200SMAの使い方(その1)

前略、200SMAの上から

今日はちょっと200SMA(200期間単純移動平均線)のお話をします。

本当は、移動平均線だけじゃなく色んなインジケーターの総括的な話を先にした方が、テクニカルを勘違いして用いることを避ける近道とは思うんですが、何分お話するには膨大な時間が。

ということで、すっ飛ばして移動平均線の、しかも200SMAのお話をします。

ただ前置きとして知っておいてほしいのは、

インジケーター(オシレーターを含む)とは実際の値動きの過去データを加工したものに過ぎず、決してそれだけでエントリーのタイミングなどのシグナルを発する道具ではないということです。

これ、勘違いしてる人、結構多いと思うので。

ただまぁ、僕自身「20MAで反発したら・・・」という言い方をしてしまうので混乱しやすいんでしょうけど、

別に移動平均線は価格を反発させる力を持っているわけでもないし、抜けたら抜けた方向へ価格を加速させる力を持っているわけでもありません。

結果的にそういった風に見える事象を「反発」とか「支える」とかいう言葉で端的に表しているだけなんですね。

ただ、「過去の値動きを加工している」ということには意味があって、それは

値動きをデフォルメすることで、値動きの特徴を炙り出そうとする行為

だと僕は捉えています。各インジケーターが持つ考え方によって、値動きの特徴が端的に視覚化されるわけです。

それと同時に、もちろん見えるはずのものも見えなくなってしまうという弱点もあるわけですが。

とまぁ、そんな感じの前置きはこの位にしておいて、それでは本題へと進みたいと思います。

200SMAに対する考え方

200SMAについて

移動平均線の中で、最も多くの市場参加者に見られていると言われているのが、200期間単純移動平均線です。

ただ、「最も多くの市場参加者」といった場合、僕は単にそれが頭数の問題とは捉えていません。

なぜなら、僕ら雑魚クラスが何匹集まったところで、鯱や鯨に簡単に蹴散らされてしまうからです。

なので、多くの市場参加者というのは、多くの資金量を動かす市場参加者もしくは多くの資金量そのものと捉えた方が的確です。

で、そんな市場参加者たちが注目していると言われているのが、200SMA。

ですが、それって本当なんでしょうか?本当に市場参加者たちが注目しているのでしょうか?

きっと、それは誰にも分かりません。だって、統計とった人いないでしょうし、調べた人だっていないんじゃないかと。

つまり、俗説なんじゃないですかねぇ。

でも、僕らにとってはそれが俗説であるかどうかというよりも、その俗説は当たっているのか?当たっていないのか?が問題です。

では、それを考える前にもう一度、移動平均線について考えてみましょう。

再び移動平均線について

冒頭でお話しましたが、移動平均線そのものに価格を支持したり反発させたりする不思議な能力はありません。

ただ、売買が行われた結果として、視覚的にそう見えるだけです。またそう言葉で表現した方が説明しやすいからです。

では、移動平均線に注目している市場参加者が多数いるとするならば、もちろんそこで売買が行われるはずです。

つまり、価格が動くと。

しかし、その価格が動くというのが曲者です。どの様に動くんでしょうか?

上図はポンド円4時間足に200SMAを引いたものですが、確かに200SMAで反発しています。

しかし、ちょっと待ってください。

市場参加者がこの200SMAに注目して売買を行なっているといっても、このポイントで反発するということは、買い方ばかりが優勢ということになります。売り方は鳴りを潜めている。

つまり、この200SMAで価格が反発上昇している場合は、市場の大半の意見が「買い」で一致しているということです。「上がりますよ~」と市場参加者の多くが思っているということですね。

つまり、上昇トレンド。

要するに価格が移動平均線に到達して反発上昇するというのは、市場が上昇に同意している証、上昇トレンドだからなんですね。

ですから、この上昇トレンドが怪しくなっていくと、移動平均線で価格は反発しなくなってしまいます。

上図の続きを見てみましょうか。

きちんと反発していた価格は、その上昇トレンドが怪しくなってくると、全く反発しなくなりました。

つか、ゴチャゴチャし過ぎじゃね?
全く機能してなくね?

と思っちゃいますよねぇ。

でもね、

それが違うんですよ。むしろ、機能し過ぎなくらいです。

「え?マジっすか?」

マジっすよ。これこそが200SMAの真骨頂なんです。

200SMAの真骨頂

多くの市場参加者が注目していれば、そこで売買が盛んに行われます。

で、先に説明した通り、トレンドが出ている場合は、市場参加者の多数の見解が一定方向に傾いた状態ですから、移動平均線の付近ではトレンド方向に反発します。

しかし、トレンドが出ていない、もしくはそのトレンドが怪しくなってきたとしたら?

もちろん、市場参加者の意見は売り方と買い方に分かれ、激しい綱引きが行われることになります。売り買いが交錯するわけです。

じゃあ、売り買いが交錯する場面って、実際どんな値動きをすると思いますか?

そう、売り買いが交錯する時の値動きというのは

モミモミ♪

上下に揉み合う形で揺れ動きます。

ですから、200SMAの付近では多くの市場参加者が注目しているが故に、その周辺で売買が交錯し上下に激しく揺れ動くんですよ。

つまり、レンジを形成する。

そして、それが200SMAの真骨頂です。

念を押して言いますよ。

200SMAの真骨頂とは、誰もがトレンドを確信している際はトレンド方向で反発し、そうではない多くの場合では売り買いが激しく交錯してレンジを形成する

これ、大切なポイントです。

また、付け加えるならば、

200SMAでキレイに反発している様に見えても、実際のその内側では激しい売買の攻防が繰り返されている

とも言えるでしょう。

先ほどのポンド円4時間足のチャート。

ぱっと見、一番左側の赤丸ポイントは2回ほど200SMAを試していますが、それ以外の2箇所は比較的キレイに反発している様に見えます。

でも、これ4時間足なわけです。下の時間軸で見ると、実際は何度も何度も下値を試していることが分かります。下図は上図の真ん中の赤丸ポイントを5分足で見たところです。

緑の四角で囲った部分が、4時間足200SMAで反発したところですが、5分足で見る限り、何度も下値を試しています。

上図は既に出来上がったチャートなので、これだけ見たら上手く反転上昇を捉えられる様な気もしてきますが、実際は高値安値共に不安定ですし、緑の四角で囲った部分の外側でも、繰り返し下値を試しにいっています(青丸の部分)。

こういった場合、リアルでチャートを眺めていると振り回されちゃいやすいんですよね。下がると思って売ると上がり、上がると思って買うと下がりますからねぇ。経験のある方は沢山いると思います。

ですから、大きな時間軸では一見キレイに反発しているかに見えても、実際のその内側では、売買の攻防が激しく繰り返されているんですね。

ということは、端的に言ってしまえば、トレンドが出ていようがなかろうが、

200SMA付近では、売買の攻防が激化して価格は荒ぶる

と予め想定しておくことが出来ると思います。

200SMAでの値動きを考える

200SMA付近では売買が激しく交錯する。それは分かりました。

では、もう少し具体的に200SMA付近での値動きを確認していきましょうか。

機能する時間軸は?

その前に、時間軸。一口に200期間と言っても、それはどの時間軸に対応しているのでしょうか?日足?1時間足?分足はどう?

で、端的に言ってしまえば、200SMAはどの時間軸でも機能します。

ただし、僕は日中足に関して言えば4時間、1時間、15分、5分足以外のチャートは基本的に見ないので、例えば3分足チャートで機能するかどうかは知りません。

なので、MT4で用意されている最もメジャーと思われる時間軸では機能すると思っておいてください。

ただし、それ以外にも、ちょっと留意しておく点が。

時間軸の大きさについて

単純に時間軸が大きくなると動く資金も大きくなります。

なので、時間軸が大きくなればなる程、200SMA付近でモミモミした際のその値動きの大きさは膨大です。

小さく揉み合っている様に見えても、週足であればその値幅は数百pipsに及びます。

上の図はドル円の週足チャートですが、青丸で囲った部分を見てください。200SMAをまたいで小さく揉み合っているだけですが、その値幅は約200pipsです。

まぁ、こういったことは言わずもがな、なんでしょうけど、一応念のために。

15分足について

他の足同様、15分足においても200SMAは活躍するんですが、少し勝手が違うところがあります。

それは、15分足300SMA。

日足分析5SMAシリーズをご覧の方はピンとくると思いますが、15分足300SMAとは日足5SMAの近似値になります。

なので、200SMAと300SMAが接近している状況では、両者が意識されたような値動きになったりします。

以下にその例をいくつか挙げておきますね。赤い線が200SMAで緑の線が300SMAです。

まぁ、個人的にはあまり重要視はしてませんが、留意しておいた方が良いかなという点ではあります。時間のある方は、こういった状況下を研究するのも面白いかもしれません。

5分足について

AIのことは知りませんが、ビックな連中が見るのはせいぜい1時間足までで、分足は見ない、と言われてます。

が、5分足の200SMAも機能します。

なぜか?

実は、5分足の200SMAは1時間足20SMAの近似値だからです。両方とも非常に似た様な動きをするため、ポイントとなる箇所もほぼ一致しています。

つまり、1時間足20SMAを見ている、または見ていなくともその流れでトレードしている人は、自動的に5分足200SMAを見ていること近い状態になるわけです。

これが5分足200SMAが機能する原因じゃないかと、僕は考えています。

ただ、この5分足200SMAは1時間足20SMAの代用効果であるためか、他の時間足とは少し違った動きをすることがあります。

例えば、以下の様なケースです。

これは、200SMAに到達するまで静かだったのが、到達した辺りから急に大きく上に動き出すパターンです。

このケースは、ニューヨーク時間のクローズ前から東京時間にかけて値動きを小さくして揉み合いながら200SMAに近づき、欧州時間が始まった辺りで一気に価格が走り出すというものです。

5分足では大きな時間軸と比べて、乱高下しないパターンも割と多いので、留意しておく必要があります。

1分足について

正直なところ、僕は1分足を使ってトレードすることがほとんどありません。たまに値動きのスピードが激しくて5分足の判断じゃ間に合わないなと思う時に1分足を見るくらいです。

なので、1分足200SMAがきちんと機能するのかは、自信をもって言えません。チャートをざっと見たところ、「どうやら意識されているかの様な動きをしている」くらいのレベルです。

ということで、1分足200SMAに関しては、その時間軸を用いる方の検証結果に委ねることとします。

実際の値動きを見てみよう

では、実際に200SMA辺りで攻防が繰り返されているという値動きを、ちょっと観てみましょうか。

以下は全て、ポンド円の1時間足です。

200SMAをまたぐパターン

見ての通り、200SMAをまたぐ形で激しく乱高下しています。大体250pips程度の値幅になります。

ポンド円が1時間足200SMAをまたいで攻防が繰り返される場合、200~300pips程度の値幅を付けながらの攻防が多い傾向にあります。

もちろん、通貨ペアや時間軸で変わってきますので、あしからず。

200SMAを小さくまたぐパターン

赤く囲った部分を見てください。200SMAを跨ぎながら小さく揉み合ってます。

右側の赤い枠でのレンジは、メインとなって揉み合う値幅が約50pips、最大値幅は約100pipsです。

これ、ポンド円1時間足にしては比較的小さな揉み合いの方です。しかし、デイトレで言えばボラティリティは十分にあるレベルです。

また、緑で囲った辺りまで俯瞰して見ると、このレベルでも200SMAで揉み合っていると判断できます。

200SMAを大きくまたぐパターン

先ほどの図では、複数の小さな揉み合いを複合的・俯瞰的に見ると大きな揉み合いにも捉えられることが分かりましたが、下図はその典型的なパターンです。

緑色の丸で囲った部分が小さく揉み合った場面ですが、それが何度も繰り返されています。

そして赤い四角で囲った部分の様に俯瞰して見ると、200SMAを大きくまたぎながら長期間乱高下を繰り返していると捉えることができると思います。

近視眼的に200SMAからの揉み合い(緑色の丸部分)に気を取られて「抜けた!」と安心していると、次の波に巻き込まれ、さらにはそれらを包括する大きな波(赤い四角部分)に飲み込まれてしまうので、注意が必要です。

200SMAを高値低値にするパターン

ライントレードの攻防でもそうですが、常にチャートポイントをまたぐ形で攻防が行われるわけではありません。

チャートポイントの直下や真上で攻防が行われることも多々あります。下の図を見てみましょう。

緑丸Aは、200SMAまで価格が下りてきたところで攻防が繰り返されています。200SMAに近づくとそこで阻止され買い上がりますが、そこから離れると売り込まれていきます。

Bでは、一旦すんなりと上に抜けたと思いきや、高値から大きく売り込まれ200SMAに接近。しかし、200SMAを下値にして再び買い上がります。そしてまた高いところで売り込まれ、結果的には下に抜けていきました。

Cは比較的小さな攻防に見えますが、分足レベルでは比較的上下に大きく触れながら上昇している場面です。200SMAに下から近づくと一旦押し込まれますが、再度上昇。値動きを上下に細かく(分足レベルでは大きく)繰り返しながら200SMAを抜け、更にもう一度200SMAに向けて押してくるという攻防が繰り返されています。

下図は、200SMAを下値にして攻防が繰り返されているのが分かりやすい場面です。

こういった典型的な200SMA付近での攻防戦を見ていくと、

少なくとも200SMAに関しては、「抜けた」「反発した」で単純にチャートを見てはいけない

ということが分かると思います。

200SMA付近での値動きのまとめ

以上のことから、200SMAに価格が接近してきた際に考慮しなければいけないことをまとめると

  • 価格は200SMAの上下または200SMAをまたぐ形で売買の攻防が激しく行われる
  • 200SMA付近での売買の攻防は値幅が大きいことが多いが、小さな値幅で揉み合うこともある
  • 200SMA付近での攻防が終わったと思いきや、再び攻防が始まることも多い
  • 200SMAを価格が「抜けたから」とか「反発したから」などと単純に捉えてはいけない

という感じになりますかね。

では、以上を踏まえて実際のトレードではこれらの事象をどう活用すべきか見ていきましょう。

200SMAを用いたトレード戦略

200SMA付近では売買の攻防が激しく交錯する。

実は、これさえ知っていれば、トレードの全体的な方針は立てやすく、乱高下する相場に振り回されることも少なくなります。

ですから、200SMAに価格が近づいてきたら、僕らトレーダーは恋する乙女の様に、

ドキドキッ!

として、その感動の出会いを待ち構える必要があるわけです。

では、200SMAを利用したトレードの方法、ちょっと具体的に説明していきますね。

200SMAはレンジ戦略のターゲット

今までの解説をトレードする側の立場でもっと端的に説明するならば、要するに

200SMA付近において値動きはレンジを形成する

ということになります。値幅が大きかろうが小さかろうが、レンジを形成しやすいのが200SMA付近で起こる特徴です。

また、トレンドをキープしていても、価格は上下に激しく動くことも多くなります。

つまり、200SMAによって価格は荒ぶる

であれば、200SMAを参考にしたトレードの方針は至ってシンプルです。

「レンジ戦略」

順を追って具体的に説明するならば、

  1. 200SMAが近づいてきたら値動きが荒ぶる可能性を考慮。もちろん、200SMAを価格が一気に抜けたり大きく弾かれても、安心はしない。
  2. ポジションを保有しているのであれば、いつでも解消できる準備を。
  3. 価格が上下に振れ出したら、レンジを形成することを想定する。
  4. 価格の高値低値に規則性が生まれたら、それは取引可能なレンジが形成されたことになる。
  5. レンジ値幅が大きくトレードに十分なボラティリティなのであれば、レンジ内取引(レンジ上限で売ってレンジ下限で買う)。
  6. またレンジ・ブレイクしたらその流れに乗る用意も。ただし、乱高下は常に考慮。ブレイクして大きく値を伸ばしても再び価格が戻ってきたり、再度レンジを形成し始める可能性もあるので、安心はしない。

という方針でトレードに臨むことになります。

仮に乱高下の中で価格がトレンドをキープすることがあっても、レンジ取引の要領で、十分に上下に引き付けてのエントリーを心がけておけば、無駄に損切りに会うことも少なくなるわけです。

ただまぁ、言葉だけで説明しても今一つピンと来ないでしょうし、僕の説明が上手くないことも相まって、

「何でもかんでもレンジだ~ぁ!!」

みたいなノリでいられても困るので、ちょっと200SMAを利用したトレードの具体例でも挙げてみようかなと思います。

だってね、

気付いている人も多いでしょうけど、なぜ僕が今200SMAの話をしようかと思ったかというと、

リアルタイムでちょうどポンド円が日足200SMAを上抜いたところから荒ぶっているからです。

だから参考になればな、と。

が、

そう思ってトレード例を作成し出したんですが、どうやら膨大になりそうなので、今回はこの辺で一旦切り上げるとします。

次回では、実際のトレード例を挙げて説明していきますので、お楽しみに~!

それじゃあ、また。

ダブルボトムについて

前略、恥の上から

先週末9月8日(日)、僕は台風の関東上陸を避けるため、深夜までの仕事の予定を切り上げて、夕方には家に戻ってきてました。

で、時間が空いたのでツイッターに週明け9日の相場観(?)でも呟こうかと、こんな画像を用意してました。

ポンド円の4時間足9月8日時点のチャートです。

でも、ここまで作成したところで止めちゃいました。(* ̄∇ ̄*)ゞ テヘッ♪

僕がツイッター利用する本来の目的は、相場分析を披露したりポジション先出することではなく、

むしろ逆で、自分の損切りやミス・トレードを晒すことで、自己修正の一端になればな、という想いからです。

まぁ、やっちゃいけないという決まりはしてないんですが、その数日前にポジショントークを繰り返していたので、心のどこかにドヤ顔が覗かせてしまっているんじゃないかという危惧が、頭の片隅に浮かんできたんですね。

といういことで、画像作成途中で取り止めたわけなんです。

が、やはりこの危惧は的中していた様で、僕は次の日、自分のちょっとしたスケベ心から、ミス・トレードを犯してしまいます。

なので、今回はこの反省を込めて、自分のミス・トレードを題材に、この時の相場分析を振り返っていこうかなと。

主題は、「ダブルボトム」についてです。ダブルトップについても、要領は同じになるので、上手く読み取ってくださいね。

では、行ってみましょう。

ダブルボトムを考える

ダブルボトム前説

まず、上の画像、完成させちゃいますね。それが、コレ。

ぱっと見で分かる通り、有名なパターン「ダブル・ボトム」ですね。

こういった場合は難しく考えず、セオリー通りに

  1. ネックラインを越えたら買う
  2. もしくは、ネックラインを越えた後に押し目を作り、再びネックラインでサポートされて反発したところを買う

という風にトレードすれば良いことになります。

ただ、1.の通りにネックラインを越えてすぐ買った場合、次の押し目が大きい場合は耐えられずに損切りしてしまい、その後から急上昇!なんて初心者あるあるになりやすいわけで。

このパターンがダマシだったらそれこそ損失は大きいわけですし。

ということで、推奨されるのは2.ということになります。

ですが・・・

じゃあ、ネックラインってどこよ?

って話にもなるんですよ。

ネックラインについて

ダブルボトムに関するネックラインの考え方で、最も一般的なのは、コレ。

ネック・ポイントに水平線を引いたものをネックラインとするものです。

ところが例1とは別に、こんなのも、あります。

この例2のパターンも、見たことある人は割といるんじゃないかなぁ。ネックとネック直前のスイング・ハイ(波の山となる部分)を結んだラインをネックラインとするものです。

上図ではネック直前のスイング・ハイがネックよりも下にあるので、ネックラインは右肩上がりとなっていますが、

このネック直前のスイング・ハイがネックよりも上にある場合は、その両者を結ぶネックラインは右肩下がりになります。

しかし、ネックラインの引き方は、この2つだけじゃないんですねぇ。下図の様な引き方もあるんですよ。

この例3の引き方は、知らない人の方が多いと思います。

(でも、この図を見た途端に、「あれ、チャネル?」なんて気づく方もいるかと思います。これ、凄いヒントですが、今回は話がそれるんで各自自分の頭で考えてくださいね)

ですが、

まぁ、ネックラインの引き方の種類があるってことを知ってる知らないは、極端に言ってしまえば、どうでも良い話です。トレードをする身にとっては実際のところ、

「じゃあ、この3つはどれが正しいの?」
「3つとも有効性があるとしても、どう使い分ければ良いの?」

ということになると思うんですよ。3つのうち、どれを選択すべきか迷っちゃうんじゃないでしょうか?

ダウ理論で見る

でも、僕から言わせると、「ネックラインはどうしたら良い?」という問題は、それほど深刻に考える必要がないと思うんですよねぇ。

そもそも、WボトムやWトップ、それにヘッド・アンド・ショルダー(三尊)なんてのは、単にダウ理論上でトレンドが崩れた後に逆方向へトレンド転換し出した時の典型的な形をパターン化したものでしかないんですよ。

このことについては、機会を見ていずれまとめてお話します。

ただ、今回はダブルボトムについてですので、これについて少しお話していきましょう。

まずは、典型的なダブルボトムを見てみましょうか。

この場合の教科書的なエントリーポイントは、先ほどもお話した通り、

  1. ネックラインを越えたところの星マーク1で買う
  2. ダマシを回避するため、ネックラインを越えた後に一旦押し目を付け、ネックラインで止められ反転した(青丸g)のを確認して星マーク2で買う

ということになります。

しかし、これをダウ理論で見ると、もっと色んな事が見えてきます。

上図の様な典型的なWボトムをダウ理論で見た場合、

b → d は高値を切り上げておらず、
c → e も低値を切り上げてません。

なので、eで上昇をはじめてもdを越えるまでは「下降トレンドは継続、今は調整中」ということになります。

そして、d → f と高値を切り上げた段階でようやく「下降トレンドは少なくとも一旦終了」と判断できることになります。

しかし、単に高値を切り上げただけで、低値は切り上がってませんから、上昇トレンドとは判断できないため、星マーク1は買いポイントとはなりません。むしろ、見送らないと危険な場面です。

仮に星マーク1で買ってしまい、その後に大きく下落した場合、

単にWボトムのセオリーだけで見たら「ダマシにあってしまった」という理解で終わる場面ですが、

ダウ理論で見たら、「買ってはいけない場面で買ってしまったミストレード」ということになるんですよ。

なので、ダウ理論で見た場合は、ネックラインで反転上昇した青丸gの場面にきて初めて

高値を切り上げ、低値を切り上げた

ということになり、ここにきてようやく上昇トレンドが発生する可能性が大きく高まったという判断となるわけです。星マーク2は、その可能性に賭けると共に、ネックラインのレジサポ機能が効いているということを根拠に買いを仕掛ける場面ということになります。

なお、上昇トレンド発生をさらに根拠づけるのは赤丸fを切り上げた場面になります。

高値を切り上げ続けた

という継続性が根拠に1つ加わるため、星マーク3でエントリーする方が、より低リスクということになるわけです。

なお、ネックラインが機能せず、さらに価格を切り下げたとしても、eを下回らずに反転上昇した場合でも、赤丸fの高値を抜けば、

高値更新→低値更新→さらに高値更新

という図式となり、「上昇トレンド開始」と判断可能となるため、星マーク3で買いエントリーがOKとなる局面です。

この様に、Wボトムをダウ理論で見ていくと、通り一遍な解釈には留まらず、深く値動きを解釈していけることが分かると思います。

では、上図のWボトムが少し崩れた場合も見てみましょうか。

例えば先のダブルボトムのネックラインの例2の図を例にとってみると

これなんてのは、ダウ理論で見た場合、

上図の様になるわけで、

a → c と低値を切り下げてますが、b → d と高値を切り上げた時点で下降トレンドは少なくとも一旦終了と判断します。

で、その後は、レンジか上昇トレンドへと転換すると判断するわけですが、

c → e と低値を切り上げたことで、上昇トレンドが発生したかな?と判断できます。

dを上抜き、d → f となった時点で、高値切上げが継続されたことが確認でき、上昇トレンドは濃厚ということですね。

gの場面でネックラインで反転上昇することで完全に上昇トレンドが発生していることが確認できたことになります。

となると、Wボトムの買いポイントのセオリーである星マーク3は、このケースの場合でいえば、むしろ保守的過ぎるぐらいの買いポイントです。星マーク2で仕掛けても問題のない局面ですし、むしろ攻める意味では星マーク1で仕掛けても構わないわけです。

また、ネックラインをgが割り込んだとしても、eを下回らずに反転上昇すれば、これまた絶好のエントリーポイントになります。

以上の様に、Wボトムもダウ理論で見ることで、ネックラインに拘らずにトレードが可能になりますし、また一律に「Wボトム」としてエントリーポイントも固定して見る必要はないわけなんですね。

 

ダブルボトム再び

Wボトムをダウ理論で見れば、無理にネックラインを規定する必要はないことはわかりました。

ただ、問題が1点。

Wボトムのネックを上抜けた後に一旦押してから反転上昇するポイント(先の図で言えば青丸g)を見つけるのは、リアルタイムでチャートを見続けていられるのであれば十分対応は可能でしょう。

しかし、リアルタイムでチャートを見ていられない場合は?

特に指値を置く予約注文を出してトレードしたい場合は、

「ここ辺りで反転するんじゃないか?」

という見立てをもとに、指値注文を出しておく必要があります。反転するポイントを予め想定しておく必要があるわけです。

じゃあ、どうしたら良い?

となるわけで、やはりダウ理論だけじゃ反転ポイントを推測することは難しくなります。

そこで再びですが・・・やっぱりWボトムのネックラインの概念を用いて反転ポイントを探る必要が出てきます。

あー、なんかイタチの追いかけっこだ。

では、そうなる前に、もう1度最初の方に提示した図を見てみましょうか。

これは、押し目を付ける可能性の高い範囲を示したものです。

では、先ほどのネックライン3種類の解説に合わせて3本のラインを引くとどうなるでしょうか?以下がその図です。

ちょっと見づらいですが・・・

緑色のライン1は、ネックラインの例2で示した、ネック(上図のエロいポイント)とその直前のスイング・ハイを結んだラインです。

青色ライン2は、ネックラインの例3で示した、ボトム2点を結んだラインと平行なラインをネックに合わせて引いたものです。

黒色ライン3は、ネックラインの例1で示した典型的なネックラインで、ネックを基点に水平線を引いたものです。

赤色ライン4ですが、発想は黒色ライン3と同じですが、ネックのヒゲ先に引くとオーバーシュートする可能性を考慮したものです。

よって、1~4の範囲で押し目を付ける可能性が高いと判断します。

 

しかし、

 

実際にこの範囲内のどこか1つに指値注文を出すとなると、正直このゾーンは広過ぎです。ざっと見ても1~4までは75pipsの値幅があり、デイトレの場合で言えば

これじゃあ、話にならねぇ!

というレベルなんですよね。

では、どうしましょう?

建玉操作による指値注文

別に今回のWボトムに限った話ではなく、押しや戻しをピンポイントで予測するというのは、実際のところ至難の業です。

なので、こういった場合は建玉操作を行なうことで、損失拡大のリスクを分散させます。

これ、以前お話しましたが、覚えてますかね?

指値を建てるゾーンが決まっているということは、既に損切りする位置も決まっているので、最大の損失幅も予め想定できます。

なので、これを基点にして建玉するポイントを複数に分けることで、リスクを分散させる方法をとります。

これ、いわゆるナンピンに当たるのですが、俗に危険だと言われるナンピンとは全く別物の建玉操作で、むしろピンポイント1発でエントリーするよりもリスクを軽減する目的で行なうやり方です。

(詳しくは、「建玉操作としてのナンピンについて」をご覧ください)

では、具体的なやり方を順を追って説明します。

まずは、見やすい様に4時間足を1時間足にしてみてみましょう。

週明け9日月曜日の午前8時の終値までを表示して、その後の値動きは隠してみました。

ラインの色と番号は、先ほどの4時間足と対応しています。

緑色のライン1は、ネックラインの例2で示した、ネックとその直前のスイング・ハイを結んだラインです。

青色ライン2は、ネックラインの例3で示した、ボトム2点を結んだラインと平行なラインをネックに合わせて引いたものです。

黒色ライン3は、ネックラインの例1で示した典型的なネックラインで、ネックを基点に水平線を引いたものです。

赤色ライン4ですが、発想は黒色ライン3と同じですが、ネックのヒゲ先に引くとオーバーシュートする可能性を考慮したものです。

以上を考慮して、1~3に指値を分散させておきます。また、損切りのポイントは4の少し下に置くことになります。

それでは、順を追ってみていきましょう。

週明けは下窓を開けて相場が始まりました。

上図チャートは午前8時が終わった時のものですが、この時点ではセオリー通りにほぼ窓埋めは完了しています。

で、窓を埋めた後の展開を見ます。先週末の終値を越えていくようであれば、そのまま買いますが、この後に再び落ちてくるようであれば買うことは出来ないので、この場面では見送りです。

トレードするかどうか様子見をします。隙間時間を使って見ればOKかと。

で、次に正午終値のチャート。

完全に1~4のゾーンに入り込んだので、2もしくは3まで押しは続くと想定します。

2のラインのすぐ上に通常のロットの半分、残りの半分は3のラインのすぐ上に指値注文を出します。もちろん、いずれも4の直下は損切り注文を置くのが大前提です。

ただし、もう少し突っ込んだ話をすると、

AのスイングローとBのスイングハイのスイングに対して、23.6%(フィボナッチ指数)戻す付近にちょうど2のラインが位置してるんですね。

ということで、本来の僕であれば、2のラインのすぐ上に通常のロットの2/3を置き、3のラインのすぐ上に残り1/3を置くという判断をします。

じゃあ、結果を見てみますか。

ご覧の通り、2のラインで反転上昇をはじめています。

ということで、3のラインには届きませんでしたが、通常ロットの2/3で反転上昇局面を指値で捉えることが出来たわけです。

この後、ライン1を越えたのを見たら、残りの1/3を追撃買いすることも可能ですね。

というわけで僕は爆益を・・・と言いたいところなのですが、冒頭でお話した通り、僕はここまで分かっていながら、ちょっとしたスケベ心を出してしまったために、指値に1つもかからずにこのエントリーチャンスを台無しにしてしまったのです。

計画は信念をもって

僕がミスを犯した経緯は、以下の通りです。

僕は日曜日の時点で、上述の通りの計画を持っていたのですが、

実際は「面倒くせーや」という安易な理由で、建玉を分割せずに先のライン2のところ1点に指値注文を出していたんですよ。

しかし、僕は仕事に入る直前の9日当日の午後4時を回った時点でチャートを確認したら、ロウソク足が強めに陰線を描いてたんですね。

で、ちょっと怖くなった。

もちろん、押し目を付けて上昇するだろうという自信はあったので、買い方針を撤回はしなかったんですが、問題は斜め線のウィークポイントでした。

ライン2は水平線ではなく右肩上がりの斜めラインです。

なので、価格の下落が早ければこのラインに到達するのは低い価格ですが、下落が遅ければラインに到達するのはより高い価格となります。

下の図を見たら、分かりやすいかも。

下落の勢いが強い場合はAのポイントで斜めラインに到達しますが、下落の勢いが弱ければBのポイントで到達するため、同じラインに到達するにしても価格に高低差が生まれます。

なので、予め指値を置く場合は、Aのみを想定すると価格はラインに到達せずに反転してしまう可能性があります。必ずBの様に到達が遅いことを考慮しなければいけません。

要するに僕が置いたライン2の上の指値の位置は、上図で言えばBを想定したものであったわけです。

しかし、目先の値動きを見てしまった僕は、

「もっと早めにラインに到達するかも!?」

と思ってしまったんですね。

おまけに、

「下落の勢いが強ければ多少オーバーシュートするかも!?」

とも思ってしまったわけで。

こうなってしまうと、僕の心の片隅から、勿体ないお化けが顔を出してしまいます。

「もう少し下に指値を置けばもっと儲けられるのに・・・勿体ないな」
「ストップまでの位置が遠いから、万が一損切りになったら勿体ないな」

そんな勿体ないお化けにスケベ心を揺さぶられてしまい、この直後に指値注文を下にずらすという、全く計画性も根拠もない行為をやってしまったんですよ。

そんなわけで、実際の価格は僕の指値注文の5pips上で反転上昇してしまったという結末に至りました。

う~ん・・・ダメっすねぇ。

分割して建玉するというのは、実際の損失額を軽減させる目的があるので、その相乗効果として心理的負担も軽減できるんですよ。

にもかかわらず、面倒くさがって建玉を分割しなかったせいで、目先の値動きで欲望と恐怖を揺さぶられちゃったわけです。

技術によってメンタル部分は十分に軽減できるのに、ちょっとした心の油断で技術すら疎かにしちゃったら、意味ないですよねぇ。

ということで、この失態を晒すことで、今後の僕のトレードに活かせたらな、と今回の記事を書かせてもらいました。

そして、この失態も併せて、この記事を読んでくれた人も自分のトレードに活かせてもらえたらな、と。

そんなこんなで、今日のお話はこれでお終いにします。それじゃあ、また。

 

トレンドの正体

※この記事は、2019年1月31日に特定の人向けに公開したものを再編集して公開しています。

まずは、お題を

突然ですが、ちょっと下のチャート図を見て下さい。

これ、ポンド円の1時間足チャートに20期間移動平均線を表示したものです。以前、「エントリーのタイミングをどう考えるか?トレンドフォロー編」の記事の中で解説に用いた画像なんですが・・・覚えてますかね?

赤丸Bで上昇トレンドが確定したとすると、それ以降に20SMAを表示して

  • 価格が20SMAを上抜いたところで買う
  • 価格が20SMAで反発したところで買う
  • 価格が20SMAを完全に下抜いたら決済

という極めてシンプルなルールでトレードを試みました。

すると、裁量なので個人差が生まれますが、大体6、7回トレードして5回ほどの勝利になります。この程度の回数じゃ正確な勝率は導き出せませんが、この場面だけで言うと勝率70%以上ということになりますね。

トレードは、特に凝ったことをやらなくとも、シンプルに対応することで、十分通用するということを説明したんですが・・・

ただ、この移動平均線を使ったトレード、実は王道の20SMAを使っているから機能しているというわけではありません。

実は、期間をいくつに設定しても勝てるんですよ。

なぜでしょう?

 

シンキング・タ~イム!!

 

・・・

 

・・・

 

・・・

 

さて、分かりましたか?

まぁ、正解するかしないかよりも、考えることの方が重要です。

考えましたか?

では、今回の記事はこのチャート図を題材にして、トレードに対する本質的な部分に少し迫ってみようかと思います。

皆さん、自分なりの考えを持ちながら、読み進めていってください。

まずは相場環境を確認

どの様な期間の移動平均線を用いても機能するかどうかを確認する前に、まずはこのチャート図の相場環境を確認しておきましょう。

先ほどのポンド円1時間足の素のチャートが、下図になります。

ぱっと見て、上昇トレンドです。

では、まずはこのチャートに「トレンドは上ですよ」ということを意識するために、トレンドラインを引いてみましょうか。

すると、こんな感じになります。(チャート画像を保存した日が異なるので、下図は上図よりもやや時間が経過しています)

Aを起点にトレンドラインが引けます。既に出来上がったチャートのなので上手く引けてますが、リアルタイムでこのラインが引ける様になるのは、早い人でC、確実なところで言えばDの部分だと思います。

緑色で囲った部分がトレンドラインから突き抜けていますが、ご存知の通りBOZ流のライン引きでは、これをオーバーシュートとして片づけ、これを横切ってもOKということになっています。

これにより、遅くともDのポイントで、トレンドラインが引けることになり、上昇トレンドの根拠が1つ完成です。

さらにこの上昇トレンドを根拠づけるのが、先ほどの緑色で囲ったオーバーシュートの部分です。

オーバーシュートとは「行き過ぎ」のことです。相場というものは常に過熱を帯びると行き過ぎるもので、行き過ぎた後は、一気に戻ってしまいます。

このオーバーシュート、1時間足では数本のロウソク足で形成されてますが、4時間足では2本の包み足であり、陰線を付けた後に長い下ひげを伴った大陽線で形成されています。これ、上昇示唆の形ですね。

さらに、この2本を1本にまとめるとプライスアクションで言うところのピンバーになります。しかも長ヒゲだけでなく陽線も大きめです。完全な上昇示唆ですよね。

しかし、なぜこの大きなオーバーシュートが上に向かう根拠となるかというと・・・

下に大きく下げた時に売りを建てた人たちが多数いるはずですが、その中には、一気にせり上がった時に捕まったまま逃げきれずに、まだ売りポジションを持ったままの人たちが数多くいるからです。

つまり、含み損を持った損切り予備軍がたくさんいるってこと。売り方の損切りは、買い決済です。しかも投げ売りならぬ投げ買いですから、上昇力が強い。(今回は下につけたオーバーシュートですが、もちろん上につけたオーバーシュートの場合はこの反対となります)

ですから、オーバーシュートは大きければ大きいほど上昇示唆(反対の場合は下降示唆)になるわけですね。

さて、次に最も大切なダウ理論。ダウ理論を活用するために、高値安値に注目する必要があるんですが、下の図をご覧ください。

一見すると、高値安値が規則正しく切り上げているわけではなく、ゴチャゴチャしていて、何が何だかわかりません。

こういった場合、スイングラインを引く一定のスキルがないと難しく、おまけにそのスイングラインの引き方すら、いくつかの見解があり、人によって引き方が違ってきます。

じゃあ、どうしたらいいの?

ということですが、よくわからない場合は、俯瞰して見ます。ロウソク足の表示を小さくして全体をより広く見る様にするか、1つ上の時間軸を見ると良いです。

俯瞰することで、余計な波は見えなくなり、大切なポイントとなる波と高値安値が浮き彫りになりやすくなるんですよ。下は、時間軸を上げた4時間足チャートです。

赤丸が低値で青丸が高値ですが、随分とスッキリとしましたね。オーバーシュート部分を無視すれば、高値安値も順調に切り上げているのが分かると思います。

ちなみに、この4時間足のチャートからの判断は、1時間足よりもっとシンプルですね。

下降トレンドを上抜けた後、再度下落を2回ほど試しますが(2回目はオーバーシュートの部分)、いずれも下降トレンドラインがサポートとなって跳ね返されています。つまり、オーバーシュートが終わったことで、やはり上昇する根拠が強くなっています。

では、1時間足に戻ってみましょう。

4時間足で確認した高値安値を1時間足で強調し、それ以外の高値安値は薄くしてみました。こうしてみるとトレンドラインが確定したDのポイントよりも、早く上昇トレンドが発生していることが掴めると思います。

が、

最も大切なのは、誰の目から見てもわかるトレンドです。高いスキルを持った一部の人にしか分からないものは、相場参加者の多くが分からないわけですから。

なので、スイングラインのスキルがあまりない人でも、

「これ、上昇トレンドじゃね?」

と分かるようなポイントを考えることも大切です。

となると、やはりトレンドラインが遅くとも引けた赤丸Dのポイントまで待って上昇トレンド確定と思った方が、確実ですね。

 

ということで、Dの時点までくると上昇トレンドを裏付ける

  • ダウ理論
  • トレンドライン
  • オーバーシュート

という3つの強力な根拠が揃ったことになります。

移動平均線の期間を変更してみよう

では次に、移動平均線の期間をどの様に設定しても、本当に勝てるのかを考えましょう。

いくつかの期間に変更して、見ていきます。エントリーのルールは、先ほどの20SMAの時と同じで、移動平均線を上抜くか反発で買うこととします。エグジット(利確・損切り)も先ほどと同じで、移動平均線の下抜け確定としましょうか。

では、まずは10MAから行きますか。

やはり裁量で判断するので、エントリーの回数やポイントは人によってやや異なるとは思いますが、基本的に青色とオレンジ色の丸の部分でエントリーすることになると思います。

青色はほとんどの人が利確できるエントリーポイントで、オレンジ色がほとんどの人が損切りか良くてチャラで終わったエントリーポイントです。

ちなみに、チャート画像に印をつける際、最後の方でエントリーできるポイント2箇所つけ忘れてました。1つは青丸になり、もう1つはオレンジ色になります。見れば分かりますよね。

で、緑色の丸なんですが・・・

緑丸Aは、通常ここを反発したと捉えますが、その前に3回ほど上昇を止められています。正直手を出しづらいところなので、このラインを越えられないなら見送る場面です。

また、緑丸Bのところは、人によって判断が違うでしょうが、僕なら反発したと捉えない箇所です。

以上の様に見ていくと、10MAを用いてエントリーした場合、計13トレード、10勝3敗です。おまけにその3敗もほぼ建値かその付近で損切りできますから、利大損小という理想的な展開です。

では次に、40MAを見ていきましょう。

同様に、青色の丸は利確できるエントリーポイントで、オレンジ色の丸は損切りで終わるエントリーポイントです。 

計8トレード、6勝2敗です。

当然ですが、期間を増やすほどトレードチャンスは少なくなります。

また、「移動平均線の角度は無視で」というルールにしてましたが、移動平均線の期間をこの程度の期間まで大きくしていくと、角度も重要になってきているのが分かると思います。

MAが下向きの時は反発・上抜けをスルーというルールにすると、オレンジ色の丸は2つともスルー。また、最初のオレンジ色の丸の次の青丸もスルーになります。

そうすると、結果は5戦5勝0敗になりますね。

次に75MA。

エントリーポイントはザックリと青丸で囲っただけにしてます。もう、解説しなくともお分かりですね。

この様に見ていくと分かる通り、移動平均線の期間を変更してみても、結果的に勝ててしまうわけです。

他の期間のMAに関しては、ご自分で試してみてください。結果的にどの期間に設定しても勝てることになりますから。言わずもがな、期間が大きすぎるとトレードがほとんど出来ない状態になりますが・・・

また、単純移動平均線(SMA)だけでなく、指数(平滑)移動平均線(EMA)や加重移動平均線(WMA)などを用いて調べてみるのも面白いかもしれません。いずれにしても、結果勝てることになりますから。

なお、上記は解説のため、ほんの数回の結果で勝率を出していますが、実際に検証する際は、ほんの数回・数十回程度のトレード回数では統計上意味をなさないです。予め、考慮しておいてください。

なぜ、期間を変更しても機能するのか?

さて、上図の様な上昇トレンドで移動平均線を用いた場合、どの様な期間に設定したとしても、結果的に勝つことが出来るということが分かったと思います。

では、期間をどの様に設定しても結果的に勝てるのはなぜでしょう?

 

以前、この質問をTwitterで僕が出した際、この質問に対する皆さんの考えはほとんど、

移動平均線の性質に意識が行き過ぎ

ていました。

このブログ記事を読んで考えた人も、恐らくほとんどの人が、移動平均線が機能する理由を、移動平均線の性質に理由を求めたんじゃないでしょうか?

皆さん、移動平均線の方に意識が行き過ぎなんですね。

もっと言いましょうか。

 

皆さんは、トリガーばかりに意識が行き過ぎです。

 

そして、トレードの本質はそこにはありません。

 

僕は「これがBOZ流!ライントレードの基礎(6)」の中で、

手法には、セットアップとトリガーが存在する

とお話しています。(読んでない人は、読んで!必ず)

トリガーとは、実際にエントリーする時の具体的な合図のことでしたよね。エントリーのタイミングを計る時のものです。ほとんどの人は、このトリガーが手法そのものであると誤解しています。

しかしこのトリガーは、前提条件があって初めて有効です。そして、その前提条件が「セットアップ」というわけです。

実はトリガーというのは別の言い方をすると、「買いなら買い」「売りなら売り」と予め決まっている前提条件の中で、損失や利益、精度を最も効率的に行えるポイントを知らせる合図のことです。

つまり、

買う(売る)という方針が既に前提条件によって整っている中で、効率的な売買が行えるポイントを見つけるために用いるのがトリガー。

ということです。

じゃあ、その前提条件が整うって?

はい、それが「セットアップ」でしたね。

セットアップとは、トリガーを発動させるための前提条件のことです。このセットアップが完了することなく、トリガーを発動させることはありません。というより、セットアップを無視してトリガーを発動させることは、無意味以上に危険です。

じゃあ、今回の解説、トリガーは何でしたっけ?

移動平均線ですね。

じゃあ、セットアップは?

 

・・・

 

・・・(考えてください)

 

・・・

 

・・・

 

・・・(考えましたか?)

 

・・・

 

・・・

 

ヒント:トリガーは価格が移動平均線を上回るか反発するかでしたね。では移動平均線を表示させる前に何を解説してましたっけ?

 

・・・

 

・・・(もうお分かりですよね?)

 

・・・

そうです。

セットアップが完了したのは、「上昇トレンドが確定した」というところです。もう一度、その時のチャート画面を見てください。

上昇トレンドが確定したのは、Dの場面でしたね。

その根拠は、

  • ダウ理論上、上昇トレンドは継続している
  • 遅くともDの場面でトレンドラインが引ける
  • 大きなオーバーシュートがある

かなり強い根拠です。もう上がるしかない。

もっと言ってしまえば、下降トレンドやレンジが発生する根拠が見当たらない。

つまり、「上昇トレンド確定」というセットアップが完了した以上、「買う」という行為は確定。あとは、「いかに効率的に買うか?」という視点で、トリガーを待つだけなんですよ。

僕は、

「セットアップが重要。極端に言えばトリガーなんてどうでも良い」

という話をしているはずです。

もし「買う」ためのセットアップが完了していたら、その前提条件がなくなるまでは、基本的に何をやっても(トレンドの最高値未満で買えば)ほぼ勝てるんですよ。

どの様に移動平均線を用いたとしても。また、それ以外のインジケーターを用いたとしてもです。

結果的に、何をやっても勝てるんですよ。

証明してみせましょうか?

トレンドの正体

まずは、今まで解説に用いてたチャートの状況をもっと明確にするために、上図の期間よりも先に進んだチャート画像を新たに取得しました。それが、下の図です。

トレードはダウ理論を核にして行います。ダウ理論における上昇トレンドは、

  • 高値を切り上げ続けている
  • 低値を切り上げ続けている

ことで成立するんでしたよね。

ですから、高値が切り下がり低値が切り下がった時点で、上昇トレンドは終了と判定することになります。

で、ここで上昇トレンドが確定した時点から、トレンドが終了した時点までを確定させて、上昇トレンドの範囲を明確化します。それが、以下の図です。

赤い丸が先ほどまで解説してきて上昇トレンドが確定してセットアップが完了した場面。

その後、高値が切り下がり(緑丸)低値も切り下がってトレンドラインを割り込みました(青丸)。ここで、トレンドの終了が確認できるわけです。

では、ここに20MAを表示してみましょうか。

見やすい様に色を変えてみました。緑色の枠で囲った部分が上昇トレンドが確定している範囲で、青丸で囲った部分が20SMAを下回った部分です。

では、ルールを決めましょうか。

損切りは、ダウ理論を利用して、直近低値を下回ったところ。利確はとりあえずエントリー値よりも価格が上昇していることが分れば良いので、直近高値を更新したらどのタイミングでも良しとしますか。

では、先の解説とは逆に、20MAを下回ったところで、買ってみてください。

 

「え!?下回ったところで買うの?」

 

はいそうです。

 

「でも、ちょっとそれは・・・」

 

つべこべ言わずにやってみてください。

 

で、負けましたか?

負けるどころか、勝ちましたよね?

20MAを下回ったところで買っても、価格は直近下値を下回る前にエントリーポイントを越えて上昇しています。

これを見れば分かる通り、移動平均線を上抜けようが下抜けようが、結局はどこで買っても基本的には勝つんですよ。

いや、移動平均線だけでなく、どの様なインジケーターを用いたとしても、ほぼ勝つことが出来ます。

例えばこれ、MACD。

俗にエントリーポイントと言われているところを、ザックリと印つけてみました。

先ほどと同じルールでやってみると、最後の青丸部分は逃げきれない人多そうですが、それ以外はほぼ利確できます。

じゃあ、次はストキャスティクス。パラメータは弄るの面倒なので、見やすい様にラインの色を変える以外はデフォルトのままでやってみます。

ストキャスティクスは、パラメーターを「5-3-3」でやってしまうとダマシを連発するので有名ですが、それでも圧勝です。

最後の4回は損切りする可能性が高いですが、それでも微益決済か建値決済で逃げる余地はありますよね。

まぁ、他のインジケーターでも試しにやってみて下さい。

何をやっても勝てますから。

 

もちろん、目をつぶっていても、です。

 

目をつぶって、チャートを見ずに自分勝手なタイミングで適当に買って見ても、勝てちゃいますよ。

流石にそれは言い過ぎだと思います?

じゃあ、やってみますか。

緑色の四角で囲った部分が、上昇トレンドの部分でした。

では、この四角い部分を、目をつぶって適当に指差ししてみて、そこをエントリーポイントとしてみて下さい。

そして、直近低値を下回る(損切りする)前に、そのポイントよりも価格は上昇しているかどうかを確認してみましょう。

何度も何度も試してみてください。

 

で、負けましたか?

恐ろしいほどの高確率で勝ちましたよね?

 

勝てる可能性が低くなるのは、下図の通りトレンド終了の直前のM字の波動(青と赤で示したライン)だけのはずです。

しかも、このM波動で買ったとしても、損切りせずに建値決済や微益決済で済むことが多いです。

高確率で損切りとなるのは赤丸で囲った最高値圏か、最後の調整波(赤色のライン)だけです。

それ以外は、どこでエントリーしようとも、直近低値を下回る前に確実にエントリーポイントよりも上昇して利益になるんですよ。

 

で、これがトレンドの正体です。これがトレンドの本質なんです。

 

上昇トレンドというのは、高値低値を切り上げていく構造であるため、トレンド終焉の場面、つまり最高値圏かトレンド最後の調整波で買わない限りは、エントリーポイントよりも確実に価格は上昇するんです。

端的に言ってしまえば、

上昇トレンド中は、インジケーターに関係なく、買って買って利確しまくって、最後の1回だけ利確できずに直近低値を下回って損切りになる。損切りになったらトレンド終了だと思って買いを控えれば良い。

ただ、それだけなんですよ。

「セットアップが重要、トリガーは極端に言えばどうでもいい。」

という意味が、分かったでしょうか?

「上昇トレンド確定」というセットアップが完了していたら、後はどこで買っても高確率で勝てる。目をつぶって買っても勝てるんです。

トレンドとは構造上、そういった本質を持っているんですよ。

ところが、

多くのトレーダーの視点はトリガー、つまりインジケーターの動きばかりに集中し、見当外れのトレードをしてしまっているんですね。本質から全く離れたところで、トレードしているんです。

 

セットアップが重要。トリガーはセットアップが大前提でしか意味をなさず、単に売買を効率化するためのもの

 

このことを、繰り返し繰り返し、頭の中に叩きこんでください。

ということで、僕が出した質問の答えは、

「移動平均線の期間どころか、それを上抜けしようが下抜けしようが、上昇トレンドというセットアップが完了していれば、どこで買っても、高確率で勝てるから」

ということになります。

億トレーダーが生まれる日

億を稼いだトレーダーというと、何やら有能な技法や能力を持っている様に思いがちですが、実はそうでもなかったりします。

先に示したポンド円のチャート図はわずか数十日間のトレンドですが、株式市場なんかはトレンドが数年に渡ることは当たり前の様にあります。

「永遠のレンジ相場」と呼ばれるFX市場でさえ、数か月に及ぶトレンドもありますし、トレンドが長続きしない代わりにレバレッジを株式よりも大きくかけることができます。

そんな金融市場で、上昇トレンドが発生している最中にトレードを始め、直近低値を下回らない限り損切りせずに買って買って買いまくり、利確しまくっていたら、倍々ゲームで資産がみるみる増えてしまうんですよ。

下手に勉強して知識を蓄えてしまい、トレードして上手くいかない恐怖を知ってしまう前の「無知」な状態が、むしろ億トレーダーを生む重要な要素になっていたりします。

だから、億を稼いだトレーダーは次から次へと消えていくんですよ。

自分は巧みな手法と巧みな判断力を用いてトレードして稼いでいるつもりでいても、実は単に「上昇相場」という環境の中で泳がされていただけ。まるで、お釈迦様の掌で暴れてただけの孫悟空かのように。

そして、そんな上昇相場が終わってしまえば、今までのその手法とやらは通用せずに、億を稼いだ期間よりも遥かに早い勢いで資産を溶かしていくわけです。

トリガーの意味

じゃあ、トレンド中はどこで買っても勝てるなら、適当に買ったらいいじゃん!

ということに、最終的にはなりますよね。

ただ、それではあまりにも効率が悪すぎる。含み損を長く持ちすぎたり、リスク・リワード比が悪すぎたり。

また、トレンドが発生したと思っていても、直ぐに終わってしまうかもしれません。もっと大きな時間枠で見たら、そのトレンドは単なる調整波でしかないことも当たり前のようにありますから。

だから、僕らトレーダーはトレンドが発生しているからといっても、単にどこでも買って良いという言葉で済ますわけにはいかないんですよ。

  • 含み損が発生しても、出来るだけ小さく短いポイントで
  • リスク・リワード比が良いポイントで
  • 実際の損切りも、打撃が大きくなり過ぎないポイントで

そんな風に効率化を図るために、出来るだけ効率的なトリガーを設定する必要があるんですよ。

逆に行ってしまえば、トリガーとは、トレードの効率化を図る単にそれだけのことなんです。

自分の性格や資金状況、ライフスタイルなどにあったトリガーを探す。

そんな意味合いで、インジケーターを用い出すと、今まで見えていたチャートの景色は、少し違って見えてくるようになるのかもしれませんね。

 

さて、今回はこれにてお終い。皆さんの目から鱗が落ちてくれたら、幸いです。

それじゃあ、また。