トレンド転換時の思考と方法論(1)

さて今回のお話は、トレンド転換についてです。

トレンドが反転する際に、どの様な思考でどの様にトレードしていくべきかをお話しようと思います。

ただ、いつものごとく書き出したら長くなりすぎちゃったんですよねぇ・・・

ということで、この「トレンド転換時の思考と方法論」も数回に分けてお話していくことになります。

まずは、トレンド転換時において初心者が陥りがちな思考(というか嗜好)について、メスを入れていくことから始めていこうと思います。

それでは、始まり始まり~!

天底だとか、頭と尻尾だとか

前回、ポンド円を解説する際にあげた日足チャートが以下の図です。

そして、6月16日朝の段階の日足は、こんな感じになってます。

で、僕は先日、ネット上で上図赤丸の辺りで売ってドヤっている人を見かけました。

まぁこれに限った話じゃありませんが、この界隈では天底を獲ってドヤ顔する自称凄腕トレーダーや、そんな彼らを「凄~い!」とか言って褒め称えてみたりという光景が、珍しくありません。

 

えっと、皆さん初心者か何かなんですかね?

 

天底を獲りたいとか、波一辺の頭から尻尾まで頂きたいとか、そういった発想って、トレードにとっては邪魔な概念でしかないんですよ。

なぜかって?

だって、トレードの本質は、それとは無縁のところにあるからです。

なぜ天底獲り願望がダメなのか?

例えばこんなチャートがあったとします。ゴールドの5分足です。

で、例えば上図の赤丸で売ったことを勝ち誇っているトレーダーがいたとしたら、アナタはどう思うでしょうか?

僕には、そんな人の心の裏側が透けて見えて、思わず笑ってしまいたくなります。

このチャートの上部には、1本のラインが引いてありますよね?

そのラインは、ここがチャートポイントになる可能性があると思っていたので、僕が予め引いておいたものです。

ただ、じゃあ僕はこの赤丸のポイントで売るのでしょうか?

もちろん、ここはチャートポイントですから、少なくとも一旦は売りが入るだろうと想定するのは、正しい判断です。なので、反発(反転ではない)を狙ってスキャルピングで売りを仕掛けるなら、それはトレードとして正しい選択です。

で、スキャで即逃げするつもりで一部を利食い、残りを持ったまま様子を見ていたら、たいしたストレスもなく順調に下げていった・・・ラッキー!

そう、それならば単にそれは、幸運だっただけの話です。分析の結果でも、秘密の手法のおかげでもありません。

しかし、もう一度チャートを見てください。

上図の赤い丸で売って、チャート右下まで下げているという事実をドヤ顔するのであれば、そもそもデイトレかスイング・トレードで入ってるはずです。

では、赤い丸のポイントで、相場が反発ではなく反転するという根拠はどこにあるんでしょう?

 

ないんですよ。
ないんです。

 

価格が赤い丸のポイントに到達した時点で、反発する根拠はあっても、反転するという根拠は、どこにもありません。

もっと言えば、相場が反転するというサインどころか、相場が継続して上昇するというサインすら出てないんですよ。

あるのはただ、チャートポイントに到達したという、その事実だけです。

チャートポイントとは

そもそもチャートポイントとは、多くの市場参加者、特に力のある参加者たちから注目されているであろうポイントのことを言います。

で、注目しているのは、そのポイント(もしくはその周辺)で売ろうと思っている勢力だけではありません。そのポイント(もしくはその周辺)を越えていこうとする買い勢力も、同様に注目しています。

なので、チャートポイントは、売り買いが交錯するポイントでもあるわけです。

で、売り手が圧勝すればすんなり反転しますし、買い手が圧勝すればすんなりとそのポイントを抜けていきます。

ただ多くの場合は、売り買いが拮抗します。その勢力争いが短ければ、少し小さく揉み合ったくらいで勝敗が決まりますし、勢力争いが大きく激しければ激しいほど、価格の揉み合いは長く大きくなるわけです。

で、そんなポイントが「チャートポイント」なんですね。

チャートポイントに価格が到達すれば、単純に反転すると勘違いしている人って、結構いると思います。その点を間違わない様にしてください。

僕らトレーダーはスネ夫でしかない

僕ら個人トレーダーに、相場を動かす力はありません。巨大なファンドや実需筋に立ち向かって勝てる資金など、ありませんからね。

僕らは、決してジャイアンにはなれないんですよ。

そして、のび太の様にドラえもんに頼んでジャイアンを打ち負かす特別な道具を使うこともできませんし、タイムマシーンに乗ってジャイアンがどちらに向かうかを知ることも出来ません。

僕らが出来ることといったら、力づくで方向性を決定するジャイアンに足並みを揃え続けるスネ夫になることだけです。

そう、僕ら個人トレーダーが相場の世界で生き残る道は、スネ夫戦略一択なんです。

チャートポイントに到達し、そこで買い方が勝ったのであれば、買い方についていく。売り方が勝ったのであれば、売り方についていく。

僕らスネ夫軍団は、「どちらが勝ったのか?」という【事実】ただそれだけを頼りに、進む道を決めるのです。

そして、それが僕ら個人トレーダーとしての本質です。

予想は止そう

では、そんなチャートポイントで勢力争いの決着を見ずに、即売ったり買ったりしてしまうのはなぜなんでしょう?

結果すら出ていない上図赤い丸のポイントで売ってしまったのは、なぜなんでしょうか?

それはね、

「そのポイントで反転するだろう」

という「予測」や「予想」をしていたからです。

だから、反転する事実もないのに、売ってしまってるんです。

しかし、なぜそこで反転すると思ったのでしょうか?

そのポイントで、どんなファンドがどのくらいの資金で売りを入れ、どんな実需筋がトータルでどの程度の売りを建てていたのか?

そのポイントで、どんなファンドがどのくらいの資金で買いを入れ、どんな実需筋がトータルでどの程度の買いを建てていたのか?

それらを全て把握したうえで売り方が勝つと予め分かっている人など、世界中を探してもほぼ見つかりません。

にもかかわらず、なぜそこで反転するとして売ったのか?

「俺がチャートを分析して割り出したチャートポイントはここだ。このポイントで反転するぞ、するぞ」

そんな風に、勝手に予測や予想を立てて、それを実行したからなんですよ。

しかし、それは予測や予想という名前の、単なる自分勝手な妄想にしか過ぎません。

だって、根拠がないんだもん。

もちろん、様々なテクニカルやファンダメンタルズを駆使することによって、そこで反転する可能性を導き出すことは可能かもしれません。

しかし、それは単に可能性でしかなく、言ってしまえば確率論です。

もちろん、僕らトレーダーは確率思考の中で進む道を決めているんですから、確率論が悪いと言っているわけじゃありません。ただ、

「確率的に優秀なサインが出たから売った」

のであれば、それは常日頃の出来事でしかないんですから、別にドヤる必要なんてどこにもないじゃないですか。淡々と売れば良いだけです。

むしろ確率の高いシグナルを珍しく外した方が、サプライズですよね。予測を外してしまったという珍しい方をネット上に晒して驚いていることの方が、自然な態度なんじゃないですかね?

 

でも、しないんですよねぇ・・・

なぜでしょ?

 

答えは簡単です。

天井を獲るのが珍しいこと、貴重な事だと、本人が思っているからです。そして、自分だけではなく界隈の人たちも、そう思っていると判断しているからです。

もし仮に僕が、自称凄腕トレーダーとなって皆さんを騙し、高額商材やらサロンなどに誘い込もうとしたら、どうすると思います?

例えば僕なら、

上図赤いポイントで、スキャルピングとして売り、ドキドキしながら様子を見ているうちに順調に下げ出しても、自分の運を喜ぶ姿は隠しておきます。そして、皆さんに対しては、

「僕の手法を知ったら、誰でも同じようなことできますよ」

ってな感じのドヤ顔で、チャート履歴を公開します。

もちろん、そこで売ったのに上昇してしまったのであれば、損切りした事実など公表しませんし、もし先出しで売ることを公表していたのであれば、そんな事実はなかったことにするか、「資金管理」やら「確率論」を持ち出して誤魔化します。

もしくは、上図赤丸で両建てします。で、順調に下げ出したのであれば、買った方を損切りし、売った方のチャートと履歴を自分の実力の証拠として公開します。

 

なんだ、簡単じゃん。欲ボケした人間を騙すのなんて。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

 

まぁ、詐欺るつもりは毛頭なくとも、自己承認欲求を満たすために、たまに運よく天底獲ったりしたら、ネット上に公開するしたりすることは、人によってはあるかもしれませんね。

ただ、本当にトレーダーとして一人前になりたいのであれば、そういった行動はむしろ逆効果の様に思えてしまうんですが・・・

 

すみません。ちょっと、話がそれました。

僕らトレーダーがやらなければいけないことは、予測や予想をすることではありません。勝敗の結果を見て、その事実についていくのが、トレーダーの仕事です。

「予想は止そう」

そんなダジャレが、この相場で生きる人々にとっては格言であり、一人前のトレーダーを目指す僕らにとっては欠かすことのできない大切な言葉です。

トレーダーは「想定」する

予想も予測もダメ。

しかし僕らテクニカル・トレーダーは、価格が相場を辿った過去の道標から未来を判断して売買を行ないます。

なのに、予想も予測もダメってどういうこと?僕らがやっていることって、予想でもなく予測でもなかったら、一体何?何なの?

そんな言葉の定義について、以前ちゅぱ太郎@さーふさん(@SSSURFFF)というエロい人と話していた時に、みぎさん(@miggy_star)というこれまたエロい人から教えてもらったのが、

「想定」

という言葉でした。

僕らトレーダーは、過去の値動きを道標として、現在から未来への価格をトレードします。

しかし、その際に僕らがすることって、

「このまま上がるのであれば、こうしよう。もし下がるとしたら、こうしよう。しかしレンジになったら・・・」

ってな感じで、様々なシチュエーションを考慮(シナリオ作り)しながら、事実と向き合うわけけす。

つまり、そういった未来を考える行為って、予想でも予測でもなく、「想定」なんですね。

うん、それって大事。

僕らトレーダーの仕事とは、過去の道程から未来を想定し、そして事実と向き合うことなんですよ。

そしてそれが、トレーダーとしての本懐です。

事実と向き合うとは

では、事実と向き合うというのは、実際どういうことなんでしょうか?

要するに、相場が反転するなら、「反転した」というサインをチャートから受け取ってから、売買を行なうということです。

このサインというのが、僕がこのブログで何度も言っている「反転確認」です。

反転確認とは、売り方と買い方の勢力の優劣が逆転したことを確認する作業です。

もちろん、その反転確認という作業は、その人が身に着けたテクニカルの種類や腕前によって、人それぞれ違ってきます。

例えばライン・トレーダーであれば、先ほどのゴールド5分足チャートなら、こんな風にトレードしたりします。

上図の様な赤い丸のポイントで、淡々と売っていけば良いわけです。

仮にこのブログでライン引きを勉強している人であれば、ここに引いた斜めラインは、相場の規則性と勢いを表す「クシ」と一致していますから、より強い根拠として売って売って売りまくることが可能になるわけです。

しかし、天井獲ってドヤってる人って、「天井で売ってここまで下げましたよ」とは言いますが、上図の様にその途中で売りまくるポイントは沢山あっても、そこには全く触れなかったりします。

天井獲って喜んでるだけで、一体何をやってるんでしょ?初心者感、丸出しです。

で、上図はライントレードの一例でした。

では、今度はそれがMAトレーダーなら、どう振る舞うでしょう?

同じMAトレーダーでも、用いるMAの種類や期間、またトリガーの引き方は人それぞれですが、まぁ例えば僕ならこんな感じになります。

同じく、事実をもとに淡々と売っていくだけです。

で、余談ですが、ライントレードもMAトレードも、見比べて見ると、結果としては似た様なところでエントリーすることになります。面白いですよねぇ、トレードって。

まぁ、なんだかんだ言いましたが、結局のところ僕らトレーダーは、天底を当てて喜ぶのが仕事なわけじゃないんですよ。

自分が学び検証と練習を重ねることで得たテクニカルの技術によって、勢力争いに決着がついたポイントを見つけ、その事実に基づいて売買を行なうことが、トレーダーとしての仕事です。

 

さて、話が長くなってしまいましたので、今日はこの辺でお終いにします。今回は、トレンド転換時に対する基本的な考え方についてお話しました。

次回は、前回に解説したポンド円のトレード例の続きを用いながら、テクニカルの部分のお話をしていきます。前回のお話を読んでない人は、「エントリーの実際(セットアップの重要性)」を読んでおいてください。

それじゃあ、また。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です