これがBOZ流!ライントレードの基礎3

さて、BOZ流ライントレードの基礎第3回目です。前回は、時間の優位性のお話をしましたね。

今回は、1つのポイントだけでラインを引くというお話からしようかと。

1つのポイントだけで引けるラインとは?

前々回では2つ以上のポイントを直線で引くというルールをお話したんですが、実は1つのポイントだけで有用なラインを引くこともできます。

もちろん、1つのポイントだけなので、斜め線は引けません。水平線のみです。

ただ、いくつかの注意点があるので、それを踏まえながらお話を進めていきたいと思います。

1.チャート画面上の最高値と最安値

ま、これは図で説明しなくとも分かる通り、開いたチャート画面上で最も高い山と最も低い谷に引くというやり方です。

まぁ、チャート画面上で最も高い価格と低い価格ですからね。目に付くので意識はされやすいです。

ただ、注意しなくちゃいけないのは、しょせん画面上で見えている範囲での判断でしかない、ということです。小さな時間軸であれば、大きな時間軸のほんの一部を切り取ったにすぎませんからね。

なので、本当にその高値安値が機能するかどうかは分からないんですね。下の図を見てください。ユーロドルの5分足です。

パソコンの画面いっぱいにチャートを開いていたとしても5分足という小さな時間軸だったり、表示環境が違ったりすれば、相場の全体像は全く把握できません。なので、上図で引いた最高値と最安値が、本当にチャートポイントになるかは、甚だ疑問です。

1時間足で、俯瞰して見てみましょう。

赤い丸の部分が、先ほどの5分足チャート画面の最高値と最安値です。ご覧の通り、ラインを引いた意味が全くないことに気づくと思います。

こういったことを防ぐには、前回お話した様に、大きな時間軸からラインを引いていくということが重要になってきます。大きな時間軸、つまり俯瞰した状態からラインを引く(ポイントを見つける)作業をしていれば、無意味な線を引きづらくなります。

また、実際のところ、チャート画面の最高値・最安値にラインを引いた後に、時間軸を上げてチャートを見ると、その高値安値は、他のポイントでラインを引いたところと合致していることが、結構多いです。つまり、大切なポイントが小さい時間軸だとチャートからはみ出して気が付かなかっただけ、ということです。

そういった意味でも、やはり大きな時間軸からラインを引いていくことで、無駄な手間を減らすことができるわけです。

2.週足・日足の大きな波の頂点

週足や日足といった大きな時間軸の場合、大きな波の山や谷は、例えそれが単独のポイントであっても、市場参加者からは十分に意識されます。あまり深く考えずにラインを引いてもOKです。

3.前週・前日の高値安値

前の週の最高値と最安値、前日の最高値と最安値は、市場参加者の多くに意識されています。

一定の条件が揃えば「今日の高値を抜けたら買い」だとか、出動する条件になっていたりする手法もあったりしますしね。

ただ、「意識されるポイントの1つ」ではあるんですが、通常のライントレードとしてのポイントの見つけ方(山と谷)と合致しないことがほとんどなわけで、値動きの反応も違うことが多くなります。

そのため、常のラインとは区別した方が良く、例えば点線や破線にするとか、色を変えるとかで、対処すべきです。

4.ダウ理論を利用した直近高値安値

前回お話した様に、市場の値動きには時間の優位性というものがあり、直近の高値安値は意識されやすくなります。

ただ、何でもかんでも直近の高値と安値なら良いわけじゃありません。条件があります。それは、

  • ダウ理論上の上昇トレンドが起きている場合の直近安値
  • ダウ理論上の下降トレンドが起きている場合の直近高値

こう言われても、ちょっと分かりづらいと思うので、詳しく解説していきます。

ダウ理論においては、

  • 上昇トレンドとは、高値と安値がそれぞれ切上げ続けて上昇している状態のこと
  • 下降トレンドとは、高値と安値がそれぞれ切下げ続けて下降している状態のこと

ですよね。ですから、トレンドが発生している場合、直近の高値や安値がきちんと更新され続けているかを、市場参加者は気にして見てるわけです。具体的に言うならば、

  • 上昇トレンドの場合は、直近安値が切りあがっているか?
  • 下降トレンドの場合は、直近高値が切り下がっているか?

という点に、注目しています。

なので、例え単独のポイントであっても、トレンドが発生している場合は直近の高値や安値に水平線ラインを引くことが出来るわけです。

ただし、このラインの取り扱いは、物凄く注意が必要です。その注意点とは、

  • 直近しか通用しない
  • ルールに沿った山と谷を選ぶ必要がある

ということです。詳しく見ていきましょう。

直近しか通用しない

ここで引くラインとは、トレンドが継続するのかしないのかを見極めるためのラインです。

例えば上昇トレンドの場合、直近の安値を現在の価格が下回った瞬間、「トレンドは終了」となります。それを見極めるためのラインですから、その役目が終われば終了です。

ラインを割らずに、新たな谷を付けて上昇をはじめ、直近の高値を抜けば、そのラインは消し、新たな谷にラインを引きます。

ラインを割ってしまえば、上昇トレンドは終了し、レンジか下降トレンドに移行する可能性が大です。直近安値の役目は終了するので、ラインは消すことになります。

いつまでもラインを残しておくと、混乱や過ちの源になるので、注意が必要です。

ただし、この直近しか通用しないというのは、トレンド継続中の時に限ります。トレンドが終了して反転した場合、これらのポイントは、再びラインの引ける注目ポイントとなる可能性がありますので、混同しないでください。

ルールに沿った山と谷を選ぶ必要がある

恐らく、初心者にはこれが一番厄介かも。なぜなら、直近の山と谷なら何でも良いってものじゃないからです。

選ぶ山と谷のルールは、以下の通りです。

  • 上昇トレンドの場合、高値を更新した波の始まりとなる谷にラインを引く
  • 下降トレンドの場合、安値を更新した波の始まりとなる山にラインを引く

この2点だけです。言葉だけだとややこしいですね。図で説明します。

イメージできましたか?まぁ、これは、簡単な例です。

次の例は、もう少しややこしくなりますので、要注意です。

少し難しいですかね?イメージできるまで、ガン見してください。

でも、次はもっとややこしいです。前々回でお話したスイングラインを引いたことない人は、ちょっと覚悟して覚えましょう。

上昇トレンドの場合、高値を更新しない小さな波は無視する(正確に言えば、より大きな波の一部として捉える)のが、スイングラインのルールです。同様に、下降トレンドの場合は、安値を更新しない小さな波は、より大きな波の一部として捉え、結果として無視されます。初心者の方には、ちょっとややこしいですかね?

前々回でお話した様に、BOZ流ではスイングラインは波形分析に用いることにしていてライントレードでは(大切だけど)基本的には使わない、と言いました。

が、この場合のライン引きは、トレンド分析の上に成り立っていますから、どうしても波形分析からは切り離せないんですよ。

しかし!

上図の様なケースというのは、1つ上の時間軸で見ると、×印をつけたラインの谷は、谷として認識されず1辺の波にしか見えなくなります。

なので、BOZ流のルールである、大きな時間軸からラインを引いていくということを守れば、基本的にスイングラインの引き方を知らない人でも、混乱せずに済むはずです。

ただ、トレンドの直近高値安値は「直近」なだけあって、わざわざラインを引かなくとも認識できる範囲内かと、僕は思ってるんですね。

ラインは多ければ多いほど、むしろ混乱を招く原因になりがちです。

なので、ある程度慣れてきたら、これにはわざわざラインを引かなくても良いかと。ラインを引かずとも認識できるように、日ごろから意識づけしていくとが大切です。

5.トレンド継続を示すブレイクポイント

最後に、「これはちょっと補足程度でいいかなぁ~」という感じで、ご紹介。

先ほど、ダウ理論においては、

  • 上昇トレンドとは、高値と安値がそれぞれ切上げ続けて上昇している状態のこと
  • 下降トレンドとは、高値と安値がそれぞれ切下げ続けて下降している状態のこと

であるとお話しました。そして一方の

  • 上昇トレンドの直近安値
  • 下降トレンドの直近高値

にラインを引くというお話をしたんですが、今度はもう一方の

  • 上昇トレンドの直近高値
  • 下降トレンドの直近安値

に注目します。

しかも、注目の仕方は直近高値安値の更新前と後の2つです。どういうことかといえば・・・

上昇トレンドを例にとって、図を交えながら説明しましょう。

「高いところで買って、より高いところで売る」というトレンドフォローを行なう場合は、この直近高値を更新するかどうかに注目します。直近安値を切り上げた後、直近高値を切り上げることで、「トレンド継続が確定した」と判断するわけですね。

また、トレンド継続が確定した後の押し目として、ブレイクした高値の山から引いたラインがレジサポとして機能する可能性があります。押し目の目安の1つとして注目されるわけですね。

ただ、このポイントは「まぁ意識しておけば良い程度」で、わざわざラインを引くまでもないかな、というのが僕の正直なところの見解です。理由を述べると、ちょっと長くなり過ぎるし、話が大きく反れそうなんで割愛しますが。

いずれにせよ、トレンドに対するラインは直近のポイントですし、ラインをわざわざ引く必要はないかと。意識できるのなら、それでOKです。

トレードスタイルについて

どの時間軸までラインを引くべきか?

価格推移が生み出す波の山と谷。基本的にラインは、どの時間軸においても引くことが可能です。

そのため、小さな時間軸、細かな波にまで注目していけば、縦横無尽にラインを引けますから、チャート画面はラインだらけになってしまいます。

しかし、既にお話した通り、より時間軸の大きい方に優位性があるため、時間軸を小さくすればするほど、ラインの有効性も低下していくわけです。

じゃあ、どの時間軸までラインを引けば良いのか?という話になってきますが、それはトレードスタイルによるところが大きいです。

ただ、BOZ流ライントレードでは、ラインを引くのは1時間足まで(ただし、パターンラインは分足でも引きます)ということにしています。

その理由ですが、そこにはトレードスタイルが大きく関係してくるので、ここではちょっとそのお話を。

BOZ流はデイトレードが基本

僕のトレードスタイルは、基本的にデイトレードです。で、このBOZ流ライントレードも、必然的にデイトレードのために構成されています。

そのため、ラインを引くのも1時間足が最適としているんですね。

ですから、数日間ポジションを保有するスイングトレードであれば、無理に1時間足まで引かなくとも、細かくても4時間、通常は日足で十分かもしれません。

1日に繰り返し繰り返し取引行なうスキャルピングであれば、もっと細かく引く必要があるかもしれません。

ただ、同一通貨ペアでは1日にチャンスが数度しか訪れないデイトレードからすれば、ラインを引くのは1時間足までにすることは、とても重要になってきます。

1時間足とそれ未満との隔たり

時間の優位性から、ラインの有効性は時間軸が大きくなればなるほど増し、小さくなればなるほど減りますが、その落差は1時間足とそれ未満の分足とで、かなり大きくなります。

分足では、ラインを無視されることが極端に多くなるんですよ。

恐らく、資金量の大きい市場参加者の多数は1時間足以上を気にしていて、分足に注視する大口は少ないからかと。

そのため、BOZ流ではラインを引くのはやはり1時間足までというルールにしています。

環境認識と手法について

トレードを始めたばかりの方でも、「環境認識」や「手法」という言葉を聞いた方は多いかと思います。

環境認識とは、現在の相場環境がどの様な状況下にあるのか?を見ることを言います。

  • トレンドは発生しているのか?レンジなのか?
  • 今は売り方が優勢なのか、買い方が優勢なのか?
  • どの辺りの価格帯が市場参加者に注目されているのか?

これらを見極めることが、環境認識となります。

そのため、相場というものを俯瞰的に見る必要があり、比較的大きな時間軸のチャートで、こういったものを確認していくんですね。

それに対して、手法というのは、エントリーやエグジットするための条件です。有効だとする条件を1つ、もしくは複数用意しておいて、それら条件が合致したらエントリーし、それら条件が合致したらポジションを解消する、というのが手法となります。

  • 移動平均線による、ゴールデンクロスやデットクロス
  • オシレーターが◯◯したら買い、△△したら売り
  • プライスアクション

細かく例を挙げていったらきりがありませんが、こういったものを手法というんですね。

で、ラインを引くという行為は、環境認識で用いるというのがBOZ流の考え方です。そのため、あまり小さな時間軸にラインを引くということに意味がなくなります。

パターンラインについて

ラインは1時間以上に引くというルールが、以上の説明から分かったと思います。

ただし、パターンラインに関しては分足にも引いていきます。

なぜか?

答えは簡単です。フォーメーションは分足でも有効なことが多いからです。

プライスアクションだとか酒田五法だとか、ロウソク足の形状や並び方によって値動きを判断するやり方があります。

で、そのロウソクの並び方・・・実は小さな時間軸で見るとフォーメーションを形成していることがほとんどなんですよ。

前々回、2本で構成される包み足は1本にすると長ヒゲのロウソク足になるって話はしましたよね。覚えてますか?これです。

こういった感じで、ロウソク足を分解していくと、小さい時間軸ではパターンが形成されたりするんですね。

他にも例を挙げると、例えば下はユーロドルの1時間足チャート。

正確に言うと、5分足チャートに1時間足のロウソク足を表示させたものなんですが、矢印で示した下降トレンドの起点となったこのロウソク足の形状、小さな時間軸で見るとどうなるか分かりますか?

5分足を覗いてみましょうか。

ダブルトップを形成してますね。1時間足だとよく分からなくとも、5分足だとフォーメーションを形成していたことが分かります。

この様に、フォーメーションの場合は小さな時間軸でも機能することが多いですし、比較的早めに反転や継続を示唆してくれますので便利です。

なので、パターンラインに関しては、1時間未満の分足でも積極的に引いていく(引かなくとも認識できるなら、無理に引くことはありませんが)ことが、必要になってきます。

 

以上のことからBOZ流ライントレードは

  • デイトレードに用いる
  • ラインは環境認識として用いる
  • ラインは1時間足以上に引く
  • ただし、パターンラインは分足に引いてもOK

というスタイルで構築されていると思ってください。


さて、今回はここまでです。

ラインの引き方や考え方の解説はこのくらいにして、次回からは、実際のチャートにラインを引いてみる具体的な解説をしていきます。かなり実践的なところまで踏み込んでいくつもりなので、楽しみにしてください。

それじゃあ、また。

 

2017年12月14日午前まで続いた下降チャネルの内部構造について

(この記事は2017年10月14日付の記事です)

さて、今朝書いた記事「後付け解説なら誰にでもできますが、実際にトレードするのは難しい、って話」では、

「後付け解釈通りには実際のトレードは出来ないし、それを見てクヨクヨする必要はないし」

って話をしました。

で、その続き。っていうか、そこからちょっと話を発展させて、もう少し実際のトレードに活かせる解説をしようかなと。

今回のこの下降チャネルの内部構造についてお話ししようかと思うんですが、まずはこのチャネルが形成される直前のチャートを見てみますか。

この段階だと、単に値幅の小さなもみ合いにしか見えないですよねぇ。つまり平行レンジ。この後、下降チャネルが形成されるとは普通は誰も思わないわけで。

ただ、別にこの後に下降チャネル形成されるかどうかなんて、実は問題じゃないんですねぇ。

大切なのは、「この価格帯で売り買いが交錯している」という事実です。

で、いつもこんなパターンなわけじゃないんですが、

この売り買いが交錯する価格帯(以下「ゾーン」と呼びます)が、どう移動するか?

というのを観測することが、値動きを読み込むうえで大切な1つになります。

では、このゾーンが、以降どのように移動してくかに注目してみましょう。

まずは、最初に売り買いが交錯したゾーンⒶは上下にブレイクを失敗しますが2回目の上値ブレイクに失敗した後、下限にブレイクし、価格帯はゾーンⒷへと一段下に移行します。このレンジ下限は、先のゾーンⒶにて下限ブレイク(緑枠)が失敗した際の下値ですね。これが意識されています。

で、次にこのゾーンⒷにて2回下限ブレイクをします(緑枠)が、いずれも失敗。なので次は上を試しに行くわけです。

ところが、この上限ブレイクは先のゾーンⒶの上値まで届かないわけで。つまり、上値ブレイクも失敗。2度ほど高値を目指しますが、願いかなわず諦めて下落へと。

で、この後はちょっと荒れます。

上値失敗した価格は、再度ゾーンⒷ内に収まるわけでなく、再度ゾーンⒷの下を試します。が、先の下値ブレイク失敗した価格帯(緑枠)が意識されていて、止められる。で、またまた上を目指しますが、今度は緑枠に入るのがやっとなので、やっぱ「下でしょ!」ってことで、大きく下に下げていくわけです。

しかし、これもまたⒶⒷの時と同じく、下限ブレイクしても大きく買い上がるため、Ⓑから1段ズレたところでもみ合いが始まり、ゾーンⒸを形成していくわけです。

こんな感じで、じりじりとゾーンを切り下げる形で、結果このチャートは先の下降チャネルを形成していくわけなんです。

ですから、前回説明したような後付け解釈で下降チャネルと判断するよりは、こういった値動きの読み込み方を取得していった方が、実際のトレードする際に活用できるようになります。(やり方は、ここでは説明しません。僕は、トレードの先生じゃないんで)

で、話をもう少し先の方に進めますが、

こういった内部構造を持った下降チャネルのパターンの場合、結果的に上にブレイクする傾向があります。

あ、これ・・・今この記事書いてる時点で実際にチャネルを上にブレイクしちゃってますんで、「後付け」で解説してると思われるかも。それは嫌なんで、一応チャネルをブレイクする前に僕がツイッターでツイートしたやつを載せておきます。

で、どうしてこのパターンの下降チャネルは上にブレイクしやすいのか?ってことですが、

普通、下降トレンド、つまり値動きが下降していく場合は下げ方が強いのが一般的です。が、このパターンは、じりじりとしか下げません。ゾーンが1段そしてまた1段という形。

価格は下げていくんで、売り方の勝ちなんですが、勝った割には力は拮抗しているんですね。だからすんなり下げないし、上下に価格がぶれやすい。

おまけに、上図を見ればわかる通り、下値ブレイクしても必ずと言ってよいほど勢い良く買いあがってます。

つまり、売り方がなんとか勝っている状態ですが、実はじり貧状態とも言えて、買い方にはまだ勢いが残ってるわけです。

売り方が息を切らしてくれば、買い方が勢いを増していく・・・

これって、絶対じゃないですが、普通に考えれば起こりやすい傾向ですよね?つまり、これが上限にブレイクしやすいっていう理由。このパターンの結果傾向を知らなくても、この値動きの攻防を読み込むことが出来たら、想像つきやすいですよね?

さらには、ゾーンⒸでの大きな下限ブレイクは、何度試しても一気に買い上がられていて、大きな下ヒゲを形成。おまけに最後の方のブレイクは前回の下値に全然届かない始末。

「これは、下げ傾向のクライマックスってことじゃね?」

って、値動きを読む人の多くは思うわけです。そろそろ、買い方が巻き返してくるな、と。

じゃ、結果ですね。

やっぱ、ブレイクしましたねぇ。でもまぁ、これ絶対ってわけじゃないです。相場に絶対はないわけで、あくまで傾向のお話です。

ちなみにですが、こういった攻防は売り方と買い方の勢力が拮抗した状態で起こってるので、上値ブレイクしたからと言っても、しばらくはじり高が続くケースが多分に考えられます。一気にバイーンって伸びるのは期待しちゃダメ。大きなファンダメンタルズ要因でもない限りは。おまけに、大きなファンダメンタルズ要因で、再度下落もあり得ますから。

ってことで、まもなく大きな指標発表が行わわれます。要注意ですね。

それじゃあ、また。

 

後付け解説なら誰にでもできますが、実際にトレードするのは難しい、って話

(以下の記事は、2017年10月14日付けの記事を加筆修正したものです)

まぁ、本だとかブログだとかで、後付けで相場やトレードのやり方を解説するのって、良くある光景です。(ま、僕もやるんですが)

チャートに線引いたりインジケータを表示させて、

「ここがこうなるから、ここで下降トレンドが発生」とか
「ここで売って、ここで買います」とか

って、ありがちですよね。例えば、こんな感じで。

これ、今朝のポンド円15分足チャートです。余計なインジケーターは表示させずに、ラインだけ引いたやつです、

これを見る限り、解説は簡単です。

「12月8日に高値を付けた後、下落。その後、下降フラッグを形成。この下降フラッグは、下降トレンド継続を示唆するので、フラッグの下値をブレイクしたら売り。」
「その後、下降チャネルを形成しているので、レジスタンスとなる上のラインで売って、サポートとなる下のラインで買う」

とまぁ、ざっくりですがこんな感じになるわけで。

で、チャートにラインを引いて説明されたら、確かにその通りなわけで。教科書通りの解説です。こんな画像と解説をされたら普通、「うんうん」って頷いちゃいます。

でもねぇ・・・

こういうのって、結果を見てから「こうでしたよ」って言ってるだけで、解説するのはとっても簡単なわけです。「明日の天気は晴れです」って予報するんじゃなくて、「昨日は雨でした」って結果をお話ししてるだけですから。

でも、このチャートが形成される経過の中でチャートを見つめていたら、果たして後から解説したようなトレードが出来るかどうかは、とっても疑問です。

ということで、チャートの後付け解釈ではなく、現実に直面する問題点をこれから解説していこうかと。

まずは、「じゃあ、実際に先の説明通りにトレードできんのか?」ってところから。

先の図から、下降チャネルのラインに接した部分を順番にアルファベットをふってみました。

A(買い)→ B(売り)→ C(買い)→ D(売り)→ E(買い)→ F(売り)→ G(買い)→ H(売り)→ I(見送り、または売り増し)→ J(買い)

おおっ!めっちゃ儲かってますねぇ。

ただまぁ、その後はうまくいかない。Jで買ってもレジスタンスに届かずに戻ってくるのでKで損切り。ただチャネル内に戻ったので頑張って買いなおしてもLにて損切り。Mもまた同じ。

しかし、ここまでのチャネル内の教科書的な売買であれば、10勝3敗程度で大幅勝ち越しにはなります。

が、実際のトレードでは、そうは問屋が卸しません。

チャネルラインを越えた時点でブレイクと判断して買いではなく売りで攻めたり、
ラインを勢いよく抜けた後に勢いよく戻るなんて思わないからあわてて損切りしちゃったり、
下限で買ってもなかなか上に伸びずに戻ってきたので慌てて薄利で決済しちゃったり・・・

実際は10勝3敗じゃすまないし、利幅も教科書通りには獲れません。

でね、ここで持ち出されるのが「メンタル」。きちんと冷静に判断できればとか、含み益が減ることに耐えられるメンタルがあればとか、ってやつ。

後付けでチャートを見て、

「ほら、こんなに値は伸びたのに、少しの戻しにビビッて、こんな薄利決済しちゃった俺って、メンタル弱い」
「目先の値動きに振り回されず、きちんとしたポイントで売買できてていたら、勝率だってもっと上がってたのに。弱いメンタルを何とかしなくちゃ」

なんて感じで、自分を責めてしまうわけで。

でもね、違うんですよ。

後から見れば、「ほらみたことか」ってなりますが、その経過途中からは、誰だって未来は見えないんです。

ほら、この時点のチャートを見て、誰が下降チャネルをこれから形成するって言えますか?どう見たって、平行レンジでのもみ合いでしかありません。

恐らく、早い人でこの段階まで来ないとラインは引けません。

となれば、早い人でも先のポイントABCDEまでは、後付け解説の様なチャネルライン内でのレンジ取引は不可能なわけです。

ちなみに僕は、このタイミングで仕事から家に戻ってきてチャートを開いたんですが、その際に「ひょっとしたら・・・」と思って下降チャネルのラインを引いていました。

でも、それは確信とは程遠い「可能性の1つ」でしかありません。

この後、チャネルライン形成に確信が持てるのは、翌日のお昼にラインがGに到達して跳ね返されるのが確認出来てからになります。その前に、Fでラインに到達しますがDと同じレベルの高値ですから、その先の値動きが見えないリアルタイムの中では、まだチャネルライン形成とは確信しづらいわけです。

じゃあ、もう1回先ほどの後付け解釈チャート見ていきましょうか。

リアルタイムの中では、Gに到達して反転が確認できるまでチャネル形成は確信持てないわけですから、上手くいってGで初めて買いに入れます。

(それまで平行レンジと判断していれば、Eの辺りは下方ブレイクと判断して売りで入り損切りしていた可能性が高いですね)

で、後付け解釈通りにやれるならば、HIJまでうまくいきますが、Jで買ってもチャネル上限には到達せずに反落しますので損切り。その後も、損切りの連発。

勝率少なっ!!

リスクリワード比は良いはずなので利益は残るはずですけど、公衆の面前でドヤ顔して解説できる程のトレードは実現できないことが良く分かります。

しかも、ラインってその人の主観で引いていくことになるので、人によって引き方が変わってきます。特に斜めラインは、その傾向が強いので、色んな線が引けちゃいます。こんな感じで。

太線で引いた外側のラインが先の図で引いたラインと同じで、教科書的な引き方になると思います。

で、ちなみにですが、そのチャネルラインの内側に上下1つずつ太い赤線でラインが引いてあると思います。これは、教科書とかには書いてないと思うんですが、僕が良く引くラインで、この2つのラインをゾーンとしてトレードするのが現実的だと、自分勝手に思ってトレードしてます。

ちなみにもう1個。

このチャネルラインの主軸となるゾーンは薄緑色の部分になりますね。まぁ、見てその根拠が分かる方だけ分かってもらえれば結構なんですが・・・

今日は休日で、ちょっとノリノリなので、もう少し踏み込んだ解説でもしようかな・・・

と思ってしまいましたが、ちょっと別のことをやりたいんで、その後に続きのブログを書こうかと。先の後付け解釈よりは、ずっとリアルタイムのトレードで使える解説になると思いますので、こうご期待。

→ 続きは、こちら。チャネルの内部構造について解説してます。