200SMAの使い方(その2)

前回は、200SMA(200期間移動平均線)について、僕なりの考え方を説明しました。

で、今回は200SMAを利用したトレードの具体例をご紹介する予定でしたが、その記事を書いている途中で、まだ200SMAについて解説していないことが多々あることに気が付くことに・・・

ということで、今回は予定を変更。

荒ぶる値動きを生み出す200SMAですが、それについてもう少し突っ込んだお話をしていこうと思います。

荒ぶる値動きの特徴

200SMA付近で価格は揉み合う傾向が高く、多くの場合、その値動きは激しいということを、前回お話しました。

では、その荒ぶる値動きの特徴をもう少し具体的にお話していきましょう。

高値低値が不規則

下の図はポンド円1時間足に200SMAを引いたものですが・・・

ご覧の通り、200SMA付近で価格は上下に激しく波打っており、その波の高値(山)と低値(谷)は不規則です。いわゆる乱高下。

規則性を見出せなくもないんですが、オーバーシュートが多発するため、買っても売っても損切りを喰らいやすく、実際はトレードしづらいんじゃないかと。

レンジを形成するといっても、高値低値を上手く捉えて売買するのが難しい値動きが、200SMA付近では起こりやすくなります。

状況にもよりますが、200SMA付近では乱高下の可能性を警戒する必要があります。

値動きが加速する

もう一度、先ほどのチャート図を見てください。

価格が200SMAに向かっていく時、まるで急加速したかの様に、一気に200SMAに近づくことが多いです。

同様に、価格が200SMAから離れる時も、急加速して一気に大きく動き出すことが非常に多いです。

見ての通り、価格はほぼ垂直に急上昇・急落下しています。

まるで200SMAという名前のトランポリンを価格が上下に跳ねまわっているかの様に見えてきますよね。

これも200SMA付近で起こる値動きの特徴です。

スピードの速い展開は、振り回されやすくなりがちです。下がったと思ってエントリーしたら下値をつかまされたり、急反転を喰らって損切りになったりとかね。

やはり、200SMA付近での値動きには警戒することが大切です。

値動きが荒ぶらない場合

200SMAで値動きが荒ぶる傾向がある。それは分かりました。

でも、200SMAを値動きが迎えても、荒ぶらずに一定の方向に動き続ける場合も、たまにあります。

こういった場合は、市場参加者の総意が値動きの方向にあると考えます。

つまり、しっかりとしたトレンドを形成すると。

「しっかりとした」というのは、調整波ではなく、主要なトレンドという意味で、比較長い期間トレンドを形成するということになります。順張りで利益をあげやすい局面と言えますあね。

移動平均線としての200SMA

荒ぶる価格の波を生み出す200SMAであっても、移動平均線には変わりありません。移動平均線の性質そのものは持っています。

ただ、移動平均線の性質は持ちつつ、他の期間との立ち位置が少し違っています。それについて、ちょっと解説します。

グランビルの法則について

価格と移動平均線は、近づけば離れ、離れれば近づいていきます。これ、グランビルの法則ですね。

で、そもそもグランビルの法則で引き合いに出されている移動平均線は、200SMAです。

そういった意味合いでも、200SMAは他の期間の移動平均線とは立ち位置が少し違うのかもしれません。グランビルの法則を意識している人は、200SMAを見ている可能性が高いことが推測されます。

トレンドを表現する移動平均線として

他の期間の移動平均線と同様に、200SMAも価格が上昇している時は上に傾き、下降している時は下に傾きます。

ただ、200期間というのは基本的に移動平均線の中ではかなり長い期間です。

短期移動平均線は10とか20辺りの期間がメジャーで、中期では50辺り。100を越えると長期と呼ばれることが多いので、やっぱり200という期間は、移動平均線の中では長い方。

というより、メジャーな考え方で言えば、200という期間は、最も長い期間と言えます。

ですので、価格に対する傾きの反応は、他の移動平均線に比べ、最も遅いわけで。

上のチャート図では、複数の移動平均線を表示しています。

  • 黒い線 = 20SMA
  • 青い線 = 50SMA
  • 緑の線 = 100SMA
  • 赤い線 = 200SMA

としてみました。

で、四角で囲った部分を見てもらうと分かる通り(つか見なくても分かると思いますが)、

価格が反転した際には、期間の短い移動平均線から順にその傾きも反転していきます。

しかし、200SMAはその反応があまりにも遅く、なかなかその向きを反転させません。

こういった特徴から、200SMAの傾きは、トレンドが強くてもその期間が短い場合は相関性は低いと言え、

むしろ、トレンドは緩やかでもその期間が長い場合、価格は200SMAに沿う傾向があります。以下の図はその例です。

こういった傾向を踏まえると、

200SMAが傾斜しながら価格に沿って動いている場合は、そのトレンドは主流となる波で、長く続く可能性が高いので、ガンガン順張りを仕掛けられる局面

との状況判断が出来るかと思います。

200SMAは状況判断(環境認識的な)に使えるテクニカルと言えるかもしれません。

200SMAは最後の砦

価格と200SMAが沿う様にして移動している場合は、トレンドが長く続く可能性が高いとお話しましたが、その場合、

トレンドが継続している途中に、価格が200SMAとタッチすることはほとんどありません。

下図は先ほど同様、違う期間の移動平均線を複数引いたものですが、

見ての通り、移動平均線の期間が短いほど、価格にタッチする機会が多くなります。

なので、エントリーのタイミングを計る際には、移動平均線の期間が短い方がそのチャンスは多くなります。

しかし、200SMAは価格にタッチすることがほとんどないため、トレンドフォローに対してエントリーのタイミングを計るのには、あまり役には立ちません。上図でもトレンド中にタッチして反転したのは1回だけです。

ということは、トレンド中に最も深い押しや戻しを付ける場合は、200SMAからの反転と考えることも出来ます。

つまり、200SMAはトレンド継続の最後の砦

というわけです。

しかし、200SMAがトレンド最後の砦だということが事実であれば、むしろ逆に

200SMAに価格が到達した場合は、トレンドが終了する可能性が高い

とも言えます。

上図の様に、一旦200SMAに価格がタッチしても、勢いよく反転し、再び価格と200SMAが寄り添って移動するなら良いのですが・・・

ほら、200SMAの付近で価格は荒ぶる可能性が高いんでしたよね。

つまり、価格が200SMAに達した後に素直にトレンドに回帰することはそれほど多くなく、むしろ荒ぶる傾向が高いわけですから、トレンドが終了する可能性が高くなるんですよ。

そう、200SMA付近での売買が激化するというのは、

200SMAがトレンド最後の砦であるがゆえに、トレンド継続を維持しようとする一派と、トレンド終了を慮(おもんばか)る一派とのし烈な争いの舞台となっているわけです。

そりゃぁ、荒ぶるわけだ。

例を挙げていきましょうか。まずは、先ほどのチャート図の続きから。

2回目のタッチでは揉み合いになってますね。単純にトレンド継続と判断するのは注意した方が良いことが分かると思います。

では、その続きはどうでしょう?

はい、見ての通り、荒ぶってます。

で、このケースのその後をお話すると、結果的には下降トレンドは継続します。

ただ、素直な下降トレンドではなく、調整局面となり下降チャネルを形成します。

俯瞰して見てみましょうか。

結果的には下降しているんですが、単純に下降トレンドのつもりで順張りしたり、トレンド終了と判断して逆張りしたりする際に中途半端に入ると、

切られる

そんな場面です。

しかも、このパターンはまだ良いケースです。だって、下降トレンド中の下降チャネルですから。結果的には下降しているので、売ってから逆行されても「運頼み、お祈りトレード」して損切りしなくても助かるパターンです。

しかし、こういったケースはそうそうありません。中途半端に入ったトレーダーには手痛いお仕置きが待ち構えていることがほとんどです。

売り手と買い手の攻防が激化する局面が、200SMAであることは上図でも容易に分かります。

「200SMAでは価格が荒ぶる」

それは200SMAがトレンド継続最後の砦だということにも起因します。

200SMAは交差点

既にお話した通り、最長期間レベルである200SMAは、他の移動平均線と比べると、価格の流れに対する傾きの反応は最も遅くなります。

例えば、下降トレンドが始まると、短い期間の移動平均線から順次下を向き始め、最後に200SMAが下を向き出します。

そして、トレンドが継続している最中は、期間の短い方から順序良く移動平均線は並んでいます。これ、基本ですよね。

ただ、上図で見て分かる通り、200SMAにタッチする辺りでは、移動平均線が一時的に交錯しています。

また、タッチした後にやや波動が弱まってきている様で、200SMA近くで価格の波が推移し始めると、順序良く並んでいた移動平均線たちの列はやや乱れ気味になってきている様です。

そしてトレンドの雲行きが怪しくなると・・・

移動平均線たちは、もうグチャグチャ。

上を向いているMAがあると思えば、下や横を向いているMAもあったりと、並び順もバラバラで、糸が絡まるかの様に各MAが交差します。

ということは、

例えば、20SMAを根拠に売る人がいると思ったら、50MAを根拠に買う人もいて、100MAを見ている人の中には価格との乖離を見て買う人もいれば、200SMAを死守しようと売る人もいたり・・・

もちろん、MAを見ていなくても、MAは価格の流れを抽象化したものなので、各MAと同じ方向に似たタイミングでトレードする人も増えていきます。

また、各MAが絡み合っている状態では、値動きが盛んに上下しますから、MAに関係なく、その他のテクニカルを根拠に売り買いする人も交差します。

要するに、

200SMA付近に価格が到達すると、それ以外の期間の移動平均線は乱雑に交差するため、売買は交錯し、価格が荒ぶる

ということになるわけです。

で、移動平均線の基本として、「各MAがゴチャゴチャしている時はレンジ」というのは皆さん、既にお分かりだと思います。

であれば、

200SMAと価格の出会いは、トレンドフォロー戦略からレンジ戦略への転換点

と考えることもできます。

こう考えると、やはり200SMAはトレード戦略を立てる上で必要な状況判断ツールとして、非常に役に立つことが分かると思います。

値動きの乱雑さを知ろう

前回お話した様に、仮にトレンドが継続しているにしても価格は荒ぶりますから、レンジ戦略の観点で十分上下に引き付けたうえでトレードすることで、値動きに振り回されることが少なくなるかと。

で、トレンド系のインジケーターと共にオシレーターを表示してトレードしている人も多いと思います。

なので、ちょっと先のチャート図に、オシレーターを表示させてみましょうか。

まずは、MACD。

ぱっと見は、上手く機能してそうなんですが、実際にやってみると意外に値幅が獲れません。

これ、高値や低値から勢いよく値を戻すので、MACDがシグナルとクロスしたのを確認してトレードしても、値が進んだ後のことが多くなるからです。

200SMAからのレンジは先ほど説明した通り、穏やかなレンジと違って値動きが素早く乱高下ですから、綺麗に獲るのは工夫が必要になるわけです。

もう1つ、ストキャスティクスでもやってみましょう。

ストキャスティクスを2つ表示しています。

上のストキャスティクスのパラメーターはMT4のデフォルトである「5-3-3」。値動きに対する反応は速いのですが、乱雑な値動きには振り回される可能性が。

下のストキャスティクスは「20-3-3」にして、動きを滑らかにしてみましたが、反応はやや遅れ気味になります。

ということで、下のストキャスティクスで高値圏に入ったら、上のストキャスティクスのクロスでトレードするという感じで試してみました。

しかし、MACDの時と同様に値幅を上手く獲れないことが多いです。もう少し工夫する必要があるかなぁ・・・という印象。

以上のことから、価格が200SMAに近づくことによってレンジの転換点とはなるのですが、その値動きは激しいため、レンジ戦略をとる場合は、翻弄されない様に注意と工夫が必要だということが分かると思います。

やはり200SMAと価格の出会いは、波乱万丈、一筋縄ではいかない荒ぶるドラマが待ち構えている様です。

 


 

さて、前回から2回に渡って、200SMAについて解説してみました。

これまで解説から、

200SMAはその性質や立ち位置から、手法に用いるというよりも、環境認識など状況判断に用いることに適したツールである

ということも理解してもらえたかな、と。

ということで、次回は今度こそ、この200SMAを状況判断ツールとして利用したトレードの具体例をご紹介します。

お楽しみに!

それじゃあ、また。

200SMAの使い方(その1)

前略、200SMAの上から

今日はちょっと200SMA(200期間単純移動平均線)のお話をします。

本当は、移動平均線だけじゃなく色んなインジケーターの総括的な話を先にした方が、テクニカルを勘違いして用いることを避ける近道とは思うんですが、何分お話するには膨大な時間が。

ということで、すっ飛ばして移動平均線の、しかも200SMAのお話をします。

ただ前置きとして知っておいてほしいのは、

インジケーター(オシレーターを含む)とは実際の値動きの過去データを加工したものに過ぎず、決してそれだけでエントリーのタイミングなどのシグナルを発する道具ではないということです。

これ、勘違いしてる人、結構多いと思うので。

ただまぁ、僕自身「20MAで反発したら・・・」という言い方をしてしまうので混乱しやすいんでしょうけど、

別に移動平均線は価格を反発させる力を持っているわけでもないし、抜けたら抜けた方向へ価格を加速させる力を持っているわけでもありません。

結果的にそういった風に見える事象を「反発」とか「支える」とかいう言葉で端的に表しているだけなんですね。

ただ、「過去の値動きを加工している」ということには意味があって、それは

値動きをデフォルメすることで、値動きの特徴を炙り出そうとする行為

だと僕は捉えています。各インジケーターが持つ考え方によって、値動きの特徴が端的に視覚化されるわけです。

それと同時に、もちろん見えるはずのものも見えなくなってしまうという弱点もあるわけですが。

とまぁ、そんな感じの前置きはこの位にしておいて、それでは本題へと進みたいと思います。

200SMAに対する考え方

200SMAについて

移動平均線の中で、最も多くの市場参加者に見られていると言われているのが、200期間単純移動平均線です。

ただ、「最も多くの市場参加者」といった場合、僕は単にそれが頭数の問題とは捉えていません。

なぜなら、僕ら雑魚クラスが何匹集まったところで、鯱や鯨に簡単に蹴散らされてしまうからです。

なので、多くの市場参加者というのは、多くの資金量を動かす市場参加者もしくは多くの資金量そのものと捉えた方が的確です。

で、そんな市場参加者たちが注目していると言われているのが、200SMA。

ですが、それって本当なんでしょうか?本当に市場参加者たちが注目しているのでしょうか?

きっと、それは誰にも分かりません。だって、統計とった人いないでしょうし、調べた人だっていないんじゃないかと。

つまり、俗説なんじゃないですかねぇ。

でも、僕らにとってはそれが俗説であるかどうかというよりも、その俗説は当たっているのか?当たっていないのか?が問題です。

では、それを考える前にもう一度、移動平均線について考えてみましょう。

再び移動平均線について

冒頭でお話しましたが、移動平均線そのものに価格を支持したり反発させたりする不思議な能力はありません。

ただ、売買が行われた結果として、視覚的にそう見えるだけです。またそう言葉で表現した方が説明しやすいからです。

では、移動平均線に注目している市場参加者が多数いるとするならば、もちろんそこで売買が行われるはずです。

つまり、価格が動くと。

しかし、その価格が動くというのが曲者です。どの様に動くんでしょうか?

上図はポンド円4時間足に200SMAを引いたものですが、確かに200SMAで反発しています。

しかし、ちょっと待ってください。

市場参加者がこの200SMAに注目して売買を行なっているといっても、このポイントで反発するということは、買い方ばかりが優勢ということになります。売り方は鳴りを潜めている。

つまり、この200SMAで価格が反発上昇している場合は、市場の大半の意見が「買い」で一致しているということです。「上がりますよ~」と市場参加者の多くが思っているということですね。

つまり、上昇トレンド。

要するに価格が移動平均線に到達して反発上昇するというのは、市場が上昇に同意している証、上昇トレンドだからなんですね。

ですから、この上昇トレンドが怪しくなっていくと、移動平均線で価格は反発しなくなってしまいます。

上図の続きを見てみましょうか。

きちんと反発していた価格は、その上昇トレンドが怪しくなってくると、全く反発しなくなりました。

つか、ゴチャゴチャし過ぎじゃね?
全く機能してなくね?

と思っちゃいますよねぇ。

でもね、

それが違うんですよ。むしろ、機能し過ぎなくらいです。

「え?マジっすか?」

マジっすよ。これこそが200SMAの真骨頂なんです。

200SMAの真骨頂

多くの市場参加者が注目していれば、そこで売買が盛んに行われます。

で、先に説明した通り、トレンドが出ている場合は、市場参加者の多数の見解が一定方向に傾いた状態ですから、移動平均線の付近ではトレンド方向に反発します。

しかし、トレンドが出ていない、もしくはそのトレンドが怪しくなってきたとしたら?

もちろん、市場参加者の意見は売り方と買い方に分かれ、激しい綱引きが行われることになります。売り買いが交錯するわけです。

じゃあ、売り買いが交錯する場面って、実際どんな値動きをすると思いますか?

そう、売り買いが交錯する時の値動きというのは

モミモミ♪

上下に揉み合う形で揺れ動きます。

ですから、200SMAの付近では多くの市場参加者が注目しているが故に、その周辺で売買が交錯し上下に激しく揺れ動くんですよ。

つまり、レンジを形成する。

そして、それが200SMAの真骨頂です。

念を押して言いますよ。

200SMAの真骨頂とは、誰もがトレンドを確信している際はトレンド方向で反発し、そうではない多くの場合では売り買いが激しく交錯してレンジを形成する

これ、大切なポイントです。

また、付け加えるならば、

200SMAでキレイに反発している様に見えても、実際のその内側では激しい売買の攻防が繰り返されている

とも言えるでしょう。

先ほどのポンド円4時間足のチャート。

ぱっと見、一番左側の赤丸ポイントは2回ほど200SMAを試していますが、それ以外の2箇所は比較的キレイに反発している様に見えます。

でも、これ4時間足なわけです。下の時間軸で見ると、実際は何度も何度も下値を試していることが分かります。下図は上図の真ん中の赤丸ポイントを5分足で見たところです。

緑の四角で囲った部分が、4時間足200SMAで反発したところですが、5分足で見る限り、何度も下値を試しています。

上図は既に出来上がったチャートなので、これだけ見たら上手く反転上昇を捉えられる様な気もしてきますが、実際は高値安値共に不安定ですし、緑の四角で囲った部分の外側でも、繰り返し下値を試しにいっています(青丸の部分)。

こういった場合、リアルでチャートを眺めていると振り回されちゃいやすいんですよね。下がると思って売ると上がり、上がると思って買うと下がりますからねぇ。経験のある方は沢山いると思います。

ですから、大きな時間軸では一見キレイに反発しているかに見えても、実際のその内側では、売買の攻防が激しく繰り返されているんですね。

ということは、端的に言ってしまえば、トレンドが出ていようがなかろうが、

200SMA付近では、売買の攻防が激化して価格は荒ぶる

と予め想定しておくことが出来ると思います。

200SMAでの値動きを考える

200SMA付近では売買が激しく交錯する。それは分かりました。

では、もう少し具体的に200SMA付近での値動きを確認していきましょうか。

機能する時間軸は?

その前に、時間軸。一口に200期間と言っても、それはどの時間軸に対応しているのでしょうか?日足?1時間足?分足はどう?

で、端的に言ってしまえば、200SMAはどの時間軸でも機能します。

ただし、僕は日中足に関して言えば4時間、1時間、15分、5分足以外のチャートは基本的に見ないので、例えば3分足チャートで機能するかどうかは知りません。

なので、MT4で用意されている最もメジャーと思われる時間軸では機能すると思っておいてください。

ただし、それ以外にも、ちょっと留意しておく点が。

時間軸の大きさについて

単純に時間軸が大きくなると動く資金も大きくなります。

なので、時間軸が大きくなればなる程、200SMA付近でモミモミした際のその値動きの大きさは膨大です。

小さく揉み合っている様に見えても、週足であればその値幅は数百pipsに及びます。

上の図はドル円の週足チャートですが、青丸で囲った部分を見てください。200SMAをまたいで小さく揉み合っているだけですが、その値幅は約200pipsです。

まぁ、こういったことは言わずもがな、なんでしょうけど、一応念のために。

15分足について

他の足同様、15分足においても200SMAは活躍するんですが、少し勝手が違うところがあります。

それは、15分足300SMA。

日足分析5SMAシリーズをご覧の方はピンとくると思いますが、15分足300SMAとは日足5SMAの近似値になります。

なので、200SMAと300SMAが接近している状況では、両者が意識されたような値動きになったりします。

以下にその例をいくつか挙げておきますね。赤い線が200SMAで緑の線が300SMAです。

まぁ、個人的にはあまり重要視はしてませんが、留意しておいた方が良いかなという点ではあります。時間のある方は、こういった状況下を研究するのも面白いかもしれません。

5分足について

AIのことは知りませんが、ビックな連中が見るのはせいぜい1時間足までで、分足は見ない、と言われてます。

が、5分足の200SMAも機能します。

なぜか?

実は、5分足の200SMAは1時間足20SMAの近似値だからです。両方とも非常に似た様な動きをするため、ポイントとなる箇所もほぼ一致しています。

つまり、1時間足20SMAを見ている、または見ていなくともその流れでトレードしている人は、自動的に5分足200SMAを見ていること近い状態になるわけです。

これが5分足200SMAが機能する原因じゃないかと、僕は考えています。

ただ、この5分足200SMAは1時間足20SMAの代用効果であるためか、他の時間足とは少し違った動きをすることがあります。

例えば、以下の様なケースです。

これは、200SMAに到達するまで静かだったのが、到達した辺りから急に大きく上に動き出すパターンです。

このケースは、ニューヨーク時間のクローズ前から東京時間にかけて値動きを小さくして揉み合いながら200SMAに近づき、欧州時間が始まった辺りで一気に価格が走り出すというものです。

5分足では大きな時間軸と比べて、乱高下しないパターンも割と多いので、留意しておく必要があります。

1分足について

正直なところ、僕は1分足を使ってトレードすることがほとんどありません。たまに値動きのスピードが激しくて5分足の判断じゃ間に合わないなと思う時に1分足を見るくらいです。

なので、1分足200SMAがきちんと機能するのかは、自信をもって言えません。チャートをざっと見たところ、「どうやら意識されているかの様な動きをしている」くらいのレベルです。

ということで、1分足200SMAに関しては、その時間軸を用いる方の検証結果に委ねることとします。

実際の値動きを見てみよう

では、実際に200SMA辺りで攻防が繰り返されているという値動きを、ちょっと観てみましょうか。

以下は全て、ポンド円の1時間足です。

200SMAをまたぐパターン

見ての通り、200SMAをまたぐ形で激しく乱高下しています。大体250pips程度の値幅になります。

ポンド円が1時間足200SMAをまたいで攻防が繰り返される場合、200~300pips程度の値幅を付けながらの攻防が多い傾向にあります。

もちろん、通貨ペアや時間軸で変わってきますので、あしからず。

200SMAを小さくまたぐパターン

赤く囲った部分を見てください。200SMAを跨ぎながら小さく揉み合ってます。

右側の赤い枠でのレンジは、メインとなって揉み合う値幅が約50pips、最大値幅は約100pipsです。

これ、ポンド円1時間足にしては比較的小さな揉み合いの方です。しかし、デイトレで言えばボラティリティは十分にあるレベルです。

また、緑で囲った辺りまで俯瞰して見ると、このレベルでも200SMAで揉み合っていると判断できます。

200SMAを大きくまたぐパターン

先ほどの図では、複数の小さな揉み合いを複合的・俯瞰的に見ると大きな揉み合いにも捉えられることが分かりましたが、下図はその典型的なパターンです。

緑色の丸で囲った部分が小さく揉み合った場面ですが、それが何度も繰り返されています。

そして赤い四角で囲った部分の様に俯瞰して見ると、200SMAを大きくまたぎながら長期間乱高下を繰り返していると捉えることができると思います。

近視眼的に200SMAからの揉み合い(緑色の丸部分)に気を取られて「抜けた!」と安心していると、次の波に巻き込まれ、さらにはそれらを包括する大きな波(赤い四角部分)に飲み込まれてしまうので、注意が必要です。

200SMAを高値低値にするパターン

ライントレードの攻防でもそうですが、常にチャートポイントをまたぐ形で攻防が行われるわけではありません。

チャートポイントの直下や真上で攻防が行われることも多々あります。下の図を見てみましょう。

緑丸Aは、200SMAまで価格が下りてきたところで攻防が繰り返されています。200SMAに近づくとそこで阻止され買い上がりますが、そこから離れると売り込まれていきます。

Bでは、一旦すんなりと上に抜けたと思いきや、高値から大きく売り込まれ200SMAに接近。しかし、200SMAを下値にして再び買い上がります。そしてまた高いところで売り込まれ、結果的には下に抜けていきました。

Cは比較的小さな攻防に見えますが、分足レベルでは比較的上下に大きく触れながら上昇している場面です。200SMAに下から近づくと一旦押し込まれますが、再度上昇。値動きを上下に細かく(分足レベルでは大きく)繰り返しながら200SMAを抜け、更にもう一度200SMAに向けて押してくるという攻防が繰り返されています。

下図は、200SMAを下値にして攻防が繰り返されているのが分かりやすい場面です。

こういった典型的な200SMA付近での攻防戦を見ていくと、

少なくとも200SMAに関しては、「抜けた」「反発した」で単純にチャートを見てはいけない

ということが分かると思います。

200SMA付近での値動きのまとめ

以上のことから、200SMAに価格が接近してきた際に考慮しなければいけないことをまとめると

  • 価格は200SMAの上下または200SMAをまたぐ形で売買の攻防が激しく行われる
  • 200SMA付近での売買の攻防は値幅が大きいことが多いが、小さな値幅で揉み合うこともある
  • 200SMA付近での攻防が終わったと思いきや、再び攻防が始まることも多い
  • 200SMAを価格が「抜けたから」とか「反発したから」などと単純に捉えてはいけない

という感じになりますかね。

では、以上を踏まえて実際のトレードではこれらの事象をどう活用すべきか見ていきましょう。

200SMAを用いたトレード戦略

200SMA付近では売買の攻防が激しく交錯する。

実は、これさえ知っていれば、トレードの全体的な方針は立てやすく、乱高下する相場に振り回されることも少なくなります。

ですから、200SMAに価格が近づいてきたら、僕らトレーダーは恋する乙女の様に、

ドキドキッ!

として、その感動の出会いを待ち構える必要があるわけです。

では、200SMAを利用したトレードの方法、ちょっと具体的に説明していきますね。

200SMAはレンジ戦略のターゲット

今までの解説をトレードする側の立場でもっと端的に説明するならば、要するに

200SMA付近において値動きはレンジを形成する

ということになります。値幅が大きかろうが小さかろうが、レンジを形成しやすいのが200SMA付近で起こる特徴です。

また、トレンドをキープしていても、価格は上下に激しく動くことも多くなります。

つまり、200SMAによって価格は荒ぶる

であれば、200SMAを参考にしたトレードの方針は至ってシンプルです。

「レンジ戦略」

順を追って具体的に説明するならば、

  1. 200SMAが近づいてきたら値動きが荒ぶる可能性を考慮。もちろん、200SMAを価格が一気に抜けたり大きく弾かれても、安心はしない。
  2. ポジションを保有しているのであれば、いつでも解消できる準備を。
  3. 価格が上下に振れ出したら、レンジを形成することを想定する。
  4. 価格の高値低値に規則性が生まれたら、それは取引可能なレンジが形成されたことになる。
  5. レンジ値幅が大きくトレードに十分なボラティリティなのであれば、レンジ内取引(レンジ上限で売ってレンジ下限で買う)。
  6. またレンジ・ブレイクしたらその流れに乗る用意も。ただし、乱高下は常に考慮。ブレイクして大きく値を伸ばしても再び価格が戻ってきたり、再度レンジを形成し始める可能性もあるので、安心はしない。

という方針でトレードに臨むことになります。

仮に乱高下の中で価格がトレンドをキープすることがあっても、レンジ取引の要領で、十分に上下に引き付けてのエントリーを心がけておけば、無駄に損切りに会うことも少なくなるわけです。

ただまぁ、言葉だけで説明しても今一つピンと来ないでしょうし、僕の説明が上手くないことも相まって、

「何でもかんでもレンジだ~ぁ!!」

みたいなノリでいられても困るので、ちょっと200SMAを利用したトレードの具体例でも挙げてみようかなと思います。

だってね、

気付いている人も多いでしょうけど、なぜ僕が今200SMAの話をしようかと思ったかというと、

リアルタイムでちょうどポンド円が日足200SMAを上抜いたところから荒ぶっているからです。

だから参考になればな、と。

が、

そう思ってトレード例を作成し出したんですが、どうやら膨大になりそうなので、今回はこの辺で一旦切り上げるとします。

次回では、実際のトレード例を挙げて説明していきますので、お楽しみに~!

それじゃあ、また。

ルールを守れないという人へ

ルールが守れない理由

僕だって昔は

先日、Twitterでも呟いたんですが、

「そういえば僕は今、トレードするのにルールとかほとんど意識してない」

ということに、ふと気が付きました。

もちろん、ルールを意識していないというのは、ルールがないというわけじゃありません。ルールを意識しなくとも、ルールに沿ったトレードが出来ているということです。

ただまぁ、仕事にしろスポーツにしろボードゲームにしろ、こういうのってトレード以外の世界じゃ当たり前のことなんですけどね。

なぜかトレードの世界だけが

「ルールが守れないっ!」

と騒いでいます。不思議ですねぇ。

とは言いつつ、僕だって勝てない頃は、やっぱりルールが守れない人でした。

例えば、以前の僕は

  • 環境認識をきちんとやる
  • 上位足と同じ方向にトレードすること
  • シグナルが出ていないのにエントリーしてはいけない
  • 負けを取り返そうとムキになってトレードをしない
  • ポジションを持っている間は席を離れてはいけない

なんてルール(実際は、もっと細かい)を、紙に書いて見えるところに貼っていたりしたんですが、

正直言って、全然守れない。

そして、それを自分のメンタルの弱さのせいにして自分を責める。そんなことを、ずっと繰り返していました。

でも、そんな真っ暗闇の中を抜けた今、振り返ってみると

「随分と、馬鹿だったな」

って、そう思うんですよ。

そんなルール、守れるわけないじゃん。つか、守れる方がどうかしてるでしょ。

ってな感じで。

ということで、今日のお話は、トレード・ルールが守れなくて頭を悩まさせている人に、お贈りします。

3種類のルールが守れない人

僕は、ルールが守れないという人には、3種類のタイプがあると思っています。その3種類とは

  1. 欲しがるだけの人
  2. 努力の方向性が間違っている人
  3. 作業工程が明確でない人

という感じになるでしょうか。では、具体的にお話しますね。

1.欲しがるだけの人

誰だって、お金は欲しいし、自由も欲しい。あれもしたいし、これもしたい。でも、あれはやりたくないし、それとは関わりたくない、って気持ちがあります。

だから、「お金もあるし自由もある」という人になりたい。

でも、なりたいだけ。

なるためにしなくちゃいけないことは、やりたくはない。

「確かに、そんなワガママな奴いそう」

なんて他人事のように思うかもしれませんが、結構誰にでも心の中にそんな自分がいるものです。

これ、ダイエットに例えてみると分かりやすいかな。

痩せたい、スタイル良くなりたい、という「なりたい自分」はいても、そのためにダイエットを頑張り続ける人って、少ないじゃないですか。

痩せたい、でも痩せるための努力はしたくない。

だから、楽して痩せられる商品や方法ばかりを追い求める。

しかし、こういった気持ちを心に抱えている人は、努力どころか、楽なことですら続けられないんですよ。

ただ朝にバナナ食べるだけのダイエットも続けられないし、座ってスイッチを入れるだけのダイエットマシンすら物置台になり果ててしまう。

なぜ?

だって、そもそもやる気がないから。

なりたい、でもやりたくない。

ただそれだけのことなんですよ。

で、トレードでもこれと同じ様な人が沢山います。

トレードで稼げるようになりたい。でも、そのための努力はしたくない。

だから、楽して稼げるトレードの手法や商品、方法ばかりを追い求める。

ダイエットできない人の構造と全く同じなんですよ。

やることなんて決まってるのに、やらないで近道ばっかり探してる。

で、そんな自分に反省して、

「今度こそは」

って。でも、また同じことの繰り返し。

こういった人は、すんなり諦めた方が良いです。

なぜなら、こういった態度というのは、投資家でも投機家でもなく、単なる消費者もしくは浪費家でしかないからです。

自分の欲望を満たすためにお金と時間を費やし、相場やそれらに関係する商品にお金を奪われていくだけの、ね。

「消費者としてのトレーダー」

こういった人を世間一般では、「ネギを背負ったカモ」と呼んでいます。

ただ、こういった怠惰な心というのは、誰にでもあったりするんじゃないでしょうか。間違いなく、僕の心の中にもあります。

もちろん、ほとんどの人は、こういった怠惰な気持ちで心が100%満たされているわけではないでしょう。でも、前向きな気持ちのどこか1割とか3割とか、個人差はあっても、そんな具合に誰の心にもあったりするんじゃないかなぁ?って思うんですよ。

なので、こういったことは他人事は思わずに、真摯に自分と向き合う気持ちが大切かなと。

2.努力の方向性が間違っている人

でも、トレードに取り組む多くの人は、一生懸命に勉強していると思うんですよ。トレード関連の書籍を読み漁ったり、経済や金融の勉強をしたり。

また、ネットでトレードに関する有益な情報を得ようと、TwitterやYouTubeを活用したり、僕の様にブログを書いている人の記事を参考にしたりなんかして、ね。

でもねぇ・・・

正直、それに費やす時間の多くが無駄なんですよね。

ちょっと、下の図を見てもらえますか。

見ての通り、平行レンジです。

じゃあ、今の相場がこの平行レンジだとしたら、どこで買ってどこで売りますか?

ある程度勉強した方なら、答えは簡単だと思います。

大まかに言えば、上図の様になりますよね。正解です。

じゃあ、次はこれ。

この下降チャネルの売買ポイントは?

これも簡単ですね。

大まかに言えば、上図の通りになりますよね。

でも、本当の問題はこの後からです。

「じゃあ、アナタはリアルにチャートに向き合って、実際の取引を行なうとしたら、上図の様にして売買できますか?」

恐らく出来ないですよ。勝てない人のほとんどは、ほぼ確実といってよいほど出来ない。知ってるけど、出来ないんです。

だってね、それが物の道理です。

本で読んだバットの振り方とボールの見極め方。それを知ったら、バッターボックスに立って、来る球をポンポン打てるようになれるんですか?

将棋や釣り、仕事だってそうです。本やネットで知識を手に入れたら、いきなり他者から抜きんでる実力が付くとでも?

知識を得ただけでモノゴトを上手く渡り歩ける様になることなんて、この世の中にはほとんど無いんですよ。極めて当たり前のことです。

トレードのやり方は人ぞれぞれ何で一概には言えませんが、例えば僕の様なライン引きは、上図の段階になる前には既に、下降チャネルの可能性に気づいています。

しかし、本やネットの情報で知識を得て、後は毛の生えた程度しか経験のない人は、言われなければ、その可能性に気づきません。

この辺まで来ると、きちんとトレードできる人は、下降チャネルと判断して既に買いのエントリーを行なっています。

しかし、知識だけしかない人は、この段階に来てもチャネル形成に気づきませんし、仮に気づいても、自信が持てずに躊躇してしまいます。

「あれ?どう線を引いたら良いんだろう?」

なんて迷っている間に、価格は勢いよく上昇を始め、上図緑色の丸の辺りで慌てて飛び乗ったりします。

トレードをきちんと出来る人は、引いたラインを修正するなど、実際の相場の値動きに合わせ、常に臨機応変に対応しようとします。

そして、チャネル上限で買いポジションを決済し、また売りポジションを建てます。

知識ばかりの人は、高値掴みをしてしまったポジションを損切りするか、損切りできずにずっと含み損に耐え続けます。

また、知識ばかりの人でチャネル上限で新規参入しようとする人は、

「売りたい」

とは思いますが、

「でも、ひょっとしてまだ上に上がるかも」

などと不安がよぎったりして、実際のエントリーに躊躇してしまいます。

仮に売りを建てることが出来たとしても、下落途中に価格が一旦上に戻し始めると、不安になって薄利決済したりします。

しかし、トレードできる人は、そのままポジションを保持し、チャネル下限で利確。さらに買いポジションを建てます。

下の図は、もう説明しなくとも分かりますよね。

トレードが出来る人は、臨機応変に対応しつつも、結局は教科書通りに淡々とトレードを繰り返します。

知識ばかりの人は、教科書の内容は知っていても、その通りにせずに、自分勝手にやってみたりやらなかったりして、自滅していきます。

この違い、何だと思います。

経験の差ですよ。検証と練習によって培われた体感レベルの技術を持っている人と知識しかない人の差です。

検証や練習を重ねた人は、その経験と技術を裏付けにした自信があります。

しかし、知識ばかりの人には、自信が持てません。裏付けになる経験も技術もないからです。

でもこんなこと、トレード以外の世界じゃ極めて当たり前の話です。子供だって知ってることですよ。

なのに、トレードの世界だけは、この当たり前のことが置き去りにされています。

もし、僕が勝てなかった頃の自分に今、会うことが出来て

「頑張ってるのになかなか勝てません。ルール違反もよくやります。どうしたら良いでしょうか?」

と相談されたら、きっと逆にこう質問を返します。

「じゃあ、アナタがトレードしているそのやり方、ルール通りにやった場合の勝率とペイ・オフ・レシオを教えてください。」

きっと、答えられないですよ。

勝てない人のほとんどは、自分のやっているそのトレードのやり方で得ることのできる具体的な結果(勝率やペイ・オフ・レシオ等)を分かっていない。

実は、自分が勝てるかどうか全く分からないやり方でトレードしているわけです。

自分ですら結果の分からないルールって、守れるんですかね?

普通、成果の分からないモノゴトには不安を覚えます。不安で曖昧な物事をやろうとしたって、ルール通りに出来ないのが当たり前です。

ビルとビルの屋上に大きなハシゴを渡して、「ここを渡ってください」と言わても普通には歩けないでしょ?

「ほら、手と足を大きく振って下を見ずに、笑顔を絶やさずに!ルール通りにやって!」

と言われても出来るはずがない。

命綱が付いていても足はすくむし、ハシゴじゃなくて吊り橋であったとしても簡単にはできない。

つまり、そういうことなんですよ。

だから、経験の浅い人は、実際の相場に直面するとメンタルが揺さぶられ、ルール通りのトレードが出来なくなるんですよ。

ルールの守れない人は、基本的にトレードに対する不安があるんです。そして、その不安の素は、圧倒的な経験不足。検証と練習による裏付けがないから、自信がない。

自信がないのにトレードをするのは、自分の欲望に突き動かされているから。

そんな状況の人が、ルール守れると思います?

守れないですよね。守れる人の方が、どうかしてるぜ!

逆にね、アナタが寝食惜しんで検証と練習を続け、「勝率8割、平均利益:平均損益 = 2:1」ということがハッキリしたトレードの方法を手に入れたとしたら、どうします?

そのルール、守れないどころか、守らないことの方が不安になりますよね。

ですから、一生懸命にトレードの上達に励んでいるという人は、情報を得ることに時間とお金を費やすんじゃなくて、今ある知識を実際のトレードで使える様に検証と練習を繰り返すことへと、努力の方向性を変えていかないといけないわけです。

冒頭でお話した、僕がルールを気にしてトレードしていないという呟きに対して、SSSURFFF@ちゅぱ太郎(@SSSURFFF)さんは、

と、随分と格好つけたことを言ってたんですが、正直なところ

なるほど~!

と唸ってしまいました。

ルールが守れないという人は、自転車の乗り方の知識ばかりを探すんじゃなくて、実際に自転車に乗って練習を繰り返さなくちゃいけません。

早く補助輪をとって自転車で自由に走り回る日を目指しながら、ね。

3.作業工程が明確でない人

ある程度、検証や練習はやっているけど、それでも上手くトレードできないという人もいるかもしれません。

でも、そういった場合は、検証の甘さに原因があるんだと思います。

検証が甘い場合、実際にトレードすると上手くいかない場合に直面してしまうので、不安になりやすくルール違反をしてしまいがちになります。

また、検証自体が曖昧なものであると、実際のトレードにも曖昧さが出てしまいます。

で、その一端を表しているのが、

エントリーするまでの作業工程が明確になっていない

ということなんじゃないかと。

仕事でもなんでもそうですが、実際にやることに具体性がなく曖昧だと、モノゴトをきちんと進められないことがほとんどです。

今、何をすべきか?
次に何をやるべきか?

これをハッキリさせておく必要があります。

そのためにはまず、自分のトレードにおける具体的なエントリーの作業工程を書き出してみることをお勧めします。

検証が曖昧だと、具体的なエントリーの作業工程も曖昧になるので、作業工程を書き出すことが難しいはずです。

そして、上手く書き出せなかった部分の曖昧さが、ルール違反の大きな原因箇所となっているんじゃないかと。

そういった部分を上手く見つけ、検証し直すことで具体的な工程を確立していきます。

そして、一連のエントリー工程が具体的に定まったら、それを図表などにして、実際のトレードの際に各工程ごとにチェックをする様にします。

1つの工程が完了しないと次に進めない、という手順を踏んでいくことで、ルール違反はかなり改善されることになります。

トレードはお金を稼ぐ1つの手段です。トレードも仕事として捉え、その業務遂行を明確にしていきましょう。

トレード作業工程の基本

では、初心者向けにその作業工程をお話します。

ただ、トレードには色んなやり方があります。人によって、やり方や考え方は違いますし、同じ人でもいくつものやり方を使い分けていたりします。

なので、ここでは僕が考える基本的なエントリーの作業工程の構築の仕方をお話します。

もちろん、僕の考え方が大本になっているので、少なくとも以下の記事を読んでいること前提でお話しますので、あしからず。

トレードの基本3パターン

トレーダーにとって、相場には4つの大きな局面があります。それは、

  • 上昇トレンド
  • 下降トレンド
  • レンジ
  • 分からない

でしたね。

であれば、明らかな認識性と優位性をもつトレードの基本パターンは以下の3つしかありません。

  • トレンド・フォロー(トレンド方向と同じ方向にエントリー)
  • レンジ内取引(レンジの上限で売り下限で買う)
  • レンジ・ブレイク(レンジをブレイクしたらその方向でエントリー)

以上がトレードの基本3パターンです。

上昇トレンド中の下降する調整波を獲ろうとか、天底を狙うだとか、そんなことは上手くなってから考えれば良いわけで、

あっちもこっちも欲を出して手を出す必要なんて、ないんですよ。

まずは、認識性も優位性も高い、このたった3つの基本パターンを確実に獲っていけるいける様にすれば良いわけです。

BOZ流!基本パターンのエントリー局面

で、この3つの基本パターンのエントリー局面を、僕の場合でもう少し具体的に言うと、

  • トレンド中の調整局面から反転したところ
  • トレンド中の調整局面でパターンを形成したら、そこをブレイクしたところ
  • レンジ際で反転したところ
  • レンジをブレイクしたところ

でエントリーすることになります。

簡単に言ってしまえば、トレンドかレンジかを判断出来たら、後は反転するかブレイクするかの2点だけです。至ってシンプルですね。

ということで、初心者向けにエントリー作業工程表を作ってみました。

見た目は、こんな感じになります。

(注意:この表に書いてある「10SMAライン抜け」と「終値が20SMA抜け」というのは、思い付きで書いたものです。実際に有効なのかは分かりません)

こうやって見ると、別に大したものではなさそうですけどね。

でも、実は非常に大切です。

では、このエントリー作業工程表の使い方をお話していきましょう。

作業工程表の解説

この作業工程表は、見本として作成したものなので、書き込みづらいなど使いづらい様ならば、適宜変更してもらって構いません。

また、この作業工程表は、僕のトレードの考え方に準ずるので、各自のやり方で便宜的に書き換えてもらってOKです。

が、僕のブログの読者で初心者の方は、下手にアレンジを加えるよりは、まずはこの通りにやってもらった方が良いのかな、と思います。

では、この使い方をお話します。

環境認識から

まず、環境認識は相場にどの様な規則性があるかを確認するんですが、その過程からトレンドが出ているのかレンジなのかを判断します。

それが、以下の部分です。

環境認識によって、トレンドが発生しているのか、レンジなのかを判断します。

分からなければ、トレード不可能と判断。エントリーは、分かる様になるまで出来ません。

レンジの場合は、そのレンジ名を書き込みます(例えば「平行レンジ」「下降チャネル」等)。

レンジと判断した場合でも、そのレンジがどの様な形を形成しているのか分からなければ、トレードはそれが分かる局面に来るまで待つことになるので、トレードは出来ません。

で、トレードが出来そうな環境下だなと判断したら、工程表の上部にある「通貨ペア」に通貨ペアの名称を、「メイン時間」にトレンドやレンジと判断した時間足を書き込みます。

「タイミング時間軸」には、エントリーのタイミングをとる際の時間足を書き込みます。常に同じ時間足であればこの段階で書いてOKです。状況によって変える人は、タイミングをとる段階で書き込みます。

では、次からは「トレンド」の場合と「レンジ」の場合に分けて説明していきます。

トレンドの場合

環境認識によってトレンドと判断した場合は、「トレンド」に〇印などのチェックを入れ、次の工程に進みます。

価格がトレンド方向とは逆方向に動いている調整局面であれば④「調整中」にチェックを入れます。

価格がトレンドと同じ方向に推進した状況であれば、①「推進中」にチェックを入れ、調整を待つので②「調整待ち」にチェックを入れます。

調整待ちの状態から調整に入ったのを確認したら③「調整中」にチェックを入れます。

言わずもがな、③と④の「調整中」は同じです。相場を観察し出した時のタイミングが違っているだけです。

調整に入ったら、その調整がフォーメーション(トライアングルやフラッグ等)を形成しているのか、調整波が1辺だけの単なる押し目や戻しを付けているだけなのかを判断します。

調整波が1辺の押し・戻しの場合

調整波がジグザグと波を描かずに、単に1辺の押し・戻しであると判断した場合は⑤「押し・戻し」にチェックを入れ、工程表上部の「反転条件(ルール)」の欄に、反転確認をする方法(これがトリガー)を書き込みます。

そしてトリガーを引くタイミング、つまり調整から再びトレンド方向へと価格が反転するタイミングを待つことになります。

この段階でタイミングをとる時間軸を決める人は、工程表上部にある「タイミング時間軸」にもその時間足を書き込みましょう。

次に、反転を待っていることも明確にするため⑥「反転待ち」にチェックを入れます。

その際に、STOPの位置も決めます。工程表上部の「STOP条件(ルール)」の欄に損切りの条件を書き込み、設定したSTOPが施行された場合の損失幅(pips)を⑥「反転待ち」の下にあるカッコ(S )の欄に書き込みましょう。

それが終わったら、タイミングをとる時間軸に切り替えて、実際に反転が確認できるのを待ちます。

で、反転が始まり、書き込んだ反転条件のルールを満たしたら、「反転確認」にチェックを入れ、エントリーします。

以下はその記入例です。

調整波がフォーメーションを形成している場合

調整波がジグザグと複数の波を描いている場合は、基本的にフォーメーションを形成します。

その場合は、⑦「フォーメーション」にチェックを入れ、フォーメーションの名前を書き込みます。

で、このフォーメーションをトレンド方向にブレイクしたらエントリーすることになるため、工程表上部の「ブレイク条件(ルール)」の欄に、その判断方法を書き込みます。

そしてブレイク待ちであることを明確にするために、⑧「ブレイク待ち」にチェックを入れます。

その際に、STOPの位置も決めます。工程表上部の「STOP条件(ルール)」の欄に損切りの条件を書き込み、設定したSTOPが施行された場合の損失幅(pips)を⑧「ブレイク待ち」の下にあるカッコ(S )の欄に書き込みましょう。

それが終わったら、実際にパターン・ブレイクが確認できるのを待ちます。

そして、ブレイクが起こり、書き込んだブレイク条件のルールを満たしたら、「ブレイク確認」にチェックを入れ、エントリーします。

以下はその記入例です。

「トレンド」時のエントリーまでの作業工程は以上になります。次に、「レンジ」の場合を説明します。

レンジの場合

環境認識によって現在がレンジであると判断した場合は、「レンジ」に〇印などのチェックを入れます。

次に「レンジ名」にレンジの名称を入れます。レンジがどの様な形を形成しているのかまだ分からない場合は、「分からない」にチェックを入れ、「レンジの形がわかるまでトレードは不可能」と判断します。

「レンジ名」を記入したら、価格がライン付近に来るまで何もすることはありません。「ライン付近に来るの待ち」にチェックを入れて、その時が来るのを待ちます。

レンジでのトレードは、ライン際での反転による「レンジ内取引」か、ラインをブレイクする「レンジ・ブレイク」のどちらかになります。

なので、「ライン付近に来るの待ち」をしている間に、「ブレイク条件(ルール)と「反転条件(ルール)」に、規定したトリガーを書き込んでおきます。

そして、ライン付近に来たら「ライン付近到達」にチェックを入れ、画面をタイミングをとる時間軸に切り替えます。

この際に、「STOP条件(ルール)」に記入を入れ、「ライン付近到達」下の(

S )に損失想定幅を書き込みます。

そして、ブレイクが確認できたら「ブレイク確認」にチェックを入れてエントリー、反転が確認できたのなら「反転確認」にチェックを入れてエントリーします。

以下はその記入例。

さて、エントリー作業工程表の解説は以上です。理解できたでしょうか?

この様に、エントリーに至るまでの作業工程を明確にすることで、

  • 今、自分は何をしているのか?
  • 今、自分は何のために待っているのか?
  • 次は何をするのか?
  • この工程を行なうための定義(例えばトレンド判定の仕方)が甘いのではないか?

などのことが分かってきます。

自分が歩む道のりを具体的にハッキリとさせることで、安易なルール違反を防ぐことが出来るようになります。

このエントリー作業工程表、皆さんのトレードに上手く活用してもらえたらと思います。

が、しかし・・・

この後からが、本当に大切なお話になります。

大切なこと

さて、エントリー作業工程表も用意できました。これで、ルール通りにエントリー作業を進めることが出来ます。

さぁ、これから常勝への一歩を進み始めるぞ!

とお思いの方もいるかもしれません。

しかし残念ながら、このエントリー作業工程表を用いながらトレードを始めると

確実につまづくことになります。

で、僕は皆さんに、実はそうであることを期待しています。

そう、正しくつまづくことに。

実際にこのエントリー作業工程表を用いながらトレードをしていくと、色々な疑問や問題点にぶち当たるはずです。

例えば、下降トレンド局面で調整波が1辺であると判断して、戻り売りをしたら、価格はジグザグに波を描き出してしまうことが、きっとあるでしょう。

「え~!?上手くいかない!!」

でもね、それで良いんですよ。

その時々で、違う手順、違う方法でトレードしていたら、そういった問題点にいつまで経っても気づかないんですから。

検証も上手くいかず、結果も曖昧な状態がずっと続いていくだけなんです。

大切なことは、同じ手順、同じ方法で、トレードを繰り返すことです。

同じ工程で繰り返しトレードすることで、どの工程にどんな課題があるのかが浮き彫りになります。

先ほど例えた「下降トレンド局面で調整波が1辺であると判断して、戻り売りをしたら、価格はジグザグに波を描き出してしまう」という問題に直面したら、

「エントリー前に見分ける方法はないのか?」
「エントリーした後に回避策はないのか?」

という課題をもとに、再び検証をすることが出来ます。

例えば、上昇トレンド中に押し目買いをし、上手く上昇したと思ったら、直ぐに反転下落して損切りになってしまうことも、きっとあると思います。

しかし、そんな問題に直面したら、

「実は、上位足でレンジを形成していて、メイン時間軸ではレンジ上限目指して上昇トレンドを形成していただけ。レンジ上限に達する直前でエントリーしたため、反転下落してしまった」

という事実を見つけることが出来るかもしれません。

そうであれば、環境認識から現状認識までのやり方や考え方が、より強化できる結果につながるはずです。

同じ工程で繰り返しトレードすることで、技術的な課題を具体的に浮き彫りにすることができ、その課題に対して具体的に取り組むことが出来るようになります。

同じ作業工程を繰り返すことで発生した課題は「正しい課題」であり、その正しい課題は繰り返し検証することで、正しくクリアすることができるんですよ。

しかし、日ごろ手順も方法も曖昧でその都度バラバラなトレードをしてたら、この様に自分が抱えている具体的な課題は見えてきません。

見えてくるのは、見当はずれな課題ばかり。

そして、結果的には技術に焦点が当たることはなく、

「目先の値動きに翻弄されてしまった」とか
「ムキになってしまい、無謀なトレードを繰り返した」とか

自分の行動やメンタルばかりに焦点を当ててしまうんですよ。

具体的な技術の向上が図れないくせに、自分の行動やメンタルばっか気にしてたって、一生勝てるはずねぇだろうが、ボケ。

ということで、皆さんが世間に蔓延るトレードを教える資格も実力もない連中の戯言に惑わされないことを祈りつつ、今日はこの辺でお終いとします。

それじゃあ、また。