これがBOZ流!RCIの本当の使い方(1)

さて今回は、前回の続き・・・

と思ってたんですが、書いてる途中で、、ちょっと煮詰まってしまいました。

(* ̄∇ ̄*)ゞ テヘッ♪

ま、それもあって、今回は内容を急遽変更。

RCIについてお話します。

RCIは、昨年あたりからトレーダーの間で、急激に関心が集まっているオシレーターなんですが、

需要がある分、今後はRCIをネタに、糞レベルな内容で高額の商材を売りつける様なものが出回るんじゃないかなぁ?

という懸念が、僕にはあるんですね。

RCIに関する正しい基本的知識って一般的にはそれほど知られていないと思ってるんで。

ということで、もうちょっときちんと考察されたRCIの使い方なんかをお話することで、RCIに関する基礎知識を底上げすることに貢献出来たらな、と思ったんですね。

RCIを使う人のレベルが底上げされてれば、くだらない情報に振り回されたり、下手に騙される人も少なくなるんじゃないかなぁ・・・と。

ということで、ちょっとRCIについてお話を進めていきます。

今回お話する内容は、僕が今所属している「RCIサクセション」というトレード研究グループの中でお話している内容の一部です。

本来、ここでの情報は非公開なんですが、上述の様な事情を考えたところ、

「基本的ロジックの一部であれば、公開しても良いんじゃね?」

というメンバーの同意もありまして、お話することが可能になりました。

恐らく、今現時点では世間一般には知られていない内容を公開することになりますので、今まで以上に目を見開いてご覧くださいね。

それでは、始まり始まり~!

RCI概要

まずは、さらっと概要から。

RCIとは、「Rank Correlation Index(順位相関指数)」の略語で、数あるオシレーターの内の1つなんですが、その中でも実は一風変わった存在です。

通常、オシレーターは売買の過熱感を表すインジケーターですから、

「一定の期間でどれだけ値を上げたのか?どれだけ値を下げたのか?」

という、いわゆる「値幅」が気になるところです。

ところがRCIの計算式には、推移した値幅が100pipsであろうが1pipsであろうが、それに関しては一切考慮されていません。

計算式でいうと、

  1. 価格の終値が高い順に順位を付け
  2. ロウソク足の新しい順に順位を付け

この2つの関係性だけを考えているのが、RCIというオシレーターなんですね。

つまりRCIは、推移した値幅との関係性を考えるオシレーターではなく、推移した価格の時間(期間)との関係性を重視したオシレーターと捉えることができます。


もうちょっと小難しい話をするならば、

RCIとは「スピアマンの順位相関係数」を用いて相場を表現するオシレーターで、その計算式は

RCI = { 1 – 6 × d ÷ [n × (nの2乗 – 1)] }×100(%)

  • n = 期間
  • d = 「日付の順位」と「終値の順位」の差を2乗して合計した数値
  • 日付の順位 = 期間の中で最も新しい日(当日)の順位が1位で、日付が古くなる程順位が下がる
  • 終値の順位 = 期間の中で最も終値が高い日から順位をつけていく

となります。

ただ、裁量トレーダーであれば、ここまでは覚えてなくても良いかな?と。頭が混乱するなら、スルーしてもOKです。


もともとRCIは、1本の折れ線グラフで表示されるオシレーターです。

しかし、応用的にRCIを複数本表示させて利用することが多く、最近は3本のRCIを表示させたものが主流となっている様ですね。

実際にチャートに表示させると、こんな感じになります。

RCIの基本的な見方ですが、原則としては通常のオシレーターの要領と同じです。(詳しくは「オシレーター概要」をご覧ください)

縦軸が100~-100%の間で表示される折れ線グラフで、

  • 0より上が買い方優位
  • 0より下が売り方優位
  • 80%以上は高値圏(買われ過ぎ)
  • -80%以下は低値圏(売られ過ぎ)

となります。

ただし、RCIに関しては謎な部分が多く、開発者も僕が調べた限りでは良く分かりません。

なので、パラメーターのデフォルト値もハッキリしておらず、良く使われる数値として

  • RCIを1本だけ表示する場合は、「6」を期間とする
  • RCIを3本表示する場合は、「9-26-52」を期間とする

ことが多いという感じですかね。

まぁ、RCIはここ最近でこそ良く耳にしますが、少し前までは使ってる人もあまりいませんでしたし、そもそもこのRCIを使っているのは日本人くらいという噂もあるほどです。

なので、関心が集まっている割には、RCIについてきちんと考察された情報って、意外に少ないんですよ。

ネットなど巷で見かけるRCIのお話に関しても、僕が調べたり検証していったことと比較すると、

「はぁ?」

という内容であることが意外と多いんですね。RCIに関する有益な情報は、非常に乏しいのが現状です。

ですからRCIに関しては、誤った情報が多分に加わったものが「基本的知識」として流布しているのが現状、と思った方が良いかと。

ということで、冒頭でも軽くお話しましたが、この状況を放置しておけば、

「これからRCIを使ってトレードを一生懸命に頑張ろう!」

と思っている人たちにとっては、不利益ばかりになってしまいます。

なので、これから僕がRCIについて考察した内容を、一部ですがお話していきます。

RCIのコンセプト

まずは、手始めに

以下はポンド円1時間足チャートです。俯瞰して見れるように、ロウソク足の幅を小さくしています。

見ての通り、価格は波を打ちながら推移していますね。

で、僕はチャート図を見る時、まずは次の画像の様にザックリと波を見ます。

で、僕がトレードする場合、通常はここでラインを引いて、そのままトレードするか補助としてインジケーターを使うんですが、

今回はRCIのお話なので、まずはRCIだけを表示します。

僕の場合、この段階ではRCI1本だけでいいかなーと。それが以下の図です。

特殊な見方はしません。先日僕が書いた記事「オシレーター概要」での見方をベタに使うだけです。

解説を加えた図は、以下の様になります。

赤い丸の部分で売買を行なうことになるんですが、

これを見ると、RCIは先ほどザックリとみた波の一辺(スイング)を上手く捉えていると思いませんか?

まぁ、スイングトレードでザックリと獲りに行きたいなら、これだけで十分かと。

RCI強えぇ・・・!

ただ、実際のトレードとなると、実は上手くいかないことの方が多いんですよ。次の図を見てください。

上図の赤い丸の部分は絶好の買いエントリーポイントですが・・・

このタイミングに居合わせるのって、仕事をしていたり家事や育児、その他もろもろも用事をしていれば、結構難しいですよね。大体は、逃してしまいます。

例えば、仕事がようやく終わってチャートを覗いたと思ったら、上図の青丸のタイミングだったりするわけで。

しかし、だからと言って青丸の部分で慌てて飛び乗ってしまえば、高値掴みの可能性もあります。

できれば、この上昇トレンドの押し目を狙いたいところです。

ということで、先ほどザックリと見た波の中にあるさらに小さな波に注目します。いわゆるフラクタル構造、ってやつですね。

赤線で示した様な、細かい波の出来るだけ低いところで入りたいわけです。

じゃあ、どうするかというと・・・

この小さな波に合わせて、もう1本RCIを表示してみましょうか。

RCIの赤い線が、それになります。緑色のRCIよりも短い期間を用いて表示しています。

で、上昇トレンド中の小波に乗りたいわけですが、これも難しいことは考えずに、RCIの赤い線が下降から反転上昇するポイント(赤い丸)で、単純に拾っていけば良いわけです。

ザックリと押し目を付けて上昇した場面を捉えてくれます。

ただ、黒い斜め線で示した通り、価格が上昇しているにもかかわらず、RCI(赤)はダイバージェンスを起こしながら、下値を切り上げています。

0ラインをまたいでウロウロしているので、レンジっぽい振る舞いになってきてるのが分かると思います。

そろそろ変化が起きそうだなぁ・・・

というところで、RCI(緑)の線が反転下落して、下降の波が始まります。

おぉ!これだけで、十分トレードできるじゃん!

と言いたいところなんですが、実際にトレードする立場であれば、もう少し厳密性を求めたいなと思うんじゃないでしょうか?

このチャート図をよく見ると分かりますが、大文字Aで反転したポイントは小文字a、大文字Bで反転したポイントは小文字bですからね。

もっと早く谷間を捉えられたらな、と。

ということで、この際の対応を考えるとすると、

  1. 更にRCIの期間を短くとる
  2. 下位時間軸(例えば5分足)でタイミングをとる

の2つが考えられます。

1の場合、安直にパラーメーターを短くとると、インジケーターの性質上、ダマシが増えます。

それに対し、反転を捉える時などは、小さな時間軸から大きな時間軸へと変化の兆候が表れていきますから、エントリーはより小さな時間軸でタイミングをとった方が、効率的です。

なので、お勧めなのは2です。

しかし、今回はRCIに関する解説ですから、1のより小さな期間のRCIを使って判断することにします。

ということで、ここで更に短い期間のRCIを表示してみますね。

青色の線で表示してみましたが、ちょっと見づらいですかね。

このポンド円1時間足チャートは、俯瞰して見れるようにロウソク足を小さく表示してあるので、僕らが見たい緑色の矢印の波の部分を、もう少しクローズアップしてみましょうか。

RCI(赤)のAの反転ポイントで入るより、RCI(青)のaの反転ポイントで入った方が、より有利な位置でエントリーできることが分かります。

次のBですが、b1の方がやや有利ですが、ちょっとヒヤッとする場面です。b2では明らかにBよりも良いポイントです。

Cに関してはc1もc2も、ほぼ変わらないかなぁ?という印象ですね。

とまぁ、こんな感じで傾向を見ていくと、RCI(赤)よりも短い期間であるRCI(青)の方が、より有利な位置でのエントリーの可能性が高く、またエントリーポイントを提示してくれる数も多いことが分かると思います。

この様に、RCI(長期:緑)で状況を把握しつつ、RCI(中期:赤)やRCI(短期:青)で実際のエントリーのタイミングを計ることで、有効なトレードが可能になることが分かってもらえたんじゃないかなー、と思います。

RCIって、結構便利じゃん!

しかし、ここまでの解説を読んでいて、恐らく皆さんは

「チャートに表示したRCIは、価格の波に上手く沿っているけど、RCIのパラメータ(期間)は、何を使ってるの?」

という疑問が、ふつふつと湧いてきてるんじゃないでしょうか?

まぁ、そうでしょうね。わざとパラメータの数値は言ってませんでしたから。

では、そろそろ本格的なお話に突入するとしますか。順を追って、このカラクリをお話していきますね。

RCIの基本的な考え方

まずは、下の画像をご覧ください。

最初に表示したRCI(緑)1本のチャート図に、移動平均線を表示してみました。75SMAです。

よくみると、このRCI(緑)と75SMAは、面白いくらいに対応してませんか?

反転のタイミングはほぼ同じか、RCIの方がやや早いくらいですかね。

ちなみに、75SMA1本引いただけで、レンジの箇所は分かりますよね。トレンドが出ていれば、価格はSMAの上か下で推移、レンジの場合はSMAをまたいでいます。

ぱっと見で判断できますよね。

で、ここからが本題です。

僕のRCIに対する考え方は、端的に言ってしまえば、

「RCIというオシレーターは、移動平均線をオシレートする」

というものです。

つまりRCIは、価格そのものよりも、移動平均線の過熱感を表現しやすい性質があるということです。

もちろんこれは、厳密な意味での「RCI = MAをオシレート」ということにはならないかもしれません。

しかし、「RCI ≒ MAをオシレート」と言ってしまって間違いないくらいの、強い傾向を持っています。

なぜ、そうなるのか?

その理由は、計算式を見ても分かりません。自然の摂理なのか、単なる偶然の一致なのか、僕にはまだその謎を掴めていません。

しかし、事実として言えるのは、

移動平均線とRCIは、一定の比率で算出したパラメータを用いると、互いを補完するような動きをすることになり、結果としてRCIが対応する移動平均線の過熱感を表現してくれることになる

ということです。

RCIと移動平均線を対応させる方法

で、実際に、RCIと移動平均線を対応させるためのやり方ですが、その計算方法は簡単です。

移動平均線:RCI = 10:26

です。移動平均線(10)に対して、RCI(26)です。

正確な数値にするとなると、小数点が出るかと思いますが、この比率でほぼ近似値をとることができます。

移動平均線(20)を使っているなら、それに対応するRCIのパラメーターは

20 × 2.6 = 52

で、RCI(52)となります。

SMA(25)なら、「25 × 2.6 = 65」でRCIの期間は65、
SMA(5)なら、「5 × 2.6 = 13」でRCIの期間は13ですね。

もちろん僕は、この記事の解説で用いたRCI(緑)の数値も、このやり方で割り出しています。

SMA(75) × 2.6 = RCI(195)

ということですね。もう一度、SMA(75)とRCI(195)を表示したチャート図を見てみましょうか。

RCIは見事にSMAの過熱感を表しくれています。

で、その次に表示したRCI(赤)ですが、期間は52です。つまり、SMA(20)にRCI(52)は対応しているということですね。

ちょっと見てみますか。

赤色で示し20SMAが描く波と、赤色で示したRCI(52)が描く波を見比べてみて下さい。(見づらくならない様に、RCI(緑:195)の表示は消しています)

両者が描く波のの山と谷は、気持ちが良いくらいに高確率で一致しているのが分かると思います。

次に、3本のうち最も短期間だったRCI(青)ですが、SMA(10)に対応させているので、RCIの期間は26になります。

ということで、ここまでの解説で用いたRCI3本とそれに対応させた移動平均線を全て表示しておきましょうか。

さて、それではこのRCIへの理解をさらに進めるために、もう少し細かいお話へと進んでいくことにしましょうかね。

なぜ、RCIとMAを同期させる必要があるのか?

移動平均線と流れについて

僕の記事「時間軸に関係なく流れの目線を固定しよう」をご覧の方は、既にお分かりだと思いますが、

移動平均線(MA)は、価格推移の「流れ」を抽象化して、僕らに表現してくれています。

移動平均線の期間を長くすればするほど、価格の推移は抽象化され、より大きな波の形を表現してくれます。

逆に移動平均線の期間を短くすればするほど、移動平均線は実際の価格の推移に近づいていき、より小さな価格の波を表現してくれるようになるんですね。

最終的に移動平均線の期間を「1」とすると、それはロウソク足の終値だけを結んだラインチャートになります。つまり、期間1の移動平均線は価格推移そのものだということですね。

で、価格の波がフラクタル構造だということは、ご存知だと思います。(知らない人は、「「これがBOZ流!ライントレードの基礎2」をご覧ください)

なので、移動平均線は

  • 長期線=大きな波を抽象化
  • 中期線=その1つ小さな波を抽象化
  • 短期線=さらに1つ小さな波を抽象化

することが多くなります。

ただし、インジケーターは過去の価格の値を加工して表現したものです。

ですから、必ず実際の価格のよりも遅れて表現されます。移動平均線も山と谷も、RCIの山と谷も、実際の価格の波の山と谷よりも、遅れて表現されます。

では、ちょっと先のチャート図をもう1度見てください。

実際の価格の波の山と谷よりも、どの移動平均線もどのRCIも、遅れて表現されているのが分かると思います。

期間が遅くなればなるほど、遅行する度合いは大きくなります。

ですから、エントリーのタイミングは期間の短い方を用いることで、より適切なポイントを掴みやすくなるわけです。

ただし、期間を短くとればとるほど、実際の値動きのノイズに振り回されやすくなります。つまり、ダマシが増えるんですね。

これらインジケーターに共通する弱点は、必ず頭の片隅に置いておく必要はあります。完璧なインジなど、この世には存在しないんですから。

ということで、その弱点を込みで、もう一度、先のチャート見てみましょう。

長期(緑)のMAとRCIは、大きな波の一辺を表現しているのが分かりますね。

で、一辺の波の流れの中には更に小さな波があります。

それを中期(赤)のMAとRCIが表現してくれています。緩やかな山と谷が描かれていますね。

そして、その波の中にあるもう一段小さな波を表現しているのが、短期(青)のMAとRCIです。

つまり、このチャート1枚で、3本のMAとRCIは、1つの波がフラクタル構造であることを表現してくれているんですよ。

ここまで、理解できましたか?

それでは、先に進んできましょう。

なぜ移動平均線は必要か?

でも、MAとRCIが同じ波の構造を表現してくれるんだったら、どちらか1つで良いんじゃね?RCI使うなら、MAはいらなくね?

という疑問、湧いてくるかもしれません。

しかし、やはりRCIは所詮オシレーターであるが故、その弱点を補ってくれる存在が必要です。

そして、その役割がMAとなります。

MAはチャート上に、実際の価格(ロウソク足)に沿う形で表示されます。MAと価格の位置関係などを見ることで、

  • トレンドが発生している
  • しかも、このトレンドは強め
  • でも、こっちのトレンドは弱め
  • なんだかレンジに入りそう
  • 今は、レンジ

といった感じに、いやそれ以上に、相場の状況を視覚的に把握しやすくしてくれます。

しかし、RCIだけ見ていると、売買の過熱感は表現してくれますが、実際の値動きの特徴は、上手く掴めません。

ですから、RCIだけで相場を判断しようとすると、難しい局面って結構あるんですよね。

0ラインをまたいでウロウロしていると思ったら、いきなり下へと強く下げ出して・・・でも価格はそれほど動いてない・・・

なんて感じで、不可解な行動をRCIが示すことは、沢山あるわけです。

価格は上昇しているのにRCIは低下している、なんてのは日常茶飯事です。

では、ちょっと、実際のチャートでそんなRCIの欠点を確認してみますか。

最近のポンド円1時間足チャートですが、例のごとく右側の部分は隠しています。

で、赤丸のポイントを見てください。

Aの局面では、赤色のRCI(52)が高値圏に突入し始めたところで、青色のRCI(26)が反転下降を始めています。

Bの局面では、赤色のRCI(52)は、上端に張り付き出して横ばい、青色のRCI(26)は高値圏ラインを下抜けています。

このRCIの振る舞いを見て、どう判断しますかね?

RCI(26)が下降し始めたので、この後RCI(52)も後を追う様にして下降を始めることを想定して「売り局面」として捉えることも出来ますし、

まだRCI(52)はトレンド継続中を示しているので、RCI(52)も下降を始めるまでは「様子見」と判断するなど、

結局は「売り場探し」ということになりやすいです。

じゃあ、結果はどうかというと、

価格は上昇しているにも関わらず、RCI(26)は下降を続けており、RCI(52)も緩やかに下がり始めるという結果だったということが分かります。

後付け解説であれば、「ダイバージェンスを示しています」とドヤ顔できる場面ですが、この局面にリアルタイムで居合わせていれば、売り場探しは見当違いだったということが分かると思います。

しかし、このチャートに移動平均線も表示していたら、どうでしょう?

RCIに対応させたMAを表示してみましょうか。

メインチャートの赤い丸部分を見てください。

20SMAは安定して上昇を続けています。そしてそこに、価格と10SMAは下降しながら近づいているので、移動平均線使いの人なら、

「押し目を拾う局面だ!」

となると思います。つまり、この局面は売り場探しなのではなく、買い場探しだったんですね。

もし、移動平均線とRCIを同期させて併用していれば、RCIのAやBでの判断は

「20SMAは上昇力を維持していることがRCI(52)でも裏付けられている中、10SMAは力を落として20SMAに接近している。ということは、調整局面なので押し目を形成する可能性が高い。価格が反発を始めたら買いに出よう!」

となるでしょうし、また

「押し目を付けて買った後、10SMAも上昇を始めたが、それに対応するRCI(26)は下降を続けている。上昇力が弱まっている証拠。深追いせずに早々と決済した方が良さそうだな。」

とも判断できます。案の定、押し目を拾った直後は一旦大きく上昇しますが、その後は伸び悩み、一旦大きく下げた後に上昇を再開しています。

この様に、RCI単体で用いると判断を誤りやすい局面なのに、同期させた移動平均線を用いると、むしろRCIが判断の強い根拠づけに一躍買っていることになるわけです。

RCI単体で用いた時の弱点が、移動平均線と共に用いることで、むしろ強みになるわけです。

オシレーターは、チャートメイン部分に表示されるわけでなく、サブ画面に折れ線グラフで表示される「振り子」の様な存在ですから、具体的な価格の推移の状況を把握するのに、不得意な部分もあるんですよ。

しかし、それをMAは補ってくれるんですね。

そういった意味で、MAはRCIを用いてトレードするにおいても、とても大切な役割を果たしてくれます。

なぜRCIが必要なのか?

じゃあ逆に、RCIを使わないで、移動平均線だけでも良いじゃん!だって、MAだけでトレードしている人も沢山いるし。

という疑問も、あるかもしれません。

まぁ、MAだけでトレードできる人はそれでやって全然OKですが、MA自体にも弱点はあるわけで。

例えばですね、以下の画像をご覧ください。

価格が上昇をした後に、反転下落を始めた場面です。価格の流れ(移動平均線)も、それに準じて反転下落を始めてますよね。

じゃあ、この下落の流れは、どこまで続くんですかね?

下降トレンドが始まったなら、ずっと長く下降するでしょうし、上昇トレンドの調整局面なら、比較的直ぐに折り返して再び上昇を始めるでしょう。

じゃあ、どっち?

これ、移動平均線だけ見てたら、イマイチ分かりづらいですよね。

でも、RCIを見ればハッキリします。

RCIを見てみると、RCIは下降し始めたばかりで、まだ0ラインにすら到達していません。下落が過熱するには、まだまだありますよね。

「ってことは、まだこの下降の流れは続くんじゃね?」

と判断できます。

では、次の展開見てみましょうか。

RCIが下限に近付いてきてます。

ってことは、そろそろこの下落の流れは終焉?と判断できます。

「MAを上抜けたこの陽線強いし、この辺で買いかな?」

って、判断できますよね。

じゃあ、次の展開。

買って正解の局面でした。

もしショートポジションを持っていたのであれば、上昇圧が強いので、うっかりしていたら逃げ遅れていた可能性が大です。

この様に、RCIを見ていたら、どのくらいまでこの流れ(移動平均線の下降)が続くのかが、自ずと予測できるわけです。

RCIは移動平均線の過熱感を表現してくれるため、MAの弱点を補うことが可能になるんですね。

やっぱ、RCIって使えるじゃん!

情報は整理して使う

ここまで読んでもらった方は、MAとRCIを対応(同期)させて用いることの有益性を理解してもらえたかと思います。

MA(10)なら、RCI(26)
MA(20)なら、RCI(52)

といった具合に、互いに連携させることで、互いを補完し合います。

そして、そこには相乗効果が生まれます。

1つの「見ようとしているもの」を、2つの別の角度から洞察していることになるからです。今まで見えなかったものが、見えてくる可能性が高まってくるんですよ。

しかも、情報の乱雑さを防ぎます。

もし仮に、MAとRCIを別々の道具としてしか見ていなかったら、どうなってるでしょうか?

次の図を見てください。移動平均線もRCIもバラバラの期間で設定して表示してみました。

これだと、各線が不規則にあっち向いたりこっち向いたりとして、もう何のどこをどう見たら良いかすら、迷子になってしまいます。

しかし、MAとRCIの各線を同期しておいて、さらには同じ色にしておくと・・・

今、自分がどのMAを見て、そのMAの過熱感はRCIのどの線を見れば良いかが分かる様になりますよね。

情報が乱雑に置かれているのではなく、きちんと把握しやすい状態で並べておくことは、判断を行なうにおいて、非常に良い環境となります。

MAとRCIの各線をきちんと対応させておくことは、より洗練されたトレードの道具として用いることに繋がっていくんですね。

さて、ここまででRCIを扱う上での最も基本的な考え方、

「RCIは、MAをオシレートする」

という内容が理解できたでしょうか?

しかし、基本コンセプトを理解しただけじゃ、実際のトレードに活かすまでには、ちょっと距離があり過ぎかな、というのがホントのところです。

ということで次回は、もっと具体的なRCI各論的なお話に進んでいこうかと思います。

RCI各線の振る舞い方やら、その関係性などについてお話します。

RCIの使い方の説明で良くある「2本のクロスでエントリー!」に、実はあまり優位性がないということにも触れていきますので、お楽しみに。

それじゃぁ、また。

オシレーター概要

僕のブログを継続的にご覧になってる方はご存知だと思いますが、

相場環境をきちんと把握できているならば、実際のエントリーやエグジットに用いるテクニカルは、

何でも良い。
自由にやったら良いさ。

というのが、僕のトレードに対する考え方です。セットアップとトリガーについての話ですね。

トリガーはプライス・アクションで判断しても良いし、ラインを用いても構いません。移動平均線を根拠にエントリーしようが、MACDを用いようが、それは各自が使い込んだものを使えば良いと思ってます。

で、今回は、そんなトリガーの例としてこのブログに何度か登場している「オシレーター」について、その概要をお話しようかと思ってます。

「オシレーターに興味あるけど良く知らない。取っ掛かりとして、まずは端的にその概要を知りたい」

という人のために、お話しようかと。

オシレーターとは

トレーダーの人で、「インジケーター」と言った場合、

「何それ?美味しいの?」

って人はいないと思います。インジケーターとはどんなものかというのは、大体分かるかと。

実際の相場の値動きから、一定期間の終値だとか高値低値だとかの値を抽出して計算し加工し、その結果をチャート上に描画することで、値動きの特質を捉えようとするテクニカルの装置のことです。

移動平均線とかボリンジャーバンドとか、MACDとかRSIなどがそれですね。

で、そんなインジケーターは、主に2種類に分けられます。

  • トレンド系インジケーター(移動平均線・ボリンジャーバンド・一目均衡表など)
  • オシレーター系インジケーター(ストキャスティクス・RSI・MACDなど)

トレンド系インジケーターは、チャートのメイン画面にロウソク足と共に表示されます。トレンドを推し量る際に使われることが多いです。

それに対して、オシレーター系インジケーターは、チャートのメインとなる画面の下にサブ画面が用意され、折れ線グラフの様なものが表示されます。こんな感じです。

上図は、RSIというオシレーターを表示したものです。この折れ線グラフに表示された線の推移を見て相場の状況を判断します。

しかし、オシレーターの中にはこの線が複数表示されているものもあります。

上図は、ストキャスティクスというオシレーターを表示したものですが、2本の線で表現されているのが分かると思います。

さて、そんなオシレーターですが、では果たしてこのオシレーターは、一体相場の何を見ようとして使われるものなのでしょうか?

端的に答えを言えば、

オシレーターは、主に相場の過熱感を見る分析方法

として使われます。

とは言っても、やっぱり知らない人にとっては、

「過熱感?何それ、美味しいの?」

ってな感じですよね。

ということで、もう少し具体的にオシレーターの特徴をお話していきます。

1.相場の買い圧力と売り圧力を見る

とりあえず、ストキャスティクスを表示した先ほどのチャート図を見てみましょうか。

で、上図のロウソク足の値動きとこのストキャスティクスをざっと見比べてみると、

  • 実際の値動きが上に向かっている時に、ストキャスティクスの2本の線も上に向かっている
  • 実際の値動きが下に向かっている時に、ストキャスティクスの2本の線も下に向かっている

のが分かると思います。図にすると、以下の様な感じ。

赤い矢印で示した様に、買い上がっている時は、オシレーターも上に向かっています。また、青い矢印で示した様に、売り下がっている時は、オシレーターも下に向かっています。

要するに、オシレーターは、買い圧力が強まってくると上に向かい、売り圧力が強まってくると下に向かうという傾向にあるんですね。

2.相場の過熱感を推し量る

買い圧力が高まれば高まるほど、オシレーターは上に向かい続けます。

しかし、いつまでも買われ続けるわけじゃありません。買い続けられていけば、買い手は次第にいなくなってしまいます。

その様な買い圧力が過熱感を増してきた状態を、オシレーター使いは「買われ過ぎ」と呼んでいます。

その逆で、売り圧力が過熱感を増してきた状態を、オシレーター使いは「売られ過ぎ」と呼んでいます。

では、実際のオシレーターでは、どの部分を見て「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を判断するんでしょうか?

買われ過ぎエリアを赤色に、売られ過ぎエリアを青色に塗りつぶしてみました。

基本的に、オシレーター上端部分を「買われ過ぎエリア(高値圏)」とし、下端部分を「売られ過ぎエリア(低値圏)」とします。

具体的にどの範囲を高値圏・低値圏とするかは、各オシレーター並びに各トレーダーにて違いがあります。上図では、80%以上が高値圏、20%以下が低値圏としています。

そして、買われ過ぎエリアに折れ線が突入したら「買われ過ぎ」、売られ過ぎエリアに折れ線が突入したら「売られ過ぎ」と判断するわけです。

3.買い圧力と売り圧力の逆転するポイントを見る

もちろん、売られ過ぎれば、いずれ価格は下げ止まり、今度は買い圧力が勢力を増して反転上昇し、価格は上がっていくことになります。

逆に、買われ過ぎれば、いずれ価格は上げ止まり、今度は売り圧力が勢力を増して反転上昇し、価格は下がっていくことになります。

で、オシレーター使いは、その売り買いの圧力が逆転するポイントを、「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」の局面で見て取ろうとするわけです。

相場の過熱感を見て、

「これ以上、価格は上がりそうもないな。決済しよう」
「そろそろ反転上昇しそうだな。買って見るか」

などの判断に使われます。

つまり、売り買いの圧力が逆転するポイントが、売買ポイントというわけなんですね。

では、実際にその買い圧力と売り圧力が逆転するポイント(売買ポイント)は、どこになるんでしょうか?

先ほどの図で見てみましょう。

買われ過ぎエリアに突入した線が、反転して買われ過ぎエリアを下に抜け出したポイントに青丸を付けてみました。

ここが、買い圧力と売り圧力が逆転したと判断する場面で、売りポイントとなります。

もちろん、それとは逆に、売られ過ぎエリアに突入した線が、反転して売られ過ぎエリアを上抜けしたポイント(赤丸)が、買いポイントとなります。

2本の折れ線で表現されるオシレーターの場合、先にエリアを抜けた方の線を基準にします。2本目が抜けるのを待つと売買のタイミングが遅れることがほとんどになります。

また、ストキャスティクスの様に、折れ線が2本ある場合、その線がクロスするポイントにも注目します。

今度は、高値圏と低値圏で2つの線がクロスしたところに青丸を付けています。そのポイントで買場を繰り返すと、割と高値低値を捉えることができ、収益になることが期待できるのが分かると思います。

以上をまとめると、オシレーターにおける一般的な売買ポイントは、

  • 高値圏に到達した後に反転して高値圏を下抜けたところで売り
  • 低値圏に到達した後に反転して低値圏を上抜けたところで買い

もしくは

  • 高値圏で2本のラインがデット・クロスしたところが売り
  • 低値圏で2本のラインがゴールデン・クロスしたところが買い

となります。

なお、インジケーター全般に言えることですが、期間設定(パラメーター)は各自の好みで設定でき、期間を短くすると反転を捉える反応が早くなりますが、ダマシが増えます。逆に、期間を長くするとダマシが少なくなりますが、反転を捉えるタイミングが遅くなります。

3.レンジに強くトレンドに弱い

オシレーターは、俗にレンジに強くトレンドに弱いと言われます。

先ほどのチャート図は、敢えてレンジ相場にオシレーターを表示したので、割と上手く機能していると思います。

しかし、オシレーターをトレンド時に何も考えずに使うと、痛い目を見ることが多くなります。

上図は、下降トレンド時にストキャスティクスを表示したものです。

高値圏まで届かずに反転することがほとんどなので、杓子定規的に売りを狙おうとしても、下落中の売り時を捉えることができません。

しかし、これが下降トレンドであると判断できていれば、高値圏に到達せずともデット・クロスで売るという発想が出来ますが、ストキャスティクスだけではトレンドの判断はできません。

また、下降トレンドの発生を考えずに低値圏のゴールデン・クロスで買ってしまうと、売れないまま損失を雪だるま式に増やします。

高値圏に到達せずともデット・クロスしたら売ることにしても、買いエントリーした価格よりも低い価格で売るはめになったりすることが多発します。

この様に見れば、オシレーター系インジケーターは、レンジに強くトレンドに弱いと言われているのが理解できると思います。

そのため、オシレーターを利用する場合は、トレンドを掴むことを得意としたインジケーターと併用するケースがほとんどです。(これについては、後程触れるとします)

ただし、サブ画面に表視されているインジケーターでも、売買の過熱感を推し量るのではなく、トレンドの強弱を推し量るインジケーターもあります(代表的なのが、ADXやDMIです)。

なので、サブ画面にインジケーターが表示されているからといって、全てが相場の過熱感を推し量るためのインジだとは思わないでください。

4.売り買いの優勢を見る

オシレータの中には、単純に売買の過熱感を見るだけではないものもあります。過熱しているかどうかだけじゃなく、買い勢力の優勢が続いているのか?売り勢力の優勢が続いているのか?を見ることが出来るものがあります。

以下は、オシレーターの代表格RSIを表示したものです。

RSIは、他のオシレーターと同様に上限に買われ過ぎエリア(80%や70%以上とすることが多い)、下限に売られ過ぎエリア(30%や20%以下とすることが多い)があります。

しかし、もう1つ見方があって、その中間となる50%を境にそれより上が買い優勢エリア、50%以下が売り優勢エリアという見方が出来ます。

(買い優勢エリアは40%以上、売り優勢エリアは60%以上という見方もあります)

では、上図を再度見てください。RSIは、50%をまたぎながら、上下を繰り返しています。つまり、買い優勢も売り優勢も続かず、相互の勢力が繰り返し現れているので、

「レンジ」

という判断です。

しかし、下図の様に

下降トレンドが発生している際は、50%以下の「売り勢力エリア」だけで推移していますよね。

つまり、売り勢力の強い状況がずっと続いているから、売り勢力エリア内でRSIはずっと動き続けているわけです。

この様に見ると、

  • 売り勢力エリアでRSIが推移を続けている時は、下降トレンド
  • 買い勢力エリアでRSIが推移を続けている時は、上昇トレンド

という判断が出来ることになります。

つまり、加熱感を見ると共にトレンド判定が可能なオシレーターもあるわけです。

が、これは僕から言わせると・・・

後付けで見ると分かりやすいですが、リアルタイムで実際に価格が形成されている場合、トレンド判断は意外と厄介です。

この手のオシレーターだけで「価格がトレンドを形成している」と判断した場合、実際のトレンドはかなり進んでしまった後ということが、結構あるんですよ。

ちょっと見てみましょうか。

RSIだけでトレンドを判断しようとした場合、恐らく上図の様に、50ラインに達せずに反転したところで、その可能性を考え出すはずです。

しかし、それはあくまで「可能性」であって、この後再びRSIは上を向いてら50ラインを越えていくかもしれません。

なので、静観して様子を見ることになります。

で、その後は・・・

青丸のとことまできてようやく戻り売りを仕掛ける場面になるわけですが、トレンドは結構進んでしまった後です。オシレーターだけにトレンド判定を頼ると、こういうことが結構多くなるんですね。

実際にトレードする場合は、オシレーターに頼ることなく、もっとトレンド判定を早く行なうことを考えた方が効果的です。

5.トレンド時の張り付き

トレンドが発生した際に、そのトレンドの勢いが強く、あまり押し戻しを明確にせずに価格が進行している場合、オシレーターは、高値圏や低値圏に張り付いたままになる傾向にあります。

上図は、下降トレンド時にRSIとMACDを表示したものですが、ご覧の通り、低値圏にラインは張り付いたままになっています。

上昇トレンドの場合は、その逆で高値圏に張り付いたままの状態になります。

で、こういった場合は「トレンド継続中」と判断します。

上昇トレンド中に、オシレーターが高値に到達してしまってそれ以上上に行けなくなったからといって「トレンドが終わる」と判断してはいけません。

むしろ、この状態はトレンドが強かったり長期化していることの証であるため、「トレンド継続中」と判断します。

ただし、張り付いた状態なので、オシレーターが売買ポイントを提示することは、あまりありません。

張り付いたままのオシレーターだけ見ていたら、トレンド発生中に指をくわえたまま手を出せない状況が続いてしまいます。

この張り付き現象は、「トレンド継続中」を教えてくれると同時に、オシレーターの弱点でもあります。

6.ダイバージェンス

オシレーターの見方で有名なものに、「ダイバージェンス」があります。このダイバージェンスを見るためだけにオシレーターを表示している人もいるくらいです。

ダイバージェンスとは、逆行現象のことで、下の図を見てください。

価格は高値低値を切り下げながら下落しているにも関わらず、オシレーターはそのラインの低値を切り上げていますよね。これが、ダイバージェンスです。

このダイバージェンスは、俗にトレンドの終焉を示唆していると言われます。

しかし、必ずトレンドが終わるということではありません。その可能性が出てきたと判断する材料です。

ただ、僕のこのダイバージェンスに対する見解は、トレンド終焉の示唆というよりも、単純に

トレンドの波動が弱まっていることを表現している

というものです。

上昇トレンドなら、その上昇する波の勢いが衰えてきている場合にダイバージェンスが起こり、下降トレンドならその逆になります。

なので、再度トレンドの勢いが加速する可能性もありますし、そのまま衰えてトレンドが終了する場合もあるわけです。

また、波動が弱まってきていると知るのは、ダイバージェンスに頼らずとも、きちんと値動きそのものを見ていたら分かりますし、ダイバージェンスよりもむしろ早く捉えることも可能です。

ということで、値動きを主体に見ることが出来る人にとっては、このダイバージェンスは無用の長物かもしれません。

ただ、これを言ったらキリがないんですよねぇ。ダイバージェンスに限らず、トレンド判定や反転確認も、インジケーターに頼らずに値動きで捉えられるわけですから。

しかし、値動きだけで全てをを把握できる人は少ないわけですし、エントリーの根拠をより強化するための役割として、オシレーターをはじめとするインジケーターは、非常に有効だというのが、僕の考えです。

さて、ここまでで、ざっとオシレーター全般の概要を観てきました。

ただし、各オシレーターには、その見方や扱い方には特徴があります。ですから、何でもかんでも「オシレーター」と一括りにして同じ扱いをするわけにはいかない部分もあるんですよね。

ということで、次の章では、各オシレーターには違いがあることを分かってもらうために、個別のオシレーターに軽く触れてみたいと思います。

オシレーターそれぞれ

オシレーターの代表格と言えば、

  • ストキャスティクス
  • RSI
  • MACD

かな?と思います。

もちろん、「はぁ?ATRもあるだろ」などの異論もあると思います。

しかし、実際に日本で良く目にしたり耳にするもので、利用方法の情報量や入手のしやすさからすると、やはり上の3つに軍配があるのかな、と。

で、ここからは、これら各オシレーターについて個別に軽く触れる程度の紹介をしてみたいと思います。

ストキャスティクスについて

前章においてオシレーターを説明する際、主にストキャスティクスを使って見てきました。なので、それほど多くを説明する必要はないかな、と思います。

ただ、ストキャスティクスとしての個別の特徴のお話がまだなので、軽く触れていこうと思います。

扱いやすい

ストキャスティクスの特徴は、一般的に言われているオシレーターの特徴を、比較的そのまま表しています。この後お話するRSIやMACDの様な個別の特徴が少ないです。

ザ・オシレーター的な感じ。

そのため、オシレーターとして初心者にとっては、扱いやすい存在なのかなと、個人的には思っています。

上限下限での張り付きが少ない

かといって、そんなストキャスティクスにおいても、オシレータの特徴の1つである

「強めのトレンドが継続していると、オシレーターは上限下限に張り付いたままになりやすい」

という現象が非常に少ないのが特徴的です。

張り付く数も少なく、張り付いても直ぐに山や谷を形成し始めます。

そのため、他のオシレーターよりも強めのトレンド時でエントリーポイントを見つけやすいという利点があります。

しかしそれは同時に、ダマシにあいやすいという弱点とも言えるので、注意が必要です。

ファストとスロー

ストキャスティクスには2種類あって、

  • ファスト・ストキャスティクス
  • スロー・ストキャスティクス

に分かれます。

計算式の組み合わせの違いによって、この2種類は分かれますが、こ基本的に

  • ファスト・ストキャスティクスは、値動きに対する反応が早いがダマシが頻発する
  • スロー・ストキャスティクスは、前者に比べて値動きに対する反応が遅いがダマシが少ない

という特徴があります。

好みで用いてもらえれば結構なんですが、ダマシの多いファスト・ストキャスティクスは実際の相場で振り回されることが多くなるので、個人的にはお勧めしません。特に初心者には。

なお、この記事で用いたものは、全てスロー・ストキャスティクスです。ストキャスティクスの利用を考えている人は、まずはスロー・ストキャスティクスから始めてみることをお勧めします。

折れ線の見方について

今回の記事は、紹介程度なので、スルーしようかと思ったんですが、ちょっと気になる点があるので、軽く触れておきます。

まず、RSIの様に折れ線グラフの中央にライン(50ライン)を引いて、

「50ライン付近で反発した」

などの動きを見ようとする解説もありますが、個人的には懐疑的です。なぜって、僕自身がやってみたりしたんですけど、良い結果が得られなかったからです。

まぁ、どんなインジケーターも、奥の深さというのはあるので、僕の技術が至らなかっただけかもしれませんが。

ただ、基本的に「売られ過ぎエリア」「買われ過ぎエリア」での

  • エリアに突入後に再度抜けたポイント
  • エリア内でのクロス

を売買ポイントとして見るだけで、十分通用しますので、細かい動きに関しては使いなれてからの挑戦で良いかな、と。

で、ついでにもう1点加えますが、

売買ポイントの見極めにおいて、信用度の高いパターンがあると言われています。

そのやり方は、ストキャスティクスの開発者が提唱していて、

  • 高値圏を85%以上、低値圏を15%以下という厳しめな設定にし、そこに侵入した後に鋭い角度で抜けたところを売買ポイントとする(スパイク)方法
  • 高値圏を70%以上、低値圏を30%以下という緩めの設定にし、エリア内でダブル・ボトム(トップ)の様な形を形成し、2本の線が2回クロスを繰り返したら、そこを売買ポイントとする(ガービッジ)方法

です。後者は言葉だけだと分かりづらいので、以下に図を載せておきます。

ただこのガービッジ、僕としてはあまり有効だとは思ってないんですねぇ。

というのも、「2回クロスしたら」が売買ポイントですが、基本的に既に1回目のクロスで売買してしまってるからです。

しかし、1回目のクロスを見送ってガービッジが起こるのを待っていたら、結構な売買ポイントを指をくわえたまま眺めるだけになってしまいます。

さらに、これまた個人的印象ですが、ガービッジが特に信頼性高いものとは思えないんですよ。上図は、解説に適したいわゆる「良い例」として挙げていますが、上手くいかないケースも多々見受けられます。

ただ、正確に検証した結果ではないので、あくまで「個人的印象」として捉えておいてください。

RSIについて

RSIは、先にも説明しましたが、単に売られ過ぎや買われ過ぎを見るだけではなく、トレンド判断も可能でした。

Rサブ画面の真ん中より上部だけでRSIが推移している場合は上昇トレンド中、下部だけで推移している場合は下降トレンド中でしたね。

ただ、それだけでなく、実はライントレードの様なトレードがRSIでは可能となります。以下の図を見てみましょう。

①や②はパターンラインからのブレイクで売りのトレードが可能です。

また、今までの下降トレンドを特定付けていた高値ラインに水平線(赤い線)が引けるため、そこを上にブレイクしたところで買いエントリーします。

更にはそのラインからロール・リバーサールが起きた④で買いトレードが出来ます。

(このやり方を僕は突き詰めてやっていないので、きちんとしたライン引きとその判断が出てきてなかったらゴメンなさい)

この様に、ライントレードの様なトレードが出来るのがRSIの特徴です。

ちなみに、このRSIの見方は、2009年に陳満咲杜氏がその著書「FXトレーディングの真実」にて公表したのが、日本では最初だと思われます。それまでは、先の一般的なオシレーターの見方しかされていませんでした。

で、その発表直後、このRSIを使ってGFF氏が10万円の証拠金をたった3ヶ月で6億円する様をニコ生動画で配信したのは、有名な話です。まぁ、その後はハイレバが原因で証拠金は30万円になってしまいましたが。

まぁ、このRSIは扱えば扱うほど奥が深いというのが僕の印象ですが、初心者にはやや扱いづらいオシレーターという印象も強いです。

MACDについて

MACDは、相場の過熱感を計るオシレーターであると同時に、非常にトレンド系インジケーターに近い側面を持つと言われています。

というのも、その計算方法が指数平滑移動平均線(EMA)を基にしているからです。(詳細は割愛します)

で、ストキャスティクスやRSIは、折れ線グラフの縦軸のメモリの範囲が100~0、オシレーターによっては上下の範囲を+100から-100としているものもありますが、

MACDの場合は、縦軸のメモリは真ん中の0ラインを中心として上下に数値が広がりますが、その上限下限の数値は決められていません。

ちょと、実際にMACDを表示したチャート図を見てみましょうか。

ストキャスティクスの様に2本線ですね。2本のうち、先行して上下動をする線(赤い線)が基本となる線で「MACD」と呼び、遅れて上下する線(青い線)を「シグナル」と呼びます。

で、このMACDラインが上下に伸びれば伸びるほど、縦軸の数値も伸びていきます。数値の上限下限が決まってないんですね。

なので、「売られ過ぎエリア」とか「買われ過ぎエリア」みたいな概念はありません。

しかし、基本的にこの2本の線のクロスする箇所が売買ポイントとなるのは、一般的なオシレーターの見方と一緒です。

上図の赤丸で示したところが、そのポイントです。

正確に言えば、0ラインより上でデット・クロスした場合が売りポイント、0ラインより下でゴールデン・クロスした場合が買いポイントとなります。

ただし、MACDは縦軸の上限下限が予め決められておらず「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」が判断できないため、0ラインよりもどのくら乖離したところでクロスした方がより有効な売買ポイントになるかは、各自の裁量によるところが大きくなります。

また、0ラインより上でゴールデンクロスしたり、0ライン近くでクロスすることもあり(青丸)ます。この辺もどう判断するかは、各自の裁量によるところが大きくなりますので、初心者の方は、0ライン付近のクロスに安易に手を出さないのが得策です。

更に、MACDにはそれ以外にも売買ポイントがあります。

それは、MACDライン(赤い線)が0ラインを上から下に割り込んだら「売りポイント」、下から上に上抜けたら「買いポイント」という見方です。

ただ、そこをポイントにする場合は、トレンドが発生するなど、そこからある程度価格を伸ばしていかないと失敗する可能性が高いというのは、上図を見て見ればお分かりかと思います。

そのため、このMACDラインと0ラインのクロスを売買ポイントにするのは、相当熟達していない限りは、お勧めできません。

更に、もう1点。

MACDの折れ線グラフの中に、棒グラフ(緑色)が見えますよね。

この棒グラフを「ヒストグラム」と呼びます。

一般的に、このヒストグラムと0ラインのクロスが売買ポイントとなるんですが、良く見ると分かる通り、それはMACDとシグナルのクロスするポイントと重なります。

なので、MACDというオシレーターには、ヒストグラムを省略しているものが結構あります。

MT4に標準で入っているMACDにはヒストグラムがなく、その反面、MACDラインをラインではなく棒グラフで表示しています。そのため、MACDラインとヒストグラムを混同してしまいがちです。以下がその図です。

きちんと見比べてみるとMACDラインをこの棒グラフが代用しているのが分かると思います。(上図では、赤い線がシグナルですが、下図では青い線がシグナルです)

混同しない様に気を付けてください。

なお、ヒストグラムの山と谷は、実際の値動きの山と谷に一致しやすい傾向にあります。

ただ、実際にこの山と谷の判断は、リアルタイムでトレードした場合には意外と難しいため、むしろ利確ポイントとして最初は見ていた方がトレードしやすいかと思います。

さて、駆け足ですが、ざっとRSIとMACDの概要をお話してみました。

どのインジケーターでもそうですが、実際のトレードで使いこなすのは簡単ではありません。

概要を知ったからといって、分かった気にならず、きちんと使いこなせる様になってからトレードに臨むことが大切かと。

実際の使用例

さて、それではオシレーターの実際の使用例を挙げていきましょうか。

先述の通り、オシレーターはレンジに強くトレンドに弱いという傾向があります。

そのため、実際のトレードに用いる際は、トレンド系インジケーターと併用するのが常になります。

トレンド系インジケーターは、トレンドに強くレンジに弱いのが特徴です。

そのため、トレンド系とオシレーター系を併用することで、両者の長所短所を補完し合おうとするのが一般的なインジケーターの用い方です。

そうですねぇ、今回はストキャスティクスを使ってみましょうか。以下がその図です。

下降トレンド中、ストキャスティクスは赤丸で示した通り、買われ過ぎエリアまで到達せずにデット・クロスしています。なので、基本に忠実であればあるほど、売りでエントリーするチャンスはありません。

しかし、下降トレンド中なのに、売られ過ぎエリアではゴールデンクロス(青丸部分)を繰り返しています。なので、ここで教科書通りに買ってしまうと、損切りを多発してしまいます。

つまり、トレンド発生中にストキャスティクスのみに頼ってトレードすると、勝つことは難しいんですね。

ということで、ストキャスティクスの弱点を補うために、トレンド系インジケーターを表示してみます。

今回は、そうですねぇ・・・

このブログで度々登場する移動平均線を併用してみましょうか。移動平均線を用いて、トレンド判定を行います。

移動平均線でトレンドを見る場合は、通常2本か3本の移動平均線を表示することが多いです。今回は、20SMAと50MAの2本を使ってみましょうか。

移動平均線による下降トレンド判定は、

  • 上から「長い期間のMA」→「短い期間のMA」→「価格」の順番になっている
  • 基本的に全てのMAが下を向き出した

というのが条件です。

上図を見ると、20SMA(黒色の線)が50SMA(青色の線)とデット・クロスしたところから下降トレンドが始まったことが分かります。

で、今回は上手く20SMAで価格が抑えられて下落していってますので、MAだけでエントリーするのは可能です。

ただし、ここでストキャスティクスを併用することで、エントリーのタイミングを計りながら、自信をもって売りエントリーをすることが出来ます。下図を見てください。

下降トレンド中だということが分かっているため、相場が「買われ過ぎる」ということは滅多にありません。

なので、買われ過ぎエリアに到達せずとも、ストキャスティクスのデッド・クロス(青丸)でエントリーをすれば良いわけです。

上図では、20SMAに価格が抑えられた局面(赤丸)のどのタイミングで売りエントリーをしたら良いかを、ストキャスティクスは上手く提示してくれていますよね。

また、下降トレンド中なので、売られ過ぎるのは当たり前ですし、また基本的に買いで攻めることはありません。

ですから、ストキャスティクスが売られ過ぎエリアに到達しても、またそこでゴールデン・クロスをしたとしても、買いエントリーをすべきではないことが分かります。

むしろ、売られ過ぎエリアでのゴールデン・クロスは、利確ポイントとして活用できます。

以上の様に、トレンド系インジケーターを併用することで、オシレーター系インジケーターは威力を発揮します。

なお、上図はトレンドの強さが運よく20SMAに沿う形で展開しているため、20SMAで価格が止められていますが、さらにトレンドが強い場合は、そう上手くはいきません。下図を見てください。

価格は20SMAまで到達せずに下落を続けています。これじゃあ、MAだけでエントリーのタイミングは掴めません。

この場合、より短いMA(例えば10SMA)を表示して、そのタッチから反転下落するポイントを見つけたり、より小さい時間軸を見てタイミングを狙ったりしますが・・・

オシレーターを表示させている場合は、そんな手間はいらなくなります。

移動平均線が下降トレンドを示唆している間は、ストキャスティクスを用いて、デッド・クロスを戻り売り局面としてエントリーし続けていけば良いだけなんです。

このトレンドに関する詳しいお話は、「トレンドの正体」にてお話しています。まだ読んでいない方は、ぜひ読んでおいてください。

では、違う局面を見てみましょうか。

Aの部分を見てください。20SMAが横を向き出しました。

そして、20SMAは50SMAに糸が絡む様に絡みだし、50SMAも横を向き出します。

これ、移動平均線によるトレンド判定では、

トレンド・レス、つまりレンジということです。

となれば、レンジに強いオシレータは全開でその威力を発揮する場面です。

上図赤い丸部分を見てください。買われ過ぎエリアでデッド・クロスした場面で売り、売られ過ぎエリアでゴールデン・クロスした場面で買うことを繰り返していけば良いだけです。きちんと、収益になってますよね?

この様に、インジケーターを用いてトレードをする場合、一般的にはトレンド系とオシレーター系を併用することで、両者の得手不得手を補い合い、収益につながるトレードを繰り返すことが可能になります。

終わりに

さて、今回はさらっとオシレーターについてその概要をお話しました。そして最後には、実際のオシレーターの使い方をお話してみました。

しかし、今回お話したトレンド系インジケーターとオシレーター系インジケーターを併用してトレードするというのは、極めて一般的というか、教科書的お手本の様なトレード手法です。

しかし、多くの人がなぜ同じ様にインジケーターを表示させて勝てないのか?

それは、どこかに秘密があるわけではありません。

単に、本来あるべき姿のインジケーターの使い方をしていないだけなんです。インジケーターそれぞれが持つ本質を踏まえたうえで、

当たり前のことを、ごく当たり前に

トレードすれば良いだけなんですよ。当たり前のことが出来ないから、勝てないんです。

もちろん、当たり前のことを当たり前の様に実行するには、杓子定規にはいきませんし、簡単に出来るわけじゃありません。

まずはインジケーターの本質を捉えることが大切。

そして、

繰り返し繰り返し練習し、上手くその道具を扱える様になることが大切です。

それによって、特別面倒なことや秘密の手法を用いずとも、結果を出していくことは可能なはずです。

頑張ってください。

それじゃあ、また。

 

 

ジグザグと描く波の渡り方

プロローグ

相場の上げ下げを予想する人って結構いますが、実際のところ、その当り外れはトレーダーにとって、それほど重要ではありません。

だってね、下手なトレーダーは「上がる」と予想しても、買えば下がるし損切れば上がるわけで、負けた後から、

「上がる予想は当たってたのに・・・」

と言って悔しがるのが常ですから。

分析や予想が当たったところで、トレーダーにとっては、上手く獲れなきゃ意味はありません。

しかし、現在の価格と未来の価格との値幅を獲っていくのがトレーダーの仕事なのに、なぜ上げ下げの予想が当たっても上手く獲れないんでしょう?

それは、価格は一直線に進まず、ジグザグと波を描いて進むからです。

全体的に価格は上がっていても、その過程では上がったり下がったりするわけです。上がったところで買ってしまえば、その後は下がり出しますし、下がってきたところを売ってしまえば、その後に価格は上がり出します。

ですから、トレーダーの仕事というのは、上がる下がるを予想することよりも、

ジグザグと描く価格の波の、どこで入って、どこで降りるのか?

ということが重要なんですよね。

上手いトレーダーは、上がると分析し予想したとしても、実際の価格が下がりだしたのなら、その波に乗っていくか、次の波が来るのを待つものです。

そう、予想よりも、現実対応。それが、トレーダーの在り方です。

そこで今回は、価格がジグザグと描く波の乗り方について、僕なりのお話をしていこうかと。

(ただし、今回はエントリーポイント中心にお話します。エグジットのポイントについては、違う機会で)

まず、基本的なエントリーポイントの考え方をお話し、次に、その波にうまく乗れない人、特に高値掴みや往復ビンタを繰り返してしまう人にジグザグ感覚を身に着ける方法を僕なりの解釈でお話していきます。

そう言えば以前にも、「エントリーのタイミングをどう考えるか?トレンドフォロー編」で、その辺りのことは触れているんですが、今回はもう少し視点を変えてお話していきますね。

それでは、始まり始まり~!!

ジグザグの基本

平行レンジの場合

下の図は、もうお馴染みですが、平行レンジを単純化したものです。

で、この様な相場つきの場合、どこで買ってどこで売るかというと、これまたお馴染みのポイントとなります。もちろん、下図の様になりますよね。

更に、もう少し具体的にエントリーポイントを図説するならば、下の図の様になるかと。

上昇した価格が山の頂上を越えて下がり出したところで売り、下降している価格が谷間を越えて上がり出したところを買う。

つまり、単にラインにタッチしたから売買するのではなく、反転したのを確認してから売買をすることが、より適切なエントリーとなるわけです。

で、この売買のやり方、これが全ての相場局面における考え方の基本になります。

ジグザグと進む波の山越えで売り、谷越えで買うということですよ。

単に「知ってるよ」に留めるのではなく、実際にトレードで使える様にキッチリと頭の中に刷り込んでおいてください。これが、全ての基本になるんですから。

では、次に進みましょう。

チャネルの場合

下図は、これまたお馴染みのチャネルを単純化したものです。

そして、この下降チャネルの売買ポイントは・・・

そう、平行レンジの考え方と同じですね。以下の様になります。

上図は下降チャネルですが、上昇チャネルも考え方は同様です。

また、レンジには他にも様々な形(ペナント等)がありますが、考え方は基本的に同じです。

トレンド時の考え方

チャネルとトレンドの違い

実際にトレードしようとチャートに向き合った場合、「チャネル」と「トレンド」の違いが分からなくなる時ってありませんか?

ないですか?あーそーですか。

でも、このチャネルとトレンドは、そのロジックが似通っていることが意外にあるんですよ。実際のトレードで、その違いに気づかないと、判断を誤る可能性もあるんで、ちょっと、確認していきましょう。

では、もう1度、先ほどの下降チャネルの図を見てください。

ダウ理論における下降トレンドの定義は、「高値低値を切り下げながら価格は全体的に下降していく」ことになりますが、

上図の下降チャネルもまた、きちんと高値低値を切り下げています。

「なら、下降チャネルって、下降トレンドなんじゃね?」

ってことになってしまいそうです。

で、実際はどうかというと・・・

  • 下降トレンドが下降チャネルを形成しているパターン
  • 下降トレンドではない、つまりレンジとしての下降チャネルのパターン

の2つがあります。

上下する波の力関係だったり、相場全体との兼ね合いで判断するので、似ているからと言っても同じではありません。

例えば、下の図はユーロドルの1時間足チャート(以下、A図と呼びます)。

ぱっと見、下降トレンドですね。しかも、トレンドラインに平行して低値にもラインが引けます。下降チャネルを形成していると言えます。

しかし、本当に下降トレンドでしょうか?

もう少し詳しく見てみましょうか。まずはこの図に、中期移動平均線として75SMAを表示してみます。青色の線がそれです。

価格はほぼ、下降する75SMAの下で推移していますよね。

移動平均線を利用した下降トレンドの判別方法は、

「下降する移動平均線の下で価格は推移している」

ですから、その条件をクリアしてます。

また、この1時間足で見た局面を4時間足で俯瞰して見ると、

4時間足における下降トレンドの下降する波(推進波)の1つを形成していることが分かりますよね。

ですから、やはりこの局面は「下降トレンド」と言えることが分かると思います。

では、次にポンド円の15分足チャート(以下、B図と呼びます)を見てみましょう。

ぱっと見、下降チャネルを形成していますが、下降トレンドには見えません。

しかし、この値動きも、高値低値を切り下げていると解釈できなくもなさそうです(例が悪くてゴメンなさい)。だったら、下降トレンドなんじゃ?

ややこしいですよね。もう少し具体的に説明しましょうか。

先ほどと同様に、75SMAを表示してみます。

価格は下降する移動平均線の下で推移せずに、まるで75SMAを中心にして交差するようにして推移しています。

「下降トレンドとは、下降する移動平均線の下で価格は推移している」

という移動平均線を用いた下降トレンドの定義には反していますから、この局面は、下降トレンドではないわけです。

なぜ、この様な違いが生まれるかというと、それは上下する波の強弱の違いにあります。

先ほどのA図をもう一度見てください。

下降トレンドとは言え、価格は一直線に下落しているのではなく、ジグザグと上下に波を描きながら下降しています。

しかし、下降する波は上昇する波に比べ、長く、そして角度も鋭いのが分かると思います。つまり、下降波の方が勢いが強いんですね。

その状況で、高値低値を切り下げながら全体として下降していますから、移動平均線も下降し、価格はその移動平均線の下で推移し続けているわけです。

これが、下降トレンドの特徴です。(上昇トレンドはその逆ですね)

しかし、B図の方は、

高値低値を切り下げていると言ってもA図とは違い、上昇する波と下降する波の勢いに違いは明確にはありません。波の動きは比較的ランダムで、強く上げたと思ったら強く下げたり、弱く上がったと思ったら弱く下げたりしています。

ですから、移動平均線の角度も緩やかで、移動平均線をまたぎながら価格は上下しているんですね。

「トレンド」ではなく「レンジ」の特徴を色濃く残しているわけです。

ですから、このB図は下降トレンドではなく、下降チャネルであると言えるんですね。

ちなみに、このB図も1時間足で俯瞰して見てみましょうか。

見ての通り、上昇トレンド中の調整局面にあたるわけで、いわゆる「上昇フラッグ」と呼ばれるパターンとなっています。明らかにこの局面は下降トレンドではなく、レンジであることが分かります。

ということで、同じ下降チャネルであっても、レンジの場合と下降トレンドの場合があることが分かってもらえたと思います。

(混乱を避けるために、これ以降「下降チャネル」とだけ言ったら「レンジ」のことだとして、お話を進めていくことにします)

で、もう1度違いを端的にまとめると・・・

ジグザグと波を描きながら、高値低値を切り下げ続けていても

  • 下降チャネルは、上昇する波と下降する波の力は均衡
  • 下降トレンドは、下降する波が主流(強い)

と言えることになります。

では、違いが分かったところで、次にトレンドでのエントリーポイントの説明に移っていくとしましょう。

トレンドの場合

繰り返し言いますが、下降トレンドは下降チャネルと違って

  • 下降する波が強く
  • 上昇する波が弱い

と言えます。

下の図を見れば分かる通り、下降する波の力は上昇する波の力と比較すると、角度が鋭く長いですよね。

ということは、

下降トレンドの場合は、買いで攻めるのは難しい

ということが、自ずと分かってきますよね。

価格が上昇し出したと思って買ったとしても、勢いよく下落してきた波に飲み込まれて溺れてしまう可能性が高くなります。

反対に下降トレンドの場合は、下手なポイントで売ってしまって逆行しても、下降する波の勢力が強いので、結果的に救われる可能性が高くなります。

ですから、同じ様にジグザグと上下に波を描いていて価格が推移していても、平行レンジやチャネルの時とは違い、トレンドの場合は

  • 上昇トレンドなら買い一辺倒
  • 下降トレンドなら売り一辺倒

というエントリーの仕方の方が、リスクも低く抑えられ、最も効率良いわけです。

ですから、下降トレンド時のエントリーポイントで効率的なのは、平行レンジやチャネルの「買いポイントなしバージョン」になるわけで、図にすると

こんな感じになるわけです。

(下降トレンドの時に絶対に買ってはいけないということではありませんが、もしそれをするなら、それなりの技術を身に着けた上級者になってからチャンレンジしてください)

この辺の詳しいことは、

を読んでおいてください。読んでない人は必ず、読んだ人は復習を兼ねて、ね。

さて、ここまでの解説で、ジグザグと描く波のどこでエントリーすべきかが、分かったかと思います。

  • レンジの場合は、山越えで売って谷越えで買う
  • 上昇トレンドの場合は、谷越えで買うの一辺倒
  • 下降トレンドの場合は、山越えで売るの一辺倒

となるわけです。

でもねぇ・・・

言うは易し行なうは難しです。

頭の中で分かっていても、実際のトレードとなるとその通りに振る舞うのって、結構難しいんですよね。

ということで、ここまで解説した基本概念を踏まえ、この後は、もう少し実践よりのお話をしていこうかと。

ジグザグ感覚を身に着けよう

現実との乖離

頭の中の強烈な印象

さて、ここまででレンジとトレンドのエントリーポイントを単純化して説明しました。こういった風に整理してみると、エントリーポイントって意外とシンプルなんだなってことが、分かると思います。

 

が、しかし!

 

そもそも、値動きがジグザグと進むというのは、言われなくとも本当は皆、分かっているはずです。

こんな感じの横向いたレンジだったり、

上下に大きく波を描きながら上昇していく様子だったり、

そんな値動きが相場のほとんどだというのは、恐らくほとんどの人が分かっているはずです。

ところが、僕たちの頭の中で印象に残りやすい値動きというのは、先日のポンドの様に、

押し目も付けずに価格が「バイ~ン!」と一気に駆け上がる様や、反対に「ガラッ!」と一直線に暴落する様です。こういった状況が脳裏に焼き付けられてしまっています。

だって、上手く獲れたら歓喜し、獲れなかったら落胆するどころか机をたたいて悔しがったりしますから。その印象は強烈です。

逆に、価格がジグザグと進まれると、せっかく買って得た含み益が一時的に目減りすることが繰り返されます。それって、心地良いことではありません。出来ればそんな嫌な思いをすることなく、順調に含み益が増え続けることを望んでしまうのは、人の心の常です。

ですから、高値掴みや往復ビンタを繰り返してしまうトレーダーというのは、常に価格が一直線に進むイメージに引きずられてトレードを繰り返してしまっています。

実際にトレードすると・・・

その様なイメージが脳裏に焼き付いたまま、実際に相場にトレードしてしまえば、上手くいくはずがありません。

「ジグザグと価格は進むんだ。だから山越えで売って谷越えで買って」

と頭で分かっていても、リアルでチャートに向かっていると、こんな感じになっちゃうんじゃないでしょうか。

目先の値動きに、釣られるんですよ。

上図の様に価格が勢いよく伸びてくると

「あ!ブレイクした!」

みたいに感じてしまうんですね。「ジグザグ」という値動きの意識はどこか遠くへ行ってしまいます。

「ここを逃したら、もったいない!」

という勿体ないお化けに取りつかれ、飛び乗って買ってしまうんですね。

で、結局は次のような展開になるわけで。

買ったと思ったらそこが高値で反転下落。ブレイクしたと感じたラインも下回ったのでヤバいと思い慌てて損切りするわけです。

で、次の展開はというと・・・

損切りしたと思ったら、勢いよく反転上昇。しかも今度は先ほどの買いポイントを上抜ける始末。

「やっぱ、買いで正解だったんじゃん!チックショー!!」

と早計な判断を下してしまった自分を悔しがりながら、慌てて買い直すわけです。

しかし・・・

見事高値掴みを繰り返し、往復ビンタを喰らって、断末魔の叫びをあげてしまうという結末が待っています。

そして後日、冷静になってチャートを見直すと・・・

「ジグザグと上下する波の山を越えたところで売って谷を越えたところで買うってBOZのブログで勉強したはずなのに、

全く逆じゃん!

山の頂上付近で買って、谷底付近で損切り売りしてるって・・・

一体、自分は何をやってるんだ!!」

ってなるんですよねぇ。

トレンドが始まっていない時って、勝てないトレーダーはいつもこんな感じです。

恐らく、上昇する余地も下降する余地もたくさんある様に潜在的に思っているので、値動きを常に後追いしてしまうんですよ。

ところが、例えば上昇トレンドが既に始まってしまい、ある程度値が進んでしまった場面に直面すると・・・

今度は、さらに上昇を続けた場合の上値余地より、下落した場合の下値余地の大きさの方に魅力が生まれ、「ガラッ!」と一気に値が下落するのを、心の裏側で期待し出します。

そして、上昇トレンド中に値ごろ感から、逆張りを繰り返し出します。

これも、先ほど説明したトレンド中のエントリーの方法とは、全く逆ですよね。

上昇トレンド中では、売りを控え、谷越で買う一辺倒のはずでした。

しかし、勝てないトレーダーは、レンジの時と同様、トレンド中でも真逆のことをやり続けてしまいます。

で、上図の様に売り続たトレーダーは、負けに負けを重ね続け、もうこれ以上手が出せなくなったところが高値となって、

当初期待していた「ガラッ!」が、現実となります。

この様に、実際のトレードと頭の中でのトレードには乖離があるわけです。

かといって、目先の値動きに釣られているメンタルを責めたところで、何一つ改善されません。(経験者は語る)

じゃあ、どうやってそういった事態を改善していけば良いのでしょうか?改善策はあるんでしょうか?

ヒョウになろう

本来、ジグザグと描く波の山で売り谷で買うべきところを、その真逆に、山で買い谷で売ってしまうのは、初心者やトレードで勝てない人の典型的な行動パターンです。

そんなつもりはないのに、結果としてなぜそうなってしまうのか?

答えは簡単です。

ダメなパターンを繰り返してしまう人は、常に目先の値動きに振り回され続けているからです。

イメージとしては、動くおもちゃを闇雲に追っかけ回し続ける子猫みたいなものです。

しかし、きちんと波の山で売り谷で買うトレーダーというのは、その波の山や谷が来るのを待ち構え、タイミングを計って上手くその波に乗ろうとします。

イメージとしては、獲物が近づいてくるのを息をひそめて木の上でジッと待ち続け、射程距離にその獲物が入ったら、タイミングを見計らって獲物に飛びつくヒョウの様な感じでしょうか。

下の動画は、ヒョウが狩りをするシーンです。残酷だと思う人は見ない方が良いです。ただ、ゼロ・サムなFXトレードの世界は、これと同様に残酷な世界ですけどね。

いくらヒョウであっても、逃げ回る獲物を闇雲に追いかけまわしているだけなら、その狩りはほとんど成功しません。

それと同じなんですね。

トレードをするというのは、値動きを追いかけまわすのではなく、適切なポイントが来るのを待ち構え、タイミングをとって波に乗るということなんです。

トレードをする際は、自分がヒョウになることを意識してみて下さい。

ボリンジャーバンドで改善しよう

矯正するために

しかし、値動きを後追いすることが習慣化してしまった人にとっては、「山で売って谷で買う」というのは、至難の業です。

どうしても、目先の値動きを追っかけてしまいがち。もう癖みたいなもんでしょうかね。

そこで、こういった悪い行動パターンを矯正していく方法を見つける必要があります。

で、そんなアナタに僕がお勧めしたいのは「ボリンジャーバンド」です。

ジグザグと波を描くということを意識し、「山で売って谷で買う」ことを習慣化させるために、このボリンジャーバンドというテクニカルは、非常に有効だと僕は思っています。

なにせ、僕自身が実際に値動きの後追いを矯正するために使ったツールですから。

ということで、ジグザグを意識し、山で売って谷で買うことを習慣化させるためのボリンジャーバンドの用い方を、これからお話しようと思います。

なお、ボリンジャーバンドに関する詳しい使い方は、僕の「ボリンジャーバンドの使い方」シリーズに譲ります。

逆張り指標としてのボリンジャーバンド

インジケーターを紹介する程度の入門書において、ボリンジャーバンドは常に「逆張り指標」として紹介されます。こんな感じで。

赤い丸が+2σにタッチした場面で、売りポイントになります。青い丸が-2σにタッチした場面で、買いポイントになります。

まぁ紹介程度なので、素人相手にはこの程度の適当さで「何となく分かった気」にさせることはできます。

が、良く見れば分かる通り、実際はこれだけじゃ売買はしにくいのが現状です。(詳しくは「ボリンジャーバンドの使い方」シリーズをご覧ください)

でも、この売買ポイント・・・

  • 売りポイント=買ってはいけないポイント
  • 買いポイント=売ってはいけないポイント

と逆転の発想をして、もう一度見直してみて下さい。

そう捉えると、「失敗をしないため」の実践的なポイントとして様変わりして見えませんか?

え?見えない?

「買ってはいけない、売ってはいけないポイントとして見るも見ないも、そんな高いところでまさか買うわけないし、そんな安いところで売るわけないじゃん。バカにしてんの?」

とか思ってしまいましたか?

じゃあ、先ほどの往復ビンタを喰らった時のチャートをもう1度見てみましょうか。

このチャート図に、ボリンジャーバンドを表示してみます。

良く見てください。

買ってしまった2つのポイントは、ボリンジャーバンドでは買いポイントですか?

違いますよね。買ってはいけないポイントです。

じゃあ、損切りして売ったポイントは、ボリンジャーバンドでは売りポイントですか?

違いますよね。売ってはいけないポイントです。

つまり、実は勝てない人の特徴というのは、

後付けで見れば「買うわけねーじゃん」と思うポイントで、常に買ってしまいがちなんです。そして、後付けで見たら「売るはずがない」と思うポイントで、常に売ってしまいがちなんですよ。

しかし、これを見れば分かる通り、ボリンジャーバンドを用いると、買ってはいけないポイントと、売ってはいけないポイントを明確に提示してくれています。

目先の値動きに釣られて、価格の山で買ってしまうことを防ぎ、価格の谷で売ってしまうことを防いでくれるわけですね。

僕はボリンジャーバンドの真骨頂は実は、こういった見方にあると思うんですよ。

「ボリンジャーバンドは、売買してはいけないポイントを教えてくれる指標」

まずは、この考え方を頭に叩き込んでください。

順張り指標から派生した逆張り指標

ボリンジャーバンドとは、順張り指標から派生した逆張り指標です。つまり、順張り指標であると同時に、逆張り指標であるということ。

なので、この2つの特徴を意識してボリンジャーバンドを用いると、上手くジグザグを意識してトレードが出来るようになります。

実際の活用の仕方は簡単。

  • レンジの時は逆張り指標として用いる
  • トレンドの時は順張り指標として用いる

ということです。

具体的に見ていきましょうか。

レンジの場合

まず、レンジの場合のエントリーポイントを見直してみましょうか。

この平行レンジにボリンジャーバンドを表示したとすると、以下の落書きの様になります。

下手くそな図ですみません。

しかし、図でお分かりの様に、レンジの場合は、ボリンジャーバンドを逆張り指標として用います。

もちろん、これは単純化することで理解しやすいようにした図なので、実際のチャートではもっと複雑な感じになります。

先ほどのボリンジャーバンドを表示した平行レンジのチャート図で見てみましょう。

これ、ボリンジャーバンドを紹介するだけのいい加減な解説なので、もうちょっと実践的に解説していきます。

チャート左端からの矢印で記した様に、価格は上昇トレンドを描いていましたが、高値を越えられずに、まずはAで安値を更新します。

ここで、一旦トレンドは終了したと考えながら、次の値動きを見ます。Aが押し目となって、直ぐにトレンドが再開するかもしれませんし、このままレンジを形成するかもしれません。

下手なトレーダーは、Aの辺りで売りを仕掛けてしまいがちです。「これから暴落するかも!」なんて下心バリバリで。

しかし、Aは-2σの付近です。絶対に売ってはいけない場面です。

むしろ、Aで買って見るのは全然OKです。高値を越えていけば、上昇トレンドの押し目を拾えることになりますし、高値を越えられなくても、そこでエグジットすれば十分な利益を手にできます。

結果として、Bで直近の高値を越えられませんでした。また、価格は+2σに阻まれ、ボリンジャーバンドは横を向き出した様に見えます。

レンジの可能性大ですね。ここで利確します。また、+2σ付近は買いは控える場面であり、レンジ判断なので売りを検討する場面です。ということで、売ってみましょうか。

ちなみに、直近高値と同値で止められてますので、この時点で目安として赤い水平線を引いておきましょう。(低値の水平線は、この段階ではまだ引けません)

次に、Cで-2σにタッチしたので利確します。おまけに反転上昇し、かつ75SMA(青色)がボリンジャーバンド内に侵入して横を向き出しました。レンジの可能性は確信へと変わります。自信をもってここは買いですね。

その後、Dの直前で+2σに一旦値は抑えられます。水平線に届かず反転下落する可能性もあるので、ここで利確してOKです。

ただ、高値水平線には届いていないので様子見。Dで+2σを一旦越えて水平線に到達しますが、越えられません。+2σ内に引き戻されたので、ここで売りエントリーです。

次にEで-2σを一旦越えます。ここで利確。その後-2σは越えきれずに反転したので、ここで再び買いですね。なお、この段階でようやく目安となる低値が2本引けそうなので、ここで引いておきましょう(破線と実線)。

ところが、Eで買ったものの、上まで到達せずに再度下落し出します。低値ラインも一時越えてきました。

しかし、-2σは越えていませんし、ここは売り(損切り)をしてはいけないポイントでしたよね。バンドがエクスパンションし、明確にラインを越えていかない限りは堪えます。怖いけど。

で、その後はテクニカル通りに反転上昇します。ホッと一息ですね。Gでほぼ+2σにタッチしたのでここで利確します。

リアルな僕なら、先ほど損切りになりそうでヒヤヒヤしてメンタル疲れているので、恐らくここでドテン売りはできないでしょう。

その後、一旦ミドルバンドと75SMAに阻まれて再度上昇しますが、Hのところで+2σで上昇を阻まれます。セオリーとしては売り場面ですね。(ただ、詳細は省きますが、僕ならここもスルーするかも)

次に、Iでは-2σにタッチはしませんでしたが、水平線に阻まれています。無理にタッチする義務は値動きにはないので、すんなり利確、ドテン買いです。

が、またしても反転下落。損切りの準備をしてヒヤヒヤものですが、Jで-2σに届かず反転上昇します。ホッと一息。

Kの辺りで利確します。最初のタッチで利確しても良いですし、水平線まで我慢できればそこで利確してもOKかと。

ただ、ボリンジャーバンドはエクスパンションを始めています。ブレイクする可能性も考えて、エグジットせずに持って様子を見るのも手です。

で、その直後に水平線を価格はブレイクします。しかし、+2σは「買ってはいけないポイント」なので、新規買いは控えましょう。

ただ、実はこのブレイクしたポイント、上達したら買っても良い場面です。ただ、様々な条件を見極められないと失敗するので、勉強し始めの方は、セオリー通りに「買ってはいけない」として見送ることが大切です。

結果として、価格は戻ってきました。ここでロールリバーサルし、水平線に跳ね返されえて再度上昇するならば買いですが、水平線の下に潜ってしまいました。Lで売りですね。

で、以下は省略します。水平線とボリンジャーバンドに従って売買を繰り返すだけですね。

ただ、Pで売った後は、ライン越えた後に損切りですね。しかし、上級者なら、Pの後の矢印の値動きを見て「ブレイクするかも」と判断して、建値付近で薄利決済するかもしれません。しかし、それは別のテーマになるので割愛します。


このチャートは4時間足チャートです。実際のトレードでは、このチャートでチャートポイント付近に来たら、下位足に切り替えて反転するかどうかを観察し、タイミングを計ってエントリーしますが、ここでは割愛します。このブログの他の記事を参考にしてください。

さらに、このチャートは比較的大きな時間軸のため、+2σ付近もしくはそれを越えていても、実は下の時間軸でトレードできるケースがあります。これに関しては、この記事内でこの後に解説するつもり。


さて、以上の様な感じで、レンジには対応します。もちろん、下降チャネルでも同じです。

ここに先ほど同様、ボリンジャーバンドを表示した場合の落書きをすると、こんな感じになります。

もちろん、こんなに実際のチャートは単純じゃないので、実際のチャート図を下に載せておきます。

先ほどの下降チャネル1時間足にボリンジャーバンドを表示してみました。

やはり、単純化した図よりも、実際のチャートは複雑なので、細かく見ていくと、ボリンジャーだけをあてにして綺麗に全てを獲ることは難しいことが分かると思います。ラインはきちんと引かないと。

で、このチャートのトレードも解説したいのですが、先ほどの解説が長すぎたので省略します。皆さん、このチャート図を使って色々と考えてみて下さい。

ちなみに、上の図を15分足で見ると・・・

上位足でチャートポイント付近に来たのを確認したら、この様に下位足を表示してタイミングを計ります。下位時間軸でもボリンジャーバンド±2σとラインを越えられずに反転したのを確認して売買をするんでしたね。具体的なやり方は、他の記事を参考にしてください。

トレンドの場合

それでは次に、トレンドの場合を見ていきましょう。

まずは、トレンドの場合のエントリーポイントを再確認しておきます。

下降トレンドなら売り一辺倒、上昇トレンドなら買い一辺倒でした。

で、上昇トレンドの場合は、移動平均線は上を向き、基本的にはその移動平均線の上で価格が推移しているんでしたね。

では、その様な性質のトレンドにボリンジャーバンドを表示すると、どうなるんでしょうか?今まで同様、お絵かきをしてみました。すると、こんな感じです。

しかし、実際にはこの様な出来過ぎた上昇トレンドは、あまりありません。

なので、実際のチャートを使って、ボリンジャーを用いたエントリーポイントを説明すると、以下の様な感じになります。

トレンドには強弱があるので、どの移動平均線に沿って推移するかが、その都度違います。

先ほどのお絵かき図の様に、ボリンジャーのミドルバンド(20SMA)の様な短期移動平均線に常に止められるわけではありません。

75SMAの様な中期移動平均線に沿ってトレンドが形成されている場合は、そこまで押し目を形成することは珍しくありません。

そこで、ミドルバンドの付近と-2σに注目してください。上図では見やすい様にミドルバンドと-2σを緑色に表示してます。

で、この2本の線で囲まれた部分をゾーンとして捉えます。

そして上昇トレンド中は、このソーンが押し目買いを狙う領域にします。ゾーン付近またはゾーン内で押し目を付けて反転するのを待ち構えるんですね。

もちろん、上昇トレンド中の+2σ(上図では、赤色の線)付近は、値動きの上昇が抑えられやすい場面なので、絶対に買ってはいけないポイントとなります。

要するに、上昇トレンド中というのは、

  • ミドルバンドから-2σは谷を形成しやすいゾーンなので、買いを狙う場面
  • +2σは山を形成しやすい場面なので、買ってはいけない局面

ということになり、これを意識すると上昇トレンド中は、ジグザグと進む値動きが意識される様になります。波の山で値動きを後追いして買うことは避けられ、押し目を付ける谷を待ち構えて買い場を探す感覚が身に付くわけです。

なお、上昇力がより強い場合は、バンドウォークと呼ばれるように+2σ付近で上昇推移を続けたり、+2σを越えたまま上昇を続けることもあります。

この様な場合は、先のルールに従うと、なかなか買いポイントのゾーンにまで価格は落ちてはくれませんので、トレードできないことになります。

でも、それで良いんですよ。諦めましょう。

全ての値動きを捉えたいという欲望を満たすためにトレードするのはお門違いです。自分の技術で勝てる確率の高い場面を探すのが、トレードです。

下手に手を出してしまえば、高値掴みして負け続けていたころの自分に逆戻りですよ。相場では勝つこと以前に負けないことが大切なんです。

 

ただし!

 

実際は+2σ付近で上昇を続けていても、買うことが出来る場合があります。

もう1度、先の図を見てみましょうか。

青色の四角で囲われたAの部分を見てください。この局面は、+2σを越えているため、絶対に買ってはいけない場面でしたよね。

しかし、このチャート図は4時間足という比較的大きな時間軸のチャートです。このAの局面を下位時間軸で覗いてみましょうか。例えば、15分足でみるとこんな感じになります。

先ほどのAの部分が、上図15分足ではオレンジ色の四角で囲った部分になります。

これを見れば分かる通り、上昇トレンド中の買い狙いゾーンで押し目を何度か付けていますね(赤い丸の部分)。短い時間軸では、十分にトレードできるレベルです。

5分足で見ると、もっと押し目を拾いやすいかもしれません。

この様に、上位時間軸で相場の状況を把握しつつ下位時間軸を見れば、4時間足チャートでは手を出せなかった値動きも、十分な押し目を狙ってトレードすることが出来る様になります。

自分のトレードスタイルに合わせ、チャートに長めに張り付くことができるのであれば、こういった短い時間軸でのトレードも、積極的に取り入れていく必要があります。

さて、トレンド中における谷越えの拾い方は以上です。いわずもがな、下降トレンドの場合は、上昇トレンドと逆の考え方になります。

一応、下降トレンドのチャート例も挙げておきますか。

戻り売りを狙うゾーン(緑色の線で囲った部分)が上昇トレンドとは逆になりますね。

そうそう、今回はエントリーポイントの解説なので、エグジットの解説はおざなりにしてますが・・・

例えば下降トレンドの場合、保守的ならば赤色の線、つまり売ってはいけない-2σにタッチしたと同時に利確(買い)してもOKですし、ライン越えしたなら、終値が-2σのバンド内に戻るまで粘って利確しても良いです。もっと粘るトレードスタイルもありでしょう。

もちろん、トレンドが終了したと判断するまで、ずっと持ち続け、押し目や戻りで買い増し売り増しをし続けるというトレードのやり方だって、ありです。

これは各自の資金やレバレッジ、性格や取引時間の長短などトレードスタイルによって異なります。各自が最も適していると思うポイントでエグジットを検討してください。

ジグザグを捉えるために必要なこと

さて、エントリーポイントを捉える考え方と、ジグザグ感覚へと矯正するためのやり方の解説は、以上になります。

ただ、僕は事あるごとに言っていますが、

やり方や考え方を知ったからといって、出来るようになるわけではありません。

バック転のやり方を言葉で教えてもらったら、いきなりバック転が出来るようになるなんて、誰も思わないでしょ?それと同じです。

今回のボリンジャーバンドを使ったジグザグ感覚を身に着けるための解説も、同じですよ。読んだだけじゃ、上手くできないはずです。

実際にやってみると、想像しているよりも上手くいかず、分からないことだらけになると思います。

しかし、繰り返し繰り返し、検証と練習を行なうことでしか、その実践感覚を身に着けていくことは出来ません。

ただ、今は便利な時代です。

一昔前なら検証ソフトは有料のものしかありませんでしたが、今は無料でも十分にトレードの練習が出来る検証ソフトやアプリがあります。

iPhonを使っている人ならば、「ChartBook」というアプリが有名ですね。僕のスマホはAndroidなので使ったことないですが。

PCやAndroidスマホなら、「ThinkTrader」(旧「Trade Interceptor」)があります。

これら検証ソフトは、過去データを使うので、相場の経過時間のスピードを上げて取引を繰り返すことが出来ます。なので、リアル市場でデモ取引するのに比べ、短時間で膨大な取引を練習することが出来ます。

この様な検証ソフトを活用すれば、この記事で解説したやり方を繰り返し繰り返し練習し、自分の身に着けていくことの大きな手助けになります。

「ジグザグと進む値動きを捉える感覚を身に着ける」

年末年始のお休みを活用して、そんな目標を立ててチャレンジしてみるのも良いかもしれませんね。

それじゃあ、また。