これがBOZ流!ライントレードの基礎5

さて、これまで4回に渡ってライントレードの基礎についてお話をしてきました。

そして、今回5回目は最終回・・・の予定でしたが、かなり長くなりそうなので、撤回しますね。この「ライントレードの基礎」はまだまだ続きそうです。

それでは、さっそく行ってみましょう。

環境認識について

今まで4回に渡って、ラインの引き方を解説してきました。前回に至っては、週足からラインを引いていって、徐々に1時間足まで落とし込んでいったと思います。

そして、BOZ流ライントレードでは、そこまでが環境認識を行なううえでの作業となります。前回まで説明した通りにラインが引ける様になったら、もう環境認識は終わったも同然です。

と、そこで話を終わらせてしまうと、雑な解説になってしまいそうなので、BOZ流ライントレードにおける環境認識について、少し掘り下げていきたいと思います。

BOZ流ライントレードの環境認識とは

環境認識をザックリと説明するならば、今現在の相場環境がどの様な状況にあるのかということを把握する、ということです。

で、よく説明されるデイトレードでの具体的な環境認識のやり方は、

「日足、4時間足、1時間足を見て、上昇トレンドか下降トレンドかレンジかを確認する」

といった感じですかね。要するに上位足の方向性を把握しておきましょう、ということですね。

ただ、BOZ流ライントレードにおける環境認識は、それとはちょっと違います。

BOZ流ライントレードにおいては、現在の相場環境にはどの様な秩序があるのかを見出すことが、環境認識となります。今の相場にはどの様な規則性があって、その中で価格はどの様にして移動しているのかを把握していくのが、環境認識です。

え?何言ってるのか分からない?

じゃあ、もっと具体的に説明していきましょう。

相場環境の規則性を知ろう

前回ラインを引き終えた時のチャートが、下の図です。

ラインを引いてる途中は、「なんだかチャートがゴチャゴチャしてきたな」という印象になりがちですが、1時間足まで落とし込んでくると、とてもシンプルになったと思います。

しかも、そのライン達は秩序を保っていますよね。気が付けば、ほぼ等間隔でラインが引けているんですからね。

そして価格は、一見複雑な動きをしているかに見えて、実は秩序だって引かれたラインとラインの間を移動し続けているだけです。

この様に、ラインを引いていくことで、僕らが今、向き合っている相場環境の規則性を見出すことが、BOZ流ライントレードの真骨頂となります。「今の相場環境にはこんな規則性があるんだ」と認識することそのものが、環境認識なんです。

そして、よくある様な「上目線だ、下目線だ、レンジだ」の類は、このBOZ流ではたいして重要ではありません。

いや、もちろん重要ではないという意味ではありませんよ。現在が上昇トレンドに位置しているのかとか、方向性は常に意識に置いておかなければいけません。

ただ、他の人が耳にタコができるくらいに繰り返すほどには、BOZ流においては、重要視していないということです。

だってね、どんなに下降トレンドを描いていようが、落ちてきた価格がラインで反発したら、買うんですよ。それがライントレードですから。そして反発した価格が次に向かうのは、次のラインです。

もう一度、上のチャートを見てください。そして、今までの解説通りに練習して引いた自分のチャートも見てください。

価格は、複雑怪奇に動いていますが、単純化してしまえば、やっぱり秩序だって引かれたラインとラインの間を移動し続けているだけです。たったそれだけなんです。

そして僕たちは、そのラインの引き方、つまり相場の規則性を見出す方法を手に入れました。そしてその相場の秩序を認識しています。

もう1度言いますよ。

BOZ流ライントレードでは、ラインを引くことで、相場環境の規則性を見出します。そして、それが環境認識です。

水平線と斜め線が出会う時

最も重要なのは、水平線

既にお話していますが、水平線と斜め線では、水平線の方が重要です。

なぜなら、水平線とは価格そのものだからです。100円という価格の「点」に時間という横軸の流れが加わり、それが「水平線」になります。

注目されるポイントとは、全て「価格」です。その価格を時が進んでも明確に把握できる様に描画したものが、水平線なんです。

水平線とは、注目される価格そのもの。

BOZ流が、平線を最重要視するのは、そんな至ってシンプルな理由からなんです。

トレンドラインは、トレードしづらい

それに対して、BOZ流では、世間一般的に言われているほど、トレンドラインを重要視していません。

もちろん、重要ではないと思っているわけではありませんよ。重要じゃなかったら、ラインは引かないし。

ただ、BOZ流で引くラインの中では、重要度は低い扱いとなります。

なぜでしょうか?

結論から言えば、トレンドラインでのトレードは、実際にはやりづらいからです。後付けで分析する分には良いんですが、リアルにトレードするには、ちょっと扱いづらいんですよ。

例えば、下の図はドル円の4時間足チャートですが、

まずは、A1をポイントとしてAラインが引けます。で、A2でラインを下抜けますが、戻っちゃいますねぇ。売ってしまっていたら、損切りです。その後も、ラインを割り込んでも、ラインに沿ってせり上がっていくパターンが続きます。

次に、B1をポイントとしてBラインを引いた場合ですが、これもB2で下抜けた後にラインに沿ってせり上がっていきます。結果、ラインの上に戻ってしまいますね。その後も、ラインを下方ブレイクしますが、やはりそのまま下落せずにラインに沿ってせり上がっていってますよねぇ。

で、C1をポイントとしてCラインを引いたところで、ようやくラインがきちんと機能します。C2で下抜けて初めてきちんとした下落をはじめました。

しかし、トレンドが開始してからCラインが引けるまでに結構な時間が経ってますし、C1で初めてラインが引けたので、次のトレードチャンス(トレンドラインに近づいて反発するまで)は、ずっと後になります。このラインでトレードしようとすると、上昇トレンドのほとんどは指をくわえたまま傍観しているだけになってしまいます。

他にも例を挙げてみましょか。下の図はユーロドルの1時間足チャートです。

まず最初にA1をポイントにしてトレンドラインAが引けるんですが、その後に2度ほどラインにタッチして反発しているんで、このラインは効いてる様に思えます。

ただ、B1で一旦ラインを割り込みます。まぁ、下ひげを付けてラインの上に戻っているので、よくあるオーバーシュートとして片づけても良いんですが、そのままAラインでトレードしようと思っても上手くいきません。

ラインを割り込んだからといって売っても価格は何度もせり上がって行くんですね。結果、損切りです。

A2まで来てラインブレイクした後は、Aラインの上部には戻らずに最終的には下落するんですが、実際のトレードだとA2で売りを建てても、やはりせり上がっていくので、ほとんどの人は損切りをした後に下落するという歯がゆい損失トレードになるんじゃないかと。

では、B1で一旦割り込んだので、こちらをポイントにしてBラインを引き直してみた場合はどうでしょうか?

結局はB2に至るまでの間、ずっとラインに接触することはありません。つまり、上昇トレンドが続いていても、Bというトレンドラインを根拠にトレードすることは出来ないんですね。

そして、ようやくB2に到達して下方ブレイクしたので売ったとしても、やはり価格はトレンドラインに沿ってせり上がっていきますね。損切りした途端に下落するという、これまたやはり嫌なパターンです。

この様に、上昇トレンドラインを下方ブレイクしたにもかかわらず、そのまま価格がラインに沿ってせり上がっていくことって、そんなに珍しくありません。例を挙げたら、キリがないくらいです。

もちろん、一発で何度も機能するトレンドラインが引けることも、多々あります。しかし、そうはいかない事例も多々ある様だと、

「トレンドラインって、リアルなトレードには、なかなか活用できないじゃん!」

と思ってしまうのが、実際のところです。そのため、BOZ流におけるトレンドラインは、他のラインと比べると重要度が低くなってるんですね。

ちなみに上のチャートに水平線を加えてみましょうかね。

トレンドラインを下方ブレイクしたのに、結局はせり上がっていた箇所は、単に水平線(レジサポ)で支えられて反発していただけだということが、分かりますね。

この例からも、上昇トレンドはトレンドラインを基準に進んでいるのではなく、水平線の間を移動しながら上昇しているということが、見てとれます。

BOZ流が水平線を最も重視し、トレンドラインの重要度を低くしているのが分かったかと思います。

でも、あまりにも有名なトレンドラインが、実際にはトレードしづらいのって、ちょっと変ですよねぇ。でも、実は理由があります。大まかに言うと、

  • 流派によるトレンドラインの引き方が違いすぎる
  • 指値・逆指値を置きづらい

ということなんですね。でも、これを説明していると日が暮れてしまいますので、またの機会に譲るとしましょう。

トレンドラインの活用法

じゃあ、使えないトレンドラインを引く意味なんてあるの?

という疑問がわいてくるかもしれません。

しかし、引く意味はあります。トレンドラインは手法として扱いづらい面が多々あるのは確かですが、環境認識としては十分に意味があるんですよ。

詳しく解説していきます。

まずは、なぜトレンドラインが引けるのか?ということを説明しますね。

例えば下降トレンドとは、価格が上下に行ったり来たりしながら、結局は高値を切り下げ、安値も切り下げていくわけですが・・・

下げてから戻ってくる、その戻り高値を上から順にA、B、C、D・・・としましょうか。

で、AからBへと移動した値幅とその移動にかかった時間の比率と、BからCへの値幅と時間の比率、CからDへの値幅と時間の比率が全て同じだったら?

簡単な算数の問題ですね?

三角形の高さを値幅、底辺を時間としたら、その比率が常に一定ならば、どの様な大きさの三角形であっても、高さと底辺を結ぶ斜辺の角度も、常に一緒です。

要するに、移動する値幅とそれにかかった時間の比率が同じであるから、トレンドラインが引けるということです。

これはまさに、秩序です。相場が規則性をもっているということに他なりません。

しかし、先ほど見た通り、価格はトレンドラインに反発しているのではなく、水平線に反発しているわけですよね。

ということは・・・

とりあえず、前回ラインを引いてみたチャートをもう1度見てみましょう。

上図の通り、やっぱり水平線で反発しています。そして、その水平線で反発したところに、トレンドライン(上記はチャネルラインですが)が引けるわけです。

つまり、水平線とトレンドラインが重なるところが、ポイントになるわけですよね。そういった秩序、規則性がその相場にはあるわけです。

であれば、現在からみて、水平線とトレンドラインが未来で出会う(重なる)ところが、次のポイントだと推測できるはずです。

下図は、先ほどのユーロドル1時間足チャートです。

この先をもう少し見てみましょうか。

上昇トレンドが終了して、下降チャネルが引ける感じなので、水平線とチャネルラインが出会う辺り(赤い丸の部分)が次のチャートポイントとなりそうかなと予測を立てることが出来ます。つか、環境認識上、今の相場はそういった秩序で動きやすそうですよね。

ということで、結果は・・・

ズバリ、当たっちゃいましたねぇ。チャートポイントとなる価格だけでなく、おおよその時間まで見当をつけることができます。

BOZ流において、トレンドラインの重要度は他のラインに比べて低いとはいえ、環境認識においては、きちんとした相場の規則性、秩序を表現してくれる大切なラインであることに変わりはありません。

フォーメーションの認識

環境認識において、忘れてならないのがフォーメーション(パターン)認識です。だって、フォーメーションそのものが、秩序ですから。

例えば、ディセンディング・トライアングルであれば、下値が同じ価格で支えられながら、上値は徐々に切り下がっている状態です。

ライン際まで来たら反転を待つかブレイクするのを待つだけなんですから、もう「フォーメーション」という秩序だった環境を提供してもらっているようなものですよね。これを利用しない手はありません。

日足レベルのフォーメーションだと、かなり大規模なものです。例えば、下図はユーロドルの日足です。

青ラインで囲ったフォーメーションは比較的大きなもの、緑ラインで囲ったフォーメーションは比較的小さなものです。

①は、日足で見れば上昇トレンドの途中の下降フラッグでしかありませんが、下位足でみたら、大規模な下降チャネルです。

4時間足レベルで見ても、画面いっぱいに広がるこの規模ですからねぇ。下図の様に15分足で見たら、下降トレンドしか見えなかったりします。

この規模のフォーメーションであれば、数日間にも渡る下降トレンドと上昇トレンドの繰り返しです。パターンラインを引けたら、トレンドの山と谷を捉えることも可能です。

②のシンメトリー・トライアングルの4時間足も見てみましょうか。

水平線と併用すると、随分とトレードしやすい環境になります。

③の小さめな下降フラッグですが、これも1時間足で見ると、

結構な規模になりますね。デイトレードで言えば、十分に値幅のとれる規模のフォーメーションです。

・・・と、ここまでのフォーメーションの解説、ひょっとして鵜呑みにしてませんか?

実は僕、ちょっと意地悪してみました。巷に蔓延るいい加減な後付け解説をやってみたんですが、気づきましたか?

知識さえあれば、過去に起きたことを説明するなんて、簡単なんですよ。しかし、僕らはトレーダーです。リアルにトレードして勝ち続けることを目的にしています。

なので、常にリアリティーを持ってチャートを見なくちゃいけません。

実は、BOZ流ライントレードにおけるフォーメーションの認識は、とても重要なんですが、フォーメーションだけでは先ほど解説した様には、簡単にトレードは出来ないんですよ。

ちょと、きちんと解説しますね。

フォーメーションが形成されていると認識するには、以下の2点が最低限の条件となります。

  • 高値が2点以上必要
  • 安値が2点以上必要

だって、フォーメーションですもん。上下に2点以上山と谷がないとパターンラインは引けないんですよ。

ということで、フォーメーションの内部でトレードするには、上下4点のポイントを付けてからになります。

であれば、先ほどの①は・・・

この15分足チャートの画面いっぱいに広がる下降トレンドは、

安値2回目をつける前なので、下降チャネルを形成しているとは認識できない中での下降トレンドです。後付け解説の様なフォーメーションだけのトレードは結構無理があるということが分かると思います。

じゃあ、実際のリアルでの環境認識はどうやってやるかというと、やはり水平線を最重要視したうえで、フォーメーションを予測してく作業になります。

具体的に説明しましょうか。上図チャートが下降チャネルを描く前までさかのぼってみます。

まず高値Aを付けた後に水平線のあるBまで下落した安値をつけました。ここまではAとBの水平線しか意識できません。

しかし、Bの安値をつけた後の上昇は、Aのラインまでは届かずにCで反転します。この時点でAとCを結ぶパターンラインとBの水平線によるディセンディングトライアングルの可能性が意識されます。

しかし、今度はDで反転。BDのラインが引けるので、下値を切り上げるトライアングルの可能性も出てきました。

ですが、この時点では、いずれのフォーメーションも可能性の段階でしかないんですね。

そして、この可能性を頭において、環境を認識していく必要があります。

なぜって?

僕らトレーダーは、過去のチャートを見て過去を分析するわけじゃないからです。現在から未来に向かってトレードするんですから、常に可能性と向き合うことがトレーダーとしての仕事になります。

では、次の展開を見ていきましょう。

Xの青い楕円形部分に注目してください。ACとBDのトライアングルと、ACとBの水平線のディセンディング・トライアングルの可能性を持ったまま、BDラインをブレイクしました。が、すぐ下にBラインがあります。水平線の方が重要なのでこのブレイクには乗りません。

すると案の定、Bラインで一旦サポートされますね。しかし、その後に抜けます。もしトレードするなら、この水平線を抜けてからです。

そしてこの時点で、ACとBDのトライアングルもACとBラインのディセンディング・トライアングルもブレイクしてしまったので、このフォーメーションのことは忘れてください。過去分析ではなく、今現在の環境分析なんですから。

で、次に向かうのはその下の水平線になるわけですが、そこに到達せずにEで下値を付けて反転します。

そしてこの時点で、ACに引いた斜め線と平行なラインがEをポイントに引けることに気が付きます。しかし、まだ可能性の段階ですが。

そして、青丸Yでほぼチャネル確定。そしてZでチャネルが確信に変わります。なぜなら、水平線と斜め線が出会ったところで、反転しているからです。これは、先ほどお話しましたね。

移動値幅と時間に規則性があることが確定したわけです。ということで、ここから下降チャネルで相場が展開すると、環境認識が出来るわけです。その後の展開は見ての通りです。

チャネルであっても、あくまでも水平線を基準として価格は移動しています。水平線とフォーメーションを同時に認識することで、相場環境の秩序はより明確になっていくと思います。

ただ、正直なところ、フォーメーション内でのトレードは、相当大規模でない限り、慣れが必要です。

なので、慣れないうちは、フォーメーションを見つけたら、フォーメーションのブレイクを狙うことを基本にしてください

先ほどのユーロドル日足チャートをもう一度見てください。

青色のパターンラインは、大規模なフォーメーションです。フォーメーションに気づかなくとも、水平線で取引が可能です。

しかし、緑色のパターンラインは小規模で、このクラスのフォーメーションは原則フォーメーション内での取引は不可能です。フォーメーションが認識できた頃にブレイクをはじめます。

ですから、やはり慣れないうちはフォーメーションを形成する可能性により早く気付けるよう意識づけするとともに、フォーメーションのブレイクを意識づけすることが賢明かと。

上達してから、大規模フォーメーションの内側を意識した取引を考えるべきですね。それまでは、水平線だけも十分な取引ができるはずですから。

相場環境は、変わっていく

今まで引いていたラインが、永遠に使えるとは限りません。時と共にラインは微調整を繰り返す必要があります。

しかし、それでもラインが機能しなくなる日がやってきます。そして、別なラインが新たに生まれていきます。

相場環境は、変わっていくんですね。

今まで等間隔で引けていたライン達が、調整の必要に迫られて、等間隔で並ばなくなる時があるかもしれません。

それは、相場環境が変わり始めた兆しなのかもしれません。

また、ラインを引く作業をしていくと、上手く引けない時があります。価格の上げ下げするポイントが乱れ過ぎていて、どこにラインを引いたら良いか迷う時もあります。

そんな時は、相場自体が迷っている証なのかもしれません。

ラインをどこに引いたら良いか判断のつかない時は、素直に「分からない」としましょう。相場環境が分からない、で良いんです。

そして、そんな分からない相場環境には手を出してはいけません。分かる時だけトレードをし、分からない時は素直にわからない、で分かる様になるまで待つことが必要です。

それが、トレードの基本なんですから。

相場の謎を解明しようと、頭を捻りに捻ったラインを引こうとする必要もありませんし、それこそ聖杯を探す必要もありません。

市場参加者の多くが、ハッキリと分かるポイントで多くの資金が動きます。自分しか見つけられないポイントで、相場が動くことはありません。もしあったとしたら、それは単なる偶然です。

誰もが認識できるポイントにラインを引いていき、そこに相場環境の秩序を見出していく。それがBOZ流ライントレードの環境認識です。


さて、以上で環境認識のお話は終わりにします。環境認識のお話だけで、随分と長くなってしまいました。でも、「環境認識」という言葉があれだけ流布しているにもかかわらず、これだけ長々と解説したものって、滅多に見かけませんよね。

なぜでしょう?ご想像にお任せします。

さて、次回からは、手法の話へと徐々に入っていきます。これも結構長くなってしまうでしょうけど、楽しみにしてもらえたら嬉しいです。

それじゃあ、また。

これがBOZ流!ライントレードの基礎4

さてBOZ流ライントレードの基礎第4回目です。

前回までの3回で、とりあえずライントレードの考え方、やり方、ルールの解説は終わりにして、今回は実際にチャートにラインを引いてみることで、手順や具体的な引き方を解説していこうかと思います。

それでは、GO!

実際にラインを引いてみよう

と、その前に・・・

ラインを引きやすくするための設定

ライン引きは、毎日の作業です。なので、まずはMT4を使ってる人のために、ライン引きがしやすくなるための設定から。

「ツール」から「オプション」をクリックすると、ダイアログボックスが開きます。

「ライン等の設定」タブをクリックしたら、「作成後にプロパティを表示」のチェックボックスにチェックを入れてください。以上で完了です。

この設定後は、ライン等を引いた直後、自動的にプロパティのダイアログボックスが開く様になります。

そのまま、色や太さ等のラインの設定が出来ますし、ラインを引くのにミスった時は「キャンセル」ボタンを押せば、ラインは直ぐに消えますから、ラインを引いたり消したり修正したりの際の手間が省ける様になります。

週足からラインを引こう

では、実際にチャートにラインを引いてみましょう。通貨ペアはとりあえず、ユーロドルにしましょうか。ユーロドルは通貨取引量が最も多い通貨ペアのせいか、値動きも特異性が少なく、ライン引きの練習には適しています。

まずは、週足からラインを引いていきます。

実際にトレードを行なう場合、週足チャートでは現在値から遠く離れた価格帯の山と谷にわざわざラインを引く必要はありません。なぜなら現在の価格がそこまで到達するのに、何週間も時間がかかるからです。

ただ、今回は練習なので、離れた山や谷にもラインを引いていくことにしましょう。

まずは水平線から

で、週足の場合は、前回お話した様に1点で構わないので大きな山と谷にラインを引きます。まずは、水平線からでしたね。

大きな山と谷に直近からラインを引いていきます。あまり細部に目を光らせずに、誰が見ても分かるポイントにラインを引くということを、心がけてください。

で、ラインの具体的な引き方ですが、とりあえずヒゲ先にラインを引いてみます。2点以上のポイントを結んでラインが引けそうな場合も、とりあえずは直近のロウソク足のヒゲ先にラインを引いてみてください。(直近の優位性)

では、ラインの色と太さを変えてみましょうか。時間軸の優位性から、大きな時間軸で引いたラインがより重要だということが一目で分かる様にするためです。

色や太さは各自の好みでOKですが、とりあえず今回は、週足のラインを赤色にし、太さは一段上げて表示してみます。

また、上図で示した様に、大きな山にラインは引けそうだが、その後そのラインが効いているのかが微妙で、引いて良いのか迷ってしまう場合もあります。

基本的に週足レベルで、ある程度の大きさを持った波から引くポイントは、微妙であっても意識されることが多いです。下の時間軸ではしっかりとラインが効いてるのが確認出来たりしますから。

ただ、日足や4時間足でも、その様に迷ってしまうケースは多々ありますので、そういった場合は、色はそのままで太さを1段階下げるとか点線にするなどして、後からでも区別できるようにしておきましょう。

なお、1時間足で引くラインの場合、迷ったら引きません。1時間足で迷う線は、それ以下の時間軸でハッキリとラインを引くことが出来るかもしれませんが、BOZ流では、分足にはラインは引かないからです。

BOZ流で勝負するのは、1時間以上の足で、ハッキリとラインが引ける場面だけなんですよ。

ということで、今回は、微妙なラインについては、色は同じまま、細い点線で表示することにしましょう。以下の様になります。

次に、先ほどヒゲ先に引いたラインの位置を調整していきます。調整の仕方ですが・・・

基本的には、ラインを引いた時にポイントとして通過するロウソク足達のヒゲ先から実体の終値部分までの間で調整していくんですが、

最も多くのロウソク足が通過する位置に調整してください。

なお、ラインを調整する際は、直近優位を意識してください。また、単なるレジスタンス・サポートよりも、レジサポ・サポレジとなる位置を意識してください。

まぁ、言葉だけだと分かりづらいかもしれないので、図で解説してみました。下の図をご覧ください。

では、上の図を参考に、週足のラインを調整していきましょう。

大体、こんな感じですかね。

「え?大体でいいの?」

はい、大体でいいです。調整の仕方は、ルールさえ守っていれば、アバウトでOKなんですよ。前にも言いましたが、BOZ流では、ラインにピタリと値動きが反応するという発想はありませんから。具体的にどうするかは、次回でお話しますので、ご安心を。

フォーメーションを探そう

次に、フォーメーション(パターン)を探します。ただし、これには注意が必要です。

過去に既に形成されたフォーメーションは、今現在トレードする際には関係ありません。既に終わったことですから。

フォーメーションを探すというのは、

現在の価格がフォーメーションを形成しつつあるかどうか?

を見るということです。今、フォーメーションを形成しているのであれば、そのフォーメーションに対応したトレードを行なえば良いだけです。そのために、フォーメーションを探します。

ただし、今回はやはり練習なので、過去に形成されたフォーメーションであってもラインを引いてみましょう。

斜め線を引こう

それでは次に、斜め線を引いていきます。引き方は水平線と同じです。

上図の緑色で示した上昇ウェッジ、別にフォーメーションとして捉えられなくともOKです。「トレンドラインの上にトレンドラインよりも角度の鈍った斜め線が引けるなぁ」という認識が出来ればそれで充分です。

形とか名称に囚われなくとも、認識できていることが大切なんですから。なので、あえて斜めラインを引く段階で、これを描いてみました。


ついでなので、ちょっと脇道それます。波動の話になってしまうのですが、「トレンドラインよりも角度の鈍い斜め線が引ける」というのは、安値を切り上げる力よりも、高値を切り上げる力が弱まっているということです。要するに、価格が上昇するごとに次第に売り圧力が増しているということですね。反転の可能性が高まっています。大体こういった時は、オシレーターはダイバージェンスを示します。波形が読めれば、オシレーターは必要ないという典型例です。


さて、週足のライン引きは以上です。

次に、日足にラインを引いていくんですが、その前にちょっとここで、ラインの調整の仕方について、寄り道します。

ライン(線)をゾーン(域帯)として認識しよう

第1回で、「市場参加者全員が仮に同じ価格1点に注目していたとしても、実際の売買が行われるのは、その価格を含む周辺一帯」という様なお話をしました。

そのため、ヒゲ先で引いたラインでピタリと止まったり、少しでも抜けたら突き進んだりすることは、そうそうありません。攻防はその周辺一帯で行われるんですから。

なので、実際はその売買の攻防が行われる位置をライン(線)として認識するのは誤りで、その周辺一帯をゾーン(域帯)で捉える必要があるわけです。

しかし、その攻防が行なわれる一帯はどこからどこまでか?というのは、確定しづらい面があります。その時その時の市場参加者の状況によって変わってきますからね。

ただ、一応の目安はあります。それはロウソク足の実体(終値)からヒゲ先の間です。これは、第1回目で「高値安値は重要。しかしヒゲ先と終値に優先順位はつけない」と説明した通りのことです。

実は先日、書店で見かけたトレードの本にも、この様にラインではなくゾーンとして捉えようとの解説がありました。その本でも、終値を基準としてヒゲ先までをゾーンとするようなことが書いてあった様に記憶しています。

確かに、ヒゲ先からロウソク足の実体をゾーンとすることで、ダマシは比較的回避できます。ゾーンを突き抜けたらその方向へ進み、反転してゾーンから出たらそのまま反転した方向へ突き進むことは多い様に思います。

そのため、BOZ流でもラインを調整する目安は一応ロウソク足の実体(終値)からヒゲ先の間としています。この範囲をゾーンの一応の目安とするんですね。

ただし、

そうやってゾーンを設けても、実際はその外側で攻防が起こりることは、普通にあります。特に大きな時間足のゾーン幅は「そのもみ合いだけで充分トレードできるじゃん」レベルの数十pipsに及ぶことはごく普通にありますからね。正直なところ、

ゾーンの範囲は予め確定しづらいというのが現実です。

なので、BOZ流では無理してゾーンを示す描画はしないということにしています。

いや、しても良いんですよ。ただ、面倒じゃないですか。ゾーンを表すためにラインを2本引いてみたり、ライン幅や四角図形をゾーンに合わせて調節してみるとかって。

おまけに、調節してゾーンを示しても、そこが実際に攻防が行われる範囲を示すとは限らないわけだし。

なので、BOZ流では無理してゾーンを描画せずにラインで済ますという方針にしています。


ただし、僕は、もう少し高度に値動きを把握する場合、敢えてゾーンを示すラインなどを描画することはあります。しかし、このライントレードの基礎シリーズでは、そこは省略します。だって、基礎なんだもん。しかもライントレードとしては、省略しても基礎が出来てれば十分通用するんで。気になる人は、1年前に書いた記事「後付け解説なら誰にでもできますが、実際にトレードするのは難しい、って話」とその続編「2017年12月14日午前まで続いた下降チャネルの内部構造について」でもヒントにしてください。


ただ、ゾーンを描画する代わりに、各時間帯(各ロウソク足)で最も数多く通った(争った)価格をラインで表示することで、

「このラインの周辺で、攻防が行われるぞ!」

という認識を持つようにします。これがBOZ流です。

「え?アバウト過ぎじゃね?」

とか思う人もいるかもしれませんが、アバウトで良いんですよ。だって、どの範囲で売り買いの攻防戦が行われるかなんて、知る由もないんですから。

で、アバウトにしておくことで、逆に的確な対処が可能になるやり方をBOZ流では行います。

まぁ、その際の対処の仕方は次回に譲るとして、話を元に戻しましょうか。

日足にラインを引こう

週足の次は、日足にラインを引いていきます。週足チャートを日足に切り替えましょう。

週足で引いたラインは残ったままですね。

ただ、時間軸を小さな方へと切り替えると、ラインが不自然な位置になることが結構あります。まぁ、大まかなところから、より細部に注目するようになるんですから、当然です。

なので、時間軸を小さな方に切り替えた時には、必ず上の時間軸で引いたラインを修正します。

ま、こんな感じになりますかね。

では、日足にラインを引いてみましょう。基本的には、週足のところで説明したラインの引き方と同じです。

まずは水平線から。直近から見ていって、とりあえずヒゲ先にラインを引きます。日足で引くラインは週足の次に重要なので、今回はラインを青色、太さは週足と同じ下から2番目の太さにします。

判断が微妙なラインは、太さを1段下げた青い点線にします。

その後、ヒゲ先に引いたラインを調整しましょう。

ここまでラインを引いてみて、気が付きましたか?意識してやったわけじゃないのに、ラインが等間隔で引けています。面白いですねぇ。

では次に、フォーメーションを探し、パターンラインを引いたら、その後は斜めライン(トレンドライン)でしたね。

ラインは引けば引くほど、チャート画面が乱雑になって、逆にラインとなるポイントを見逃しやすくなります。ただ、これは練習のため、もう引く必要のない過去のラインまで引いてます。「見逃してもいいや」くらいの気持ちで、ラインを引くことにまずは慣れましょう。

4時間足、1時間足にラインを引こう

続いて、4時間足に切り替えます。同様に、上位時間軸で引いたラインに調整が必要な場合は、調整します。

では、水平線を直近からヒゲ先に引きましょう。ラインの色は黒で、太さは今まで同様、デフォルトより1段太めにします。引いたラインは、調整しましょう。

同様に、パターンラインとトレンドラインを引きましょう。ただ、太めの斜め線が多くなると、チャートがウザくなるので、4時間足では太さを1段下げます。細くしても斜めラインの場合は、十分目立つので安心してください。

次に1時間足に切り替え、上位時間軸のラインに調整が必要だったら、調整します。そして、今まで同様に、水平線を直近からヒゲ先に引きます。ラインの色は黒で、太さは一番下で。

慣れてきたら、水平線が等間隔で引けるかどうかも、意識してラインを引くようにしましょう。

引いたラインを調整し、パターンラインとトレンドラインを引きます。

以上で完成です。

大きな時間軸からルールに沿ってラインを引いていくと、途中までは乱雑に見えていたチャートですが、1時間足まで来ると、むしろシンプルです。規則性をもって価格が推移しているのが把握できると思います。

相場って、面白いですねぇ。

と、ここまでは良いのですが・・・

ちょっと先の図をもう一度見てください。全体のバランスを考えてラインを引き直さなかったのですが、最も直近の山と谷に注目すると、オーバーシュートしているのが分かります。

4時間足では、ヒゲとロウソク足の間に位置しているんですが、1時間足ではロウソク足が山では3本分、谷では4本分のオーバーシュートです。

果たしてこれを、オーバーシュートとして片づけて良いのでしょうか?

きっと良くない。

このチャート画面は、当然のごとく右側が最も現在に近く、左側に行けば行くほど過去になっていきます。そして、オーバーシュートしている山と谷は、最も今に近い新しい山と谷なんですね。

なので、直近の優位性から、恐らくこちらの山と谷が今後意識される可能性が高くなるわけです。

時間の経過と共に、今まで効いていたと判断できる左側のロウソク足の先っぽ達は、どんどんと過去に押しやられ、やがてはチャート画面からも消えていきます。そして、オーバーシュートした山と谷は、次第に左側の中央へと位置し、存在感を増していきます。

ラインとは、永遠と機能するわけではありません。時間の経過とともに、相場環境も変化し、ラインは次第に機能しなくなったり、移動したり、新たに生まれたりしていくものです。

もし、このオーバーシュートが、新しいラインを引く起点になるとすれば、今まで等間隔で引けていた水平線の秩序が崩れます。これは、相場環境の秩序が変わりつつあることの示唆とも言えるでしょう。

しかし、まだ結論は出ていません。

こういった場合は、ラインを引き直しても構いませんが、事態は確定していないので、この山と谷に目印を置くとか、別な色などで区別できるようにラインを引いておくという対処でも良いかと思います。

素直に練習しよう!

今回は最新のチャート画面でラインを引いてみました。ただ、これからライントレードをはじめようという方や、今までライントレードを試みたけど上手くいかなかったので、BOZ流をちょっと試してみようという方は、

やっぱり、ラインを引く練習が必要です。このブログで数回に渡って解説してきたBOZ流の考え方とルールをもとに、ラインを引く練習を行ってください。

ブログやツイッターで僕が繰り返し言ってることですが、

「知ってる」=「使える」「できる」ではありません。

使えるようになるまで、出来るようになるまで、繰り返し繰り返し練習しなくちゃいけません。トレードは知識じゃなくて、技術なんですから。使いこなせるようになって、初めてそのトレード方法が活きていくるんです。

慣れない人は、少し時間がかかるかもしれませんが、頑張ってください。

あと、僕はこのブログでかなり詳しく解説していると思いますが、勝手に自分のオリジナルを加えて始めない様にしてください。

それぞれの流儀は、それぞれの理論を積み重ねて構成されています。自分の思い付きで手を加えてやりだすと、遠回りになってしまうだけじゃなく、下手をすれば全く無意味なものにしてしまうことだってあります。

僕は仕事上、人を教えることが多いのですが、やはり教えた通りに素直にやる人が一番成長が早いです。

大人になると変に賢くなって、出来るようになる前に、自分勝手にやり方を変えてしまう人が多いのですが、こういう人ってなかなか成長しないです。というか、いつまで経っても仕事が出来ない人のままで終わるケースがほとんどです。

なので、まずは出来るようになるまで、素直に教わった通りにやってみる。それが大切です。

ライントレードのためのライン引きを、自分のものにしていってください。

 

さて、今回はこれで終わりです。

次回はいよいよ最終回。実践編に突入します。今まで説明してきたBOZ流ライントレードを使って、実際のトレードのやり方を学んでいきましょう。

環境認識と手法の使い方から説明して、トレードの具体的な手順の説明と検証を行う予定です。

「BOZ流ライントレードって、こんな風にやるんだ!」

って、実際のトレードのやり方が分かりますよ。目から鱗が落ちるかどうかは知りませんが、こうご期待!

これがBOZ流!ライントレードの基礎3

さて、BOZ流ライントレードの基礎第3回目です。前回は、時間の優位性のお話をしましたね。

今回は、1つのポイントだけでラインを引くというお話からしようかと。

1つのポイントだけで引けるラインとは?

前々回では2つ以上のポイントを直線で引くというルールをお話したんですが、実は1つのポイントだけで有用なラインを引くこともできます。

もちろん、1つのポイントだけなので、斜め線は引けません。水平線のみです。

ただ、いくつかの注意点があるので、それを踏まえながらお話を進めていきたいと思います。

1.チャート画面上の最高値と最安値

ま、これは図で説明しなくとも分かる通り、開いたチャート画面上で最も高い山と最も低い谷に引くというやり方です。

まぁ、チャート画面上で最も高い価格と低い価格ですからね。目に付くので意識はされやすいです。

ただ、注意しなくちゃいけないのは、しょせん画面上で見えている範囲での判断でしかない、ということです。小さな時間軸であれば、大きな時間軸のほんの一部を切り取ったにすぎませんからね。

なので、本当にその高値安値が機能するかどうかは分からないんですね。下の図を見てください。ユーロドルの5分足です。

パソコンの画面いっぱいにチャートを開いていたとしても5分足という小さな時間軸だったり、表示環境が違ったりすれば、相場の全体像は全く把握できません。なので、上図で引いた最高値と最安値が、本当にチャートポイントになるかは、甚だ疑問です。

1時間足で、俯瞰して見てみましょう。

赤い丸の部分が、先ほどの5分足チャート画面の最高値と最安値です。ご覧の通り、ラインを引いた意味が全くないことに気づくと思います。

こういったことを防ぐには、前回お話した様に、大きな時間軸からラインを引いていくということが重要になってきます。大きな時間軸、つまり俯瞰した状態からラインを引く(ポイントを見つける)作業をしていれば、無意味な線を引きづらくなります。

また、実際のところ、チャート画面の最高値・最安値にラインを引いた後に、時間軸を上げてチャートを見ると、その高値安値は、他のポイントでラインを引いたところと合致していることが、結構多いです。つまり、大切なポイントが小さい時間軸だとチャートからはみ出して気が付かなかっただけ、ということです。

そういった意味でも、やはり大きな時間軸からラインを引いていくことで、無駄な手間を減らすことができるわけです。

2.週足・日足の大きな波の頂点

週足や日足といった大きな時間軸の場合、大きな波の山や谷は、例えそれが単独のポイントであっても、市場参加者からは十分に意識されます。あまり深く考えずにラインを引いてもOKです。

3.前週・前日の高値安値

前の週の最高値と最安値、前日の最高値と最安値は、市場参加者の多くに意識されています。

一定の条件が揃えば「今日の高値を抜けたら買い」だとか、出動する条件になっていたりする手法もあったりしますしね。

ただ、「意識されるポイントの1つ」ではあるんですが、通常のライントレードとしてのポイントの見つけ方(山と谷)と合致しないことがほとんどなわけで、値動きの反応も違うことが多くなります。

そのため、常のラインとは区別した方が良く、例えば点線や破線にするとか、色を変えるとかで、対処すべきです。

4.ダウ理論を利用した直近高値安値

前回お話した様に、市場の値動きには時間の優位性というものがあり、直近の高値安値は意識されやすくなります。

ただ、何でもかんでも直近の高値と安値なら良いわけじゃありません。条件があります。それは、

  • ダウ理論上の上昇トレンドが起きている場合の直近安値
  • ダウ理論上の下降トレンドが起きている場合の直近高値

こう言われても、ちょっと分かりづらいと思うので、詳しく解説していきます。

ダウ理論においては、

  • 上昇トレンドとは、高値と安値がそれぞれ切上げ続けて上昇している状態のこと
  • 下降トレンドとは、高値と安値がそれぞれ切下げ続けて下降している状態のこと

ですよね。ですから、トレンドが発生している場合、直近の高値や安値がきちんと更新され続けているかを、市場参加者は気にして見てるわけです。具体的に言うならば、

  • 上昇トレンドの場合は、直近安値が切りあがっているか?
  • 下降トレンドの場合は、直近高値が切り下がっているか?

という点に、注目しています。

なので、例え単独のポイントであっても、トレンドが発生している場合は直近の高値や安値に水平線ラインを引くことが出来るわけです。

ただし、このラインの取り扱いは、物凄く注意が必要です。その注意点とは、

  • 直近しか通用しない
  • ルールに沿った山と谷を選ぶ必要がある

ということです。詳しく見ていきましょう。

直近しか通用しない

ここで引くラインとは、トレンドが継続するのかしないのかを見極めるためのラインです。

例えば上昇トレンドの場合、直近の安値を現在の価格が下回った瞬間、「トレンドは終了」となります。それを見極めるためのラインですから、その役目が終われば終了です。

ラインを割らずに、新たな谷を付けて上昇をはじめ、直近の高値を抜けば、そのラインは消し、新たな谷にラインを引きます。

ラインを割ってしまえば、上昇トレンドは終了し、レンジか下降トレンドに移行する可能性が大です。直近安値の役目は終了するので、ラインは消すことになります。

いつまでもラインを残しておくと、混乱や過ちの源になるので、注意が必要です。

ただし、この直近しか通用しないというのは、トレンド継続中の時に限ります。トレンドが終了して反転した場合、これらのポイントは、再びラインの引ける注目ポイントとなる可能性がありますので、混同しないでください。

ルールに沿った山と谷を選ぶ必要がある

恐らく、初心者にはこれが一番厄介かも。なぜなら、直近の山と谷なら何でも良いってものじゃないからです。

選ぶ山と谷のルールは、以下の通りです。

  • 上昇トレンドの場合、高値を更新した波の始まりとなる谷にラインを引く
  • 下降トレンドの場合、安値を更新した波の始まりとなる山にラインを引く

この2点だけです。言葉だけだとややこしいですね。図で説明します。

イメージできましたか?まぁ、これは、簡単な例です。

次の例は、もう少しややこしくなりますので、要注意です。

少し難しいですかね?イメージできるまで、ガン見してください。

でも、次はもっとややこしいです。前々回でお話したスイングラインを引いたことない人は、ちょっと覚悟して覚えましょう。

上昇トレンドの場合、高値を更新しない小さな波は無視する(正確に言えば、より大きな波の一部として捉える)のが、スイングラインのルールです。同様に、下降トレンドの場合は、安値を更新しない小さな波は、より大きな波の一部として捉え、結果として無視されます。初心者の方には、ちょっとややこしいですかね?

前々回でお話した様に、BOZ流ではスイングラインは波形分析に用いることにしていてライントレードでは(大切だけど)基本的には使わない、と言いました。

が、この場合のライン引きは、トレンド分析の上に成り立っていますから、どうしても波形分析からは切り離せないんですよ。

しかし!

上図の様なケースというのは、1つ上の時間軸で見ると、×印をつけたラインの谷は、谷として認識されず1辺の波にしか見えなくなります。

なので、BOZ流のルールである、大きな時間軸からラインを引いていくということを守れば、基本的にスイングラインの引き方を知らない人でも、混乱せずに済むはずです。

ただ、トレンドの直近高値安値は「直近」なだけあって、わざわざラインを引かなくとも認識できる範囲内かと、僕は思ってるんですね。

ラインは多ければ多いほど、むしろ混乱を招く原因になりがちです。

なので、ある程度慣れてきたら、これにはわざわざラインを引かなくても良いかと。ラインを引かずとも認識できるように、日ごろから意識づけしていくとが大切です。

5.トレンド継続を示すブレイクポイント

最後に、「これはちょっと補足程度でいいかなぁ~」という感じで、ご紹介。

先ほど、ダウ理論においては、

  • 上昇トレンドとは、高値と安値がそれぞれ切上げ続けて上昇している状態のこと
  • 下降トレンドとは、高値と安値がそれぞれ切下げ続けて下降している状態のこと

であるとお話しました。そして一方の

  • 上昇トレンドの直近安値
  • 下降トレンドの直近高値

にラインを引くというお話をしたんですが、今度はもう一方の

  • 上昇トレンドの直近高値
  • 下降トレンドの直近安値

に注目します。

しかも、注目の仕方は直近高値安値の更新前と後の2つです。どういうことかといえば・・・

上昇トレンドを例にとって、図を交えながら説明しましょう。

「高いところで買って、より高いところで売る」というトレンドフォローを行なう場合は、この直近高値を更新するかどうかに注目します。直近安値を切り上げた後、直近高値を切り上げることで、「トレンド継続が確定した」と判断するわけですね。

また、トレンド継続が確定した後の押し目として、ブレイクした高値の山から引いたラインがレジサポとして機能する可能性があります。押し目の目安の1つとして注目されるわけですね。

ただ、このポイントは「まぁ意識しておけば良い程度」で、わざわざラインを引くまでもないかな、というのが僕の正直なところの見解です。理由を述べると、ちょっと長くなり過ぎるし、話が大きく反れそうなんで割愛しますが。

いずれにせよ、トレンドに対するラインは直近のポイントですし、ラインをわざわざ引く必要はないかと。意識できるのなら、それでOKです。

トレードスタイルについて

どの時間軸までラインを引くべきか?

価格推移が生み出す波の山と谷。基本的にラインは、どの時間軸においても引くことが可能です。

そのため、小さな時間軸、細かな波にまで注目していけば、縦横無尽にラインを引けますから、チャート画面はラインだらけになってしまいます。

しかし、既にお話した通り、より時間軸の大きい方に優位性があるため、時間軸を小さくすればするほど、ラインの有効性も低下していくわけです。

じゃあ、どの時間軸までラインを引けば良いのか?という話になってきますが、それはトレードスタイルによるところが大きいです。

ただ、BOZ流ライントレードでは、ラインを引くのは1時間足まで(ただし、パターンラインは分足でも引きます)ということにしています。

その理由ですが、そこにはトレードスタイルが大きく関係してくるので、ここではちょっとそのお話を。

BOZ流はデイトレードが基本

僕のトレードスタイルは、基本的にデイトレードです。で、このBOZ流ライントレードも、必然的にデイトレードのために構成されています。

そのため、ラインを引くのも1時間足が最適としているんですね。

ですから、数日間ポジションを保有するスイングトレードであれば、無理に1時間足まで引かなくとも、細かくても4時間、通常は日足で十分かもしれません。

1日に繰り返し繰り返し取引行なうスキャルピングであれば、もっと細かく引く必要があるかもしれません。

ただ、同一通貨ペアでは1日にチャンスが数度しか訪れないデイトレードからすれば、ラインを引くのは1時間足までにすることは、とても重要になってきます。

1時間足とそれ未満との隔たり

時間の優位性から、ラインの有効性は時間軸が大きくなればなるほど増し、小さくなればなるほど減りますが、その落差は1時間足とそれ未満の分足とで、かなり大きくなります。

分足では、ラインを無視されることが極端に多くなるんですよ。

恐らく、資金量の大きい市場参加者の多数は1時間足以上を気にしていて、分足に注視する大口は少ないからかと。

そのため、BOZ流ではラインを引くのはやはり1時間足までというルールにしています。

環境認識と手法について

トレードを始めたばかりの方でも、「環境認識」や「手法」という言葉を聞いた方は多いかと思います。

環境認識とは、現在の相場環境がどの様な状況下にあるのか?を見ることを言います。

  • トレンドは発生しているのか?レンジなのか?
  • 今は売り方が優勢なのか、買い方が優勢なのか?
  • どの辺りの価格帯が市場参加者に注目されているのか?

これらを見極めることが、環境認識となります。

そのため、相場というものを俯瞰的に見る必要があり、比較的大きな時間軸のチャートで、こういったものを確認していくんですね。

それに対して、手法というのは、エントリーやエグジットするための条件です。有効だとする条件を1つ、もしくは複数用意しておいて、それら条件が合致したらエントリーし、それら条件が合致したらポジションを解消する、というのが手法となります。

  • 移動平均線による、ゴールデンクロスやデットクロス
  • オシレーターが◯◯したら買い、△△したら売り
  • プライスアクション

細かく例を挙げていったらきりがありませんが、こういったものを手法というんですね。

で、ラインを引くという行為は、環境認識で用いるというのがBOZ流の考え方です。そのため、あまり小さな時間軸にラインを引くということに意味がなくなります。

パターンラインについて

ラインは1時間以上に引くというルールが、以上の説明から分かったと思います。

ただし、パターンラインに関しては分足にも引いていきます。

なぜか?

答えは簡単です。フォーメーションは分足でも有効なことが多いからです。

プライスアクションだとか酒田五法だとか、ロウソク足の形状や並び方によって値動きを判断するやり方があります。

で、そのロウソクの並び方・・・実は小さな時間軸で見るとフォーメーションを形成していることがほとんどなんですよ。

前々回、2本で構成される包み足は1本にすると長ヒゲのロウソク足になるって話はしましたよね。覚えてますか?これです。

こういった感じで、ロウソク足を分解していくと、小さい時間軸ではパターンが形成されたりするんですね。

他にも例を挙げると、例えば下はユーロドルの1時間足チャート。

正確に言うと、5分足チャートに1時間足のロウソク足を表示させたものなんですが、矢印で示した下降トレンドの起点となったこのロウソク足の形状、小さな時間軸で見るとどうなるか分かりますか?

5分足を覗いてみましょうか。

ダブルトップを形成してますね。1時間足だとよく分からなくとも、5分足だとフォーメーションを形成していたことが分かります。

この様に、フォーメーションの場合は小さな時間軸でも機能することが多いですし、比較的早めに反転や継続を示唆してくれますので便利です。

なので、パターンラインに関しては、1時間未満の分足でも積極的に引いていく(引かなくとも認識できるなら、無理に引くことはありませんが)ことが、必要になってきます。

 

以上のことからBOZ流ライントレードは

  • デイトレードに用いる
  • ラインは環境認識として用いる
  • ラインは1時間足以上に引く
  • ただし、パターンラインは分足に引いてもOK

というスタイルで構築されていると思ってください。


さて、今回はここまでです。

ラインの引き方や考え方の解説はこのくらいにして、次回からは、実際のチャートにラインを引いてみる具体的な解説をしていきます。かなり実践的なところまで踏み込んでいくつもりなので、楽しみにしてください。

それじゃあ、また。