さて、前回の「ボリンジャーバンドの使い方(1)」の続きです。
前回はボリンジャーバンドの概要と、バンドが形成する5つのパターンについてお話しました。
今回は、解説者が解説をするためだけのボリンジャーバンドではなく、トレーダーがトレードをするために必要なボリンジャーバンドの扱い方、つまり手法とルール作りなどについてお話していこうかと。
トレーダーのための手法とルール作り
では実際に、ボリンジャーバンドを用いてトレードを行なう際、具体的にどの様な手法とルールに則っていけば良いのかをお話します。
その前に、ボリンジャーバンドを再確認
トレードにおいて、インジケーターを用いるのには、それぞれの理由があります。ボリンジャーバンドを用いるのは、ボリンジャーバンドの持つ特徴を利用することでトレードに活用したいからです。
なので、具体的なルール作りに入る前に、ボリンジャーバンドの特徴を再度確認していきましょう。
1.ボリンジャーバンドはボラティリティを表す
ボリンジャーバンドはそのバンドの縮小拡大によって、ボラティリティを表す特徴を持っています。また、ミドルバンドの方向から、ボラティリティの方向性も示してくれます。
なので、ボリンジャーバンドを活用したトレードとは、ボラティリティの大きさと方向性を活用したトレードということになります。
2.ボリンジャーバンドは、値動きの範囲を表す
値動きは、±2σで示されるボリンジャーバンドの範囲内で、ほとんどが収まります。
ただ(前回お話し忘れてたんですが)例外として、スクイーズからのエクスパンションによってトレンドが発生した直後は、±2σのボリンジャーバンドを突き抜けたまま価格が進行することが多々あります。
それ以外では、仮にバンドを一時的に越えたとしても、直ぐに反発してボリンジャーバンド内に収まる傾向にあります。
なので、ボリンジャーバンドを活用したトレードとは、値動きの予想される範囲を活用したトレードということになります。
3.ボリンジャーバンドのパターンは5種類
トレードを行なううえで目安となる、ボリンジャーバンドの動きのパターンは5種類になります。
- スクイーズ
- エクスパンション
- 順行
- スクイーズの開始
- バンド幅の広い横ばい
上図が、パターン1~4です。そして、下図が、パターン5です。
パターン5は、基本的に1時間足以上でしか現れず、しかもハッキリとしたパターンを形成するのは4時間足以上となります。分足では、別なパターンから別なパターンへの移動の際に一時的に表れるに留まります。
さて、以上がボリンジャーバンドの特徴となります(詳しくは前回を参照してください)。
では、これらの特徴を踏まえて、実際にトレードする際の具体的なルール作りをしていきましょう。
トレード方針は、原則5つのパターンに則る
前回で詳しく見ていった通り、ボリンジャーバンドを利用したトレードは、ボリンジャーバンドが示す5つのパターンに則ってトレードすることになります。
各パターンの基本的なトレード方針は、
- スクイーズでは、トレードはしない。
- エクスパンションしたら、価格の動いた方向にエントリー。
- 順行の場合は、押し目や戻しを待ってエントリー。
- スクイーズが始まったら、エントリーは見送り。ポジションを保有している場合は、決済を検討する。
- バンド幅の広い横ばいの場合は、レンジ内取引。
でしたね。
ただし、これはあくまで基本的な方針であって、実際のトレードにはここから発展的に対応していく必要があります。1つ1つ、確認していきましょう。
1.スクイーズ
スクイーズは、狭い保ち合い相場を表し、フォーメーションを形成することも多々あります。
ボラティリティが小さい場面なので、トレードは控えます。ただし、値動きが大きく動き出すのを待ち構える絶好の機会とも言えます。
この時に大切なのは、単に「スクイーズしているな」と認識するだけでなく、「価格はどの様なパターン(フォーメーション等)を形成しているだろうか?」ということをことを確認していく必要があります。
これはエクスパンションが始まった際にエントリーポイントを見極めるために必要となってくるからです。エントリー時に柔軟に対応できる様に、いくつかのパターンを想定しておいてください。もちろん、あらゆる可能性を考えたらキリがないので、市場参加者の多くが認識するであろうパターンを1つ、2つ想定しておけばOKです。
具体的な扱い方は、後ほど解説します。
2.エクスパンション
いわゆるレンジブレイク、フォーメーションブレイクの時です。ボラティリティが一気に高まる時なので、出来るだけ初動を捉え、価格の進む方向にエントリーします。
スクイーズの期間が長ければ長いほど、エクスパンションが大きくなる傾向にあります。
具体的なエントリーのポイントは、スクイーズ時に想定したポイントを利用します。ただし、ダマシが多いため、対策も必要です。これらに関する細かい解説は、後ほど。
3.順行
ボラティリティが落ち着いたまま、トレンド方向へと価格が進んでいる状態です。
押しや戻しを待って、トレンド方向へとエントリーします。
具体的な押しや戻しをボリンジャーバンドで判断する場合、
- ミドルバンド付近まで来て反転したところ
- ミドルバンドに跳ね返されるようにして反転したところ
- ミドルバンドを一旦抜けるも、再びミドルバンドを越えてきたところ
- 値動きとは反対側のボリンジャーバンド(上昇しているなら-2σ、下降しているなら+2σ)にタッチして反発したところ
が目安となります。
(上図の詳しい解説は、前回の順行の章を参照にしてください)
ただし、順行を繰り返しながらクネクネと蛇行していることが、割と多いので、こういった場合は、ミドルバンドにハッキリとした方向性が出ている時はエントリーしてください。なお、他の判断基準もありますが、詳細は後ほど解説します。
また、例えば重要なラインに到達するなどして他のテクニカルでの決済が示唆されているなどの場合は、決済を検討するタイミングとも言えます。ただし、その場合は、各自のルールに則る必要があります。
4.スクイーズの開始
トレンド側のバンドが反転し、上下両方のバンドが縮小し始めるのは、ボラティリティが低下し始めたという合図です。これ以上価格が進行する可能性が低くなっています。
なので、エントリーは控える場面であり、ポジションを保有しているなら、決済を検討するタイミングになります。
と、教科書的な解説であればそこで終了ですが、現実はそう単純ではありません。
実際の相場では、順行がクネクネと蛇行を繰り返しながら続くことが多く、順行と順行の間には、極短いスクイーズの開始が見られたりします。
こういった場合に、教科書通りにエントリーを控えると、トレンド継続中の押しや戻しという絶好のチャンスをみすみす逃すことになります。
スクイーズが開始されてもミドルバンドの方向性がシッカリとしている場合など、順行継続と判断出来る場合があります。詳しくは、後ほど解説します。
5.横ばいのバンド幅広
幅の広いレンジを形成しているので、レンジ内取引の方針となります。上のバンドに到達して反転したら売り、下のバンドに到達して反転したら買い、というのが目安となります。
上図はユーロドル日足です。赤丸の部分の様に、バンドにタッチもしくは一時的に抜けても反転して戻ってきたところで、売買を行ないます。
オレンジ色の丸はバンドに実際タッチする前に反転をしているところです。これだけでは根拠が薄いので、近づいたら下位時間軸での反転を見極めてトレードしたり、他のテクニカルを併用するなど、工夫が必要になります。
なお、分足におけるこのパターンは、順行が蛇行を繰り返している際に一時的に短時間だけ現れることがあります。この際のトレード方針も同じくバンド上限で売り、バンド下限で買いとなります。ただし、この場合のトレードは判断が難しいので慣れが必要です。
以上、5つのパターンに沿ってトレード方針を取ることが基本になりますが、実際のトレードに用いるには、言及すべき事柄がいくつかあります。それらを、ルールとして取り入れていくことで、実際のトレードの精度を上げていきましょう。詳しくは、以下の章から。
順行の蛇行時に関する考察
既にお話していますが、実際の相場というのは教科書通りに行くわけではなく、
スクイーズ → エクスパンション → 順行 → スクイーズの開始 → スクイーズ → エクスパンション・・・
と順序良く分かりやすい形で現れるわけではありません。
その多くが短めの順行の蛇行を繰り返しており、その順行と順行の間に、他のパターンが極短い間に不規則に現れることがほとんどです。
こういった場合、教科書通りにトレードしようとすると、細かいバンドの動きなどに翻弄されたり、みすみすチャンスを逃してしまうなど、なかなか上手くいきません。
なので、いくつかの対策をとりましょう。
ミドルバンドの方向性を確認する
まず最初に確認しておかなければいけないのが、ミドルバンドの方向性です。
既に言及してますが、スクイーズの開始(パターン④)が始まっても、ミドルバンドの方向性がかわらずハッキリとしている場合は、トレンド継続と判断します。
順行の際に、押し戻しを待ってエントリーチャンスを伺っていると、絶好のタイミングでスクイーズが開始し出したりすることが割と多いんですが、ミドルバンドの方向性がきちんとしたままであれば、そこはエントリーポイントとしましょう。
急上昇、急下降ではミドルバンドの方向性は無視する
これは順行の蛇行時というより、ほぼスクイーズからのエクスパンション時のことなんですが、
明確な押しや戻しなく急上昇や急下降した場合は、その後に順行が蛇行して継続することは、ほとんどありません。
なので、そういった場合は、ミドルバンドの方向性は無視して、エントリーはしないでください。
明確な押し目のない急上昇をライジングウェッジ、明確な戻しのない急下降をフォーリンぐウェッジと呼ぶそうなんですが、これが起きた場合は、急反転したり乱高下したり、その後は保ち合いになるケースがほとんどです。順行が蛇行して継続することはなかなかありません。
「スクイーズ開始したけど、ミドルバンドの方向は維持してるからエントリー!」なんてやってしまうと、かなりの度合いでヤラれます。絶対に避けましょう。
ラインを引いてみよう
蛇行しながら順行が継続しているということは、「トレンドが継続中」ということですよね。
なので、極めて基本に立ち返って、トレンドラインを引いてみることをお勧めします。単にトレンドラインが効いているというシンプルなエントリーポイントかもしれません。
なお、上図のトレンドラインの引き方はBOZ流です。他のライン引きのやり方を持ち出してケチつけられても意味ないので、あしからず。
上位時間軸を確認しよう
これも極めて基本的なことです。上位時間軸を確認してください。
おそらくエントリーの際は、ほとんどのデイトレーダーが分足を用いると思います。エントリーのタイミングを見る足が5分足や15分足の場合は、1時間足など上の時間軸を確認してください。
上図は、先ほどから用いているチャートと同じもので、ポンド円の15分足です。スクイーズを開始した場面(赤丸)にアルファベットで振り分けてます。
で、これを一時間足で確認してみると・・・
15分足で蛇行しながら下落していた局面と蛇行しながら上昇していた局面は、1時間足で見ると、単にほぼ一直線の順行でしかないことが分かります。
で、解説をすると、Aのポイントは、トレンドが転換した直後で、正直ボリンジャーバンドではトレードできないかと。ちょっとエントリーする根拠が薄いです。
Bは1時間足で既にトレンドが出ている箇所で、なおかつ15分足ではミドルバンド及びトレンドラインに合致している根拠の強い場面なので、見逃す手はないポイントです。
続いてはCです。この場合にボリンジャーバンドを利用してどう判断するか?ですが・・・
この時は、まず1時間足が順行で下降トレンドの真っただ中だと確認できます。そして15分足ではその流れの中で、価格は上昇(1時間足では戻しを形成)してますが、1時間足では下方向にハッキリとしたミドルバンド付近、15分足では+2σ付近まで来ていてこれ以上値を進めるのは難しい界隈まで到達。そして15分足でスクイーズの開始によりこの上昇の力が弱まったと判断できます。
ということは・・・反転して再度下落するという確率が高まった、と判断すべき箇所です。売りエントリーですね。
この箇所に、トレンドラインでの反発が見受けられるわけですから、かなりの根拠があるポイントと言えます。
確実性を求めるなら(個人的には、遅い気がしますが)、15分足でミドルバンドを下抜け、エクスパンションが始まったところがエントリーポイントになるでしょうか。
Dは、1時間足順行でミドルバンドがシッカリと方向性あるところに到達して反転、15分足でもミドルバンドがシッカリと方向性がある中で、一旦下抜けるも反転上昇しています。至ってシンプルに買いエントリーできるポイントです。
Eも1時間足順行でミドルバンドの方向性はシッカリ、15分足は押しが強めですが、-2σという「これ以上値は進みづらいですよ」というところで反発してます。おまけにトレンドラインで反発している箇所ですから、ここも迷わず買いエントリーですね。
以上の様な考え方で判断していきます。Cの様に判断がややこしい箇所もありますが、分からない時は「分からない」としてトレードを控えるのがセオリーです。シンプルに判断できるポイントでトレードしましょう。
ちなみに、オレンジ色で囲った箇所も説明しておきます。もう1度チャートを見てください。
Xは15分足ではスクイーズ開始の場面ではありません。が、1時間足順行でミドルバンドにシッカリ方向性がある時に、タッチして反転しています。この時の15分足は+2σ付近で「これ以上値は進みづらいですよ」と言わんばかりに揉み合ってから、小さくスクイーズの開始が見られますね。反転示唆です。売りエントリーでしょう。
Yの場面は、普通に判断して売りますが、ミストレードとなる箇所です。直ぐに反転上昇してしまいますし、エクスパンションが始まっているので早々損切りして正解です。
後付けでその後反転下落したのを見て、
「あー、損切りせずに持っておけば良かったぁ。方向性は間違ってなかったのにー!」
とかいう、勝てない人丸出しの後付け反省は止めてください。結果的にミストレードですが、ボリンジャーバンドだけで判断した場合、売って損切りして当然ともいえる箇所ですので、負けて正解です。(もちろん、他のテクニカルで判断していないという前提ですよ)
まぁ、こういった蛇行しながら順行しているパターンは、繰り返し繰り返しトレーニングして慣れるべきところだと思います。偉そうに言ってる僕だって、リアルタイムで全てのポイントを取れるわけじゃありません。お互い、頑張りましょう。
エントリーにおける禁止事項
ボリンジャーバンドは、値動きの範囲を提示してくれるのが特徴でした。±2σを超えたまま価格が突き進むことは、確率的にほとんどありません。
なので、ボリンジャーバンドに接している状態から、バンドの外側に向けてのエントリーは禁止とします。
ただし、
- 分足はボリンジャーバンドに接していなくとも、ほぼ接近している状態で禁止
- 1時間足以上では、完全に接していなければ、状況によってOK
という条件が付きます。
なぜなら、1時間足以上の場合、バンド付近に価格があっても、そこからバンド到達までは(一時的にバンドを抜けることも含めて考えると)トレードするには十分な値幅を含んでいることがあるからです。
逆に言えば、分足レベルだとバンド付近からバンド到達までに、値幅がほとんどないのでトレードするには値しないからです。
下の図はポンド円の15分足です。
この図で大まかで言うと、赤い丸で示した場所が買ってはいけないところ、青い丸で示した場所が売ってはいけないところです。
多くの人はこのチャートを見て、「さすがに、こんな場所で買うわけないでしょ!」と感じる箇所がいくつもあると思います。そう感じて当然です。
しかし、これは後付けでチャートを見るから、そう思うんですね。
実はこのことって、かなり重要なんですよ。
初心者や勝てない人によくあるのが、「買えば下がり、売れば上がる」というやつです。しかも、
「買いエントリーしたら直ぐに反転下落したから損切りしたのに、損切りしたら、すぐに反転上昇しだしたぁ!チクショウー!!」
ということも結構多いと思います。
で、こういった失敗トレードを後から検証し直すと大体が、±2σのボリンジャーバンド付近での順張りエントリーをしているんですね。バンドにほぼ接している状態から、バンドの外側に向かってエントリーしているんです。
嘘だと思ったら、自分のそんな負けトレードのエントリーポイントにボリンジャーバンドを表示して検証してみてください。大体が、そんなエントリーしてますから。
なぜ、そんなことが分かるかって?
いやぁ、負けてる人のやることなんて、僕からすればほぼお見通しなんですよ。だって僕は相場歴20年です。しかも、そのうちのかなり長い期間、僕は負け続けてきたという豊富な負の経験がありますからね。(全然自慢になってない・・・)
で、僕が自分の負けトレードを検証し続けて気づいたのは、大筋の方向性は間違っていないのに買えば下がり売れば上がる様な時ってのは、ほぼボリンジャーバンド±2σ付近で外側に向かってエントリーしているんです。
勝てない人というのは、だいたいが目先の値動きばかり気にして、自分なりのトレードルールがあってもなくても、実際は値動きを後追いしてしまいがちなんです。
で、後追いしてエントリーした先が、±2σの辺りなんです。値動きがこれ以上進まない確率の高いところで、進むことを期待してエントリーしてるんですよ。
ですから、この重要な発見をルール作りに使わない手はない、ということなんです。
もう一度言いますよ。
ボリンジャーバンド±2σに接した状態から、バンドの外側に向けてのエントリーは禁止
です。いいですか。このルールは絶対に守ってください。これ、ミストレードを減らすための絶対的ルールなんですから。
しかし・・・気づいた人いますかね?
「え!?でも、スクイーズからのエクスパンションという絶好のエントリーの局面は、ほぼ±2σを越えて値が進むんじゃなかったっけ?この禁止ルール使うと、この絶好のタイミングでエントリー出来ないじゃん!!」
という疑問が挙がってきます。
ということで、次にもう少し突っ込んだルール作りをしていきます。
エクスパンション時のルール
±2σの付近で、バンドの外側に向かってエントリーするのは禁止としたものの、スクイーズからのエクスパンションが始まった時は絶好のエントリーチャンスです。
これに対して、ルール作りをしていくわけですが、まず、トレーダーのタイプを2つに分けます。
- 勝率を重視したい人、損切りが苦手な人
- 勝率よりリスク・リワード比を重視したい人、損切りが比較的苦にならない人
この2つのタイプによって、ルールを変えていくことにします。では、説明していきましょう。
1.勝率を重視したい人、損切りが苦手な人
勝率を重視したい人とは、逆に言えば負けトレードの数を極力減らした人です。また、損切りが苦手という人も、負けトレードの数を減らしたい人と言い換えられるでしょう。
つまり、負けることへの精神的負担を減らしたい人とも言えるかもしれません。
で、こういったタイプの人は、スクイーズからのエクスパンションを含めた全てのトレードにおいて、±2σにほぼ接した状態からバンド外側に向けてのエントリーは全面的に禁止です。
ただし、スクイーズからのエクスパンション時には、ダマシ回避策を取ります。ダマシを回避することで、勝率を上げていきます。
ダマシ回避策は、他のインジケーターを用いない場合、前回お話した「レジサポ・サポレジ確認後にエントリー」という方法を用います。
要するに、エクスパンションしたら直ぐに飛び乗るのではなく、ブレイク直後に一旦戻しや押しが入るのを待ち、再び反転したらエントリーするということです。
具体的にエントリーポイントを説明しましょうか。
まずは、上図で示した典型的なパターンです。スクイーズ時に形成されるレンジやフォーメーションにはラインが引けます。そのラインを抜けることが、エクスパンションの始まりとなるわけですが、ラインを抜けた後に一旦押しや戻しが入った時に、そのラインがサポートやレジスタンスとなって跳ね返されたところをエントリーポイントとします。
上図は、スクイーズからのエクスパンションで、レジスタンスライン(赤い線)を抜けた後に一旦押しが入り、この赤線でサポートされてから再度上昇を始めています。このサポートされて反転上昇したところをエントリーポイントとします。
なお、リアルタイムではエクスパンションが始まったものの、一旦押しや戻しが入ると反対側のバンドは広がり出してたのに、元に戻ってしまいます。
後付けで見ると、まるでエクスパンションしていないかの様に見えますが、リアルタイムでは一旦エクスパンションが始まっていますので、ご安心を。
また、常に複数のロウソク足で波を描く形で押し目を付けるとは限りませんので、注意が必要です。下図がその例です。
エクスパンションした次の足で陰線を付けて押しますが、レジサポで跳ね返されています。
ただ、こういったラインで跳ね返されるパターンは、「スクイーズからのエクスパンション」という場面に限ってみると、結構少ないです。
なので、ダマシ回避策としてラインでの反転パターン以外にもう1つ加えます。
それは、ミドルバンドで跳ね返されるパターンです。以下がその例です。
なお、発生したトレンドが穏やかな場合、押し戻しが起きたことで、エクスパンションが順行の形になってしまう時があります。
上図は、押しや戻しを待っていたら、いつの間にか順行が始まってるパターンですが、むしろこの様になることの方が多いかもしれません。
ただ、順行のエントリーポイントもまた、ミドルバンドで跳ね返されたところですから、深く考えず、
「トレンド中の押し戻しを狙ったエントリー」
という解釈でトレードに臨んでください。
補足ですが、上図の青色の丸をエントリーとポイントとした局面は、スクイーズ状態の期間がほとんどないパターンです。スクイーズが始まった後、横ばいで揉み合う期間なく、そのままエクスパンションから順行と突入しています。
フォーメーション的にはダブルボトムですね。ミドルバンドにはタッチしていませんが、ネックラインで反発しています。
ボリンジャーバンドは順行の蛇行時に、その方向の変わり目が、この様にスクイーズの開始からいきなりのエクスパンションということも多々あります。
小さな動きですが、見逃さずに、きちんとミドルバンドに方向性が出ていることを確認しつつ、きちんとした押し戻りを待ってエントリーできる様になると、エントリーポイントを増やすことが可能になります。もちろん、トレーニングが必要ですが。
ただ、ここでもう1つ問題点が浮上します。それは、
「スクイーズからのエクスパンションでは、押しや戻しを付けずに一気に価格が動くことが多い」
ということです。
勝率を気にして押しや戻しを待ってエントリーするとなると、多くの場合、爆益のチャンスを逃してしまいます。
良いんですか?
前回も言いましたが、良いんですよ。初心者や勝てない人の特徴は、既に結果が出ている大きな波の山と谷を見て、全ての波を獲りたがるという強欲ぶりです。
しかし、トレーダーの仕事というのは、まだ出来上がっていない波のほんの一部を相場から頂くことです。そして、相場という戦場で生き抜くこと、つまり資金を守り抜くことがトレーダーの仕事です。
ですから、勝率を気にしてトレードする人は、爆益を逃しても負けを減らすことが最優先課題なんです。
そうであればむしろ、爆益を逃して悔しがるどころか、
スクイーズからのエクスパンションで一気に価格が伸びている箇所で、自分は絶対にトレードしない!
というルールを設けるくらいの気持ちが必要です。いや、気持ちじゃ温いですね。覚悟です。覚悟が必要です。
2.リスク・リワード比を重視したい人、損切りが苦にならない人
リスク・リワード比というのは、平均利益と平均損失の比率のことです。平均利益を平均損失で割った値で表します。平均利益が50pips、平均損失が30pipsであれば、リスク・リワード比は約1.67、つまり平均利益は平均損失の1.67倍ということになります。
リスク・リワード比が高ければ、勝率が低くとも利益は残ります。なので、勝率よりも、リスク・リワード比を重視するタイプのトレーダーもいるわけですね。大きく稼げるチャンスを出来るだけ逃さない、そのためには損切りもガンガンやる覚悟のあるトレーダーです。
で、そんなタイプの人ですが、スクイーズからのエクスパンションに対しては、初動を逃さず飛び乗りOKとします。
ただし、単にボリンジャーバンドのエクスパンションだけに注目するのではなく、フォーメーションを形成しているかなど、他に注目すべきポイントがないかは確認する必要はあります。例えば下図の様な場合。
スクイーズしている時に上値を結んでライン(赤い斜めライン)が引けます。そして、このラインをブレイクした直後、つまりAの地点でのエントリーが考えられます。
次に考えられるエントリーポイントは、Bの直近高値を超えた越えたところです。また、次のCを越えたところも候補に挙げられますね。
ただし、最も有力なポイントは恐らくDの箇所になるかと。ここは青いラインで示していますが、何度も高値を試したが抜けられずに一旦下落したという経緯のあるポイントです。仮にABCのポイントどこかで買いエントリーしたとしても、この青いラインで反転下落する可能性があります。しかし、ここを抜けたら上昇するのは固いと見るべきでしょう。
僕なら、まずAで試し買いするでしょうね。そしてDを抜けるかどうかを見ます。仮にDで反転下落したら、赤いラインでサポートされて再度上昇するかを見るでしょう。赤いラインを抜けて下落する様だったら損切りです。サポートされて反転上昇したら、再度Dを抜けるか注視します。そして、抜けないようなら薄利決済、抜けたら追撃買いを本格的にします。
ただ、結果的にこの場合は、一気に急上昇した様なので、Aで買った後にDのポイントで成行買いできるだけの時間的余裕があったかどうかはちょっと不明です。
いずれにせよ、単純にボリンジャーバンドのエクスパンションだけを見ていてはいけません。ボリンジャーバンドに限りませんが、インジケーターはトレードの判断に「活用する」ためのものであって、トレードの判断を全て頼るためのものではないんですから。
さて、ブレイク直後に飛び乗るのは良いのですが、問題はそのタイミングです。
ブレイクしてからどのくらいでエントリーするかは各自の個人差よるところが大きいので、僕が勝手に決めることは出来ません。
1pipsでもブレイクしたら飛び乗るのであれば、リスク・リワード比はかなり大きくなりますが、勝率はかなり低くなります。ほとんどが損切りだと覚悟しなければいけませんし、結果的には負けるでしょう。
10pipsを越えてブレイクしたタイミングでエントリーする場合は、前者よりも9pips利益が少なく、損切り幅は9pips大きくなります。ただし、勝率は大きく改善されます。
何pipsが自分にとって適切かは、各自が自分のメンタルと技術と相談して決めるべき課題となります。
また、単純に値幅で決めるのではなく、スクイーズの期間の長さや状態などを加味してケースバイケースで臨むことも考慮してください。
同じ10pipsという値幅でも、トレードする時間軸が小さければ大きな値幅でしょうが、時間軸が大きければ小さな値幅となってしまいます。
また、スクイーズの期間など状況によってエクスパンション後に動く値幅にばらつきがあります。小さなトレンドでは10pips待ってエントリーしても、それほど伸びずに反転する可能性もありますし、100pipsもグングン伸びるケースだってあります。
ケースバイケースで対応できるルール作りを、自分の技術とメンタルと相談しつつ決める様にしてください。
補足:トレンドの方向とダマシの方向の関係
スクイーズからのエクスパンション時に頻繁に起こるダマシの回避策として、上位時間足との関係性を探ってみては?と思う方もいるでしょう。
いかなる場合においても、上位足との関係性の中でトレードを行なうことは、大切なことですからね。
で、真っ先に思い浮かぶのが、
「上位足のトレンドと反対方向のエクスパンションはダマシの可能性が大きいんじゃ?」
という仮説です。確かに1時間足で上昇トレンドが継続している最中に、5分足でエクスパンションして下の方に価格が向かうというのは、いかにもダマシっぽいです。
ただ、実際に調べてみると、あんまり関係ないんですよねぇ。
上位時間足のトレンドの方向とダマシの方向に拘ってみても、あまりトレードには活かせそうにありません。
さて、今回も例によって長くなり過ぎたので、この辺で切り上げることにして、続きは次回に持ち越します。
次回もまた、ボリンジャーバンドについて、突っ込んだ使い方のお話になると思いますので、お楽しみに。
それじゃあ、また。