見てください。

青色のパターンラインは、大規模なフォーメーションです。フォーメーションに気づかなくとも、水平線で取引が可能です。

しかし、緑色のパターンラインは小規模で、このクラスのフォーメーションは原則フォーメーション内での取引は不可能です。フォーメーションが認識できた頃にブレイクをはじめます。

ですから、やはり慣れないうちはフォーメーションを形成する可能性により早く気付けるよう意識づけするとともに、フォーメーションのブレイクを意識づけすることが賢明かと。

上達してから、大規模フォーメーションの内側を意識した取引を考えるべきですね。それまでは、水平線だけも十分な取引ができるはずですから。

相場環境は、変わっていく

今まで引いていたラインが、永遠に使えるとは限りません。時と共にラインは微調整を繰り返す必要があります。

しかし、それでもラインが機能しなくなる日がやってきます。そして、別なラインが新たに生まれていきます。

相場環境は、変わっていくんですね。

今まで等間隔で引けていたライン達が、調整の必要に迫られて、等間隔で並ばなくなる時があるかもしれません。

それは、相場環境が変わり始めた兆しなのかもしれません。

また、ラインを引く作業をしていくと、上手く引けない時があります。価格の上げ下げするポイントが乱れ過ぎていて、どこにラインを引いたら良いか迷う時もあります。

そんな時は、相場自体が迷っている証なのかもしれません。

ラインをどこに引いたら良いか判断のつかない時は、素直に「分からない」としましょう。相場環境が分からない、で良いんです。

そして、そんな分からない相場環境には手を出してはいけません。分かる時だけトレードをし、分からない時は素直にわからない、で分かる様になるまで待つことが必要です。

それが、トレードの基本なんですから。

相場の謎を解明しようと、頭を捻りに捻ったラインを引こうとする必要もありませんし、それこそ聖杯を探す必要もありません。

市場参加者の多くが、ハッキリと分かるポイントで多くの資金が動きます。自分しか見つけられないポイントで、相場が動くことはありません。もしあったとしたら、それは単なる偶然です。

誰もが認識できるポイントにラインを引いていき、そこに相場環境の秩序を見出していく。それがBOZ流ライントレードの環境認識です。


さて、以上で環境認識のお話は終わりにします。環境認識のお話だけで、随分と長くなってしまいました。でも、「環境認識」という言葉があれだけ流布しているにもかかわらず、これだけ長々と解説したものって、滅多に見かけませんよね。

なぜでしょう?ご想像にお任せします。

さて、次回からは、手法の話へと徐々に入っていきます。これも結構長くなってしまうでしょうけど、楽しみにしてもらえたら嬉しいです。

それじゃあ、また。