さてBOZ流ライントレードの基礎第4回目です。
前回までの3回で、とりあえずライントレードの考え方、やり方、ルールの解説は終わりにして、今回は実際にチャートにラインを引いてみることで、手順や具体的な引き方を解説していこうかと思います。
それでは、GO!
実際にラインを引いてみよう
と、その前に・・・
ラインを引きやすくするための設定
ライン引きは、毎日の作業です。なので、まずはMT4を使ってる人のために、ライン引きがしやすくなるための設定から。
「ツール」から「オプション」をクリックすると、ダイアログボックスが開きます。
「ライン等の設定」タブをクリックしたら、「作成後にプロパティを表示」のチェックボックスにチェックを入れてください。以上で完了です。
この設定後は、ライン等を引いた直後、自動的にプロパティのダイアログボックスが開く様になります。
そのまま、色や太さ等のラインの設定が出来ますし、ラインを引くのにミスった時は「キャンセル」ボタンを押せば、ラインは直ぐに消えますから、ラインを引いたり消したり修正したりの際の手間が省ける様になります。
週足からラインを引こう
では、実際にチャートにラインを引いてみましょう。通貨ペアはとりあえず、ユーロドルにしましょうか。ユーロドルは通貨取引量が最も多い通貨ペアのせいか、値動きも特異性が少なく、ライン引きの練習には適しています。
まずは、週足からラインを引いていきます。
実際にトレードを行なう場合、週足チャートでは現在値から遠く離れた価格帯の山と谷にわざわざラインを引く必要はありません。なぜなら現在の価格がそこまで到達するのに、何週間も時間がかかるからです。
ただ、今回は練習なので、離れた山や谷にもラインを引いていくことにしましょう。
まずは水平線から
で、週足の場合は、前回お話した様に1点で構わないので大きな山と谷にラインを引きます。まずは、水平線からでしたね。
大きな山と谷に直近からラインを引いていきます。あまり細部に目を光らせずに、誰が見ても分かるポイントにラインを引くということを、心がけてください。
で、ラインの具体的な引き方ですが、とりあえずヒゲ先にラインを引いてみます。2点以上のポイントを結んでラインが引けそうな場合も、とりあえずは直近のロウソク足のヒゲ先にラインを引いてみてください。(直近の優位性)
では、ラインの色と太さを変えてみましょうか。時間軸の優位性から、大きな時間軸で引いたラインがより重要だということが一目で分かる様にするためです。
色や太さは各自の好みでOKですが、とりあえず今回は、週足のラインを赤色にし、太さは一段上げて表示してみます。
また、上図で示した様に、大きな山にラインは引けそうだが、その後そのラインが効いているのかが微妙で、引いて良いのか迷ってしまう場合もあります。
基本的に週足レベルで、ある程度の大きさを持った波から引くポイントは、微妙であっても意識されることが多いです。下の時間軸ではしっかりとラインが効いてるのが確認出来たりしますから。
ただ、日足や4時間足でも、その様に迷ってしまうケースは多々ありますので、そういった場合は、色はそのままで太さを1段階下げるとか点線にするなどして、後からでも区別できるようにしておきましょう。
なお、1時間足で引くラインの場合、迷ったら引きません。1時間足で迷う線は、それ以下の時間軸でハッキリとラインを引くことが出来るかもしれませんが、BOZ流では、分足にはラインは引かないからです。
BOZ流で勝負するのは、1時間以上の足で、ハッキリとラインが引ける場面だけなんですよ。
ということで、今回は、微妙なラインについては、色は同じまま、細い点線で表示することにしましょう。以下の様になります。
次に、先ほどヒゲ先に引いたラインの位置を調整していきます。調整の仕方ですが・・・
基本的には、ラインを引いた時にポイントとして通過するロウソク足達のヒゲ先から実体の終値部分までの間で調整していくんですが、
最も多くのロウソク足が通過する位置に調整してください。
なお、ラインを調整する際は、直近優位を意識してください。また、単なるレジスタンス・サポートよりも、レジサポ・サポレジとなる位置を意識してください。
まぁ、言葉だけだと分かりづらいかもしれないので、図で解説してみました。下の図をご覧ください。
では、上の図を参考に、週足のラインを調整していきましょう。
大体、こんな感じですかね。
「え?大体でいいの?」
はい、大体でいいです。調整の仕方は、ルールさえ守っていれば、アバウトでOKなんですよ。前にも言いましたが、BOZ流では、ラインにピタリと値動きが反応するという発想はありませんから。具体的にどうするかは、次回でお話しますので、ご安心を。
フォーメーションを探そう
次に、フォーメーション(パターン)を探します。ただし、これには注意が必要です。
過去に既に形成されたフォーメーションは、今現在トレードする際には関係ありません。既に終わったことですから。
フォーメーションを探すというのは、
現在の価格がフォーメーションを形成しつつあるかどうか?
を見るということです。今、フォーメーションを形成しているのであれば、そのフォーメーションに対応したトレードを行なえば良いだけです。そのために、フォーメーションを探します。
ただし、今回はやはり練習なので、過去に形成されたフォーメーションであってもラインを引いてみましょう。
斜め線を引こう
それでは次に、斜め線を引いていきます。引き方は水平線と同じです。
上図の緑色で示した上昇ウェッジ、別にフォーメーションとして捉えられなくともOKです。「トレンドラインの上にトレンドラインよりも角度の鈍った斜め線が引けるなぁ」という認識が出来ればそれで充分です。
形とか名称に囚われなくとも、認識できていることが大切なんですから。なので、あえて斜めラインを引く段階で、これを描いてみました。
ついでなので、ちょっと脇道それます。波動の話になってしまうのですが、「トレンドラインよりも角度の鈍い斜め線が引ける」というのは、安値を切り上げる力よりも、高値を切り上げる力が弱まっているということです。要するに、価格が上昇するごとに次第に売り圧力が増しているということですね。反転の可能性が高まっています。大体こういった時は、オシレーターはダイバージェンスを示します。波形が読めれば、オシレーターは必要ないという典型例です。
さて、週足のライン引きは以上です。
次に、日足にラインを引いていくんですが、その前にちょっとここで、ラインの調整の仕方について、寄り道します。
ライン(線)をゾーン(域帯)として認識しよう
第1回で、「市場参加者全員が仮に同じ価格1点に注目していたとしても、実際の売買が行われるのは、その価格を含む周辺一帯」という様なお話をしました。
そのため、ヒゲ先で引いたラインでピタリと止まったり、少しでも抜けたら突き進んだりすることは、そうそうありません。攻防はその周辺一帯で行われるんですから。
なので、実際はその売買の攻防が行われる位置をライン(線)として認識するのは誤りで、その周辺一帯をゾーン(域帯)で捉える必要があるわけです。
しかし、その攻防が行なわれる一帯はどこからどこまでか?というのは、確定しづらい面があります。その時その時の市場参加者の状況によって変わってきますからね。
ただ、一応の目安はあります。それはロウソク足の実体(終値)からヒゲ先の間です。これは、第1回目で「高値安値は重要。しかしヒゲ先と終値に優先順位はつけない」と説明した通りのことです。
実は先日、書店で見かけたトレードの本にも、この様にラインではなくゾーンとして捉えようとの解説がありました。その本でも、終値を基準としてヒゲ先までをゾーンとするようなことが書いてあった様に記憶しています。
確かに、ヒゲ先からロウソク足の実体をゾーンとすることで、ダマシは比較的回避できます。ゾーンを突き抜けたらその方向へ進み、反転してゾーンから出たらそのまま反転した方向へ突き進むことは多い様に思います。
そのため、BOZ流でもラインを調整する目安は一応ロウソク足の実体(終値)からヒゲ先の間としています。この範囲をゾーンの一応の目安とするんですね。
ただし、
そうやってゾーンを設けても、実際はその外側で攻防が起こりることは、普通にあります。特に大きな時間足のゾーン幅は「そのもみ合いだけで充分トレードできるじゃん」レベルの数十pipsに及ぶことはごく普通にありますからね。正直なところ、
ゾーンの範囲は予め確定しづらいというのが現実です。
なので、BOZ流では無理してゾーンを示す描画はしないということにしています。
いや、しても良いんですよ。ただ、面倒じゃないですか。ゾーンを表すためにラインを2本引いてみたり、ライン幅や四角図形をゾーンに合わせて調節してみるとかって。
おまけに、調節してゾーンを示しても、そこが実際に攻防が行われる範囲を示すとは限らないわけだし。
なので、BOZ流では無理してゾーンを描画せずにラインで済ますという方針にしています。
ただし、僕は、もう少し高度に値動きを把握する場合、敢えてゾーンを示すラインなどを描画することはあります。しかし、このライントレードの基礎シリーズでは、そこは省略します。だって、基礎なんだもん。しかもライントレードとしては、省略しても基礎が出来てれば十分通用するんで。気になる人は、1年前に書いた記事「後付け解説なら誰にでもできますが、実際にトレードするのは難しい、って話」とその続編「2017年12月14日午前まで続いた下降チャネルの内部構造について」でもヒントにしてください。
ただ、ゾーンを描画する代わりに、各時間帯(各ロウソク足)で最も数多く通った(争った)価格をラインで表示することで、
「このラインの周辺で、攻防が行われるぞ!」
という認識を持つようにします。これがBOZ流です。
「え?アバウト過ぎじゃね?」
とか思う人もいるかもしれませんが、アバウトで良いんですよ。だって、どの範囲で売り買いの攻防戦が行われるかなんて、知る由もないんですから。
で、アバウトにしておくことで、逆に的確な対処が可能になるやり方をBOZ流では行います。
まぁ、その際の対処の仕方は次回に譲るとして、話を元に戻しましょうか。
日足にラインを引こう
週足の次は、日足にラインを引いていきます。週足チャートを日足に切り替えましょう。
週足で引いたラインは残ったままですね。
ただ、時間軸を小さな方へと切り替えると、ラインが不自然な位置になることが結構あります。まぁ、大まかなところから、より細部に注目するようになるんですから、当然です。
なので、時間軸を小さな方に切り替えた時には、必ず上の時間軸で引いたラインを修正します。
ま、こんな感じになりますかね。
では、日足にラインを引いてみましょう。基本的には、週足のところで説明したラインの引き方と同じです。
まずは水平線から。直近から見ていって、とりあえずヒゲ先にラインを引きます。日足で引くラインは週足の次に重要なので、今回はラインを青色、太さは週足と同じ下から2番目の太さにします。
判断が微妙なラインは、太さを1段下げた青い点線にします。
その後、ヒゲ先に引いたラインを調整しましょう。
ここまでラインを引いてみて、気が付きましたか?意識してやったわけじゃないのに、ラインが等間隔で引けています。面白いですねぇ。
では次に、フォーメーションを探し、パターンラインを引いたら、その後は斜めライン(トレンドライン)でしたね。
ラインは引けば引くほど、チャート画面が乱雑になって、逆にラインとなるポイントを見逃しやすくなります。ただ、これは練習のため、もう引く必要のない過去のラインまで引いてます。「見逃してもいいや」くらいの気持ちで、ラインを引くことにまずは慣れましょう。
4時間足、1時間足にラインを引こう
続いて、4時間足に切り替えます。同様に、上位時間軸で引いたラインに調整が必要な場合は、調整します。
では、水平線を直近からヒゲ先に引きましょう。ラインの色は黒で、太さは今まで同様、デフォルトより1段太めにします。引いたラインは、調整しましょう。
同様に、パターンラインとトレンドラインを引きましょう。ただ、太めの斜め線が多くなると、チャートがウザくなるので、4時間足では太さを1段下げます。細くしても斜めラインの場合は、十分目立つので安心してください。
次に1時間足に切り替え、上位時間軸のラインに調整が必要だったら、調整します。そして、今まで同様に、水平線を直近からヒゲ先に引きます。ラインの色は黒で、太さは一番下で。
慣れてきたら、水平線が等間隔で引けるかどうかも、意識してラインを引くようにしましょう。
引いたラインを調整し、パターンラインとトレンドラインを引きます。
以上で完成です。
大きな時間軸からルールに沿ってラインを引いていくと、途中までは乱雑に見えていたチャートですが、1時間足まで来ると、むしろシンプルです。規則性をもって価格が推移しているのが把握できると思います。
相場って、面白いですねぇ。
と、ここまでは良いのですが・・・
ちょっと先の図をもう一度見てください。全体のバランスを考えてラインを引き直さなかったのですが、最も直近の山と谷に注目すると、オーバーシュートしているのが分かります。
4時間足では、ヒゲとロウソク足の間に位置しているんですが、1時間足ではロウソク足が山では3本分、谷では4本分のオーバーシュートです。
果たしてこれを、オーバーシュートとして片づけて良いのでしょうか?
きっと良くない。
このチャート画面は、当然のごとく右側が最も現在に近く、左側に行けば行くほど過去になっていきます。そして、オーバーシュートしている山と谷は、最も今に近い新しい山と谷なんですね。
なので、直近の優位性から、恐らくこちらの山と谷が今後意識される可能性が高くなるわけです。
時間の経過と共に、今まで効いていたと判断できる左側のロウソク足の先っぽ達は、どんどんと過去に押しやられ、やがてはチャート画面からも消えていきます。そして、オーバーシュートした山と谷は、次第に左側の中央へと位置し、存在感を増していきます。
ラインとは、永遠と機能するわけではありません。時間の経過とともに、相場環境も変化し、ラインは次第に機能しなくなったり、移動したり、新たに生まれたりしていくものです。
もし、このオーバーシュートが、新しいラインを引く起点になるとすれば、今まで等間隔で引けていた水平線の秩序が崩れます。これは、相場環境の秩序が変わりつつあることの示唆とも言えるでしょう。
しかし、まだ結論は出ていません。
こういった場合は、ラインを引き直しても構いませんが、事態は確定していないので、この山と谷に目印を置くとか、別な色などで区別できるようにラインを引いておくという対処でも良いかと思います。
素直に練習しよう!
今回は最新のチャート画面でラインを引いてみました。ただ、これからライントレードをはじめようという方や、今までライントレードを試みたけど上手くいかなかったので、BOZ流をちょっと試してみようという方は、
やっぱり、ラインを引く練習が必要です。このブログで数回に渡って解説してきたBOZ流の考え方とルールをもとに、ラインを引く練習を行ってください。
ブログやツイッターで僕が繰り返し言ってることですが、
「知ってる」=「使える」「できる」ではありません。
使えるようになるまで、出来るようになるまで、繰り返し繰り返し練習しなくちゃいけません。トレードは知識じゃなくて、技術なんですから。使いこなせるようになって、初めてそのトレード方法が活きていくるんです。
慣れない人は、少し時間がかかるかもしれませんが、頑張ってください。
あと、僕はこのブログでかなり詳しく解説していると思いますが、勝手に自分のオリジナルを加えて始めない様にしてください。
それぞれの流儀は、それぞれの理論を積み重ねて構成されています。自分の思い付きで手を加えてやりだすと、遠回りになってしまうだけじゃなく、下手をすれば全く無意味なものにしてしまうことだってあります。
僕は仕事上、人を教えることが多いのですが、やはり教えた通りに素直にやる人が一番成長が早いです。
大人になると変に賢くなって、出来るようになる前に、自分勝手にやり方を変えてしまう人が多いのですが、こういう人ってなかなか成長しないです。というか、いつまで経っても仕事が出来ない人のままで終わるケースがほとんどです。
なので、まずは出来るようになるまで、素直に教わった通りにやってみる。それが大切です。
ライントレードのためのライン引きを、自分のものにしていってください。
さて、今回はこれで終わりです。
次回はいよいよ最終回。実践編に突入します。今まで説明してきたBOZ流ライントレードを使って、実際のトレードのやり方を学んでいきましょう。
環境認識と手法の使い方から説明して、トレードの具体的な手順の説明と検証を行う予定です。
「BOZ流ライントレードって、こんな風にやるんだ!」
って、実際のトレードのやり方が分かりますよ。目から鱗が落ちるかどうかは知りませんが、こうご期待!