どの時間軸を選択すべきか? ~MTFの考え方

さて今回は、マルチ・タイム・フレーム(MTF)について、お話します。

トレードをする場合、1つの時間軸しか見ない人ってほとんどいないと思います。通常は複数の時間足を見てトレードをすることが、一般的です。

もちろん、このブログの中でも、複数の時間軸を見てトレードすることは、幾度となく解説してきましたよね。

しかし実際のところ、

「じゃあ、一体どの時間足を使ってトレードするのが一番良いの?」

なんて思う人って、結構いると思うんですよねぇ。

ということで今回はちょっと趣向を変えて、時間軸をどの様にして選択すべきかのお話をしていこうかと思います。

それでは、始まり始まり~!

MTFについて

トレードやっている以上、「MTF」って言葉くらいは知っている人が多いと思います。

なので、MTFという意味については、スルーしちゃおうと思ったんですが・・・

やっぱりねぇ、一応言葉の定義はある程度シッカリさせておかないと、話す側と聞く側での理解に誤差が生まれやすいと思うんですよ。

なので、ちょっとだけお話させてもらいます。

MTFとは

僕の感覚で言うと、このMTFっていうのは元々、

「複数の時間足チャートを同時に表示して、分析やトレードをすること」

と理解していたんですが、

最近では、同時に複数の時間足チャートを表示してなくても、複数の時間軸を使って分析していればそれは「MTF分析」になるみたいですね。

また、表示したチャートの時間軸に、違う時間軸で分析された結果を表示するインジケーター(例えば、1時間足の20SMAを5分足に表示する様なインジケーター)のことを「MTFインジケーター」という様です。

このブログにおけるMTFについて

ただ僕から言わせてもらうと、複数の時間足を用いて分析することは当然のことであり、それをわざわざ、

「MTF分析」

とか言って、何か特別な分析方法かの様に扱うのは、ちょっと疑問視しています。

僕がこのブログで幾度となくお話してきた「現状認識」というのは、大きな時間軸から小さな時間軸へと落として混んでいく作業のことです。

そう、複数の時間足を用いて分析するのは、「分析方法」ではなく、「作業手順」でしかないんですよ。

なので、このブログ(少なくとも今回の記事)において「MTF」といった場合は、

「複数の時間足チャートを同時に表示して、分析やトレードをすること」

としてお話していくことにします。要は、表示方法のことだと思って話を読み進めていってください。

MTFか、単一表示か?

チャート表示の方法としては、

  • MTFとして、複数の時間足を同時に表示するタイプ
  • 1つの時間足だけ表示して、必要に応じて違う時間足に切り替えながらチャートを見る単一表示タイプ

の2つがあり、どちらのタイプも一長一短があります。

MTFは、各時間軸の一覧性には優れますが、複数の時間軸が同時に見れるため、自分がどの波に乗ろうとしているのかブレやすくなります。

単一表示は、必要に応じて画面を切り替える煩雑さと、表示していない上位足の状況はある程度記憶しておく必要性はありますが、見ている時間足は基本的に1つに固定されていますから、トレードがブレにくくなります。

詳しい内容は、既に「目先の値動きに振り舞わされないためのチャート表示術」にてお話していますので、省略しますが、

この2つのタイプにはどちらも一長一短があるため、どちらが優秀かとは決められないのが実際のところです。どちらを選択するかは、各トレーダーの好みやスタイル、また認知の仕方の違いによって変わってくることになります。

しかしいずれにせよ、この2つ表示方法の違いは単に、複数の時間軸を常に表示しているのかどうかの問題であり、複数の時間足を見ることには変わりがありません。

ということで、「どの時間軸を選択すべきか?」というのは、MTFにせよ単一表示にせよ、同じ課題となってきます。

これ以降は便宜上、チャートの表示方法がMTFであることを前提にお話していきますが、単一表示を用いるにせよ、時間軸を選択する考え方は同じですから、同様に参考にしてください。

時間足選択の基本

では、実際にチャート分析したりトレードしたりする際に、どの時間軸を選択すべきかの基本的な考え方を、まずはお話していきましょう。

ポジション保有期間と時間足の関係

トレードとは、発生する波の一部を切り取る作業です。別の言い方をすれば、波に乗る作業とも言えます。

ですから肝心なのは、

「どの波に乗るのか?」

ということになります。1時間足の波に乗るのか、日足の波に乗るのか?それとも5分足の波に乗るのか、4時間足の波に乗るのか?

デイトレードであれば、その日のうちにポジションを閉じてしまうわけですから、1日の中で発生する波に乗ることになります。

であれば、1日にロウソク足1本しか形成しない日足チャートが形成する波に乗ろうとして、デイトレすることはありませんよね。(この辺りの詳しい解説が欲しい人は、「日足5SMA分析シリーズ」をご覧ください)

デイトレであれば、4時間足とか1時間足とか15分足とか、日足未満の時間足の中で発生する波に乗ることになります。

では、デイトレの場合は、どの時間足が適切か?

デイトレードのポジション保有時間は、相場つきや各トレードスタイルにもよりますが、平均3時間程度と言われています。

なので、一般には1時間足を見て、そこで発生する波を切り取ろうとすることが多くなるわけです。

上図の様に、1時間足チャートで見て取れる波の1辺(オレンジ色の矢印)を切り取ろうとするのが、デイトレということになります。

しかし、同じデイトレでも、複数の市場に渡る様な長時間のデイトレもあります。丸1日ポジションを保有していたり、順調に価格が伸びているのであれば、日をまたぐこともあるかもしれません。

その様に、やや長めのデイトレから、数日間保有するようなスイング・トレードをするのであれば、1時間足を用いるより、4時間足を使うことの方が多くなるでしょう。

上図と同じ局面であっても、4時間足で波を切り取ろうとしたら、

こんな感じになるわけで。

ポジションを長めに持つのであれば、1時間足を見て判断するよりも、4時間足を見てその波に乗ろうとする方が、複雑さを排除し、シンプルにトレードできることが多くなります。

要するに、ポジション保有時間によって、切り取る波は違ってくるわけですから、当然それに適する時間足も変わってくるということです。

もちろん、もっと長く保有するトレードスタイルであれば、見る波は日足だったりしてきますし、スキャルピングであれば1時間足よりももっと短い分足の波を切り取りに行くことになるでしょう。

ポジション保有時間によって、自分にとっての最適な時間軸を知ることは大切です。

基本的に、ポジションの保有時間によって、選択する時間軸は変わってきますので、まずはその点をきちんと踏まえておきましょう。

セットアップ画面とトリガー画面

どの波を獲りに行くのか?

が、メインとなる時間足になるわけですが、その時間足は別の言い方をすると、「セットアップの時間軸」になります。

ただ、実際にエントリーする際に、トリガーを引く時間軸はセットアップの時間軸とは同じとは限りません。

(セットアップとトリガーについては、「エントリーの背景」を参照して下さい)

もちろん、セットアップとトリガーが同じではダメということはありません。

ただ、より効率良くエントリーするという意味で考えると、セットアップの時間軸よりも、より短い時間軸を利用した方が、タイミングをとりやすいという現実があります。

なので、メインとするセットアップ用の時間軸とセットアップ用の時間軸の2つを利用することが、裁量トレーダーにとっては実践的な方法の1つになります。

で、個人的な意見かもしれませんが、端的に結論を言うと、

  • セットアップの時間軸を4時間足とする場合、トリガーの時間軸は15分足
  • セットアップの時間軸を1時間足とする場合、トリガーの時間軸は5分足

とするのが、比較的相性が良い様に思います。

それはなぜか?

今の段階でそれを断定するには材料が乏しいのですが、恐らくそれはペアの比率が原因になっていると思います。この比率については後ほど詳しく説明しますので、そちらを参考にしてください。

相場つきと時間足の関係

仮にポジションを保有する時間が同じであっても、ボラティリティや値動きの激しさ等によってメインとする時間時間軸も変わってきます。

普段1時間足をメインにして取引していても、4時間足の方が状況を把握しやすい相場つきもありますし、逆に時間軸を30分や15分足に下げた方が把握しやすいケースもあります。

また、トリガーにおいても値動きが激しければ激しいほど、時間足が大きいとタイミングをとりづらくなったりします。

高ボラな状況下でトレードする場合、その値動きはあっという間に数十pips動いたりしますから、普段トリガーは15分足で事足りている人でも、1分足を用いないと間に合わないというケースもあります。

何があっても時間軸は固定しなければならないわけではなく、相場つきによって柔軟に対応する姿勢が大切です。

ただ、どの様な場合であっても、どの時間軸のどの波に乗るのかは、明確にしておくことが必要です。お忘れなく。

各時間軸をそれぞれ見る意味を考える

大きな時間足を見る頻度は?

仮にデイトレードをするとして、セットアップに用いる時間軸が1時間足だとしましょう。

この場合、メインとなる時間軸は1時間足となるため、この1時間足はチャートを見ている間は常に監視対象となります。

では、その上の時間足はどうでしょう?

その上の時間足は、環境認識に用いることになりますので、見ることは見るでしょうが、常に見続ける必要性は乏しくなります。

4時間足の場合、エントリーしてからエグジットするまでに2~3時間程度なら、ポジション保有中には1度も見ることがないかもしれません。

そうでなくとも、4時間足はメイン時間軸である1時間足に比べ、常に見続ける必要は少ないはずです。1日に何度か見ればそれで全然OK!ということは、多々あるでしょう。

日足だって1日でロウソク足1本更新するだけですから、1日に何度も何度も繰り返し見る必要はありません。

週足なんて1週間でロウソク足1本ですから、見る頻度は週に1回、多くても3回程度になるでしょうし、月足なんてもっと少なくなります。

であれば、メイン時間軸よりも上の時間足チャートは、MTFにおいて常に表示する必要性は乏しいと言えます。

上の時間軸を表示する必要性

だだ、それであればわざわざMTFにしておく必要性はなく、先ほどお話した単一表示で十分事足りるはずです。

MTFでメイン時間軸よりも上の時間足を常に表示しておく利点は、いくつかあります。

認識の過ちを防ぐ

記憶力の良い方なら、例えばポンド円の1時間足をずっと見ていても、それより上(4時間足や日足、週足など)の相場状況は、覚えているかもしれません。

しかし、結構忘れるんですよ。

ポンド円のトレードをしようとしているのに、日足や4時間足の状況は忘れてしまっていたりとか。

複数の通貨ペアを取引している場合なら、さらに過ちが増えます。ポンド円の日足の状況とポンドドルの日足の状況を誤って逆に覚えていたりとかね。

これ、僕の様に歳をとればとるほど、その記憶間違いや物忘れは頻繁に起こることになります。

であれば、その様なミスを防ぐためにも、MTFにおいてはメイン時間軸よりも上の時間足も常に表示しておくのが得策と言えます。

もちろん、上の時間軸は複数表示しておく必要はありません。

先ほどもお話した様に、大きな時間足になればなるほど、見る頻度は少なくなりますから、例えば1時間足をメインにトレードする場合、1つ上の時間軸は4時間足だけ表示し、確認したい時だけ4時間足チャートだけを適宜、週足や日足に切り替えることで十分なはずです。

上図の様な時間配分でMTF表示にした場合、4時間足チャートだけをその都度切り替えて使います。

環境認識から現状認識に落とし込む際、4時間足までは1つのチャート画面で行なう・・・という様な使い方になります。

メイン時間軸で把握できないチャートポイントを常に把握

相場つきやチャートの表示範囲によっては、重要なポイントが1時間足のチャート範囲内では表示されないため、4時間足も常に監視対象にしておきたいケースもあります。

例えば、下の図を見てください。

1時間足、15分足、5分足には同じ価格帯に水平線が引いてあります。もちろん、この水平線はチャートポイントであることを表しているわけですが・・・

どのチャートを見ても、何を根拠にこの水平線を引いたのかが、全く分かりません。

なぜならば、ラインを引いた根拠となるポイントが、これらのチャートで表示されている範囲から、はみ出てしまっているからです。

しかし、上の時間軸を表示していれば、

見ての通り、どのポイントを根拠にしてラインを引いたのかが、一目瞭然となるわけです。

以上の様に、見る頻度が少ないとはいえ、メインよりも上の時間軸をMTFに表示しておくことは、大きなメリットがあります。

小さな時間足を見る頻度は?

では、メイン時間足よりも小さな時間軸はどうでしょうか?

メインとなる時間足の波を切り取る作業をするわけですから、それ以下の時間軸を見る必要は基本的にはありません。

しかし既にお話した通り、トリガーを引く場合は、メイン時間足よりも小さな時間足を用いるのは、有効な手段です。

(もちろん、セットアップとトリガーが同じ時間足であっても問題ありません)

なので、分足も見ることは当然ありますし、常に表示しておくことで、素早い対応が可能になることは言うまでもありません。

ただ、しかし・・・

トリガー画面として分足が必要になるのは、メイン時間足のチャートが、チャートポイントに到達した時にだけです。

常に表示し続ける必要性は、非常に乏しいんですよ。

ところが、世の中の勝てないトレーダーは、目先の値動きばかりが気になって気になって気になって気になって気になって気になって仕方がなく、15分足じゃ不安で5分足を見て、それでも不安で1分足なんかをガン見しつづけたりします。

で、メイン・チャートのことなんて全く目に入らずに小さな分足が、バイ~ンと伸びたら

「勿体ない!」

と思って飛び乗ったりするんですよ。

で、目先の値動きだけに振り回されて、分析とかそういった物とは無縁のところで無様なトレードを繰り返します。

なので、そういった人はむしろ分足なんて表示しておかない方が良いんですよ。メイン時間足チャートで価格が適切なポイントに近づいた時だけ表示する。そっちの方が、何かと吉とでます。

まぁ、そうは言ってもMTF表示していたら、常に分足も表示することになるでしょうから、そういった場合は、分足だけやたらと小さな画面にしておく等の工夫をすれば良いと思います。

なお、以前にそういった人に向けたチャート表示方法を「目先の値動きに振り回されないためのチャート表示術」で紹介しています。もちろん、これは単なる一例でしかないので、この表示方法が正解というわけではありませんが、この記事を参考に各自が自分に最も適した表示方法を考えてみてください。

時間比率を考える

では、実際にどの時間軸を選択して見ていくべきかを、ここから具体的に考えていきましょう。

果たしてそれは見やすいのか?

MTFで割と見かけるのが、日足・1時間足・5分足という3分割でチャートを見るやり方です。

下図は、その時間配列とそこに20SMAを表示したものです。

では、この「日足」「1時間足」「5分足」という時間配分で、現状認識はきちんと出来るのでしょうか?

ちょっと考えてみましょう。

現状認識の実際(1)」でも既にお話している様に、きちんと環境認識から現状認識へと落とし込む作業をする人は、きちんと波を見ます。

1時間足で見る波は、日足ではどの波の部分で、5分足では今どこの波群なのだろうか?

ということを、きちんと見てトレード判断を下すはずです。

しかし、この日足・1時間足・5分足という時間配分は、その確認作業が有効なんでしょうか?もう一度、先のチャートを見てみましょう。

まぁ、出来るっちゃ出来ますね。

ただ、上図は上昇傾向がハッキリとした「分かりやすい」相場つきなので、この時間配分でも現状認識は比較的簡単でしょうが、

これがもう少し複雑な相場つきになってしまうと、ちょっと現状認識がしづらくなったりするんですね。

人によっては、上図であってもきちんと認識できない人、結構いると思いますよ。分かってる気になって、何一つ分かっちゃいないというのは、勝てない人の典型的な思考回路ですから。

で、正直なところ僕からすると、現状認識を行なうにあたってこの時間配分は、「これがギリギリなラインかなぁ~」という印象です。

なぜ、これがギリギリなのかというと、要するに各時間足の比率の問題です。

1時間足は日足を24倍に拡大したチャート、5分足は1時間足を12倍にしたチャートになります。

日足1本の内部構造を24倍の拡大鏡で見たものが1時間足であり、1時間足1本の内部構造を12倍の虫眼鏡で見たものが5分足ということになります。

で、この比率の大きさが、各時間軸を見比べるのを分かりづらくしているんですよ。

まぁ、1時間足と5分足では比率が12倍なので、まだ分かりやすいと思いますが、日足と1時間足では24倍の差がありますから、実際にトレードしていると分からない場面が多々出てきます。

これについて、もう少し詳しく考えていきましょう。

自分の見やすい比率を見つけよう

各時間足同士の比率って、大き過ぎても小さ過ぎても、見づらくなります。

まずは、日足と1時間足のチャートを見比べてみましょうか。

上図を見て、1時間足全体で表示されている局面は、日足においては一体どの部分に相当するのか、分かりますかね?

詳しく見れば分かるんですが、ぱっと見は分かりづらいはずです。

実際は、下図の赤い四角で囲った部分になります。

大雑把に言えば当たってたとしても、実際は思っていたのと若干ズレて認識していた人の方が、多いんじゃないでしょうか?

24倍という大きな比率は、正確に現状を把握するには向いていると言えないんですね。

それでは、もう1つ。この図の1時間足に記した青い丸の部分って、日足だとどのロウソク足の中の出来事だと思いますか?

これもじっくり見れば、恐らくこの辺かなぁ?というのは大体想像がつくと思いますが、しかし、

「恐らくこの辺かなぁ?」

というのは、想像した感想を述べているレベルの話で、「分析」というレベルではないですよね。

要するに、時間足同士の比率が24倍の差があるって、分析をするには、ちょっと曖昧になりがちなんですよ。

では、こっちの図を見てみましょうか。

4時間足と15分足ですが、こちらの比率は先ほどから比べるとぐっと下がって、16倍の差です。

この位の比率であれば、15分足全体で表示されている局面が4時間足ではどの部分か、ぱっと見でも比較的見比べやすくなっていると思います。

では次に、1時間足と5分足を見比べてみましょう。

こちらは、更に下がって12倍の比率なので、より比較が鮮明です。

上図1時間足の今の局面は保ち合い状態ですが、その保ち合い状態をより具体的に見たものが5分足であり、かなり具体的にハッキリと現状を把握することが可能になります。

では、次に比率を一気に小さくしたものを見てみましょうか。

次の図は、4時間足と1時間足です。

比率はわずか4倍です。

先ほどの10倍以上の比率に比べ、コチラの方がはるかに鮮明に・・・

と言いたいところなんですが、実は倍率が小さすぎても、比較しづらかったりするんですよ。

両者が同じトレンドで似た様な波を作っていると、どの波とどの波が合致するのか、勘違いしやすくなるんですね。

上図の丸で囲った部分の様に、両チャートでは似た感じで波が出来ているので、ぱっと見で比較すると、ちょっと混乱しやすいんですね。

実際の同一局面は以下の様になります。同じ色同士が対応した局面になります。

想像したものと実際ではズレてしまいやすいのが分かるかと思います。

また、さらに小さ過ぎる比率を用いてしまうと、相場つきによっては混乱するどころか、むしろ

「無理に比較しなくても良いんじゃ?」

となったりもします。ちょっと見てみましょうか。

上図は15分足と5分足で、比率は3倍ですが、これなんて見ると、15分足と5分足をわざわざ比較して見る必要はなさそうです。

以上から分かる通り、各時間軸を見ることで現状認識をしようとする場合、各時間足同士の比率は、大き過ぎても小さ過ぎても良くないんですね。

まずはこの点を注意して、各時間軸の選択をすべきということになります。

ただ、ここでもう1点、注意すべきことが。

小さな比率同士の場合、ずっと見続けいれば、要領は掴めるので混乱はなくってくるんですよ。

しかし、例えば3種類や4種類の時間軸を比較する際に、

「AとBの比率は4倍、でもBとCの比率は24倍で、CとDの比率は15倍」

みたいな感じで、比率がバラバラなもの同士を用いていると、より混乱や勘違いが多くなります。

つか、混乱していたり勘違いしていることに気づければまだ良い方で、気づかずに過ちを犯し続けていたら、それこそ最悪です。

ですから、複数の時間軸を見ていく時は、出来るだけ近い倍率のものを用いて見ていくことが大切になります。

では、具体的にどの時間軸を見ていくべきかというのを、実例として2つほど挙げて説明していこうと思います。

MTFの実例その1

下の図は、4時間足・1時間足・15分足・5分足を同時表示したものです。

この時間割りを利用している人って、結構多いんじゃないでしょうか。僕もこの時間割りは良く使っていますしね。

では、この時間割りを解説しますね。

大きな時間軸から順に目線をずらしていくと、その比率は、4倍→4倍→3倍とほぼ似た様な比率で各時間軸を比較することができます。

更に、目線を「4時間足から15分足」「1時間足から5分足」と横にずらした場合の比率は、16倍と12倍で、これまた近い比率同士です。

丁寧に現状認識をしていく場合は、4時間→1時間足→15分足→5分足と順に観察してトレードすることが出来ます。

しかし、常にこの細かさ、丁寧さが仇となる可能性もあります。相場つきが複雑な場合、逆に情報が多いと混乱しやすくなるんですね。

で、その場合は、このMTFの時間軸全てに目を通さなくとも、単に目線を横にずらすだけの見方をしていけば良いんですね。

つまり、

  • 4時間足の中の波に乗りたいのであれば、4時間足と15分足の横並びのチャートを見て判断
  • 1時間足の中の波に乗りたいのであれば、1時間足と5分足の横並びのチャートを見て判断

という使い方ができるわけです。比較する時間足の比率が16倍と12倍であるから、ギリギリそれが可能になるわけです。

MTFの実例その2

次に紹介するのは、比較的マイナーな表示の仕方かもしれません。使う時間足は、日足・4時間足・30分足・5分足です。

世界で最も多く見られているチャートの時間軸は、日足と1時間足と言われていますが、この場合は、敢えて1時間足を見るという選択を捨てて、30分足を見るというやり方です。

ここには、大きく2つの理由があります。

実は僕、結構な昔の話になりますが、佐野裕氏の「マエストロFX」という教材で勉強していたことがあるんですが、その中で佐野氏は主軸として30分足を利用していました。

理由は2つあって、30分足を使うことで

  • 各時間同士の比率を6~8倍にすることが出来る
  • 30分で区切ることで、市場開始時間や指標発表時間を区別できる

というものです。

で、上図の時間配分も、その有効性に着目した時間割です。以下に説明していきますね。

1.時間比率を6~8倍にするメリット

佐野氏は、各比率を6~8倍にすると見やすくなると解説していたんですが、実際僕もそう思っています。

先ほど、16倍・12倍といったやや大きめの倍率、4倍・3倍といった小さめの倍率を解説しましたが、この6~8倍というのは、そのちょうど中間あたりに位置する倍率です。

つまり、10倍以上になると見比べづらくなったり、4倍以下になると混乱しやすかった点をこの程度の比率の場合は、排除してくれます。

この比率を用いることが、比較対象としては一番見やすいんじゃないかな~と、佐野氏の受け売りに留まらず、僕個人もそう思っています。

この場合、日足・4時間足で俯瞰した状態の相場を観察することになり、30分足がメインの時間軸となります。

タイミングをとるのは、30分足をそのまま使うか、把握しづらかったら5分足を用いるという使い方になりますね。

2.30分単位で区切るメリット

1時間足は多くの市場参加者が見ているので、これを切り捨ててしまうのは、僕個人としてもちょっと苦々しい思いをするんですが、実は30分単位でロウソク足を表示していくメリットも大きいんですね。

相場の世界では、市場開始時間が10時30分など30分を境にして始まったり、指標発表時間が22時30分と、30分を境にして行われることが、結構あるわけですよね。

しかし、1時間足を用いた場合、それを境にした値動きの様子は1本のロウソクの中に隠れてしまいます。

しかし、30分足を用いることで、市場開始前と後、指標発表前と後の動きを把握することが出来る様になるわけです。

これって、分析する上では、結構なメリットでもあるわけですよね。避けるよりもむしろ、積極的に活用していきたいメリットでもあるわけです。

とまぁ、以上が佐野氏の解説から僕自身が納得している内容なんですが、実は僕自身30分足を使うメリットはもう1つ2つあると思ってます。それは・・・

3.ボラティリティによる見づらさからの回避

これ、経験ある方は納得すると思うんですが、ボラティリティの大きさによって、1時間足や15分足が使いづらい時が、結構あるんですよ。

小さなボラが続いていると、1時間足でもチャートいっぱいに不安定な値動きが表示され、4時間足レベルで俯瞰しないと見づらい場合が度々ありますが、その時に4時間足からの細かい動きを15分足で捉えようとすると、これまた把握しづらい時があったりします。

逆にボラが大きな場合は、1時間足よりももう少し下の時間軸で相場を把握したい時もあるんですが、これが15分足だとやや小さ過ぎたり。

こういったケースは、意外にも多くあって(もちろん、通貨ペアなど取り扱う商品によって違いますが)、その際は30分足を用いると、割とスッキリと見やすい環境を整えてくれたりします。

まぁ、常に30分足が最も見やすいというわけでもありませんが、実際使って見ると30分足の見やすさというのがシックリくるという人は、多いと思います。

4.環境認識に対する比重が大きくなる

先のMTF、4時間足・1時間足・15分足・5分足という時間割の場合、セットアップ画面が4時間足になったり1時間足になったり、果ては15分足になったりと、目線がぶれやすくなります。同様にトリガーも15分足なのか5分足なのか、その判断は不安定です。

しかし、時間割を日足・4時間足・30分足・5分足とする場合、デイトレードであれば基本30分足がセットアップ画面、5分足がトリガー画面となります。

その場合、表示してある日足と4時間足は環境認識から現状認識に至る過程を常に見ることになりますから、チャートを眺める際に、環境認識に対する比重が大きくなることに繋がります。

つまり、俯瞰した状態から相場を見ることに繋がりやすく、目先の値動きに振り回される比率は、逆に小さくなっていく可能性が高くなるわけです。

もちろん、目先の値動きに一喜一憂する人は、どんな表示方法にしようが小さな時間足ばかりをガン見してしまいますから、無意味と言えばそうなんでしょうが、

そんな自分を修正するための「意識づけ」

として考えても、この時間割りは有効な表示方法になるかもしれません。

結論

さて、ここまで見てきた様に、MTFにおいてどの時間軸を使うべきか考えるうえで、大切なポイントが見えてきたと思います。まとめると

  • メインとする時間軸は、ポジション保有時間により変わる
  • メインとする時間軸は、どの波を切り取ろうとするかによって変わる
  • メインとする時間軸は、ボラティリティや相場つきによって変えた方が良いケースも多々ある
  • 比率は、大き過ぎても小さ過ぎても見づらくなる
  • 比率がバラバラのものを複数見ると、混乱しやすくなる

以上の点を踏まえて、時間足は選択すべきということになり、その例として

  • 4時間足・1時間足・15分足・5分足を表示するやり方
  • 日足・4時間足・30分足・5分足を表示するやり方

の2つを紹介してみました。

いずれにせよ、各トレーダーのトレードスタイルや認知の仕方はバラバラです。「絶対にこうすべき!」というやり方は、ありません。

誰かにとって最良でも、アナタにとっては不適切だということは十分考えられます。

なので、やっぱり自分のトレードスタイルは、自分で模索し続けることが大切になるんですよ。

僕だって、絶えず模索し続けています。

まだ若かったころは、1画面に1つの時間足チャートだけを表示して、適宜切り替えながらトレードしていましたが、記憶力の衰えた今はMTFを用いる機会が多くなっています。

表示の仕方も、色々変遷しながら、今は4時間足・1時間足・15分足・5分足というMTFに落ち着いていますが、もちろん今後その時の自分に合ったよりやりやすい表示方法に変わってるかもしれません。

相場は絶えずその表情を変え、また僕らトレーダー自身も絶えず変わっていきます。常に模索し続ける姿勢は、スポーツ選手や勝負師となんら変わりはありません。

誰かのやり方をそのままマネしたら一流のトレーダーになれるなんてアホな考え方は、ぜひ止めて頂きたいと思います。

MTFにおいて使えるインジ

さて、最後におまけです。MTFを用いる際に、使っておいた方が良いインジケーターを、2つご紹介します。

複数の時間足に同時にラインを引いてくれるインジ

MTFにした場合、同じラインを複数引かなくちゃならない手間が生じます。

4時間足チャートにラインを引いても、その他の時間足チャートにラインが引かれることはないので、1時間足チャートにも同じラインを引き、分足にも同じラインを引いていく・・・という面倒な作業が付きまとうのがMTFの欠点です。

しかし、世の中は便利になったもので、1つのチャート画面にラインを引いたら、その他のチャート画面にも自動的にラインを引いてくれるインジケータというものが存在します。

いくつかあると思うので、各自が好みの物を使ったらよいと思いますが、一応僕が使っているのは

「SynchroChart_Line」

という無料インジケータです。

※こちらのページからダウンロードできます→https://www.fxnav.net/mt4navi/synchro_chart_line/

で、このインジを使う場合の設定ですが、「パラメーターの入力」タブの「同期する時間足を指定」の値を下図の様に、

「下位足限定で同期」に切り替えた方が、何かと便利です。

例えば1時間足で引いたラインが4時間足や日足などのより大きな時間足に反映されると、大きな時間足はラインでゴチャゴチャして見づらくなります。

なので、この様に設定することで、ラインを引いた時間足よりも大きな時間足にはラインが反映されず、ラインを引いた時間足よりも小さな時間足だけにラインが自動的に反映される様にすることが可能になります。

具体的に言うと、例えば4時間足・1時間足・15分足・5分足のMTFを用いてる場合、

1時間足チャートで引いたラインはそれ以下の分足全てに自動的にラインが引かれますが4時間足チャートにはラインは反映されません。

また、5分足でチャートパターンを形成した際に、5分足にパターンラインを引いたとしても、それ以上の15分足や1時間足、4時間足にはラインは引かれないため、チャートがラインで見づらくなることはありません。

MTFの場合、ライン引きをするトレーダーはこの手のインジがあるとないとでは、効率が全く違ってきますので、ぜひ導入をお勧めします。

もちろん、ラインを複数のチャートにシンクロさせるインジは他にもありますので、僕が紹介したもの以外で自分が使いやすいものがあれば、そちらを使ってください。

複数の時間足の通貨ペアを同時に変更してくれるインジ

MTFを利用する人は多くの場合、1つの通貨ペアを1つのモニターいっぱいに表示して使っていると思います。

つまり、1つのモニターには1つの通貨ペアしか表示できないわけで。

となると、例えば今見ているのがドル円で、これをユーロドルに切り替えたい場合は、MTFで表示している複数のチャートを1つ1つ、ユーロドルに切り替えていかなくちゃいけません。

面倒臭せーっ!

( ̄へ  ̄ 凸

ということで、1回のアクションで開いているチャート全てを同じ通貨ペアに一括で切り替えることができるインジを用いると、非常に便利になります。

切り替え方法は、ボタン式などインジによって色々あります。

僕は、ボタン式にするとチャート上に各通貨ペアのボタンが複数ならんでゴチャゴチャするのが嫌なので、

「all_charts_change」

という無料インジを使わせてもらっています。

※このインジのダウンロードはこちらのページから→https://www.fxnav.net/mt4navi/all_charts_change/

このインジは、通貨ペアだけでなく時間軸も一括変換できるものです。

MTFにおいては、通貨ペアのみを一括返還するので、このインジの設定は下図の様に、

「パラメーターの入力」タブから「通貨ペアを同じにする」を「true」に変更して使います。

で、通貨ペアの切り替え方ですが・・・

MT4に表示した「気配値」の通貨ペアの中から、表示したい通貨ペアをチャートのどれか1つにドラッグ&ドロップするだけです。

上の図は、MTFにおいてポンド円を表示していたものですが、図の様にユーロドルの通貨ペアをどれか1つのチャートにドラッグ&ドロップすると、下図の様に全てのチャートがユーロドルに切り替わります。

もちろん、通貨ペアの切り替え方法には一長一短があります。ボタン式の方が扱いやすいと思う方は、その手のインジを探して使ってください。

大切なのは、各自がやりやすいものを選択することです。

 

・・・とまぁ、今回はMTFにおける考え方をお話しました。

繰り返し言いますが、誰かがこうしているからといって、それがアナタにとっての絶対となるわけではありません。

もちろん、最初はどうしてよいか分からないので、ここで紹介した例を用いて使ってみるのは全然OKです。

ただ、利用している間に不自由さを感じたりしたら、新たに模索すれば良いわけですし、もっと良いアイデアが浮かんだら、積極的にそれを試してみてください。

繰り返し言いますが、各自が自分の認知の得手不得手、また自分の成長に応じて、その都度自分の最適解を模索し続けることが大切なんですよ。

それじゃあ、また。

 

トレンド転換時の思考と方法論(2)

前回は、トレンド転換時において初心者が陥りやすい思考について、お話しました。

今回は、テクニカルの面に重点を置いてお話しようと思います。

ここで解説するポンド円のトレードは、「エントリーの実際(セットアップの重要性)」で解説したトレードの続きとなります。ご覧になってない方は、予め読んでもらえると理解しやすいかと思います。

それじゃあ、始まり始まり~!

前略、トレンド転換という丘の上より

トレンドが反転する際の値動き

実際のトレード例を挙げて解説する前に、まずは頭に入れておいてもらいたことがあります。それは、トレンド転換する際の一般的な値動きのありかたについてです。

例えば上昇トレンドの場合、今まで続いていたトレンドが、あるポイントに到達した途端に一気に滝が流れるかの様にだだ下がりすることは、滅多にありません。

あるとしたら、一斉に売りを誘発するような衝撃的なニュースが突然舞い込んだとか、商い薄の中に誰かが意図的に仕掛けた場合とか、極稀な例に限られます。(仮想通貨は別)

基本、トレンドが反転する際は、レンジを挟みます。

で、仮にそれがレンジと言える程ではなくとも、上昇トレンドの場合は下がり出しても1,2回は再度上を目指しますし、下降トレンドの場合は上がり出してもやはり1,2回は再度下を試します。

これ、極めて基本的な事なので、シッカリと覚えておいてください。

こういったことも知らずに天井獲りにいくと、

  1. 自分が想定したポイントで天井獲りに売って
  2. その後下がるとウキウキワクワクして
  3. でも再度上昇する姿に顔面蒼白して
  4. 再び下がり出したらホッとして

を繰り返すことになります。

トレンド転換の物語を読もう

では、なぜトレンドがいきなり転換せずに、少なくとも1,2回は高値低値を試すのでしょうか?

値動きの本質を考えてみましょう。

上昇トレンドとは、「下がれば買われ、下がればまた買われる」を繰り返し、買い勢力が勝ち続けている事象です。

逆に下降トレンドとは、「上がれば売られ、上がればまた売られる」を繰り返し、売り勢力が勝ち続けている事象です。

トレンド転換は、この買い勢力と売り勢力の力関係が逆転する現象です。

であれば、上昇トレンドを経て価格がチャートポイントに到達した途端、売り勢力だけが売りまくって、買い勢力は全く買い上がろうとはしなくなるというのは、むしろ不自然です。

売り勢力が力を増してきたとはいえ、買い勢力は下がれば買うわけですから。

しかし、下がれば買う勢力と上がれば売る勢力の力が徐々に拮抗して、ついには逆転していくことで、トレンド転換が行われます。

この勢力争いの拮抗する場面が、長ければ長いほど、長いレンジが形成されます。

この勢力争いが短い場合でも、上昇トレンドで売り込まれたら、少なくとも1,2回は買い勢力が大きく買い上げていくのが普通です。

で、この売り込まれても再度買い上げようとする行為を、テクニカルの世界では「高値を試す」という言い方で表現するんですね。

で、直近高値を越えようと、高値を試すけれども越えきれず1度で息絶え、次に直近低値を割り込む姿を、「ダブル・トップ」と言います。2度の高値試しで息絶えるのが、「トリプル・トップ」です。

さらに言うと、1度目の高値試しでは直近高値をようやく抜きますが大きく抜けず、その直後に大きく売り込まれ、徐々に買い勢力が力を落として売り勢力が力を増す様子を4段階で見せているのが、「三尊(ヘッド・アンド・ショルダー)」なんですね。

なので、トレードを学習する際に、反転パターンを覚えておくのは非常に得策です。パターンを知っていると、相場でのポイントを手早く見つけることが可能になります。

ただ問題なのは、パターンだけを見様見真似に知るだけで、なぜその様なパターンを値動きが形成するのかという理由を知らないと、痛い目にあったりするので注意が必要です。

以前、「反転確認(ダウ理論編その1)」でもお話しましたが、三尊でないものを形だけで三尊だと判断し、「三尊のダマシ」とか言ってる人って、この界隈では結構多いんですよ。

ですから大切なのは、値動きによって描かれる「物語」をチャートから読み取ることです。

「今まで綺麗に上昇トレンドを描いてきたのに、チャートポイントに到達したら大きく売り込まれた。でも、このポイントで買い方が大きく巻き返してきたなぁ・・・。あ、でも直近高値に届く前にまた売り方が大きく売り下げてきたぞ。う~ん・・・。おっ、前回買い方が巻き返したポイントの低値を、ついに売り方が破ってさらに値を下げてきた。勢力争いに決着がついたぞ!」

ってな感じで。

相場が描く波を見ながら、売り方と買い方の戦国物語を読み取っていくことで、僕らはその勝敗を知ることが出来るんですよ。

チャートを見る時は、そんな視点で値動きが織りなす物語を読み取っていく練習をしてみましょう。きっとチャートを見ることが、今まで以上に楽しくなるはずです。

実際のトレードを用いて解説

さて、ここからは実際のトレードを例に用いて、トレンド展開時の考え方やトレードのやり方を解説していくとしましょう。

用いるのは冒頭でもお話した様に、前々回の「エントリーの実際(セットアップの重要性)」で解説したトレードの続きとなります。

それでは、行ってみましょう!

フラクタル構造を理解しよう

下図は、以前解説したポンド円15分足チャートです。

この時のトレードから時間が経っていますから、皆さんご存知の通り、この後も下降トレンドを描きながら相場は下がり続けていきます。

で、トレンド転換に関して僕はここで、分足や1時間足を用いながら解説します。

が、相場はフラクタル構造です。この相場を日足の様な大きな時間軸で見た場合、

ということで、まだトレンドは継続中です。

「今、調整レンジに入ってるのかなぁ?でも、それにしてはこの値動き大きいぞ。う~ん・・・でも高値は止められても低値は切り上げ続けてるから、レンジだとしても下げ切れずに再度上昇していきそうだけど・・・う~ん・・・」

といたレベルの印象でしかなく、トレンド転換には全く至っていません。

なので、ここで解説するのはもっと短い時間軸の中でのトレンド転換についてです。このことは、忘れずにおいてください。

順張り思考の逆張りトレード

もう1度、ポンド円15分足のチャートを見てみましょう。

前々回は、上の赤い丸のところで売りエントリーし、下の赤丸のところでエグジットしたんでしたね。エントリーについては、既に解説済みです。

で、僕はなぜここでエグジットしたのでしょうか?

まずは、それについてお話します。分かりやすい様に、1時間足に切り替えて話を進めていきますね。

まず上昇トレンドの場合、そのトレード方針はトレンド方向への買いエントリー、つまり順張りが原則です。

以前もお話しましたが、ダウ理論ではトレンドが否定されるまではそのトレンドが継続すると判断します。

なので、今回のポンド円のこの上昇トレンドは、確かに大きな時間軸のレベルでは重要なチャートポイントに到達しましたが、上図の段階ではトレンドがまだ否定されていませんから、順張り目線でいくことが大切です。

つまり、この段階でも上昇トレンドが否定されていないのであれば、押し目を付けて反転上昇したところを買っていくのが、基本方針なんですね。

ただし・・・

トレードの腕が上達してくると、一旦押し目をつける際の調整波を狙って、その下降する一波を獲りに行ったり出来る様になります。

で、今回はこの下降する一波(青色の矢印)を獲りに行ったわけなんですよ。

この下降がズルズルと更に下までダダ下がりするなんてことは、順張り思考の観点からも、また先ほどお話したトレンド転換時にはレンジを挟みやすいという観点からも、全く考えちゃいないわけです。

そして、下降する調整波は最初の目標値に達したわけです。ここでサクッと利確しました。だって上昇トレンドは否定されてないわけですから、直ぐに上昇し出すリスクがあるんだもん。

ただ、ここで利確したのには、もう1つ理由があります。

それは、「時間」です。

この時は確か夕方の5時前だったと思います。つまり、欧州時間が既に始まっているわけです。欧州時間では、今までの流れを否定してくる様な値動きになるのは珍しくありません。

つまり、この後全戻しされる可能性だってあるわけなんですよ。

なので、サクッと獲って、再び上昇し出すのを待つのが、最もリスクの少ない方法です。

で、上昇トレンドの順張りトレードであれば、押し目を付けた後に再度上昇し出すポイントを狙って買いエントリーするのがセオリーです。

この後は、上に向かう波が発生するのを待ち構えてエントリーすることになります。

が、しかし・・・

実のところ僕は、このエグジットの後はトレードすることから離れて、別のことをやり出してました。

なぜか?

正直言うと、とりあえず今日は獲っちゃったんで「

もういっかな」

なんて感じだったんですよ。立て続けにトレードするのって、結構疲れますからね。例えそれが、ながらトレードだったとしてもね。

(* ̄∇ ̄*)ゞ テヘッ♪

とは言え、「もういっかな」と思ったのには、別の理由があります。

そう、大切な理由が・・・

そして、それは「波動」です。

BOZ流波動論、再び

先ほどの1時間足のチャートを見て、何か気づきませんでしたか?

このブログの常連さんなら、

「この下降する波動、V字で回復する前の調整波じゃないな」

と気付いたかもしれません。

ただ、BOZ流波動論に関してはその一部しか解説してませんから、もうここで少し解説をしておきますね。

BOZ流波動論を知らない方は、「これがBOZ流!BOZ波動論(1)」を参照してください。

推進波である緑色の矢印で示した波が、B波。それに対して調整する下降波(青色の矢印)の波動の強さを見比べてください。下降波は単なる調整波にしては波動が強いです。

ということは、この下降波はO-2波です。つまり、この後に続くZ波はV字回復して発生する推進波にはならない、ということが想定できるわけです。

図で次の展開の想定を表すなら、

仮に上昇トレンドが継続するにしても、V字回復せずに調整レンジに一旦入る可能性が強いわけです。もちろん、調整レンジとは上図で描いた平行レンジとは限りません。上昇フラッグや三角保ち合いを形成するかもしれません。

また、O波の強さから、上昇トレンドが継続しない可能性も出てきました。なぜなら、B波と比較してもこのO波は、かなり強い波動だからです。

また、前々回説明した様に、O波が発生する前の上昇B波はその直前で波動が弱まってきていました。

さらにここは週足レベルの強いチャートポイント。

であれば、トレンドが反転する展開のシナリオも想定できます。

  • ①の様に、直近高値は届かずに、そのまま下降トレンドを形成してしまう場合
  • ②や③の様に、ダブルトップやトリプルトップを形成するなど、一旦レンジを挟んでから下落を始める場合

もちろん、どの様なレンジになるのかまでは、この段階では分かりませんよ。

ただ、いずれのシナリオにせよ、

ここからV字回復して大きく上昇する推進波が発生する可能性は低く、虎視眈々と買いエントリーのタイミングを狙ったとしても、旨味が薄いわけで。

それどころか、買いエントリーしたら、いつ強い売りが出て叩き落とされるか分からない状況です。ずっとチャートを監視し続けてないと、落ち着かないわけですよ。

そんなの疲れるじゃん。せっかくの休日なんだから、時間は有効に使いたいよ~。

(* ̄∇ ̄*)ゞ テヘッ♪

ということで、僕はトレードを止めて、一旦チャートから離れたわけなんですね。

次の波動を獲りに行く

さて、その後の展開を見てみましょうか。午前0時の辺りの1時間チャート図がこれです。

想定した通りに、上昇していますね。下から買っておいたら、たいしたストレスもなく十分獲れた値幅まで上昇していました。

「あー、トレードしとけば良かったかな」

そんなセリフは、後の祭りです。

一応、参考のために「買うとしら」の解説をしておきましょうか。下図は15分足です。

 

それほど面倒な局面ではありませんね。

切下げラインを引いてそこをブレイクしたところは、ちょうど20SMAを上抜き、また下支えられたところでもありますから、たいしてストレスなくインできたかと。

そのタイミングを逃しても、低値切上げのダブルボトムを形成してから、そのネックライン越えでエントリーです。こちらも200SMAをブレイクした後に下支えられている状況でしたね。

この辺りの局面は、テクニカル・トレーダーにとっては、何かと状況を掴みやすい展開だったと思います。

図には示していませんが、オシレーター使いの人でも、4時間足、1時間足、15分足、5分足共に反転示唆は明確な場面でしたので、きちんとした腕があれば確実に獲れていた場面です。

こういった自分が得意とするテクニカルにおいて、「分かりやすい局面」というのは、出来れば積極的に獲りに行った方が良いです。(僕は遊んでましたが)

獲れる時、つまり根拠強めな時はガンガン攻めて、根拠が薄く迷いがある時は極力トレードしないという心構えが、大切なんじゃないかと。

巷では「安定的な収益」とか言って商売している自称凄腕トレーダーが蔓延ってますが、トレードに安定性を求める方が、むしろどうかしています。

勝負の世界は、良い時もあれば悪い時だってあるのが当たり前です。そんな世界で「安定性」とか求める人間は、そもそもこの世界には向いていないか、全くの見当違いでこの世界に足を踏み入れています。

安定性が欲しいなら、公務員か何かを目指すべきじゃないでしょうか?

さて、もう一度先ほどの1時間足に戻りましょう。

今はちょうど一番上の水平線(週足・日足レベルでのチャートポイント)で止められているところです。

BOZ波動論での判断では、このまま水平線を上抜いていくことはないとの判断でした。ここからレンジ、もしくは下降トレンドを形成するための値動きに入っていくであろうと。

つまり、ここからは価格は下に向かう。

しかもこの時間は、米国時間真っ只中です。値幅を十分に獲れる値動きをしてくれる期待大です。

ということで、売りエントリーの準備です。

先ほども言いましたが、この辺りはテクニカル的に分かりやすい局面です(もちろん、人にもよりますが)。なので、次の展開を見て売りエントリーを仕掛けるのは、それほど難しい話ではありません。

 

と言いたいところなんですが、

 

実は僕、たまの休日を謳歌し過ぎて、この時間もチャート見てませんでした。

(* ̄∇ ̄*)ゞ テヘッ♪

思い出して、慌ててチャートを覗いたのは、午前1時頃。その時の1時間足が下図です。

前の足を陰線の実体で被せてきました。もう売り一択です。出来れば、分足を見ながらもっと早いタイミングで入りたかった・・・というの正直な感想です。

しかし、僕はもう寝る時間です。エントリーは諦めて、次の機会を狙うことにします。

今度こそ、獲りに行く

では、次の展開を15分足チャートで見ていきましょう。一気に先に進みますよ。

非常に分かりやすい展開です。恐らく5分足でトリガー引いた方がやりやすい人の方が多いとは思いますが、解説の都合上、15分足でお話しますね。

翌朝からは、この下降する流れに何度も乗るチャンスがありました。赤丸がそのポイントです。上から順に簡単に説明すると、

  • アセンディング・トライアングル(本来は上に抜けやすい)と、それと同じ軌道にある200SMAを下抜けたポイントA
  • 下降フラッグを形成し上昇し、フィボナッチ・リトレースメント(以下FR)50%及びトライアングル低値に到達確認後の反転したポイントB
  • 下降フラッグを下抜けたポイントC
  • FR50%戻しから反転したポイントD

ただし、ポイントDには注意です。

このポイントDは、重要な水平線(前回僕が利確したポイント)で跳ね返されたものです。そして事前に建てたシナリオでは、この水平線を下値にレンジを形成する可能性を想定していましたよね。

ですから、ポイントDで売りを仕掛けるのはNGなんですよ。

仮にA~Cのポイントで売っていたら、この水平線で一旦利確するか、もしくはレンジになるのか下降が継続するのかを様子を見ながら、いつでも逃げる準備をしておくことが必要になります。

で、何だかんだ言ってますが、実際の僕は朝から仕事でチャートすら見れなかったため、AからCまでのポイントでは入ることが出来ませんでした。

実際にチャートを見れたのが、夜の8時過ぎです。僕が実際にエントリーできたのは、ポイントEとFになります。

ポイントEは、とてもエントリーしやすい局面でした。重要な水平線を抜けた後、直前の下降波からFR61.8%まで戻した直後に再び水平線下まで押し戻されています。迷わずインできました。

で、ここからの下降波から、直近低値レジサポとFR50%が重なるポイントに到達して反転が確認できたFで玉の上乗せです。

利確したのはちょうど日付が変わる頃。重要なポイントとなる水平線に到達したと同時に利確です(青丸)。

ついでなんで、移動平均線を表示した15分足も載せておきますね。青色が20SMA、緑色が75SMA、赤色は200SMAです。

先ほどライン引いて解説したチャートと見比べてみて下さい。トリガーとなるポイントがMAにおいても重なっている箇所が多いので、より強い根拠でエントリー出来たのが分かると思います。

では、ここまでの軌跡を1時間足で振り返っておきましょう。

上図ラインAは、週足レベルで前回高値をつけた重要なポイントです。

このラインに向かって強く上昇してきたわけですが、このラインに到達する辺りから、高値の更新が鈍ってきました。

この波動①を見て、反転する可能性を見つつも、上昇トレンドはまだ否定されていないので、あくまで目線は上に固定しておきます。

①の波から反転するのを確認したら、あくまでこの段階では「上昇トレンド中に下降する調整波」を獲りに行くとして、売りを建て、欲張らずに利確します。これが②の波での判断ですね。

次に②の波動を見て、トレンドをV字回復する際の調整1波ではないと判断。この後の展開は、

  • 上昇トレンドを継続するにしても、調整レンジを形成する
  • 一旦高値を目指すが、レンジ形成もせずに反転下落が始まる
  • レンジ形成後に下方ブレイクして大きな反転下降が始まる

になるであろうと想定。

少なくとも一旦は上に上昇すると判断しているので(実際の僕はこの後トレードしませんでしたが)、この上昇する③の波を獲りに行くことが可能でした。

③の波は、上昇トレンドを継続させる推進波にはならないと判断しているので、③が高値をつけた後は、売りのセットアップです。レンジの可能性を考えて利確するポイントは水平線Cに設定します。

その後、水平線Cを下方ブレイクしたのを確認して、売りで⑤の波を獲りに行きます。Cをブレイクしたことでダブル・トップの完成でもあります。水平線Dは次のチャートポイントになるので、ここでサクッと利確するのが賢明な選択です。

さて、反転していく状況の解説はここまでにしておきましょう。次回は・・・

と思ってたんですが、ちょっとおまけで次の展開もお話しておきましょうか。

実はこの後の僕は、仕事尽くめの予定だったんですが、週明けの13日月曜日は体調を崩してしまったので、大事をとって仕事をお休みしてたんですね。

で、頭ボ~ッとしながらチャートを横目でチラ見してたら、こんな感じになってたんですよ。

只今、下降フラッグ絶賛形成中。

なので、5分足に切り替えて、様子を伺うことに。すると・・・

チャネルを上にブレイクした時は一瞬、

「あれ?」

と思ったんですが、まぁ時間的に商い薄でしょうし、

「オーバーシュートかな?」

ということで様子を見ていたら、案の定チャネル内部に価格が戻っていったんですね。

「そろそろかな」

ということで、トリガーを引く準備。

まずは最初の赤丸のポイントで売りエントリー。

チャネルをブレイクするどころかチャネル上部での売りエントリーですが、今のチャネルが下降フラッグだと判断しているため、この後は下にブレイクするというシナリオです。仮にブレイクできなくとも、薄利で逃げることが可能な位置です。

で、無事に下降フラッグを下抜けた後は、水平線もブレイク。その後にもう一度水平線を試しに上昇しますが、ロールリバーサルしましたね。ここで玉乗せです。

利確目標ですが・・・

この調整レンジであるチャネルは、今までの分足での調整波に比べ、かなり大きいのが分かると思います。

こういった場合は、分足ではなく、もっと上の波に対する調整になるため、分足では判断しません。

で、今回は1時間足で判断しました。

上の時間軸やら何やらで水平線を引いてみたり、斜めラインを引いてみたり、フィボナッチ・リトレースメントやらフィボナッチ・エクスパンションやらを駆使してみたんですが・・・

上図青いラインの価格が濃厚かなと判断。長丁場になる可能性も考慮し、青ラインの少し上に指値を。結果的には、そこでエグジットになりました。ドンピシャとはいきませんでしたけどね。

 

さて、今回のお話はここまでにしておきましょう。トレンド転換時にどの様に考え、どの様にテクニカルを用いるかを、実例をもとに解説してみました。

このブログの常連さんならご存知の通り、ここで解説したトレードは、今まで僕がお話しているテクニカルを使ってトレードしているに過ぎません。

秘密の手法など、どこにも登場してませんよ。

大切なのは、基本的な事柄をいかに有機的に結び付けて、実際のトレードに活かせるかどうかです。

今まで僕がお話してきたテクニカルを実際のトレードに用いるとしたら、こんな感じになるんだよ、ってことが皆さんに伝わったなら、これ幸いです。

知っただけの知識が、生きた知恵、使いこなせる技術になるまで昇華できる様、皆さん、日々の検証と練習に励んでください。

それじゃあ、また。

 

トレンド転換時の思考と方法論(1)

さて今回のお話は、トレンド転換についてです。

トレンドが反転する際に、どの様な思考でどの様にトレードしていくべきかをお話しようと思います。

ただ、いつものごとく書き出したら長くなりすぎちゃったんですよねぇ・・・

ということで、この「トレンド転換時の思考と方法論」も数回に分けてお話していくことになります。

まずは、トレンド転換時において初心者が陥りがちな思考(というか嗜好)について、メスを入れていくことから始めていこうと思います。

それでは、始まり始まり~!

天底だとか、頭と尻尾だとか

前回、ポンド円を解説する際にあげた日足チャートが以下の図です。

そして、6月16日朝の段階の日足は、こんな感じになってます。

で、僕は先日、ネット上で上図赤丸の辺りで売ってドヤっている人を見かけました。

まぁこれに限った話じゃありませんが、この界隈では天底を獲ってドヤ顔する自称凄腕トレーダーや、そんな彼らを「凄~い!」とか言って褒め称えてみたりという光景が、珍しくありません。

 

えっと、皆さん初心者か何かなんですかね?

 

天底を獲りたいとか、波一辺の頭から尻尾まで頂きたいとか、そういった発想って、トレードにとっては邪魔な概念でしかないんですよ。

なぜかって?

だって、トレードの本質は、それとは無縁のところにあるからです。

なぜ天底獲り願望がダメなのか?

例えばこんなチャートがあったとします。ゴールドの5分足です。

で、例えば上図の赤丸で売ったことを勝ち誇っているトレーダーがいたとしたら、アナタはどう思うでしょうか?

僕には、そんな人の心の裏側が透けて見えて、思わず笑ってしまいたくなります。

このチャートの上部には、1本のラインが引いてありますよね?

そのラインは、ここがチャートポイントになる可能性があると思っていたので、僕が予め引いておいたものです。

ただ、じゃあ僕はこの赤丸のポイントで売るのでしょうか?

もちろん、ここはチャートポイントですから、少なくとも一旦は売りが入るだろうと想定するのは、正しい判断です。なので、反発(反転ではない)を狙ってスキャルピングで売りを仕掛けるなら、それはトレードとして正しい選択です。

で、スキャで即逃げするつもりで一部を利食い、残りを持ったまま様子を見ていたら、たいしたストレスもなく順調に下げていった・・・ラッキー!

そう、それならば単にそれは、幸運だっただけの話です。分析の結果でも、秘密の手法のおかげでもありません。

しかし、もう一度チャートを見てください。

上図の赤い丸で売って、チャート右下まで下げているという事実をドヤ顔するのであれば、そもそもデイトレかスイング・トレードで入ってるはずです。

では、赤い丸のポイントで、相場が反発ではなく反転するという根拠はどこにあるんでしょう?

 

ないんですよ。
ないんです。

 

価格が赤い丸のポイントに到達した時点で、反発する根拠はあっても、反転するという根拠は、どこにもありません。

もっと言えば、相場が反転するというサインどころか、相場が継続して上昇するというサインすら出てないんですよ。

あるのはただ、チャートポイントに到達したという、その事実だけです。

チャートポイントとは

そもそもチャートポイントとは、多くの市場参加者、特に力のある参加者たちから注目されているであろうポイントのことを言います。

で、注目しているのは、そのポイント(もしくはその周辺)で売ろうと思っている勢力だけではありません。そのポイント(もしくはその周辺)を越えていこうとする買い勢力も、同様に注目しています。

なので、チャートポイントは、売り買いが交錯するポイントでもあるわけです。

で、売り手が圧勝すればすんなり反転しますし、買い手が圧勝すればすんなりとそのポイントを抜けていきます。

ただ多くの場合は、売り買いが拮抗します。その勢力争いが短ければ、少し小さく揉み合ったくらいで勝敗が決まりますし、勢力争いが大きく激しければ激しいほど、価格の揉み合いは長く大きくなるわけです。

で、そんなポイントが「チャートポイント」なんですね。

チャートポイントに価格が到達すれば、単純に反転すると勘違いしている人って、結構いると思います。その点を間違わない様にしてください。

僕らトレーダーはスネ夫でしかない

僕ら個人トレーダーに、相場を動かす力はありません。巨大なファンドや実需筋に立ち向かって勝てる資金など、ありませんからね。

僕らは、決してジャイアンにはなれないんですよ。

そして、のび太の様にドラえもんに頼んでジャイアンを打ち負かす特別な道具を使うこともできませんし、タイムマシーンに乗ってジャイアンがどちらに向かうかを知ることも出来ません。

僕らが出来ることといったら、力づくで方向性を決定するジャイアンに足並みを揃え続けるスネ夫になることだけです。

そう、僕ら個人トレーダーが相場の世界で生き残る道は、スネ夫戦略一択なんです。

チャートポイントに到達し、そこで買い方が勝ったのであれば、買い方についていく。売り方が勝ったのであれば、売り方についていく。

僕らスネ夫軍団は、「どちらが勝ったのか?」という【事実】ただそれだけを頼りに、進む道を決めるのです。

そして、それが僕ら個人トレーダーとしての本質です。

予想は止そう

では、そんなチャートポイントで勢力争いの決着を見ずに、即売ったり買ったりしてしまうのはなぜなんでしょう?

結果すら出ていない上図赤い丸のポイントで売ってしまったのは、なぜなんでしょうか?

それはね、

「そのポイントで反転するだろう」

という「予測」や「予想」をしていたからです。

だから、反転する事実もないのに、売ってしまってるんです。

しかし、なぜそこで反転すると思ったのでしょうか?

そのポイントで、どんなファンドがどのくらいの資金で売りを入れ、どんな実需筋がトータルでどの程度の売りを建てていたのか?

そのポイントで、どんなファンドがどのくらいの資金で買いを入れ、どんな実需筋がトータルでどの程度の買いを建てていたのか?

それらを全て把握したうえで売り方が勝つと予め分かっている人など、世界中を探してもほぼ見つかりません。

にもかかわらず、なぜそこで反転するとして売ったのか?

「俺がチャートを分析して割り出したチャートポイントはここだ。このポイントで反転するぞ、するぞ」

そんな風に、勝手に予測や予想を立てて、それを実行したからなんですよ。

しかし、それは予測や予想という名前の、単なる自分勝手な妄想にしか過ぎません。

だって、根拠がないんだもん。

もちろん、様々なテクニカルやファンダメンタルズを駆使することによって、そこで反転する可能性を導き出すことは可能かもしれません。

しかし、それは単に可能性でしかなく、言ってしまえば確率論です。

もちろん、僕らトレーダーは確率思考の中で進む道を決めているんですから、確率論が悪いと言っているわけじゃありません。ただ、

「確率的に優秀なサインが出たから売った」

のであれば、それは常日頃の出来事でしかないんですから、別にドヤる必要なんてどこにもないじゃないですか。淡々と売れば良いだけです。

むしろ確率の高いシグナルを珍しく外した方が、サプライズですよね。予測を外してしまったという珍しい方をネット上に晒して驚いていることの方が、自然な態度なんじゃないですかね?

 

でも、しないんですよねぇ・・・

なぜでしょ?

 

答えは簡単です。

天井を獲るのが珍しいこと、貴重な事だと、本人が思っているからです。そして、自分だけではなく界隈の人たちも、そう思っていると判断しているからです。

もし仮に僕が、自称凄腕トレーダーとなって皆さんを騙し、高額商材やらサロンなどに誘い込もうとしたら、どうすると思います?

例えば僕なら、

上図赤いポイントで、スキャルピングとして売り、ドキドキしながら様子を見ているうちに順調に下げ出しても、自分の運を喜ぶ姿は隠しておきます。そして、皆さんに対しては、

「僕の手法を知ったら、誰でも同じようなことできますよ」

ってな感じのドヤ顔で、チャート履歴を公開します。

もちろん、そこで売ったのに上昇してしまったのであれば、損切りした事実など公表しませんし、もし先出しで売ることを公表していたのであれば、そんな事実はなかったことにするか、「資金管理」やら「確率論」を持ち出して誤魔化します。

もしくは、上図赤丸で両建てします。で、順調に下げ出したのであれば、買った方を損切りし、売った方のチャートと履歴を自分の実力の証拠として公開します。

 

なんだ、簡単じゃん。欲ボケした人間を騙すのなんて。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

 

まぁ、詐欺るつもりは毛頭なくとも、自己承認欲求を満たすために、たまに運よく天底獲ったりしたら、ネット上に公開するしたりすることは、人によってはあるかもしれませんね。

ただ、本当にトレーダーとして一人前になりたいのであれば、そういった行動はむしろ逆効果の様に思えてしまうんですが・・・

 

すみません。ちょっと、話がそれました。

僕らトレーダーがやらなければいけないことは、予測や予想をすることではありません。勝敗の結果を見て、その事実についていくのが、トレーダーの仕事です。

「予想は止そう」

そんなダジャレが、この相場で生きる人々にとっては格言であり、一人前のトレーダーを目指す僕らにとっては欠かすことのできない大切な言葉です。

トレーダーは「想定」する

予想も予測もダメ。

しかし僕らテクニカル・トレーダーは、価格が相場を辿った過去の道標から未来を判断して売買を行ないます。

なのに、予想も予測もダメってどういうこと?僕らがやっていることって、予想でもなく予測でもなかったら、一体何?何なの?

そんな言葉の定義について、以前ちゅぱ太郎@さーふさん(@SSSURFFF)というエロい人と話していた時に、みぎさん(@miggy_star)というこれまたエロい人から教えてもらったのが、

「想定」

という言葉でした。

僕らトレーダーは、過去の値動きを道標として、現在から未来への価格をトレードします。

しかし、その際に僕らがすることって、

「このまま上がるのであれば、こうしよう。もし下がるとしたら、こうしよう。しかしレンジになったら・・・」

ってな感じで、様々なシチュエーションを考慮(シナリオ作り)しながら、事実と向き合うわけけす。

つまり、そういった未来を考える行為って、予想でも予測でもなく、「想定」なんですね。

うん、それって大事。

僕らトレーダーの仕事とは、過去の道程から未来を想定し、そして事実と向き合うことなんですよ。

そしてそれが、トレーダーとしての本懐です。

事実と向き合うとは

では、事実と向き合うというのは、実際どういうことなんでしょうか?

要するに、相場が反転するなら、「反転した」というサインをチャートから受け取ってから、売買を行なうということです。

このサインというのが、僕がこのブログで何度も言っている「反転確認」です。

反転確認とは、売り方と買い方の勢力の優劣が逆転したことを確認する作業です。

もちろん、その反転確認という作業は、その人が身に着けたテクニカルの種類や腕前によって、人それぞれ違ってきます。

例えばライン・トレーダーであれば、先ほどのゴールド5分足チャートなら、こんな風にトレードしたりします。

上図の様な赤い丸のポイントで、淡々と売っていけば良いわけです。

仮にこのブログでライン引きを勉強している人であれば、ここに引いた斜めラインは、相場の規則性と勢いを表す「クシ」と一致していますから、より強い根拠として売って売って売りまくることが可能になるわけです。

しかし、天井獲ってドヤってる人って、「天井で売ってここまで下げましたよ」とは言いますが、上図の様にその途中で売りまくるポイントは沢山あっても、そこには全く触れなかったりします。

天井獲って喜んでるだけで、一体何をやってるんでしょ?初心者感、丸出しです。

で、上図はライントレードの一例でした。

では、今度はそれがMAトレーダーなら、どう振る舞うでしょう?

同じMAトレーダーでも、用いるMAの種類や期間、またトリガーの引き方は人それぞれですが、まぁ例えば僕ならこんな感じになります。

同じく、事実をもとに淡々と売っていくだけです。

で、余談ですが、ライントレードもMAトレードも、見比べて見ると、結果としては似た様なところでエントリーすることになります。面白いですよねぇ、トレードって。

まぁ、なんだかんだ言いましたが、結局のところ僕らトレーダーは、天底を当てて喜ぶのが仕事なわけじゃないんですよ。

自分が学び検証と練習を重ねることで得たテクニカルの技術によって、勢力争いに決着がついたポイントを見つけ、その事実に基づいて売買を行なうことが、トレーダーとしての仕事です。

 

さて、話が長くなってしまいましたので、今日はこの辺でお終いにします。今回は、トレンド転換時に対する基本的な考え方についてお話しました。

次回は、前回に解説したポンド円のトレード例の続きを用いながら、テクニカルの部分のお話をしていきます。前回のお話を読んでない人は、「エントリーの実際(セットアップの重要性)」を読んでおいてください。

それじゃあ、また。