裁量トレーダーのためのトリガーの考え方(1)

ご無沙汰してます。恒例のごとく、ずっとブログ更新してませんでした。

まぁ、書く気がある時と、そのモチベーションに見合った空き時間がないと、ブログは書かないのが、僕のスタイルですからねぇ。

で、今回のテーマですが、「トリガー」について回お話します。

トリガーについては、このブログで何度もお話していますが、今回はもっと突っ込んだ具体的なところまでお話していこうかと。

もちろん、このブログは裁量トレーダーに向けたものなので、「裁量トレーダーのためのトリガー」についてのお話になります。

書き始めたら、いつものごとく長くなり過ぎたので、数回に分けて解説していきますね。

それじゃあ、始まり始まり~!!

トリガーについて

セットアップとトリガー

セットアップとトリガーについては、もうこのブログで何度も言い散らかしていますから、詳細は過去ログから漁って理解してもらうとして、まぁ端的に言ってしまうと、

  • セットアップとは、売り方針なのか買い方針なのかを決める前提条件の事。環境認識から現状認識まで落とし込むことによって、この方針が決まる。
  • トリガーとは、セットアップによって売買の方針が決まったら、どのタイミングでエントリーをするかを規定するもの。

ということでした。

構文として例えるなら、

  • もし〇〇という条件を満たした場合は買い方針となり、その場合はAAAという条件がそろった場合に買いエントリーをする
  • もし△△という条件を満たした場合は売り方針となり、その場合はBBBという条件がそろった場合に売りエントリーをする

の「もし~となり」の部分がセットアップで、「その場合は~エントリーする」の部分がトリガーとなります。

セットアップはトリガーに対して優位

これも口酸っぱく言っていますが、セットアップが正しければ基本的にどこでエントリーしてもトレードは成功する確率は高くなります。

まぁ、そりゃそうでしょう。前提条件が間違っているなら、その後の行動も間違いですから。

極端な言い方をすると、セットアップが正しければ、セットアップが解除されるまでの間なら、目をつぶって適当なタイミングでエントリーしたとしても、勝てます。

本当に?

まぁ、このブログの常連さんならとっくにご存じの通り、それは本当の話です。既に「トレンドの正体」にてお話していますので、読んでない方は目をかっぽじって読みやがってください。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

ということで、上記の記事を読んで相場の原理原則を理解できている方なら、セットアップが重要でトリガーはそこに従属するものであると腑に落ちているはずです。

しかしながら、それを知らない多くの勝てない人というのは、「トリガー=手法」もしくは「毛の生えた程度の環境認識をテクニカルで認識+トリガー=手法」と思い込んでいる方が多いんですよねぇ・・・

だから、いつまで経っても勝てないし、聖杯探しという無駄な時間を費やし、詐欺レベルもしくは完全に詐欺な連中の金づるになってしまうわけです。

ということで、

セットアップが間違っていれば、トリガーなんて意味ねーんだよ。

ってことを常に頭に置きながら、ここから先の解説を読み進めていってください。

トリガーとは効率化

繰り返し言いますが、セットアップが正しければ、基本的にどこでエントリーしても成功する確率は高くなります。

とは言え、「どこで入っても」というのは、正直なところ効率が悪すぎです。

例えば、下降トレンド中の戻り売りを狙う場合、戻り(上昇)の途中から売ってしまっても、更に価格は上がってしまい、含み損で苦しい思いをします。精神衛生上よろしくないですよね。

その逆行、まだ耐えられるレベルなら良いですが、思っていたよりも大きく進んでしまえば、恐怖によって損切りしてしまったりします。

で、損切りした途端に価格は勢いよく下がりだす・・・

なんてことは、トレードあるあるです。なので、出来るだけ逆行に曝されないポイントで、エントリーできることが理想的です。

また、結果として下がって利確できたとしても、もっと高い位置でエントリーしていれば、利幅はもっと獲れたことになりますし、仮に損切りなった場合でも、やはりもっと高い位置で売りエントリーしていれば、損切幅も小さくて済んだはずです。

この様に、リスク・リワード比(利益幅と損失幅の比率)や勝率、またメンタル面での効率化のために、出来るだけ効率の良いポイントでエントリーしようとするためのルールが「トリガー」というものになります。

セットアップの方が重要とは言え、トリガーを軽視していれば、結果としてトレードは上手くいかないことの方が多いんです。

トリガーとはトレードの効率化。非効率ではトレードもままならない。

そう覚えておいてください。

BOZ流におけるトリガーの位置づけとは

セットアップ用画面とトリガー用画面

既に何度か記事にしていますが、セットアップにはセットアップ用のチャート画面、トリガーにはトリガー用のチャート画面を用います。

で、まずは環境認識から現状認識までをセットアップ用の画面で行います。そして、1時間足の波を切り取ってトレードしたいのであれば、1時間足を用いてセットアップが整うのを待ちます。

そしてセットアップが整ったら、タイミングを計りやすいように5分足などのより小さな時間足のトリガー用の画面にて、値動きを観察し、トリガーを引くタイミングを狙ってエントリーします。

チャート画面の表示例

で、実際のセットアップ用の画面とトリガー用の画面の表示の仕方ですが・・・

そういったことは、特に規定していません。各自が相場状況を把握しやすい様に、各自が工夫をして表示します。

もちろんそれは、定番のMTF表示であっても構いません。例えば下図の様に、

日足→4時間足→30分足までを現状認識していき、セットアップのメインが30分足、5分足をトリガーとして用いてみたり、

上図の場合なら、セットアップは15分足まで落とし込んで5分足をトリガーとすることも可能ですし、

  • 4時間足がセットアップで、15分足がトリガー
  • 1時間足がセットアップで、5分足がトリガー

という風に、その場の状況に応じて分けて使える様にしてもOKです。

また、表示の仕方を、自分なりにもっと工夫することも大切です。以前紹介した例をいくつか挙げるとすると、

この様に、セットアップ画面を常に大きくして、トリガー画面を小さくしておくことで、短い時間足に気を囚われづらくしてみたりとか、

日足、4時間足、1時間足、5分足をサブ画面に常に表示しておいて、メイン画面はその都度時間軸を切り替えて使うという表示方法も考えられます。

相場における認知の仕方や判断には、個人差があります。なので、自分が最もしっくりくる表示方法を工夫するのが、その人にとってのベストな形です。

セットアップとトリガーのテクニカル

セットアップとトリガーに使うテクニカルやその設定は、同じであっても別々であっても構いません。

なぜなら、セットアップに判断しやすいテクニカルと、トリガーにおいて判断しやすいテクニカルは、アナタにとって同じとは限らないからです。僕自身、両者のテクニカルは同一ではないですし。

要するに、「どのテクニカルを使うべきか?」というのは、大して重要ではないんですよ。どんなに素晴らしいテクニカルを知ったところで、それを扱う腕がなければ、単なる無用の長物でしかありません。

大切なのは、自らが選び、検証と練習を重ねることで熟達したテクニカルを用いることなんですね。

本当に画面は分けるべきか?

しかし、ここで1つ疑問が・・・

仮に、セットアップ用のチャートとトリガー用のテクニカルが同じなのであれば、わざわざ別々に画面を用意する必要はないのでは?という疑問です。

もちろん、「絶対に分けろ」とは言いません。1つのチャート画面をその都度切り替えて用いることも、ありっちゃありです。

もっと言えば、セットアップ用のテクニカルとトリガー用のテクニカルが違っていたとしても、MT4などであれば、各時間足に各インジの表示・非表示を設定できます。なので、わざわざセットアップ用とトリガー用の画面を分けて用意する必要性はないのでは?

まぁ、それで勝てるなら、それで良いんですよ。そちらの方が自分に向いていて、それで勝てるなら、何も問題はありません。

ただ、それだと多くの人が過ちを犯します。

「セットアップが重要」ということが分かっているつもりでも、悲しいかな勝てない人というのは、いざトレードを始めようとすると、目先の値動きばかりが気になってしまい、結果的にトリガー用の短い分足ばかりをガン見してしまいます。気が付けば、より大きな時間足の状況なんてすっかり頭の中から消え去ってしまっているんです。

そしてそれが、負けを喫する大きな要因です。

なので、そういった状況を回避する意味では、セットアップ用のチャート画面とトリガー用のチャート画面は別々にして、常に同時に見える状態にしておくという工夫は、とっても大切なんですよ。

僕自身、若い頃は1つの画面を切り替えることで済ましていましたが、歳を取り記憶力が薄れてきたり、ミスが頻発するようになってからは、セットアップとトリガーの画面は分けるようにしてますからね。

基本やセオリー、原理原則を身に着けているのあれば、

トレードなんて自分のやりやすいように、やりたいようにやったら良いのさ。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

というのが、BOZ流でしたね。そういうことです。

到達確認と反転確認

BOZ流において、エントリーポイントを決める際には、

  • 到達確認
  • 反転確認

の2つが必要でしたね。

で、この到達確認と反転確認が、BOZ流では基本的なトリガーの仕様となります。

ただ、ここで注意しなくちゃいけないことがあります。

それは、到達ポイントを設定するのは、トリガー用画面ではなく、セットアップ用画面で行うということです。

環境認識から現状認識まで落とし込んだ際、例えば1時間足の波を切り取りに行くのであれば、到達ポイントは1時間足以上の時間軸で探します。

なぜなら、1時間足の波に乗りたい場合、それよりも小さな時間足でしか確認できないポイントとは、無視されがちだからです。1時間足の波で言えばどうでも良いポイントを気にしたところで、その波には上手く乗れません。

なので、到達ポイントの設定はセットアップ用チャートで行います。そして価格がそのポイント付近まで来たら、トリガー用チャートにて値動きを観察し、到達確認と反転確認を行うことになります。

トレード・スタイルにおける注意点

以上のプロセスは、基本的にどの時間軸に対しても同じです。例えば日足をセットアップに用い、トリガーを1時間足で引くトレーダーもいるでしょうし、30分足をセットアップにして、分足をトリガーにする人もいるかもしれません。それぞれが最もやりやすい形を見つけて、トレードに臨むのが最適です。

ただ、注意しなければいけないのは、スキャルピングです。スキャに関しては、少し勝手が違ってきます。ポジションの保有時間が違っていても、トレードのロジックは原則として同じですが、正直スキャだけは違ってくることがあるんですよ。

例えば、5分足に生まれる波の一辺を獲っていこうという様なスキャの場合、セットアップは5分足でトリガーは1分足なのでしょうか?

それでOKな人は、それで臨んでもらって構いません。

しかし、スキャであってもセットアップは例えば1時間足などの大きめの時間軸を用い、トリガーは5分足にして、その5分足の波だけを獲っていくというトレードの仕方の方が、個人的には有用かな?と思っています。

いくらスキャであっても、大きな時間足は重要なんですよ。

そして、僕のスキャルピングもその様なスタイルです。スキャであっても、1時間足や4時間足は繰り返し良く見ています。

また、スキャルピングと一口に言っても実は、

  • 通常のロジック通りに到達確認と反転確認を行ってトレードするもの
  • 反転確認を行わず、ポイントに到達後の「反発」(反転ではない)を狙ってトレードするもの

の2種類があったりします。

前者の場合は、今までお話してきているプロセスを踏みながらトレードしますが、後者の場合はちょっと質が違います。

大きな時間軸において重要なポイントに価格は到達すると、必ずと言って良いほど大きな売りや買いが入ります。

例えば、4時間足において重要なサポートとなるポイントまで価格が下落してきた場合、かなりの高確率で大きな買いが入り、価格は一時的にせよ反発上昇します。サポートラインを下にブレイクしたり、サポートされて反転上昇を始めるのは、その反発を繰り返した(1度きりの時も稀にある)後のことになるわけです。

で、そんな反転やブレイクが始まるまでの間の一時的に反発した値幅だけを獲りに行くというスキャルピング・トレードのやり方があるんですよ。

そして、そんなスキャをやる場合、反転確認は不要になります。そしてその際のトリガーは、到達確認とそのポイントで止められたことを値動きで察知する技術になるわけです。

ですから、そんなスキャをやる場合は、自ずとトリガーのロジック自体が違ってきますし、また大きな売玉や買玉が入るポイントを知るには、1時間足以上のチャートを見ている必要がありますから、セットアップはやはり1時間足や4時間足になってきます。

以上のことから、スキャルピングであっても大きな時間軸は重要ですし、またスキャの種類によっては、トリガーのロジックのプロセスには反転確認を含まないものがあるということを、きちんと頭の中に留めておいておいてください。

反転確認には2種類ある

さて、実はもう1つ重要な注意点があります。この話、具体的にこのブログで触れてたかどうかは記憶が曖昧なんですが、

実は、反転の種類は2種類あるんですよ。それは、

  • トレンド中の押しや戻しがお終わり、再びトレンド方向へと進み出す際の反転
  • トレンドが終了し、そこが天底となって逆方向にトレンドが始まる場合の反転

です。

同じ「反転」であっても、この2つは全くの別物です。

前者は、大局の流れの中で一時的な逆行や停滞が起こった後に、再び大局に沿った流れに戻るときの現象です。しかし後者は、大局そのものの流れが変わってしまう現象です。

全くの別物なんですよ。

なので、それら反転の確認方法も自ずと違ってきます。

もっと言ってしまえば、前者の反転確認は「トリガー」でしかありませんが、後者の反転確認は、逆方向へとトレンドが開始したと判断する「セットアップ」ということでもあるんです。

にもかかわらず、これを混同したままでいると痛い目にあいます。トレンド中の反転確認のテクニカルを用いて、天底を責め続けたところで、それは負け数を量産していくことにしかならないんですよ。

絶対に混同してはいけませんからね。

裁量トレードにおけるトリガーとは

システム・トレードと裁量トレードの違い

自動売買を行うEAを作る場合、テクニカルに条件を与えて、バックテストを繰り返します。そうやって、勝率や損益のデーターをとり、有効な条件の組み合わせを導き出そうとする作業が行われます。

この場合、トリガーを引くのはアプリケーション、つまりコンピュータによるものなので、条件にあったポイントを正確無比にフル稼働で実行することが出来るわけです。

ということは、自動売買システムによるトレードと裁量トレードでは、決定的な違いが出てきます。それは、

  1. EAは、与えられた条件(ルール)を確実に実行するが、裁量はルール通りに実行することもしないこともできる
  2. EAは、与えられた条件(ルール)以外のことは一切考慮しないが、裁量はルール以外のことを考慮して判断することが可能

ということです。

で、多くの勝てない人が気にしてばかりなのは、1番目のルール通りにトレードできるかどうかということ。決めたルール通りにトレードしなくて負けてクヨクヨ嘆いたりする、恒例の勝てない人あるあるですね。

(もちろん、大した検証も出来ていなルールを守れたところで勝てるとは限らないんですが、勝てない人はそんなことすら気づきません)

しかし、今回ここで注目してもらいたいことは、2番目の方。与えられた条件以外のことまでも判断材料として考慮できるのかどうかということです。

あのね、僕は常日頃言っている通り、トレードはスポーツにとても良く似ているんですよ。

バッティングに例えると、EAというのは与えられた条件通りの球速とコースでボールが飛んできた場合のみ、決められたタイミングで決められた通りのバットの振り方しかしません。

しかし裁量というのは、基本や定石というのはあっても、向かってくるボールの球速やコースや変化によって、バットの振り方や振るタイミングをその都度変化させて、ヒットを狙う様なものです。

相場付きのニュアンスの違いによって、基本ルールに合致していても、トレードを見送ってみたり、また条件全てに合致せずとも優位性が高いと判断したらトレードを実行したりするのが、裁量というものなんですよ。

この点が、裁量トレードとシステムトレードの決定的な違いです。

ただし、この「ニュアンス」という言葉・・・

曖昧なので出来れば別な言葉を用いたいのですが、これに代わる言葉が正直見当たりません。

でもまぁ、そうですよね。こういったニュアンスの変化を捉えることがどれくらい出来るかどうかで、スポーツも優劣が生まれるんですから。

全ての人が、千差万別の事象を全て条件化し、それに対するベストな行動様式も全て具体化して行動できるのであれば、スポーツは身体能力を除いた全ての技術の部分において、各人の間に優劣は生まれないはずです。

しかし、実際には優劣が生まれるわけで・・・

つまり、これが上手い下手の差、技術の差になるんですね。

で、トレードもこれと同じなんですよ。

だから、同じテクニカルを用いて同じルールでトレードをしても、裁量の場合は、EA化してバックテストした結果とは同じにはなりません。

勝てない人というのは、「裁量」という名の「下手クソさ(技術力と判断力の無さ)」を加えることでバックテスト以下の結果しか出せません。

そして、裁量で勝つ人というのは、要所要所においてはバックテストの結果からは証明できない様な成果を出します。

それが裁量トレードというものなんです。

トリガーの実例をもとに

さて、ここからは実際に僕が使用しているトリガーの中から、比較的多くの人が使いこなしやすいかな、というものを1つご紹介します。

で、このトリガーの実例をもとに、「トリガー」というものそのものを理解してもらえたらな、と思います。

トリガーの具体例

トリガーに使う基本インジとパラメータ

それでは、具体的なトリガーの設定をご紹介します。

使うのは5分足と、1分足。

基本とするインジとパラメーターは、以下の通りです。

  • 5分足には、20SMA、10SMA、8EMA、ストキャスティクス(期間14)
  • 1分足には、20SMA、10EMA、ストキャスティクス(期間14)

これだけです。

(Xでは、先に公開しましたが、1分足の10EMAを誤って10SMAと表記していたようです。EMAが正しいので、混同しない様にお願いします)

ただ、実際の僕はもう歳で、結構チャートが見づらくなっているため、5分足の10SMAと8EMA、1分足の20SMAと10EMAの位置関係が見やすい様に、MA ribbonというインジを使っています。

MA ribbonは、2本のMAの間を色付き表示してくれるもので、知っている方も多いかと。

で、それらのテクニカルをチャートに適用すると、以下の様になります。

左側のチャートが5分足で、右側のチャートが1分足です。

ストキャスには、80,70,50,30,20%にラインが5本引いてありますが、あまり気にしなくて良いです。

以上が、今回紹介するトリガーの基本テクニカルとその設定になります。

実際には他のインジも使いますが、それはまた後ほど紹介するとして、トリガーを引くための基本となる設定は、まずはこれだけであると理解しておいてください。

それでは、実際にこのトリガーの使い方を説明していきましょう。

 

と言いたいところですが、ここまで来るのに非常に長くなり過ぎました。

ということで、具体的なトリガーの使い方や、その実例は次回となります。楽しみに待っていてください。

それじゃあ、また。

ここ最近のドル円相場用いてセットアップの解説

ここ最近、時間と体調の都合でブログ更新できてない(いつものことじゃん、とか言うな)ので、今日はサクッと短めで記事書いちゃおうと思います。

内容は、先月末辺りからのドル円相場のチャート解説。長くならない様に、セットアップくらいまでに留めようかな、と。

今回は、いつもと違って本当にサクッとした解説に留めるんで、実際に自分でチャートひらいて、この記事に合わせて、

「あーでもねぇ、こーでもねぇ」

って感じで、自分で手を動かしながら読み進めることをお勧めします。

それでは、始まり始まり~!

とりま、ラインは2本でOK

Xとか覗いてると、なんかどーでも良いラインをいくつも引いて、占いみたいな解説してるの、たまに見かけるんですが、

基本、ラインなんてそれほど多く引く必要はないです。

なぜかって?

だって、水平線にしろ斜め線にしろ、効いてる様に見える線なんて無限に近く引けるから。

で、沢山ライン引いちゃえば、そりゃーどこかしらに当たって効いてる感出せちゃいますからね。

でも、そんな程度じゃ、実際のトレードでは勝てるはずもねぇ。

ということで、ここ最近のドル円相場のチャート解説を僕なりにします。

が、普段このブログでのチャート解説と言えば、環境認識から現状認識までを解説するのが常ですが、今回は省略します。

出来れば、自分なりに週足から1時間足までを自分なりに現状認識してから、ここから先の記事を読み進めてもらった方が、学習としては効果的かも。

ということで、下の図をご覧ください。ドル円の1時間足チャートです。

水平線が2本だけ引いてあります。上の線は週足からも引けるラインで、下の線は日足から引けるけど実際は4時間足以下でしか表示しないラインです。

勘違いしてほしくないんですが、この2本のラインは、今この時点のチャートを見て引いたラインではありません。このチャート図に表示されている値動きが出来る前に、とっくに引いているラインです。(ただし、微調整はしてありますけど)

で、見ての通り、上昇トレンドから上の水平線で止められ、その後は下の水平線を一旦オーバーシュート(上図赤い四角Zの部分)した後は、再度上のラインに到達していますよね。

で、僕の場合、上図赤丸Aで上値を止められたのを確認して、セットアップが完了です。

どんなセットアップかと言えば、

「基本この2本の水平線の中をレンジ移動」

というセットアップです。

もう1度、チャート見てください。

上昇トレンドから最初の週足レベルの水平線で止められますが、その後はZまで強く下降してますよね。

BOZ波動論を読んだ方はお判りでしょうけど、上昇の推進波に対して調整波となる下降は強すぎです。

なので、原則としてZから再度上昇しても直近高値となる上の水平線を越えることはなく、この後はレンジ展開になりやすい環境にあるというのが、予め想定できます。

(ファンダメンタルズ的に言えば、この日は円安抑制のための口先介入がありましたから、大きく下落。高値警戒感が出てきた感じです)

ただ、Zのオーバーシュートがこの2本の水平線エリアの内側に戻ってきた段階では、レンジがどの様な形で展開するかは分からないんですね。

下降チャネル(上昇フラッグ)なのか?並行レンジなのか?トライアングルなのか?

なので、次の展開を見守らなくちゃいけません。

で、次の画像。(2本の水平線、混乱しない様に上の方を赤色に変えました)

オレンジ色の斜め線を見てください。下降する青色の波動は強いのですが、それと同等の強さで上昇波動は返してきます。

この時点で、もう1度高値を目指す想定ができます。

で、実際に高値(赤い水平線)に到達しますね。でも、越えられない。

で、越えられないことを赤丸Aで確認できた時点で、このレンジの形が高値を切り下げる下降チャネルやディセンディング・トライアングルではないと分かります。

想定できるのは、高値を切り下げないレンジ。つまり、高値も低値も切り下げない並行レンジ(レクタングル・フォーメーション)か、高値を切り下げず低値を切り上げていくアセンディング・トライアングルのどちらか。

ただし、ここで注意!

並行レンジであったとしても、教科書的な解説にある様な、

こんな分かりやすい綺麗なレンジが来るとは思わないことが大切。

何度も言いますが、

レンジ内部の値動きは、基本的には「不規則」

なんですよ。だから、レンジ高値で売ったら綺麗にレンジ低値まで到達してくるとは思っちゃいけない。

そういった想定で、実際のトレードは臨む必要があるんですね。

で、もう既に結果は見えてるので、後付け解説しちゃいますが、結論としてこのレンジは、

並行レンジの中に並行レンジが。つまり、レンジの入れ子状態です。

が・・・

別に特別な値動きではないですよ。良くある値動きです。

既に他の記事でも何度か解説している通り、別に並行レンジでなくともチャネルであっても、その内部構造ではクラスター(つまり小さな並行レンジ)を形成しているというのは、ごく普通の値動きでなんですよ。

なので、これに惑わされてしまうのであれば、それはただ単に

検証不足
練習不足

でしかありません。

チャートの前に居て、トレードしながら一喜一憂ばかりしてるくせに、実はチャートなんて大して見ちゃいないということです。

 

あれ?ひょっとしてまさか・・・

ちょっとやったくらいで、トレードで大金手にできるとか思ってんの?

え?バカなの?

ねぇ、ほんとバカなの?

そんな都合の良い話なんてないことくらい、小学生でも分かるよね?

とりあえず大谷翔平を目指して日々頑張ってる野球キッズ達にでも謝っとけ。

 

としか言いようがありません。

とは言え、実際のデイトレは大変

まぁ、戒めになる様にキツい言い方をしてますが、実際のところ、この相場をデイトレで獲るのは、そう簡単じゃないのかな?とは思います。

後付け解説するなら、めっちゃ簡単な相場ですけど。

既に出来上がったチャートを見て、規則性を見出すことなんて、簡単なんですよ。

でも、値動きが形成途中のリアルタイムでチャートを見ていたら、価格は上を行ったり下へ行ったりとするわけですからねぇ。

特に、今回の様な相場つきは、

レンジの中にレンジが作られる「レンジの入れ子状態」なわけですから、細かいことを言うと

「セットアップも入れ子状態」

なわけです。セットアップしたレンジの中に、更にレンジのためのセットアップがあるんですからね。

ということは、実際にエントリー判断するトリガーもややこしくなりがちで、特に小さな時間軸で無暗にトリガー引こうとすると、騙しにあいやすくなります。

 

僕がね、「初心者や勝てない人は、まずはトレンドだけを狙え」と繰り返し言っているのは、そういうことなんですよ。

レンジは、トレンドを獲りに行くよりもずっと難しいからなんです。

とりあえず、ヒントをチラホラと

今回の記事は、冒頭でもお話しした様に、サクッと終わらせるつもりで書いてます。

なので、細かいことはあまり説明するつもりはないんですが・・・

ただ、ヒントだけでも1つ2つ紹介しておきましょうかね。

ラインで見る場合

青色の波動とそれと同等の波動、この力関係の中で値動きの攻防が繰り返されます。

そして不規則に動きやすいレンジ内部でポイントとなりやすい箇所って、どこでしたっけ?覚えてますか?

そう、「半値」です。

なので、とりあえずこの青色の斜め線で示した波動の半値をフィボでも引いて調べてみてください。

あとは、2本の水平線のレンジ内部にもフィボ当てて考えてみてください。

自ずと見えてくるものがあると思います。

ボリンジャーバンドを使う場合

インジに関しては、何度も言っているように、各自が認知しやすく、検証と練習を繰り返して熟達したものを使うべきですから、どのインジを使おうと、それはトレーダーそれぞれの自由です。

ただまぁ、今回はこういった相場つきに強みを発揮しやすいボリンジャーバンドを表示させておきますね。

以下がそれです。

もちろん、紹介するだけですから、これ以上は何も言いません。

ボリンジャーバンド使いの人は、あれこれと頭を悩ませながら、検証と練習を繰り返して使いこなせるようにしてください。

補足

このブログの常連さんたちには、もう言う必要ないと思ってますが・・・

ちょっと補足として、波の捉え方について言及しておきます。

上図チャートの前半では、上昇トレンドを形成して、赤い水平線に到達しています。

そこから勢い良く加工をしてZを形成するわけですが、良く見るとチャート緑丸(2か所)の低値を切り下げています。

これを見て、

「ダウ理論上では、低値を切り下げたから上昇トレンドは終了だ。ここから下降トレンド」

みたいな判断をする人がいる様です。

が、それは大きな間違い。

まず、低値を切り下げた場合、「上昇トレンドは終了」と判断できますが、そこから下降トレンドが開始するわけではありません。

下降トレンドが発生したと判断できるのは高値切り下げと低値切り下げが発生した時です。

なので、緑丸の低値を切り下げたとしても、正しい判断は

「とりあえずここで上昇トレンドは一旦終了かな。レンジに移行するかもしれないし、この後下降トレンドが発生するかもしれない。また、上昇トレンドが再び再開するかもしれない。」

ということになります。

それだけじゃあ、ありません。

このチャートは1時間足です。この緑丸の部分を更に上の時間足で見てみてください。

4時間足で見ると、この緑丸の部分なんて波の谷にはなってませんよ。せいぜい分かるのは、更にその下の赤い四角で囲ったレンジの箇所です。

しかし、このレンジの箇所ですら日足で見ると、横ばいの波ではなく単なるコマ足1個にしか過ぎません。

近視眼的な相場の見方は、禁物です。

トリガーとは、現実対応のための技術

僕はいつもトレードをスポーツになぞらえて説明しますが、例えば・・・

ピッチャーが投げ終わった後、その映像を見て、

「この時は、この様にバットを振るべきだった」

というのは、簡単ですよね。

でも、僕らはいつだってプレイヤーなんですよ。

今まさに飛んでくるボールを打ち返さなくちゃいけない。

どの様なボールが来るかをいくつか「想定」し、実際に飛んできたボールに合わせて「現実対応」しなくちゃいけないんです。

それが、プレイヤーである裁量トレーダーのすることなんですよ。

で、その現実対応が、「トリガー」なんです。

セットアップに対して、

どのタイミングでエントリーの引き金を引くべきなのか?どのタイミングで手仕舞いをするべきなのか?

ということを判断する技術が、裁量トレーダーにおけるトリガーです。

 

で、今回僕がなぜこの相場に関して記事を書いたかというと・・・

この相場つきで各自がセットアップの取り方とトリガーを、繰り返し繰り返し検証・練習して欲しいんですね。

レンジ相場の検証と練習において、この相場つきは絶好の練習場になると思うんですよ。

出来れば、過去検証ソフトを使って、先の値動きが見えない状態で練習してみることをお勧めします。

 

ということで、今回は手短ですがこの辺でお終いにしようと思います。

それじゃあ、また。

 

 

需給関係をベースにしたトレード入門(1)

前回は、かなり長々とオーバーシュートについてお話しましたが、今回は、そんな長文をきちんと読み切った人に向けた続編をお話しようと思います。

需給関係をベースにしたトレードの考え方についてです。

前回も言いましたが、現在海外では需給関係をベースにしたトレードのスキルが発達しています。日本においては、ここ1年くらいでようやく日本語解説が出てきた感じで、まだ一般的には知られていないのが現状です。

で、今回このシリーズでお話するのは、海外のそれらをそのまんま解説するという主旨ではありません。だって、海外のスキルを紹介するなら、僕なんかよりもっと英語が堪能で、それ専門に勉強している様な人の方が的確ですから。

前回もお話した様に、僕自身は海外のそれを知らずに、需給関係をベースにしたトレードを10年以上に渡って構築してきました。そこに現在の海外のスキルも参考にさせてもらいながら、更に精進を続けているのが、今の僕です。

なので、今回解説する内容は、海外のスキルとは完全に丸被りとはなりません。多分に僕なりの考え方がベースとなるお話です。

で、そこに海外のスキルも加えて紹介するという形にしようかと思ってます。

前知識として、読んでおいてもらえると良いかなと思うのが、まず

1番目の記事は、もう5年以上前の記事なので、今の考え方とは若干異なる部分もあるんですが、僕が相場を斜めラインよりも水平線の世界として見ていることが、ある程度分かる内容だと思います。

で、今回もまた

「そこまで基本的なこと、言わなくても分かるって」

というところから、めちゃくちゃ噛み砕いてお話します。

表面的に知識を拾っていくのではなく、もっと根本的な考え方から1つずつ身に着けていった方が、その後の伸び方が違うと思うんで。

それじゃあ、始まり始まり~!

需給の均衡と不均衡

市場における需要と供給について

どの様な市場であっても、買い手と売り手がいるのは、当たり前の通りです。

  • モノやサービスを買いたい要求や実際に買うことのできる量=需要
  • モノやサービスを売りたい要求や実際に売ることにできる量=供給

としますよね。

これと同様に、金融市場においても、

  • 買いたい欲求や実際に買うことのできる量=需要
  • 売りたい欲求や実際に売ることのできる量=供給

として考えます。

まず、これを頭に入れておいてください。

需要と供給の関係

市場においては、需要と供給の力関係が一致したところで、価格は決まります。

100円で買いたい人の量と100円で売りたい人の量が一致していれば、市場の価格は100円となります。

しかし、需要が供給を上回ったらどうなるでしょう?

結論から言えば、価格は上昇します。

100円で買いたい人が100人いたとしても、供給する側が50個しか売ることが出来ないのであれば、値段が高くても買わなければならない羽目になります。(需給を売買量から見た視点)

また、100円で買いたい人の量と、150円でしか売りたくない人の量が同じ場合でも、値段が高くてもどうしても買いたい人が出てくれば、価格は150円の値を付けます。(需給を欲求の大きさから見た視点)

いずれにせよ、「需要>供給」であれば、価格は上昇するんですね。

それと同様の理屈で、供給が需要を上回れば(需要<供給)、価格は下落します。

市場というのは、需要と供給の力関係で価格が上昇したり下落したりし、最終的に両者の力関係が等しくなったところ(バランスのとれたところ)で価格は落ち着きます。

需給の均衡とは

さて、この需要と供給の力関係のバランスがとれている状態が続いていることを、「需要と供給の関係が均衡している」とか、「需給関係が均衡している」などと言います。

この需給の均衡した状態について、もう少し詳しく見ていきましょう。

例えば、需給が安定せずに、価格が上下に不規則かつ激しい値動きをしている商品があるとします。グラフ化(チャート化)すると、以下の様になりますよね。

しかし、需給関係が少し安定してくれば、値段の開きはあったにしても、

「大体この商品なら、〇〇円から△△円の間で買えるよね」

なんて感じで、価格と上限と下限にある程度の一定感が生まれます。

チャートにすると、こんな感じに価格は推移します。

いわゆる並行レンジですね。この状態は、先程の値動きから比べると安定しており、需給関係は均衡しつつある状態と言えます。

で、この需給関係がどんどんと均衡してくると、価格の上下幅は小さくなっていきます。

この状態を、ボラティリティの観点からいうと、

「ボラティリティが縮小している」

と言いますよね。ボラの低下は、需給の均衡化が進んでいるという解釈もできます。

さらにこの状態を、「市場は売り方と買い方との戦場」という観点から見れば、

「小競り合いが続いている」

と言えるかもしれません。売り方と買い方の力関係が均衡した状態で勢力争いが繰り返されていると解釈できるわけです。

で、この需給の力関係が完全に一致して動かなくなると、いつどこでそれを買っても価格は一律同じ値段になります。

これをチャートにすると、ロウソク足は同時線どころか一本線(ロウソク足の実体もヒゲもない、横一本の線になったもの)が並ぶことになるわけですが、

ただ、金融市場において価格が完全一致した状態が続くというのは滅多にありません。そういったケースというのは、市場は開いているのに閑散としていて、誰も売買を行っていない様な時と言って良いかもしれません。

実際の相場では、売買によって多少の値幅が生まれるのが、需給が均衡した状態なんですよ。

で、それをチャートで表示するとこんな感じになります。

赤い四角で囲った部分が、実際の相場では「均衡している」と言える状態です。緑色の丸の様に、1つの均衡状態の中にも更に違う価格帯で均衡状態を作っているケースも珍しくありません。

とは言え、均衡しているかどうかというのは、あくまで相対的な判断です。他の値動きと比較した場合に、「均衡している」と判断するものですから、同じ均衡状態でもその値幅には差があります。もちろん、その期間にも差はあります。

なので、上図で赤く囲っていない局面でも、「均衡している」と判断できるところは当然でてきます。例えば、下の図の青丸部分とか。

結局のところ、この辺の判断は裁量です。どれが均衡状態なのかの判断は、各人の習熟度にもよりますし、需給関係をどの様な形でアナタが自分のトレードに採り入れるかによっても、変わってきます。

いずれにせよ、ロウソク足の値幅(特に実体)が縮小していき、価格が値幅の中央値に集約されていくような場面では、「需給関係が均衡している」と考えることができます。そして、値幅が小さくなればなるほど、より需給関係が均衡していると考えましょう。

ちなみに、この需給が均衡した状態を、日本の相場では古くから

「保ち合い」

と言います。値動きが膠着して横ばいになった状態のことですね。

また、既に他の記事でお話していますが、この揉み合い、膠着状態をボラティリティの観点から言えば

「スクイーズ」

と言います。

さらに言えば、この保ち合いを

「クラスター」

とも呼んだりしますよね。

ただ、海外の需給関係に注目したトレードは、均衡よりも不均衡に焦点を当てたものがほとんどのため、「不均衡」に対応する英語のトレード用語はあっても、「均衡」そのものを表す英語表記のトレード用語が「equilibrium」なのか(少なくとも僕の中では)ハッキリしていません。

なので、この記事においてはこれ以降、需給が均衡している状態を、そのまんま「均衡(状態)」とするか、もしくは「保ち合い」と表記してお話します。

需給の不均衡とは

次に、需給関係が不均衡な状態というのを、まとめておきます。

需給が均衡している状態が、「需要≒供給」なのであれば、そうでない状態が不均衡な状態ということです。つまり、

  • 需要>供給が続いている状態
  • 需要<供給が続いている状態
  • 需供の力関係が不規則に安定していない状態(「需要>供給」と「需要<供給」が不規則に繰り返されている状態)

になりますね。

既にお話しましたが、需要が供給を上回っている「需要>供給」の状態というのは、価格は上昇します。

逆に、供給が需要を上回っている「需要<供給」の状態では、価格は下降します。

至って難しい話ではありません。

で、3つ目の「需給の力関係が不規則に安定していない状態」ですが、これをチャート化したものは既にお見せしましたよね。こんな感じでした。

この状態も、テクニカル的に言えば「レンジ」と解釈します(過去記事にて説明済みです)。

が、需給関係が安定した状態のレンジではないため、過去の値動きから次の展開を想定しづらい状態ですので、同じレンジでもこちらのレンジは、トレード不可能な局面となります。

ただ、基本的に金融市場ではこの様な状況は、一時的なことがほとんどです。しばらくすると値動きの上下は安定してきて、需給関係は均衡した状態に近づいていきます。

さて、以上に見てきた様に、相場には需給が均衡した状態の局面と、不均衡の局面があります。これら需給関係の均衡・不均衡をもとに、実際のチャート図で見ると、こんな感じになります。

見ての通り、相場というのは、需給関係の均衡と不均衡を繰り返し続けているということが分かると思います。

ちなみに、需給関係の不均衡のことを英語圏のトレード界隈では、「Imbalance(インバランス)」と呼んでいる様です。アンバランスじゃないですからね、インバランスです。

ということで、この記事においても、これ以降は

  • 需給の均衡=均衡・保ち合い
  • 需給の不均衡=不均衡・インバランス

と表記してお話することにします。

さて、ここまでのお話で、需給の均衡・不均衡は把握してもらえたと思います。それでは、次に進んでいきましょう。

需給関係をロウソク足から読み解く

ロウソク足で見る需給関係

需給のバランスが「需要>供給」となると価格は上昇しますが、その上昇をロウソク足1本で表せば、もちろんそれは陽線となります。

逆に「需要<供給」の場合、その下落する様子をロウソク足1本で表すならば、それは陰線となります。

また、同じ陽線であっても、より実体の大きな陽線の方が、一定時間での上昇力が強いわけで、需給関係で言えば、不均衡の度合いがより強い(均衡がより大きく崩れている)と判断できます。(陰線の場合も、同様の解釈)

では、均衡状態の場合、ロウソク足1本はどうなるでしょう?

これは既にお話していますね。本来需給が均衡している場合、ロウソク足はヒゲも実体もない横1本線となりますが、現実の相場では実体もヒゲも小さなコマ足となります。

要するに、

  • 需要と供給の均衡が大きく崩れれば崩れるほど、ロウソク足の実体は長くなる
  • 需要と供給の関係が均衡に近づけば近づくほど、ロウソク足の実体は短くなる

ということです。

これも、至って簡単ですね。少し考えればすぐに分かることです。

では、次に進みましょう。

均衡時の複数のロウソク足の形成

では次に、均衡状態が保たれている間、ロウソク足はどの様にして複数形成されていくのかを考えてみましょう。

完全に需給は一致しなくとも、ほぼ均衡状態に入るとロウソク足は実体が小さくなるんでしたよね。

しかし、需給は完全には一致していないので、基本的には次のロウソク足で出来るだけ正確な均衡を保とうとします。つまり、1つ目のロウソク足が小さな陽線の場合、そのわずかな不均衡を解消するために、次の足ではそれをカバーするかの様な小さな陰線が生まれるんですね。

しかし、この陰線のコマ足もわずかな不均衡ですから、それを埋めるために次の足では陽線が生まれ、更にその陽線のわずかな不均衡を埋めるために次に陰線が生まれ・・・

というロウソク足の生成が繰り返されます。

もちろん、これは理屈を理解してもらうための教科書的な値動き解説図です。なので、実際のチャート上では、もう少し複雑です。

1つ目のロウソク足の不均衡を次の足だけで埋めることは出来ず、2本以上のロウソク足で不均衡を解消したりします。また、実体に比べてヒゲが長いロウソク足が続いたり、やや蛇行してロウソク足が並んでいたり・・・

とまぁ、色々なケースがあるんですね。

実際のチャートで確認してみましょう。下の図はポンドドルの日足です。

赤い四角で囲ったAとBは、先ほど解説した教科書的な均衡の保ち方です。陽線が出るとほぼ同じ値幅の陰線で不均衡を是正し、その陰線の不均衡を次の足の陽線で是正しています。

で、ここで注意してもらいたいことがあります。

それは、ロウソク足がつけたわずかな不均衡を次のロウソク足で是正する場合、必ずしも実体でそれを埋めた状態で終わる必要はないということです。例えば、前の足が陰線だった場合、次のロウソク足の値動きで上昇して一旦前の足の不均衡を埋めた後、次に下降して上ヒゲで終わってもOKです。

大切なのは、値動きが前のロウソク足の不均衡を埋めようとした形跡があるのかどうかです。

また、僕が図で解説しているものは、原理原則を理解してもらうために描いた理想的なものです。なので、現実の相場では必ずしも前の不均衡をピタリと埋めるわけではありません。完全には埋めきらないこともありますし、行き過ぎることもあります。あまり神経質にならない様にしてください。

で、この様なことを理解して見ていくと、赤く囲ったCとDも、容易に均衡状態だということが分かると思います。

次にオレンジ色で囲ったEとFを見て下さい。これは、最初のロウソク足を次の1本で是正しきれずに、複数のロウソク足で不均衡を是正して均衡を保とうとしている例です。これも容易に判断できると思います。

では次に、青色で囲ったところを見てみましょう。

これは、ロウソク足の実体だけを見ると、蛇行していたり上昇や下降をしている様に一見見えますが、ヒゲを含めたロウソク足全体で見ると、均衡状態だと分かる例です。これも、それほど難しくはありませんね。

ロウソク足の形はあくまで「一定期間における結果」でしかありません。その間の軌跡や次のロウソク足(期間)と連動してみることで、現在の値動きが均衡状態にあるのかどうかが判断できます。

次に、一番左側の緑色の四角で囲った局面を見て下さい。ロウソク足の軌跡から、この視覚の部分を1つの均衡状態と見ることが出来ますが、ロウソク足の実体を中心に見た場合は、2種類の揉み合いと見ることもできます(緑色で塗り潰した丸部分)。

ちょっとこの部分、詳しく解説しようと思ったんですが、かなり長くなるので割愛しますが、こういった細部もきちんと見ることで、実際のトレードにおいてはレンジ内取引にうまく活用できるようになります。

更にもう1点、解説しておきましょうか。

オレンジ色の四角で囲ったEとFの間にあるピンク色で塗り潰した部分を見てください。数本のロウソク足で下にじり下がりしていますよね。

しかし、このじり下がりした不均衡は、Fに入ると、次の陽線1本だけで是正されています。そしてFではこの陽線の不均衡を数本のロウソク足を使って是正しているという形になっています。

なので実際には、ピンク色の部分とFの両方を合わせて1つの均衡状態とするのが、正しい判断です。(ここでは、均衡状態を分かりやすく解説するために、敢えて分けてみただけです)

さて、ここまで解説してきて、何となく気づいた人もいると思いますが、

「プライスアクション」

というと、出来上がったロウソク足の形状だけに注目されがちです。実際、解説している側もその形状だけしか解説してませんしね。

でも、どんなに「プライスアクション」と横文字を使って格好つけたとしても、要するに「値動き」のことなんですよ。

価格がどの様に動いているのか、そのロウソク足の「軌跡」をたどることが大切なんです。丁寧にね。

とは言え、例えば上の図は日足ですから、デイトレするなら直近の数本、多くても10本程度の値動きを把握すればOKなことがほとんどです。

慣れてしまえば、ほんの数秒で済む作業ですよ。日足分析に、ほんの数秒の判断を加えるだけで、その日のトレードの分析は格段に上がります。

需給の均衡が崩れる時

さて、ここまでは均衡状態が続いている際のロウソク足の形成についてお話してきました。

今度は、均衡が続いていた需給が崩れる時のことを考えていきましょう。均衡状態が崩れるというのは、チャート上では一体どの様な時なのでしょうか?

需給が均衡している状態とは、小さなロウソク足が並んだ状態、つまり値幅の小さいレンジでした。

で、この均衡が崩れるというのは、下図の様な状態です。

そう、「レンジ・レイク」した時です。

レンジにも色々ありますが、値幅の縮小したレンジというのが、いわゆる「需給が均衡した状態」で、その均衡が崩れる時が、レンジ・ブレイクとなるわけです。

レンジ・ブレイクするパターンは、上図でお分かりの通り、主に2種類です。

  • 低値を徐々に切り上げて、ブレイクする
  • レンジ中の小さな値幅のロウソク足に対して、明らかに大きなロウソク足(大陽線・大陰線)が生まれて、ブレイクする

ただ、いずれにせよ実際にレンジをブレイクするのは、「たった1本のロウソク足」(上図赤い矢印)です。

まずはそのブレイクしたたった1本のロウソク足について、少し考えていきましょう。

需給の均衡状態が続いているということは、売りも買いも同程度の量で売買が繰り返されているということです。

なので、その均衡を破るだけの量の資金が流入しなければ、レンジは破られません。つまり、レンジをブレイクするきっかけとなった1本のロウソク足には、レンジをブレイクするだけの資金が詰め込まれていると解釈できます。

では、その需給の均衡が崩れるきっかけとなった証となるロウソク足を見比べてみましょう。

AとB、どちらのロウソク足が、均衡をより大きく崩したと思いますか?

簡単ですね。Aの方です。

BよりもAの方が、陽線が大きい。より大きく均衡を崩したということになります。

つまり、均衡状態にあった際のロウソク足たちに比べ、大陽線や大陰線が出現したというのは、需給関係が大きく崩れた証だということです。

ただ、ここで注意してもらいたいことがあります。

BよりもAの方が陽線が大きいということは、Aの方がより多くの買い資金が流入したのでしょうか?

いいえ、それは分かりません。だって、外為市場では株式市場の様に出来高が分からないんですから。なので、正確な買い資金の流入の量は分からないんですね。

例えば、大陽線AとBの買い注文量が同じであったとしても、Bの売り注文が多ければ、陽線は小さくなります。もっと言えば・・・

大陽線Aの買い注文量が100、Bの買い注文量がそれより大きい120であったとしても、大陽線Aの売り注文量が20しかなく、Bの売り注文量が100であったとしたら?

そう、買いと売りの比率はAの方が大きいので、Aの方がBよりもより大きく上昇しやすい、つまり大陽線を形成しやすいことになります。

要するに買い圧力と売り圧力の比率、バランスの問題です。

需要と供給の差が大きいほど、よりバランスが崩れた方が、均衡をより大きく崩したと判断することになります。

ロウソク足が大きければ大きいほど、資金の流入も大きいと思っている人は多いですが、違いますからね。ロウソク足が大きければ大きいほど、需給のバランスが大きく崩れていると解釈してください。

(資金流入の度合いを推し量る術は、無いこともありません。ただ、これを書き出したらまた長くなり過ぎたので、割愛しました)

いいですか。ロウソク足の長さというのは、資金量の大小そのものではなく、バランスの崩れ方(不均衡の度合い)を表すものであると、覚えておいてください。

市場は需給のバランスを保とうとする

先程お話した通り、需要が供給を上回り、需給のバランスが崩れると、価格は上昇します。そして、その不均衡が続く限りは、価格も上昇を続けます。

しかし、ここで知っておかなければいけないことがあります。

それは、需給関係が不均衡であっても、市場はその不均衡を手放しでは放ってはおかないということです。市場においては、需給のバランスを保とうとする力が働きます。

つまり、価格は上がっても、次には下げてくる。そうやって出来るだけ需給のバランスを保とうとするのが、市場の原理原則なんです。

  1. 需要が供給を上回る(需給の不均衡)と、価格は上昇する
  2. しかし崩れたバランスを保とうと、上がった価格は一旦下がる
  3. しかし、大局では不均衡は続いているため、再び価格は上がりる
  4. その不均衡を是正しようと、再び下がる
  5. 再度価格は上がり、また下がる

これを繰り返しながら、価格は上昇します。

「市場原理」というと何やら凄そうですが、そんなことはありません。

買えば価格は上がるし、売れば価格は下がります。需給が均衡状態であればまさしくその繰り返しで価格を同水準で保ちます。

しかし、「需要>供給」という状況でも、理屈は同様です。

買いたい人が売りたい人を上回っていれば、価格が上昇しますよね。

すると売りたい人たちは、価格が上がったのを見て、

「お!高く売れるぞ!今のうちに売ってしまえ!」

となって売りに出すので、一時的に供給は需要を上回って、一旦価格は下がります。

しかし、価格が下がれば、やはり買いたい人が買ってきて、価格は上昇するわけです。

しかも、需要は供給を上回っている、つまり全体的には買いの量が売りの量を上回っているわけですから、価格は売りで下がったよりも更に大きく上昇します。

で、大きく上昇したら、やっぱり売りたい人が出てくるので、価格は一旦は下がる。そして下がった価格を買いたい人は買って更に価格は上がり・・・

これを繰り返しながら、価格は上昇していくわけなんですね。

で、これが上昇トレンドです。崩れたバランスを出来るだけ修正しながら、それでも崩れたバランス全体は是正できずに上昇を続けている姿が、上昇トレンドなんですよ。

お手本の様な図にすると、こんな感じになります。

「需要>供給」という不均衡により①-②で価格は上昇したとしても、市場はバランスを保とうとし、②-③で一旦下げます。しかし、市場全体は「需要>供給」という流れなので、再び③-④で価格は上昇します。

ところが市場は均衡を保とうとし、不均衡を是正すべく④-⑤でまたまた価格は下げることになります。

しかし、やっぱり市場は全体として「需要>供給」という流れなので、⑤-⑥と価格はまたしても上昇していきます・・・

というのが、上昇トレンドの流れなんですね。

ただ、ここで1点注目してもらいたいことがあります。それは、この図にある青いラインです。

②の高値に引いたラインで⑤は止められていますね。

もちろん、これは教科書的な波の描き方です。青いラインに⑤は届かずに反転上昇をすることもありますし、青いラインを一旦下回った後に反転上昇することもあります。

しかし、敢えてお手本によって、基本的な値動きの原理を理解してもらいたいのですが、

③-④の上昇波の波は、②の高値に⑤の低値が到達することによって、帳消しにされていることに気づいてください。

①から⑥まで上昇する際、①-②-③-④-⑤-⑥という経路であっても、①-②-⑤-⑥という経路であっても、結果として上昇した値幅は同じです。つまり、①から⑥に至るまでの道のりでは、灰色で囲った②-③-④-⑤は回り道(寄り道)しただけのことでしかなく、結論だけで言えば、

「別に、灰色で囲ったコースは、無くても良かったじゃん!」

ということになるわけです。

つまりですねぇ・・・図にすると、

というのは、

というのと、結果としては同じことになるわけです。

大切なことなので、繰り返して言いますが、

③-④の波は上昇波なので、「需要>供給」という不均衡を表していますが、次の④-⑤の波で、⑤が②と同じ価格まで下落することで、③-④という不均衡の波は結果として、

②-⑤という横ばいの波、つまり均衡状態に是正されたのと同じ意味合いを持つことになるわけです。

市場というのは、不均衡が続き価格が上昇(下降)していても、この様にして出来るだけ均衡状態を作り出そうとしながら、上昇(下降)を続けているんですよ。

僕らが見慣れた、このジグザグと価格が波を描いて進んでいくという動きは、需給の不均衡とその不均衡を是正しようとする市場原理を表している動きなんですね。

ちょっと、ややこしいですかね?

でも、頑張ってついてきてください。

ロウソク足で見るトレンド時の不均衡是正の仕方

まずは基本から

では、今度は先ほどの上昇トレンドの波の図を、3本のロウソク足だけで表現してみましょう。以下の様になりますよね。

A、B、Cの3つのロウソク足が波の高値と低値を捉えています。

ただ、ちょっと見づらいんで、波を消してロウソク足だけにしてみます。するとこんな感じ。

先ほどの波と同じように、ロウソク足Aの高値(上ヒゲ)とロウソク足Cの低値(下ヒゲ)がロウソク足Bを丸々埋めきってしまっていますよね。

先程、波の形で見た考え方をこのロウソク足で当てはめるなら、

不均衡である陽線Bは、(次のロウソク足Cの低値がロウソク足Aの高値まで下げたことで)ロウソク足Aとロウソク足Cによって不均衡が是正されている

ということになります。

つまり、ロウソク足が1つ1つ形成される動きというのは、

1つ前のロウソク足の不均衡(陽線・陰線)を是正しようとしながら、新たにロウソク足が形成される

ということなんですね。

この図の次の展開として、Cの次に新たにDというロウソクが生まれたとしても、今度は陽線であるCの不均衡を是正するために、ロウソク足Dは一時的ではあっても、Bの上ヒゲの先(高値)に到達しうようとするんです。

まずは、不均衡が続いている(トレンド継続時)場合であっても、ロウソク足は1つ前のロウソク足の不均衡を是正しようとしながら形成され続ける、という基本形を覚えてください。

不均衡を埋め過ぎた場合も同じ

ところで、実際の相場では先の様にお手本的な展開とはならず、下図の様にCの低値がAの高値を越えてしまうことは、普通にあります。

しかし、これもAのヒゲとCのヒゲでBのロウソク足を埋めきってしまっているので、このパターンも「不均衡は是正された」と解釈することになります。

確率論と普遍性

ということで、この様に3本のロウソク足の内、その両側の足が、真ん中の足の実態の隙間を埋めるかのようにして形成されていくというプライスアクション・・・

このプライスアクションが、市場原理においては、基本となります。

ここでは上昇トレンドを例に解説しましたが、下降トレンド中であろうが、そしてレンジ中であろうが、同様の理屈でロウソク足は形成されていきます。

ただ、勘違いしてほしくないのですが、これはあくまで基本的な考え方です。絶対そうなるわけではありません。

トレードで勝てない人というのは、テストの回答と同じ様にたった1つの正解を求めたがります。しかし、トレードというのは現在から未来に対する差益を求める作業ですから、絶対的な1つの正解というのは存在しません。

未来に起きる事実とは不確実性の中にあるわけですから、確率で考えます。確率の高い方に向かって実行するのがトレードなんですよ。

唯一無二の正解を求めるのはただ自分自身が安心したいだけのことであって、確率思考に頭を切り替えられなければ、トレードで勝ち続けることは不可能です。

で、いつもそうですが、今回のお話もその確率論の中でお話しています。今お話しているプライスアクションも、絶対そうなるという話ではなく、大半がそうなるということです。

で、この確率ですが、一説ではおよそ8割程度と言われています。

ただ、僕自身が調べた結果では、前のロウソク足の不均衡を次の足で完全に埋めきるのは、正直8割には届きません。

また、局面によってバラツキが結構あるようで、「少ない時で6割、多い時で8割に届くかどうか・・・」という言い方が適切でしょうか。やはりトレンド時では不均衡を是正できないケースが多く、また値動きが荒い場合も是正されにくい様です。

(ただし、「完全に埋めきる」という解釈でのもとでの計算です。これについては、後ほど更に解説していきます)

では、例として、ちょっと下の図を見てもらいましょうか。次のロウソク足で不均衡を是正できなかった隙間をピンク色で塗りつぶしてみました。

上図の局面で言えば、是正しきれなかったのは3割弱で、その大半は不均衡を是正しながらロウソク足が形成されていっています。

この様にロウソク足は基本的に、前の足の不均衡(インバランス)を是正しようとしながら形成されるということを、まずは覚えておいてください。

さて、ここまでは理解できましたか?

かなり噛み砕いてお話しているので、理解できていると思います。

ではここで、もう一度先ほどの図を見てみましょう。

この図では①より前の波が描かれていませんが、仮にこれ以前の波は高値が②と同様のポイントで止められているとしましょう。つまり、②の高値で引いたラインが、レンジのレジスタンスだったら、ということです。

であれば、③-④の波でレンジ上限をブレイクし、⑤でこのラインを試してから再度上昇しているという波になりますよね。

つまり、ロールリバーサルです。

ということは、

青いラインがレンジ上限のレジスタンスだった場合、この3本のロウソク足はロールリバーサルを表していることが分かると思います。

要するに、レンジ・ブレイクという均衡を強く破った様な時であっても、市場は均衡を保とうとするんですね。

ロールリバーサルというのは、レンジ・ブレイクの判断として使われますが、実際の相場においては、実は特別な値動きというわけでもなんでもなく、ただ市場が均衡を保とうとする極日常的な値動きの中の1つにしか過ぎないんですよ。

不均衡を埋めきれない場合

さて、市場は需給の均衡を保とうとするのが原理であり、ロウソク足もそれに従って形成されていく、ということがここまでの解説で分かったと思います。

しかし、その確率は少ない時で6割程度、多い時でも8割ほどです。

当然、不均衡を是正できないこともあるわけです。図にすると、こんな感じなります。

Bの不均衡をCは是正できず、Aの高値まで下げるどころか、大して下げもせずに陽線をつけて終わっています。

ということは、このAの高値とCの低値には不均衡を是正できなかった証として、隙間ができますよね。

この埋められなかった隙間が、不均衡を是正できなかった箇所であり、ここにインバランス(不均衡)が残されていると解釈できます。

ただし、同じインバランスでも、2つの解釈ができるんですよ。

先程解説したお手本の様な画像をもう1度見てください。

これって結局、

これと同じだったわけですよね。

これ、ロウソク足に変換して考えてみてください。

このロウソク足の並びは、結局のところ、下の図と同じということになります。

Bのロウソク足は結果として、高値低値始値終値が完全に一致した一本線と同じ意味合いになります。

しかし、既にお話した通り、金融市場において完全均衡である一本線は滅多になく、実質的には値幅の小さなコマ足は、ほぼ均衡状態とみなすわけでしたね。

であれば、当然のごとく、

上図の様にわずかなインバランスが残された場合は、

上図の様に、AとCのロウソク足が完全にBを埋めきらなくとも、Bはコマ足状態と同じことになるわけですから、「ほぼ均衡状態」と考えることが出来るわけです。

 


補足:

上記の解説図を見て「ん?」って思った方もいると思うので、ちょっと補足しておきます。先ほど提示した2つの画像、

と、

は、正確なロウソク足図とは言い切れません。Aの終値とBの始値、Bの終値とCの始値が一致してませんからね。(株式の日足ならあり得ますが、外為市場では滅多にお目にかかれないロウソク足の並び方です)

しかし、これは解説の便宜上、「同じ意味合いになる」という理由でロウソク足を描いているため、その様になってしまっています。

これを波で解釈すると、

と同様の意味合いを持つことになるわけですから、この均衡状態の部分だけをそのままロウソク足に変換してみると、

という風に解釈できるという意味です。

「下手に手を加えると、逆に理解しづらいかな」と思い、上記の様に解説しています。

ただ、こちらの解説が理解しにくい人もいるかと思うので、違う解説の仕方を以下に加えておきます。

 

例えば、

この様にわずかなインバランスが残されている場合、どの様な解釈をするかというと・・・

ロウソク足1本の期間をずらして考えてみてください。

  • 1本目のロウソク足の終値は上図Aが高値に到達した時点で、そこから2本目のロウソク足が始まる
  • 2本目のロウソク足の終値は上図Cの低値に到達するまで続き、そこから3本目のロウソク足が始まる

この様に、ロウソク足が確定する時間をずらして考えると、

というロウソク足たちは、

という風にも解釈できるため、Bはほぼ均衡を保った状態と判断することが可能になります。

 

う~ん・・・どちらの解説が理解しやすいかは、人それぞれですかね。いずれにしろ混乱してしまうなら、ロウソク足ではなく、「波」で理解してください。


 

ということで、僕の流儀から言えば、前の足の不均衡を次の足で完全に是正できなくとも、そのインバランスがわずかであれば、「不均衡を是正した」と考えることになります。

先ほど僕は、僕自身が調べた結果では「不均衡を完全に是正しながらロウソク足が形成さるのは、少ない時で6割、多い時で8割程度」と言いましたが、この様に不完全ではあってもほぼ不均衡を是正したと考えられるものも含めると、

「市場において次の足が前の足の不均衡を是正するのは、8割程度」

となります。市場はトレンドが出ていても出ていなくとも、結果的には不均衡を8割ほど是正しながらロウソク足を形成していくわけです。

となると、残りの2割が気になるところです。つまり、

上図の様に、明らかに不均衡が是正されず、大きなインバランスを含んだ状態が、市場には2割ほど存在するわけです。

で、この埋められなかった値幅、つまり不均衡を是正できなかった値幅のことを、

「FVG(FairValue Gap)」

または、そのまんま

「インバランス(Imbalance)」

と呼びます。

現在の潮流から言うと、「FVG」と呼ばれることが圧倒的に多いです。この記事では、特に使い分けることなく、両方の呼び方を用いることにしますね。

ということで、この3本のロウソク足が織りなすFVGというプライスアクションについて、次章でもう少し解説していくとしましょう。

 

・・・と思って書き出してたんですが、今回の記事はここでお終いにします。さすがに長過ぎなんで。

次回は、FVGだけでなく、エントリーのタイミングをとるためのプライスアクションの見方くらいまでを解説出来たらな、と思ってます。

まぁ、需給関係をベースにしたトレードは、それだけに留まらないんですけどね。その辺りは機会があるたびに解説していこうかな、と。

それじゃあ、また。