ラインの引き方を学習したとしても、いざ現実のトレードにそのラインを活用しようとした時に、
「水平線はここに引いた方が良いのかな?それともう少し下に?いや、もう少し上?」
なんて戸惑ったりすること、ありませんか?
基本的なことは学習したしラインを引く練習もしてみたけど、細かいところがねぇ・・・
という人って、結構いると思うんですよね。
ということで、今回は引こうとする水平線のチューニングの仕方をお話しようかと思います。
改めて水平線とは
一言でライン引きといっても、様々な考え方や流儀があります。
なので、ここでお話するラインの具体的な引き方は、「これがBOZ流!ライントレードの基礎知識」シリーズに譲りますが・・・
改めて注意してもらいたいことは、
「水平線とは、価格がそこでピタリと溜まったりする様な代物ではない」
ということです。
繰り返しお話する通り、水平線とは市場参加者が注目する価格帯にラインを引くことで視覚化したものです。
仮に市場参加者が「100円」という価格に注目してたとしても、実際に売買されるのは常に「100円」という価格ではありません。
上図の様に、「100円」という価格に注目していても、その周辺を含めて売買が行われることになります。
ですから、下落してきた価格が反発するにしても、それは100円ちょうどの場合もありますし、100円を割り込んでから反発することもあります。もちろん、100円まで落ちきらずに反転上昇を始めることもあるでしょう。
なので、100円という価格に水平線を引いたとしても、それを単なる「線」として認識するよりも、そのライン周辺を含めて「域帯(ゾーン)」として捉えた方が、より正確な判断の仕方ができます。
ちょっと実際のチャートで確認してみましょうか。
下のチャート図の赤く囲った2つの波の頂点(山)のヒゲ先に水平線を引いてみました。すると・・・
見ての通り、きちんとラインが効いていそうなものもありますが、オーバーシュート気味だったり、届かなかったりという箇所もあります。
では次に、先の赤く囲った2つの山のロウソク足達に出来るだけ多くラインが交差する様に、先ほどよりも少し下にずらして水平線を引いてみます。
すると・・・
上図を見ての通り、上手く機能していなかった様に見える部分は改善されましたが、逆に先ほどまで上手く効いてた箇所が、今度は判断しづらくなってしまいました。
この様に、同じ価格帯にラインを引くにしても、細かい部分による引き方の違いで、効いてる様に見える箇所とそうでない箇所が、色々と違ってきてしまいます。
ですから、水平線を1本引いたとしても、それはあくまでも「目安」にすぎず、実際の認識の仕方としては、下図の様に
上下に幅のある域帯(ゾーン)として認識しておいた方が、実際のトレードでの判断は格段にしやすくなるわけです。
しかし・・・
ラインのチューニング
「1本の線を域帯(ゾーン)として認識しましょう!」
確かに言うだけなら簡単です。
しかし、現実として、やり辛い側面があるのは確かです。
頭の中では「ゾーンとして認識するぞ!」と思っていても、実際にはライン1本しか引いてないわけですから、視覚の上では惑わされたりします。
例えば・・・
上図の様にして水平線を引いてしまうと、一番左側の青丸の部分では、ラインを終値ベースで下抜けているロウソク足が2本もありますから、
「抜けた!」
と判断して売ってしまいやすい場面です。
また、右側の青丸3つは、ラインに届かずに反転下落していますから、ラインに届くのを待っていたら、いつまで経ってもエントリーチャンスは訪れません。
頭では「ゾーン」と思ってはいても、実際にはたった1本のラインで上手く立ち回るのは難しい・・・なんて人、多いかもしれません。
なので、実際のライン引きにおいては、自分が最も判断しやすい様に、ラインの引き方を調整(チューニング)しておくことが大切になってきます。
いくつか例を紹介しますね。
線ではなくゾーンとして引く
最も安全なのは、ライン1本だけ引くのではなく、ゾーンとして考えられる範囲の上下に計2本のラインを引いておくということです。
上図の様に、ゾーンの上限下限に見当をつけて、予め2本引いておけば、判断を誤ることは極端に少なくなります。
ただし、それでも価格はオーバーシュートしたり、届かずに反転することも、あるんですよ。絶対はありませんから、「これで大丈夫」と高を括らないことが大切です。
また、実際にゾーンとして2本ラインを引いていくと、煩雑かつ見づらくなることも多々あります。
上図は1時間足ですが、ゾーンを表す2本線を複数引いて、15分足などの下位足を表示した場合、一体どの線がどのゾーンの上限下限のラインなのか、分けわからない状態になったりもします。
それを避けるために、ラインを色分けしたりなどの工夫をすると、今度はラインを引く手順が増えて、作業が煩雑になりがちです。
視認性を良好に保つことと煩雑さがトレードオフな関係だということは、知っておくべきでしょう。
ラインを価格に近付けて調整する
ラインを2本引くにせよ、1本でやり過ごすにせよ、相場つきによってラインは引き直される運命にあります。(ラインの寿命はそれぞれですが)
なので、どうせ引き直したりするのであれば、自分が理解しやすい位置へと、微調整をその都度かける様にします。
具体的にどうするかというと・・・
今回は、「ラインを価格の方向へと近づけて調整する」というやり方をお話しますね。
これは、「オーバーシュートは常にあり得る」ということを大前提にすることで、逆に視認性を良くしてしまうやり方です。
このやり方、他で話している人いないかもしれませんが、結構使えるチューニング方法ですよ。
では、先ほどのチャート図を用いて、具体的に見ていきましょうか。
まず赤い丸で囲った2つの山を基準にラインを引いてみますが、その際に価格はラインよりも下に位置しています。
なので、「この山のどの辺りでラインを引こうかなぁ?」と思ったら、まず価格に近い側(この時点で想定できるゾーン下限)を基準として水平線を引きます。
すると・・・
価格が一旦上抜けた後に再度下落した際、
「価格が下抜けた」
とは判断しづらくなり、むしろ水平線に支えられて再度上昇(ロールリバーサル)したのが確認できるため、エントリーがしやすくなります。
では、次にどう調整するか見てみましょう。
価格がラインを上抜けたまま滞在しているので、今度は水平線を価格側(上方向)にずらして調整します。想定できるゾーン上限へとずらしたのが、上図です。
では次の展開で、価格が水平線を上から試してみた時の挙動を確認してみましょうか。
ラインを上方向に調整したおかげで、判断がしやすくなりました。
では、再び価格がラインを下抜けたので、ラインを下にずらして調整し直します。現時点で想定できるゾーン下限までラインをずらした後のチャート図が下のものです。
やはり、ラインに価格が届かないということがなくなり、トレードの判断がしやすくなったと思います。
この様に、1つのゾーンを表す水平線1本を価格に近い側に調整し直すことで、判断の誤りが極端に少なくなります。
ただし!
これには1つ、注意が必要です。
それは・・・
価格が水平線を抜けたからといって、直ぐにラインの調整をかけないこと
です。
なぜなら、このラインの調整方法は、常にオーバーシュート(価格の行き過ぎ)が起こることを想定しているからです。
同じ水平線でも、価格に近い方にラインを引いてますから、価格はラインにタッチしやすい反面、抜けやすくなります。
抜けやすいということは、オーバーシュートによるダマシも食らいやすいということですよね。
にもかかわらず、価格がラインを抜けた直後に、ラインを価格の抜けた側に近づけてしまうと・・・
少し価格が戻しただけなのに、「オーバーシュートだ!ダマシだ!」と勘違いすることも増えます。
ですから、価格がラインを抜けた後、価格が一旦戻してきた際に
- ロールリバーサル(ブレイク成功)になるか?
- オーバーシュート(ブレイク失敗)になるか?
を見極める必要があります。
ブレイクが完全に成功したのか失敗したのかを確認出来た後、ようやく水平線の調整を行なうことになるんですよ。
また、水平線をゾーンの下限(上限)に合わせたからといって、そのゾーン反対にある上限(下限)を全く意識しなくとも良いというわけでもありませんので、この点も注意しておいてくださいね。あくまでゾーンはゾーンです。
自分が判断しやすい基準を持とう
水平線を引く際のチューニングのやり方を、今回は紹介しました。他にもやり方は、色々とあると思います。
が、どの様にすべきかは、自分で決めるべきことです。
価格に近い側へと水平線を引くことが誰かにとって有益でも、アナタにとって有益とは限りません。
アナタがもし、基本に忠実に引いて、上下に域帯が広がってるイメージをした方が取引しやすいのであれば、それがアナタにとっての正解となります。
わざわざ2本ラインを引くのが面倒であっても、アナタにとってそれが最も判断を間違えない方法なのであれば、2本引いた方が良いに決まってます。
どんなに偉い人が、
「そのラインの引き方違うでしょ。もっと下に引いた方が良くね?」
と言ったところで、それはその偉い人が判断しやすい引き方であって、アナタが判断しやすいとは限らないんですよ。
偉い人の言うとおりにして、アナタが判断を誤ったとしても、その偉い人はアナタの損失を補償してくれるわけじゃありません。
そんな偉い人には、素直に
「ご教授ありがとうございます!」
と言って、心の中では
( ̄へ  ̄ 凸
って、中指立てておけば良いんですよ。( ̄ー ̄)ニヤリ
「チャート・デザイン」シリーズでもお話しましたが、人の視認性や、視覚情報からの判断の仕方には、人それぞれです。自分が最も判断しやすい様に視覚情報は変更していく必要があります。
ですから、アナタはアナタが最も判断しやすい方法を、試行錯誤の上で定めれば良いのです。
それで勝てるのであれば、誰が何と言おうとも、それが正解です。
自由にやったら良いさ。
しかし、その自由に責任を持つのも、アナタ自身です。
(ただし、師匠のいる方は、師匠の言われることに従った方が良いと思います。自分の中途半端なアレンジは、むしろ師匠のやり方をきちんと受け継ぐことは出来ませんからね。師匠のいる方は、独り立ちできる様になってから、改めて自分のやり方を模索するのが賢明かと)
宿題
ちょっとここで、宿題でも出しておこうかと思います。
しかし、その宿題の内容は、水平線ではありません。斜めラインです。小さな斜めラインですが。
で、やり方ですが・・・
上図の様にまずは大きな波をトレンドラインでざっと把握し、レンジであればレンジを表す線をざっと引いて把握します。(上図では、それ以外の水平線が引いてありますが、無視してOKです)
で、ざっと大きな流れを把握したら・・・
その後は、その大きな波の中になる小さな波に、斜めラインを引いていきます。上図の赤・青・緑の色で引いたラインがそれですね。
下降する波であれば高値を結んだ斜めライン、上昇する波であれば、低値を結んだ斜めラインを引いていきます。
今回の宿題の主たる目的は、この色付きの小さな斜めラインを引くことにあります。
引き方のルールは、自分で模索してください。ラインの色分けは、別にしなくても良いです。(上図は見やすい様に色分けしただけです)
自分で模索しながら、
- どんなラインが引けるのか?
- どんなラインが有効なのか?
- 引いたラインにどんな特徴があるのか?
を常に考えながら、とにかく量をこなしてください。
手と頭の両方を使って、繰り返し繰り返しやってみて下さい。
何が正解なのか分からなくても良いです。
「こんなことやって、一体どんな意味があるんだろう?」
なんて具合に、きっと迷うと思いますが、迷うなら迷うだけ迷ってください。
ただし、答えを見つける気は捨てずにね。
それが、今回の宿題です。
そして、この宿題を受けて、次回のお話をしていきます。
やった人は、やらない人に数倍の差をつけることが出来ると思って、とにかく手と頭に汗をかいてください。
モニターに映るチャート図にラインを引いても構いませんが、印刷して手書きしてみた方が、より理解が深まるかもしれません。
ひょっとすると、僕が次回のお話を知る前に、多くのことを自分で気が付いてしまうかもしれませんよ。
( ̄ー ̄)ニヤリ
ということで、次回は「波動」についてお話します。
それじゃあ、また。