トレンド転換時の思考と方法論(1)

さて今回のお話は、トレンド転換についてです。

トレンドが反転する際に、どの様な思考でどの様にトレードしていくべきかをお話しようと思います。

ただ、いつものごとく書き出したら長くなりすぎちゃったんですよねぇ・・・

ということで、この「トレンド転換時の思考と方法論」も数回に分けてお話していくことになります。

まずは、トレンド転換時において初心者が陥りがちな思考(というか嗜好)について、メスを入れていくことから始めていこうと思います。

それでは、始まり始まり~!

天底だとか、頭と尻尾だとか

前回、ポンド円を解説する際にあげた日足チャートが以下の図です。

そして、6月16日朝の段階の日足は、こんな感じになってます。

で、僕は先日、ネット上で上図赤丸の辺りで売ってドヤっている人を見かけました。

まぁこれに限った話じゃありませんが、この界隈では天底を獲ってドヤ顔する自称凄腕トレーダーや、そんな彼らを「凄~い!」とか言って褒め称えてみたりという光景が、珍しくありません。

 

えっと、皆さん初心者か何かなんですかね?

 

天底を獲りたいとか、波一辺の頭から尻尾まで頂きたいとか、そういった発想って、トレードにとっては邪魔な概念でしかないんですよ。

なぜかって?

だって、トレードの本質は、それとは無縁のところにあるからです。

なぜ天底獲り願望がダメなのか?

例えばこんなチャートがあったとします。ゴールドの5分足です。

で、例えば上図の赤丸で売ったことを勝ち誇っているトレーダーがいたとしたら、アナタはどう思うでしょうか?

僕には、そんな人の心の裏側が透けて見えて、思わず笑ってしまいたくなります。

このチャートの上部には、1本のラインが引いてありますよね?

そのラインは、ここがチャートポイントになる可能性があると思っていたので、僕が予め引いておいたものです。

ただ、じゃあ僕はこの赤丸のポイントで売るのでしょうか?

もちろん、ここはチャートポイントですから、少なくとも一旦は売りが入るだろうと想定するのは、正しい判断です。なので、反発(反転ではない)を狙ってスキャルピングで売りを仕掛けるなら、それはトレードとして正しい選択です。

で、スキャで即逃げするつもりで一部を利食い、残りを持ったまま様子を見ていたら、たいしたストレスもなく順調に下げていった・・・ラッキー!

そう、それならば単にそれは、幸運だっただけの話です。分析の結果でも、秘密の手法のおかげでもありません。

しかし、もう一度チャートを見てください。

上図の赤い丸で売って、チャート右下まで下げているという事実をドヤ顔するのであれば、そもそもデイトレかスイング・トレードで入ってるはずです。

では、赤い丸のポイントで、相場が反発ではなく反転するという根拠はどこにあるんでしょう?

 

ないんですよ。
ないんです。

 

価格が赤い丸のポイントに到達した時点で、反発する根拠はあっても、反転するという根拠は、どこにもありません。

もっと言えば、相場が反転するというサインどころか、相場が継続して上昇するというサインすら出てないんですよ。

あるのはただ、チャートポイントに到達したという、その事実だけです。

チャートポイントとは

そもそもチャートポイントとは、多くの市場参加者、特に力のある参加者たちから注目されているであろうポイントのことを言います。

で、注目しているのは、そのポイント(もしくはその周辺)で売ろうと思っている勢力だけではありません。そのポイント(もしくはその周辺)を越えていこうとする買い勢力も、同様に注目しています。

なので、チャートポイントは、売り買いが交錯するポイントでもあるわけです。

で、売り手が圧勝すればすんなり反転しますし、買い手が圧勝すればすんなりとそのポイントを抜けていきます。

ただ多くの場合は、売り買いが拮抗します。その勢力争いが短ければ、少し小さく揉み合ったくらいで勝敗が決まりますし、勢力争いが大きく激しければ激しいほど、価格の揉み合いは長く大きくなるわけです。

で、そんなポイントが「チャートポイント」なんですね。

チャートポイントに価格が到達すれば、単純に反転すると勘違いしている人って、結構いると思います。その点を間違わない様にしてください。

僕らトレーダーはスネ夫でしかない

僕ら個人トレーダーに、相場を動かす力はありません。巨大なファンドや実需筋に立ち向かって勝てる資金など、ありませんからね。

僕らは、決してジャイアンにはなれないんですよ。

そして、のび太の様にドラえもんに頼んでジャイアンを打ち負かす特別な道具を使うこともできませんし、タイムマシーンに乗ってジャイアンがどちらに向かうかを知ることも出来ません。

僕らが出来ることといったら、力づくで方向性を決定するジャイアンに足並みを揃え続けるスネ夫になることだけです。

そう、僕ら個人トレーダーが相場の世界で生き残る道は、スネ夫戦略一択なんです。

チャートポイントに到達し、そこで買い方が勝ったのであれば、買い方についていく。売り方が勝ったのであれば、売り方についていく。

僕らスネ夫軍団は、「どちらが勝ったのか?」という【事実】ただそれだけを頼りに、進む道を決めるのです。

そして、それが僕ら個人トレーダーとしての本質です。

予想は止そう

では、そんなチャートポイントで勢力争いの決着を見ずに、即売ったり買ったりしてしまうのはなぜなんでしょう?

結果すら出ていない上図赤い丸のポイントで売ってしまったのは、なぜなんでしょうか?

それはね、

「そのポイントで反転するだろう」

という「予測」や「予想」をしていたからです。

だから、反転する事実もないのに、売ってしまってるんです。

しかし、なぜそこで反転すると思ったのでしょうか?

そのポイントで、どんなファンドがどのくらいの資金で売りを入れ、どんな実需筋がトータルでどの程度の売りを建てていたのか?

そのポイントで、どんなファンドがどのくらいの資金で買いを入れ、どんな実需筋がトータルでどの程度の買いを建てていたのか?

それらを全て把握したうえで売り方が勝つと予め分かっている人など、世界中を探してもほぼ見つかりません。

にもかかわらず、なぜそこで反転するとして売ったのか?

「俺がチャートを分析して割り出したチャートポイントはここだ。このポイントで反転するぞ、するぞ」

そんな風に、勝手に予測や予想を立てて、それを実行したからなんですよ。

しかし、それは予測や予想という名前の、単なる自分勝手な妄想にしか過ぎません。

だって、根拠がないんだもん。

もちろん、様々なテクニカルやファンダメンタルズを駆使することによって、そこで反転する可能性を導き出すことは可能かもしれません。

しかし、それは単に可能性でしかなく、言ってしまえば確率論です。

もちろん、僕らトレーダーは確率思考の中で進む道を決めているんですから、確率論が悪いと言っているわけじゃありません。ただ、

「確率的に優秀なサインが出たから売った」

のであれば、それは常日頃の出来事でしかないんですから、別にドヤる必要なんてどこにもないじゃないですか。淡々と売れば良いだけです。

むしろ確率の高いシグナルを珍しく外した方が、サプライズですよね。予測を外してしまったという珍しい方をネット上に晒して驚いていることの方が、自然な態度なんじゃないですかね?

 

でも、しないんですよねぇ・・・

なぜでしょ?

 

答えは簡単です。

天井を獲るのが珍しいこと、貴重な事だと、本人が思っているからです。そして、自分だけではなく界隈の人たちも、そう思っていると判断しているからです。

もし仮に僕が、自称凄腕トレーダーとなって皆さんを騙し、高額商材やらサロンなどに誘い込もうとしたら、どうすると思います?

例えば僕なら、

上図赤いポイントで、スキャルピングとして売り、ドキドキしながら様子を見ているうちに順調に下げ出しても、自分の運を喜ぶ姿は隠しておきます。そして、皆さんに対しては、

「僕の手法を知ったら、誰でも同じようなことできますよ」

ってな感じのドヤ顔で、チャート履歴を公開します。

もちろん、そこで売ったのに上昇してしまったのであれば、損切りした事実など公表しませんし、もし先出しで売ることを公表していたのであれば、そんな事実はなかったことにするか、「資金管理」やら「確率論」を持ち出して誤魔化します。

もしくは、上図赤丸で両建てします。で、順調に下げ出したのであれば、買った方を損切りし、売った方のチャートと履歴を自分の実力の証拠として公開します。

 

なんだ、簡単じゃん。欲ボケした人間を騙すのなんて。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

 

まぁ、詐欺るつもりは毛頭なくとも、自己承認欲求を満たすために、たまに運よく天底獲ったりしたら、ネット上に公開するしたりすることは、人によってはあるかもしれませんね。

ただ、本当にトレーダーとして一人前になりたいのであれば、そういった行動はむしろ逆効果の様に思えてしまうんですが・・・

 

すみません。ちょっと、話がそれました。

僕らトレーダーがやらなければいけないことは、予測や予想をすることではありません。勝敗の結果を見て、その事実についていくのが、トレーダーの仕事です。

「予想は止そう」

そんなダジャレが、この相場で生きる人々にとっては格言であり、一人前のトレーダーを目指す僕らにとっては欠かすことのできない大切な言葉です。

トレーダーは「想定」する

予想も予測もダメ。

しかし僕らテクニカル・トレーダーは、価格が相場を辿った過去の道標から未来を判断して売買を行ないます。

なのに、予想も予測もダメってどういうこと?僕らがやっていることって、予想でもなく予測でもなかったら、一体何?何なの?

そんな言葉の定義について、以前ちゅぱ太郎@さーふさん(@SSSURFFF)というエロい人と話していた時に、みぎさん(@miggy_star)というこれまたエロい人から教えてもらったのが、

「想定」

という言葉でした。

僕らトレーダーは、過去の値動きを道標として、現在から未来への価格をトレードします。

しかし、その際に僕らがすることって、

「このまま上がるのであれば、こうしよう。もし下がるとしたら、こうしよう。しかしレンジになったら・・・」

ってな感じで、様々なシチュエーションを考慮(シナリオ作り)しながら、事実と向き合うわけけす。

つまり、そういった未来を考える行為って、予想でも予測でもなく、「想定」なんですね。

うん、それって大事。

僕らトレーダーの仕事とは、過去の道程から未来を想定し、そして事実と向き合うことなんですよ。

そしてそれが、トレーダーとしての本懐です。

事実と向き合うとは

では、事実と向き合うというのは、実際どういうことなんでしょうか?

要するに、相場が反転するなら、「反転した」というサインをチャートから受け取ってから、売買を行なうということです。

このサインというのが、僕がこのブログで何度も言っている「反転確認」です。

反転確認とは、売り方と買い方の勢力の優劣が逆転したことを確認する作業です。

もちろん、その反転確認という作業は、その人が身に着けたテクニカルの種類や腕前によって、人それぞれ違ってきます。

例えばライン・トレーダーであれば、先ほどのゴールド5分足チャートなら、こんな風にトレードしたりします。

上図の様な赤い丸のポイントで、淡々と売っていけば良いわけです。

仮にこのブログでライン引きを勉強している人であれば、ここに引いた斜めラインは、相場の規則性と勢いを表す「クシ」と一致していますから、より強い根拠として売って売って売りまくることが可能になるわけです。

しかし、天井獲ってドヤってる人って、「天井で売ってここまで下げましたよ」とは言いますが、上図の様にその途中で売りまくるポイントは沢山あっても、そこには全く触れなかったりします。

天井獲って喜んでるだけで、一体何をやってるんでしょ?初心者感、丸出しです。

で、上図はライントレードの一例でした。

では、今度はそれがMAトレーダーなら、どう振る舞うでしょう?

同じMAトレーダーでも、用いるMAの種類や期間、またトリガーの引き方は人それぞれですが、まぁ例えば僕ならこんな感じになります。

同じく、事実をもとに淡々と売っていくだけです。

で、余談ですが、ライントレードもMAトレードも、見比べて見ると、結果としては似た様なところでエントリーすることになります。面白いですよねぇ、トレードって。

まぁ、なんだかんだ言いましたが、結局のところ僕らトレーダーは、天底を当てて喜ぶのが仕事なわけじゃないんですよ。

自分が学び検証と練習を重ねることで得たテクニカルの技術によって、勢力争いに決着がついたポイントを見つけ、その事実に基づいて売買を行なうことが、トレーダーとしての仕事です。

 

さて、話が長くなってしまいましたので、今日はこの辺でお終いにします。今回は、トレンド転換時に対する基本的な考え方についてお話しました。

次回は、前回に解説したポンド円のトレード例の続きを用いながら、テクニカルの部分のお話をしていきます。前回のお話を読んでない人は、「エントリーの実際(セットアップの重要性)」を読んでおいてください。

それじゃあ、また。

エントリーの実際(セットアップの重要性)

さて、前回は実際に僕がやったゴールドのトレードを例にして、チキン利食いについてお話しました。

エントリーにおける根拠の薄さ、自信のなさがチキン利食いに繋がるというお話でしたね。

で、今回はその逆。エントリーする根拠強めの場合は、同じ人間でもこうも違うのか?というお話をします。しかも、紹介する実例は前回チキン利食いしたトレードと同日に行ったものです。

根拠の強弱によって、いかにエグジットの対応が変わってくるかのかをご覧ください。

それでは、始まり始まり~!

と、その前に

今回は、セットアップの重要性を分かってもらおうという主旨のお話です。

ですが、肝心の「セットアップ」という言葉を知らない人が、きっと多過ぎ。

もちろん、このブログの常連さんなら、

「聞き飽きちゃったぜ ┐(  ̄ー ̄)┌ フッ・・・」

ってことだと思いますが、知らない人がいると話が理解できないんじゃないかと。

ということで、まずはセットアップの言葉の説明を簡単にしておきますね。知ってる方は、読み飛ばしちゃって、次の章「根拠の強いエントリーの実例」から読み進めてください。

セットアップとトリガー

トレードにおいて、エントリーするにはまず

「売るのか?買うのか?」

という方向性の決定が必要になります。

で、この売買の方向性を決定するための条件のことを「セットアップ」と呼びます。

セットアップが完了して、初めて売るのか買うのかが決定するわけです。

で、セットアップが完了し、例えば買う方針が決定したなら、次は実際にエントリーするためのタイミングを計る必要があります。

で、出来るだけ効率の良いポイントでエントリーするタイミングをとる方法のことを「トリガー」と呼びます。

世間一般ではこのトリガーを「手法」だと思っている人が多いですが、それは間違いですし、インチキ商売に騙されるもとになっているので、注意してください。

詳しいことは、「エントリーの背景(1)」をご覧ください。

では、本題へと進んでいきましょう。

根拠の強いエントリーの実例

ポンド円の環境認識から現状認識へ

で、紹介するトレードの実例は、先日のポンド円でのトレードです。

今回は、記事書くのにやや時間があるため、いつものごとく先の値動きは消して解説します。ただ、週足はそのまんま表示してたり、日足は逆に1日分のロウソク足が丸ごと1本なくなるので、多少の時差が生じますが、まぁご了承のほどを。

ということで、まずは週足チャートから環境認識していきましょうか。話の主旨とはズレるので、簡単な解説で済ましますね。

まあ見ての通り、長い間のレンジ(レンジ後半は三角保ち合い)を抜けて、上昇トレンドを形成しています。

ご存知の通り、今は円安基調です。なので、大きな時間軸では今のところ方向性は上へと向かっていくという流れが続いています。

一旦高値をつけた後、大きく押し目を付けましたがその後再度上昇し、前回高値に到達しています。(上図では最新のロウソク足がヒゲを付けていますが、トレードした当日は前回高値にちょうど到達していたところです)

では、次に日足を見ていきましょう。

前回高値をつけた後は、大きく下げていきましたが、以前のレンジ上限まで到達すると跳ね返され、ものすごい勢いで上昇しているのが見て取れますね。

で、今は前回高値に到達したところ。ここを抜ければ買いですし、再び弾き返されるようなのであれば売りという、単純明快なセットアップが立ちます。

では、このまま現状認識を続けていきましょう。詳細を見ていくことで、何か見えてくるかもしれません。

大切なのは、セットアップの明確さ

じゃあ、4時間足。

見ての通り、緑色斜めラインを抜けた後は、綺麗な上昇トレンドを形成。さらに、青色ラインを抜けると、その上昇気流は加速していきます。

なんて分かりやすいチャートなんでしょう。

もうね、今のポンド円はセットアップが明確なんですよ。上昇力の強いここ2週間くらいは、ちゃぶつく様な場面もほぼなく、押したら買って、また押したら買ってを繰り返していくというルーティン作業です。

値動きが複雑なゴールドばかりやって、買ってみたり売ってみたりで負けを積み重ねるなら、こういった理解しやすいポンド円で勝ちを積み重ねた方が、お得感丸出しなはずです。

大切なのは、「いかにセットアップが明確か?」ということなんですよ。

この点を注意しながら、さらに現状認識を続けていくことで、現状を把握していきましょう。次は1時間足です。

前回高値を示す水平線を一時的に抜けましたが、今はちょうど押し込められた場面です。

一応急上昇してからの値動きに2本のトレンドラインを引いてみました。急角度のトレンドラインで見ると今はラインをブレイクしたところ、緩い角度のトレンドラインで見ると今はラインで下落が止められたところになります。

では、どちらのラインを信じたら良いのでしょうか?ライン割れでここから下落?それともラインに止められて再度上昇?

このブログでは何度も言っていますが、斜めラインって、後付け解説なら何とでも言えますが、実際のトレードで使う場合は、結構難しいんですよ。引き方も考え方も人それぞれ。同じ人が引いても、ちょっとズレただけで判断が変わってしまうし。

なので、ラインで極めるべきはまずは水平線とパターンライン。斜め1本だけの線(トレンドラインとか)は、その後から挑戦すれば良いと思います。

まぁ、だからと言ってトレンドラインを引くなってことではなく、相場の状況やトレンドの強弱を把握するために引くならOKです。くれぐれも初心者はトレンドラインでのブレイクや反発それだけを根拠にエントリーしないでください。(もちろん、いくつかある根拠の内の1つとしてはOKです)

で、このチャート図で大切なのは、この図の緑色で囲った局面の値動きです。

この値動きを見て、皆さんは何を思うでしょうか?

では、この部分をもう少し詳しく把握するために、時間軸を下げて15分足を見ていきましょう。

わざとですが、さらにトレンドラインを加えてみました。どう引いても、止められてみたりブレイクしていたりする様に見えますよね。繰り返し言っている通り、難しい斜めラインを使いこなせない人が、エントリーするのにトレンドラインを何本も引いたところで、それは混乱のもとにしかならないわけです。

ただし、注目してもらいたいのは高値を結んだ赤い斜めラインです。

低値を結んだトレンドラインをいくつか引きましたが、これは低値の切上げの勢いを表しています。

それに対して高値に引いたラインは、高値の切上げの勢いを表しているわけです。

で、見比べてみましょう。低値を切り上げるラインの角度に比べ、高値を切り上げるラインの方が緩やかになっています(パターンで言えば、「上昇ウェッジ」という形です)。これは、低値を切り上げる勢いに比べ、高値を切り上げる勢いが弱まっているということです。

これはどういうことかと言うと、下では下がれば買う勢力は続いていても、買い進む力は衰えており、また上では売る勢力の力が強まっているということです。

であれば、ここは前回高値ラインを越えることができず、反転下落する可能性が高まったということなります。

セットアップを考える

勢力が逆転するポイントを見極める

上昇トレンドとは売買の勢力で言えば、

「買い勢力>売り勢力」

という構図です。

しかし今は、買い進む勢力が徐々に衰え、売り勢力がやや強まってきているということですから、買い勢力と売り勢力の力関係が逆転する可能性が強くなっているということになります。

であれば、買い勢力と売り勢力の力関係が逆転するポイントが、売りのセットアップとなるポイントになるわけです。

もちろん、この反転下落が一時的なものなのか、天井となって大きく下落するものなのかは、今の段階では分かりませんが、とりあえず、売りでトレードしても獲れる波が発生しそうです。

ということで、もう1度15分足を見直してみます。

上昇ウェッジを割り込み、前回高値ラインの下に押し込めらた後、緑色で囲った部分の挙動を見て水平線を越えられないのを確認することで、売りのセットアップが完了と考えて良さそうです。

根拠を強化するために別の視点も

しかし、もう少し売りのセットアップをとるための根拠を強くしておきたいところです。そこで、別の角度からチャートを見ていきたいと思います。

移動平均を用いて、相場を覗いてみることにします。青色が20SMA、緑色が75SMAです。

ご覧の通り、上昇トレンドの大きな波を75SMAが表現し、その中にある小さな波を20SMAが表現してくれています。小さな波が20SMAを下抜けても結局は75SMAが下支えをして、再び上昇していくのが分かりますよね。

ところが、水平線まで到達すると、その流れに変化が出てきています。20SMAを価格が下抜いた後は戻ることなく、また今まで下支えをしていた75SMAまでも下抜けてしまっています。

ということは・・・

「流れが変わった!」

そう判断してもおかしくありません。

さて、ライン、パターン、値動き、移動平均線、いずれも「これから下へ向かいます」という根拠が揃いました。

強い根拠のもとに売りのセットアップが完了しています。

といういことで、次は売りエントリーのタイミングを伺うことになります。

タイミングをとらえる

ただ、僕がチャートを覗いた時点では、既に最初の売りタイミングを逃し下落が始まった段階なんですよねぇ。

ここから売りに入るにはちょっとリスクがあるんですよ。今の下落したロウソク足の低値が下値となって再び上昇してレンジを形成する可能性があるからです。

ちょっと説明しますね。

先ほどまでの解説だとゴチャゴチャしてしまうので省略していたラインがあるんですが、上から2番目の水平線は4時間足から引けるラインを微調整したものです。また、先ほどの高値を結んだ赤い斜めラインを低値にも持っていくと、今の下値にビタで止まります。

つまり、上図青色の四角で囲った様な平行レンジになったり、赤いラインのチャネルの中を移動する値動きになる可能性があるんですね。

仮に上図緑色のタイミングで売った場合であれば、レンジに移行しても利益を出して逃げることが可能です。

しかし、今この最新のロウソク足のタイミングで売った場合、レンジ低値で売ってしまうことになり、痛い目にあうわけです。

ということで、レンジとして一旦上に上がるのであれば高値をつけたところで売り、下にブレイクするならそれについていって売ることにします。

では、その後の展開を見守ることにしましょう。すると・・・

もうねぇ・・・「嘘でしょ」と思ってしまうくらいに、エントリーの条件が重なってしまいました。

まず、水平線をブレイクしたと共に想定したチャネルラインもブレイク、おまけに価格は20SMAを上抜けなかったどころか、20SMAは下を向き出してデットクロスです。もう、ここしかないというタイミングで売りエントリーです。

エグジットを考える

では、ここで利確目標の解説に移りましょうか。

4時間足に戻って、水平線を加えた画像がこちらです。

上図とは誤差があって申し訳ありませんが、エントリーしたのはラインBをブレイクしたところです。

で、エグジットの目標値ですが・・・

まず第一目標がラインCです。Cのポイントはフィボナッチ・リトレースメントでは38.2%に近い位置にありますし、一旦押し目を付け様な展開であれば、ここでの利確が妥当かと。

次の目標はラインDです。ここはフィボナッチ・リトレースメント61.8%とほぼ一致する位置でもありますから、ここまで到達する可能性も濃厚です。ただ、いきなりここまで下げるのはちょっとなぁ・・・という印象ですかね。

では、次の展開を見守ることにしましょう。

根拠が強いと・・・

今さっき僕は「次の展開を見守ることにしましょう」と言いましたが、実は僕、この展開を見守っちゃいません。

アラートをセットして、ポンド円のチャートなんて見ずに別のことしてたんですね。この日は仕事休みだったんで、録画したドラマ観てました。

基本僕は、エントリーしたら、スキャでもない限りチャートをガン見することはあんまりありません。アラートを仕掛けて後は放置で別のことやってます。

人生は、有意義に使わないとね。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

 

 

すみません。

今僕はちょっと、偉そうに余裕ぶって言ってますが・・・

本当のこと言うと、エントリーの根拠が弱ければ、そんな余裕もへったくれもありません。もうビビリまくりです。

この日の夜にやったゴールドのトレードなんて(前回のお話で紹介したトレードです)、根拠弱い中で入っちゃいましたから、不安になって5分足から1分足に切り替えてチャートをガン見し続けたりして。で、結果はチキン利食いです。

同じ人間が同じ日にトレードしたのに、一方はエントリー後はチャートを見ずにのんびりと。もう一方は、チャートの値動きが気になって気になってしょうがない・・・

前回もお話しましたが、チキン利食いしたとか引っ張るところまで引っ張れたとかは、メンタルの強弱じゃないんですよ。

エントリーの根拠の強弱の違い、それ一択です。

では、ポンド円のトレードの続きを見ていきましょう。

エグジット

さて、なんだかんだやっていると、仕掛けておいたアラートが鳴りました。チャートを見るとこんな感じ。(下図は、正確なタイミングではありませんが)

順調に下げてますね。

で、もう少し様子を見ると、

最初の目標値に到達しました。

で、僕はここであっさりとエグジットしてます。

なぜ、ここで利確したのか?これ以上引っ張らなかったのか?

それについて書き出したら、結構長くなり出したので、今日はこの辺で終わりにしておきます。

次回は、この時のエグジットの判断した理由や考え方、そしてこの後のエントリーについて、お話していこうと思います。

今回のお話の主旨は、エントリーの根拠の強さ、つまりセットアップの明確さについてでしたので、それがいかに重要かというが分かってもらえたらなぁ・・・と思います。

それじゃあ、また。

エントリーの実際(チキン利食いについて)

さて、今日は昨日僕が行ったトレードを題材に解説していきます。

このトレード結果を例題に、トレード界隈に蔓延る誤った考え方から抜け出せてもらえたらなー、なんて思ってます。

それでは、はじまりはじまり~!

実際のトレード例から

こんな感じでエントリーしました

まずは、昨日のゴールド(XAU/USD)のトレードから。

環境認識等は、今回お話したい主旨とは違うので、ここでは省略します。前回のお話やTwitterを参考にしてください。

また、この記事は速攻アップするつもりなので、いつものごとく先の展開を隠すために画像処理とかはしないで解説していきます。

で、僕は4時間足に、こんな感じにラインを引いておいたんですが・・・

僕は上図赤丸の付近で2回ロングしています。

これを、5分足でもう少し詳しく見てみましょうか。

上図、「1回目」「2回目」と表記している箇所で、僕はロングをしています。利確の目安は、青ラインAが第一目標で、青ラインBが第二目標でした。

で、既に出来上がったチャートで見ると、まるでこの展開を予測したかのようなシナリオだったわけです。

じゃあ、僕が実際に利確した箇所はどこだったかと言うと、自慢じゃありませんが・・・

チキン利食いじゃん!

全然自慢にならねぇ・・・

 

という結末でした。

で、今回お話したいのは、なぜこんなことになったのか?ということです。

なぜチキン利食いになるのか?

勝てない人の特徴として、チキン利食いした後も順調にエントリーした方向に伸びていったのを見て

「あ~~っ!!やっぱり方向性は当たっていた!メンタルが弱いせいだ!!」

なんて嘆くんですよ。

で、トレードのメンタル本なんかを参考にして、メンタルのコントロールや強化を気にし出したりするんですね。

 

ま、だからいつまで経っても勝てないんですが。

( ̄ー ̄)ニヤリ

 

ここで一旦、頭の中をフラットにして、考えてみて下さい。

幼い頃から人生の大半をその競技に費やして、世界レベルで戦い続けるトップアスリートでさえ、極まれにしか入れない(もしくはまだ1度も経験したことのない)という「ゾーン」に、ちょっとトレードの練習や検証したくらい(つか、ほとんどのトレーダーはそれすらしていない)の人間が、トレードする度にソーンに入れるとでも?

 

一体、何様のつもりですか?

 

トップアスリートですら稀な状態を常に保とうなんて絵空事、信じない方が良いですよ。いや、マジで。

で、話を元に戻しますが・・・

じゃあ、なぜチキン利食いをしてしまうのか?

答えは単純明快です。

 

「自信がないから」

 

ただそれだけの話なんですよ。

で、僕の昨日のトレードに話を戻します。もう1回、さっきのチャート画像載せますね。

実は僕、エントリーしたこの時の気持ちとしては、ロングで入る根拠にちょっと自信がなかったんですよ。

まず、見ての通り三角保ち合いを下抜けてる状態でのロングです。恐らくオーバーシュートだろうという判断で、キリ番で止められたのを見て2回とも反転確認せずに入っています。

しかも、前回お話した通り、大きな時間軸での値動きは不安定、さらに詳細は割愛しますが、4時間足や1時間足を見る限り、やや売り圧力の方が優勢なんじゃないか?と気にかかってたんですねぇ。

だから、ロングで入る根拠としてはやや薄く、自信があったとは言えないんですよ。

ただ、僕の心の中では、

「少なくとも、一旦は買いが入ってリバウンド(反転じゃなくて反発)するから、伸びそうもなければスキャで逃げれば良いだけだし」

という気持ちでロングしたわけです。

もし仮に、伸ばしたいところまで伸ばせるだけの根拠を持ってロングしたいのであれば、

三角保ち合いを一旦オーバーシュートした後、保ち合い内に再度戻ってからもう一度下値を試しに行って止められた上図赤丸部分、ここを確認してからのロールリバーサルからのエントリーになるわけです。

そうであれば、僕の中ではロングで入るための根拠が強くなり、その結果「自信」が生まれ、青ラインBまでは引っ張ることが可能になるんですよ。

結局のところ、エントリーする根拠に自信があるかないかが重要なんです。

根拠が強ければ強いほど、それが自信に繋がり、引っ張れそうなところまで引っ張れるわけです。

ただし、ここで勘違いしないで欲しいのは、じゃあこれを読んで知っただけの読者が上図のタイミングで自信を持ってロングできるのか?と言えば、

「答えはNOだぜ!」

ということです。

知っただけのものに根拠も自信も生まれないんですよ。それは単なる欲ボケか過信のどちらかです。

自分の手と頭を使って、何度も何度も検証と練習を積み重ね、それでもって初めて

「その根拠がどの程度強いのか?」が分かり、それが

「自信」の強度へと繋がっていくんですよ。

その意味を本当に分かっている人だけが、

  • 根拠強い→出来るだけ引っ張れる→きちんとした利食い!
  • 根拠弱い→チキン利食い→きちんとした利食い!

となり、チキン利食いも立派な利食いとして受け入れられるんですよ。

問題なのは、自分のエントリーの根拠が強いのか弱いのかも分からずにエントリーしてしまい、自信もなくビビッてチキン利食いして、自分のメンタルの弱さのせいにしてしまうといった、全くお門違いの思考と行動を繰り返してしまっていることなんですよ。

大した裏付けのない薄っぺらな根拠をもとにエントリーしたところで、そりゃあチキン利食いするのは当然の結末です。

では、根拠強めのエントリーの場合だったら、どの様な振る舞いになるのか?

これについては、このゴールドのトレードと同日に行ったポンド円のトレードを題材にして解説していきたいと思います。

が、今日はこの辺でお終いにします。

とりま、早めにアップするのが今日の目標なんで。続きは、明日か明後日にアップしようかと。

それじゃあ、また。