波の正しい捉え方

前回の記事を昨日アップしたばっかりなんですが、仕事も休みで時間があったのと、一昨日良い題材になりそうな相場があったので、ちょっとそれについてお話でもしようかなと。

テーマは「波の捉え方」です。

それでは、始まり始まり~~!

波の捉え方

2023年11月16日午前中までのゴールドを実例に

下の画像は、一昨日の午前中までを表示したゴールド(XAU/USD)の1時間足チャートです。

で、赤く囲った部分を見てもらいたいんですが・・・

アナタだったら、この部分における価格の波をどう捉えるでしょうか?

恐らく大体の人は、ダウ理論を利用して波を捉えようとするため、波をこんな感じで捉えると思います。

下降していく波を青色で、上昇していく波を緑色で描いてみました。

ただ、ちょっと見えづらいんで、ロウソク足を拡大して解説しますね。

A地点から、高値安値を切り下げていく波を大まかに捉えていくと、上図の様に青色1からはじまり、2,3,4と続いて青色5までの波が描けると思います。

で、青色5で底値を付けた価格は、次に上昇へと転じています。

その波を緑色のラインで示したわけですが、こちらも緑色1から2,3,4と続いて緑色5まで到達するとそこからはZに向かって大きく下落しています。

とまぁ、大体の人が、こんな感じで波の把握していくんだと思います。

 

でもこれ、波の捉え方が完全に間違ってます。

 

波の捉え方にも、流派というかそれぞれ確立された理論をお持ちの方々いるので、一概には言えないんでしょうけど、

それでも、この波の捉え方は間違っています。

ダウ理論で見る場合

もう一度、先ほどの画像を見てみましょう。緑色の波に注目してください。

緑色で描いた上昇する波をダウ理論で見ていくと、

  • 青色5から緑色1の推進1波
  • 緑色2から緑色3の推進2波
  • 緑色4から緑色5の推進3波

と推進波が3つ形成された後に、5からの下落で直近低値4を下回ってZで終わっています。

ということは、推進波3つが終わった後に直近低値を価格が下回ったため、ダウ理論の解釈で言えば、ここで上昇トレンドは一旦終了。次はレンジか下降トレンドへと移行することになるはずです。

ってことは、この様な波の捉え方をしていると、この日の午後からのトレード方針は「売り方針」となるわけで、仮に上昇してきたら絶好の戻り売りチャンスが訪れたと判断することになります。

で、そんな方針でそのタイミングを5分足なんかで待ち構えていたりなんかすると、

反転下落の定番パターンである三尊(ヘッド&ショルダー)が現れ、絶好の売りのチャンスが訪れます。

「ここで売って、爆益じゃん!!」

ところが、現実は甘くありません。そんな願いは虚しく・・・

あれれ?爆益どころか、爆損じゃん。

ってな感じで、この後は強い上昇へと転じてしまいます。

 

なぜ、こんな悲劇が起こるのでしょうか?

それは、波の捉え方が間違っているからです。

もう一度、先ほど描いた波の画像を見ていきましょう。

恐らくフラクタル構造を知ってる人は、上図の青色4-5の波の中にあるオレンジで示した波の高値を緑色1が上抜いたのを見て、いち早く「下降トレンド終了」と思ったことでしょう。

しかし、オレンジ色の波というのは、あくまで青4ー青5という波の一片の中にある小さな複数の波の中の出来事でしかないんですよ。

となると、青5ー緑1を結んだ緑色の上昇波というのも、対オレンジ色の波のレベルでしかなく、青色の波のレベルで言えば、1つ下の波でしかありません。

つまり、緑色で描いた波の描き方は、青色で描いた下降する波よりも一つ下の波を描いてることになるんですよ。

言ってること、難しいですか?

難しいですよね。頭がゴチャゴチャしてきた人も、多いと思います。

それでは、もう少し分かりやすくするために、違う角度から解説してみますね。

ダウ理論で言えば、下降トレンドが否定されるのは、「直近高値を切り上げるまで」です。

上図で言えば、、下降トレンドの直近高値は青色4になりますよね。

じゃあ、その青色4を切り上げたのは、いつですか?

そう、青色3にきて、ようやく直近高値を切り上げたわけです。

となると、ダウ理論を意識して正しい波を捉えようとするならば、少なくともまずは

上図の様に、青色5から一気に緑色3までを引いた赤いラインを1つの波と捉えることになるわけです。

青4-青5の下降波の中にオレンジ色の波があるように、赤色の波の一辺の中に青5ー緑1-緑2-緑3という複数の波が存在するということですね。

しかし、ちょっと待ってください。

青5ー緑3までを1辺の波とするならば、その後の緑3-緑4や緑4ー緑5の波は、小さ過ぎやしませんかね?そんな気がしてきますよね。

ダウ理論上、1辺の波の中には、3つの推進波が存在することになりますから、

  • 青5ー緑1
  • 緑2-緑3

と数えてもあと1つ足りません。

であれば、波の捉え方としては、

青色5から緑色5までを1辺の涙として一気に引いてしまっても、何も問題はないんですよ。

であれば、このチャートの解釈は、

  • 青色の波で構成された下降トレンドは、直近高値を越えたことにより、一旦は否定された
  • しかし、Zはまだ直近低値(青5)を切り上げたとは言えないので、現段階では上昇トレンドが始まっているとは断定できない
  • ということは、この後の展開は、レンジもしくは下値を切り上げて上昇トレンドが発生するということになる
  • いずれにせよ、下げてきたらその後の反転を狙った買い方針

といった具合に、先ほどとは真逆の方針になるわけです。

で、この買い方針を立てて5分足でタイミングを待ち構えていたとしたら、

まぁ、トリガーをどうするかは人それぞれでしょうけど、僕からしたら青丸で下値を試して越えられず上昇に転じた辺りからは、分かりやすい場面でしかないわけで。

他のインジを見てもらっても、恐らく大体は機能してると思いますよ。

上図赤丸ポイント以外にもエントリー出来る箇所はいくつかありますし、多少タイミングが間違っていたとしても、もう買ってるだけでOK。大した恐怖も感じずに、価格は上がり続けてくれた展開となったわけです。

沼に嵌らぬよう

さて、波の見方、ややこしかったでしょうか?

ややこしいですよね。

そして、ややこしくて正解です。

下手にフラクタル構造が絡んでくるんで、波を正確に捉えようとすると、実際分けわからなくなったりします。

また、僕はあえて先ほどのチャートを赤い線で囲んでその部分だけを見るようにして解説しましたが、その前の波まで考慮しようとすると、また別の解釈が出来たりして、混乱が始まります。

ある程度熟達した人であっても、一旦そう思って捉えた波が、相場の値動きが進むにつれ、あとから修正するというのは、珍しいことではありません。

要するに、フラクタル構造を絡めながら波を上手くとらえるというのは、実際は難しいんですよ。

ですから、実際に波の捉え方を正確に突き止めようとすると、

沼に嵌ります。

しかし、トレードの技術を上げるために、物事を突き詰めていくというのは、正しい道です。なので、険しい道を突き進むことを、僕は否定しません。

ただ、波を捉えるという作業は、険しい道であると同時に、沼に嵌りやすい。

沼に嵌ってしまって、そこから抜け出せないのであれば、それは実際にトレードで利益を得るという目的とは違う道に進んでしまっているのと同じです。

なので、ある程度波を捉える技術は学ぶべきですが、トレードで利益を稼ぐという技術を磨くという意味での本質からかけ離れてしまうのであれば、そこで一旦波に関する学習から離れるべきだと思います。

だってね、波の捉え方なんて、正確無比に分からなくても、ある程度認識できるレベルの技術があれば、それだけで十分勝てるんですから。

レベル3で十分勝てるのであれば、無理にレベル10を目指す必要なんてありません。

僕らがやっているテクニカルというのは、座学ではないんですよ。実学であり、実務者としての腕と知識を学ぶためのものなんです。

勝てる以上の知識をご披露してドヤりたいなら、それはトレーダーではなく、「別の何者か」でしかありません。

もう1つの波の捉え方、それは「流れ」

沼に嵌らぬように。

とお話しましたが、そんな沼に嵌る前に、もっと別な波の捉え方のお話をしておきます。

これは、素のチャートで「あーでもない、こーでもない」と頭を悩ませることなく、非常にシンプルで初心者でも理解しやすい、とっても実用的なやり方です。

僕はこのブログではそれを

「流れ」

と呼んでいます。

このやり方、このブログでは既にお話していますが、結構昔のことなので知らない人も多いでしょうし、忘れちゃったって人も多いでしょう。

なので、ここでもう一度解説しておこうと思います。

「流れ」について

BOZ流、というか僕がこのブログで解説する際に用いる用語に

「流れ」

というものがあります。

この「流れ」とは、トレンドが上とか下とか、トレンドレスでレンジだとか、そういった部分的なことではなく、価格が推移する軌道全体のことを示します。

例えば、チャートに手書きでその流れを書き込むと、下図の様な感じになります。

青色の曲線でなぞった様に、価格が推移する軌道を抽象的に描いたものが、僕の言うところの「流れ」です。

価格の推移を、ロウソク足の山と谷を直線で結んだ「波」で把握するのではなく、もっと抽象的に価格の軌道を曲線で表したものが「流れ」なんですね。

で、こういった流れは、わざわざ手書きで描いたり、頭の中でイメージしてみる必要はありません。

インジを使えばOKです。

で、そんなインジは特別仕様なものでもなんでもなく、どんなチャートソフトにもデフォルトで用意されている超メジャーなインジ、

単純移動平均線

です。

単純移動平均線は、僕らに価格の流れを、端的に簡略化してそれを視覚化してくれます。

例えば75期間程度の移動平均線であれば、下の図の様に、チャート全体の大まかな流れを表現してくれます。

もちろん、75SMAで表現される流れは、大まかな流れです。

この大まかな流れの中にある小さな波をもっと的確にとらえた流れを表現したい場合は、もっと短い期間の移動平均線を使います。下の図は、20SMAです。

先の図と見比べれもらえれば分かる通り、より細かな流れを表現してくれています。

しかし、この20SMAで表現した流れの中には、さらに小さな波が存在しますよね。これを更に流れとして表現したい場合は、さらに短い期間の移動平均線を使います。下の図は、10SMAを用いて、それを表現したものです。

先ほどの20SMAを使った流れよりも、より実際の価格推移に近い流れを表現してくれていると思います。

で、波を把握したい場合、この「流れ」を用います。

先ほど闇雲に波を描いチャート図が、下の図でした。

これに、20SMAを表示して価格推移の流れを見てみると、以下の様になります。

「流れ」は緩やかな曲線です。そして、緩やかな山と谷を形成しています。その緩やかな山と谷の部分に印をつけたのが、下の図です。

赤丸部分のところは、誰もが理解できる箇所ですが、青丸部部だけはちょっと微妙です。

これを説明するには、いくつかの議論が必要になるので割愛しますが、この青丸部分にも緩やかな山と谷が存在すると仮定しておきましょう。

では、この流れの山と谷を実際のロウソク足の山と谷に当てはめて、波を考えてみましょうか。

移動平均線は遅行指標ですので、そこに表現される山と谷は、実際の値動きよりもやや遅れて表現されます。

なので、

  • 赤丸aの山は高値Aの山に相当
  • 青丸bの中にある山と谷は1と2に相当
  • 赤丸cの谷は3の谷に相当
  • 赤丸dの山は4の山に相当
  • 赤丸eの谷は5の谷に相当

となります。

ということで、この20SMAの流れに合わせた山と谷を実際の高値低値を用いて波としてラインを引いてみると、この一連の下降トレンドの波は、

と上の図の様になり、最初にロウソク足だけを見て引いた

こちらの波と全く同じ軌跡となります。

で、注目してほしいのは、この後の上昇の局面です。

最初にロウソク足だけを見て引いた波は、上図の緑色のラインでしたね。青色5を起点として、緑色1、2、3、4、5の山と谷で形成される波です。

で、この波捉え方は、既に間違いだと解説しています。

では、20SMAを用いて表現した流れは、山と谷をどう表現しているでしょうか?

そうです、この上昇する価格推移の過程において、流れは赤丸eの谷と赤丸fの山しか形成していません。

つまり、これを参考に実際のロウソク足に波のラインを引いてみると、

間違った波の引き方である1、2、3、4の山と谷をすっ飛ばして、青丸5と緑丸5を結んだ1辺の波になるんですね。

これって、先ほどロウソク足だけを見て最終的に修正を終えた波である

こちらの波の捉え方と、同一になるんですよ。

凄くないですか?凄いですよねぇ。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

 

要するに、どうやって波を捉えたら良いかは、特別考える必要もなく、

移動平均線を引いてしまうだけで、ぱっと見だけで正しい波が把握できる

ってわけなんですよ。

これで沼に嵌ることなく、時間と労力を無駄に費やすことなく、波を正確に把握することが出来る様になったと思います。

最初の方の解説で

「はぁ?意味わかんね」

( ̄へ  ̄ 凸

となった人でも、難しく考えることなく波を捉えることが出来る様になると思います。

ちなみにここで引いた波のもう1つ下の波を見たい場合は、移動平均線ももう1つ下の10SMAを用いればOKです。

やっぱり簡単ですね。そして、実用的です。

 

複雑怪奇なモノゴトを複雑に考えても、答えは出ません。むしろ、そうやってしまうと息苦しくなり何も行動が出来なくなってしまいます。

そうではなく、複雑なモノゴトをシンプルに捉え、シンプルに考え、シンプルに行動する。

生き方もトレードも、一緒なんですよ。

 

そして、これがBOZ流!

( ̄∇+ ̄)vキラーン

 

さて、僕のドヤ顔はこの辺でお終いにしておくとしましょうか。

それじゃあ、また。

僕とインジの奇妙な関係(2)インジ・マニアな僕がインジを避けるその理由

さて、前回は最近弄っていたインジ達の紹介をすることで、インジに対する考え方をお話したわけですが、最終的に僕は、

弄りまくったインジ達を実際のトレードで使うことは滅多にない

ということに言及して、お話が終わりました。

なぜか?

今回は、そんなお話の続きをしていこうと思います。

それでは、始まり始まり~~!!

インジケーターを扱う、ということの本質

僕の黒歴史

このブログの読者さんは既にご存じの通り、相場歴25年以上の僕のその前半はほぼ負け続けの歴史でした。

その当時の僕といったら、沢山のインジをチャート上に張り巡らし、

「このインジのこの設定は効く?効かない?」

みたいな感じで、大した検証もしてないくせに検証した気になりながら、聖杯を探し続ける日々でした。

で、もうトレードで勝つなんて自分にはもう無理なんじゃないかと何度も思いながらも、ある日ふと、

「自分はチャートを見ているようで、実は何も見ていないんじゃないか?」

という疑問が湧いてきたんですね。

で、チャートからインジを外し、ロウソク足だけの素のチャートだけにして、

「そこから何が見えるのか?」

という作業をやり始めたわけです。

その辺りのことは、「チャート・デザインの勧め(1)」に書いてあるんで割愛しますが、そういった作業を繰り返す中で、1つ気が付いたことがあるんですよ。それは、

「僕は、インジケーターを用いることが苦手なんじゃないだろうか?」

ということに。

今ではインジ・マニアな僕が言うのも不自然に思われる方もいるかもしれませんが、事実僕はそう思いましたし、今でもそう思っているんです。

同じインジでも、認知の仕方は人それぞれ

本題に入る前に、ちょっと注釈入れときます。

インジケーターというのは、端的に言ってしまうと

「相場状況を視覚的に理解できるように表現したもの」

のことです。

なので、ロウソク足もラインも、言ってしまえばインジそのものです。

ただ、それを言うとちょっとややこしくなり、この後の文章に常に断りを入れ続けると面倒なので、とりあえずここでは、

「相場で値の付いた数値を使って計算式を用いないものや、お絵かきレベルなもの」

つまりロウソク足とライン以外をインジケーターと限定してお話していきます。

それでは、本題に入っていきましょう。

例えば、こんな素のチャートを見てみましょうか。ポンド円の4時間足です。

このチャートを見て、何をどう解釈するのか?

それを理解するために、インジケーターは存在します。

例えば、最もメジャーな移動平均線だったり、

一目均衡表だったり、

ボリンジャーバンドだったり

もちろん、それ以外にもインジは沢山ありますよね。色んな組み合わせ方もあります。

例えば以前、海外で話題になったシステム「MASTER ENTRY Indicator」だとこんな感じになります。

まぁ、どんなインジを用いようが、どんな組み合わせをしようが、結局のところインジケーターというのは、相場の状況を視覚化することが目的です。

では、どのインジを用いるべきか?

それはこのブログで何度も言ってきている通り、

「裁量トレードにおいて、インジケーターとそのパラメーターは、自分が認識しやすく理解しやすいものを選べば良い」

というのが、僕の見解です。

上の4つのチャートは、それぞれ違うインジをメインチャートに貼っていますし、いずれも相場の状況を視覚的に表現しようとしています。

が、これら4つのチャートは、いずれも見え方が違ってますよね。人によっても、見え方や感じ方は違ってきてると思います。

ゴチャゴチャして見えにくいものがあったり、逆にシンプル過ぎて良く分からなかったり。数種類のインジがあった方が、理解しやす人もいるでしょうし、1つ2つに限定した方が頭が混乱しない人もいると思います。

例えば前回でも少し触れましたが、移動平均線の10SMAと一目均衡表の転換線の大まかな動きは非常によく似ています。

下図では青色の移動平均線が10SMAです。

下図の一目均衡表では、赤い線が転換線です。

見比べてみると、全体的な大まかな流れは、両者非常によく似ているのが分かると思います。

もちろん、この2つをEA化してバックデータを採れば、その成績に違いは出てくるでしょう。

しかし、僕らは機械ではありません。正確無比に指示通りに常に同じイン・アウトを繰り返し続けるわけじゃありません。

裁量トレーダーの場合、インジの線にタッチした瞬間に常にエントリーするとは限りません。仮に線にタッチしたとしても、線の角度やその他の状況を見ながら、エントリーのタイミングをややずらしてみたり、見送ってみたりします。

飛んできたボールの軌道やスピード、回転のかかり方や、相手の位置関係によって、そのボールの打ち返し方を微妙に変えていくのと同じです。

裁量トレードは、スポーツの要領に近いんですね。

であれば、スポーツで使う道具を自分の好みで選択するように、トレードにおいてもその道具(インジ)も自分の好み、つまり自分にとって認識しやすく扱いやすいと思うものを、各自が用いるべきなんです。

で、先の10SMAと転換線。両者は大まかな動きが似通っていても、細かいところでは動きが違ってきています。MAでは価格に近づくように上からせり上がってきている場面でも、転換線は角度が平らになっていたりします。

エントリーする際に、どちらがその判断をしやすいか?というのは、人それぞれの認知の違いになります。10SMAを使った方がやり易い人もいれば、転換線の方が判断しやすいという人もいて当然です。

なので、インジというものは、誰かが使っているからという理由で用いるべきではなく(とっかかりとしてはそれでOKですが)、あくまで自分にあったものを選択していくべきなんです。

どんなインジを使っても、実は簡単

で、ここではもう1つ覚えておいてほしいことがあります。それは、

どんなインジをどう組み合わせて使ったとしても、「トレンドの局面」というのはいずれも理解しやすい

ということなんですよ。

このブログでは、再三言ってきていますが、

「勝てないうちは、まずはトレンドフォローだけをやって、腕が上がったらレンジの検証と練習にチャレンジすべき」

というのは、トレンドがトレードしやす局面であると同時に、多くのインジがトレンド時には機能しやすいという特徴があるからです。

これは、メイン・チャートに表示されるインジというのは、その多くが「トレンド指標」であるためです。

ちょっと、見てみましょうか。

先ほどのポンド円4時間足チャートの場合、ハッキリとトレンドとして認識できるのは、

大体、赤い四角で囲った辺りの局面です。

じゃあ次に、先ほどインジを貼った4つのチャートを、上図の赤で囲った部分に注目して見ていきましょうか。描画はしないので、各自で確認してみてください。

確認しました?で、気が付きましたかね?

トレンドがハッキリと出ている局面は、どんなインジを貼ったチャートであっても、

「分かりやすい局面」

なんですよ。

そう、実はどんなインジを使おうとも、比較的トレードで利益を出しやすい局面なんです。

でも、実際はなぜ難しいのか?

とはいえ、実際のトレードをトータルで勝てる人は、あまりいません。

なぜでしょうか?

答えはそれほど難しくはありません。

赤く囲った部分の様に、ハッキリとトレンドが出ている局面というのは、実際の相場ではあまり多くないからなんです。

実際は、緑色で囲ったような部分、つまりレンジもしくは初心者レベルではトレンドが出てるのか出てないのか判別が難しい局面がほとんどなんですよ。

相場では、この様なレンジの局面が7~8割を占めることになります。市場のほとんどの時間が、レンジで占められてるんです。

しかし、メインチャートに表示されるインジのほとんどは、「トレンド指標」です。

つまり、多くのインジが誰もが扱えるレベルで機能する局面というのは、実際2割から3割程度なんですよ。

それ以外の大半の期間は、機能しづらい時間が続きます。

ちょっと、見てみましょうか。

上図、緑で囲った部分を、次のインジを貼った4つのチャートを使って、見ていってください。

分かりましたかね?

この緑で囲った局面では、いずれのインジも蛇行が始まり、各インジが絡み合ったり重なりあったりして、

「ワケわかんねー!」

状態になってしまうんですね。

だから、結果的にインジは簡単というわけにはいかなくなるわけです。

こういったレンジ、またはトレンドが出ているのかはっきりしない相場付きというのは、既に出来上がったチャートを後付けで見れば「分かった気」になれるんですが、実際に値動きが形成されていく過程では、振り回されやすい局面にあたります。

なので、リアルなトレードではインジを頼りにエントリーやエグジットを繰り返すことで、損失を膨らまし続けることになります。

で、インジに対する不信感が生まれたところでトレンドが発生し、絶好のチャンスを逃します。

しかも、人というのは悲しい性を持ち合わせています。そんなチャンスを逃したトレンド状態を見て、悔しがり、しかし値動きの大きさに不安を抱え、にもかかわらず「爆益」という欲望を膨らませることで、トレンド中の天底狙いの逆張りを繰り返すんですよ。せっかく貼ったインジが示す状況を無視しながら、ね。

で、焼かれ続け資金を減らし続けた後に、トレンドは収束を迎えます。

そうなると値動きは小さくなりますよね。だから、深層心理の部分での不安は消えます。

不安が解消されたことと、トレンドに逆らったトレードで負け続けたことを反省し、そこから始めるトレードは、インジが機能しない部分でのインジ頼りの順張りトレードです。

そうやって、レンジ局面で負け続けると、再びインジに対する信頼は・・・

ってなことを繰り返し続けるんですよ、負け続ける人というのは。

使ってはいけない局面でインジを使い、使うべきわずかな局面でインジを使わない。

これが、人が人であるが故の悲しい現実です。

インジを扱える様になるということ

ここまでの話をまとめると、

メインチャートに表示されるインジというのは、そのほとんどがトレンド指標。だから、トレンド時は比較的トレードが容易。しかし、相場のほとんどはレンジ期間。トレンドが出るのは2~3割程度。

ですから、インジを攻略するって、むしろレンジの方が大変なんです。

だから僕はこのブログで、

「勝てるようになるまではトレンド・フォローだけでトレードするべき。レンジは勝てるようになってからチャレンジ」

と繰り返し言っていますよね。

インジを扱える様になるというのは、トレンド時だけではなく、レンジをどう見極めのか?そして、レンジの際には、どう扱えば良いのか?を知ることなんです。

  • まずは、自分が選択したインジで、トレンド局面とレンジ局面を見極められるようにし、レンジは避けトレンドのみをトレードすると決める
  • 見極め(ガイドライン)が出来たら、トレンド局面でそのインジが扱える様に、検証と練習を繰り返す
  • トレードはトレンド局面でしかやらず、トレンド局面が訪れない期間は、レンジに対する考察を深める
  • 選択したインジでレンジ内取引が出来るのかどうかを検証し、出来るなら扱える様に練習、出来ないのならば逆張り指標のインジを用いてレンジ内取引が出来る様に検証と練習を繰り返す

この様な過程を経て、初めて

「インジが扱える」

ということになるんです。

インジというものが、単にエントリーのタイミングをサインで教えてくれる道具だという認識でいる限り、勝ちトレーダーには一生たどり着けません。

インジ・マニアな僕の場合

実はインジが不得手な僕

では、相場に対する僕の認知の仕方って、どんな感じなんでしょう?

冒頭でお話しましたが、

「僕はインジが得意じゃない」

って自分では思ってるんです。

要するに、チャートにあまりインジを貼ってしまうと、むしろゴチャゴチャとして相場を把握しづらくなるタイプなんです。

例えば先ほどの様に、移動平均線を貼った場合、

一応僕はインジ・マニアなんて、扱えることは扱えるんですが、実はチャートから相場の状況を認識しづらくなってしまいます。

メイン・チャートに曲線などが入り込むと、どうしてもその向こう側が見づらくなってしまうんですよ。インジをメインチャートに貼れば貼るほど、むしろそちらに目が行き過ぎて、相場の理解の仕方が二重三重になって、分かりづらくなってしまうんです。

もちろんそれは、移動平均線に限った話でなく

これらの曲線達がチャートに入ってしまうと、そちらに目を奪われがちになります。

しかし、素のチャートに戻して見ることで、

僕にとっては見えてくるものが、非常に見えやすくなってくるわけで。

言ってしまうと、素のチャートが良いとか悪いとかではなく、僕は僕なりの苦肉の策が、チャートからインジを極力外すということだったんですね。

勝てる様になるきっかけが、全てのインジを外し、素のチャートとにらめっこを続けたところから始まった、というのも実は僕の認知の得手不得手が関係していたのかもしれません。

で、インジを外した素のチャートから見える景色。それを他者にも分かるように可視化したものが、僕にとっての「ライン」になります。

僕の中では「ライン」と言っても、それは価格帯を仕切る1つの目安のことで、実際はそのラインとラインの間の値動きの移動が気になるんですね。

これを、もうちょっと他者にも分かる様に可視化して説明すると、次の様な図になります。

左端から説明していきますが、

紫色での価格帯にあった価格が、その後ブレイクして上昇トレンドを形成するわけですが、これは赤色で囲ったクラスターがエレベーターに乗るかの様に上昇していくようなイメージ。(あくまで視覚的イメージで話しています)

次に緑色で囲ったAのエリアを価格は上下しながら移動していますが、徐々に高値を切り下げていく様を見ながら、

「あぁ、売り圧力が上から徐々にかかってきてるみたい。ってことは、次は下の価格帯に移動していくかな?」

そんな感じで感じで僕はチャートを見ます。

すると、やはり緑枠Aのエリアにあった価格は徐々に下へと落ちていきます。次の下の赤い枠に移動し、次は紫枠のエリアへ・・・って感じで下落していく様に見ているんですね。

底値を付けた後は再び上のエリアに戻り、赤い枠の中を上下します。

で、Bの緑エリアで分かる通り、赤枠を一旦ブレイクして高値を更新した後、赤い枠に一旦戻りますが、下値を切り上げる形で再び赤枠を上にブレイク。上昇トレンドの始まりです。

まぁ、こんな風に僕は価格がそれぞれ上下にエリアを移動するというイメージで相場を把握しようとするので、

こんな風にチャート表示してしまうと、その点が見えなくなってしまうんですよ。

もちろん、メインチャートにインジを貼っても、きちんと見える人もいるんでしょうけど、僕は見えづらい。

それが僕のチャートに対する認知の得手不得手なんです。

また、僕の様に値動きのエリアが上下するという相場の見方をしなくとも、相場状況を把握できる人もいるでしょうから、そんな人にとっては逆に僕の相場の見方は邪魔になってしまうかもしれません。

そんな人は、むしろインジを友好的に活用した方が、成績が良くなるはずです。

まぁ、いずれにせよ、これが僕のチャートの認識の仕方としては、最も腑に落ちるやり方なんです。

ですから僕は、インジが好きでインジを弄りまくるくせに、結局はトレードに滅多には用いないという、不思議なことを繰り返し続ける羽目になっています。

僕なりの工夫

とは言え、僕はやっぱりインジが好きな人です。

インジの良さを知っているつもりですし、素のチャートだけで全てが理解できると思うほどの自信家でもありません。

なので、インジを使う際には、僕のチャートの認知の仕方の基本を邪魔しないように、色々と工夫をしています。

例えば、ボリンジャーバンドなんかは、

こんな風に、描画の色を極力薄くして、チャートを見る際の妨げにならないようにしたりしてます。

また、ボタンやキーをタッチすることで表示のオンオフを切り替えられるインジを使ったりします。

ボリンジャーバンドなら、そういったものがいくつも出ています。僕の場合は「Mi_BollingerBand」というものを使ってます。

移動平均線は、ある方(紹介すると勝手に依頼したりする人が出てくるのを避けるため名前は伏せます)に作ってもらったインジを使っていて、

右上端の小さなボタンで4本の移動平均線を表示したり非表示にしたり出来る様にしています。

アナタにとってのインジのあり方

繰り返し言いますが、同じチャートを見つめていても、人によってその認知の仕方には得手不得手があります。

ですから、自分なりのインジを自分なりの表示の仕方で用いることが、アナタにとっての理想的なインジのあり方なんだと思います。

インジが爆益を生み出すサインを出してくれるものだと思っている限り、決してたどり着くことの出来ない聖杯探しの旅は続きます。というより、迷宮に迷い込んだままでそのトレード人生を終えるでしょう。

しかし、アナタが自分自身にとって最も認識しやすいチャート表示を探す旅に出たとしたならば、その道の先には「利益」という目的地が待っていることでしょう。

ひょっとして僕ら裁量トレーダーにとっての「聖杯」とは、自分なりのチャート表示の最適解を見つけ、その最適解をきちんと扱えるようになるのことなのかもしれませんね。

 

ということで、今回のお話はここまです。

それじゃあ、また。

僕とインジの奇妙な関係(1)ちょっとしたインジケーター解説編

自称インジ・マニアな僕のインジ弄り

最近また、インジ厨が疼いてます

僕って、これでも結構なインジケーター・マニアな側面を持っています。

とは言っても、インジケーターのロジックを開発して新たなインジを作るとか、そういった類のマニアではありません。

確か、リーマンショックが起こる前の一時期には、そんなことをやっていた時期もありましたが、今ではコードの書き方もバックテストのやり方も忘れてしまっている始末です。

ということで、僕の言うところのインジ・マニアというのは、

裁量トレーダーとしてインジの扱いや組み合わせ方による判断の仕方とか、そういったことに没頭してしまう

という範疇でのマニアのことです。

でもまぁ、このブログの常連さんなら、僕がその手のインジ・マニアだってこと、ご存じですかね。その片鱗は、「これがBOZ流!RCIの本当の使い方(1)」などの各記事を見ていただければ分かると思います。

で、X(旧Twitter)の方もご覧の方は、僕がまた最近、インジに凝り出してしまっているのもご存じかと。

ネットで入手したインジ群を組み合わせて見たり、外してまた他のものを加えてみたりと、これがまた結構飽きないんですよ。

つか、夢中になりがち。

で、今回弄ってるインジ達は、Xでポストした時系列で言うと、まずはこんな感じから始まって、

その後はこんな感じになり、

昨日の時点ではこんな感じになり、

今この記事を書いてる時点では、こんな感じになってます。

別に意識したわけじゃありませんが、この段階では結果として有料のインジがほぼ省かれ、ほとんどが無料のインジで構成されてます。

で、どうせなんで、このインジ達の紹介と主な使い方を次にお話しようかと思います。

ちょっと、その前に

注意事項

ちょっとこのチャートの使い方を説明する前に、予め言っておきたいことがあります。それは、

「これから説明するのは、サインツールではない」

ということです。

初心者トレーダーや多くの勝てないトレーダーは、インジケーターを「エントリーするタイミングをサインで出してくれるツール」だと勘違いしています。

もちろん、エントリーのタイミングをサインで知らせるために作られたインジやインジ群もあります。

しかし、基本的にインジケーターというものは、

「相場の価格推移の状況を、視覚的に表現しようとするもの」

であって、サインツールではないんです。

なので、

「優秀なインジを上手く組み合わせ、必勝のパラメーターを設定すれば、あとはインジが出してくれるサインに従ってトレードすることで爆益!」

みたいなのは、妄想でしかありません。

(もちろん、サインツールとして開発されたものはあります。しかし、自動化された様なツール(例えばEA)は、長期的に利益を積み上げるような優秀であればあるほど、むしろ短期間で爆益を生み出すような代物にはならないんですが、その話をすると話がズレるので割愛します)

なので、一応ここではこのチャートの使い方を説明はしますが、知っただけで儲けられることにはなりません。

このチャート表示方法で勝てるようになるためには、それぞれのインジをどれだけ使いこなせるかの技術が必要ですし、また複数のインジをどう連携させて扱えるかという腕も問われます。

ではなぜ、説明するのか?

「だったら、このチャートの使い方なんて説明する必要なんてないじゃん!」

って思う人もいるかもしれません。

もちろん、そう思ってっしまう様なレベルの低いマインドの人達のために解説するわけじゃありません。

僕の考え方は、

「人の視覚情報における認知の仕方は、人それぞれ。だから、自分に合ったインジを見つけてそれを使いこなせる腕を磨こう」

というものです。

なので、この記事をご覧の方が、自分が用いるインジをどう考え、どう扱ったら良いのかという「考え方のヒント」になればなぁ、というのが、今回のインジ解説になっています。

ということで、他力本願ではなく自助の精神に長けた方々に向けて、これから解説していこうと思います。

このインジ群の使い方、考え方

それでは、各インジの説明に入っていきましょうか。

上図の番号順に解説していこうと思います。

①発注ツール

この「Trade tool v1」は、正確に言うとインジではなく、「エキスパートアドバイザ」と呼ばれるもので、トレードの発注ツールです。

予め発注するロット数やストップやリミットを設定しておくことができるので、OCO注文(成り行きエントリーしたと同時に損切用と利確用の決済予約注文を出す注文方法)が出来ます。

僕は不測の事態に備えてエントリーと同時に必ずストップも設定するので、この手のツールは必須です。(不測の事態で地獄を見たことが、過去に2回ほどあるもので)

僕の場合、例えばポンド円なんかだとストップは20pips、リミットは50pipsに設定しておいてエントリーの際に同時に発注します。そしてエントリー直後に、チャート上で適切な位置に巣トプとリミットを設定し直す様にするのがルーティーンです。

もちろん、この手の発注ツールは他にもあります。国内業者でMT4を使えるところは、自社の発注ツールを予め用意してあったりしますし、有料のものもいくつか存在します。

ただ無料で一般的に出回っているものはあまりなく、僕が知る限りだと無料の場合はこれ一択になるのかなぁ?って感じで紹介してみました。(以前、無料で優秀なツールがあったんですが、今は有料化してるもので)

ところで、インジ単体もしくは組み合わせたインジをトレードで用いる場合、実践に入る前には検証と練習が必要になります。

通常は、FT5などトレード検証ソフトを使うんですが、そのソフトに用意されていないインジは使えないケースが多いです。(使えるツールもありますが、適用と使用方法を取得するのが面倒くさい)

なので、一般的ではないインジを用いる場合、僕は海外業者を用いて最低の0.01ロットで検証と練習を行っています。これだと、1回負けても多くて数百円、千円の損失するまでには何連敗も重ねないといけないので、海外業者は個人的には重宝する存在です。

②ボリンジャーバンド(ミドル20SMA・2σ)

使っているのは、「AllBollingerBands v2.5 600+」というインジです。バンドごとに色を変えるだけでなく、例えば1σと2σの間のエリアを色付けしたり、MTFに対応していたりと、非常に高機能なインジです。

MT4デフォルトのボリンジャーバンドでは細かい表示方法が設定できないので、色々なインジを組み合わせる際には、こちらのインジを使うと非常に便利です。

このボリンジャーは価格推移の状況を把握するために使ってます。使い方は、一般的なボリンジャーバンドの使い方と同じです。ミドルバンドは20SMAですが、邪魔なので表示を消しています。

ボリンジャーバンドの使い方が分からねーって人、もしくは知った気になってるだけの人は、このブログで解説してますので、「ボリンジャーバンドの使い方」シリーズをご覧ください。

③ボリンジャーバンド(ミドルバンド40SMA・1σ)

最初このチャート図を見たときに、「この薄紫の雲っぽいのは何?」って思った人もいるかもしれません。

でも単純にボリンジャーバンドです。使ってるのは先ほどと同様「AllBollingerBands v2.5 600+」です。

このボリンジャーは一般的な設定ではなく、ミドルバンドが40SMA(同じく邪魔なので表示はしてない)で、1σのバンドを用いています。

なぜこれを使っているかというと、主たる目的は「レンジか否か」の判断材料にするためです。

ボリンジャーバンドはレンジに入るとバンドがスクイーズしながら横を向きますが、そのレンジをいち早くきちんとした視覚情報として表現してくれるのは、個人的にミドルバンドを40前後に設定した時だと思っています。

ミドルバンドが20のボリンジャーだと、レンジに入ってもクネクネと蛇行をしたりしますから、バンドが形成途中のリアルタイムでトレードすると、判断ミスを犯しやすいんですね。そのためレンジ判断はミドルバンドを期間40前後のSMAにしておいた方が、何かと便利なんですよ。

またレンジかどうかを知るためなので、1σのみを利用します。2σよりも視覚的にレンジ判断しやすくなります。

上図を見てもわかる通り、横を向いた2つのボリンジャーバンドが重なった場合は、ほぼ鉄板の安心感でレンジ内取引、つまり逆張りでの売買ができます。

インとアウトに、この40SMAのボリンジャーを使うことはありません。レンジでのエントリーもエグジットも基本は20SMAボリンジャーの2σを使います。(もちろん、オシレーター等その他のインジも組み合わせての判断ですが)

トレンドが終了してレンジに移行しているのに、それに気が付かずについトレンドの順張りを続けて痛い目に合いがちな人には、この視覚情報を利用するのは有効じゃないかな?って思います。

ちなみにこの2つのボリンジャーの組み合わせは、トレンド判断にも威力を発揮します。下図を見てみましょう。

トレンド中の価格は、この40SMAボリンジャー1σと20SMAボリンジャー2σの間を推移することが多いので、トレンド判定にも使えます。僕はこの現象を「新バンドウォーク」と勝手に名付けてニヤニヤしています。

④転換線

この赤く太めの線は、一目均衡表を転換線です。MT4のデフォルトにある一目均衡表で十分で、それ以外の雲やら遅行スパンやら基準線は邪魔なので消してあります。

このインジは、主としてトリガーとして使います。

先ほどの画像も併せて見てもらえると分かりやすいですが、

特にトレンド中のエントリーのタイミングを掴むのに、結構役に立ちます。

レンジ中の反転判断に使うことも可能ですが、その場合は転換線単体で使うのは結構危険です。

さらに言うと、レンジの反転確認で利用する場合、入るタイミングが遅くなりますから、値幅の狭いレンジでの使用は、スプレッド分も加わり、損大利小となりやすいため、避けるべきです。

なお、転換線と10SMAの挙動は似ていますので、転換線の代わりに10SMAを利用してもOKです。もちろん、自動化してバックテストをしたら、おそらく両者の結果は違ってくるでしょうが、裁量トレードの場合は、それほど大差はなく・・・というよりも、自分が扱いやすい、判断しやすい方を選択した方が、成績は上がると思います。

⑤ZigZag

このインジもご存じの方、多いと思います。MT4にデフォルトで入っているZigZagを使っています。パラメーターもデフォルトのままです。

ただこのインジケーター、知名度はあるものの、実際のトレードで利用している人って少ないんじゃないかと思います。

だってね、リペイントしちゃうから。

通常のインジって、ロウソク足が確定するまではその値動きに合わせてインジも動きますが、ロウソク足が確定すると、インジの描画も確定します。

しかし、インジの中にはリペイントするものもいくつかあって、つまり一旦描かれたはずのインジの軌道の描画が、値動きが進むとそれに合わせて書き直されちゃうんですよ。

下を向いて終わっていたはずのインジが、値動きが進むにつれて気が付くと横向きの軌道になっていたり、上を向いていたりと書き直されてしまうのがリペイントです。まるで間違いを隠ぺい工作するかのように・・・

なので、リペイントするインジというのは、既に出来上がったチャートを見ると「完璧に効いてるインジ」に見えるんですが、それを知らずに「効くインジ」だと思ってリアルにトレードすると、騙し打ちにあい続け、なぶり殺しにされてしまうんですね。

ということで、この手のインジはちょっと弄ったことある人にとっては

「実践では使えねーな」

ってインジになるわけです。

ただ、この意見に関して僕は、「半分当たってるけど、半分外れてる」と思っています。リペイントするからと言って、リアル・トレードで全く使えないのかといえば、

「そんなことはない」

というのが僕の見解です。

が、正直使いこなすのは難しいです。下手に使おうとするなら使わない方が安全なレベルです。

なので、僕もこのZigZagを実践で用いることは敢えてお勧めはしません。興味のある方だけが検証や練習で試し、使いこなせるなら使えば良いと思います。

⑥爆弾マーク

このインジのロジック自体知らないのですが、ベースがZigZagにある感じです。ZigZagで描かれた山と谷のうち、何らかの条件が当てはまった際に、この爆弾マークが表示されます。

もちろんこれもリペイントするインジなので、後付けでチャートを見ると「赤い爆弾マークで買って青い爆弾マークで売れば爆益!」に見えますが、当然そんなことはありません。

で、このインジ、正直なところ今現時点では、

「いらねーかな」

と思ってます。恐らく今後このチャート画面から外される第一候補です。

有料のインジ・セットの中の1つのインジですし、今のところお勧めする気もないので、インジの名前は紹介しません。

チャート画像に載っているのは、ただ単に「まだ検証が終わってない」という理由です。

⑦⑧タイマー系インジ

ロウソク足が確定するまでエントリーは待った方が良いのかどうか?というのは、結構多くの人が持つ疑問です。

で、これに対する僕の答えは、

「初心者レベルや勝てない人は、ロウソク足確定まで待つべし!」

です。

ある程度経験のある人なら感じていると思いますが、実際の相場ではロウソク足が確定する直前で値を動かしに来ることが結構あります。

なので、ビヨ~ン!と陽線が伸びたのを見て、

「勿体ない!」

と慌てて飛び乗ったのに、ロウソク足が確定する直前で大きな売りが出てしまい、結局は長い上ヒゲや陰線で終わってたりすることがあったりします。

ですから、上手く勝てない人は、ロウソク足が確定するまではエントリーは控えた方が賢明ですし、またロウソク足が確定する直前の挙動は気にした方が良いんですね。

ということで、そんな時に重宝するのが、ロウソク足確定までの残り時間を表示してくれるインジケーターです。

⑦も⑧も、そんなタイマー系のインジになります。

残り時間を表示しくれるタイマー系インジには色々なものがあります。

チャート画面の右上端や左上端に表示してくれるものや、⑧の様に最新のロウソク足の傍に表示されるものもあります。

個人的には、最新のロウソク足の傍で表示される方が、視点の移動が少なくて重宝します。

ただし、タイマー系のインジには、正確に時を刻むものと刻まないものがあることに注意してください。

中にはティックに連動する様な形で時を刻むインジがあり、相場が閑散としていると時計表示が数秒間止まったままになったりするんですね。

相場が閑散としている時のトレードを避けたい人は、ティックチャートを見ずとも、その様なタイマーの挙動を見て避けるという応用的使い方ができます。しかし、残り時間を正確に知りたい人は、正確に時を刻む系統のタイマーを選ぶ必要があります。

で、ちょっと面白いタイマーを見つけたので今使ってみてるのが、⑦の「ShowTimeLeft」です。

時が経つにつれて、緑色のバーが画面の左側から右に向かって長くなっていき、残り10秒になるとバーの色が赤くなって知らせてくれます。バー表示なので、チャート画面のどの部分を見ていても自然と目に入ってくるので、結構便利です。バー表示はチャート上部に設定することも可能です。

またこのインジは、アラートを鳴らす機能もあるので、僕のように「ながらトレード」をする人にも、結構重宝すると思います。

⑨RSI

オシレーターの古典かつ雄とも言えるのが、このRSIです。

主に相場状況の判断に使います。

レンジの時は主として40~60の範囲で推移しやすく、ボリンジャーバンドと合わせてレンジの確認を行います。またエントリーやエグジットの判断にも使います。

強い波動が出ると70や30(高値低値圏)まで達するので、逆張りから順張りへの切り替えの判断や、利確の判断にも使えます。

もちろんレンジであっても、高値低値圏に達した場合はボリンジャー20SMAの2σと合わせてエントリーやエグジットの判断にも使えます。

正直RSIは奥が深く、ラインを引いてライントレードのような扱いも出来るので、僕としては最も重宝しているオシレーターなんですが、逆に言うと習得が難しいオシレーターとも言えます。

⑩ストキャスティクス

これもオシレーターとしては代表格ですね。主に過熱感の判断と反転確認に使います。

2本の線のクロスによって判断するので、1本線のオシレーターよりも扱いやすいと言えます。

が、他のインジ同様、「知ったから使える」という代物ではありません。使いこなすには検証と練習が必要です。あくまで、検証と練習を重ねた前提で「扱いやすい」というだけの話です。

ストキャスにはスローとファストの2種類があり、スローは騙しが少ないが反応が遅く、ファストは反応が速い代わりに騙しが多いのが特徴です。

個人的な意見を言わせてもらうと、例えば反転確認する際にしても、別にストキャス単体だけで判断するわけではないので、ストキャス自体に騙しが多くとも、基本的に騙されることは少ないです。

なので、僕は反応の早い方のファストを好んで使います。

まぁ、この辺はやっぱり「そのインジ及びインジの組み合わせをどの程度使いこなせるか」にかかっているわけで、オシレーターそのものよりも、トレーダー個人の力量の差が如実に出るのかと思います。

なので、スローを使うというのはむしろ、「他のインジと連動して判断できる裁量の腕がない」と思った方が良いかと。

ちなみにこのストキャスは、MT4のデフォルトで入っているインジで、ファストとスローを直接切り替える仕組みにはなっていません。なので僕は、パラメーターを9-3-3で使ってます。

オシレーターに関しては、RSIもストキャスも「オシレーター概要」で触れているので、参考にしてください。

以上、僕が今弄っているインジ達についての解説でした。

しかし、本当に奇妙なのはここから先

トレード界隈の劣悪さ

まぁ、先にも言いましたが、僕が今回このインジの組み合わせを紹介したのは別に、

「この手法を知れば、サルでも勝てます!」

ということが言いたいのではなく、むしろその逆だからです。

「手法とかいうのを知ったところで、勝てねーんだよ」

ってことを改めて伝えたかったわけです。

でもね、

むしろそれ以上に、インジに取り組む際の姿勢や考え方の大切さを改めて感じ取ってほしかったというのが本音です。

「これを知れば勝てます」とか「ここに入会すれば上達します」みたいな美味しい言葉を並べて、実は詐欺まがいだったなんてのは、このトレード界隈では日常茶飯事ですが、

実はもっと闇は深いわけで。

有名な出版社から書籍になっているものや、公認されている証券会社Webサイトのテクニカル紹介記事などにも普通に紹介されている類の「トレード界の常識」ですら、

実は現実とは全く違っている

ってことが、ザラにあるんですよ。紹介している本人たちが、実はそれが嘘や間違いだとすら気づいていないということが、ザラにね。

例えばその一端は、僕が「これがBOZ流!RCIの本当の使い方」シリーズで、世間一般的に知られているRCIの使い方はほぼ間違いだということをお話ししていることで、お分かりだと思います。

これ見よがしにテクニカルを解説している人が、実はそのテクニカル自体を大して分かっちゃいない、ってことが驚くほど多いんですよ。

何を信じて何を信じちゃいけないのかすら区別が難しい・・・

それがこのトレード界隈の現実です。

そのためにも今一度、トレードに対する気を引き締めてもらえたらなと思います。

しかし、もっと奇妙なのは・・・

ただここで、本来この記事を書き始めたのは、もっと別の目的があったからだということを、お伝えしなくちゃいけません。

ここまでこの記事を読んでいただければお分かりの様に、僕は結構なインジ・マニアです。インジを弄り倒すのが好きで、定期的に色々なインジを組み合わせてみたりして、遊んでいます。

 

そう、遊んでるんです。

 

新たに思うことがあると、いくつかのインジを組み合わせ、

「あーでもねぇ、こーでもねぇ」

とインジを外して新たなインジを加え、手持ちに満足するインジがなければ、新しくインジを探してみたりします。

そして、一通り止まっている過去チャートで検証した後は、リアルに動くチャートで検証や練習を繰り返します。

それ相当の労力と時間を費やしているわけなんですよ。

しかし、ある程度満足のできる代物へと仕立て上げた後は・・・

 

実際のトレードでは、使わない。

 

ハァ?使えるようになったのに使わないの?」

 

はい、そうです。

 

「バカなの?ねぇ、ほんとバカなの?」

 

そうかもしれません。でも、実際のトレードでは使わないんです。

 

「どうして?頭おかしいから?」

 

そうかもしれません。

でも、きっとただ遊んでるだけなんですよ、僕にとっては。インジ弄りが楽しいから。ただそれだけなんです。

僕とインジの奇妙な関係

ご存じの通り、僕は相場歴が25年を超えていますが、そのうちの前半10年以上は負け続けの日々でした。

でね、僕は今でもあの時のことを思い出すんですよ。

チャートを見ていても、実は何も見えてなかったあの当時の自分を。

 

今でこそ、インジを扱う腕も上達し、色んなインジを使ってみても、そこそこ勝てるほどに成長はしました。

勝てないトレーダーが使っているそのインジの組み合わせを使っても、恐らく僕は勝てるんじゃないかと思います。

それくらい僕は、インジ熱が発症するたびに、インジ達を弄り倒すことに熱中してしまいます。

でも、ある程度それが日の目を見る形に成長した辺りで、僕はいつも、まるで憑き物が落ちたかのように、ふと我に返るんですよ。

チャートに張り巡らされたインジ達を目の前にして、気が付くんです。

 

僕はそのチャートから、再び何も見えなくなっていることに。

 

インジを貼りめぐらせて勝てる様になっても、それは僕にとってインジを貼りめぐらせて勝てなかった頃と何も変わっちゃいないことに、ふと気が付くんです。

そして、愕然とする自分がいます。

(続く)