チャート・デザインのすすめ(2)

さて前回は、ゴチャゴチャとなったチャートから抜け出す最初の視点をお話しました。

で、今回は実際に素のロウソク足チャートから、きちんとした視点を持ちながら、テクニカルを加えていくというチャートの設計の仕方、いわば「チャート・デザイン」を具体的な例を使いながらお話していこうかな、と。

まずはガイドラインを設定しよう

ガイドラインとは

ガイドラインというのは、トレードを行なううえでの「指針」のことです。つまり、

何を軸にしてトレードをするのか?

もっと言えば、

何を軸にして、相場状況を判断して方針を決めるのか?

ということです。

ただ、これでもちょっと抽象的過ぎると思う人もいるんじゃないのかなぁ?

なので、改めて具体的に説明しますが、

相場には4つの大きな局面があります。それは、

  • 上昇トレンド
  • 下降トレンド
  • レンジ
  • 分からない

ということですね。

で、今の相場は、この4つの局面のうち、どの局面にあるのか?

を把握することが、トレードの判断において、最も大切であり、最初にやるべきことになります。

(これ、何度かこのブログでお話してます。知らない人は「相場の局面を考えてみる」をご覧ください)

で、この4つの局面が分れば、自ずと自分がとるべきトレードの方針が

  • 順張りで売買
  • 逆張りで売買(レンジ内取引)
  • ブレイク・アウト狙い
  • トレードしない

のどれに当たるのか?が分かるわけですよ。

つまり、基本的な方針がこの状況把握だけで決まるわけです。

で、こんな話をすると

「そんなの、当たり前~。知ってるし」

という人がいるんですよね。

 

勝てないくせに。

 

勝てない人というのは、お勉強してそういったことは知っていても、実際のトレードでは活用できてません。

状況把握をしても、それとは全く関係ないところで売買をしたり、酷けりゃ知ってるだけで把握もせずにトレードします。

まぁ、言い聞かせていても、出来ないことって多々ありますからねぇ。

なので、この4つの局面を把握し、意識して実行できる様にするために、まずはガイドラインを設定します。

ガイドラインを設定しよう

ガイドラインって、別の言い方をするなら、イラストを描く時なんかのデッサンやスケッチみたいな感じでしょうかね。

対象物の骨子を浮き彫りにするイメージです。

じゃあ、チャートの局面を浮き彫りにするために、具体的には何を用いれば良いのでしょうか?

まぁ、何でも良いですよ。

先の4大局面を把握できるものであれば、何でも良いです。

例えば例を挙げると

  • ダウ理論
  • ライン
  • 移動平均線

が最も一般的でしょうか?

「じゃあ、その中ならどれを使うのが一番良いの?」

という他人本位な声も聞こえてきそうですが、これに関してはどれが良いという答えはありません。

どんなツールが優秀なのか?

に興味が行きがちですが、何を持たせたところでしょせんはその人の腕次第です。習熟度によって、同じ道具を使っても結果が違うのは、スポーツにしろ工芸にしろ、どの世界だって当然のことです。

例えば、こんな素のチャートがあります。ユーロドルの1時間足です。

この相場状況を把握するために、ダウ理論を用いるとしても、以下の様に判断が分かれる部分はどうしても出てきます。

人によって高値安値をどう結ぶかは違います。主義主張によっても、習熟度によっても違います。

もちろん、既に出来上がったチャートでは天底を見つけてトレンドの端から端までを示すことは出来ますが、

価格の推移を形成途中では、今この状況を常に誰もが同じように説明できるとは限らないんです。

仮にラインを用いて、状況を判断しようと思っても、

一見スッキリしているようですが、これも主義主張や習熟度によって引き方は人それぞれですし、トレンドの転換点やレンジに移行するタイミングも、その判断は人によって変わってきます。

また、上図は後付けで引いたラインです。

価格推移が形成途中で、リアルタイムでトレンドラインを引こうとすると(流儀によって違いはあるでしょうが例えば)、

こんな感じで、価格が推移するごとに、常に引き直しをする羽目になり、リアルタイムでトレードしようとすると、

「一体、どこでトレードすれば良いんだ!?」

なんて現実にも直面したりします。

移動平均線だって同じですよ。

上記は40SMAで、この相場の価格推移を比較的上手く捉えてはいますが、これで何もかも分かるわけじゃありません。

基本的に移動平均線はトレンド系インジケーターですから、トレンドを把握するには向いていますが、

じゃあ、レンジはどこから始まって、どこで終わり?

ということは、やはり人それぞれになってしまいます。

また、上手く相場の流れを説明してくれそうな期間を探せば探すほど、人は深みにハマっていきます。

上手く押しや戻し、転換点を捉えるパラーメーターを求める旅がはじまり、突き進めて行けば結局のところ

こんな感じで、無数のMAを表示する羽目になってしまいます。

しかし、これじゃあ下手な鉄砲数打ちゃ当たる作戦にしかならず、本来のガイドラインの役目、つまり4大局面を炙り出す目的からは、徐々に離れていくんですよ。


ただし、GMMAというインジがあります。これは上図の様に数多くの移動平均線を張り巡らすことで、相場を判断しようとするものです。

上記の説明でいけば、このGMMAの考え方は否定されるように感じますが、これはむしろ逆で、チャート・デザインを仕上げた結果、人によってはGMMAの様な形態になったりします。

この辺のことは、後ほどお話することになると思います。


 

結局のところ、どのツールを使うかは、その人次第ですし、テクニカルに優劣があるというよりも、その人の習熟度によって優劣が生まれるわけです。

ですから、多くは望まない。

まずは1つ。

たった1つのテクニカルを徹底的に突き詰めて、実際のトレードで扱えるようにする必要があるんです。

で、どれを選択し、どれを磨き上げるかは、その人次第です。問題意識を持ってどれだけ取り組むかにかかってるわけですよ。

そうやって、まずは自分のトレードの軸となるものを1つ用意することが大切です。

で、これがアナタがトレードする上でのガイドライン(指針)となっていくわけです。

もちろん、ガイドラインは複数あった方が、トレードの根拠が増えます。

なので、1つ自信のあるガイドラインが出来たら、その後で別のガイドラインを加えていく。そんな感じで、取り組んでいったら良いと思います。

時間のガイドラインを設定しよう

分かっている様で、実際にはなかなか実行できないのが、ガイドラインですが、ここでもう1つ気を付けなくちゃいけないことがあります。それが

時間のガイドライン

です。

この時間のガイドラインには大きく分けて2つのガイドラインが必要です。

  • ポジション保有時間
  • メインとなるチャート時間軸

これ、軽く見てる人も結構多い様なのですが、実際はトレードの骨格をなす大切な部分なので、予めガイドラインを設定しておく必要があります。

ポジション保有時間のガイドライン

これは、自分がどれだけの期間ポジションを保有するトレードスタイルをとるかによります。

大まかに分かりやすく言えば、

  • スキャルピング
  • デイトレード
  • スイングトレード
  • ポジショントレード

のどのスタイルでトレードしようかということです。

ただ、同じスタイルであっても、その内訳はさらに分かれます。

例えば、デイトレードと一口に言っても内容は様々で、一日の最大値幅を目標に獲りに行くことを目的としている人もいれば、エントリーしてからエグジットまでの保有時間が平均2時間程度の人もいます。もっと短い人もいますよねぇ。

スキャルピングであっても、数秒で決済を繰り返す人もいれば、30分程度は平気で保有している人だっています。

単純にスキャだとかデイだとかで分けられない部分があり、その保有時間は、各自のライフスタイルや性格等で分かれることになります。

なので、予めこの保有時間を設定しておきます。

これによって、次に説明する基準となるチャートの時間軸が決まってきますから。

もちろん、伸ばせるときは伸ばすスタイルの人もいますから、その内容は厳密ではなくてOKですよ。「時間」そのものではなく、例えば「波」などを基準にして取引する人もいますからね。

ただし、結果が出ない時の最大保有時間は決めておくべきかもしれません。

含み損を抱えてしまっていた場合、STOPに届かなくとも、タイムリミットでポジションを解消するという考え方は大切です。

また、エントリーした後に建値付近でしばらくウロウロしてしまったり、含み益が出た後に同じく方向感をなくしてウロウロしてしまい、判断に困るケースもあると思います。

こういった場合も、タイムリミットで決済するということも、実は大切なんですね。

いつまでも塩漬けにしたままにするより、早々と切ってしまい、その資金を次のトレードに回すことは、有益な考え方です。

また、人によってはスキャもやるしデイもやる、スイングだってやるという人もいます。

それ自体は全く問題ないんですが、どれがスキャでどれがデイなのかを曖昧にしていると、ドツボに嵌ります。

このトレードはスキャで、こっちのトレードはデイ。

といった具合に、ポジション保有時間を明確にしてトレードする必要があります。

ポジション保有時間は、自分のスケジュール管理だと思って、予め設定しておくことが大切です。

チャート時間軸のガイドライン

ポジション保有時間のガイドラインが決まったら、次に自分がトレードする際にメインとするチャート時間軸を設定します。

同じデイトレードでも、ポジションの保有時間だったり、トレードの主旨によって、メインとなる時間軸が変わってきますからね。

上級者であれば、自分がどの時間軸で何をやっているかを把握してトレードできますが、

初心者の場合は、メイン時間軸のガイドラインを設定していないと、単に軸がブレまくりのトレードを繰り返す原因になります。

1時間足では売りたい場面だけど、4時間足では売ってはダメだったり、15分足ではむしろ買えとサインが出ていたり・・・

各時間軸で整合性を見てトレードするのが良いのですが、初心者のうちは混乱しか生まれません。

その都度、違う時間軸でトレードするというのは、様々な思案を巡らせてやった結果の様に思えて、実はポジりたい気持ちを満たすための行為だったりするんですよ。

ですから、まずは自分のトレードの時間軸をハッキリとガイドラインとして設定することが、ブレないトレードをするための第1歩になります。

ガイドラインを具体化しよう

移動平均線を用いた例

それでは、実際にガイドラインを設定してチャートを構築(デザイン)していく例をお話していこうと思います。

で、今回ガイドラインに利用するのは移動平均線。しかも、用いるのは日足5SMAの考え方です。

(日足分析5SMAについて分からない人は、「デイトレーダーのために日足分析」シリーズをご覧ください)

では、やっていきましょう。

まず、時間軸チャートですが、これはデイトレーダーとして最も多いであろう1時間足をメインとして用いることにします。

含み益が上手く伸びなかった場合の最大ポジション保有時間は5時間としましょうか。もちろん、順調に伸びているのであれば、そのまま保有時間は延長します。

で、トレードのガイドラインとなるツールは、日足5SMAです。

この日足5SMA、1時間足での近似値は75SMAでした。

ということで、実際にチャートにこのガイドラインを用いてみると

こんな感じになりますね。

これがチャートデザインにおける骨子の部分、デッサンに当たります。

「え?たったこれだけ?」

はい、これだけです。

さっきも言いましたが、1本のMAから何をどれだけつかみ取るかというのは、個人の習熟によります。

分からないからといって、闇雲にMAの本数を増やすのは、ガイドラインの意味を失います。

で、ガイドラインの基本ベースは

  • 75SMAが上を向いていて、価格が75SMAの上にある場合は、「上昇トレンド」と判断して買い方針
  • 75SMAが下を向いていて、価格が75SMAの下にある場合は、「下降トレンド」と判断して売り方針
  • 75SMAが横を向いた場合は、「レンジ」もしくは「分からない」と判断する
  • 75SMAに傾斜はあっても、価格がそれを跨いでしまった場合は、「レンジ」もしくは「分からない」と判断する

となりますよね。(より具体的な内容は、日足5SMA分析シリーズをご覧ください)

このガイドラインを軸にして、トレードを行なうことになります。

ガイドラインをより具体化しよう

冒頭でお話した様に、ガイドラインとは指針であり骨子です。絵で例えるならばデッサンやスケッチの様なものです。

ですから、ガイドラインをあまりに細かく規定してしまっては、ガイドラインとしての意味を失ってしまいます。

しかし、あまりに曖昧な部分が多過ぎては、逆にトレードの指針としては乏しくなってしまいます。

例えば、先ほどのガイドラインで

「75SMAに傾斜はあっても、価格がそれを跨いでしまった場合は、レンジもしくは分からないと判断する」

といった部分があります。

しかし、例えば下降する75SMAを価格が上抜いたとしても、もう一度75SMAの下に戻ってしまうケースがあります。実際のチャートで確認すると、いくつかのパターンが存在することが分かると思います。

こういったケースは、各自で検証をして、「この場合はこうするが、あの場合はああする」といたガイドラインを設定してください。

でもまぁ、今回は75SMAを例に出して解説してますから、とりあえずガイドラインの設定の仕方の例も挙げておきますね。

まず、上図の赤い丸1ですが、これは75SMAを一旦越えるも直ぐに戻ってしまっているパターンです。

この場合は、75SMAの角度も保持されたままで直ぐに75SMAの下に押し戻されていますから、「75SMAを越えきれなかった」と判断してOKな場面です。

75SMAの下に直ぐに押し戻された後は、

「75SMAが下を向いていて、価格が75SMAの下にある場合は、「下降トレンド」と判断して売り方針」

というガイドラインを適用して大丈夫ということですね。

次に赤丸2ですが、これは75SMAを5本のロウソク足が越えている形跡がありますよね。

この場合、越えた足のほとんどは終値ベースで75SMAの下に押し戻されていますし、終値ベースで75SMAの上に位置していても、高値は更新できていないわけです。

もう見た目から、75SMAを越えようとして実際はその真上でくすぶっている感を醸し出してますよね。

こういったケースも、やはり「75SMAを越えきれなかった」と判断して良い場面ですから、

「75SMAが下を向いていて、価格が75SMAの下にある場合は、「下降トレンド」と判断して売り方針」

というガイドラインを適用してOKにします。

ところが、赤丸3を見てください。

3の場合は、2とは違ってシッカリと価格は75SMAを上抜けていますし、1と違って75SMAを上抜いた後は少なくともロウソク足2本分以上の時間はそこに滞在し、直ぐには下に引き戻されていません。

こういった場合、再度価格が75SMAを下抜け、更に75SMAは傾斜を保ったままだとしても、

「う~ん・・・これ、分からなくなったな」

と判断します。

つまり、少なくとも下降トレンドは一旦終了し、その後の展開は規則性のあるレンジに突入するのか、下降トレンドを再開するのか、上昇トレンドが始まるのか、

「分からない局面」

になったと判断し、トレードは控える場面です。その後の展開が分かる様になるまでは、待たなくちゃいけない場面ですね。

同様に赤丸4の場面も、「分からない」という場面になると思います。

とまぁ、以上の様にガイドラインを具体化していく例を挙げてみました。

これ、あくまで例なので、本当に上に挙げた例が正しいのかどうかは、各自が検証してみて下さい。わざと僕、嘘ついてるかもしれませんよ。

( ̄ー ̄)ニヤリ

ガイドライン作成の注意点

以上、お話してお分かりだと思いますが、ガイドラインの曖昧な部分は、検証等によって各自の習熟度が上がるたびに、より具体化していくことが可能です。

ただし、先ほども言いましたが、今やっている作業は、あくまで「ガイドライン」です。

つまり、ガイドラインは骨子となる4大局面を浮き彫りにするためのデッサンであって、それ以外の細かい部分を表現するためのモノではありません

そして、ガイドラインをより具体化していくという作業は、4大局面の移り変わる部分を曖昧にせずに、出来るだけキッチリと区分けできるようにする作業のことです。

もっと言えば、

局面の移り変わる部分の曖昧な部分が「分からない」という局面で、その「分からない」という部分を出来るだけ明確にする作業になります。

多くの負ける原因って、

  • 分からない局面を
  • 分からないくせに
  • 何とか分かろうとして色々インジを引っ張り出して
  • 分析した気分になって時間をかけ
  • 結局分かっていないのにもかかわらず
  • 分かった気になってトレードを繰り返す

ということばかりなんですよ。

分からない局面を色んなテクニカルを用いて分かろうとするのは、実際にトレードする際にやることではないんですよ。

そういったことは、「検証の場」でやってください。

当たり前じゃないですか。

4回転を飛ぶ技術のないフィギュアスケートの選手が、いきなり試合で4回転を飛ぼうとしますか?

しないですよね。4回転にチャレンジするのは、まずは練習と検証の場のはずです。

で、その技術が使える様になってから、初めて本番でチャレンジするわけです。

この世間では極めて当たり前の事実を、自分のトレードでも適用させる。それが、チャート・デザインの骨子となるガイドラインの具体化なんですね。

さて、今回はここまで。

次回は、作成したガイドラインにそって、ディテール(細かい部分)を表現していく作業に移るとします。

それじゃあ、また。

チャート・デザインのすすめ(1)

拝啓、汚部屋の中から

チグハグな部屋の中で

どんなテクニカルを使ってトレードするか、そしてそのテクニカルの種類や数は、人それぞれです。

チャートに何種類ものインジを張り巡らす人もいれば、ローソク足だけの素のチャートだけでトレードする人もいます。

もちろん、トレードに正解はありませんから、各自がやりたいようにやれば、それはそれで良いんだと思います。

ただ、何でもかんでもテクニカルを用いれば良いというわけではありません。各自が各自の課題や目的を持って、必要なテクニカル、使いこなせるテクニカルを用いてトレードに臨むことが大切です。

が、

実際のところ、それが自分にとって本当に必要なのかも気づかない状態で、テクニカルを表示してる人って、結構多いんじゃないでしょうか?

「このテクニカルが効きそうだ」
「あの手法はこのテクニカルを使ってる」

という感じで、インジケーターを表示している人って、多いと思うんですよね。

それって部屋のインテリアに例えてみると、カタログを広げて、

「これが欲しいし、あれも欲しい」

というのと変わらないんじゃないかと。

でも、そんな感じでバラバラに個別判断したインテリアを揃えても、部屋の中はチグハグになるだけです。

狭い和室に北欧調の家具を置いて、壁にはバスキアの絵。部屋中にバラの花を無数に飾って、畳の上に正座をしながらエスプレッソと芋ようかん。

何がしたいのか分からないどころか、全く落ち着きません。

でも、そんなトレードしてる人って、結構多いんじゃないかなぁ?

先日もTwitterで、トレンド系のインジをいくつか張り巡らしておいて、結局は上昇トレンド中に逆張りで売りをかましている人を見ました。

お茶っ葉と急須を用意して、オレンジジュースを作ろうとしたところで、出来るはずがないんですけどねぇ。

トレードの場合は、なぜかそんな人ばっかりになってしまいます。

しかし、どんなに頑張ってインジを重ね合わせてみたところで、本来の目的や必要性からズレたところやっていたら、結局はチグハグなトレードしか出来ないんですよ。

張り巡らしたインジのシグナルたちばかりに目を囚われ、実はチャートそのものは見ていないし、見ても最新のロウソク足の目先の動きばっかり。

で、そんな目先のロウソク足がバイ~ンって大きく動くと、欲望のまま飛び乗ってしまったり逆張りを狙ってみるわけですよ。

でもそれって、

結局インジも必要ねーじゃんw

という、ツッコミどころ満載のネタでしかないわけで。

だから、気づかなくちゃいけない。

本当に大切なのは、

自分はチャートから何を見ようとしているのか?
自分はチャートから何を知ろうとしているのか?

という視点です。この根本的な問いかけが、多くのトレーダーには必要なんだと思うんですよねぇ。

昔の汚部屋にお邪魔します

ここからは、ちょっと僕の昔のお話を織り交ぜながらお話しようと思います。

今の僕からは考えられないことですが、実は負けてばかりの当時の僕のチャートって、こんな感じでした。

いやぁ・・・下手するともう少しインジ多かったかも。

しかし、自分のこととはいえ、改めて当時を振り返っててみると、一体チャートから何を見ようとしていたのか、全く分からない状態です。

きっとこの頃って、

「このポイントでエントリーすれば良いんじゃね?」

って教えてくれるシグナル、つまりトリガーを自動的に教えてくれる便利な道具がないかばかりを探してたんですよ。

そして、自分自身にとって本当は何が大切なのかも分からないまま、何となく良さげなものを見つけては、あれもこれもと情報を足していくわけです。

言ってしまえば、闇雲に欲しいだけのモノを買い揃え、何が必要かもわからなぬまま、捨てられないモノばかりに囲まれて暮らしている汚部屋状態。

で、検証した気になっただけで、「これは効かない、あれも効かない」とインジを外しては、また違うインジを足していくわけで。

この頃の僕は、チャートにいくつインジを表示したところで、実はチャートなんて何も見ていなかったんですよね。

汚部屋から抜け出そう

まずは素のチャートを見つめてみる

そんな時代の僕ですから、当然のことながら、

何をやっても勝てない。
買えば下がるし、売れば上がる。
損切りして入り直せば往復ビンタ。
損切りしなければ含み損は膨れるばかり。

ゴチャゴチャになったチャートを前にしながら、ゴチャゴチャになった頭を抱える日々を続けてたんですが・・・

ある日、ふと

「自分は一体、何を見ようとしているんだろう?実は何も見ちゃいないんじゃないか?本当に大切なものって何だろう?」

って思ったんですね。

ひょっとしたら僕は、その時の自分自身にもう、ウンザリしたんだと思います。そして、

汚部屋から抜け出すために、ゴミかゴミじゃないかも分からないけど、とにかく捨てられる物は捨て、まずは生活するために必要最低限の物だけを残そう。

そんなつもりで、チャートからインジを外していきました。

そうすると、やっぱりこんな感じにあるわけで。

ロウソク足だけの素のチャートです。

で、まずはここから

一体何が分かるんだろう?
何が見えてくるんだろう?
自分は何を知りたいんだろう?

という視点で、ずっとチャートを眺め続けてみたんです。

すると、どうでしょう。まるで暗闇から一筋の光が見えるかの様に・・・

 

いや、なんも分かんねぇ!

ノ( ̄0 ̄;)\オー!!ノー!!!!

 

そう都合良くはいかないんですね。どっからどう見ても、何も分からないわけで。

ということで、ここで僕は初めて

問題意識

を自分で持つことになるんです。

問題意識を持ってインジを見直す

いざ素のロウソク足チャートを目の前にしても、一体何のどこをどう見てどう判断してよいか分からないわけです。

「ここはどこ?私は誰?」

という状態になってしまいました。

そこで、改めて僕自身が

「一体僕がこのチャートから知りたいのは何?」

という、根本的な問題意識を持って己とチャートを見つめ直すわけです。そして、

このチャートから相場の状況を理解するためには、一体何が必要なんだろう?

という疑問を解決するために、「知っていると思っているだけ」だったテクニカルの教科書を、もう1度開いて見ることにしたんです。

で、そこで何を選択するのかは、人それぞれになると思います。

ただ、当時の僕の場合は、それが「ライン」でした。

見えないものを見るために

なぜラインを選んだのかは、今となってはハッキリと思い出せないんですが・・・

そう言えば、当時の僕は、それまでほとんどラインを引いてみたことがなかったんですよ。

僕がトレードを始めた当初というのは、テクニカルに対する情報はあまりなかったんですね。そのせいか、計算式によって表示されるインジケーターは高度に見えて魅力的だったんですが、単にチャートに線を引くというのは極めて原始的でレベルが低い様に思い込んでたんです。

しかし、この素のチャートを理解するために、まずは初歩の初歩から入ってみよう、という思いもあって、ラインを引いて見ることにしたんだと思います。

まずは、トレンドライン。

でも、いざ引いて見ると、教科書が言ってる様には上手く引けないわけで。色んな風にトレンドラインは引けるし、どのラインが正しいのかも分からない。

じゃあ、水平線は?

見よう見まねに引いて見ても、教科書の様にピッタリと引ける線が引けません。

また、値動きを上手く捉えようとすればするほど、ラインが無数に増えていって、チャートが線で真っ黒になっていくわけで・・・

ここで僕は、初めて「現実」に直面するわけです。

教科書に載っているのは、「お手本」。そしてそれは良くできた「例題」でしかないんです。

そのお手本と例題をもとにして、僕は今目の前にある「問題」を解いてかなくちゃいけないわけで。

スポーツは、基本を教わったら、それをもとに実際にそれが使える様に、問題意識を持ちながら何度も何度も繰り返し、それが出来る様に練習を繰り返します。

そしてそれは、トレードも同じ。

習ったらすぐに自由自在に使えるモノゴトなど、この世に一つも存在していない、という、極めて当たり前の事実に気づいたんですよ。

ということで、僕はチャートに線を引いて引いて引きまくり、それがどう機能するのか、どう判断したら良いのかを考えまくります。

そう、練習と検証です。

そんな感じで、僕は自分なりにラインの扱い方が分かってくるようになりました。

しかし、だからと言って、ライン1つで相場が全て分かるわけではなかったんですねぇ。

実際に練習と検証、そしてトレードを繰り返していくと、今の自分に見えないものが1つずつ、具体的に分かってきます。

そして、その「見えないもの」を見える様にするために、

「ロウソク足の見方が足りないんじゃないか?」

と言って、改めてロウソク足を学び直し、

「そもそも、僕には高値と低値を見る感覚が定かじゃないんじゃないのか?」

ということで、ダウ理論を学び直し、

「この疑問を解決するために、移動平均線を用いてみてはどうだろう?」

と考えて、移動平均線を学び直すわけです。

そう、自分が見たいものを明確にするために、テクニカルを1つずつ加えていくんですよ。

決して、自分に利益をもたらしてくれる魔法のシグナルを鳴らすために、テクニカル(インジケーター)を表示するわけじゃないんです。

で、それに気づくと、学び方が変わります。

「知ってるつもり」だった自分の愚かさと、テクニカルの奥深さに気づかされますから、心のどこかが謙虚になります。

謙虚になれば、使い込んだ1つのテクニカルでも、まだまだ探求する気持ちは続きます。

僕だって、未だにラインを引いて検証を重ねてますし、その他のテクニカルも日々研究中です。

また、1つのテクニカルで見える範囲が多くなれば、補うために用いていた別のテクニカルは必要なくなっていきます。

磨けば磨くほど、大切なものだけ残し、必要なくなったものは省いていくことが出来るようになるんですね。

汚部屋から抜け出すためのまとめ

ちょっと僕の昔話を交えての話なので、情緒的なところもありますから、ポイントをまとめてみると

  • インジを単に「シグナルを鳴らしてくれる道具」として見ない
  • 問題意識を持ってチャートを見るために、一旦全てのインジを外す
  • まずは素のロウソク足チャートから、自分は本当の意味で何が知りたいのか?何が分からないのか?を自覚する
  • 自分にとって必要なこと、何が見たいのかが分ったら、改めてその視点でテクニカルと向き合う

ということになりますかね。

まぁ、実際にやって見ても答えは簡単には出ないですよ。

「ここはどこ?私は誰?」

な状態がしばらく続くことになると思います。

しかし、そこから芽生える問題意識がないと、恐らくこれからどんなテクニカルに出会っても、優秀なトレーダーに何を教わってみても、結果として何一つ得るものはないと思うんですよね。

まぁ、進む過程は人それぞれなので、上記の様な過程を踏まえなくとも、きちんとたどり着ける人はいるでしょう。

しかし、そうでなく同じ場所をいつまでもグルグルと回り続けているのであれば、上記の様な過程を辿ってみるのは、1つの手かもしれません。

さて、今回は以上です。

次回は、実際に素のロウソク足チャートから、問題意識を持ちながら1つずつテクニカルを加えていく作業を解説します。

その例として、僕がお話している「日足5SMA分析」を利用しようかと思っていますので、これを勉強している人もそうでない人も、お楽しみに!

それじゃあ、また。

臨機応変ということ

目線固定の弊害

トレード関連の情報を色々と見ていくと、

「上目線」
「下目線」
「目線固定」

という言葉をやたらと聞きます。

一般的に目線固定というのは、「上昇トレンドだったら買い方針のみ」という具合に、

トレンドの方向でしかエントリーしない様に行動を律する
買いか売りかの方針を決めたら、決めた方針を守る

という意味で使われてるんじゃないかなぁ・・・と思います。

確かに、それはそれで良いと思うんですが、僕の様に決して若くはなかったり、それほど器用じゃない人間は、一旦考えを決めてしまうと、その固定観念に縛られてしまいがちです。

で、僕の経験上、それって結構痛い思いするんですよ。

だってね、僕らは未来のことなんて知る由がないんですから。

なのに、綿密にチャート分析をやって目線を固定してしまうと・・・

方針と全く違った方向に動いても対処できない!

ってことになるんですよ。

売り方針で臨んで、実際には上昇してしまって損切りしても、上昇中にずっと売り時を狙い続け、上昇し続ける中で売り続ける羽目に陥ってしまいがちです。

なので、僕は目線を固定するというやり方は、あんまり好きじゃない。

やっぱりね、大切なのは

固定観念や先入観に縛られずに、間違ってたら間違ってたで素直にそれを認め、今の現実の流れについていく

という姿勢が大切なんだと思うんですよ。

つまり、臨機応変さが大切ってこと。

実例を用いて

過ちを認めよう

ちょっと、チャート使って説明しますね。

これ、オージー円1時間足チャート。

僕は昨日(2020/04/07)、この下降チャネルラインを引いて、赤い丸で記したところで売りエントリーをしたんですよ。次に価格はチャネル下限に向かって進むと判断して。

で、その後は直ぐに20pips以上の含み益が出てたんですが、もちろんライン下限に向かうと思ってるので利確はしなかったんですね。

ただ、エントリー後の値動きからすると、上にブレイクしてもおかしくない感じでした。なので、利確するか迷ったんですが、損切りしても10pipsちょっとで済むので、そのままポジションを保有することにしたんです。

で、ここは割と大切なポイントです。

改めて思い直してみると、仮に僕がポジションを持っていなかったら、値動きを見て「ブレイクするな」と踏んで買うタイミングを狙っていたはずだったと思います。

しかし、僕は売りポジションを持っていたため、自分の考えと行動に修正を加えられなかったんですね。

なので、結果は・・・

見ての通り、その後は反転上昇して、下降チャネルをブレイクしました。

僕も、まだまだですね。(* ̄∇ ̄*)ゞ テヘッ♪

では、ここでどうするか?

「売り方針」という固定観念、「価格は下がる」という先入観に縛られたままだと、

  • 損切りしない
  • ナンピン売りを続ける
  • 損切りと売りを繰り返し続ける

のいずれかを続けることになります。

でも、こういった場合は素直に

「ラインをブレイクしたので、流れが変わったかも」

という事実を受け入れる姿勢が大切なんですよ。

昔の僕なら、恐らくここでムキになって売り向かい続けたと思います。

しかし、相場は自分の想い通りになりません。どんなにムキになったところで、そこに意味はないんですよ。むしろ、相場の流れに素直に従うことが大切です。

ということで、昨日の僕がとった行動は・・・

5分足を用いて説明します。

赤い丸が売りエントリーです。値動き的に「ヤバいかな?」と思った時点で臨機応変に対処できなかったため、損切りする羽目になりました。

損切りしたポイントが青い丸のところです。

ラインを抜けた時点で、「やっぱ、そうか。抜けたか」と感じました。値動き的には、ラインをブレイクした後のフォロースルー(ブレイク後に後を追って買う勢力)もあるなと思ってたので、予め注文しておいた逆指値(STOP)を受け入れることにします。

しかし、見ての通り、ラインをブレイクした価格は、STOPには届かず再度下落を始めます。

ただ、この時点で僕は、視点(先入観)がクリアになっていたので、

  • 再度チャネル内に戻る様であれば、この値動きはオーバーシュート
  • チャネルのラインに跳ね返されたら、ロールリバーサル

と判断できます。

なので、手動で損切りするかどうかをまず判断することに。

結局、ラインに下落は止められたので、青丸のポイントで成行注文の損切りをします。売り方針をすんなり捨てたことにより、損失は13pipsほど。

で、その後にロールリバーサルだな、ということで(やや操作は遅れましたが)緑丸の辺りで買いエントリーをし直します。

後は、赤い矢印を見ての通りです。

臨機応変に買い方針にすんなりと転じたことにより、約40pipsと約20pipsのトレードが可能になりました。

3倍返し!いや、5倍返しだ!!

しかし、もし目線を固定したままで先入観を捨てられずに、売りに拘ってエントリーし続けたとしたら・・・

怖いですよね?

僕の経験上、売り向かった場合の大体のパターンといったら

ラインを越えてしまった後も、赤い丸で囲った辺りを目印に売りを続け損失を膨らませ、1つ目の緑色の丸を目印にして売った後は含み益が出ますが、今までの損失もあってか欲を出して利確できず、次の緑丸で損切り。

しかし、その後の微妙な下がり方を見て

「あー!損切りしなきゃよかった!!」

と後悔しながら、次の赤い丸でやっぱり売るんですよ。

で、損切り。

そしてついに力尽き、最後の青丸ポイント当たりからは指をくわえて下落するのを見続けながら

チックショ~~!!

と小梅太夫ばりの叫び声を上げることになります。

売り手が焼かれつくしたところが、上げ止まりになるわけですよ。

これ、相場あるあるですね。自分に良くあることは他人にも良くある。

人の常とは、世の常でもあるわけです。

相場は生物

相場とは生物(いきもの)であると同時に、生物(なまもの)です。

そう、「なまもの」。賞味期限は短いんです。

ですから、自分が分析したことに、いつまでも縛られ続けるとお腹を壊します。

例えば先ほどのオージー円の1時間足。

下降チャネルを大きくブレイクした後、再度下落してチャネルラインにぶち当たっています。

何やら、ラインに止められて反転している様に見えますよね。

先ほどの僕が紹介したトレードでは、小さな波のロールリバーサルでしたが、今度は大きな波でロールリバーサルを形成して、大きく上昇しようとする直前の様です。

ん?

ホントですかね?

それでは、恒例のシンキング・タ~~~イム!!

 

 

・・・

 

 

・・・

 

 

・・・

 

ホントにこれ、ロールリバーサルですかね?

 

・・・

 

・・・

 

・・・

 

分かりました?

 

では、答えを言いましょう。

答えは・・・

 

分かんねぇよ、そんなの。

 

が正解です。

当たりました?当たるわけないですよね?

じゃあ、解説しましょう。

先ほども言いました。相場は「生物」だと。

相場は「いきもの」ですから、ずっと同じ形に留まってはいませんし、同じところにも留まりません。

そして、そんな相場は「なまもの」ですから、分析したその時の賞味期限は直ぐに切れてしまいます。

下降チャネルと判断した相場は、あえなくブレイクしてしまったんですよね。

ということで、確かにチャネルラインに一旦止められていますが、このラインも賞味期限を過ぎてしまうかもしれません。

そして、「いきもの」である相場は、常にその形を変えてしまいます。

例えば、こんな風に。

あれ?

これって、下降チャネルを形成してたんじゃなくて、レクタングル(四角)・フォーメーションだったの?平行レンジってこと?

いえいえ、ホントのところどうかは、今のところ分かりません。

下降チャネルのラインがまだ有効で、ロールリバーサル後は上昇を始めるかもしれません。

しかし、この後は平行レンジを形成し、仮に上昇したとしても上の水平線に止められて、下降を始め、次に下の水平線へと下値を試すかもしれません。

つまり、その後の未来に「絶対」はないんですよ。

あくまで、可能性の世界。

僕らが出来ることというのは、過去から現在の値動きから、未来への可能性を探るだけ。そして、その可能性の中からリスクと優位性を見出しながら、自分がとるべき可能性(道程)を選択して歩み続けるだけなんです。

そして、そんな可能性に対して、常に臨機応変な対応をし続ける。

それが、トレーダーというものです。

なんだか、トレードと人生観は、重ね合わさることが多い様な。そんな気がする2020年緊急事態宣言発令中の春です。

流れに従う

流れに逆らわないために

臨機応変に振る舞うことは大切だと頭で分かっていたとしても、人はついうっかりと自分の先入観に縛られてしまいがちです。

では、先入観に縛られずにいるためには、どうしたら良いでしょう?何か良い判断材料みたいなものは、ないのでしょうか?

もし仮に、そう聞かれたとしたら、僕はきっとこう答えます。

 

そんなの、自分で考えれば?

 

冷たいですか?まぁ、冷たいですよね。

でも、他人の頭で考えてもらうことばかり考えて、自分の頭で考えない人は、魑魅魍魎の潜むこの相場の世界では到底生き残れません。

なので、「どうしたら良いか?」というテーマは、常に自分の頭で考え抜くことが大切です。

ただ、こんな話をしてしまった以上、「自分の頭で考えなよ」で終わらせてしまうのも、何か違う気もしますので、僕から1つの提案しておきます。

それは、移動平均線。

僕は、目線を固定するなら、それは上目線・下目線ではなく、価格推移の「流れ」を固定した方が良い、というお話をしています。

具体的に再度お話するのは面倒なので、「時間軸に関係なく流れの目線を固定しよう」あたりを参照してください。

まぁ、要するに価格の流れを抽象化した移動平均線をきちんと意識しておくことで、流れにきちんと従うことが出来るということです。

先ほどの

という、売りに固執してしまったら大損害を受けたであろう場面ですが、移動平均線を表示させると

パーフェクトオーダー。

どこをどう見ても、買いポイントを模索する場面にしか見ません。

もちろん、これは1つのヒントでしかなくて、提案です。別に移動平均線を3本表示しなくちゃいけないということでもありません。

自分の基軸となる流れを示す移動平均線を1本だけ表示させておくだけでも良いですし、移動平均線を使わず別の何かを基軸としても構いません。

ただ、チャート上に価格の流れの方向をきちんと意識させる道具(インジとか)を何か1つでも用意していくことで、それは勝手な先入観という呪縛から解き放たれる助力となると思うんですよ。

そういった工夫を自分なりに加えていくことで、流れに沿いながらも臨機応変に相場を渡り歩くコツを掴んでいけるんじゃないかなー、と思います。

チャート分析の心得

真剣にトレードに取り組んでる人にとって、チャート分析とは大切なものです。

毎日の作業として、その日の終わりまたはトレード始める前には、念入りにチャートを確認し、分析します。週末には、次週の分析をやはり念入り行います。

人によっては、凄く丁寧に時間をかけて分析しているんじゃないかなぁ?

非常に喜ぶべき姿勢ですし、その努力が早く実ってくれたら良いな、と思います。

ですから、そんな一生懸命な人へ向けて、老婆心ながら僕からアドバイスをさせてもらうとしたら、

 

そんな時間かけた分析、いらねーし

 

という一言になるでしょうか。

別にトレードで勝つためには、長時間をかけてまでやるような高度な分析は、特別必要ありません。

高度な分析などせずとも、シンプルに分析することで、トレードでは十分勝ち続けることが出来るんですよ。

さっきの僕のトレードの例、ご覧になりましたよね?

チャネルライン引いて、ラインに当たって跳ね返されたところを売っただけです。で、その行為が否定されたら損切りして、後は流れについていっただけです。

僕は普段オージー円をやらないので、たまたまチャート覗いてライン引いて見たという、ものの数十秒の分析ですよ。

ひょっとして、まさか・・・

長い時間と労力をかけて分析したら、相場の謎を解き明かせるとでも?

そこまでは思ってないにしろ、自分の労力に時間をかけたらかけた分だけ、的確な分析によって素晴らしいトレードが出来るとでも?

んなこたぁ、ない。幻想なんですよ、幻想。

例えば、バッターボックスに立つ前に、相手の投手の分析を長時間かけるだけだけて練りに練った上で、

「きっと、一球目はAでくる。もし、AじゃなくBであったら、こうやってこう対処して・・・」

って方針を決めて、その目線を「固定」してバッターボックスに立ちますかね?

で、投手がどんな球を投げてこようが、当初の方針に従ってバットを振りますか?

別に野球じゃなくても、卓球でも良いですよ。

「相手はまず、最初にこのコースでこんな回転をかけて球を打ってくる」

って方針を固定して、相手がどの様な球を打ってきても、その方針通りにラケットを振りますかね?

なんかそれって、球を見ないでバットやラケットを振るのとあんまり違わない様な気がしますけど。

根本的なところ、間違ってませんか?

トレードもスポーツも、予め練りに練って予定された架空の世界の中で、闘うわけじゃありません。

常に、現実対応です。

むしろ、時間をかけて突き詰めて分析すればするほど、その分析に縛られてしまい、臨機応変に動けなくなってしまいます。

ですから、分析なんてのはシンプルに行ってシンプルに判断しておいた方が良いんですよ。

長々とトレードのシナリオを作成するためのチャート分析する時間があるのであれば、そんな時間はトレードの検証と練習に費やすべきです。

そう、どんな球が来てもその場で臨機応変に打ち返すことが出来るための、「現実対応」という腕を磨くための、ね。

人生、何事も・・・

先ほども言いましたが、相場を自分の想い通りに操作することは出来ません。自分の力じゃどうにもならないんですよ。

だから、諦めが肝心。

相場では、諦めることが大切なんですよ。

最近の自己啓発的な風潮だと「諦めなければ、夢が叶う」と言います。

が、少なくとも相場において、それは嘘です。真っ赤な嘘でしかありません。

例えばスポーツの試合なんかは、形勢不利であっても諦めずに踏ん張ることで、逆転勝利を掴むことは可能かもしれません。

しかしそれは、自分の頑張りで何とかなる範囲での話です。

自分の努力などとは全く無縁の世界では、そんな話は通用しないんですよ。

もし、諦めなければ夢が叶うと相場の世界で信じるなら、全財産を賭けて自分が信じる方向へとエントリーすれば良いんですよ。そして、逆行したなら、借金をしてでも自分が信じた方向へとエントリーし続けたら良いんです。

だって、信じれば夢は叶うんですよね?

もしそうなら、何も考えずにエントリーしつづけたら、億万長者になれるはずです。

でも、しないですよね?

なぜやらないかと言えば、諦めなければ夢は叶うわけじゃないっていう話が、相場では通用しないってことを、実は心の奥底で分かっているからです。

相場という世界では、諦めないのは地獄への一歩なんです。

だったら、諦めたら良いんですよ。素直に。

日本では古くから、「人生、何事も諦めが肝心」と言います。そして、それは僕たちが生きていくうえでの本質です。

諦めるとは、明らかに見極めるということ。

確か、雀鬼と呼ばれた桜井章一氏の言葉だったと思います。

諦めるというのは、押して出るべき時と引き際を、きちんと見極めるということなんですよ。押して出るべき時は突き進み、引き際であれば何の躊躇いもなくその場を立ち去るということです。

これ、非常に難しいことですが、非常に大切なことです。

自分が決めた方針と逆の方向に流れが行くのであれば、素直にそれを認め、諦め、そして流れの方向へとついていく。

己の過ちを認め、進むべき方向を見極めてそちらに方向転換をすることを受け入れる。

それも、勇気です。

諦めるとは、大切な勇気のことなんです。

相場の世界において、諦めないというのは、諦めきれないという往生際の悪さのことであり、ただの醜い姿でしかありません。

  • 諦めるとは、明らかに見極めること
  • 諦めないということは、醜態

そう胸に刻んで相場に臨むことは、臨機応変さを手に入れる1つの大きな指針かもしれません。

 

・・・ということで、

今回のお話は以上です。今回の内容は、思い付きで書き始めた様なものですが、皆さんのお役に立てたなら、幸いです。

それじゃあ、また。