価格の値動きを生み出すゾーンのお話

本来なら「優位性」についてのお話をするつもりだったんですが、書いている途中で、僕の中の曖昧な部分が露呈してしまって、進行がストップした状態になっています。

まぁ、このブログは自分のために書いている様なものですから、更新するのは自由・・・

と言いたいところなんですが、このブログを印刷してテキスト代わりにしてくれている方が何人かいる様なので、このまましばらく放置というのも気が引けるわけで。

ということで、ちょっと場つなぎ的に、

値動きの見方、考え方

を一部分ですが、お話しようかと。

それでは、始まり始まり~。

値動きの規則性

とりあえずは、かなり基本的なお話から入っていきますが・・・

値動きを見る際、まずは高値低値に注目します。そしてそこに一定の規則性がある場合、僕らにとってそれはトレードをするための大きな手助けとなります。

例えば、これ。

ユーロドルの1時間足ですが、典型的な下降トレンドを描いています。

しかも、赤い実線で分かる通り、高値に規則性があるのでトレンドラインが比較的キレイに引けます。

トレンドラインの辺りで反転したら売り、という極めて教科書的な相場局面ですね。

おまけにこの下降トレンド、高値と同様の規則性が低値にもあり、破線で示した通り、トレンドラインと平行にラインを引くことができます。

ですから、短期売買の場合は、実線のトレンドラインで売って、この破線を目安に利確を繰り返すということも可能ですし、ずっと売りっぱなしでトレンドラインを上抜けたら利確するというトレードの仕方もあるわけです。

 

えっと、こんな基本的な話、退屈ですか?

 

退屈ですよね。

でも、「分かってる」「知ってる」と言いながら、こんな単純な相場つきですら獲れないのが、典型的な負け組の思考パターンです。

トレードに限らず、どの様な仕事であっても、基本は大切です。基本的なこと、当たり前のことを、当たり前に出来るようになって、初めて一人前と呼べるようになります。

そのためには、繰り返し繰り返し基本練習をするわけです。スポーツなんかも同じですよね。

 

では、話を元に戻します。

値動きを見る時は、高値低値に注目し、規則性があるなしを見極めます。そうやって、その局面がトレード可能かどうかの判断材料にするわけです。

上のチャート、もう少し時間を進めてみましょう。

先ほどのトレンドライン(赤色の実線)をブレイクした後の上昇局面でも、やはり高値低値に規則性があり、平行な線(青色の線)が引けます。

典型的な下降フラッグですね。下降トレンド途中の調整局面(戻し)ですから、この低値を結んだラインを下方ブレイクしたら、再び下降トレンドが始まります。

先人たちは、この様に相場をパターン化する知恵を、僕らの後世に残してくれたんですね。実にありがたいことです。

では、この後お話する内容を深く理解してもらうために、もう少し教科書的、基本的なお話を続けてみます。

下の図はドル円1時間足チャートですが、赤い丸で囲った部分を皆さんはどの様に見るでしょうか?

例えば、こんな感じでしょうかね?

レクタングル・フォーメーション、いわゆる平行レンジです。高値と低値が水平線で結ぶことができますね。 

しかし、こんな見方をする人もいるかもしれません。

変則的ですが、三角保ち合いですね。高値低値が徐々に狭まってきて、煮詰まったところで上方にブレイク、といった捉え方ができます。

平行レンジと三角保ち合い、2つの見方が出来るわけですが、どちらかが正解でどちらかが間違いというわけではありません。

両者の見方とも、高値低値に規則性を見出しているわけですから。

高値低値に規則性が続いている以上、高値で売って低値で買うというトレードが可能となりますし、その規則性が破られたら、破られた方向についていくというのが基本的(教科書的)な戦術となるわけです。

 

では、高値低値に規則性がない場合、どうトレードしたらよいでしょうか?

例えばこのチャートとか。

ユーロドルの15分足ですが、これだけを見る限り、このチャート全体の値動きに規則性があるとは、ちょっと言えません。

値動きに規則性がないということは、価格がどのタイミングでどちらの方向に進むかも予測できないということです。

こういった値動きの時にリアルタイムでトレードすると、買えば下がるし売れば上がるを繰り返したりします。出来れば手を出したくない相場つきです。

前々回も言いましたが、こういった規則性を見出せない局面は、「分からない」とハッキリと判別できる意識を持つことが大切です。

では、次のチャートはどうでしょうか?

これ、ポンド円の15分足ですが、この値動きを見てどう思いますかね?

全体的に見れば価格は下降している様に見えますが、上に跳ねてみたと思ったらガラッと下げてみたり。ポンド円らしく値動きが荒いですねぇ。

で、このチャートから見える値動きに、トレード可能な規則性はあるんでしょうか?

う~ん・・・ある様な、ない様な・・・

まぁ、「ない」と思えば、「ない」でOKです。トレードしなければ良いだけですから。問題なのは、「ある」とも「ない」とも判断せずにトレードしてしまうことです。

が、しかし

この値動きからは、未来の値動きを示唆する情報が見え隠れしているんですよ。目を凝らして見てください。このチャートからは、ある一定の規則性が導き出されます。

分かりましたか?

実は、このチャートは最近のもので、先週木曜日3月28日16時を過ぎた辺りからの値動きを敢えて隠しています。

なぜ隠したかというと、この28日16時までの値動きを見て、この後どの様に価格が推移するのかを考えてもらいたいからなんですね。

僕らトレーダーは、過去から現在までの価格の値動きを見て、未来の値動きを模索するのが仕事でから。

さて、このチャートから、値動きの規則性を見出すことが出来ましたか?

「できた様な、できない様な・・・」

そうですか。じゃあ、この値動きを僕が、

「これ、チャネルですよ。きっとそう。多分そう。いや、そうであってくれ・・・」

とか言ったら怒りますか?怒りますかね、冗談は後にしてくれって。

でも、本当にこの値動きは、チャネルを示唆しています。正確に言えば、チャネルを形成し始める直前の形です。

では、この値動きがこの後なぜチャネルを形成していくのかを、ちょっと解説していきましょうかね。

平行するラインの内部構造について

レクタングル・フォーメーションの内部構造

ちょっと先ほどのドル円1時間足チャートをもう一度見てもらいましょうか。

高値低値に水平線が引ける平行レンジでしたね。四角形で囲むことができるこの平行レンジのことを、レクタングル(四角形)・フォーメーションと言います。

で、こういった平行レンジの内側の値動きは比較的不規則に動くのが特徴です。なので、ライン際辺りで売買しないと痛い目を見たりします。

ただ、そんな平行レンジでも、その内部に1つのポイントが現れることが数多くあります。

それは、高値を結んだレジスタンス・ラインと低値を結んだサポート・ラインのちょうど真ん中、このレンジの半値部分です。

このレンジの半値に注目するというテクニカルは、まぁまぁ知られているので、ご存知の方も多いかもしれませんね。

では、ちょっと注目して見るために、30分足に切り替えて拡大してみましょうか。

このレンジの中値辺りに水平線を引いてみましたが、この真ん中のラインで何度も止められているのが分かると思います。

平行レンジを形成している場合、その中値に注目することは、トレードを行なう際に重要なポイントになるわけです。

では、この平行レンジの値動きをもう少し細かく見ていくと何が分るでしょうか?ちょっと、じっとこの値動きを見てください。

何やらレンジ上限で価格の揉み合った塊が、次はレンジ下限に移動して揉み合って塊を作り、次は再びレンジ上限に移動して揉み合って・・・

と、この赤いラインを境にして、揉み合っている価格の塊が上下に移動しているのが分かりますかね?

図にすると、こんな感じです。

こう見ていくと気が付く通り、

平行レンジとは、

  • レジスタンスとサポートラインの間を上下している
  • 中値を境にして、価格の揉み合いが上下に移動している

という2つの捉え方が出来ることになりますね。

もちろん、レクタングル・フォーメーションの内部では、こういった値動きが必ず起きるというわけではありません。

レンジ幅の大きなフォーメーションですと、内部では上昇トレンドと下降トレンドが繰り返されることも多く出てきます。

ただ、多くの傾向としてこの様な値動きが起こるということは、シッカリと頭の中に入れておいてください。

チャネル・ラインの内部構造

さて、レクタングル・フォーメーションの値動きは分かりました。

しかし、これは何も水平線で囲まれたレンジだけの現象とは限りません。斜め線であっても、高値低値を結んだラインが平行であれば、同じ様な現象が見受けられます。

ではここで、以前お話した「2017年12月14日午前まで続いた下降チャネルの内部構造について」の画像を見てもらいましょうか。

平行する2つの斜め線、いわゆる下降チャネルが展開されている局面ですが、これの内部構造はというと、

揉み合う価格帯(ゾーン)を形成しつつ、ジリ下がりになっていますよね。

ゾーンが上下に移動しているのが、先ほどのレクタングル・フォーメーションでしたが、このゾーンがジリ下がりになって形成されている値動きが、下降チャネルというわけです。

で、面白いことに、この移動するゾーンに注目してその節目をラインで結んでいくと、

上図の緑色ラインを見れば分かる通り、やっぱりこのチャネルラインの幅の真ん中あたりに、チャネルラインと平行の線が引けるわけです。

相場って、不思議ですね。テクニカルって、面白いですね。

ただし、ここで2つ注意点が。

チャネル・ラインの中央付近にできるラインですが、これは単にラインというわけでなく、この辺りで揉み合うことでゾーン(値動きの域帯)を形成することが多くなります。

上図のチャートで言えば、こんな感じになりますかね。

さらに、もう1点。

緩やかなチャネルの場合、先に見た様に水平な揉み合いの塊の移動になります。

ところが、チャネルの角度が急な場合は、この塊が水平な揉み合いではなく、視覚的に斜めの塊になるなど、変形してしまうことが俄然多くなります。

ラインの角度が急だということは、値動きが激しくなるわけですから、揉み合いの塊も水平ではなく変形してしまうのは、まぁ、当然と言えば当然なんですけどね。

また、レクタングル・フォーメーションと同様に、チャネル幅が大きい場合は、揉み合いの塊よりも、チャネル内での上昇トレンドと下降トレンドが数多く見受けられるようになり、レンジ半値にポイントとなるラインが引けない状態になったりします。これも、ちょっとチャート図を載せておきましょうか。

まぁ、単純化して言うと、レクタングル・フォーメーションにしろチャネルにしろ、高値低値に平行なラインが引けるフォーメーションの場合は、基本として

  • ライン内にトレンドを形成しながらキレイに上下するパターン
  • 揉み合いの塊を形成しながら、その塊が上下に移動していくパターン

の2パターンが両極にあるということを頭の中に入れておいてください。実際の相場では、それらのパターンが入り混じって値動きが形成されていきます。

逆説的に考えてみよう

実はこのレクタングル・フォーメーションとチャネル・ラインは、その展開が物凄くバラエティーに富んでいて、とても面白いんですが、

正直、このお話をしていくと、めっちゃ長くなってしまいます。

なので、ちょっとチャネルラインに対する根本的な発想の1つだけを、これからお話しようと思います。

 

まず、これまで解説してきたチャネルラインを端的にまとめると、

  • 高値低値に規則性があり、2つの平行な斜め線が引ける
  • 価格はその中を、トレンドを形成しながら上下に移動するか、揉み合いの塊を形成しながら移動する(両者混合あり)
  • チャネル幅の半値あたりに、チャネルラインと平行するラインが引ける

ということになります。これが基本形。

しかし、この発想は、

  1. 高値低値のラインがあって、その中で価格は移動する
  2. 移動している価格はチャネル幅の真ん中あたりにさらにラインが引ける値動きを形成する

という順番になるかと思います。

じゃあ、ここでこの発想を逆転してみたらどうでしょうかね?チャネルを形成する値動きの発想を、逆転させてみるんです。

どういうことかというと、先の順番とは逆に、

  1. まず、主軸となる価格帯(ゾーン)が形成される
  2. そのゾーンを時折、上下に大きくはみ出して値動きが形成される
  3. その上下にはみ出した高値と安値には規則性があって、よく見ると主軸となるゾーンと平行するラインが引ける

ということなんです。図を使って説明すると、

1.実は、主軸となる価格帯(ゾーン)が存在している。

2.そのゾーンを主軸にしつつ、価格は度々そこから大きく上下にブレながら価格は形成されていく。

3.しかし、その上下にブレた価格はゾーンに対して同じ値幅しか伸びないため、結果的に高値を結んだラインと低値を結んだラインは、ゾーンに対して平行になる。

という思考的過程を経て、チャネルラインは形成される。

・・・と、考えるわけです。

さて、この壮大な仮説、果たして実際の相場で使えるんでしょうか?

 

つか、僕もう実際のトレードに使ってますから、仮説じゃないです。

 

では、実際の相場に当てはめて、ちょっと解説していきましょう。ちょうど解説向きの相場が先週に展開されてたんで。

チャネルが形成される状況を実際に見ていこう

さて、それではこの記事の比較的最初の方に提示したポンド円の15分足チャートをもう1度見てみましょうか。

おやおや?

先ほどはこのチャート見せられても「?」な感じしかしてませんでしたが、ここまでこの記事を読んでいたら、なんか見えてきませんか?見えてきましたよね。

主軸となるゾーンが見えてきたと思います。

揉み合いながら推移する価格の塊が、規則性をもって並んでいる様に見えます。

これが価格推移の主軸となるゾーンだと仮定します。そしてこのゾーンは下降トレンドを形成していそうなので、トレンドラインを引いてみました。赤いラインがそれです。

次に、このゾーンからブレて飛び出た価格の高値に下降トレンドラインと平行の線を引いてみます。

次に、今度はゾーンから下の方向にもブレる可能性も考えます。最も多いパターンはこのゾーンのトレンドラインが、チャネルラインの半値になるパターンです。

なので、ゾーンから飛び出た価格の高値と同値幅を求め、そこにトレンドラインと平行なラインを引いてみます。

それでは、引いたチャネルラインが機能するかを確かめるために、時間をずらしてロウソク足を表示していきます。

チャネルの下方ラインが効いてそうな感じですが、まだ確かではありません。しかし、ゾーンのトレンドラインは確実に効いてますね。もう少し様子を見てみた方が良さそうです。

では、次を見てみましょう。

もう完全にチャネルとして引いた下方ラインが効いてますね。

この段階で、ゾーンのトレンドライン、そしてその上下に引いたラインに規則性があることが判明しました。

ここまでくれば、かなりの高確率でチャネルが形成されていると判断できますよね。

 

ということで、セットアップ完了。

 

後はトリガーを引くだけです。チャネル上部ラインで反転したら売るか、ゾーンを下抜けるかゾーンで反転下落したら売るという戦術になります。

チャネル下部ラインで反発上昇したら買うということもアリですが、この場合買った後にジリ下がりする可能性もあるので、あまりお勧めはできません。

ちなみに僕は、お勧めできないと言いつつも、上図の赤丸部分で2回に分けて買いました。

仕事の合間にチャートを見てたんですが、売るタイミングには出くわせなかったんですね。

トレードチャンスはないと諦めてたんですが、夜なかなか眠れなくて、未明までお酒を飲みながらチャートを覗いていたんですが、チャネル下方ラインに到達して下落が阻まれている場面にようやく出くわすことが出来ました。

「あと数時間で仕事の仕度しなくちゃいけないし、もうタイミングはここしかないかな」

ということで、買ったんですね。なので、自分でやっておきながら、こういったエントリーはリスク高めなので、あんまりお勧めはできません。

じゃあ、時間をもう少し経過させてみますか。

チャネルの下方ラインで反発した価格は、見事ゾーンのトレンドライン(チャネルの半値となるライン、以下ミドルライン)に到達しました。

ちょうどこの時、僕は休憩に入ったところで、スマホでこの瞬間を確認しました。しかし、利確はしなかったです。チャネル上方のラインに到達すると思ってたんで。

しかし、価格はミドルラインに阻まれて、再び下落。下値を試します。

では、この後、どうなったか見てみましょう。

その後、価格は一気に跳ね上がり、見事にチャネル上方ラインに到達してから反転下落を始めます。

まさに、チャネルとしてあるべき値動きとなったわけです。

ちなみに僕は、このチャネル上部のラインに到達するタイミングを、上図の青丸付近だと予想していました。これ、例の「水平線と斜め線が出会ったところ」ですね。今回はややズレてしまいましたが、まぁ誤差の範囲内かと。

ついでに言っておくと、僕は緑丸のところで利確しました。

この後、ドテン売りをしようか迷ったんですが、連日の仕事疲れと、前日ほとんど寝ていないのと、そしてエントリー後に一旦ジリ下がりして神経を使ったために、再度エントリーする気力はなく、諦めました。往復で獲れた場面でしたが、まぁ仕方がないですね。

 

とまぁ、以上で今回の解説は終わりにします。

ただ、繰り返し言いますが、「知ってる」と「使える」は天と地の差があります。

バットの振り方を「知ってる」からといってヒットが打てるわけではりません。使える様に、繰り返し繰り返し練習することでしか、ヒットを打てるようにはなりません。

そしてそれは、トレーダーも同じことです。

もちろん、チャネルの解説に関してはこれだけじゃ収まりきらないほどたくさんあります。

しかし、基本的な考え方、捉え方はある程度説明できたんじゃないかなと思います。この基本をしっかり身に着けて、実際の相場で応用を含め、使える様になってもらえたら、僕としては幸いでかなと。

それじゃあ、また。

これがBOZ流!ライントレードの基礎6

前回は、BOZ流ライントレードにおける環境認識についてお話しました。

次に、手法へと入っていこうと思うのですが、実際に手法へと具体的なお話を進める前に、予め知っておくべき事柄がいくつかあります。

今回は、それらについてのお話になります。

BOZ流ライントレード、その手法の前に

セットアップとトリガーについて

手法には、セットアップとトリガーが存在します。知っている人、知らない人を含め、BOZ流ライントレードを使いこなすには必要なことなので、まずはきちんと説明しておこうかと思います。

トリガーとは

トリガーとは、俗に「仕掛け」とも言われるもので、実際に取引を開始するためのシグナルのことです。別の言い方をすると、エントリーのタイミングを計って実際にエントリーするための条件のことで、

「インジケーターAが◯◯した時に、インジケーターBが△△したら、エントリー」

みたいな、実際にエントリーするための具体的な合図のことを、トリガーと言います。

世間一般では「手法」というと、このトリガーのことを指していることが多い様に思います。

ただ、実際は単にこのトリガーが成立しただけでトレードが上手くいくわけではありません。まぁ、2つか3つの合図でエントリーして勝ち続けられるんだったら、誰だって名トレーダーになれますもんね。世の中、そんなに甘くはありません。

セットアップとは

セットアップとは、「取引をするためには事前にこれだけの条件が揃ってないと、エントリーできませんよ~。」という、それら条件群のことです。

要するに、トリガーの前提条件です。セットアップが完了しなければ、どんなにシグナルが発せられようがトリガーを発動させてはいけません。

鯉釣りに例えて考えてみましょう。釣り糸にウキやおもりや釣り針を付けて仕掛け(トリガー)を作ります。で、水面に仕掛けを垂らして、ウキがピクピクっと反応(シグナル)したら、鯉が釣れる・・・とでも?

何も考えずに仕掛けを水面に垂らし、ウキがピクピクっと反応したとしても、釣り針に引っ掛かるのは、ゴミだったり岩だったり。風や波による気のせいかもしれません。

もし、その仕掛けを垂らした水面が、海だとしたら?鯉は淡水魚なので、海じゃ釣れません。

川であっても、山奥の渓流に鯉は生息していませんし、川の中流でも、川のど真ん中ではなく、鯉の餌がありそうな草陰の方でなければなかなか釣れません。真昼間に鯉は餌になかなか食いついてきませんから、早朝に釣り糸を垂らす必要があります。

鯉を釣るには、仕掛けだけでなく、色んな条件を満たしている必要があるんですね。そしてそんな条件達を「セットアップ」と呼びます。

話をトレードに戻しましょう。トレードの場合、よくある様な例を挙げると、

「日足、4時間足の価格は20MAと共に上昇しており、上昇トレンドが確認される」
「1時間足の10MA、20MA、40MAがパーフェクトオーダー」

という条件が揃った(セットアップ)場合にのみ、

「5分足が20MAに接近した後にロウソク足が反発、ストキャスティクスが20%ライン以下でゴールデンクロス」

というトリガーによって買いエントリーされる。

といった感じでしょうかね。もちろん、BOZ流では、この手のセットアップは用いませんが。

とりあえず、エントリーするためのトリガー、そしてそのトリガーを発動させるための前提条件であるセットアップ。このトリガーとセットアップを合わせたものが、いわゆる「手法」というものだと理解できたでしょうか?

で、セットアップは、トリガーを発動するための「背景」であるため、このセットアップに環境認識で得た情報を用いることは、一般的に多いと思います。

なので、「環境認識と手法」と「セットアップとトリガー」というのが、割とゴッチャになってる印象があります。

しかし、BOZ流では前回お話した様に、環境認識は相場環境の秩序を見出すこととしているので、環境認識は環境認識、手法は手法、そして手法の中にセットアップとトリガーがある、として明確に区別しています。

恐らく混乱しないと思うので、ご安心を。

重要なのは、セットアップ

よく極論として、

「環境認識がしっかりできていれば、手法なんてどうでも良い」
「セットアップがきちんと出来ていれば、トリガーはたいして重要ではない」

という言い方がされます。もちろん極論としてですが。

しかし、そう言ってしまうほどに、環境認識やセットアップとうのは重要なんですね。

時代時代で、億を稼ぐ様なトレーダーが注目されますが、一時を過ぎるとそれらトレーダーは相場から消えてしまっています。実際のところ、時代を越えて勝ち続けるトレーダーというのは、ほんの一握りです。

なぜか?

トリガーばかりに焦点が当たっていて、セットアップ(環境認識も含む)のことなど、何も気にしていないからです。

例えば小泉政権時にネット・トレードが一般的になってきた頃や、アベノミクスが始まった頃などの株式市場は、単純に相場全体が何年にも渡って上昇相場を形成していたわけです。

そんな中では、どんな手法であろうが、買えば儲かるんです。だって、上がり続ける相場なんですもん。

つまり、どんなにトリガーを駆使してトレードしていると思っていても、トレードしている本人たちが気づかないところで、偶然にそのトリガーに適切なセットアップが整っていた、ということです。

ですから、そのセットアップとなる相場の背景や前提条件が時代と共に崩れていくと、そのトリガーも機能しなくなるわけで。

本人は、その理由もわからず、今まで勝ち続けていた手法で、今度は自らを滅ぼしていくことになります。

そういえば、FXでも以前は着物トレーダーとかミセス・ワタナベと呼ばれた人達がいましたね。スワップ狙いで外貨を買っていたわけですが、あれが儲かったのも「円安」という大前提があったからです。

しかし、リーマンショックにより急激な円高に振れた途端に、彼女たちのほどんどははじけ飛びました。そして、今度は急激な円高に乗ってショートで儲かった人たちが現れますが、円高が落ち着いた辺りで、彼らの多くもはじけ飛んだ様です。

この様なことからも分かる通り、セットアップというのは、とても重要です。

で、BOZ流においても、それは同様です。トリガーよりもセットアップの方が重要で、それさえシッカリしていれば、トリガーは各自の好みでもOKだと思っています。

それほどまでに、セットアップは重要だというです。

監視時間軸について

BOZ流ライントレードでの監視時間軸は、基本的に1時間足を主軸としています。必要に応じて、違う時間軸にその都度切り替えてトレードをします。

なので、MTF(マルチタイムフレーム。複数の時間軸のチャートを同時に表示させるやり方)は使いません。

また、5分足などの小さな時間軸でずっとチャートを監視し続けるのも、禁止です。

理由は簡単。小さな時間軸のチャートを常に表示させておくと、そちらばかりを気にしてしまうからです。初心者や勝てない人は、細かい目先の値動きばかりが気になります。

しかし、デイトレードにおいてチャートを注視しなければならない時、つまりチャートポイント付近に到達した時というのは、1日にそう何度もないんですよ。

にもかかわらず、相場の状況をある程度俯瞰せずに、小さな時間軸ばかり見ていると、大局を見失いがちで、目先の小さな値動きに反応しただけの取引を行いやすくなります。常にエントリーできそうな局面の様に見えてきて、ポジポジ病も発症しやすくなるんですよ

そういった意味でも、分足チャートを常に表示しておくことは得策とは言えません。つか、禁止しています。

また、1時間足以上の時間軸も常に表示しておく必要はないと考えてます。なぜなら、環境認識を行うにおいて、BOZ流では必ず週足レベルから日足、4時間足、1時間足へと落とし込んでいますから。

特に日足チャートは、ロウソク1本の形状が変わるだけですから、常に表示する意味はあまりありません。大きな時間軸は、たまに切り替えて確認する程度でOKかと。

基本的に1時間足チャートで監視し、必要に応じて分足に切り替えるという方法は、見知らぬ土地の目的地に行くことをイメージしてもらえると分かりやすいかもしれません。

例えば、初めての東京旅行。もちろん、地元から東京に来るまでは、都道府県を縦断するような大きな地図や路線図などを広げると思います。

で、東京に着いたら、今度は今までよりも小さな地図、都内を一望できる地図や路線図を広げるはずです。そして、都内を動き回るには、このレベルの地図が基本となると思います。

仮に今、新宿にいるとして、これから秋葉原のメイド喫茶に行くとしましょうか。

「秋葉原って、どうやって行ったら良いんだろう?」となれば、この基本となる地図や路線図を見て、移動しますよね。

しかし、秋葉原に着いたら、その地図だとメイド喫茶までの道のりが良く分からないわけで。今度は、秋葉原駅周辺が詳しく分かる地図を見ることになるわけですよね。

常に複数の地図を広げておく必然性はなく、必要な時に必要な地図を広げれば良いわけです。

BOZ流ライントレードも、これと同じです。大きな時間軸から少しずつ俯瞰する位置を落としていって、1時間足まで落とし込みます。そして、向かう先(ライン)に近づくまでは、そのまま1時間足チャートを眺め、近づいてきたらもっと小さな時間軸にズームアップして値動きを見るわけです。

ライントレードにおいては、MTFの必要性はあまりありません。BOZ流ライントレードのいける環境認識と手法を両立させられる絶好の時間軸が1時間足にあり、基本的にはそれを監視時間軸にします。

なので、大きなモニターをいくつも必要とはしません。小さなノートパソコンの画面が1つあれば充分トレードできます。

また、1時間足チャートを表示させておくだけでよいので、1つのモニターだけで通貨ペアを複数表示させて監視することも可能です。トレードチャンスが来たらその通貨ペアだけを拡大表示させれば良いんですから。

物々しいトレード環境を用意する必要性がないんですね。

僕自身、以前は複数のモニターにずっと貼り付くようにしてトレードしていました(勝てない頃です)が、このライントレードをするようになってからは、1つのモニターだけで事足りています。

仕事や遊びでメインのパソコンを使う時は、トレードはデスクの脇に設置してある13インチのノートパソコンをチラ見しながらトレードしています。

BOZ流は、ずっとチャートにかじりついてる必要がないので、それで十分なんですね。

とまぁ、以上のような理由から、BOZ流では1時間足を監視時間の主軸として利用しています。

5分足と15分足について

エントリーのタイミングをはかる時など、細かい値動きを見る必要性がある時には、分足を使います。で、実際に使うのは、5分足か15分足になります。

じゃあ、どちらを使うべきか?

ということですが、どちらにもメリットとデメリットがありるので、自分の特徴や相場状況に合わせて使った方が良いんですが、まぁ敢えて言うのであれば、

BOZ流で推奨する短期足は、15分足になります。

「え?5分足じゃないの?」

と思う方も多いかと思いますが、実はこれ、結構重要なことなので、次に詳しく見ていくことにしましょう。

5分足のメリット

5分足のメリットは、15分足に比べて、値動きの兆候を先取りしやすいということです。

例えば、ラインに到達して反転を始める場合、その兆候はより小さな時間軸から見えてきます。その点で言えば、1時間足より15分足、15分足より5分足の方に、分があります。

また、それ以外でも、何らかの微妙な価格の変化に対しては、5分足の方が分かりやすいですしね。こちらも1時間足より15分足、15分足の方よりも5分足の方が有利な価格でエントリーしやすくなります。

そういった意味でも、一般的に5分足の方が好んで使われている様に思います。

ただし、僕の経験からすると、実際は5分足の持つデメリットって、結構大きいと思うんですよ。このデメリットを意識できているかどうかは重要ですので、次に見ていきましょう。

5分足のデメリットその1:見え方の問題

まずは、切り替えた時の見え方の問題。

1時間足チャートと5分足チャートでは、相場の見え方が全く違います。いや、当然と言えば当然なんですが、それにしても見え方が違い過ぎるんですね。

だってね、5分足というのは1時間足の1/12の時間軸です。格差が大き過ぎます。それに対して15分足は1時間足の1/4でしかありません。こちらの方が、切り替えた時の連携が取りやすいわけです。ちょっと、見てみますか。

まずは1時間足チャート。

続いて15分足チャート。

1時間足を4倍にしたことになるんですが、画面を切り替えても、流れが掴めます。

じゃあ、今度は5分足と比べてみましょうか。まずはもう1度、1時間足チャート。

続いて、5分足チャート。

見え方が、随分と違って見えます。なにせ1時間足を12倍にズームアップしたわけですから。見比べてみて、1時間足の山と谷が5分足ではどれに当たるのか、一瞬戸惑ってしまうくらいです。

この違いって、実際にトレードする場合、結構大きいんですよ。上の時間軸の流れが切り離されて5分足を見ることになりやすくなるんで。

一般的に時間軸の間隔は5倍前後(逆から言うと1/5前後)が良いとされています。

週足は日足の5倍、日足は4時間足の6倍、4時間足は1時間足の4倍です。1時間足は15分足の4倍ですが、5分足だといきなり12倍の開きが出来てしまうんですから。

細かな値動きを優先させることで、時間の流れの連携を乱してしまうデメリットは感じていなければいけません。

しかし、デメリットはこれだけじゃありません。まだまだ、あるんですよ。

5分足のデメリットその2:心理面を揺さぶられやすい

より小さな時間軸の方が、目先の値動きに対して、心理的に大きく左右されやすくなるという大きな問題点があります。

例えば、デイトレードを始めたばかりの初心者は、「MTF(マルチタイムフレーム)が良いですよ」「常に表示するのは、日足と1時間足と5分足が良いですよ」みたいなことを教えられがちです。

しかし、結局ガン見するのは、5分足ばかり。で、トレードが上手くいかなかくなると、今度はガン見する足が5分足から1分足へと移りがちです。

なぜか?

答えは、「目先の値動きばかりが気になるから」です。目先の値動きが気にならなければ、小さな時間軸なんて見ないでしょ。直近の目先の値動きが気になるから、見る時間軸が次第と小さくなっていくんです。

では、なぜ目先の詳細な値動きが気になるのでしょうか?

答えは簡単です。多くの人は、テクニカルを表示して、色々あーだこーだと考えを巡らしているくせに、実際は欲望と恐怖で取引しているだけだからです。

どんなに沢山のテクニカルを表示させようと、未来の値動きを表示することは出来ません。一寸先は闇なんです。

全く先の値動きが見えないから、目先の値動きばかりが気になってくるんです。直近の細かい値動きが気になって気になって仕方がなくなります。そして、より短い時間軸が、そんな欲望と恐怖を加速させ、より目先の値動きに振り回されるようになっていくんです。

その結果、目先の値動きに釣られただけのトレードをしやすくなり、またエントリーやエグジットのタイミングを取るのも早くなりがちになってしまいます。

少し詳しく説明しましょう。まずは、値動きが大きく動く時のケースから。

短い時間軸でチャートを見ていると、値動きが荒い場合は、その荒波に巻き込まれやくなります。

例えば、下のチャートは、ユーロドルが週足レベルの高値を付けた場面。

4時間足である程度俯瞰して見ると赤丸の部分の値幅はこの程度。結構の値幅ですが、俯瞰した分、小さく見えます。

しかし、これが5分足だと、

上の画像は静止画ですが、実際に目の当たりにした価格の移動は、画面いっぱいを大きく物凄いスピードで移動しているわけで。基本的に、こういった状況に人は圧倒されて振り回されちゃうんです。

おまけに、リアルタイムだと現在より先の値動きは見えないですから、どうしても目先の値動きに釣られてしまいます。

勢いよく伸びる価格に釣られて買い、次に勢いよく下落する恐怖で損切りか良くて薄利。急激に落ちる価格に釣られて売り、急激に上昇する恐怖でまた損切り、良くて薄利。

結果、往復ビンタ喰らって、身も心も証拠金もズタズタに・・・

でもまぁ、大体の人は、こういった苦い経験から値動きが荒い場合は、手を出すのを控える様になったりします。

でも、それだけじゃあ、何も問題は解決していないんです。

目先の値動きが気になるというのは、言ってしまえばそのチャートを見つめる視点は一番右側(つまり最新)のロウソク足の値動きとインジケーターの動きしか見ていないことになります。見ているようで左側の今まで値動きが辿ってきた経路などは眼中から外れてしまっているんです。

周りが見えなくなってしまうのは危険です。恋は盲目と同じです。悪い男に引っ掛かっても、冷静に判断できないし周りの意見も聞こえなくなり、結局自分を傷つけてしまうのと同じなんです。

だから、ゆっくりとした値動きであろうが、目先の値動きしか気にならない状況というのは、ミスばかりを繰り返します。

例えばこのポンド円の5分足。

まずは緑色で四角に囲った部分を見てください。

後付けで見ると、「ここじゃ普通は入らないでしょ」と思うところですが、リアルタイムでチャートを見ていたら、実際は違います。先の値動きなど全く見えない状況ですから。

先の見えない中で目先の値動きばかり気にしていたら、バイ~ンと伸びたイメージと青丸で囲った長ヒゲのイメージ、そして青丸の1時間ラインを反転した様に見えるという根拠だけで、赤丸の部分で買いエントリーを繰り返しがちになります。

結局は高値掴みを損切りするか、保ち合い相場に持ち越されて高値を握ったまま・・・

なんて経験ありませんかね?僕は勝てない頃、いつもそうでした。

で、反省をして、値動きの荒い時は手を出さないことにして、ずっと待ち構えるんですね。

そして、上図チャートの一番右側の赤い丸の部分。もう一度チャート見てみましょうか。

ずっとずっと待って、ようやく1時間ラインに振れたところを反転しました。ロウソク足を見ると、どう見てもラインで反発してます。

しかし、今度は慎重に・・・ということで、他のインジケーターを表示。すると、MACDでは0ラインより下でゴールデンクロスしてる!ストキャスティクスもゴールデンクロスした後に、売られ過ぎ圏を上抜けてます!

これで買う根拠は揃いました。買いエントリーです。やったね!

ということで、結果を見てみましょう。

ギャーーー!!

見事と言ってよいくらいの高値掴みです。その後、100pipsほど下落してます。

なぜ、このようなことが起きるのか?何をやっても高値掴みだなんて。

もちろん、それは目先の値動きしか見ていないからです。チャートを画面いっぱいに広げてみても、結局見ているのは、チャートの右端の、しかも最新のロウソク足の上げ下げばかりです。それ以外に目を配るのも、インジケーターの一番右端の動きだけです。

まさに、負けるべくして負けているんですよ。

チャートの左側にも目を向けましょう。今まで辿ってきた経路を見ていたら、絶対にそこでは買いませんから。

単純に、「狭いもみ合い」というレクタングル・フォーメーションを形成していたので、そこでサポレジされたことで、下落することが確定。1時間ラインも下抜けて、大きく下落したんですね。

ちなみに1段上の15分足で見てみましょう。

5分足では気づきづらいフラッグが形成されていました。2段構えのフォーメーションのブレイクだったわけですが、目先の値動きばかり気にしていたら、どう価格が形作ろうとも、気づかずにいたはずです。


ついでですが、この記事を書いている最中に、トレードしました。僕が寝ている間に4時間ライン(太い水平線)から反転下落しており、中途半端な位置だったので見送ったまま外出しました。が、途中スマホでチャート確認すると、欧州時間入る前に大きく下落している真っただ中。下落局面を獲れなかったので、僕は予め予定していたところ(前回解説した、斜め線と水平線が出会ったところ)で反転直後に買いエントリーしました。正確には出会う直前でしたが。出会う前だったので、もう1度下値を試すのを警戒して、早々と決済してます。+30pips位の利益です。


まぁ、いずれにせよ、以上の様な失敗は、目先ばかり気にして、それまでに辿ってきた値動きが目に入らなかったために、繰り返し起きた現象です。

「エントリーすると、途端に逆に動き出してばかり。まるで相場が自分のことを監視していて、わざと損をさせているかの様だ。」

と感じてしまっている人の多くは、大体このパターンです。僕がこの泥沼から抜け出せたのも、この自分の心理面に気づいたからです。

なので、目先の値動きばかり気になってしまう人は、そこから抜け出すためにも、思い切って1つ上の時間軸から俯瞰して見た方が良いんですよ。

さらに、まだ短い時間軸でのデメリット要因はあります。

「あともう一呼吸待っていたら、そこでエントリーしなかったのに・・・」

ってこと、良くありませんか?僕は、昔良くありました。

そうなるのも、短い時間軸ばかりを見ているからです。短い時間軸をガン見していると、どうしても

「このタイミングを逃したら、価格が先に進んじゃって、損しちゃう」

といって、早めにポジションを取りがちになるんですね。今この瞬間の値動きや、表示したテクニカルが、

「ほら、今だよ、今!」

って言ってる様に思えてくるんです。

で、実際に買ってみると、その途端に下がってきて、損切りすると今度は上がってきたりしてね。経験ないですか?

要するに、エントリーのタイミングが早すぎるんですよ。

なぜか?

やはり、その理由は、欲望です。思惑の方向に価格が進むと、人はポジションを持ってもいないのに「損するかも」って思ってしまいがちなんです。

勝てない人は、波の始まりから終わりまでを見て、その全部を取りたがります。後からチャートを見て

「もっと早くエントリーしてれば、もっと獲れたのに!」
「もっと我慢してポジション持ってれば、もっと獲れたのに!」

と、「もっと、もっと」って、欲望丸出しなんです。

そして、これを助長しがちなのが、小さな時間軸チャート、目先の細かい値動きなんです。ちょっとの値動きに、欲望のスイッチが入って、早めにポジションを取りやすくなります。

急いては事を仕損じる

このことわざは、トレードにおいても格言です。

以上、15分足と比べた際の5分足のデメリット、分かってもらえたでしょうか?恐らく、勝てない人の多くが、このデメリットにハマってしまっているのが原因じゃないかと。

迷ったり不安になったら、より短い時間足を見るのではなく、1段上の時間軸から俯瞰して見るという心の余裕も、トレードにおいては必要です。

5分足と15分足、どちらを選ぶべきか?

これらの特徴を見ていくと、やはり15分足に分がある様に思えます。なので、どちらかというならば15分足をBOZ流では、推薦します。

が、もう少し突っ込んだことを言えば、ラインによって5分足と15分足の対応を変えることも必要かと。その点については、この後お話します。

ラインに近づくまで、のんびり待とう

で、当然のごとくライントレードは、ラインを抜けるか反発するかでトレードを開始するわけですから、ラインの周辺のみで取引が開始されます。

もちろん、それはBOZ流でも同じで、ラインの周辺のみでトレードを開始します。ラインとラインの間にある空間のほとんどは、基本スルーです。

なので、ラインの周辺まで価格が近づくのを待ちます。鼻くそほじりながらとか、テレビ観ながらとかして。もちろん、仕事や勉強をしていても構いませんし、料理を作っていてもOKです。愛と平和について語り合いたいなら、どんどんやっちゃってください。

ま、要するにラインに近づくまでは、あんまりチャートを気にかけないのが基本姿勢です。定期的に覗くだけにするとか、ライン付近に来たらアラームが鳴る様にしておくとかで、対応していきましょう。

ラインによって対応を変える

既にお話した様に、ライン周辺では買い方と売り方との攻防戦が行われます。そして、そこで勝った方に付いていくのが、ライントレードです。

しかし、その攻防戦は、ラインの注目度(重要度)によって変わってきます。大きな時間軸で引いたラインの方がより攻防が激しくなる傾向にあります。

なので、BOZ流ライントレードでは、引いた時間軸のラインによって対応を変えることにしています。

おおよその目安として、

  • 1時間足で引いたライン(以下、1時間ライン)
  • 週足・日足・4時間足で引いたライン(以下、週足ライン・日足ライン・4時間ライン)

の2つに分けて対応を変えます。具体的な対応方法は、セットアップのところで解説しますが、ただ1点。

先ほどの5分足と15分足の件ですが、1時間ラインに関しては、展開が早いので基本5分足、その他のラインでは攻防に時間を費やすことが多いので、基本15分足というスタンスを取った方が、トレードはしやすくなると思います。

波形、しかし・・・

ここまで書いておいて、僕は重大な問題に気づきました。

というのも現在の僕は、このライントレードの手法にはロウソク足と波形を主に用いてエントリーしています。

しかし、波形に関して説明していたら、それこそ膨大な量と時間が・・・
しかも、それを実際に扱えるようになるにも膨大な時間が・・・

なので、正直悩みました。どーしよっかな?って。

そこで、2つの方針を取ることにしました。

まず1つは、波形とロウソク足の基本中の基本を説明(と言っても、書籍で書いてあるのを見たことないので知らない人も多いかな)。そしてもう1つは、思い切ってインジケーターを1つ登場させることに。波形をあまり知らなくとも、インジケーターを用いることで代用させちゃいます。

ではまずは、波形とロウソク足の基本から。

再びダウ理論

もうこれ、基本中の基本なんですよ、ダウ理論は。

で、知ってる人は沢山いるんですが、実際のトレードに活用している人は、あんまりいないのが現状です。

しかし、これほど使える理論はそうありません。本当の意味で、使い方を知らないんでしょうね、きっと。

では、まずはおさらいします。ダウ理論においては、

  • 上昇トレンドとは、高値と安値がそれぞれ切上げ続けて上昇している状態のこと
  • 下降トレンドとは、高値と安値がそれぞれ切下げ続けて下降している状態のこと

このライントレードの基礎シリーズでも何度か登場しているので、知らないとは言わせません。知ってますよね?

じゃあ、値動きを見る時に、ダウ理論意識してます?

多分、ほとんどの人が意識してないのに、「現在は上昇トレンドだ」とか「下目線は変わらず」とか言ってたりします。

ダメですよ、それじゃあ。基本中の基本なんですから。

例えばこれはポンド円の1時間足。

この長い下降トレンド、どこまで続くんですか?というお題。

もうこの右端まで下落が続いてるの見えてますが、リアルタイムだと、一旦「ひょっとして・・・」という場面が出てきます。それはどこでしょうか?

ダウ理論を知っているという人なら、一瞬で分かるはずですが・・・

答えは次の図。

青い丸の部分ですね。しかし、結果的に上値も下値も切り下げたのでダウントレンド継続です。

ところが、チャート右下の赤い丸の部分で、またしても下値を切り上げてます。ここで、再び下降トレンド継続に「?」が付く状況が認識できるはずです。

波形にこなれてくると、ここで下降トレンドが終了して、恐らくレンジではなく反転する確率が高いと判断するようになります。

が、ダウ理論上ではまだ確定していません。次の展開を見ます。

高値も切り上げました。赤丸の直近高値だけならレンジの可能性もありますが、緑色の丸の下降トレンド最後の戻り高値も越えてますね。

これでほぼ下落トレンドが終了して、反転上昇の兆しが見えました。この後、下値を切り上げて反転したところを買えば、かなり底に近いところで上昇トレンドを捉えることが出来るはずです。その後の展開を見てみましょう。

手法にもよりますが、基本的にはオレンジ色の辺りのどこかで買いエントリーできたはずです。

しかし、この反転の兆しを捉えるのに、何かインジケーター使いましたか?オシレーターのダイバージェンスとか必要でしたか?必要ないですよね?ダウ理論だけで十分だったはずです。

そして僕は今、野球で言うところのキャッチボールのやり方を説明しただけです。無料で。でも、十分に反転の兆しは捉えられましたよね。

しかし世の中には、「知ってる」と言ってキャッチボールすら出来ないくせに、消える魔球を投げたがる人達ばかりです。

そして、そんないい加減な欲望に付け込んで、何十万もお金をとりながら、このレベルのことすら教えられない輩が蔓延ってます。くれぐれも気を付けてください。

さて、以上がダウ理論で相場の流れを見ましょう、という簡単なお話でした。次に移ります。

ロウソク足の見方

ロウソク足には、酒田五法だとかプライスアクションだとか、色んな見方があります。詳しいことはそれらに譲るとして、ここでは有名なロウソク足の見方にダウ理論を適用させましょう、という解説をします。

価格の反転を示唆する有名なものに、「ピンバー」があります。ピンバーとは、いわゆる長いヒゲを付けて実体が小さなロウソク足のことです。

しかし、単純にピンバーが出たからと言って安直にエントリーするのはいただけません。

上図の様に、単純に長いヒゲで判断してエントリーしても上手くいかないことが多いです。

まず、ピンバーであっても、それが陽線なのか陰線なのかで大きく違います。

ロウソク1本を波形で見ると、経過がどうであれ、ロウソク足1本分の時間内での勝者と敗者がハッキリします。

しかし、これだけじゃあ確定できません。ダウ理論をさらに活用するためには、複数のロウソク足で見ていく必要があります。

同じ様に価格が下降してきたとしても、上図の様に捉え方は全く変わってきます。

上のロウソク足3本からは、ダウ理論上から、まだ下降の可能性が見出せます。しかし、下のロウソク3本からはダウ理論上から、反転上昇の可能性が見出せます。

この様に、ロウソク足は1本だけで判断せず、複数を組み合わせて波形として捉えると、より信ぴょう性が高まります。

この様にして先ほどのチャートを見ると、

長いヒゲを付けただけでは、そこで参入する根拠が何もないということが分かると思います。

また、以前にこんな画像を提示しました。

波形ではなく、複数のロウソク足を1本のロウソク足にまとめて見ることで、反転の兆しがあるのかどうかを判断できます。ただし、これは上位時間軸のロウソク足を見ることで、代用も出来ます。

いずれにせよ、ロウソク足は複数の足を波形として見ることで、より信ぴょう性の高い判断材料にすることができるわけです。

インジケーターを加える

先述した通り、環境認識さえシッカリしていれば手法はたいして重要ではなく、セットアップがきちんと出来ていればトリガーは有効性が認められるものなら何を使っても問題ありません。

ということで、今回は波形やロウソク足に熟達していなくとも、手法を用いるうえで代用できるインジケーターを1つ加えて解説していこうかと。

そして、そのインジケーターは、僕自身が補助として普段も用いているメジャーなテクニカル「ボリンジャーバンド」を利用するつもりです。

使い方に関しては、次回お話しすることにしましょう。


さて、今回はここで終わりです。次回のお話はBOZ流ライントレードにおけるトレードのシナリオ作りとセットアップに入っていく予定です。

ただ、ボリンジャーバンドに関しては、使い方をあまり知らないという人もいると思うので、ライントレードの基礎の次回の前に、ボリンジャーバンドの使い方だけの記事を書くつもりです。

もちろん、後付け解説でしか使えないような解説にするつもりはありません。出来るだけ実用性を伴ったボリンジャーバンドの解説にしたいと思いますので、こちらもお楽しみに。

それじゃあ、また。

これがBOZ流!ライントレードの基礎5

さて、これまで4回に渡ってライントレードの基礎についてお話をしてきました。

そして、今回5回目は最終回・・・の予定でしたが、かなり長くなりそうなので、撤回しますね。この「ライントレードの基礎」はまだまだ続きそうです。

それでは、さっそく行ってみましょう。

環境認識について

今まで4回に渡って、ラインの引き方を解説してきました。前回に至っては、週足からラインを引いていって、徐々に1時間足まで落とし込んでいったと思います。

そして、BOZ流ライントレードでは、そこまでが環境認識を行なううえでの作業となります。前回まで説明した通りにラインが引ける様になったら、もう環境認識は終わったも同然です。

と、そこで話を終わらせてしまうと、雑な解説になってしまいそうなので、BOZ流ライントレードにおける環境認識について、少し掘り下げていきたいと思います。

BOZ流ライントレードの環境認識とは

環境認識をザックリと説明するならば、今現在の相場環境がどの様な状況にあるのかということを把握する、ということです。

で、よく説明されるデイトレードでの具体的な環境認識のやり方は、

「日足、4時間足、1時間足を見て、上昇トレンドか下降トレンドかレンジかを確認する」

といった感じですかね。要するに上位足の方向性を把握しておきましょう、ということですね。

ただ、BOZ流ライントレードにおける環境認識は、それとはちょっと違います。

BOZ流ライントレードにおいては、現在の相場環境にはどの様な秩序があるのかを見出すことが、環境認識となります。今の相場にはどの様な規則性があって、その中で価格はどの様にして移動しているのかを把握していくのが、環境認識です。

え?何言ってるのか分からない?

じゃあ、もっと具体的に説明していきましょう。

相場環境の規則性を知ろう

前回ラインを引き終えた時のチャートが、下の図です。

ラインを引いてる途中は、「なんだかチャートがゴチャゴチャしてきたな」という印象になりがちですが、1時間足まで落とし込んでくると、とてもシンプルになったと思います。

しかも、そのライン達は秩序を保っていますよね。気が付けば、ほぼ等間隔でラインが引けているんですからね。

そして価格は、一見複雑な動きをしているかに見えて、実は秩序だって引かれたラインとラインの間を移動し続けているだけです。

この様に、ラインを引いていくことで、僕らが今、向き合っている相場環境の規則性を見出すことが、BOZ流ライントレードの真骨頂となります。「今の相場環境にはこんな規則性があるんだ」と認識することそのものが、環境認識なんです。

そして、よくある様な「上目線だ、下目線だ、レンジだ」の類は、このBOZ流ではたいして重要ではありません。

いや、もちろん重要ではないという意味ではありませんよ。現在が上昇トレンドに位置しているのかとか、方向性は常に意識に置いておかなければいけません。

ただ、他の人が耳にタコができるくらいに繰り返すほどには、BOZ流においては、重要視していないということです。

だってね、どんなに下降トレンドを描いていようが、落ちてきた価格がラインで反発したら、買うんですよ。それがライントレードですから。そして反発した価格が次に向かうのは、次のラインです。

もう一度、上のチャートを見てください。そして、今までの解説通りに練習して引いた自分のチャートも見てください。

価格は、複雑怪奇に動いていますが、単純化してしまえば、やっぱり秩序だって引かれたラインとラインの間を移動し続けているだけです。たったそれだけなんです。

そして僕たちは、そのラインの引き方、つまり相場の規則性を見出す方法を手に入れました。そしてその相場の秩序を認識しています。

もう1度言いますよ。

BOZ流ライントレードでは、ラインを引くことで、相場環境の規則性を見出します。そして、それが環境認識です。

水平線と斜め線が出会う時

最も重要なのは、水平線

既にお話していますが、水平線と斜め線では、水平線の方が重要です。

なぜなら、水平線とは価格そのものだからです。100円という価格の「点」に時間という横軸の流れが加わり、それが「水平線」になります。

注目されるポイントとは、全て「価格」です。その価格を時が進んでも明確に把握できる様に描画したものが、水平線なんです。

水平線とは、注目される価格そのもの。

BOZ流が、平線を最重要視するのは、そんな至ってシンプルな理由からなんです。

トレンドラインは、トレードしづらい

それに対して、BOZ流では、世間一般的に言われているほど、トレンドラインを重要視していません。

もちろん、重要ではないと思っているわけではありませんよ。重要じゃなかったら、ラインは引かないし。

ただ、BOZ流で引くラインの中では、重要度は低い扱いとなります。

なぜでしょうか?

結論から言えば、トレンドラインでのトレードは、実際にはやりづらいからです。後付けで分析する分には良いんですが、リアルにトレードするには、ちょっと扱いづらいんですよ。

例えば、下の図はドル円の4時間足チャートですが、

まずは、A1をポイントとしてAラインが引けます。で、A2でラインを下抜けますが、戻っちゃいますねぇ。売ってしまっていたら、損切りです。その後も、ラインを割り込んでも、ラインに沿ってせり上がっていくパターンが続きます。

次に、B1をポイントとしてBラインを引いた場合ですが、これもB2で下抜けた後にラインに沿ってせり上がっていきます。結果、ラインの上に戻ってしまいますね。その後も、ラインを下方ブレイクしますが、やはりそのまま下落せずにラインに沿ってせり上がっていってますよねぇ。

で、C1をポイントとしてCラインを引いたところで、ようやくラインがきちんと機能します。C2で下抜けて初めてきちんとした下落をはじめました。

しかし、トレンドが開始してからCラインが引けるまでに結構な時間が経ってますし、C1で初めてラインが引けたので、次のトレードチャンス(トレンドラインに近づいて反発するまで)は、ずっと後になります。このラインでトレードしようとすると、上昇トレンドのほとんどは指をくわえたまま傍観しているだけになってしまいます。

他にも例を挙げてみましょか。下の図はユーロドルの1時間足チャートです。

まず最初にA1をポイントにしてトレンドラインAが引けるんですが、その後に2度ほどラインにタッチして反発しているんで、このラインは効いてる様に思えます。

ただ、B1で一旦ラインを割り込みます。まぁ、下ひげを付けてラインの上に戻っているので、よくあるオーバーシュートとして片づけても良いんですが、そのままAラインでトレードしようと思っても上手くいきません。

ラインを割り込んだからといって売っても価格は何度もせり上がって行くんですね。結果、損切りです。

A2まで来てラインブレイクした後は、Aラインの上部には戻らずに最終的には下落するんですが、実際のトレードだとA2で売りを建てても、やはりせり上がっていくので、ほとんどの人は損切りをした後に下落するという歯がゆい損失トレードになるんじゃないかと。

では、B1で一旦割り込んだので、こちらをポイントにしてBラインを引き直してみた場合はどうでしょうか?

結局はB2に至るまでの間、ずっとラインに接触することはありません。つまり、上昇トレンドが続いていても、Bというトレンドラインを根拠にトレードすることは出来ないんですね。

そして、ようやくB2に到達して下方ブレイクしたので売ったとしても、やはり価格はトレンドラインに沿ってせり上がっていきますね。損切りした途端に下落するという、これまたやはり嫌なパターンです。

この様に、上昇トレンドラインを下方ブレイクしたにもかかわらず、そのまま価格がラインに沿ってせり上がっていくことって、そんなに珍しくありません。例を挙げたら、キリがないくらいです。

もちろん、一発で何度も機能するトレンドラインが引けることも、多々あります。しかし、そうはいかない事例も多々ある様だと、

「トレンドラインって、リアルなトレードには、なかなか活用できないじゃん!」

と思ってしまうのが、実際のところです。そのため、BOZ流におけるトレンドラインは、他のラインと比べると重要度が低くなってるんですね。

ちなみに上のチャートに水平線を加えてみましょうかね。

トレンドラインを下方ブレイクしたのに、結局はせり上がっていた箇所は、単に水平線(レジサポ)で支えられて反発していただけだということが、分かりますね。

この例からも、上昇トレンドはトレンドラインを基準に進んでいるのではなく、水平線の間を移動しながら上昇しているということが、見てとれます。

BOZ流が水平線を最も重視し、トレンドラインの重要度を低くしているのが分かったかと思います。

でも、あまりにも有名なトレンドラインが、実際にはトレードしづらいのって、ちょっと変ですよねぇ。でも、実は理由があります。大まかに言うと、

  • 流派によるトレンドラインの引き方が違いすぎる
  • 指値・逆指値を置きづらい

ということなんですね。でも、これを説明していると日が暮れてしまいますので、またの機会に譲るとしましょう。

トレンドラインの活用法

じゃあ、使えないトレンドラインを引く意味なんてあるの?

という疑問がわいてくるかもしれません。

しかし、引く意味はあります。トレンドラインは手法として扱いづらい面が多々あるのは確かですが、環境認識としては十分に意味があるんですよ。

詳しく解説していきます。

まずは、なぜトレンドラインが引けるのか?ということを説明しますね。

例えば下降トレンドとは、価格が上下に行ったり来たりしながら、結局は高値を切り下げ、安値も切り下げていくわけですが・・・

下げてから戻ってくる、その戻り高値を上から順にA、B、C、D・・・としましょうか。

で、AからBへと移動した値幅とその移動にかかった時間の比率と、BからCへの値幅と時間の比率、CからDへの値幅と時間の比率が全て同じだったら?

簡単な算数の問題ですね?

三角形の高さを値幅、底辺を時間としたら、その比率が常に一定ならば、どの様な大きさの三角形であっても、高さと底辺を結ぶ斜辺の角度も、常に一緒です。

要するに、移動する値幅とそれにかかった時間の比率が同じであるから、トレンドラインが引けるということです。

これはまさに、秩序です。相場が規則性をもっているということに他なりません。

しかし、先ほど見た通り、価格はトレンドラインに反発しているのではなく、水平線に反発しているわけですよね。

ということは・・・

とりあえず、前回ラインを引いてみたチャートをもう1度見てみましょう。

上図の通り、やっぱり水平線で反発しています。そして、その水平線で反発したところに、トレンドライン(上記はチャネルラインですが)が引けるわけです。

つまり、水平線とトレンドラインが重なるところが、ポイントになるわけですよね。そういった秩序、規則性がその相場にはあるわけです。

であれば、現在からみて、水平線とトレンドラインが未来で出会う(重なる)ところが、次のポイントだと推測できるはずです。

下図は、先ほどのユーロドル1時間足チャートです。

この先をもう少し見てみましょうか。

上昇トレンドが終了して、下降チャネルが引ける感じなので、水平線とチャネルラインが出会う辺り(赤い丸の部分)が次のチャートポイントとなりそうかなと予測を立てることが出来ます。つか、環境認識上、今の相場はそういった秩序で動きやすそうですよね。

ということで、結果は・・・

ズバリ、当たっちゃいましたねぇ。チャートポイントとなる価格だけでなく、おおよその時間まで見当をつけることができます。

BOZ流において、トレンドラインの重要度は他のラインに比べて低いとはいえ、環境認識においては、きちんとした相場の規則性、秩序を表現してくれる大切なラインであることに変わりはありません。

フォーメーションの認識

環境認識において、忘れてならないのがフォーメーション(パターン)認識です。だって、フォーメーションそのものが、秩序ですから。

例えば、ディセンディング・トライアングルであれば、下値が同じ価格で支えられながら、上値は徐々に切り下がっている状態です。

ライン際まで来たら反転を待つかブレイクするのを待つだけなんですから、もう「フォーメーション」という秩序だった環境を提供してもらっているようなものですよね。これを利用しない手はありません。

日足レベルのフォーメーションだと、かなり大規模なものです。例えば、下図はユーロドルの日足です。

青ラインで囲ったフォーメーションは比較的大きなもの、緑ラインで囲ったフォーメーションは比較的小さなものです。

①は、日足で見れば上昇トレンドの途中の下降フラッグでしかありませんが、下位足でみたら、大規模な下降チャネルです。

4時間足レベルで見ても、画面いっぱいに広がるこの規模ですからねぇ。下図の様に15分足で見たら、下降トレンドしか見えなかったりします。

この規模のフォーメーションであれば、数日間にも渡る下降トレンドと上昇トレンドの繰り返しです。パターンラインを引けたら、トレンドの山と谷を捉えることも可能です。

②のシンメトリー・トライアングルの4時間足も見てみましょうか。

水平線と併用すると、随分とトレードしやすい環境になります。

③の小さめな下降フラッグですが、これも1時間足で見ると、

結構な規模になりますね。デイトレードで言えば、十分に値幅のとれる規模のフォーメーションです。

・・・と、ここまでのフォーメーションの解説、ひょっとして鵜呑みにしてませんか?

実は僕、ちょっと意地悪してみました。巷に蔓延るいい加減な後付け解説をやってみたんですが、気づきましたか?

知識さえあれば、過去に起きたことを説明するなんて、簡単なんですよ。しかし、僕らはトレーダーです。リアルにトレードして勝ち続けることを目的にしています。

なので、常にリアリティーを持ってチャートを見なくちゃいけません。

実は、BOZ流ライントレードにおけるフォーメーションの認識は、とても重要なんですが、フォーメーションだけでは先ほど解説した様には、簡単にトレードは出来ないんですよ。

ちょと、きちんと解説しますね。

フォーメーションが形成されていると認識するには、以下の2点が最低限の条件となります。

  • 高値が2点以上必要
  • 安値が2点以上必要

だって、フォーメーションですもん。上下に2点以上山と谷がないとパターンラインは引けないんですよ。

ということで、フォーメーションの内部でトレードするには、上下4点のポイントを付けてからになります。

であれば、先ほどの①は・・・

この15分足チャートの画面いっぱいに広がる下降トレンドは、

安値2回目をつける前なので、下降チャネルを形成しているとは認識できない中での下降トレンドです。後付け解説の様なフォーメーションだけのトレードは結構無理があるということが分かると思います。

じゃあ、実際のリアルでの環境認識はどうやってやるかというと、やはり水平線を最重要視したうえで、フォーメーションを予測してく作業になります。

具体的に説明しましょうか。上図チャートが下降チャネルを描く前までさかのぼってみます。

まず高値Aを付けた後に水平線のあるBまで下落した安値をつけました。ここまではAとBの水平線しか意識できません。

しかし、Bの安値をつけた後の上昇は、Aのラインまでは届かずにCで反転します。この時点でAとCを結ぶパターンラインとBの水平線によるディセンディングトライアングルの可能性が意識されます。

しかし、今度はDで反転。BDのラインが引けるので、下値を切り上げるトライアングルの可能性も出てきました。

ですが、この時点では、いずれのフォーメーションも可能性の段階でしかないんですね。

そして、この可能性を頭において、環境を認識していく必要があります。

なぜって?

僕らトレーダーは、過去のチャートを見て過去を分析するわけじゃないからです。現在から未来に向かってトレードするんですから、常に可能性と向き合うことがトレーダーとしての仕事になります。

では、次の展開を見ていきましょう。

Xの青い楕円形部分に注目してください。ACとBDのトライアングルと、ACとBの水平線のディセンディング・トライアングルの可能性を持ったまま、BDラインをブレイクしました。が、すぐ下にBラインがあります。水平線の方が重要なのでこのブレイクには乗りません。

すると案の定、Bラインで一旦サポートされますね。しかし、その後に抜けます。もしトレードするなら、この水平線を抜けてからです。

そしてこの時点で、ACとBDのトライアングルもACとBラインのディセンディング・トライアングルもブレイクしてしまったので、このフォーメーションのことは忘れてください。過去分析ではなく、今現在の環境分析なんですから。

で、次に向かうのはその下の水平線になるわけですが、そこに到達せずにEで下値を付けて反転します。

そしてこの時点で、ACに引いた斜め線と平行なラインがEをポイントに引けることに気が付きます。しかし、まだ可能性の段階ですが。

そして、青丸Yでほぼチャネル確定。そしてZでチャネルが確信に変わります。なぜなら、水平線と斜め線が出会ったところで、反転しているからです。これは、先ほどお話しましたね。

移動値幅と時間に規則性があることが確定したわけです。ということで、ここから下降チャネルで相場が展開すると、環境認識が出来るわけです。その後の展開は見ての通りです。

チャネルであっても、あくまでも水平線を基準として価格は移動しています。水平線とフォーメーションを同時に認識することで、相場環境の秩序はより明確になっていくと思います。

ただ、正直なところ、フォーメーション内でのトレードは、相当大規模でない限り、慣れが必要です。

なので、慣れないうちは、フォーメーションを見つけたら、フォーメーションのブレイクを狙うことを基本にしてください

先ほどのユーロドル日足チャートをもう一度見てください。

青色のパターンラインは、大規模なフォーメーションです。フォーメーションに気づかなくとも、水平線で取引が可能です。

しかし、緑色のパターンラインは小規模で、このクラスのフォーメーションは原則フォーメーション内での取引は不可能です。フォーメーションが認識できた頃にブレイクをはじめます。

ですから、やはり慣れないうちはフォーメーションを形成する可能性により早く気付けるよう意識づけするとともに、フォーメーションのブレイクを意識づけすることが賢明かと。

上達してから、大規模フォーメーションの内側を意識した取引を考えるべきですね。それまでは、水平線だけも十分な取引ができるはずですから。

相場環境は、変わっていく

今まで引いていたラインが、永遠に使えるとは限りません。時と共にラインは微調整を繰り返す必要があります。

しかし、それでもラインが機能しなくなる日がやってきます。そして、別なラインが新たに生まれていきます。

相場環境は、変わっていくんですね。

今まで等間隔で引けていたライン達が、調整の必要に迫られて、等間隔で並ばなくなる時があるかもしれません。

それは、相場環境が変わり始めた兆しなのかもしれません。

また、ラインを引く作業をしていくと、上手く引けない時があります。価格の上げ下げするポイントが乱れ過ぎていて、どこにラインを引いたら良いか迷う時もあります。

そんな時は、相場自体が迷っている証なのかもしれません。

ラインをどこに引いたら良いか判断のつかない時は、素直に「分からない」としましょう。相場環境が分からない、で良いんです。

そして、そんな分からない相場環境には手を出してはいけません。分かる時だけトレードをし、分からない時は素直にわからない、で分かる様になるまで待つことが必要です。

それが、トレードの基本なんですから。

相場の謎を解明しようと、頭を捻りに捻ったラインを引こうとする必要もありませんし、それこそ聖杯を探す必要もありません。

市場参加者の多くが、ハッキリと分かるポイントで多くの資金が動きます。自分しか見つけられないポイントで、相場が動くことはありません。もしあったとしたら、それは単なる偶然です。

誰もが認識できるポイントにラインを引いていき、そこに相場環境の秩序を見出していく。それがBOZ流ライントレードの環境認識です。


さて、以上で環境認識のお話は終わりにします。環境認識のお話だけで、随分と長くなってしまいました。でも、「環境認識」という言葉があれだけ流布しているにもかかわらず、これだけ長々と解説したものって、滅多に見かけませんよね。

なぜでしょう?ご想像にお任せします。

さて、次回からは、手法の話へと徐々に入っていきます。これも結構長くなってしまうでしょうけど、楽しみにしてもらえたら嬉しいです。

それじゃあ、また。