(以下は、2018年2月8日付けの記事に加筆編集を加えたものです)
よく「トレードのやり方教えます」的な本やサイトなんか覗くと、
「マルチタイムフレーム(MTF)分析」
という言葉を聞くと思います。同じ通貨ペアの違う時間軸のチャートを表示させて、それぞれを同時に分析しながらトレードをするというものです。こんな感じで。
良く見かけるパターンは、「日足・1時間足・5分足」という3つの異なる時間軸チャートですかね。
で、そんなマルチタイムフレームの説明の多くには、
「日足チャート、時間足チャート、分足チャートの全てが同じ方向に揃った時に、その方向にエントリーしましょう」
といったものがあります。
まぁ、大筋じゃ間違ってません。大きな時間軸の影響を下位の時間軸は受けるわけですから。
ただねぇ・・・正確に言えば、そういったやり方は過ちかな、って思うんです。先の理屈からすると、日足チャートが上昇トレンドを描いている時、下位の時間軸が全て上昇トレンドを描く時にトレードすることになります。
例えば日足チャートがこんな感じだとしましょうか。
明らかな上昇トレンドですね。赤丸の辺りから始まって、チャートの右端まで続くこの上昇トレンドは約180日にも及んでます。およそ半年ですか。
で、先の説明通りにするならば、ここに示された半年にも及ぶ上昇トレンドの間に、その下位時間軸全てが上昇トレンドを示す時に、エントリーするってことになります。
まあね、スイングトレードとか、ポジショントレードならそれもありかもしれません。
でも、デイトレードに限って言えば、それはどーかと思うんですよ。
よ~く考えてください。
デイトレードとは、エントリーしたその日のうちにポジションを解消するトレードのことです。つまり、デイトレードって、日足チャートが描く長い上昇トレンドの波に乗ってトレードするのではなく、日中に形成されるトレンドに乗るのがデイトレードなわけですよ。
で、日中の値動きって、日足チャートではロウソク足たった1本で表されてるわけです。つまり、日足1本が陽線ならその日中は主に上昇トレンドを形成し、日足1本が陰線ならその日中は主に下降トレンドを形成しているわけです。
ってことは、
日足チャートがどんなに上昇トレンドを描いていようが、その日1日が陰線で終わるなら、1日中チャートを眺めてたところで、日中の時間足が上昇トレンドを揃って描くことはほとんどない。
つまり、
日足1本が陽線で終わる日は、日中足全てが上昇トレンドを示すことは多いけど、日足1本が陰線で終わる日は、日中足全てが下降トレンドを示すことが多い。
ってことなんです。
下の図を見てください。先の日足チャート上昇トレンドのところを、マルチタイムフレームで表示しています。
日足チャートにある赤丸部分は、上昇トレンド中の調整箇所です。陰線(トレンドの出てない同時線含む)で終わったのが、4日ほど続いています。その期間を別の時間軸チャートでは縦の赤線で囲ってあります。
4時間足はこの4日間ずっと下降トレンドを描いています。1時間足も同じく下降トレンドです。5分足に至っては、しばらく幅の狭いレンジが続いた後に下降トレンド。その後、反転した辺りで切れていて中途半端なので、チャートをもっと俯瞰させて見てみると、
上下動が若干激しめですが、ずっと下降トレンドが続いています。もちろん、チャート右端の向こう側もまだ下降トレンドは継続中です。
まぁ、この例の様に、日足チャートがどんなに強い上昇トレンドを描いていようが、その日1日が陰線で終わるなら、その日中足のほとんどは下降トレンドで形成されるわけです。デイトレーダーなら、上昇トレンドが出現するのを待つのではなく、果敢に下降トレンドに乗って攻めるべき4日間だったわけです。
全然逆じゃん!
じゃあ、もう一度立ち返ってみます。上図の半年にも及ぶ明らかな上昇トレンドの中で、陰線で終わった日(正確に言えば陽線で終わってない日)は一体何日あるでしょう。
1、2、3・・・31、32・・・76,77・・・えっと、途中で数えるのが面倒になってしまいました。が、半分近くが陰線で終わってます。
つまり、180日間、ずっとチャートに張り付いて日中の全ての時間軸が上昇トレンドを形成するのを待っていても、その半分近い日々は無駄・無駄・無駄。無駄な時間として費やしてしまうんですね。
ダメじゃん、それって。
だから、そんなインチキな解説は信じちゃいけないんですよ、デイトレーダーは。
「じゃあ、どーすりゃいーの?」
ということで、日足チャートにおける日足分析の簡単なやり方・考え方を紹介しようかと。ただ、ちょっと記事が長くなってしまうので、次回に持ち越します。それじゃ、また。
次回 → 「デイトレーダーのための日足分析(2):実践編」
“デイトレーダーのための日足分析(1):気づき編” への8件の返信