ダブルボトムについて

前略、恥の上から

先週末9月8日(日)、僕は台風の関東上陸を避けるため、深夜までの仕事の予定を切り上げて、夕方には家に戻ってきてました。

で、時間が空いたのでツイッターに週明け9日の相場観(?)でも呟こうかと、こんな画像を用意してました。

ポンド円の4時間足9月8日時点のチャートです。

でも、ここまで作成したところで止めちゃいました。(* ̄∇ ̄*)ゞ テヘッ♪

僕がツイッター利用する本来の目的は、相場分析を披露したりポジション先出することではなく、

むしろ逆で、自分の損切りやミス・トレードを晒すことで、自己修正の一端になればな、という想いからです。

まぁ、やっちゃいけないという決まりはしてないんですが、その数日前にポジショントークを繰り返していたので、心のどこかにドヤ顔が覗かせてしまっているんじゃないかという危惧が、頭の片隅に浮かんできたんですね。

といういことで、画像作成途中で取り止めたわけなんです。

が、やはりこの危惧は的中していた様で、僕は次の日、自分のちょっとしたスケベ心から、ミス・トレードを犯してしまいます。

なので、今回はこの反省を込めて、自分のミス・トレードを題材に、この時の相場分析を振り返っていこうかなと。

主題は、「ダブルボトム」についてです。ダブルトップについても、要領は同じになるので、上手く読み取ってくださいね。

では、行ってみましょう。

ダブルボトムを考える

ダブルボトム前説

まず、上の画像、完成させちゃいますね。それが、コレ。

ぱっと見で分かる通り、有名なパターン「ダブル・ボトム」ですね。

こういった場合は難しく考えず、セオリー通りに

  1. ネックラインを越えたら買う
  2. もしくは、ネックラインを越えた後に押し目を作り、再びネックラインでサポートされて反発したところを買う

という風にトレードすれば良いことになります。

ただ、1.の通りにネックラインを越えてすぐ買った場合、次の押し目が大きい場合は耐えられずに損切りしてしまい、その後から急上昇!なんて初心者あるあるになりやすいわけで。

このパターンがダマシだったらそれこそ損失は大きいわけですし。

ということで、推奨されるのは2.ということになります。

ですが・・・

じゃあ、ネックラインってどこよ?

って話にもなるんですよ。

ネックラインについて

ダブルボトムに関するネックラインの考え方で、最も一般的なのは、コレ。

ネック・ポイントに水平線を引いたものをネックラインとするものです。

ところが例1とは別に、こんなのも、あります。

この例2のパターンも、見たことある人は割といるんじゃないかなぁ。ネックとネック直前のスイング・ハイ(波の山となる部分)を結んだラインをネックラインとするものです。

上図ではネック直前のスイング・ハイがネックよりも下にあるので、ネックラインは右肩上がりとなっていますが、

このネック直前のスイング・ハイがネックよりも上にある場合は、その両者を結ぶネックラインは右肩下がりになります。

しかし、ネックラインの引き方は、この2つだけじゃないんですねぇ。下図の様な引き方もあるんですよ。

この例3の引き方は、知らない人の方が多いと思います。

(でも、この図を見た途端に、「あれ、チャネル?」なんて気づく方もいるかと思います。これ、凄いヒントですが、今回は話がそれるんで各自自分の頭で考えてくださいね)

ですが、

まぁ、ネックラインの引き方の種類があるってことを知ってる知らないは、極端に言ってしまえば、どうでも良い話です。トレードをする身にとっては実際のところ、

「じゃあ、この3つはどれが正しいの?」
「3つとも有効性があるとしても、どう使い分ければ良いの?」

ということになると思うんですよ。3つのうち、どれを選択すべきか迷っちゃうんじゃないでしょうか?

ダウ理論で見る

でも、僕から言わせると、「ネックラインはどうしたら良い?」という問題は、それほど深刻に考える必要がないと思うんですよねぇ。

そもそも、WボトムやWトップ、それにヘッド・アンド・ショルダー(三尊)なんてのは、単にダウ理論上でトレンドが崩れた後に逆方向へトレンド転換し出した時の典型的な形をパターン化したものでしかないんですよ。

このことについては、機会を見ていずれまとめてお話します。

ただ、今回はダブルボトムについてですので、これについて少しお話していきましょう。

まずは、典型的なダブルボトムを見てみましょうか。

この場合の教科書的なエントリーポイントは、先ほどもお話した通り、

  1. ネックラインを越えたところの星マーク1で買う
  2. ダマシを回避するため、ネックラインを越えた後に一旦押し目を付け、ネックラインで止められ反転した(青丸g)のを確認して星マーク2で買う

ということになります。

しかし、これをダウ理論で見ると、もっと色んな事が見えてきます。

上図の様な典型的なWボトムをダウ理論で見た場合、

b → d は高値を切り上げておらず、
c → e も低値を切り上げてません。

なので、eで上昇をはじめてもdを越えるまでは「下降トレンドは継続、今は調整中」ということになります。

そして、d → f と高値を切り上げた段階でようやく「下降トレンドは少なくとも一旦終了」と判断できることになります。

しかし、単に高値を切り上げただけで、低値は切り上がってませんから、上昇トレンドとは判断できないため、星マーク1は買いポイントとはなりません。むしろ、見送らないと危険な場面です。

仮に星マーク1で買ってしまい、その後に大きく下落した場合、

単にWボトムのセオリーだけで見たら「ダマシにあってしまった」という理解で終わる場面ですが、

ダウ理論で見たら、「買ってはいけない場面で買ってしまったミストレード」ということになるんですよ。

なので、ダウ理論で見た場合は、ネックラインで反転上昇した青丸gの場面にきて初めて

高値を切り上げ、低値を切り上げた

ということになり、ここにきてようやく上昇トレンドが発生する可能性が大きく高まったという判断となるわけです。星マーク2は、その可能性に賭けると共に、ネックラインのレジサポ機能が効いているということを根拠に買いを仕掛ける場面ということになります。

なお、上昇トレンド発生をさらに根拠づけるのは赤丸fを切り上げた場面になります。

高値を切り上げ続けた

という継続性が根拠に1つ加わるため、星マーク3でエントリーする方が、より低リスクということになるわけです。

なお、ネックラインが機能せず、さらに価格を切り下げたとしても、eを下回らずに反転上昇した場合でも、赤丸fの高値を抜けば、

高値更新→低値更新→さらに高値更新

という図式となり、「上昇トレンド開始」と判断可能となるため、星マーク3で買いエントリーがOKとなる局面です。

この様に、Wボトムをダウ理論で見ていくと、通り一遍な解釈には留まらず、深く値動きを解釈していけることが分かると思います。

では、上図のWボトムが少し崩れた場合も見てみましょうか。

例えば先のダブルボトムのネックラインの例2の図を例にとってみると

これなんてのは、ダウ理論で見た場合、

上図の様になるわけで、

a → c と低値を切り下げてますが、b → d と高値を切り上げた時点で下降トレンドは少なくとも一旦終了と判断します。

で、その後は、レンジか上昇トレンドへと転換すると判断するわけですが、

c → e と低値を切り上げたことで、上昇トレンドが発生したかな?と判断できます。

dを上抜き、d → f となった時点で、高値切上げが継続されたことが確認でき、上昇トレンドは濃厚ということですね。

gの場面でネックラインで反転上昇することで完全に上昇トレンドが発生していることが確認できたことになります。

となると、Wボトムの買いポイントのセオリーである星マーク3は、このケースの場合でいえば、むしろ保守的過ぎるぐらいの買いポイントです。星マーク2で仕掛けても問題のない局面ですし、むしろ攻める意味では星マーク1で仕掛けても構わないわけです。

また、ネックラインをgが割り込んだとしても、eを下回らずに反転上昇すれば、これまた絶好のエントリーポイントになります。

以上の様に、Wボトムもダウ理論で見ることで、ネックラインに拘らずにトレードが可能になりますし、また一律に「Wボトム」としてエントリーポイントも固定して見る必要はないわけなんですね。

 

ダブルボトム再び

Wボトムをダウ理論で見れば、無理にネックラインを規定する必要はないことはわかりました。

ただ、問題が1点。

Wボトムのネックを上抜けた後に一旦押してから反転上昇するポイント(先の図で言えば青丸g)を見つけるのは、リアルタイムでチャートを見続けていられるのであれば十分対応は可能でしょう。

しかし、リアルタイムでチャートを見ていられない場合は?

特に指値を置く予約注文を出してトレードしたい場合は、

「ここ辺りで反転するんじゃないか?」

という見立てをもとに、指値注文を出しておく必要があります。反転するポイントを予め想定しておく必要があるわけです。

じゃあ、どうしたら良い?

となるわけで、やはりダウ理論だけじゃ反転ポイントを推測することは難しくなります。

そこで再びですが・・・やっぱりWボトムのネックラインの概念を用いて反転ポイントを探る必要が出てきます。

あー、なんかイタチの追いかけっこだ。

では、そうなる前に、もう1度最初の方に提示した図を見てみましょうか。

これは、押し目を付ける可能性の高い範囲を示したものです。

では、先ほどのネックライン3種類の解説に合わせて3本のラインを引くとどうなるでしょうか?以下がその図です。

ちょっと見づらいですが・・・

緑色のライン1は、ネックラインの例2で示した、ネック(上図のエロいポイント)とその直前のスイング・ハイを結んだラインです。

青色ライン2は、ネックラインの例3で示した、ボトム2点を結んだラインと平行なラインをネックに合わせて引いたものです。

黒色ライン3は、ネックラインの例1で示した典型的なネックラインで、ネックを基点に水平線を引いたものです。

赤色ライン4ですが、発想は黒色ライン3と同じですが、ネックのヒゲ先に引くとオーバーシュートする可能性を考慮したものです。

よって、1~4の範囲で押し目を付ける可能性が高いと判断します。

 

しかし、

 

実際にこの範囲内のどこか1つに指値注文を出すとなると、正直このゾーンは広過ぎです。ざっと見ても1~4までは75pipsの値幅があり、デイトレの場合で言えば

これじゃあ、話にならねぇ!

というレベルなんですよね。

では、どうしましょう?

建玉操作による指値注文

別に今回のWボトムに限った話ではなく、押しや戻しをピンポイントで予測するというのは、実際のところ至難の業です。

なので、こういった場合は建玉操作を行なうことで、損失拡大のリスクを分散させます。

これ、以前お話しましたが、覚えてますかね?

指値を建てるゾーンが決まっているということは、既に損切りする位置も決まっているので、最大の損失幅も予め想定できます。

なので、これを基点にして建玉するポイントを複数に分けることで、リスクを分散させる方法をとります。

これ、いわゆるナンピンに当たるのですが、俗に危険だと言われるナンピンとは全く別物の建玉操作で、むしろピンポイント1発でエントリーするよりもリスクを軽減する目的で行なうやり方です。

(詳しくは、「建玉操作としてのナンピンについて」をご覧ください)

では、具体的なやり方を順を追って説明します。

まずは、見やすい様に4時間足を1時間足にしてみてみましょう。

週明け9日月曜日の午前8時の終値までを表示して、その後の値動きは隠してみました。

ラインの色と番号は、先ほどの4時間足と対応しています。

緑色のライン1は、ネックラインの例2で示した、ネックとその直前のスイング・ハイを結んだラインです。

青色ライン2は、ネックラインの例3で示した、ボトム2点を結んだラインと平行なラインをネックに合わせて引いたものです。

黒色ライン3は、ネックラインの例1で示した典型的なネックラインで、ネックを基点に水平線を引いたものです。

赤色ライン4ですが、発想は黒色ライン3と同じですが、ネックのヒゲ先に引くとオーバーシュートする可能性を考慮したものです。

以上を考慮して、1~3に指値を分散させておきます。また、損切りのポイントは4の少し下に置くことになります。

それでは、順を追ってみていきましょう。

週明けは下窓を開けて相場が始まりました。

上図チャートは午前8時が終わった時のものですが、この時点ではセオリー通りにほぼ窓埋めは完了しています。

で、窓を埋めた後の展開を見ます。先週末の終値を越えていくようであれば、そのまま買いますが、この後に再び落ちてくるようであれば買うことは出来ないので、この場面では見送りです。

トレードするかどうか様子見をします。隙間時間を使って見ればOKかと。

で、次に正午終値のチャート。

完全に1~4のゾーンに入り込んだので、2もしくは3まで押しは続くと想定します。

2のラインのすぐ上に通常のロットの半分、残りの半分は3のラインのすぐ上に指値注文を出します。もちろん、いずれも4の直下は損切り注文を置くのが大前提です。

ただし、もう少し突っ込んだ話をすると、

AのスイングローとBのスイングハイのスイングに対して、23.6%(フィボナッチ指数)戻す付近にちょうど2のラインが位置してるんですね。

ということで、本来の僕であれば、2のラインのすぐ上に通常のロットの2/3を置き、3のラインのすぐ上に残り1/3を置くという判断をします。

じゃあ、結果を見てみますか。

ご覧の通り、2のラインで反転上昇をはじめています。

ということで、3のラインには届きませんでしたが、通常ロットの2/3で反転上昇局面を指値で捉えることが出来たわけです。

この後、ライン1を越えたのを見たら、残りの1/3を追撃買いすることも可能ですね。

というわけで僕は爆益を・・・と言いたいところなのですが、冒頭でお話した通り、僕はここまで分かっていながら、ちょっとしたスケベ心を出してしまったために、指値に1つもかからずにこのエントリーチャンスを台無しにしてしまったのです。

計画は信念をもって

僕がミスを犯した経緯は、以下の通りです。

僕は日曜日の時点で、上述の通りの計画を持っていたのですが、

実際は「面倒くせーや」という安易な理由で、建玉を分割せずに先のライン2のところ1点に指値注文を出していたんですよ。

しかし、僕は仕事に入る直前の9日当日の午後4時を回った時点でチャートを確認したら、ロウソク足が強めに陰線を描いてたんですね。

で、ちょっと怖くなった。

もちろん、押し目を付けて上昇するだろうという自信はあったので、買い方針を撤回はしなかったんですが、問題は斜め線のウィークポイントでした。

ライン2は水平線ではなく右肩上がりの斜めラインです。

なので、価格の下落が早ければこのラインに到達するのは低い価格ですが、下落が遅ければラインに到達するのはより高い価格となります。

下の図を見たら、分かりやすいかも。

下落の勢いが強い場合はAのポイントで斜めラインに到達しますが、下落の勢いが弱ければBのポイントで到達するため、同じラインに到達するにしても価格に高低差が生まれます。

なので、予め指値を置く場合は、Aのみを想定すると価格はラインに到達せずに反転してしまう可能性があります。必ずBの様に到達が遅いことを考慮しなければいけません。

要するに僕が置いたライン2の上の指値の位置は、上図で言えばBを想定したものであったわけです。

しかし、目先の値動きを見てしまった僕は、

「もっと早めにラインに到達するかも!?」

と思ってしまったんですね。

おまけに、

「下落の勢いが強ければ多少オーバーシュートするかも!?」

とも思ってしまったわけで。

こうなってしまうと、僕の心の片隅から、勿体ないお化けが顔を出してしまいます。

「もう少し下に指値を置けばもっと儲けられるのに・・・勿体ないな」
「ストップまでの位置が遠いから、万が一損切りになったら勿体ないな」

そんな勿体ないお化けにスケベ心を揺さぶられてしまい、この直後に指値注文を下にずらすという、全く計画性も根拠もない行為をやってしまったんですよ。

そんなわけで、実際の価格は僕の指値注文の5pips上で反転上昇してしまったという結末に至りました。

う~ん・・・ダメっすねぇ。

分割して建玉するというのは、実際の損失額を軽減させる目的があるので、その相乗効果として心理的負担も軽減できるんですよ。

にもかかわらず、面倒くさがって建玉を分割しなかったせいで、目先の値動きで欲望と恐怖を揺さぶられちゃったわけです。

技術によってメンタル部分は十分に軽減できるのに、ちょっとした心の油断で技術すら疎かにしちゃったら、意味ないですよねぇ。

ということで、この失態を晒すことで、今後の僕のトレードに活かせたらな、と今回の記事を書かせてもらいました。

そして、この失態も併せて、この記事を読んでくれた人も自分のトレードに活かせてもらえたらな、と。

そんなこんなで、今日のお話はこれでお終いにします。それじゃあ、また。

 

トレンドの正体

※この記事は、2019年1月31日に特定の人向けに公開したものを再編集して公開しています。

まずは、お題を

突然ですが、ちょっと下のチャート図を見て下さい。

これ、ポンド円の1時間足チャートに20期間移動平均線を表示したものです。以前、「エントリーのタイミングをどう考えるか?トレンドフォロー編」の記事の中で解説に用いた画像なんですが・・・覚えてますかね?

赤丸Bで上昇トレンドが確定したとすると、それ以降に20SMAを表示して

  • 価格が20SMAを上抜いたところで買う
  • 価格が20SMAで反発したところで買う
  • 価格が20SMAを完全に下抜いたら決済

という極めてシンプルなルールでトレードを試みました。

すると、裁量なので個人差が生まれますが、大体6、7回トレードして5回ほどの勝利になります。この程度の回数じゃ正確な勝率は導き出せませんが、この場面だけで言うと勝率70%以上ということになりますね。

トレードは、特に凝ったことをやらなくとも、シンプルに対応することで、十分通用するということを説明したんですが・・・

ただ、この移動平均線を使ったトレード、実は王道の20SMAを使っているから機能しているというわけではありません。

実は、期間をいくつに設定しても勝てるんですよ。

なぜでしょう?

 

シンキング・タ~イム!!

 

・・・

 

・・・

 

・・・

 

さて、分かりましたか?

まぁ、正解するかしないかよりも、考えることの方が重要です。

考えましたか?

では、今回の記事はこのチャート図を題材にして、トレードに対する本質的な部分に少し迫ってみようかと思います。

皆さん、自分なりの考えを持ちながら、読み進めていってください。

まずは相場環境を確認

どの様な期間の移動平均線を用いても機能するかどうかを確認する前に、まずはこのチャート図の相場環境を確認しておきましょう。

先ほどのポンド円1時間足の素のチャートが、下図になります。

ぱっと見て、上昇トレンドです。

では、まずはこのチャートに「トレンドは上ですよ」ということを意識するために、トレンドラインを引いてみましょうか。

すると、こんな感じになります。(チャート画像を保存した日が異なるので、下図は上図よりもやや時間が経過しています)

Aを起点にトレンドラインが引けます。既に出来上がったチャートのなので上手く引けてますが、リアルタイムでこのラインが引ける様になるのは、早い人でC、確実なところで言えばDの部分だと思います。

緑色で囲った部分がトレンドラインから突き抜けていますが、ご存知の通りBOZ流のライン引きでは、これをオーバーシュートとして片づけ、これを横切ってもOKということになっています。

これにより、遅くともDのポイントで、トレンドラインが引けることになり、上昇トレンドの根拠が1つ完成です。

さらにこの上昇トレンドを根拠づけるのが、先ほどの緑色で囲ったオーバーシュートの部分です。

オーバーシュートとは「行き過ぎ」のことです。相場というものは常に過熱を帯びると行き過ぎるもので、行き過ぎた後は、一気に戻ってしまいます。

このオーバーシュート、1時間足では数本のロウソク足で形成されてますが、4時間足では2本の包み足であり、陰線を付けた後に長い下ひげを伴った大陽線で形成されています。これ、上昇示唆の形ですね。

さらに、この2本を1本にまとめるとプライスアクションで言うところのピンバーになります。しかも長ヒゲだけでなく陽線も大きめです。完全な上昇示唆ですよね。

しかし、なぜこの大きなオーバーシュートが上に向かう根拠となるかというと・・・

下に大きく下げた時に売りを建てた人たちが多数いるはずですが、その中には、一気にせり上がった時に捕まったまま逃げきれずに、まだ売りポジションを持ったままの人たちが数多くいるからです。

つまり、含み損を持った損切り予備軍がたくさんいるってこと。売り方の損切りは、買い決済です。しかも投げ売りならぬ投げ買いですから、上昇力が強い。(今回は下につけたオーバーシュートですが、もちろん上につけたオーバーシュートの場合はこの反対となります)

ですから、オーバーシュートは大きければ大きいほど上昇示唆(反対の場合は下降示唆)になるわけですね。

さて、次に最も大切なダウ理論。ダウ理論を活用するために、高値安値に注目する必要があるんですが、下の図をご覧ください。

一見すると、高値安値が規則正しく切り上げているわけではなく、ゴチャゴチャしていて、何が何だかわかりません。

こういった場合、スイングラインを引く一定のスキルがないと難しく、おまけにそのスイングラインの引き方すら、いくつかの見解があり、人によって引き方が違ってきます。

じゃあ、どうしたらいいの?

ということですが、よくわからない場合は、俯瞰して見ます。ロウソク足の表示を小さくして全体をより広く見る様にするか、1つ上の時間軸を見ると良いです。

俯瞰することで、余計な波は見えなくなり、大切なポイントとなる波と高値安値が浮き彫りになりやすくなるんですよ。下は、時間軸を上げた4時間足チャートです。

赤丸が低値で青丸が高値ですが、随分とスッキリとしましたね。オーバーシュート部分を無視すれば、高値安値も順調に切り上げているのが分かると思います。

ちなみに、この4時間足のチャートからの判断は、1時間足よりもっとシンプルですね。

下降トレンドを上抜けた後、再度下落を2回ほど試しますが(2回目はオーバーシュートの部分)、いずれも下降トレンドラインがサポートとなって跳ね返されています。つまり、オーバーシュートが終わったことで、やはり上昇する根拠が強くなっています。

では、1時間足に戻ってみましょう。

4時間足で確認した高値安値を1時間足で強調し、それ以外の高値安値は薄くしてみました。こうしてみるとトレンドラインが確定したDのポイントよりも、早く上昇トレンドが発生していることが掴めると思います。

が、

最も大切なのは、誰の目から見てもわかるトレンドです。高いスキルを持った一部の人にしか分からないものは、相場参加者の多くが分からないわけですから。

なので、スイングラインのスキルがあまりない人でも、

「これ、上昇トレンドじゃね?」

と分かるようなポイントを考えることも大切です。

となると、やはりトレンドラインが遅くとも引けた赤丸Dのポイントまで待って上昇トレンド確定と思った方が、確実ですね。

 

ということで、Dの時点までくると上昇トレンドを裏付ける

  • ダウ理論
  • トレンドライン
  • オーバーシュート

という3つの強力な根拠が揃ったことになります。

移動平均線の期間を変更してみよう

では次に、移動平均線の期間をどの様に設定しても、本当に勝てるのかを考えましょう。

いくつかの期間に変更して、見ていきます。エントリーのルールは、先ほどの20SMAの時と同じで、移動平均線を上抜くか反発で買うこととします。エグジット(利確・損切り)も先ほどと同じで、移動平均線の下抜け確定としましょうか。

では、まずは10MAから行きますか。

やはり裁量で判断するので、エントリーの回数やポイントは人によってやや異なるとは思いますが、基本的に青色とオレンジ色の丸の部分でエントリーすることになると思います。

青色はほとんどの人が利確できるエントリーポイントで、オレンジ色がほとんどの人が損切りか良くてチャラで終わったエントリーポイントです。

ちなみに、チャート画像に印をつける際、最後の方でエントリーできるポイント2箇所つけ忘れてました。1つは青丸になり、もう1つはオレンジ色になります。見れば分かりますよね。

で、緑色の丸なんですが・・・

緑丸Aは、通常ここを反発したと捉えますが、その前に3回ほど上昇を止められています。正直手を出しづらいところなので、このラインを越えられないなら見送る場面です。

また、緑丸Bのところは、人によって判断が違うでしょうが、僕なら反発したと捉えない箇所です。

以上の様に見ていくと、10MAを用いてエントリーした場合、計13トレード、10勝3敗です。おまけにその3敗もほぼ建値かその付近で損切りできますから、利大損小という理想的な展開です。

では次に、40MAを見ていきましょう。

同様に、青色の丸は利確できるエントリーポイントで、オレンジ色の丸は損切りで終わるエントリーポイントです。 

計8トレード、6勝2敗です。

当然ですが、期間を増やすほどトレードチャンスは少なくなります。

また、「移動平均線の角度は無視で」というルールにしてましたが、移動平均線の期間をこの程度の期間まで大きくしていくと、角度も重要になってきているのが分かると思います。

MAが下向きの時は反発・上抜けをスルーというルールにすると、オレンジ色の丸は2つともスルー。また、最初のオレンジ色の丸の次の青丸もスルーになります。

そうすると、結果は5戦5勝0敗になりますね。

次に75MA。

エントリーポイントはザックリと青丸で囲っただけにしてます。もう、解説しなくともお分かりですね。

この様に見ていくと分かる通り、移動平均線の期間を変更してみても、結果的に勝ててしまうわけです。

他の期間のMAに関しては、ご自分で試してみてください。結果的にどの期間に設定しても勝てることになりますから。言わずもがな、期間が大きすぎるとトレードがほとんど出来ない状態になりますが・・・

また、単純移動平均線(SMA)だけでなく、指数(平滑)移動平均線(EMA)や加重移動平均線(WMA)などを用いて調べてみるのも面白いかもしれません。いずれにしても、結果勝てることになりますから。

なお、上記は解説のため、ほんの数回の結果で勝率を出していますが、実際に検証する際は、ほんの数回・数十回程度のトレード回数では統計上意味をなさないです。予め、考慮しておいてください。

なぜ、期間を変更しても機能するのか?

さて、上図の様な上昇トレンドで移動平均線を用いた場合、どの様な期間に設定したとしても、結果的に勝つことが出来るということが分かったと思います。

では、期間をどの様に設定しても結果的に勝てるのはなぜでしょう?

 

以前、この質問をTwitterで僕が出した際、この質問に対する皆さんの考えはほとんど、

移動平均線の性質に意識が行き過ぎ

ていました。

このブログ記事を読んで考えた人も、恐らくほとんどの人が、移動平均線が機能する理由を、移動平均線の性質に理由を求めたんじゃないでしょうか?

皆さん、移動平均線の方に意識が行き過ぎなんですね。

もっと言いましょうか。

 

皆さんは、トリガーばかりに意識が行き過ぎです。

 

そして、トレードの本質はそこにはありません。

 

僕は「これがBOZ流!ライントレードの基礎(6)」の中で、

手法には、セットアップとトリガーが存在する

とお話しています。(読んでない人は、読んで!必ず)

トリガーとは、実際にエントリーする時の具体的な合図のことでしたよね。エントリーのタイミングを計る時のものです。ほとんどの人は、このトリガーが手法そのものであると誤解しています。

しかしこのトリガーは、前提条件があって初めて有効です。そして、その前提条件が「セットアップ」というわけです。

実はトリガーというのは別の言い方をすると、「買いなら買い」「売りなら売り」と予め決まっている前提条件の中で、損失や利益、精度を最も効率的に行えるポイントを知らせる合図のことです。

つまり、

買う(売る)という方針が既に前提条件によって整っている中で、効率的な売買が行えるポイントを見つけるために用いるのがトリガー。

ということです。

じゃあ、その前提条件が整うって?

はい、それが「セットアップ」でしたね。

セットアップとは、トリガーを発動させるための前提条件のことです。このセットアップが完了することなく、トリガーを発動させることはありません。というより、セットアップを無視してトリガーを発動させることは、無意味以上に危険です。

じゃあ、今回の解説、トリガーは何でしたっけ?

移動平均線ですね。

じゃあ、セットアップは?

 

・・・

 

・・・(考えてください)

 

・・・

 

・・・

 

・・・(考えましたか?)

 

・・・

 

・・・

 

ヒント:トリガーは価格が移動平均線を上回るか反発するかでしたね。では移動平均線を表示させる前に何を解説してましたっけ?

 

・・・

 

・・・(もうお分かりですよね?)

 

・・・

そうです。

セットアップが完了したのは、「上昇トレンドが確定した」というところです。もう一度、その時のチャート画面を見てください。

上昇トレンドが確定したのは、Dの場面でしたね。

その根拠は、

  • ダウ理論上、上昇トレンドは継続している
  • 遅くともDの場面でトレンドラインが引ける
  • 大きなオーバーシュートがある

かなり強い根拠です。もう上がるしかない。

もっと言ってしまえば、下降トレンドやレンジが発生する根拠が見当たらない。

つまり、「上昇トレンド確定」というセットアップが完了した以上、「買う」という行為は確定。あとは、「いかに効率的に買うか?」という視点で、トリガーを待つだけなんですよ。

僕は、

「セットアップが重要。極端に言えばトリガーなんてどうでも良い」

という話をしているはずです。

もし「買う」ためのセットアップが完了していたら、その前提条件がなくなるまでは、基本的に何をやっても(トレンドの最高値未満で買えば)ほぼ勝てるんですよ。

どの様に移動平均線を用いたとしても。また、それ以外のインジケーターを用いたとしてもです。

結果的に、何をやっても勝てるんですよ。

証明してみせましょうか?

トレンドの正体

まずは、今まで解説に用いてたチャートの状況をもっと明確にするために、上図の期間よりも先に進んだチャート画像を新たに取得しました。それが、下の図です。

トレードはダウ理論を核にして行います。ダウ理論における上昇トレンドは、

  • 高値を切り上げ続けている
  • 低値を切り上げ続けている

ことで成立するんでしたよね。

ですから、高値が切り下がり低値が切り下がった時点で、上昇トレンドは終了と判定することになります。

で、ここで上昇トレンドが確定した時点から、トレンドが終了した時点までを確定させて、上昇トレンドの範囲を明確化します。それが、以下の図です。

赤い丸が先ほどまで解説してきて上昇トレンドが確定してセットアップが完了した場面。

その後、高値が切り下がり(緑丸)低値も切り下がってトレンドラインを割り込みました(青丸)。ここで、トレンドの終了が確認できるわけです。

では、ここに20MAを表示してみましょうか。

見やすい様に色を変えてみました。緑色の枠で囲った部分が上昇トレンドが確定している範囲で、青丸で囲った部分が20SMAを下回った部分です。

では、ルールを決めましょうか。

損切りは、ダウ理論を利用して、直近低値を下回ったところ。利確はとりあえずエントリー値よりも価格が上昇していることが分れば良いので、直近高値を更新したらどのタイミングでも良しとしますか。

では、先の解説とは逆に、20MAを下回ったところで、買ってみてください。

 

「え!?下回ったところで買うの?」

 

はいそうです。

 

「でも、ちょっとそれは・・・」

 

つべこべ言わずにやってみてください。

 

で、負けましたか?

負けるどころか、勝ちましたよね?

20MAを下回ったところで買っても、価格は直近下値を下回る前にエントリーポイントを越えて上昇しています。

これを見れば分かる通り、移動平均線を上抜けようが下抜けようが、結局はどこで買っても基本的には勝つんですよ。

いや、移動平均線だけでなく、どの様なインジケーターを用いたとしても、ほぼ勝つことが出来ます。

例えばこれ、MACD。

俗にエントリーポイントと言われているところを、ザックリと印つけてみました。

先ほどと同じルールでやってみると、最後の青丸部分は逃げきれない人多そうですが、それ以外はほぼ利確できます。

じゃあ、次はストキャスティクス。パラメータは弄るの面倒なので、見やすい様にラインの色を変える以外はデフォルトのままでやってみます。

ストキャスティクスは、パラメーターを「5-3-3」でやってしまうとダマシを連発するので有名ですが、それでも圧勝です。

最後の4回は損切りする可能性が高いですが、それでも微益決済か建値決済で逃げる余地はありますよね。

まぁ、他のインジケーターでも試しにやってみて下さい。

何をやっても勝てますから。

 

もちろん、目をつぶっていても、です。

 

目をつぶって、チャートを見ずに自分勝手なタイミングで適当に買って見ても、勝てちゃいますよ。

流石にそれは言い過ぎだと思います?

じゃあ、やってみますか。

緑色の四角で囲った部分が、上昇トレンドの部分でした。

では、この四角い部分を、目をつぶって適当に指差ししてみて、そこをエントリーポイントとしてみて下さい。

そして、直近低値を下回る(損切りする)前に、そのポイントよりも価格は上昇しているかどうかを確認してみましょう。

何度も何度も試してみてください。

 

で、負けましたか?

恐ろしいほどの高確率で勝ちましたよね?

 

勝てる可能性が低くなるのは、下図の通りトレンド終了の直前のM字の波動(青と赤で示したライン)だけのはずです。

しかも、このM波動で買ったとしても、損切りせずに建値決済や微益決済で済むことが多いです。

高確率で損切りとなるのは赤丸で囲った最高値圏か、最後の調整波(赤色のライン)だけです。

それ以外は、どこでエントリーしようとも、直近低値を下回る前に確実にエントリーポイントよりも上昇して利益になるんですよ。

 

で、これがトレンドの正体です。これがトレンドの本質なんです。

 

上昇トレンドというのは、高値低値を切り上げていく構造であるため、トレンド終焉の場面、つまり最高値圏かトレンド最後の調整波で買わない限りは、エントリーポイントよりも確実に価格は上昇するんです。

端的に言ってしまえば、

上昇トレンド中は、インジケーターに関係なく、買って買って利確しまくって、最後の1回だけ利確できずに直近低値を下回って損切りになる。損切りになったらトレンド終了だと思って買いを控えれば良い。

ただ、それだけなんですよ。

「セットアップが重要、トリガーは極端に言えばどうでもいい。」

という意味が、分かったでしょうか?

「上昇トレンド確定」というセットアップが完了していたら、後はどこで買っても高確率で勝てる。目をつぶって買っても勝てるんです。

トレンドとは構造上、そういった本質を持っているんですよ。

ところが、

多くのトレーダーの視点はトリガー、つまりインジケーターの動きばかりに集中し、見当外れのトレードをしてしまっているんですね。本質から全く離れたところで、トレードしているんです。

 

セットアップが重要。トリガーはセットアップが大前提でしか意味をなさず、単に売買を効率化するためのもの

 

このことを、繰り返し繰り返し、頭の中に叩きこんでください。

ということで、僕が出した質問の答えは、

「移動平均線の期間どころか、それを上抜けしようが下抜けしようが、上昇トレンドというセットアップが完了していれば、どこで買っても、高確率で勝てるから」

ということになります。

億トレーダーが生まれる日

億を稼いだトレーダーというと、何やら有能な技法や能力を持っている様に思いがちですが、実はそうでもなかったりします。

先に示したポンド円のチャート図はわずか数十日間のトレンドですが、株式市場なんかはトレンドが数年に渡ることは当たり前の様にあります。

「永遠のレンジ相場」と呼ばれるFX市場でさえ、数か月に及ぶトレンドもありますし、トレンドが長続きしない代わりにレバレッジを株式よりも大きくかけることができます。

そんな金融市場で、上昇トレンドが発生している最中にトレードを始め、直近低値を下回らない限り損切りせずに買って買って買いまくり、利確しまくっていたら、倍々ゲームで資産がみるみる増えてしまうんですよ。

下手に勉強して知識を蓄えてしまい、トレードして上手くいかない恐怖を知ってしまう前の「無知」な状態が、むしろ億トレーダーを生む重要な要素になっていたりします。

だから、億を稼いだトレーダーは次から次へと消えていくんですよ。

自分は巧みな手法と巧みな判断力を用いてトレードして稼いでいるつもりでいても、実は単に「上昇相場」という環境の中で泳がされていただけ。まるで、お釈迦様の掌で暴れてただけの孫悟空かのように。

そして、そんな上昇相場が終わってしまえば、今までのその手法とやらは通用せずに、億を稼いだ期間よりも遥かに早い勢いで資産を溶かしていくわけです。

トリガーの意味

じゃあ、トレンド中はどこで買っても勝てるなら、適当に買ったらいいじゃん!

ということに、最終的にはなりますよね。

ただ、それではあまりにも効率が悪すぎる。含み損を長く持ちすぎたり、リスク・リワード比が悪すぎたり。

また、トレンドが発生したと思っていても、直ぐに終わってしまうかもしれません。もっと大きな時間枠で見たら、そのトレンドは単なる調整波でしかないことも当たり前のようにありますから。

だから、僕らトレーダーはトレンドが発生しているからといっても、単にどこでも買って良いという言葉で済ますわけにはいかないんですよ。

  • 含み損が発生しても、出来るだけ小さく短いポイントで
  • リスク・リワード比が良いポイントで
  • 実際の損切りも、打撃が大きくなり過ぎないポイントで

そんな風に効率化を図るために、出来るだけ効率的なトリガーを設定する必要があるんですよ。

逆に行ってしまえば、トリガーとは、トレードの効率化を図る単にそれだけのことなんです。

自分の性格や資金状況、ライフスタイルなどにあったトリガーを探す。

そんな意味合いで、インジケーターを用い出すと、今まで見えていたチャートの景色は、少し違って見えてくるようになるのかもしれませんね。

 

さて、今回はこれにてお終い。皆さんの目から鱗が落ちてくれたら、幸いです。

それじゃあ、また。

 

価格の値動きを生み出すゾーンのお話

本来なら「優位性」についてのお話をするつもりだったんですが、書いている途中で、僕の中の曖昧な部分が露呈してしまって、進行がストップした状態になっています。

まぁ、このブログは自分のために書いている様なものですから、更新するのは自由・・・

と言いたいところなんですが、このブログを印刷してテキスト代わりにしてくれている方が何人かいる様なので、このまましばらく放置というのも気が引けるわけで。

ということで、ちょっと場つなぎ的に、

値動きの見方、考え方

を一部分ですが、お話しようかと。

それでは、始まり始まり~。

値動きの規則性

とりあえずは、かなり基本的なお話から入っていきますが・・・

値動きを見る際、まずは高値低値に注目します。そしてそこに一定の規則性がある場合、僕らにとってそれはトレードをするための大きな手助けとなります。

例えば、これ。

ユーロドルの1時間足ですが、典型的な下降トレンドを描いています。

しかも、赤い実線で分かる通り、高値に規則性があるのでトレンドラインが比較的キレイに引けます。

トレンドラインの辺りで反転したら売り、という極めて教科書的な相場局面ですね。

おまけにこの下降トレンド、高値と同様の規則性が低値にもあり、破線で示した通り、トレンドラインと平行にラインを引くことができます。

ですから、短期売買の場合は、実線のトレンドラインで売って、この破線を目安に利確を繰り返すということも可能ですし、ずっと売りっぱなしでトレンドラインを上抜けたら利確するというトレードの仕方もあるわけです。

 

えっと、こんな基本的な話、退屈ですか?

 

退屈ですよね。

でも、「分かってる」「知ってる」と言いながら、こんな単純な相場つきですら獲れないのが、典型的な負け組の思考パターンです。

トレードに限らず、どの様な仕事であっても、基本は大切です。基本的なこと、当たり前のことを、当たり前に出来るようになって、初めて一人前と呼べるようになります。

そのためには、繰り返し繰り返し基本練習をするわけです。スポーツなんかも同じですよね。

 

では、話を元に戻します。

値動きを見る時は、高値低値に注目し、規則性があるなしを見極めます。そうやって、その局面がトレード可能かどうかの判断材料にするわけです。

上のチャート、もう少し時間を進めてみましょう。

先ほどのトレンドライン(赤色の実線)をブレイクした後の上昇局面でも、やはり高値低値に規則性があり、平行な線(青色の線)が引けます。

典型的な下降フラッグですね。下降トレンド途中の調整局面(戻し)ですから、この低値を結んだラインを下方ブレイクしたら、再び下降トレンドが始まります。

先人たちは、この様に相場をパターン化する知恵を、僕らの後世に残してくれたんですね。実にありがたいことです。

では、この後お話する内容を深く理解してもらうために、もう少し教科書的、基本的なお話を続けてみます。

下の図はドル円1時間足チャートですが、赤い丸で囲った部分を皆さんはどの様に見るでしょうか?

例えば、こんな感じでしょうかね?

レクタングル・フォーメーション、いわゆる平行レンジです。高値と低値が水平線で結ぶことができますね。 

しかし、こんな見方をする人もいるかもしれません。

変則的ですが、三角保ち合いですね。高値低値が徐々に狭まってきて、煮詰まったところで上方にブレイク、といった捉え方ができます。

平行レンジと三角保ち合い、2つの見方が出来るわけですが、どちらかが正解でどちらかが間違いというわけではありません。

両者の見方とも、高値低値に規則性を見出しているわけですから。

高値低値に規則性が続いている以上、高値で売って低値で買うというトレードが可能となりますし、その規則性が破られたら、破られた方向についていくというのが基本的(教科書的)な戦術となるわけです。

 

では、高値低値に規則性がない場合、どうトレードしたらよいでしょうか?

例えばこのチャートとか。

ユーロドルの15分足ですが、これだけを見る限り、このチャート全体の値動きに規則性があるとは、ちょっと言えません。

値動きに規則性がないということは、価格がどのタイミングでどちらの方向に進むかも予測できないということです。

こういった値動きの時にリアルタイムでトレードすると、買えば下がるし売れば上がるを繰り返したりします。出来れば手を出したくない相場つきです。

前々回も言いましたが、こういった規則性を見出せない局面は、「分からない」とハッキリと判別できる意識を持つことが大切です。

では、次のチャートはどうでしょうか?

これ、ポンド円の15分足ですが、この値動きを見てどう思いますかね?

全体的に見れば価格は下降している様に見えますが、上に跳ねてみたと思ったらガラッと下げてみたり。ポンド円らしく値動きが荒いですねぇ。

で、このチャートから見える値動きに、トレード可能な規則性はあるんでしょうか?

う~ん・・・ある様な、ない様な・・・

まぁ、「ない」と思えば、「ない」でOKです。トレードしなければ良いだけですから。問題なのは、「ある」とも「ない」とも判断せずにトレードしてしまうことです。

が、しかし

この値動きからは、未来の値動きを示唆する情報が見え隠れしているんですよ。目を凝らして見てください。このチャートからは、ある一定の規則性が導き出されます。

分かりましたか?

実は、このチャートは最近のもので、先週木曜日3月28日16時を過ぎた辺りからの値動きを敢えて隠しています。

なぜ隠したかというと、この28日16時までの値動きを見て、この後どの様に価格が推移するのかを考えてもらいたいからなんですね。

僕らトレーダーは、過去から現在までの価格の値動きを見て、未来の値動きを模索するのが仕事でから。

さて、このチャートから、値動きの規則性を見出すことが出来ましたか?

「できた様な、できない様な・・・」

そうですか。じゃあ、この値動きを僕が、

「これ、チャネルですよ。きっとそう。多分そう。いや、そうであってくれ・・・」

とか言ったら怒りますか?怒りますかね、冗談は後にしてくれって。

でも、本当にこの値動きは、チャネルを示唆しています。正確に言えば、チャネルを形成し始める直前の形です。

では、この値動きがこの後なぜチャネルを形成していくのかを、ちょっと解説していきましょうかね。

平行するラインの内部構造について

レクタングル・フォーメーションの内部構造

ちょっと先ほどのドル円1時間足チャートをもう一度見てもらいましょうか。

高値低値に水平線が引ける平行レンジでしたね。四角形で囲むことができるこの平行レンジのことを、レクタングル(四角形)・フォーメーションと言います。

で、こういった平行レンジの内側の値動きは比較的不規則に動くのが特徴です。なので、ライン際辺りで売買しないと痛い目を見たりします。

ただ、そんな平行レンジでも、その内部に1つのポイントが現れることが数多くあります。

それは、高値を結んだレジスタンス・ラインと低値を結んだサポート・ラインのちょうど真ん中、このレンジの半値部分です。

このレンジの半値に注目するというテクニカルは、まぁまぁ知られているので、ご存知の方も多いかもしれませんね。

では、ちょっと注目して見るために、30分足に切り替えて拡大してみましょうか。

このレンジの中値辺りに水平線を引いてみましたが、この真ん中のラインで何度も止められているのが分かると思います。

平行レンジを形成している場合、その中値に注目することは、トレードを行なう際に重要なポイントになるわけです。

では、この平行レンジの値動きをもう少し細かく見ていくと何が分るでしょうか?ちょっと、じっとこの値動きを見てください。

何やらレンジ上限で価格の揉み合った塊が、次はレンジ下限に移動して揉み合って塊を作り、次は再びレンジ上限に移動して揉み合って・・・

と、この赤いラインを境にして、揉み合っている価格の塊が上下に移動しているのが分かりますかね?

図にすると、こんな感じです。

こう見ていくと気が付く通り、

平行レンジとは、

  • レジスタンスとサポートラインの間を上下している
  • 中値を境にして、価格の揉み合いが上下に移動している

という2つの捉え方が出来ることになりますね。

もちろん、レクタングル・フォーメーションの内部では、こういった値動きが必ず起きるというわけではありません。

レンジ幅の大きなフォーメーションですと、内部では上昇トレンドと下降トレンドが繰り返されることも多く出てきます。

ただ、多くの傾向としてこの様な値動きが起こるということは、シッカリと頭の中に入れておいてください。

チャネル・ラインの内部構造

さて、レクタングル・フォーメーションの値動きは分かりました。

しかし、これは何も水平線で囲まれたレンジだけの現象とは限りません。斜め線であっても、高値低値を結んだラインが平行であれば、同じ様な現象が見受けられます。

ではここで、以前お話した「2017年12月14日午前まで続いた下降チャネルの内部構造について」の画像を見てもらいましょうか。

平行する2つの斜め線、いわゆる下降チャネルが展開されている局面ですが、これの内部構造はというと、

揉み合う価格帯(ゾーン)を形成しつつ、ジリ下がりになっていますよね。

ゾーンが上下に移動しているのが、先ほどのレクタングル・フォーメーションでしたが、このゾーンがジリ下がりになって形成されている値動きが、下降チャネルというわけです。

で、面白いことに、この移動するゾーンに注目してその節目をラインで結んでいくと、

上図の緑色ラインを見れば分かる通り、やっぱりこのチャネルラインの幅の真ん中あたりに、チャネルラインと平行の線が引けるわけです。

相場って、不思議ですね。テクニカルって、面白いですね。

ただし、ここで2つ注意点が。

チャネル・ラインの中央付近にできるラインですが、これは単にラインというわけでなく、この辺りで揉み合うことでゾーン(値動きの域帯)を形成することが多くなります。

上図のチャートで言えば、こんな感じになりますかね。

さらに、もう1点。

緩やかなチャネルの場合、先に見た様に水平な揉み合いの塊の移動になります。

ところが、チャネルの角度が急な場合は、この塊が水平な揉み合いではなく、視覚的に斜めの塊になるなど、変形してしまうことが俄然多くなります。

ラインの角度が急だということは、値動きが激しくなるわけですから、揉み合いの塊も水平ではなく変形してしまうのは、まぁ、当然と言えば当然なんですけどね。

また、レクタングル・フォーメーションと同様に、チャネル幅が大きい場合は、揉み合いの塊よりも、チャネル内での上昇トレンドと下降トレンドが数多く見受けられるようになり、レンジ半値にポイントとなるラインが引けない状態になったりします。これも、ちょっとチャート図を載せておきましょうか。

まぁ、単純化して言うと、レクタングル・フォーメーションにしろチャネルにしろ、高値低値に平行なラインが引けるフォーメーションの場合は、基本として

  • ライン内にトレンドを形成しながらキレイに上下するパターン
  • 揉み合いの塊を形成しながら、その塊が上下に移動していくパターン

の2パターンが両極にあるということを頭の中に入れておいてください。実際の相場では、それらのパターンが入り混じって値動きが形成されていきます。

逆説的に考えてみよう

実はこのレクタングル・フォーメーションとチャネル・ラインは、その展開が物凄くバラエティーに富んでいて、とても面白いんですが、

正直、このお話をしていくと、めっちゃ長くなってしまいます。

なので、ちょっとチャネルラインに対する根本的な発想の1つだけを、これからお話しようと思います。

 

まず、これまで解説してきたチャネルラインを端的にまとめると、

  • 高値低値に規則性があり、2つの平行な斜め線が引ける
  • 価格はその中を、トレンドを形成しながら上下に移動するか、揉み合いの塊を形成しながら移動する(両者混合あり)
  • チャネル幅の半値あたりに、チャネルラインと平行するラインが引ける

ということになります。これが基本形。

しかし、この発想は、

  1. 高値低値のラインがあって、その中で価格は移動する
  2. 移動している価格はチャネル幅の真ん中あたりにさらにラインが引ける値動きを形成する

という順番になるかと思います。

じゃあ、ここでこの発想を逆転してみたらどうでしょうかね?チャネルを形成する値動きの発想を、逆転させてみるんです。

どういうことかというと、先の順番とは逆に、

  1. まず、主軸となる価格帯(ゾーン)が形成される
  2. そのゾーンを時折、上下に大きくはみ出して値動きが形成される
  3. その上下にはみ出した高値と安値には規則性があって、よく見ると主軸となるゾーンと平行するラインが引ける

ということなんです。図を使って説明すると、

1.実は、主軸となる価格帯(ゾーン)が存在している。

2.そのゾーンを主軸にしつつ、価格は度々そこから大きく上下にブレながら価格は形成されていく。

3.しかし、その上下にブレた価格はゾーンに対して同じ値幅しか伸びないため、結果的に高値を結んだラインと低値を結んだラインは、ゾーンに対して平行になる。

という思考的過程を経て、チャネルラインは形成される。

・・・と、考えるわけです。

さて、この壮大な仮説、果たして実際の相場で使えるんでしょうか?

 

つか、僕もう実際のトレードに使ってますから、仮説じゃないです。

 

では、実際の相場に当てはめて、ちょっと解説していきましょう。ちょうど解説向きの相場が先週に展開されてたんで。

チャネルが形成される状況を実際に見ていこう

さて、それではこの記事の比較的最初の方に提示したポンド円の15分足チャートをもう1度見てみましょうか。

おやおや?

先ほどはこのチャート見せられても「?」な感じしかしてませんでしたが、ここまでこの記事を読んでいたら、なんか見えてきませんか?見えてきましたよね。

主軸となるゾーンが見えてきたと思います。

揉み合いながら推移する価格の塊が、規則性をもって並んでいる様に見えます。

これが価格推移の主軸となるゾーンだと仮定します。そしてこのゾーンは下降トレンドを形成していそうなので、トレンドラインを引いてみました。赤いラインがそれです。

次に、このゾーンからブレて飛び出た価格の高値に下降トレンドラインと平行の線を引いてみます。

次に、今度はゾーンから下の方向にもブレる可能性も考えます。最も多いパターンはこのゾーンのトレンドラインが、チャネルラインの半値になるパターンです。

なので、ゾーンから飛び出た価格の高値と同値幅を求め、そこにトレンドラインと平行なラインを引いてみます。

それでは、引いたチャネルラインが機能するかを確かめるために、時間をずらしてロウソク足を表示していきます。

チャネルの下方ラインが効いてそうな感じですが、まだ確かではありません。しかし、ゾーンのトレンドラインは確実に効いてますね。もう少し様子を見てみた方が良さそうです。

では、次を見てみましょう。

もう完全にチャネルとして引いた下方ラインが効いてますね。

この段階で、ゾーンのトレンドライン、そしてその上下に引いたラインに規則性があることが判明しました。

ここまでくれば、かなりの高確率でチャネルが形成されていると判断できますよね。

 

ということで、セットアップ完了。

 

後はトリガーを引くだけです。チャネル上部ラインで反転したら売るか、ゾーンを下抜けるかゾーンで反転下落したら売るという戦術になります。

チャネル下部ラインで反発上昇したら買うということもアリですが、この場合買った後にジリ下がりする可能性もあるので、あまりお勧めはできません。

ちなみに僕は、お勧めできないと言いつつも、上図の赤丸部分で2回に分けて買いました。

仕事の合間にチャートを見てたんですが、売るタイミングには出くわせなかったんですね。

トレードチャンスはないと諦めてたんですが、夜なかなか眠れなくて、未明までお酒を飲みながらチャートを覗いていたんですが、チャネル下方ラインに到達して下落が阻まれている場面にようやく出くわすことが出来ました。

「あと数時間で仕事の仕度しなくちゃいけないし、もうタイミングはここしかないかな」

ということで、買ったんですね。なので、自分でやっておきながら、こういったエントリーはリスク高めなので、あんまりお勧めはできません。

じゃあ、時間をもう少し経過させてみますか。

チャネルの下方ラインで反発した価格は、見事ゾーンのトレンドライン(チャネルの半値となるライン、以下ミドルライン)に到達しました。

ちょうどこの時、僕は休憩に入ったところで、スマホでこの瞬間を確認しました。しかし、利確はしなかったです。チャネル上方のラインに到達すると思ってたんで。

しかし、価格はミドルラインに阻まれて、再び下落。下値を試します。

では、この後、どうなったか見てみましょう。

その後、価格は一気に跳ね上がり、見事にチャネル上方ラインに到達してから反転下落を始めます。

まさに、チャネルとしてあるべき値動きとなったわけです。

ちなみに僕は、このチャネル上部のラインに到達するタイミングを、上図の青丸付近だと予想していました。これ、例の「水平線と斜め線が出会ったところ」ですね。今回はややズレてしまいましたが、まぁ誤差の範囲内かと。

ついでに言っておくと、僕は緑丸のところで利確しました。

この後、ドテン売りをしようか迷ったんですが、連日の仕事疲れと、前日ほとんど寝ていないのと、そしてエントリー後に一旦ジリ下がりして神経を使ったために、再度エントリーする気力はなく、諦めました。往復で獲れた場面でしたが、まぁ仕方がないですね。

 

とまぁ、以上で今回の解説は終わりにします。

ただ、繰り返し言いますが、「知ってる」と「使える」は天と地の差があります。

バットの振り方を「知ってる」からといってヒットが打てるわけではりません。使える様に、繰り返し繰り返し練習することでしか、ヒットを打てるようにはなりません。

そしてそれは、トレーダーも同じことです。

もちろん、チャネルの解説に関してはこれだけじゃ収まりきらないほどたくさんあります。

しかし、基本的な考え方、捉え方はある程度説明できたんじゃないかなと思います。この基本をしっかり身に着けて、実際の相場で応用を含め、使える様になってもらえたら、僕としては幸いでかなと。

それじゃあ、また。