後付け解説なら誰にでもできますが、実際にトレードするのは難しい、って話

(以下の記事は、2017年10月14日付けの記事を加筆修正したものです)

まぁ、本だとかブログだとかで、後付けで相場やトレードのやり方を解説するのって、良くある光景です。(ま、僕もやるんですが)

チャートに線引いたりインジケータを表示させて、

「ここがこうなるから、ここで下降トレンドが発生」とか
「ここで売って、ここで買います」とか

って、ありがちですよね。例えば、こんな感じで。

これ、今朝のポンド円15分足チャートです。余計なインジケーターは表示させずに、ラインだけ引いたやつです、

これを見る限り、解説は簡単です。

「12月8日に高値を付けた後、下落。その後、下降フラッグを形成。この下降フラッグは、下降トレンド継続を示唆するので、フラッグの下値をブレイクしたら売り。」
「その後、下降チャネルを形成しているので、レジスタンスとなる上のラインで売って、サポートとなる下のラインで買う」

とまぁ、ざっくりですがこんな感じになるわけで。

で、チャートにラインを引いて説明されたら、確かにその通りなわけで。教科書通りの解説です。こんな画像と解説をされたら普通、「うんうん」って頷いちゃいます。

でもねぇ・・・

こういうのって、結果を見てから「こうでしたよ」って言ってるだけで、解説するのはとっても簡単なわけです。「明日の天気は晴れです」って予報するんじゃなくて、「昨日は雨でした」って結果をお話ししてるだけですから。

でも、このチャートが形成される経過の中でチャートを見つめていたら、果たして後から解説したようなトレードが出来るかどうかは、とっても疑問です。

ということで、チャートの後付け解釈ではなく、現実に直面する問題点をこれから解説していこうかと。

まずは、「じゃあ、実際に先の説明通りにトレードできんのか?」ってところから。

先の図から、下降チャネルのラインに接した部分を順番にアルファベットをふってみました。

A(買い)→ B(売り)→ C(買い)→ D(売り)→ E(買い)→ F(売り)→ G(買い)→ H(売り)→ I(見送り、または売り増し)→ J(買い)

おおっ!めっちゃ儲かってますねぇ。

ただまぁ、その後はうまくいかない。Jで買ってもレジスタンスに届かずに戻ってくるのでKで損切り。ただチャネル内に戻ったので頑張って買いなおしてもLにて損切り。Mもまた同じ。

しかし、ここまでのチャネル内の教科書的な売買であれば、10勝3敗程度で大幅勝ち越しにはなります。

が、実際のトレードでは、そうは問屋が卸しません。

チャネルラインを越えた時点でブレイクと判断して買いではなく売りで攻めたり、
ラインを勢いよく抜けた後に勢いよく戻るなんて思わないからあわてて損切りしちゃったり、
下限で買ってもなかなか上に伸びずに戻ってきたので慌てて薄利で決済しちゃったり・・・

実際は10勝3敗じゃすまないし、利幅も教科書通りには獲れません。

でね、ここで持ち出されるのが「メンタル」。きちんと冷静に判断できればとか、含み益が減ることに耐えられるメンタルがあればとか、ってやつ。

後付けでチャートを見て、

「ほら、こんなに値は伸びたのに、少しの戻しにビビッて、こんな薄利決済しちゃった俺って、メンタル弱い」
「目先の値動きに振り回されず、きちんとしたポイントで売買できてていたら、勝率だってもっと上がってたのに。弱いメンタルを何とかしなくちゃ」

なんて感じで、自分を責めてしまうわけで。

でもね、違うんですよ。

後から見れば、「ほらみたことか」ってなりますが、その経過途中からは、誰だって未来は見えないんです。

ほら、この時点のチャートを見て、誰が下降チャネルをこれから形成するって言えますか?どう見たって、平行レンジでのもみ合いでしかありません。

恐らく、早い人でこの段階まで来ないとラインは引けません。

となれば、早い人でも先のポイントABCDEまでは、後付け解説の様なチャネルライン内でのレンジ取引は不可能なわけです。

ちなみに僕は、このタイミングで仕事から家に戻ってきてチャートを開いたんですが、その際に「ひょっとしたら・・・」と思って下降チャネルのラインを引いていました。

でも、それは確信とは程遠い「可能性の1つ」でしかありません。

この後、チャネルライン形成に確信が持てるのは、翌日のお昼にラインがGに到達して跳ね返されるのが確認出来てからになります。その前に、Fでラインに到達しますがDと同じレベルの高値ですから、その先の値動きが見えないリアルタイムの中では、まだチャネルライン形成とは確信しづらいわけです。

じゃあ、もう1回先ほどの後付け解釈チャート見ていきましょうか。

リアルタイムの中では、Gに到達して反転が確認できるまでチャネル形成は確信持てないわけですから、上手くいってGで初めて買いに入れます。

(それまで平行レンジと判断していれば、Eの辺りは下方ブレイクと判断して売りで入り損切りしていた可能性が高いですね)

で、後付け解釈通りにやれるならば、HIJまでうまくいきますが、Jで買ってもチャネル上限には到達せずに反落しますので損切り。その後も、損切りの連発。

勝率少なっ!!

リスクリワード比は良いはずなので利益は残るはずですけど、公衆の面前でドヤ顔して解説できる程のトレードは実現できないことが良く分かります。

しかも、ラインってその人の主観で引いていくことになるので、人によって引き方が変わってきます。特に斜めラインは、その傾向が強いので、色んな線が引けちゃいます。こんな感じで。

太線で引いた外側のラインが先の図で引いたラインと同じで、教科書的な引き方になると思います。

で、ちなみにですが、そのチャネルラインの内側に上下1つずつ太い赤線でラインが引いてあると思います。これは、教科書とかには書いてないと思うんですが、僕が良く引くラインで、この2つのラインをゾーンとしてトレードするのが現実的だと、自分勝手に思ってトレードしてます。

ちなみにもう1個。

このチャネルラインの主軸となるゾーンは薄緑色の部分になりますね。まぁ、見てその根拠が分かる方だけ分かってもらえれば結構なんですが・・・

今日は休日で、ちょっとノリノリなので、もう少し踏み込んだ解説でもしようかな・・・

と思ってしまいましたが、ちょっと別のことをやりたいんで、その後に続きのブログを書こうかと。先の後付け解釈よりは、ずっとリアルタイムのトレードで使える解説になると思いますので、こうご期待。

→ 続きは、こちら。チャネルの内部構造について解説してます。

 

トレーダー、そして僕らは矛盾に突き当たる

FXに限らず、株、商品先物等々、トレードを始める理由は、至って単純です。

「取引差益で利益を得たい」つまり、

「儲けたい!」

というのが、理由です。

そして、儲けるためにトレードを始め、金儲けの亡者となった僕らは、相場でコテンパンにやられます。

最初は、ビギナーズラックもあるかもしれません。しかし、そのあとは儲けるどころか、損するばっかり。酷いと破産しちゃったりね。

世の中、簡単に金儲けできるなんて話、あるわけないんですね。

ただ、それでもトレードで勝てるようになりたい!と強い意思のある人たちは、色々と悩み、試行錯誤を重ねながら棘の道を突き進むわけなんですが、そんな人たちの中には、ある事実に気づく人が現れます。

「お金を先に立たせちゃダメ。お金は、後からついてくるもの」

これは、真理かもしれません。

プロ野球選手になってお金持ちになろう!と思っても、お金儲けなんてできません。まずは、金儲けのことは忘れて、野球選手として一流になることを目指さないと。

お笑い芸人になってお金を儲けよう!と思っても、お金儲けなんてできません。まずは、金儲けのことは忘れて、お笑い芸人として一流になることを目指さないと。

起業してお金持ちになろう!と思っても、お金儲けなんてできません。まずは、金儲けのことは後回しにして、良い商品、良いサービスを築き上げ、効率化された生産性や健全な財務内容を確保し、優良な企業に育て上げることを目指さないと。

目先の金儲けに走っても、その道の一流にはなれないんですよ。もちろん、一流になれなければ、お金儲けもできません。

〇〇で、金持ちになるためには、まずは金儲けのことは後回しにして、その〇〇で一流にならなければならないわけです。で、実力を手にして初めてお金が後からついてくるわけです。

こんなの、当たり前のことですよね。言われたらほとんどの人が、「そうそう」ってうなずくはずです。

しかし、トレーダーを目指す人のほとんどが、この事実に目がいかない。つか、いくはずがない。

だって、タレントしかり起業家しかり、野球選手しかり。その他のもろもろの職業を目指す人のほとんどは、まずはその職業に憧れがあって、そこを目指すわけです。お金儲けがもともと先に立ってるわけじゃないんですね。

ところがトレードをはじめる人の目的は、トレードという仕事そのものではなく、

ズバリ金儲け!

を目的として始めるわけで。つまり、トレードよりも金儲けの方が先に立っちゃってるわけですよ。

そもそもトレードを「仕事」と捉えられる人自体、少ないんじゃないかな?だって、「仕事を辞めて、専業トレーダーになりたい!」って思う人の方が多いだろうから。

だから、僕らトレーダーは、ここで最も大きな矛盾に突き当たります。

金儲けのためにはじめたのに、金儲けのことは後回しにしなくちゃならない、という矛盾に。

つまり、

きちんとしたトレーダーになるためには、まずはトレードに磨きをかけるべきで、金儲けのことは後回しにしましょう!

ってことなんですね。

そう、僕らはトレードを始めた理由を否定されるところから、トレーダーとしての本当の道程が始まるんです。

トレーダーを目指す。そして僕らは矛盾に突き当たる。だから、金儲けのことは忘れて、トレーダーとしての技能に磨きをかける。そして、その矛盾という壁を乗り越える。

それが、僕らのトレーダーとしての正しい道程です。

これを読んだ数少ない方々、お互いに切磋琢磨出来たら良いですね。それじゃあ、また。

追伸:ま、偉そうに言ってますが、なんでこんなことを書いたかっていうと、僕自身、未だにそんなポカをたまにやらかすからなんです。戒めのために書いときました、てへぺろりんちょ。

(この記事は、2017年10月10日に以前のブログで公開していたものです)

これがBOZ流!ライントレードの基礎2

さて、前回からお話している BOZ流ライントレードの基礎第2回目です。

前回のお話から分かったことは、

  • ラインはヒゲ先に合わせてキレイには引けない
  • ヒゲ先よりも終値の方がキレイに引ける
  • しかし、だからといってヒゲ先と終値に優先順位はおかない
  • ラインを引く時に、ヒゲを横切っても良く、それはオーバーシュートと判断する
  • オーバーシュートしているのであれば、ロウソク足の実体を横切っても可

ということでした。

そして、そんなラインの引き方は重要なポイント2つ以上が直線で結べる場合にラインを引く、というものでしたね。

まぁ、重要なポイント1つだけでラインを引くやり方もあるんですが、これにはちょっと色々と注意すべきこともあるので、もう少し後回しにしようかなと。

ということで、まずはとっても大切な「時間」のお話から。

時間の優位性

前回は長くなり過ぎたので今回に持ち越しましたが、とっても大切なことがあります。それは、

時間の優位性

です。そして、これには2つの面で捉えておく必要があります。

1.時間軸の優位性

ライントレードにおいては、時間軸の優位性を意識する必要があります。要するに、より大きな時間軸の方に優位性があるというものです。これはMTF(マルチ・タイム・フレーム)の考え方の1つでもありますね。

これについて、解説していきましょう。

波と時間軸の関係

別にエリオット波動について勉強したことがなくとも、市場の価格変動の波は、

「フラクタル構造」(入れ子状の構造)

になっていると、聞いたことがある人もいるかと思います。大きな波の中には複数の波があり、さらにその波の中にも複数の波があるという・・・

まぁ、図で見た方が早いかもしれませんね。

上の図だけだと、分かりにくいかもしれないので、もう1つ下の画像で見てみましょう。

波の1辺の中には、小さな複数の波があり、その小さな波の1辺にも、さらに小さな波が複数あるわけです。

逆の言い方をすれば、小さな波を統合していくと、より大きな波を描くことができ、その大きな波を統合していくと、さらに大きな波を描くことが出来ます。

で、ちょっと語弊があるかもしれませんが、前回お話した「スイング・ライン」は、この波の構造を割り出すことにも役立ちます。

スイングラインとは、なんでもかんでも高値と安値を結んでいって波のラインを描くのではなく、一定のルールに従って、小さな波は統合し、スイング・ハイとスイング・ローを導き出していく、というものでしたね。

で、そんなスイング・ラインで描かれた波も、時間軸を上げると更に大きなスイングラインで統合され、より大きな波が描かれることになるわけです。

実際のチャートで見てみましょうか。

ユーロドルの日足ですが、例によって横着してZigZagを使って波を表示してます。

では、緑色の矢印で示した最後の波の1辺に注目してください。ZigZagによって引かれた1辺の波の中には、ぱっと見でも2つの波が存在しているのが分かると思います。

じゃあ、4時間足に切り替えてみましょうか。

日足で表示されていた緑色の矢印部分の波の頂点は、上図4時間足では、Aの部分になります。AとBの山で構成される大きな波が2つ、ZigZagを使って波を描くと数個の波が形成されているのが分かります。日足の時と比べると、随分と見え方が違ってますね。

じゃあ、次は1時間足。

今度はAの山がはみ出してしまって、Bの山しか見えなくなりました。ちょっとロウソク足のサイズを縮小して、俯瞰して見てみましょうか。

日足ではたった1辺しかなかった波が、1時間足まで来ると、数えるのも面倒になるくらい沢山の小さな波で構成されているのが分かると思います。

大きな時間軸の波の中には、小さな時間軸の波が複数で構成されて、入れ子状態に。同様に、小さな時間軸の複数の波は、より大きな時間軸では1つの波に統合されていく。

これが、価格推移が描き出す波の性質なんですね。

このことを、もっと単純化して言えば、

  • 時間軸が大きいチャートになればなるほど、大きな波がクローズアップされる
  • 時間軸が小さなチャートになればなるほど、小さな波がクローズアップされる

となります。

さて、ここで前回のお話を思い出してください。僕はこのBOZ流ライントレードにおいては、スイングラインを重要視しないと言いました。

なぜなら、大きな波から小さな波までは、時間軸の大きさに合わせてクローズアップされるからです。小さな波は小さな時間軸で、より大きな波はより大きな時間軸でクローズアップされます。

日足なら日足、1時間足なら1時間足と、各時間軸の波の山と谷を見て重要なポイントをそれぞれ探してラインを引いていけば、無理にスイングラインを意識しなくとも、適切なラインが導き出せていくようになるんですね。

まぁ、実践的なラインの引き方は、後に譲るとして、今はもう少し時間軸の優位性について勉強していきましょう。

より時間軸の大きいチャートで引かれたラインの方が重要

さて、より大きな時間軸になればなるほど、大きな波がクローズアップされることは分かりました。

では、大きな波と小さな波、どちらが重要なのでしょうか?

5分足でしか気づかない波のポイントは、5分足以下の小さな時間軸のチャートを見ている人しかわかりません。1時間足の波なら、1時間足以下のチャートを見ている人しか気づきません。

そして、日足チャートを見ている人には、5分足や1時間足でしか気付かない波のポイントを認識することはありません。

つまり、波のポイントは、より上の時間軸のチャートからは認識されないのです。小さな時間軸になればなるほど、そのポイントを見る人は少なくなっていきます。要するに、

時間軸が大きくなるに従って、そのポイントを見ている市場参加者は多くなるわわけで、必然的にそこに流れる資金量も大きくなる。

ということです。おまけに、時間軸が大きくなるほど大口が増える傾向にあるとも言われています。

資金の流れる量は、時間軸の大きさに比例するというわけですね。

さあ、ここまで言えば、もうお判りでしょう。より大きな時間軸のラインの方が重要だということに。

なので、小さな時間軸のチャートばかりに注目していると、日足や週足の重要ポイントを見逃してしまうことが度々出てきます。下のチャートはユーロドルの5分足です。

青丸から赤丸のところまでチャート画面いっぱいに下降トレンドが描かれています。さて、この下降トレンドは一体どこまで続くのでしょうか?

実は、赤丸のところまで続きます。ここが下値となって反転上昇していくんですね。このチャートじゃ分からないと思いますが。

ということで、1時間足に拡大してみます。

ほら、バイーンとかなり大きく反転上昇しているのが分かりますよね。おまけに、5分足の端から端までに渡っていた下降トレンドは、俯瞰して見れば、上図の青丸から赤丸のたった一部でしかなかったことも分かります。

で、赤丸から大きく反転上昇しているのがこのチャートからは見てとれますが、この赤丸部分で反転した根拠はどこにあるんでしょうか?このチャートからもわかりません。

なので、日足に拡大してみます。

ここにきて、ようやく反転上昇した理由が分かりましたね。日足チャートでなければ気づくことが難しい、レジサポがそこにあったんです。

しかもこのラインは、大きな反発を起こしています。大きな時間軸でのラインは、大きな資金が流れ込むため、大きな値動きを生むことが分かるかと思います。

以上のことから、

より大きな時間軸の波のポイントを使ったラインの方が、より重要。レジスタンス・サポートの機能も高く、また反発、抜けた時の値動きも大きくなる。

ということが分かったと思います。では、次に行きましょう。

より時間軸の大きいチャートで認識できないポイントのラインは機能しにくい

これは、上記の逆を考えれば容易に想像がつくかと思います。

小さな時間軸でしか認識できないラインは、より上の時間軸を見ている人たちからは意識されないわけですから。

例えば5分足で「ここはポイント!」と思ってラインを引いてみても、そのポイントが上位足で必ずしも確認できるとは限りません。下の図を見てください。

これはユーロドルの5分足ですが、いくつものポイントで止められているラインをとりあえず4本引いてみました。効いてそうですね。

じゃあ、1時間足を見てみましょう。

ちょっとラインを引いた意味が薄くなってきたのが分かるかと思います。解説をしますと、

まず①のラインですが、ラインを引いた意味が全く不明になってしまっています。ポイントが見当たらないわけで。

②のラインは、一旦下落してた価格がサポートされて反発、その後下抜けますが、このラインが次はレジスタンスとなって上昇してきた価格を抑える役目を果たしています。機能していますね。

しかし、このラインもその後、再度上昇してきた価格に勢いよく上抜けられてしまっています。サポートラインが1度破られるとサポレジになりますが、そのサポレジが再度破られたわけですから、次にこのラインが機能するかは、非常に怪しい、ということが分かると思います。

③のラインですが、これはポイントがあるようでないような、微妙なラインになってしまってます。レジスタンス機能を果たしていて、一瞬突き抜けた感もありますが、これをオーバーシュートと判断するならば、再度下落してきた際にサポートされる可能性はあります。

が、前回お話しましたが、ラインというのは、誰が見ても分かるようなラインを引くというのが肝なわけです。「ひょっとしたらこうじゃないか」とか「こうとも考えられるかな」というラインは、市場参加者の大多数の支持は得られません。

この点、忘れがちなので改めてもう一度丁寧に言わせてもらいますが、

「小口のごく少数の特異な人達や自分にしか分からない様な秘密のラインを引いたところで、意味なんてねーんだよ、何度言ったら分かるんだ、このボケが。」

ということになります。ぜひ気を付けていただきたいポイントです。

次に④のラインですが、これはもうラインが機能していませんね。ハッキリとした波の頂点でラインが引かれているわけではありませんし、多めにみて何度かサポートされていると見たとしても、その後は2回破られています。

5分足ではサポレジが1度破られた風にしか見えなかったのに、1時間足ではサポートが破られ、その後レジスタンス機能が働かずに再度破られている様に見えちゃうんですよ。見え方が全然違う・・・怖いですねぇ。

以上の様に5分足で引いたラインを1時間足で見ると、いきなりラインを引いた意味が薄くなってしまったのが、分かるかと思います。

じゃあ、さらに日足で見てみましょうか。

ロウソク足を拡大したりもして見てみましたが、日足に至ってはもう、このラインを引いた意味が見当たりません。つか、チャートがゴチャゴチャしてしまって邪魔なだけになってしまいました。

この様に見ていくとわかる通り、小さな時間軸だけでラインを引いても、上位足でそのポイントが確認できなければ、上位足でトレードする人たちからは無視されます。

小さな時間足でしか引けないラインでは、多くの資金の流れは期待できません。となれば、ラインのレジスタンスやサポートの機能も小さくなっていくというのが、分かると思います。

 


ここで1つ、話がそれますが付け加えておきましょうか。

小さな時間軸でしか認識できないラインも、その時間軸の中では、どこかしらでサポートされたりレジスタンスされたりしているから、ラインを引くわけですね。

ところが、上位足でそのラインが無視されるのであれば、上位足を見て参入してくる大口トレーダーによって、そのラインはいとも簡単に突破されてしまうわけですよね。

つまり、小さな時間軸でしか認識されないラインとは、反発する実績があるけど、大口が参入すれば簡単に突破されるライン・・・

であれば、そんな性質を利用して、スキャルピング的にはトレードに活用できるかもしれませんね。ご参考までに。


 

2.直近の優位性

さて、時間の優位性にはもう1つの重要事項があります。それは、

同一の時間軸においては、チャートポイントは現在の時間により近い方、直近の方に優位性がある

ということです。遠い昔のポイントよりも、現在に近いポイントの方が優先されるわけです。

こちらの理由も簡単です。意識される価格ポイントというのは、過去になればなるほど遠のき、現在に近ければ近いほど意識されます。チャート上の直近のポイントは、最も意識されるポイントとも言えます。

そのため、ラインを引いた根拠となるポイントが、過去のものになればなるほど、そのラインは機能しにくくなりますし、逆にその根拠が現在に近ければ近いほど、そのラインは機能しやすくなります。

また、以前まで機能していたラインの近くに、直近で新たなポイントが出来た場合は、以前のラインが無視され、新たなポイントから引かれたラインが機能することが多々あります。

現在の時間により近い方に優位性があるというのは、言葉で説明するより、図で見ると「なんだ、当たり前のことじゃん!」ってなりやすいので、図を使ってみてみましょう。

AからXにかけて上昇してた価格は、Xのラインをオーバーシュートしてから反転下落しました。波の大きさからいえば、Aのラインが最も強そうです。

しかし、Aまでこの価格が落ちるかどうかは疑問です。その前にはCライン、Bライン、Zラインという関所があるわけですから。

というわけで、まず最初に注目するのは、Cライン。現在の価格に最も近いラインですし、これは「現在の時間に最も近いポイント」でもあるわけです。

では、どうなったか?

突き抜けましたね。でも、このCラインは無視されたのでしょうか?

違いますね。Cラインの辺りで揉み合ってますよね。売り方と買い方との争いがあったのが見てとれます。結果としてこの時は売り方が勝利し、ラインを突き抜けて下落を続けました。向かう先は、直近のラインBですね。


ちなみにですが、5分足とか小さい時間軸のチャートしか見ていない初心者は、大体このCラインの揉み合いで生殺しにあいます。下落しているので売ると反転上昇して損切り。上昇したので買うと反転して損切り。散々痛めつけられた後に、下落が再開し、「あー、方向性は当たってたのに」といって自分を責めたりするんですね。自分のメンタルの弱さを持ち出して。でも、単に技術がないだけなんですが。心当たりありませんか?僕はあります。だって、勝てない頃の昔の僕の話なんだもん。


では、その後の展開は?一気に見せちゃいます。

はい、見事にBラインに阻まれて反発上昇しました。しかしその後Cラインには届かずに再度下落。一旦ロウソク足2本分は反発しますが、結局は長い上ヒゲを付けて再度下落し、次はBラインを一気に抜けます。またまた売り方の勝利です。

しかし、問題は次です。もう、結果は見せちゃってるので分かると思いますが、まだこの部分が見えてなかった時、僕たちはZとAのどちらのラインに注目したら良かったのでしょうか?

現在価格に近い価格はZです。しかし、「時間」から考えるならAの方に優位性があると考えられますよね。おまけにZのラインはAを谷とする波に2度破られているという経緯があります。Aの方に注目が集まっていそうですね。

で、チャートで結果を見ると、やはりそんな感じ。

Zは確かに意識されていそうな値動きです。ただ、Cラインの様に揉み合わずに、すんなりと抜けてしまっています。抜けた後に、再度小さく上昇した時のレジスタンスの役割は果たしてますが、Aラインに到達した後の大きな反発では、簡単に抜けてしまっています。

Zは意識されてはいるんですが、それほど大きくはない。むしろ大きな波の谷であり、より直近のAで引かれたラインの方に、多くの人の意識が集まっているのが、分かります。

以上のことを見ていくと、トレードをするにおいては、

  • より大きな波をポイントとしたラインの方が重要
  • より現在の時間に近いポイントの方が重要

ということが、わかりました。

時間の優位性に基づいたルール

大きな時間と新しい時間に優位性が働くということが分かったので、ラインを引く際のルールは、次の様に定義できます。

  • ラインは大きな時間軸から引いていく
  • ラインは常に新しく引き直す

マルチ・タイム・フレームとして、同じ通貨ペアの違う時間軸のチャートを同時に表示している人の中には、

「いや、色んな時間軸のチャート見てるから、ラインを引く順番は関係ない」

と思う人もいるかと思いますが、これは自分がトレードする際の意識づけに大きくかかわってきます。しかも、正直なところライントレードに関して言えば、マルチ・タイム・フレームの必要性は薄いかと。

その点に関しては、いずれお話しますが、基本的には、

  1. 週足チャートでラインを引く
  2. 週足チャートの時間軸を日足チャートに切り替えてラインを引く
  3. 日足チャートの時間軸を4時間足チャートに切り替えてラインを引く
  4. さらに1時間足チャートに切り替えてラインを引く

と言った具合に、大きな時間軸から順次画面を切り替えてラインを引いていく様にしてください。もちろん、お使いのチャートソフトが、画面を切り替えても、引いたラインを残す機能があることが大前提ですが。(中には、時間軸を切り替えると同時に引いたラインが消えてしまうものもあります)

また、時間軸ごとに引いたラインの色や太さを変えていくのも1つの手です。1時間足を見ながら、「このラインは日足で引いたもの、このラインは週足のやつだな」と一目でその重要性を区別できるからです。

これは日々の作業において、とても大切なことなので、きちんと実行するようにしてください。

 

さてさて、時間の優位性をお話しただけで、めっちゃ長くなってしまいました。疲れましたよ、僕は。

ということで、今回はここまで。

次回は、1つのポイントだけでラインを引くやり方からお話する予定です。

それじゃあ、また。