流れを捉える検証と練習(1)

はじめに

このブログでは、5SMAという極めてシンプルな日足分析をもとに、それを実際のトレードに落とし込めるレベルまでに発展させる解説をしてきました。

タイトルには「デイトレーダーのための」と銘打っており、実際デイトレ向けとして書いてありますが、性質上から言えば、デイトレからスイングトレードまで利用することが出来る内容です

 

ただ、スポーツにしろ趣味にしろ仕事にしろ何だってそうですが、得た知識を

「え~っと、こうきたら確か・・・え~っと、そうそう、確かこうやって、次は・・・え~っと何だっけ?う~ん・・・あ、そうそう」

と考えながら扱おうとしている様じゃ、使い物にはなりません。

身体で覚え込ませるくらいまで落とし込まないと。

で、そのためには、相場は実際に解説されている通りに動いているのかを確認・検証・練習していくことで、「知ってる」から「理解・実感」に落とし込み、さらには実際にトレードに活用できるまで体に覚え込ませる必要があります

ということで今回は、今まで説明してきたものを、実際のチャート上でどうなってるのかを確認・検証しながら、自分で気づき発見していく作業をしていきましょう。

そうすることで、得た知識を「腑に落ちる」ところまで落とし込みます。

その後は、実際に過去チャートや検証ソフトなどで、活きた知識を用いて、練習を繰り返します。実際に使いこなせる様になるまでね。

そんな手順を踏みながら、検証と練習を繰り返す具体的なやり方を、これからお話します。

では、はじめましょう!


注意してもらいたいんですが、以下は、裁量トレーダーの感覚を養うためのものです。システムトレーダーが行う様な検証の方法論やら実地方法ではないので、あしからず。


チャートとの向き合い方

まずは、ノートを準備

これから、確認・検証・練習をしていくわけですが、まずはノートを用意しましょう。

まぁ、どうしても紙じゃなくちゃいけないってわけではなく、メモをとって後から見直して整理することが出来るのであれば、別にパソコン使ってもスマホを使っても、全然問題ありません。

え?言われなくても分かってるって?

そう思う方はそれでOKですが、中にはいるんですよ、言われないとメモとらない人が。

「学ぶ」という積極的な姿勢ではなく、「教えてもらおう」という受け身の姿勢だと、お手軽に知って終わりにしようとするので、言われなければメモすら取りませんし、酷けりゃ言ってもやらない。

まぁ、この記事をご覧の方の中に、そんな人がいないことを祈りながら、話を進めていくとしましょう。

傾向を探ろう

これから、チャートを確認しながら、価格と日足5SMAとの関係性を把握していくわけですが、その際に必要なのは、

「どの様な傾向があるのだろうか?」

という視点です。

まずは、このブログでお話した5SMAと価格の関係性における傾向を確認していってください。

解説されたことが、チャート上でも実際に起きているかを確認することで、実感しましょう。実感することで、単に知ってる以上のものを得ることが出来ます。

また、このブログではまだお話していない傾向もいくつかあります。もちろん、僕自身が気づいていないことも沢山あるでしょう。

それらを、皆さんが自分なりに問題意識を持ちながら発見していってください。問題意識を持ちながらチャートと向き合い、自分自身の手で傾向に気づくことで、その傾向を自分自身のものにしていってください。

確認する通貨ペアと期間

通貨ペアについて

日足5SMAと価格の関係性は、大雑把に言えばどの通貨ペアも同じです。

しかし、通貨ペアの値動きには、それぞれ癖があったりして、実際のトレードを行なう場合、その違いに振り回されることもあったりします。

なので、自分が取引する通貨ペア一通りを、実際に確認していくことをお勧めします。

ただ、取引通貨ペアの多い人が、確認・検証・練習を全て平行作業として均一に行うのは、費やす時間を豊富に確保できる人でないと難しいと思います。

なので、確認作業は、数多くの通貨ペアで行った後、通貨ごとの違いだけを明確にしておきます。

そして、各通貨ペアで共通するものだけを抽出し、それをまず1つの通貨ペアで検証していきましょう。そして練習をします。

ある程度自分のモノにできた実感が湧いたら、次の通貨ペアで取り組んだ方が、徐々にそれらにかかる時間は短縮されるので、効率的かと。

各通貨ごとに違う部分に取り組むのは、その後からで良いと思います。実際には通貨ペアごとの違いはそれほど多くはないですし、その違いをトレードに100%活かせるとは限りませんしね。

期間について

また確認していく期間ですが、長ければ長いほどよく、出来れば10年くらいは見ていってほしいです。

3年未満は論外です。

トレードの世界は、勝ち組1割と言われていますが、実際のところ1年間だけの収支で見ると5割以上の人がプラスで終わってる時期もあるんですね。

要するに、1,2年程度の結果じゃホントのところは何もわからない

というのが現状です。1,2年の間に有名トレーダーとして名を馳せていても、それから数年後には消えている人がほとんどですから。

仮に消えていなくても、気が付けば商材屋・セミナー屋等に変貌してたりしますからねぇ。相場で稼げなくなってる可能性は大です。

それらを踏まえて、長く生き残る術を手に入れたいのであれば、出来るだけ長期間をチャートで確認・検証・練習していくことが大切です。

現実問題、時間が取れない人は、3年未満で確認・検証・練習を繰り返しても構いませんが、ただし、

「今やっていることはいずれ通用しなくなるかも・・・」

ということを前提に、時間を見つけてそれ以上過去の検証等を行った方が良いです。

まぁ、相場に絶対はないので、例え10年20年の検証を行ったとしても、「いずれ通用しなくなるかも」という心構えは、全てのトレーダーに必要だと思いますが。

気付いたら検証

全ての傾向を発見しようとする必要はありません。そんなことをしていたら、一生かかっても次に進めません。

1つ2つで良いですから、

「どうやら、こんな傾向があるっぽい」

と思ったら、メモしておきましょう。

これが仮説になります。

そして、その仮説が本当がどうかを改めて過去チャート上で確認していきます。

  • 実際にその通りになったケース
  • 実際にその通りにはならなかったケース

をカウントしていきましょう。そして、その傾向の確率を簡単で良いので出して下さい。

傾向がありそうだと思ったものでも、実際にカウントしていくと5割程度のものが結構あるんですよ。

そして、その傾向が6割以下のものは、捨ててください。できれば、7割以上のものが良いです。

正確に言えば、別に勝率が例え3割のトレード手法であっても、リスクリワード比が高ければ、トータールで十分に収益をプラスに持っていくのは可能です。

しかし、勝率が低いとメンタル面が持たないのが現実です。

勝ち星が少なければ、疑心暗鬼や不安が生まれ、トレードのパフォーマンスは必要以上に低下します。連敗が続けば、なおさらです。

なので、とっかかりとしては傾向の確率が出来るだけ高いものを採用します。

さらに言えば、過去チャートで9割の傾向のあるパターンを見つけたとしても、未来の見えない実際のリアル・トレードでその9割全てを獲れるとは言えません。

様々な要因が絡み合って、実際は過去チャート通りの確率よりも低くなると思っていた方が良いです。

なので、出来るだけ確率の高いものをまずは採用していきます。そういった理由から、確率が6割未満のものは捨てるつもりの方が、良いです。

確率が低くても勝てる手法等は、腕を磨いて勝てる様になったその後でチャレンジしてみてはどうでしょうか?

日足チャートにて

ではまず最初に、根本的な日足5SMAとロウソク足の関係を、自分自身で確認してみましょう。

ロウソク足を大きめに表示しておいた方が、5SMAとの関係性を把握しやすいと思います。

やるべきことはまず、ブログで解説されていたこと。

  • 価格が5SMAの上にあり、尚且つ5SMAが上を向いている時は、陽線(日中に上昇トレンド)が出現しやすい
  • 価格が5SMAの下にあり、尚且つ5SMAが下を向いている時は、陰線(日中に下降トレンド)が出現しやすい
  • 価格が5SMAと乖離すると、価格は少なくとも一旦は5SMAに接近する
  • 5SMAの価格が乏しいと、陽線・陰線の出る確率は不安定になる

これらが、本当に事実なのかをチャートで確認していきます。

もちろん、陽線でも上に長いヒゲのある陽線なら、日中には十分な下降トレンドが発生しているというのは、既に解説してますよね。これも考慮に入れてください。

ただ日足チャートの段階では、

どの程度5SMAに角度があれば・・・とか、
どの程度5SMAと価格が乖離したら・・・とか、

具体的にまでは詰めて考えなくとも大丈夫です。その点は、下位足で具体化していきましょう。

ここでは、解説されていたことが実際に起きているのかを確認し、その感覚を掴むことを目的とします。

さらには、ブログで解説されていたこと以外にも、問題意識を持ちながらチャートを確認していきましょう。

例えば・・・ですね。

下降していた5SMAが谷を作って反転上昇する場合、

  • ポンド円なら、直前に大陽線が発生して5SMAに接近したり、大陽線をもって5SMAを越えることが多い
  • ユーロドルは、大陽線よりも、陽線3本もしくは陰線が絡んでも高値低値の更新が3日続くことが多い

などといった感じで、傾向を探ってみましょう。

発見できなくても気落ちすることはありません。

分かるところだけで勝負するのが、トレーダーの仕事です。分からないのものには手を出さなければ良いだけの話ですから。

勝てる様になってから、勝てるパターンを増やしていく、そんなつもりで取り組んでいきましょう。

さて、日足チャートにおいて、値動きの確認が出来たら、念のためにその傾向の確率をカウントしておきましょう。

日足で実際にトレードするわけではないので、厳密に確率を気にする必要はありません。

ただ、「このパターンは、確率が7割越えてる!」と自分で頭と手を使って数字を出して理解するというのは、実際にトレードをする場合の「自信」の裏付けになります。

何となくよりも、確率〇割と肌で感じているというのは、大きな自信となり、メンタル面に左右されることが小さくなります。

では、ここまでの作業を一通りこなしたら、次は4時間足チャートへと進みましょう。

4時間足チャートにて

ボリンジャーバンドを表示しよう

既に解説してある通り、4時間足チャートにはボリンジャーバンドを利用します。期間はもちろん20期間です。

すると、こんな感じになりますね。

ボリンジャーバンドだけ表示しても良いのですが、MT4に標準で入っているボリンジャーバンドは、ミドルバンドだけ色を変更することができません。上図では、ボリンジャーバンドを表示した後に、移動平均線20SMAを上に重ねています。

練習の段階では、きちんと20SMAを意識できる様に、ミドルバンドは目立つ色に変更した方が良いです。上図は、ミドルバンド20SMAは赤、±2σバンドはデフォルトの色を使用しています。

練習を終え、実際のトレードでのチャート分析の際は、各自の好みでOKだと思います。僕も普段はボリンジャーバンドの±2σバンドは目立たない色にしています。

なお、ボリンジャーバンドでは1σや3σなどを表示する方もいます。これも、どう使うかはやり方や好み次第なので、特に規制はしませんが、

個人的には、±2σだけで充分かな、と。

ただし、この確認・検証・練習の段階では±2σだけにしてください。

例えば、ポンド円4時間足をボリンジャーバンドで表示すると、

となり、±2σは値動きの範囲を提示してくれます。

しかしよく見ると、±2σをはみ出している部分が多々見受けられます。

で、出来るだけ完璧に100%の確率を目指したがる人は不安になり、完全に値動きの範囲を捉えらえる方法はないだろうかと、考えだします。

その要望に応えるなら、±3σを表示した方が良くなります。それが以下のチャート図です。

見比べてもらえば分かる通り、

±3σで表示すると、値動きはほぼその範囲内で収まる

ということがわかります。

じゃあ、±2σではなく±3σを表示した方が良いんじゃ?ということになりそうですが、今度はそうすると、

±3σまで届かない場面が逆に多くなる

ということになります。見比べてみると、やはりそれが分かります。

そうなるとやっぱり不安になりますから、「じゃあ、2σも3σも両方表示してしまおう」ということになるわけです。

しかし、これで全ての値動きの範囲を捉えることは、やっぱり不可能です。

なので今度は、

「±1σも表示した方が良さそうだ」

ということになり、しかしそれでも全ての値動きは捉えられないので、

「じゃあ、他のMAを使おうか」とか
「オシレーターを使ったらどうだろう」とか
「いや、一目均衡表を利用するのも手だな」とか

どんどんと、テクニカルを増やすことになるんですよ。

で、結局は一体何を見てるのか曖昧なるし、判断がより一層難しくなるわけで。

多くの人は、情報量を増やし、より多くの情報を手に入れれば、素晴らしい分析が出来ると勘違いしがちです。

しかし、このブログでは何度か言ってると思いますが、多くの情報を手に入れても、それは複雑な相場をより複雑に判断しようとする行為でしかありません。

より多くの情報を手に入れようとする行為は、不安の裏返しでしかないんですよ。

しかし、僕らは今ここで、その不安を払拭して自信の裏付けとなるものを「確認・検証・練習」という作業によって手に入れようとしているんですよ。

ですから、この段階でチャートを複雑にしてしまっては意味がありません。

複雑なものを、シンプルに判断しシンプルに行動する。

その姿勢が大切です。

さらにシンプルにしてみよう

さて、ここでもう一工夫してみましょうか。

4時間足20SMAと価格の流れの関係性をシンプルにするために、実際の価格の値動きを「流れ」にして表示してみます。

前回お話しましたが、流れとして見る際に便利なテクニカルは「移動平均線」でしたね。

しかし、今回は移動平均線を使わずに、ラインチャートを利用します。ロウソク足チャートから、終値だけを結んだラインチャートに変更するんですね。

ちょっと見てみましょうか。

何だか随分とチャートがスッキリとした印象です。

終値ベースでチャートを見ていくと、価格は20SMAの流れに従いつつも±2σの範囲内で移動しているのがより明確になると思います。

さて、ここまでのチャート設定が終わったら、20SMAと価格の流れの関係性を端的に確認していきましょう。

確認するポイントは、以下の通りです。

  • 価格は相当に強い上昇・下降が伴わない限りは、終値ベースでほぼ±2σの範囲内で収まりながら移動する。
  • 20SMAの角度が上昇(下降)している時は、価格の流れも上昇(下降)する。
  • 20SMAの角度が鋭い時、価格は20SMAに接近しても終値ベースで20SMAを越えることは少ない。あっても、直ぐに引き戻される。
  • 20SMAの角度が鈍い時は、価格の流れは20SMAをまたいで移動しやすい。

このことを念頭に、チャートを何度も見直し、視覚的にこれを把握してください。

この段階では、その傾向の確率をカウントする必要はありません。視覚的・感覚的に把握できればOKです。そうしたら、次に進みましょう。

4時間足で見る視点

日足チャートでは5SMAとロウソク足1本1本の関係性を主に見ていくことになったと思います。

しかし4時間足チャートからは、20SMAと価格の流れの関係性を見ていくことになります。

まずはその関係性を簡潔に見ていくために、チャート表示をラインチャートにしてみていったわけですが、視覚的に把握できたならば、ラインチャートを再びロウソク足に戻します。

で、ここでは実際の値動きと20SMAとの関係性を具体的に見ていきます。そうすることで、今現在の相場状況を把握していくことにします。

で、4時間足で見る大切なポイントは、もちろん先のラインチャートで確認したポイントと同じです。

しかしそれに加えて、グランビルの法則をより意識しましょう。

  • 20SMAから乖離したら(±2σまで到達したら)、価格は20SMAに接近する。
  • 20SMAに傾斜角度がある場合、価格は20SMAに接近すると跳ね返される。一旦抜けたとしても直ぐに元に戻る。
  • 20SMAの傾斜角度がなくなるほど、価格は20SMAをまたいで移動しやすい。

そして、重要な点がもう1点

  • 価格が±2σにタッチしたら、必ずしも「反転する」ことで20SMAに近づく値動きになるとは限らない。それは、どんな時か?

ということです。

ボリンジャーバンドで確認しながらグランビルの法則を利用しようとすると、直ぐに「±2σにタッチしたら反転して20SMAに接近しようとする」という感覚になりがちです。

そして、実際のトレードでは直ぐに逆張りを仕掛けようとします。(まぁ、グランビルの法則を知らなくとも、初心者は逆張りしたがりますが)

しかし、実際の値動きはどうでしょう?

一般的には①~③の様に、乖離するときっちり反転して20SMAに近づくイメージがほとんどです。

しかし実際の値動きは④~⑦の様に、反転しきらずにせり上がっていくケースも多いです。

これは値動きが急速に強まった場合に多く、2σに接近した後は、値動きが弱まることで反転せずとも2σから離れていき20SMAに接近するパターンです。

また⑧の様に(とは言っても上図だと分かりづらいかもですが)、反転もせり上がり(せり下がり)もせずに、価格が横滑りすることによって20SMAに接近していくことも多々あるわけです。

このことを、きちんと4時間足チャートで把握しましょう。

このパターンがあることを把握しておけば、トレンド発生中に安易な逆張りをする気は起きなくなります。

また、このパターンがあると知っていれば、①②③の様な場面で逆張りする方法を見つけることも出来るようになるかもしれません。(もちろん、これは腕を上げてからの話ですが)

で、こういったことを確認して自分のモノにしていくと、チャートを見るうえでの感覚を大局的な面から養うことが出来ます。

例えば、ちょうど今リアルタイムで良い材料が出たので、ちょっとご紹介。

先ほど(今日の夕方)、ポンド円は下落基調を強めました。これを4時間足で見ると、以下の様になります。

4時間足で見ると「この程度か」くらいに思う人もいるでしょうが、もっと時間軸の小さい足でリアルタイムで見ていた場合、この下落の局面は結構強く感じますから、

「思わず釣られて下落に乗ろうとする」

ということが考えられます。

しかし、上図4時間足を見ると反転下落は始まったばかりなので20SMAの傾きも弱く、価格は-2σにタッチするどころか、既に越えています。

となれば、この4時間足20SMAでの確認作業を繰り返し行っていた人からすれば、

「-2σを終値ベースで越えることは滅多にない」

ということを知っていますし、

「越え続ける場合は20SMAの角度が鋭いことが条件」

ということも理解しているはずです。

繰り返し繰り返し、チャートを確認していればいるほど、それは体感・感覚レベルで覚え込んでいるので、

「とてもじゃないけど、下落を後追いする気にはならねーな。」

となります。

で、結果はご存知の通り、このブログを書いてる時点でのチャート図は

となり、案の定価格は-2σ内に収まり、次の足は陽線を描き出してます。

下落局面を後追いするくらいなら、むしろ逆張りで買った方が良いくらいの局面だったわけです。

こういった様に、大局を4時間足20SMAとボリンジャーで掴んでおけば、迂闊に目先の値動きに翻弄されることは少なくなります。

 

さて、ちょっと長くなり過ぎました。今回はこの位にしておきますかね。

次回は、1時間足での・・・と言いたいところですが、そんなに甘くはありません。

次回は、さらに4時間足を見る目を養い精度を上げるための確認作業をしていきます。

ということで、次の記事がアップされるまでの間、今日紹介した確認作業を繰り返し繰り返しやっておいてください。

そうそう、ここまでの4時間足の作業では、確率をカウントしていった方が良いですが、厳密にやる必要はありません。

なぜかというと、日足・4時間足で行なう実際のトレード分析は、デイトレードの場合、

世間一般的で言うところの環境認識であり、
僕の場合で言うところの現状認識の初期段階、

に相当するからです。

なので、次回の記事がアップされるまでの間、この記事で説明した確認作業を繰り返し行うと同時に、予習(というか復習)として、

の2つの記事を読んでおいてください。

それじゃあ、また。

追記

この日足5SMA分析シリーズをご覧の方で、この続きが読みたいとのお問い合わせが続いています。

が、残念ながら、この話の続きはありません。思うところあって、公開することを止めました。

ただし、ここまでのお話は、「チャート・デザインのすすめ」シリーズに実質引き継がれています。

日足5SMA分析を例にして、トレード全体の構築の仕方を解説していますので、こちらのシリーズをご覧いただいた方が、効率的だと思います。

時間軸に関係なく流れの目線を固定しよう

目線はバラバラになりやすい

トレードをする際に注意することの1つに、

「今、自分はどの波、どの流れに注目してトレードしようとしているのだろうか?」

ということを明確にしておくことがあります。

ただ、これって分かっている様で、実はなかなか出来なかったりするんですよねぇ。

相場分析する際に、同じ通貨ペアの違う時間軸を見る人って多いと思いますが、色んな時間軸を見ている間に、本来注目してた流れが曖昧になったりするんですよ。

例えば、下図はドル円の4時間足チャートなんですが、

赤い矢印の様に下に流れていく感じでこの価格の流れを見てたとするじゃないですか。

でも、1時間足を見ると、

ヨコヨコにしか見えなかったりして、「今、平行レンジの下限から反発した辺りかな?」なんて。

で、5分足なんか見ちゃった日には、

もう上昇トレンドにしか見えないわけで。

4時間足で見たら下の流れを目で追い、1時間足で見るとヨコヨコに見え、5分足では上に向かう流れに目が奪われ・・・

冷静に見て「どっちなんだいっ!?」とツッコミを入れられるならまだ良い方で、実際はこんな状況にリアルに直面すると、(欲望からなのか)目先の値動きに意識が向かいやすく、

1時間足平行レンジ下限からの反発!

からの~

5分足では上昇中!

ということで、僕らの目線は上に向かう流れにもう夢中になってしまうわけなんですよ。

ただ、頭の片隅では少しだけ冷静で、

「おいおい、ちょっと待て。ロングするにも慌てるなよ」

と自分に言い聞かせ、

「待て待て。待つのがトレード!」

と待ちに待ち、

この辺りでローング!!

で、その後の様子を見てみると、

思惑通りに上に伸びてますが、ちょっと下げてきてるので不安になったりします。

で、1時間足チャートを再度見直して、

「レンジ上限まで、まだまだある。チキン利食いしたいメンタルに負けるな!」

とか自分に言い聞かせたりするんですよねぇ。

実は、自分のポジションに有利な情報だけを見て安心したいだけなんですけどね。

で、このチャートは最近のものなので既に結果はご存知かと思いますが、値動きが大きいんでロウソク足を縮小して俯瞰して見ると、

見事な高値掴みです。

別に、最初から5分足の上昇波の残りを少しだけ獲りに行くつもりなら構いません。

しかし、ほとんどの場合が、

どの流れのどの波を獲りに行こうとしているのかを、トレードしている本人ですら明確になってない、

というのが本当のところなんじゃないかと。

教科書かなんかを読んだりして頭では分かっているつもりでも、実際のトレードに直面したら、こんなもんです。

分析した気になってるだけで、実は単に目先の思惑だけでトレードしていることに気が付いていないわけで。

偉そうに言ってる僕ですら、たまにやらかしたりしますからねぇ。意識しているつもりで、いつの間にか意識から外れてしまうことって、どうしてもあるんですよ。

だって、人間だもの。

でも、「うっかり」で済ましてはいけないんですよ。大切なお金がかかってるんですから。

だったら、

どの流れを軸に価格の波を見ているのか?

という目線を固定するための方法を、何かしら取り入れておいた方が、安心じゃないかと。

流れの固定について

目線の固定

よくTwitterなんかで、環境認識を終えたトレーダーさんが、

「今日は、上目線」とか
「下目線固定で」とか

そんなことを言ってたりします。

  • 上昇トレンドなら、上目線
  • 下降トレンドなら、下目線

という言い方をし、目線を固定するという場合は、

「上目線と判断したなら、相場は上昇トレンド中であるという見方をブラさずに固定してトレードしましょう」

といった意味合いで使われていることがほとんどだと思うんですよね。(違ってたらゴメンなさい)

でも、僕が使う目線の固定とは、価格の方向性(トレンド)よりももう少し広い範囲で使っていて、

価格が推移する軌道、価格の流れ全体

を含めたものになります。

つまり、

価格のどの流れを軸として固定するのかが重要

ということなんですが、これだけだとちょっと分かりづらいですよね。別に難しい話ではないんですが、前提条件となる言葉や考えを共有していないと、とてつもなくややこしい話に聞こえてきます。

ということで、もう少し僕の使う言葉の定義を明確にしていこうかと。

流れについて

僕がここで使う「流れ」というのは、トレンドが上とか下とか、トレンドレスでレンジだとか、そういった部分的なことではなく、価格が推移する軌道全体のことを示します。

上図は1時間足のチャートですが、ここに価格全体の流れをザックリと青色の線でなぞってみました。

そして、このザックリとした価格の推移を、僕はここで「流れ」として表現しています。

流れを固定する理由

では、なぜこの流れに注目しようとするのか?

それは、今自分がどの流れの中で何に注目し、何をしようとしているのかが、チャート分析していると、見失ってしまいがちになるからです。

人は、目先のことに目を奪われてしまうと、本来の進むべき道から外れてしまいがちになります。まるで、目の前を飛び跳ねるウサギを追いかけていったら森の中を迷ってしまう様な。

例えば、先ほどの1時間足チャート。

この流れの中で、トレードを考えてるとします。

でも、このチャートを5分足で見ると、1時間足で見た流れとは全く別物になりますよねぇ。例えば、上図の赤い矢印の部分を5分足で見ると・・・

これですからねぇ。木を見て森を見ずというか、この5分足チャートからは先の1時間足の流れは全く見えてこないわけで。

「そのために、MTF(マルチ・タイム・フレーム)で複数の時間足チャートを同時に表示するんじゃないの?」

という意見もありそうですが、人の意識とはそう便利には出来ておらず、同時に複数の時間軸チャートを並べてみても、5分足のチャートに意識が集中すれば、他の流れは意識から遠のきやすくなります。

自分の負けトレードを検証していると、

「俺、何でこんなところでこんなエントリーしたんだろ?」

っていうのありませんか?僕は昔、結構ありました。

後から冷静になってみれば、「それ、違うでしょ」ってことでも、トレード直前には気づいてないことって、多いんですよ。

なので、1時間足の流れを見ているつもりになっているのに、気が付けば5分足の流れだけに気を取られてエントリーしてしまう、ってことは十分に気を付けなくちゃいけないわけで。

どこかできちんと軸となる流れを自分の中で固定していかないと、冒頭で見た様な支離滅裂な判断とトレードを繰り返してしまうんです。

ただ、ここで1つ問題が。

「じゃあ、1つの流れを違う時間軸でも固定して見るにはどうしたら良いの?」

という疑問が出てくると思います。

そこで登場するのが、「移動平均線」です。

この便利な道具を使って、軸となる流れを固定していくことにしましょう。

移動平均線で流れを固定する

移動平均線の性質を利用しよう

まぁ、お分かりの人も多いでしょうが、移動平均線は価格の流れを端的に簡略化して、僕らに提示してくれます。

先ほどのドル円1時間足チャートに20期間単純移動平均線(20SMA)を表示すると、

こんな感じで、価格の流れを端的に示してくれます。

期間を短期間にすればするほど、実際の価格の流れに近づいていきますよね。移動平均線を10SMAに変えると、

ご覧の通り、20SMAの時よりも実際の値動きに近い動きになっていきます。

で、この移動平均線の性質を利用して、軸とする流れを全ての時間軸に表示してしまおうとするのが、今回のこの記事の中核になります。

ただ、「普通にいくつかの移動平均線を表示させておけば良いだけじゃん」と勘違いされる人もいそうなので、もうちょっと具体的に突っ込んだお話を続けていこうかと。

目線を日足5SMAに固定する

テクニカルは、各自が自由に好みのものを使えば良いし、パラメーターも自分が良いと思ったものにすれば良い。

と僕は思ってるんですが、ただ自分自身のトレードに関しては、自分なりの拘りは必要です。

そこで登場するのが、以前「デイトレーダーのための日足分析」シリーズでお話した、日足5SMAです。

 


※この日足5SMAに込められた思想を理解してないと、これからの説明は全く意味をなさないので、ご覧になってない方は一読してから、以下をご覧下さい。


 

日足5SMAを用いることで、その日はどんな流れが出現しやすいかを分析し、トレードのシナリオ作りに活かすわけですが、

今回は、この日足5SMAの流れに注目し、ここに目線を固定します。

軸となる流れを5SMAに固定することで、各時間軸における分析方法やら考え方を全て統一してしまうんです。

日足では〇〇を参考にし、
4時間足では△△を参考に、
1時間足では●●を重視して、
15分足では××で分析する・・・・

みたいに、やってること自体をバラバラにするのではなく、

どの時間軸を覗いても、日足5SMAの流れを固定しておいて、固定された目線と技術で相場を見る様にします。

日足5SMA分析の記事を読んで、一生懸命に検証や練習を繰り返した人が、そこで身に着けた体感レベルの技術を、どの時間軸を見ても活用できる様にしていきます。

では、実際に日足5SMAを各時間軸に落とし込んでいきましょう。

日足5SMAを落とし込もう

上記シリーズ内では、実際日足でタイミングをとるのは難しいので、4時間足に落とし込むという話をしました。

日足5SMAの近似値は、4時間足では20SMAでしたね。

で、この考え方を1時間足と15分足にも落とし込んできます。

結論から言うと、日足5SMAの近似値は

  • 1時間足では、75SMA
  • 15分足では、300SMA

となります。日足5SMAと4時間足20SMAは既に見比べてますんで、それ以外をちょっと見比べてみましょうか。(比較しやすい様にそれぞれのロウソク足の表示本数は変えてあります)

まずは、4時間足と1時間足

値動きと移動平均線の関係が、劇的に似てますねぇ。

じゃあ、次は1時間足と15分足。

こっちもやはり、激似です。

この様に、日足だけでなく4時間足、1時間足、15分足にも日足5SMAと同じ機能をする移動平均線を表示させておくことで、

僕らがトレーニングして培った日足5SMA分析の見方を、どの時間軸を見てもブレずに活用することが出来るわけです。

落とし込んだら活用しよう

日足5SMAや4時間足20SMAだけでトレードするよりも、さらに下位足を併用すると、実際のトレードではエントリーやエグジットのタイミングをとりやすくなります。

ちょっと、見てみますか。

まずは、日足5SMAを4時間足20SMAで見てみます。

青丸の部分は、20SMAが横向いてきてるので要注意な局面ですよね。日中足分析などその他の分析に自信があればトレードしても良いですが、日足5SMA分析だけの場合、基本こういった局面は見送るんでしたよね。

赤丸で囲った部分は、20SMAが下を向いたまま接近してますから、一旦抜けたとしても、そこを反転して下降を始めたら、売りエントリーをする場面です。

で、タイミングをとるのに下位足を見ます。

例えば、上図Aのポイントですが、この辺りに来たら15分足を見ます。

この15分足チャートの赤丸部分は、先の4時間足チャートの赤丸Aの部分です。緑丸で分かる通り2度ほど300SMA(日足5SMA)に接近しています。

300SMAの角度はシッカリとしているので、損切りポイントだけきちんと設定できるのであれば、何も考えずに価格が接近してきたところを「オリャ~!」と気合だけでショートしても、何も問題ない場面です。

ちょっと不安なので、もう少し根拠を持ってエントリーしたいなら、ご自分の好きなテクニカルを用いて、反転下落するタイミングを捉えてエントリーして見るのも手です。

プライスアクションだけで判断してもOKですし、例えばラインを引くなら、

斜め線を一旦下抜けするも水平線に阻まれ反発上昇。しかし斜め線に今度は阻まれて戻しきれずに反転下落した青丸を確認してエントリーしても良いし、もう少し保守的にその後に水平線をブレイクした緑丸のポイントでエントリーしても良いわけですし、

他のテクニカルを使いたいなら、例えば1時間足に切り替えて(テクニカルは基本的に大きな足の方が扱いやすいので初心者向き)、

ボリンジャーバンド使いの人なら、スクイーズからのエクスパンションで飛び乗ってみたり、MACD使いなら緑丸の辺りで判断してショートしてみたり。

日足5SMA分析に合わせ、小さな時間軸で反転するタイミングをとるだけです。簡単ですよね。

次に、4時間足チャート赤丸Bのところも説明しますが、これも先ほどとやることは同じです。

上図は1時間足チャートに切り替えたところですが、損切りポイントだけシッカリとしているなら、何も考えずに「アチョ~ッ!」と75SMA(日足5SMA)に接近したらショートしても良いですし、もう少し慎重に、価格が一旦75SMAを上抜けした後に再度下に抜けたのを確認してエントリーしても良いわけです。

さらにもう1つテクニカル的な根拠が欲しいのであれば、75SMAを越えられずに斜め線を割り込んだところで判断してもOKですし、

ボリンジャーバンドのミドルバンドを価格が下抜け、さらにミドルバンドが下を向いたのを確認してショートをかましても良いですし、

MACDならシグナルとMACDがデットクロスしたところやゼロラインを下回ったところでエントリーしても良いわけです。

別にボリンジャーやMACDに限らず、各自が使いこなせるテクニカルなら何を使ってもOKです。

まぁ、いつも言ってることですが、手法やテクニカルなんて自分が扱いなれたものならなんだって良いんですよ。(正確に言えば、「セットアップが完了しているなら、トリガーはなんだって良い」ですね)

角度のシッカリした日足5SMAに接近してきたら、小さな時間軸に移行して反転確認をしてエントリすれば良いだけの話です。

その名もグランビル

僕が書いた日足5SMA分析の記事を読んで一生懸命練習された方の中でも、気づいた人は少ないと思いますが、

あの練習、根本的には何だったと思いますか?

実はあれ、グランビルの法則を体感で身に着けるためのトレーニングの一環だったんですよ。

(グランビルの法則の説明までするのは面倒臭いので、知らない人はネットで検索するなり本を読むなりしてください)

日足5SMAだけだと気づきづらいんですが、もっと小さな時間軸で表示して見れば分かりやすいかもしれません。

  • 赤丸は、下降する移動平均線に接近してから反転下落する場面
  • 青丸は、下降する移動平均円を一旦上抜けるも反転下落する場面
  • 緑丸と黒丸は、移動平均線から乖離したので、移動平均線に近づこうと反転した場面
  • オレンジ丸は、移動平均線に角度がないのでグランビルの法則だけでは判断できない場面
  • ちなみに、黒丸は移動平均線に接近しきれずに再度反転下落したポイント

となるわけです。

まさに日足5SMAを利用して練習していたものは、グランビルの法則を体で覚えるためのものだったんです。

グランビルの法則を説明した教科書は、凄く単純化された値動きで8パターンを紹介しています。しかし、実際の値動きは教科書の図の様に単純な軌道を描くことは滅多にありません。

なので、「知ってても、使えねーじゃん」と言って、敬遠したりする人も多いでしょう。

しかし、実際の複雑な値動きの中で、余計なことは考えず基本通りに日足5SMA分析の練習をしていた人は、実際の値動きに合わせてグランビルの法則を用いる技術を体感で覚えていったはずです。

そして今回は、さらに実践的にこの日足5SMAを各時間軸にまで落とし込んでいったわけです。

何も特別なことではありませんよね。基本のバッティング練習を積み重ねることで、変化自在に飛んでくるボールが打てるようにする行為と全く同じです。

やはり、トレードは技術

至るところで繰り返し言ってますが、

トレードは、技術です。

トレードを上手くなろうとして、本を読んだりネットで調べたりと、知識だけは広げていきますが、

「じゃあ、その学んだ知識、実際に使いこなせてんのかよ?」

と問われてみれば、返す言葉がない人の方が多いんじゃないでしょうか。

これまた繰り返し言いますが、多くの勝てないトレーダーが、基本的な知識を目の当たりにすると、

「そんなの知ってる」

といって、それでお終いです。勝てないくせに。

 

勝てないくせに。

 

勝てないくせに。

 

そう、勝てないくせに、とっても知ったかぶりです。

スポーツにしろ、仕事にしろ、何をやるにせよ、知っているだけでその知っている知識を実際に使いこなせないのであれば、

それは誰が見たって、単に出来ないヤツでしかありません。

ところが、トレードに関しては知ってるだけで随分と偉そうな人ばかりです。

アマゾンの書籍レビューを見ても、

「ネットで検索すれば出てくるレベル」

とか言って、基本的な知識は相手にしていないご様子です。

じゃあ、お前は一体何の知識を求めてるんだい?多くの人が知らない何か特別な知識を求めてるんですか?宝物でも探してるんですか?

そんなもん、他者に求めて探してみたところで、一生勝てる様にはなりません。

勝てる様になる知識は、ネット検索レベルで十分です。

しかし、問題はその先です。

その基本的な知識をいかに自分のトレードに活用できる様にするか?

それが最も大切なことですし、

知識は、基本的な知識を自分で使いこなせるようになることでしか、奥深く掘り下げることは出来ません。どこかの活字を探したところで出てはこないんですよ。

僕は今回も、誰も知らない様な特別な知識をご披露したわけじゃありません。

しかし、その辺にバラバラに散らばっている基本的な知識の破片を拾い集め、それぞれのピースを重ね合わせ、実際に絵になるように知識を統一化することで、

僕らは大切な何かを手に入れようとしています。

聖杯は、どこかの誰かがひっそりと隠し持っているわけではなく、自分の中にしか存在しません。

自分の中に転がっている石ころを磨きあげ、ダイヤモンドに育て上げていくことなら、僕にだってアナタにだって、絶対できるはずだと思うんですよ。

決して驕ることなく、ただ淡々とひたすらにひたすらに・・・ね。

ps.

今回もまた最後に、ちょっと毒舌を吐いてみました。

ただ、バカにしたり嫌味で言っているわけではなく、少しでもこの記事を読んだ人の自分でも気づかない怠慢な心の部分に突き刺さってもらえたらな、という思いからです。

気分を悪くした・・・

それだけで終わらないことを、僕は祈っています。

トレードにおけるリスクの話

リスクとは

トレードにおけるリスクとは

トレードに携わっていると、必ず耳にするのが

「リスク」

という言葉です。

トレーダーはリスクをとる必要がある、とか
リスクの高さを考えてトレードすべき、とか

まぁ、色んなところでリスクという言葉が用いられているわけです。

ただ、当たり前の様に使われているこの「リスク」ですが、結構多くの人が勘違いしてるんじゃないかと。

確かに、「リスク=危険」というのは間違っちゃいないんですが、トレードでは基本的にそういった意味では用いないんですよ。

トレードにおける「リスク」とは、「不確実性」のことです。つまり、確実ではない度合いのことです。

例えば、一般的な「リスク=危険」という意味合いで言えば、

「ビルの2階から飛び降りるより、20階から飛び降りた方がリスクが高い」

ということになります。

しかし、「リスク=不確実性」の意味で用いた場合、

ビルの2階から飛び降りた時、上手く飛び降りられたらケガ1つないかもしれないが、打ち所が悪ければ死んでしまうかもしれません。ねん挫で済むかもしれませんし、どの程度の骨折になるか、何とも言えません。実際どうなるかは分からないですよね。

でも、ビルの20階から飛び降りたら、ほぼ確実に死にます。

つまりビルの2階から飛び降りる方が、20階から飛び降りるよりも、不確実性が高いということになりますから、

トレードにおけるリスク(不確実性)という観点で捉えるならば、

「ビルの2階から飛び降りるのはリスクが高いが、20階から飛び降りるのはリスクが低い」

ということになります。ちょっとややこしいですかね。

しかし、こういったことを理解していくと、

「トレーダーは、リスクをとらなければいけない」

という言葉の意味が、危険なところに飛び込む勇気が必要だという意味ではないということが、ハッキリと分かると思います。

地面に落ちているお金を拾うリスク

では、今度は落ちているお金をいかに安全に拾うかという例えで考えてみましょうか。

「足元に1万円が落ちている」

この場合、リスクは低い(ほぼ確実に拾える)と言えます。そして、それは実行可能です。

では、

「1億円が地面に落ちているが、今いる場所は地上100メートルの崖の上。地面に降りるには、そこから飛び降りるしかない」

という場合は、どうでしょうか?

この場合も、リスクは低い(ほぼ確実に拾えない)と言えます。

しかし、同じ低リスクでも先の「足元に1万円が落ちている」場合とは逆に、実行不可能です。落ちているのが1円であろうが100億円であろうが、金額にかかわらず実行不可能な場面なわけです。

まぁ、言ってしまえば、リスクの低い状況というのは、何も考えずとも、実行可能か不可能かが自ずと決まっているという状況なんですね。

じゃあ、今度は

「地面に100万円がおちている。今いる場所は地上3メートルにある部屋。地面に降りるには窓から降りるしかない」

であったら、どうでしょうか?

不確実性の高い局面、つまりリスクの高い局面です。安全に飛び降りて拾うこともできるかもしれませんし、ケガをするかもしれません。下手をすれば死んでしまうかも。

で、つまりこういった局面をとりに行くのが、トレーダーです。

「トレーダーはリスクをとりに行く」

というのは、このことなんですね。まぁ、僕なりの解釈なんですが。

このリスク(不確実性)の中で、いかに自分はその地面に落ちている100万円を拾うことができるか?

それを考え、工夫し、練習し、技術を獲得して実行することが、トレードの本質と言えるかもしれません。

  • そのリスクが自分にとって高過ぎるのであれば、手を出してはいけない。
  • そのリスクが自分にとって許容できる範囲であれば、ではいかにそのリスクの中で立ち振る舞うのか?

それを考え、実行していくのがトレーダーであると言えます。

実際のトレードをリスクの観点から考えてみよう

でもまぁ、言葉だけだと何となく分かった気になりますが、実際のチャートに向き合ったら、全然そのリスクとはリンク出来てないということも、あるかなぁ・・・と。

なので、ちょっと実際のチャートを、「リスク」という観点から見ていくことにしましょうか。

以下は、前回の記事で使ったポンド円15分足チャートです。

現在は赤丸のところ。ここで、買うのか、売るのか、見送るのかをリスクという観点から、考えます。

では、まず・・・

価格は、高値低値を切り上げています。つまり、上昇トレンドですね。

しかし、絶対に上昇トレンドがこのまま継続するとは限りません。買った途端に上昇トレンドが終了するかもしれませんし、急降下に見舞われるかもしれません。

逆に、急上昇を続けるかもしれません。

要するに、未来は不確実なのです。この不確実の未来において、僕らはそのリスク(不確実性)をどの様にしてとっていくのか?

上昇トレンド中というのは、価格が下落していく可能性よりも上昇していく可能性の方が高い局面です。

そして、ダウ理論上、トレンドはトレンドが完全に否定されるまでトレンドは継続すると仮定するのが、トレードのセオリーです。

つまり、この方針を採る場面をリスクの観点から見ると、

リスク(不確実性)の中、トレンド継続中という上昇する確率の高い(優位性の高い)状況なので、買い方針の方が売り方針よりもリスクが低いと判断できます。

逆に言えば、上昇トレンド中の売り方針は買い方針に比べて高リスクということになります。

そして、未来は不確実性に溢れていますが、確率の高い方に賭けていくのが僕らトレーダーです。

なので、(今この瞬間、買うべきかは別にして)原則ここでは買い方針をとることになります。

さて、買い方針は決まりました。次に、じゃあこの時点で買うべきかどうか?という判断をリスクの面から考えます。

次の画像を見てみましょうか。

上昇トレンド継続の条件は、直近低値を下回らないことです。ここに買い方針の根拠の境目があるわけです。

直近低値のラインを境目にして、当初のリスクの意味が変わります。

このラインを割り込まない限りは価格が下がろうとも、

  • 価格が上昇を続けるリスクは小(不確実性は小さい)
  • 価格が上昇を続けないリスクは大(不確実性は大きい)

ですが、このラインを割り込んだとたんに上昇トレンドの継続は否定されるので、

  • 価格が上昇を続けるリスクは大(不確実性が高まる)
  • 価格が上昇を続けられないリスクは小(不確実性が小さくなる)

とリスクの意味合いが逆転し、とったリスクの根拠も失われます

ですから、直近低値のラインを割り込んだことが確実になった時点でポジションは解消、つまり損切りしてトレードを終わらせることになります。

ということで、直近低値ラインを越えたところが、STOPの位置(損切りする位置)であると決まりました。

次に、「じゃあ、今の現在値で買うか見送るのか?」という判断をどうするかです。

もう1度、上図を見てみましょう。

現在値から直近低値までの範囲は、上昇トレンドが継続するにしても、価格が下落する可能性のある範囲です。

つまり、ここにリスク(不確実性)があります。価格が一時的に下がるかもしれないというリスクです。

僕らトレーダーは、このリスクをとっていく必要があるわけですが、

リスクに対して具体的にどのように対処していくのか?

というのは、トレーダーそれぞれになります。大きく分けると、

  1. リスクを受け入れて、このままエントリーする
  2. リスクが高いので、リスクを分散させる方法でエントリーする
  3. リスクは高過ぎるとして見送り、次のタイミングを待つ

という具合になるでしょうか。

1の様にエントリーするのは、たいした押し目も付けずにこのままバイ~ンと伸びてしまう可能性を逃したくない場合です。

ただしこの場合、上図に示した下落リスクの範囲を全て受け入れる必要があります。

STOPまでの位置からは距離が離れています。なので、損切りになった場合の損失は大きいですし、結果として価格が上昇するにしても、含み損の金額の大きさと含み損を抱える期間に耐える必要があります。

なので、それを全て受け入れる覚悟でエントリーする必要があります。

その覚悟もなく、少し下がった辺りで怖くなって直ぐ損切りをしてしまえば、

「損切った途端に反転上昇して、思惑通りの方向に行ってしまったー!!」

という初心者にありがちな嘆きをいつまでも続けることになります。

リスクをとりに行くから、トレードは成立するんです。リスクをとれないのであれば、トレードはしないことが、肝心です。

では、2の場合。

これは、前回の「建玉操作としてのナンピンについて」でお話した様に、分割エントリーするといった具合に、建玉操作をすることで、リスクに対応します。

チャンスを出来るだけ逃さず、そのくせ損失も出来るだけ抑えたいという、憎らしい方法が、建玉操作になります。

ただし、これは予め状況を想定して行う計画的な方法ですから、ある程度トレードに習熟していないと、むしろ損失を莫大にしてしまいかねません。

何もかも良いとこ取りという、虫のいい話は転がってはいないということですね。

では、3の場合。

今この時点からエントリーしても値を下げるリスクは大き過ぎると判断するのであれば、「見送る」という判断も大切です。

ただし、このまま押し目も付けずにバイ~ンと伸びてしまった場合は、諦めるしかありません。そのリスクは受け入れる必要があります。

では、見送ってからどうしましょうか?

次のトレードチャンスのタイミングを待ちます。

今のリスクの大きさが受け入れられないのであれば、もう少しリスクの低い局面が来るのを待ってトレードしようということになります。

で、その際に用いるトリガー(エントリーのタイミングを計る方法)は、やっぱりトレーダーそれぞれなんですね。

一旦押して、その後上昇の気配を見せるタイミングを

  • プライスアクションで判断したり
  • インジケーターで判断したり
  • ラインを引いて判断したり

と人それぞれです。インジケーターだって、どのインジを使うか、どのパラメーターを使うかも人それぞれです。

どれが良い、どれが正しいとかの前に、自分が上手く扱え有効だとしている方法でタイミングをとるのが最良の方法でしょう。

具体的に例を挙げてみます。

例えば・・・そうですねぇ、移動平均線で判断するとしましょうか。パラメーターは20期間でいきますか。

すると、こんな感じになります。

トリガーを引くタイミングは、価格が20SMAに支えられて跳ね返されたところ、または一旦下抜けた後に再度上抜けたタイミングにしましょうかね。

そうすると、こんな感じなります。

本格的に上昇を始めるまでに訪れるエントリーのタイミングは、上図の緑色の丸の部分で、計4回あります。

AとBではタイミングが合わなかったみたいですが、CとDでは成功してます。

まぁ、どんな時も必ず効くインジってありませんから、それはそれでリスクです。どんなテクニカルを用いようとも、常にリスクと隣り合わせです。

なので、こういった状況でも対応できる様にしておくのが、トレーダーです。

例えば、先の様に分割で建玉を行なうとかね。Aで1/3、Bで1/3、Cで1/3とか。ついでにDで玉増ししちゃうとか。

例えば、他のインジケーター使ってフィルターかけちゃうとか。下はMACDを使った例です。

上図を見れば分かる通り、この場合のMACDは上手く機能していて、20SMAのダマシ回避に役立ってますねぇ。

ラインや値動きを主軸にして、移動平均線を併用している人であれば、

先ほどのAの20SMAで反発したところですが、目先目安になりそうなラインを上抜けてないので見送ります。

次に、Bで20SMAを上抜けた場面ですが、調整波が高値低値を切り下げている最中なので、ちょっと手を出しづらいなぁ・・・ということで見送り。

信ぴょう性があるかどうかは別として、ちょっとチャネルラインが引けそうなので、念のために引いておきます。

で、結果としては上図の様な感じ。

先ほどの20SMAだけの時と若干タイミングが異なりますが、Bの高値を抜いたCでエントリー。見送ったとしても、念のために引いたチャネル上限ラインと20SMAにサポートされて反発したDでエントリー。

もっと攻めたトレードするならば、引いたチャネルが効いているとして、Bで反転下落した後にチャネル下限ラインを反発したところでエントリー。

こんな感じですかね。

他にもやり方は色々ありますよね。保守的にもっと期間長めの移動平均線にするとか、移動平均線の数を増やしてみるとかね。

自分に合った、自分が得意とするインジケーターを組み合わせて判断したりとか。

まぁ、何度か言ってますが、セットアップが完了しているならトリガーはそれほど目くじら立てる必要はありません。

自分がとれるリスクの許容範囲、自分の性格やトレードスタイルなどに合わせ、自分が得意とする方法、自分が最もしっくりするやり方を、自分で見つけることが大切です。

 

・・・とまぁ、今回はリスクに焦点を当てて、実際のトレードを解説してみました。

リスクに焦点を当てて考えてみると、建玉操作にしろ、エントリーのタイミングを計るトリガーにしろ、結局は

「リスクに対してどの様に対処するか?」

ということに対する具体的な対処方法であったことが分かったと思います。

焦点をどこに当てるかで、トレードの考え方が変わって見えますが、結局のところ、実際にやってることはたいして変わらないですね。

ということで、今回はこの辺で。

それじゃあ、また。