エントリーポイントの狙い方(2)

今回は、エントリーポイントの狙い方の第2弾です。

ずっと不思議でした。

というか、

古典的かつ基本的な事なのに誰も言わない。
みんな知ってるはずなのに誰も気づかない。
だから、誰も使わない。

というお話です。

いや、本当は気づいている人、いると思うんですけど、やっぱ言ってないだけなのかな。

誰も言わないから、僕は気づくのに結構時間かかったんですけど。

ということで、今日はそんなお話。

「何のこっちゃ?」

って、これだけじゃ分からないかもしれませんが、とにかく始まり始まり~!

軌道を見るんだよ

下の図は、ゴールドの15分足チャートです。(今さっき保存した画像なので、その後から使う画像は値動きが進んでるかもしれませんが、ご了承ください。)

まぁ、こんなラインなら、少し練習しただけで誰でも引けますし、誰でも引けるこのラインはとっても重要です。

が、今回は、エントリーポイントのお話です。

ラインを引こうが、どんなインジを使おうが、皆さんチャートに向き合いながら、

「エントリーポイントはどこだろう?」

と、色々と判断していくと思います。

しかし、その際に最も要大切なのは、

値動きを見る

ということだと思うんですよね。トレードを始めて20年以上経ちますが、それは日増しに強く思うことです。

で、今回はその値動きの中でも、

価格推移の軌道を見る

ということに、絞って解説していきます。

温故知新

じゃあ、もう1度、先ほどのチャートを見てみましょうか。

このチャートを見ながら、値動きの軌道を見ていくわけですが・・・

値動きの軌道ってどういうこと?

って人、多いかもしれませんね。軽く説明します。

価格は一直線に進むことは、滅多にありません。上図では、急上昇の場面があり、一直線に進んで見える箇所もありますが、1分足で見ると流石に多少のジグザグが確認できます。

で、ジグザグに動くということは、

という風に、価格は推移するということです。当たり前すぎで、馬鹿にしてると思っちゃったらゴメンなさい。

で、この価格推移には、往々にしてある種の規則性が生まれます。

例えば、上図の場合は、以下の様な感じになるわけで。

チャネルですね。

で、チャネルとは、「水道管」という意味です。

水道管の中を流れる水を値動きに例えたわけで、値動きはこのチャネルという名の水道管の中を上下にぶつかりながら移動していくわけです。

ただ、ここで注意してほしいんですが、ここ数年、この「チャネル」の意味を変質して使っている傾向があります。

平行に引ける斜め線を相場環境を把握するために用いるやり方の様で、それはそれで高度な理論展開がされている様なので、時間があればむしろ僕は積極的に勉強したいところなんですが、

その様なロジックの場合は、本来の意味での「チャネル」とは、ちょっと違うと僕は思っていて、僕の言う「チャネル」は、昔から教科書で説明されている意味でのパターンとしての「チャネル」なので、誤解しないでください。

で、このチャネル自体が、価格推移の軌道を表します。

 

でね、

 

価格の推移を見る時は、チャネルで見る様にします。

どういうことかというと・・・

大きなチャネルの中を、小さなチャネルがジグザグを描きながら、いくつも作られているのが分かりますよね。

こんな感じで価格は、チャネルの中を推移しながら、値動きを形成していってるわけです。本来チャネルとは、価格の軌道範囲をパターン化して表すためのモノなんですよ。

つまり、チャネルとは価格軌道そのものなんです。

ですから、このチャネルを見て、エントリーポイントを狙えば良いだけです。

上図15分足だとタイミングがとりづらいので、基本的に1分足か5分足を使います。

今回は5分足で見てみましょうか。下図がそれです。

肝心な引き方ですが・・・

引き方は、アバウトで良いんですよ。
大体の軌道予測をするために用いるだけですから。

ピタで捉えるつもりでラインを引いても良いですが、ピタで止まることは期待しないでください。越えてから戻ってくるのは当たり前、届かなくて反転するのも当たり前のつもりで、引いたチャネルはアバウトに値動きを見ます。

で、例えばですが、

大きなチャネルにぶち当たって反転している青い丸の辺りで売りのポジション持てたら理想的ですが、その時にチャート見れてるわけじゃないですよね。

なのでチャートを見た時に、既に出遅れていたら、この価格推移の軌道となるチャネルが引けるまで、待ちます。

具体的に言うと、理想的には高値安値を2点付けたところ、最低でも高値か安値に2点、その逆の安値か高値に1点つけるまでは、チャネルは引けませんから、そこまで待つということになります。

で、待っていると、上図に引いたようなチャネルは引けるわけですよね。

そして、今現在は価格が下落している最中ですから、チャネル上限のライン付近に価格が来るまで待つわけです。

はい、価格はチャネル上限に達してそこで止められています。上ヒゲをつけた小さなロウソク足が2本並んでますよね。

反転を確認してエントリーするなら、この2本の小さなロウソク足の低値をブレイクした時点です。

「それでも自信がねーよ」

って人は、オシレーターを活用します。

上図で使ってるのはストキャス(設定は9-3-3)ですが

ほら、高値圏から反転しかかってますよね。

ということで、ロウソク足の低値ブレイクとオシレーターのデットクロスを見た瞬間にエントリーしちゃえば良いわけです。

で、結果は・・・

赤い丸で売ったことになりますが、スキャルなら小さなチャネルの下限にタッチしたところ(緑丸)で利確しても良いですし、大きなチャネルにタッチしたところ(青丸)で利確してもOKです。

後付けで見ると、粘ってオレンジ色にタッチで利確というのは、大きな2重チャネルの外側の下限ラインタッチになっていて理想的ですが、この外側のチャネルラインはこのオレンジ色の箇所のタッチがなければ引くことは出来ない後付けラインです。

なので、小さなチャネルでのオレンジ丸でのタッチと理解してください。

では、もう1度、隠していた部分をオープンにしたチャートを見てみてみましょうか。

ここから先は逐一解説するのは面倒なので、各自が確認してみて下さい。

チャネルで価格推移の軌道を把握すれば、自ずとエントリーポイントが見えてくることが分かると思います。

チャネルのライン付近で反転するかブレイクするかを見れば良いだけなんですよ。反転したら反転した方向に、ブレイクしたらブレイクした方向に付いていけば良いだけです。

値動きを予測するんじゃなくて、値動きについていくというのは、このことなんです。

で、この方法でエントリーポイントを狙う際の大きな利点は、

チャネルが引けるまでエントリーが待てる

ということです。チャネルが引けないと、エントリー出来ないんですからね、このやり方だと。

ですから、中途半端なところでエントリーしたり、値動きを後追いして高値掴み低値掴みをすることが少なくなるどころか、

今現時点で最も高いところで売り、最も低いところで買うことが、やりやすくなるわけです。

しかも、簡単だし。

プライスアクションに自信がなくとも、チャネルライン際でオシレーターの反転を活用すれば良いんです。

以前にも言いましたが、オシレーターはダマシが割とありますが、きちんとしたチャートポイントではダマシが少なくなりますしね。

で、これを読んだ僕のブログの読者さんは、試しに何度もチャートにラインを引いて練習してみて下さい。

比較的容易に出来ると思います。

ただ大切なのは、先にも言いましたし、このブログでは何度も言ってますが、

ラインはピタで止まる代物だとは思わないこと

ですからね。

ラインを引くというのは、ライン際での攻防を見極めるために引くものですから。

パターンはチャネルだけじゃない

しかし、ここでもう1つ大切なポイントがあります。

それは、この様にチャネルをリアルタイムで引いていくと、

  • いくつものチャネルラインが引ける感じになってゴチャゴチャしてきている
  • 効きそうだと思って引いたけど、効いてないっぽいラインが複数引けてしまった

という局面に直面すると思うんですよ。例えば、ちょうどこんな場面。

で、こういった時はどうするか?

いや、、これは困った状態ではなく、むしろチャンスなんです。

実はチャネルというのは、一定方向に価格が推移する軌道を表している状態に過ぎません。

一定方向に価格が推移しない状態、つまり「保ち合い」になるとチャネルラインは引けないんですよ。

ということは・・・

そう、保ち合いを表す別のパターンラインが引ける様になるわけです。

つか、リアルタイムでは、

  • 引いたチャネルが機能しなくなった
  • 複数のチャネルが交錯してゴチャゴチャしてきた

そんな場合は、保ち合いに移行したと考えて、保ち合いのパターンを表すラインが引けるまで待つようにします。

上図の場合で言えば、まずはゴチャゴチャし出したラインを消して、別のパターンが出来るまで待つわけです。

すると、こんな感じになってきます。

高値が切り下がり、低値は一定を保った保ち合いパターンですね。

じゃあ、これをどちらかにブレイクすのを待てば良いわけです。

で、待ったおかげで、

はい、美味しく上限ブレイクを頂きました。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

ただ、ここで絶対的に注意してもらいたいんですが、

今ここで引いたラインは、極めて局所的です。小さな時間軸で見て引いた保ち合いのパターンラインです。

15分足や5分足で引けるような小さな時間軸で引いたパターンラインは、1時間足以上では認識しづらいので、ブレイクしたからと言ってグングン伸びることを期待してはいけません。

欲張らずにサクッと利確が基本です。

そうしないと・・・

ほら、こんな風になっちゃうし。下手すりゃ損切りです。

ノ( ̄0 ̄;)\オー!!ノー!!!!

ということで、小さな時間足ばかり見ずに、きちんと1時間足などの上位足を見ながら、

自分がどの時間軸のどの波を獲りにいっているのか

を明確に意識しておくことが必要です。

とまぁ、今回のお話は、

  • 価格の軌道は一定方向に価格が推移している場合は、チャネルで見ましょう
  • チャネルがゴチャゴチャしてきたらそれは保ち合いなので、その他のパターンが出来るまで待ってブレイクを狙いましょう

というお話でした。

でもこれ、僕のオリジナルじゃないですからね。恐らく100年くらい前から解説されてきたお話です。

でも、ほとんど誰も使っちゃいないのが現実なんじゃないですかね。

まぁ、このトレード界隈は、書籍を出したりしてる人も含めてその多くがニセモノで蔓延ってますから、当然っちゃ当然ですが。

となると、実践レベルで解説している人は、少なくとも僕の目にはとまらなかったので、ある意味これが本邦初公開なのかもしれませんね。

自慢というよりは、悲しい現実です・・・(涙)

ということで、今回はこの辺でお終いにします。このやり方は、練習をすれば比較的容易にエントリーポイントを掴めると思うので、思いっきり使いまわしてください。

年末は忙しいので、恐らく今回が今年最後のブログ更新になるかもです。

それじゃあ、また。

 

目先の値動きに振り舞わされないためのチャート表示術

環境認識は大切。

そんなことは頭で分かっていても、実際は目先の動きが気になってしまい、不安と欲望の狭間で、5分足や1分足なんて小さな足ばかりをガン見し続けている人って、多いと思うんですよね。

で、結局は目先の値動き(ノイズ)に振り回されて損切りを量産し続けるという、負のスパイラルに陥るわけで。

実は僕自身、勝てなかった頃というのは、完全にそんな人でした。もちろん、紆余曲折を経て、今ではそんな自分からは抜け出せているわけですが・・・

ただ、近頃は別の問題が出てきたんですね。

それは、歳をとって記憶力が衰えてきたということ。今までは何も問題のなかったチャート表示の仕方だったのに、何かと不都合が生まれる様になってきたんです。

ということで、ここしばらくの僕は、

「初心者にも、僕の様に記憶力が衰えた人でも、上手く活用できるチャート表示のあり方って、どうすれば良いだろうか?」

ということについて、色々と検討を続けてました。

で、今日はそんなチャート表示を組み立てるうえでの考え方と、一応今の時点で僕自身が

「これって、使えるんじゃね?」

と思えるチャート表示のモデルを紹介していこうかと思います。

それでは、始まり始まり~!!

チャート表示の2つのタイプ

MTFタイプと単一表示タイプ

トレードする際のチャートの表示の仕方というのは、トレーダーによってそれぞれだと思いますが、大まかに言えば

  • MTF(マルチタイムフレーム)を用いてトレードするタイプ
  • 単一表示(1つの時間軸だけ表示)でトレードするタイプ

の2つに分かれるんじゃないかと。

MTFとは、同じ通貨ペアで複数の時間軸を同時に表示してトレードするやり方です。例えば下の図の様な感じ。

まぁ、この例は単なる一例でしかなく、人によって表示するチャートの数も、時間足の組み合わせも変わってきます。

それに対して、単一表示タイプのトレーダーは、複数の時間軸のチャートを同時に表示しません。1つの時間軸を画面いっぱいに表示するだけです。

このタイプのトレーダーは、1つのチャートを適宜に時間軸を切り替えてトレードします。

例えば、分析する際は日足→4時間足→1時間足と画面を切り替えながら分析していって、1時間足でチャートを監視し、エントリーする際は、分足に切り替えてタイミングをとるというやり方です。

で、僕の場合は、この単一表示タイプのトレーダーだったんですね。

ところがここ最近、記憶力が衰えてきたため、例えば1時間足を見ていても、その上位足の状態を覚えてないことが多くなってきたんですよ。覚えてないだけならまだしも、違う通貨ペアの状態と記憶がすり替わっていたり、15分足を見てるつもりで実は4時間足だったり。

僕がチャート表示を新たに考え直すきっかけが、まぁそんな感じだったわけです。

それぞれの長所と短所

では、この2つのタイプ、どちらが良いのでしょうか?

正直なところ、両者とも一長一短な部分があるので、一概には判断できません。

まず、MTFは複数の時間軸を同時に表示しているため、一覧性に優れています。

それに対して単一時間軸表示は、一覧性において劣ります。時間軸をその都度切り替えるため、作業が煩雑になりますし、時間軸を切り替えた後でもその値動きの状態は、ある程度記憶しておく必要があります。

ただ、一覧性の優劣は、そのままトレードの優劣に繋がるわけではありません。

MTFの場合、一覧性に優れている分、色んな時間足に目移りしてしまい、トレードの軸がブレてしまう可能性があります。

例えば、1時間足の波に乗るつもりでエントリーしたのに、思惑通りに値動きが進まないと、トレードの根拠であるはずであった1時間足を無意識に軽視して、他の時間足に自己強化の情報を求めだしたりするんですね。結果、傷口を広げるだけなんですが。

その点、単一表示は一旦方針が決まったら、その時間軸に固定されますから、ブレまくるということはありません。

しかし、そうであっても下手なトレーダーは、MTFの時と同様に、自己都合を強化してくれる情報を求めだし、ロジックとは関係なく別な時間足を表示して、それをずっとガン見し続けたりします。

やってることは、MTFであっても単一表示であっても、一緒だったりするんですよね。

また、それ以外にも両者には長所短所はいくつもあります。

MTFはモニター内でチャートを何分割化するため、単一表示に比べ、表示される期間(ロウソク足の数)が少なくなります。

そのため、両者では同じ時間軸であっても、チャートから見える景色が違ってくるんですね。

下の図は、MTFで4分割した際の1時間足です。

しかしこれを、分割せずに表示したものと比べてみると・・・

横の表示範囲が広くなっただけで、印象が全く変わってしまっているのが分かると思います。

まぁ、印象が違うだけで、値動きそのものは同じですから問題はないんですが、ロウソク足の表示本数が多い方が、全体像は浮き彫りになりやすくなりますから、分析はしやすくなります。

また、MTFでラインを引く場合、分割されたチャートそれぞれに繰り返し引いていかないといけません。

4時間足チャートにラインを引いたら、次に1時間足チャート、そしてその次に15分足チャート・・・といった具合に、チャートの数だけ手間がかかります。

もちろん、この手間を解消するため、1つのチャートにラインを引くと他のチャートにもそのラインが自動的に引かれるというインジケーターを利用するという手もあります。

ただ、僕の経験から言うと、ラインをシンクロさせるインジは、他のインジと相性が悪いことが多く、不具合が起こるケースが出てきやすいんですね。

以上の様に、MTFにしろ単一時間表示にしろ、長所と短所があるため、一概にこちらが良いとは言えないということが分かると思います。

短い時間足ガン見問題

冒頭でお話した様に、トレードで勝てない人の特徴の1つに、5分足や1分足ばかりをガン見してしまうという問題があります。

身に覚えのある人、多いと思います。

なぜ、そんなことになってしまうかというと、

「ちょっとした値動きも見逃したくない」
「初動をいち早く捉えたい」

という欲望と不安に振り回されているからです。

その結果、確かに

ちょっとした値動き(ノイズ)を見逃さず
そのノイズの初動をいち早く捉えてエントリーしているわけですから

買えば下がるわ、売れば上がるわ、お陰様で損切り連発するわで、見事に行動と結果が伴っているわけす。

щ( ̄∀ ̄)ш ヶヶヶ

 

間違った行動は、その通りの結果しか生まないんですよ。

 

で、目先の値動きに振り回される自分を反省して、

「1分足は見ない」ルールとか
「5分足を見てばかりはダメ」ルールとか

紙に書いて貼ったりして、自分に言い聞かせたりするんですが、

やっぱり不安になって、5分足や1分足を見出し、そのままずっと小さな時間足に釘付けになったりするんですよねぇ。

しかし先にも話した通り、この手のケースはチャート表示をMTFにしようが単一表示にしようが、改善されないんですよ。

標語みたいなルール作って、紙に書いて見えるところに貼り付けたくらいで、行動が改善さるんだったら、巷は成功者で溢れかえってますし、犯罪もこの世からなくなってますって。

ですから、僕らトレーダーはトレードのロジック、そしてトレードにおける作業の流れを、自然と繰り返し実行できる様に、頭と身体に叩き込まなくちゃならなんですね。

トレードという作業の手順を明確化・形式化して、その作業工程をきちんと踏んで行動できる様にする必要があるんです。

ルール作りというのは、自分で感じた心得的なものを自分に心がけさせるものではなく、仕事を作業として工程通りに進ませるための具体的手順なんですよ。

仕事だって料理だって、スポーツだって何だって、作業手順をきちんと踏まえなくちゃマトモなものは出来上がらないじゃないですか。それと一緒なんですよ。

で、トレードするうえで大切な作業工程を身に着けるために必要なものの1つに、「エントリー作業工程表」を利用するということがあります。(これについては、「ルールを守れないという人へ」を参照してください。工程表の見本もダウンロードできるようにしてあります)

そして最近思うのは、チャート表示の視認性を工夫すること、チャート表示の見方の手順を確立すること、これらも間違った行動を改善する手助けになるんじゃないだろうか、ってことなんですね。

ということで、この辺りの問題点も出来るだけ解消できるチャート表示のあり方、使い方をこれからお話していこうと思います。

チャート表示における1つの提案

さて、以上の様なことから、ここしばらくの間、僕は初心者や僕の様に記憶力が落ちてきた人にも適したチャート表示の仕方を考えてきたわけですが、

今の段階では、こんな感じに仕上がってます。

まぁ、見ただけじゃ分からないと思うので、このチャート組表示の考え方や使い方なんかを、これから解説していこうと思います。

セットアップ用チャートとトリガー用チャート

既に何度もお話していますが、トレードにおいてはセットアップとトリガーがあります。(詳しくは「エントリーの背景(1)」を参照してください)

で、トレードを実行するうえで、このセットアップとトリガーという手順は省くことが出来ません。トレードの上手い人は、意識せずとも気が付けばこの手順を踏んでいることが多いです。

しかし、トレードで上手く勝てない人っていうのは、こういった手順自体が曖昧なんですよねぇ。

ということで、チャート表示に

  • セットアップ用チャート画面
  • トリガー用チャート画面

の2つを用意します。図で説明すると、以下の様になります。

セットアップ用画面が大きく、トリガー用画面が極端に小さくなっているのが分かると思います。

これは先ほどお話した様に、小さな分足ばかりをガン見してしまう行為を防ぐ(し辛くする)ための表示の仕方です。

5分足や1分足ばかりを見てしまうのは、要するにセットアップを無視してトリガーばかりが気になっているだけに過ぎません。

しかし、本来で言えば、セットアップのないトリガーは存在しません。

にもかかわらず、トリガーばかりを気にしているのは、単に感情や欲望に振り回されているだけであって、ロジックでトレードをしていないからなんですよ。

なので、前提となるセットアップがメイン・チャートとして、自然と目が行きやすい様に、大きく表示してあります。セットアップ用と言っても、これだけでタイミングを計れるなら、この画面だけでトレードすれば良いわけですし。

逆に、トリガーとなる小さな時間足チャートは、小さく表示します。小さな時間足ばかり見てしまう行為を防ぐために、トリガー用の画面は、あえて見づらくなるようにしてるんですね。

トリガーとなる分足チャートは、チャートポイント付近に価格が近づいた段階で見るだけですし、トリガーはあくまでエントリーのタイミングを計るためのものなので、それほど広い範囲でチャートを表示しておく必要性もありません。

作業工程別にチャートを表示し、その視認性を調整することで、ロジックに沿ってトレードを実行しやすくなる様な画面分割のやり方を考えると、上図の様な分割の仕方に落ち着くと思います。

セットアップ用とトリガー用の時間足は?

恐らく多くのトレーダーが気になっているものの1つに、

「セットアップ用チャートとトリガー用チャートには、どの時間足を用いるべきか?」

があると思います。

これに関しては、基本的にボラティリティー(値動きの速さを含む)とポジションの保有時間によって変わってきます。

通常、FXの通貨ペアでデイトレードする場合は、

  • セットアップは、4時間足か1時間足
  • トリガーは、15分足か5分足

を基本にすると思っていた方が良いかと思います。

例えば、ユーロドル(EUR/USD)でデイトレードする場合、4時間足か1時間足を用いてどの局面でトレードするかを判断します(セットアップ)。そして、ボラの小さな局面では15分足をトリガーに用いてタイミングを計り、ボラの大きな局面では15分足だと追いつけないことが多くなるので、5分足を見てエントリーのタイミングを計ったりすれば良いわけです。

ただし、セットアップとトリガーの時間軸の関係性として

  • セットアップ4時間足+トリガー15分足
  • セットアップ1時間足+トリガー5分足

という組み合わせは、比較的相性が良くなります。

というのも、同じ通貨ペアでも4時間足と1時間足では、トレードで乗ろうとする波の大きさが違います。もちろん4時間足の方が1時間足よりも大きな波になりますよね。

それに対してトリガーとする時間軸が小さすぎると、ちょっとした値動きはノイズになりやすくなるんですよ。4時間足に対して5分足は48:1の比率で違い過ぎるわけですから、5分足のちょっとした値動きは4時間足の大きな波に対して、ノイズにしかならないことが多くなるわけです。

それに対してセットアップ1時間足とトリガー15分足では、その比率は4:1にしかなりません。波の大きさの違いがそれほど大きくないため、わざわざ15分足をトリガーにしなくとも、1時間足だけ見てトレードしても良いことも多くなります。

しかしその点、

  • 4時間足:15分足 = 16:1
  • 1時間足:5分足 = 12:1

となり、時間軸の差が大き過ぎたり小さすぎるということもありません。

こういったことは、前提として覚えておくと良いかもしれませんね。

また、セットアップとトリガーは、保有時間の長短によって、時間軸の範囲を変えてみることも大切です。

スキャルピングの場合は

  • セットアップが1時間足か15分足
  • トリガーが5分足か1分足

スイングトレードの場合は

  • セットアップが日足か4時間足
  • トリガーは1時間足か15分足

なんて感じで。

ただし、小さな時間足の値動きに振り回されてしまう人は、例えスキャルピングであっても、1分足は厳禁です。(つか、小さな値動きに振り回される人は、スキャルピングそのものが厳禁ですが)

また、最近人気のゴールド(XAU/USD)など、普段からボラティリティーの高いものの場合は、単位時間で動く値幅が通常の通貨ペアとは大きく違うので、普段から時間足を一段下げておいた方が良く、

  • セットアップは、1時間~15分足(4時間足も使いますが、その際はポジション保有時間がスイング寄りになります)
  • トリガーは、5分足か1分足

という感じの方が何かと都合良いです。

(今回アップしているチャート表示画像は、ゴールドなのでセットアップは15分足以上、トリガーは5分足と1分足です。これ以降の解説は、ゴールドでトレードすることを前提にお話していきます)

ちなみに、トレーダー同士の会話で、「1時間足で見て、5分足で入った」というのは、「セットアップに用いた時間軸が1時間足で、トリガーには5分足チャートを用いた」という意味になります。

次に、セットアップ用画面について、もう少し詳しくお話します。

セットアップ用画面について

セットアップ用画面は、トレードする上でのメインのチャートになります。このセットアップ用画面だけを抜き出して見ると、下図の様になります。

セットアップ用画面には、分析用チャートと各時間軸を一覧できるミニチャート(オシレーターと同様にサブウィンドウに表示されます)を用意しました。

これについて、もう少し詳しくお話しますね。

分析用チャート

分析用チャートはメイン中のメイン・チャートになります。相場分析は、この分析チャートを用いて分析します。

使い方は、単一表示のやり方と同じです。

大きな時間足から徐々に小さな時間足へと(週足→日足→4時間足→1時間足→15分足)切り替えながら分析していきます。

分析後は、セットアップに用いる時間足(例えば上図で言えば15分足)を表示して、トレードがブレない様に固定します。

この分析用チャートだけでトレードが可能であれば、これだけでトレードしてしまえば良いです。それくらい、メイン中のメインのチャートだと思ってください。

なお、上図の分析用チャートに表示しているテクニカルは、ラインと200SMA、RSIですが、これは単なる一例です。

このブログの読者の方にとっては言わずもがなですが、使うテクニカルは各自使いこなせているものを自由に使えば良いです。

各時間軸一覧ミニチャート

もう一度、先の図を見てみましょうか。

各時間軸一覧ミニチャートは、別ウィンドウを用いているわけではなく、オシレーターと同様にサブウィンドウに表示できる「FFx BollingerBands」というインジを用いています。

環境認識から現状認識へと分析していく際に用いる、日足・4時間足・1時間足・15分足のミニチャートを並べています。

このミニチャート、なぜ表示させているのかというと、MTFと単一表示の長所を活用し短所を補うためです。

単一表示にしていると、例えば上図の様に15分足を見ている場合は、上位足の状況もある程度は覚えておく必要があります。

しかし、既にお話した様に、僕の様に記憶力が衰えてきた者からすると、ホント忘れてしまうんですよ、さっきまで見ていたはずの上位足の状況を。

なので、このミニチャート一覧は僕のためにある様なもので、記憶力が確かな人には必要ないかもしれませんね。

しかし、これを表示しておくことで、MTFとしての一覧性を確保しつつも、ミニチャートであるがゆえに、トレードする時間軸がブレてしまうことをガッツリ防いでくれるんですよ。

さらに、このミニチャート一覧には、非常に有用な工夫がしてあります。

それは、ぱっと見で各時間軸の局面がトレンドにあるのかレンジにあるのかが分かる様にテクニカル設定をしてあるからです。

工夫その1

この「FFx BollingerBands」というインジは、ミニチャートにボリンジャーバンドを同時に表示することが可能になってます。(別シリーズでは移動平均線や一目均衡表を表示できるものもあります)

で、ボリンジャーバンドとは、

  • ボラティリティが高まっている局面なのか縮小している局面かを一目で判断できる
  • 価格が進む方向性とその強弱を、ぱっと見で判断できる
  • 値動きのおおよその移動範囲を、ぱっと見で教えてくれる

という特徴があります。(詳しくは、「ボリンジャーバンドの使い方」シリーズをご覧ください)

ボリンジャーバンドを用いてトレードしようとすると、もちろん他のテクニカル同様に熟達した腕が必要になりますが、

「今の局面はどんな状況なのか」

という状況判断をぱっと見で判断するだけなら、少しボリンジャーバンドを勉強しただけでも掴むことが可能です。

仕掛けその2

ボリンジャーバンドはミドルバンド(移動平均線)に20期間や21期間を使うことが一般的ですが、利用者によっては13や55、200期間など様々だったりします。

また、標準偏差の設定も基本は±2σを使いますが、そのほかに±1σや±3σなども同時に表示している人も多く、使い方は様々です。

しかし、今回のこのミニチャートでは

  • ミドルバンド40期間(つまり40SMA)
  • 標準偏差±2σ

という設定を意図的に使っています。

40SMAというのは、このブログでもそれほど紹介してないと思うんですが、実はその時間軸でレンジに入ったことを示唆しやすい特徴があります。

レンジに入っても、20MAなどの短期移動平均線は、蛇行しがちです。逆に、75MAなどはレンジに入っていても、角度は緩やかになってはきますが、直ぐには横を向いてはくれません。

しかし、40~55期間あたりのSMAはレンジに入ると横を向いたまま進んでくれることが多いんですよ。(もちろん、レンジ幅等にもよるので、絶対ではありませんが)

で、僕の場合は、50期間台は横を向き出すのが遅くなるため、こういったレンジ突入の可能性判断は、40期間を意識することが多いんですね。

細かい数値は各自の好みで良いと思いますが、この辺りの数値を使うことで、トレンドなのかレンジなのかがぱっと見で判断しやすくなるわけです。

また、標準偏差に±2σを用いているのにも理由があります(このFFx BollingerBandsは、標準偏差を1つしか表示できないということもありますが)。

理論上、値動きがボリンジャーの上下バンド内に収まる確率は

  • ±1σ ・・・約68.3%
  • ±2σ ・・・約95.5%
  • ±3σ ・・・約99.7%

ですが、実際のトレードで用いる場合、単純にこの数値で理解しているのは実用的ではありません。ミドルバンドに40SMAを利用している場合、

ヨコヨコのレンジで価格が進んでいる局面では

  • ±1σ・・・価格はバンドを越えることが多い
  • ±2σ・・・価格は高い確率でバンド内に収まる
  • ±3σ・・・価格はバンドまで届かないことがほとんど

になります。

しかし、上か下に強い方向性が出ている(トレンド発生時など)局面では

  • ±1σ・・・価格はほぼ常にバンドを越える
  • ±2σ・・・価格は高い確率でバンドを越える
  • ±3σ・・・価格は高い確率でバンド内に収まる

ということになるんですね。

また、強い方向性はないがトレンドが出ている場合は、±2σが上限下限となって収まることが多くなります。

以上のことを総合的に考えると、±2σを用いるとぱっと見で

  • 価格推移はヨコヨコなのか方向性が出ているのかが分かる
  • 方向性が出ていて、その値動きが強ければ±2σを越えて推移
  • 方向性が出ているが、その値動きが強くなければ±2σにタッチしながら推移

ということが分かるわけです。

ちょっと見てみましょうか。

ミニチャートは左足から順に日足(D1)、4時間足(4H)、1時間足(1H)、15分足(M15)が並んでいます。

D1では、40SMAが上昇から緩やかに下降しているのが分かりますが、基本40SMAの下を中心にヨコヨコで推移しています。

4Hでは、急落してからは40SMAの下でヨコヨコです。

1Hでは、下降から上昇しているのが見て取れますが、今はヨコヨコの状態です。

M15では、ヨコヨコから急上昇してますが、結局先のヨコヨコ上限まで戻ってきています。

とまぁ、ぱっと見で各時間足の状況が把握できます。

注意してもらいたいのは、このミニチャートでは詳しく分析する必要はないということです。なので、ここには、エントリーポイントを掴むためのテクニカルを用いる必要はありません。

繰り返し「ぱっと見」と言っている通り、一見して大まかに各時間軸の状況を把握できることが重要なんですよ。そのための、テクニカル設定を施してるわけです。

詳しい分析は、あくまでメインである分析用チャートで把握するわけですからね。

このメインの分析用チャートと各時間軸一覧ミニチャートを見ることで、「木を見て森を見ず」状態にならずに、常に相場の全体像を眺めながらトレードできる環境を整えます。

また面白いことに、分析用チャートで表示した時間足の全体像は、ミニチャートにおいては1つ上の時間軸が体現しているんですよ。

上図を見ての通り、分析チャートの時間足は15分ですが、ミニチャートでこの価格推移の全体像を上手く表現しているのは、同じ15分足ではなく1時間足です。

他の時間軸も同様です。

  • 分析用チャート4時間足 ≒ ミニチャート日足
  • 分析用チャート1時間足 ≒ ミニチャート4時間足
  • 分析用チャート15分足 ≒ ミニチャート1時間足

逆に言えば、ミニチャートで見る1時間足をより細かく見ているのが分析足チャート15分足ということにもなりますよね。

この様に、各時間軸同士の相関性を感じながらチャートを見ることで、より相場全体像を眺める感覚を掴むことができ、木を見て森を見ず状態からはサヨナラしやすい環境に持っていくことが出来るんじゃないかというのが、僕の現時点での見解です。

FFx BollingerBandsについて

このミニチャートを表示するインジケーター「FFX BollingerBands」(無料)は、MT4の下部に表示される「ターミナル」から「マーケット」タブをクリックし、そこから検索してダウンロードすることが出来ます。

MT4から直接ダウンロードしたインジは、自動的にインストールされるのでMT4を再起動せずにそのまま利用することが出来ます。

設定ですが、一般的なディスプレイの解像度(1920×1080)であることを前提にすると、パラメーターは

  • Timeframes(表示する時間軸)は、「M15,H1,H4,D1」
  • Candles_per_TF(表示するロウソク足の数)は、「75」
  • ボリンジャーバンドの設定は、Period_(ミドルバンドの期間)が「40」、Deviations(標準偏差)は「2.0」

にします。色は各自の好みで変更してください。

これによって、トリガー用のチャートもロウソク足の表示本数を同じく75本程度になる様に調整すると、綺麗に全てのチャートが納まるようになります。

では次に、トリガー用の画面の解説に移ってきましょう。

トリガー用画面について

既に説明した通り、トリガー用画面は小さな時間足ばかりをガン見することを避けるため、セットアップ用画面に比べ、大幅に小さく表示します。

下の図を見ての通り、トリガー用チャートは2つ用意してあります。下の図は、ゴールドなので上が5分足、下が1分足になっています。

なぜ2つ用意してあるかと言えば、ボラティリティーによってタイミングをとる時間足を変えた方が良いからです。

例えば、ゴールドであってもボラがおとなしい時間帯や方向性がハッキリしない局面では、1分足でを見ていると振り回されてしまったりします。

逆にボラが大きくなって、方向性が出ていたり値動きが激しくなってくると、5分足だと追いつけないことが多くなり、1分足を使うことが多くなります。

ただ、使い分けが上手くできないのであれば、大きい時間軸の方(この場合は5分足)だけを表示して、トリガーも固定した方が良いです。

その場合、小さい時間足は表示しない方が良いですね。その場所には相関性のある別の通貨ペアを表示しておくとか、発注用のダイアログやウィンドウを表示させておいた方が良いです。

また、表示範囲ですが、ロウソク足は75本程度表示出来ればOKです。先のミニチャートも75本表示設定にすれば、一般的に現在普及しているモニター画面で丁度良く収まるはずです。

なお、上図では、200SMAとストキャスティクスを表示していますが、これもあくまで一例でしかありません。トリガーに用いるテクニカルも、各自が使い慣れて得意とする物を自由に用いれば良いです。

ただ、値動きに振り回されやすい人は、オシレーターを表示しておくことをお勧めします。高値低値まで引き付けて反転を狙う場合、オシレーターはその補助として心強いはずです。

使うオシレーターは、やはり自分が使い慣れたものなら何でも良いですが、初心者の方にはスロー・ストキャスティクスが扱いやすいんじゃないかと思います。

また、トリガーとして5分足と1分足(15分足と5分足)のどちらを用いるか迷った場合に、実際の値動きの山と谷がオシレーターの山と谷ときちんと合致している方を選択するなどの使い方も出来ます。

で、トリガー用チャートの利用手順ですが・・・

もちろん、セットアップ用チャートで、セットアップに入る、もしくはチャートポイント付近に価格がこなければ、トリガー用チャートは見ません。見る必要がないんで。

で、セットアップ用チャートにてセットアップに入る、もしくはチャートポイントに近づいてきた場合に、虫眼鏡でその部分を覗く感じでトリガー用チャートを見ることになります。

この様にして細部を覗くことで、効率的なエントリーポイントを探します。

エントリー後の振る舞いについて

エントリーした後は、そのままトリガー画面を注視している人が多いと思います。

でもそれって、チキン利食いの大きな原因の1つです。

エントリー時に小さな値動きに振り回されるのと同様、エグジットも小さな値動きに振り回されてしまうんですよ。

なので、原則として、ポジションを持ったら見る画面はセットアップ用チャートです。

15分足の波に乗るつもりでセットアップに入ったのであれば、15分足を見てエグジットを判断するのが、当然の道理です。

で、エントリーする際と同様に、セットアップ用画面にて、抵抗されるポイントや目標ポイントに近づいたら、再びトリガー用チャートを見て、タイミングを計ってエグジットします。

トレードは入る時も出る時も、その手順は一緒です。

ただ、セットアップは15分足で入っても、1分足で伸ばせそうな1波だけを切り取ろうとする非常に短期のレベルでスキャルピングをする場合は、エントリー直後もトリガー用画面を見ていてもOKですが、まぁこれは一般的ではないので、参考程度に。

また、損切りについてですが、STOPを置く位置もセットアップ用画面で決めます。

買い方針、売り方針は、セットアップで決まるわけで、損切りはその根拠が失われた時に行います。であれば、その根拠はセットアップ用チャートで判断したわけすから、セットアップ用チャートでストップを決めなければいけません。

出来るだけ小さな損切りで済まそうと、ビビりながらトリガー用画面でSTOPを決めてしまうと、損切り貧乏の原因になりますよ。

もちろん、腕が上がれば、トリガー用画面でSTOPを設定してもOKでしょうし、スキャルピングの場合はトリガー用画面でSTOPを設定した方が良いケースも多々ありますからね。

しかし、基本が出来てない人は、その様に器用に振る舞おうとしても、実際は損失を膨らませるだけです。

まずは基本に忠実に実行することを心がけてください。そのための、チャート表示設定なんですから。

トレード実例

さて、チャート表示のやり方と見方の手順の解説は終わったので、ここからは、実際にこのチャートを使ってトレードする実例を紹介しようかと。そっちの方が、ピンとくるでしょ。

ということで、今日の午前中に僕が実際にゴールドをトレードしたものを紹介します。

まずは、メインチャートにて、環境認識からの現状認識を行ないます。

(例のごとく、実際のトレード時以降の値動きは隠しますが、ミニチャート部分まで隠しておくのは面倒なので、放置します。その辺は大目に見てください)

まずは日足。

ずっと続いていた上昇トレンドは高値を付けた後に、調整局面(高値はやや不安定の右肩下がり、低値は一定の価格帯で止められている)がずっと続いていましたが、今週の月曜日にネックラインを下にブレイクしました。

現在は、200SMAに止められている状況ですね。まだ下げる余地は十分に考えられますが、一応200SMAタッチということで、警戒した方が良い局面です。

次は4時間足。

ヨコヨコのレンジがずっと続いてましたが、レンジ下限をブレイクしているのが、分かります。レンジをブレイクした後は、ほぼ一方的にさがり続けている状態です。

じゃあ、この時点で仕掛けることは出来るか?

まず、今は下落局面ですから、売りを考えることがセオリーです。しかし、そのためには根拠が薄すます。狙うなら、一旦大きく戻してからが適切ですし、仮に今売りを仕掛けたとしたら、STOPを置くことになる直近高値までは、背筋が凍り付くほどの値幅があり過ぎです。

また、今はロウソク足を見てもRSIを見ても、下落が一旦止められているのが分かります。

とてもじゃないですが、売る気にはならないですねぇ。売る条件が整うには、しばらく時間がかかりそうです。

じゃあ、買いは?ロウソク足からもRSIからも、下落が一旦止められていたんですよね。しかも、確か日足レベルでも200SMAで止められていたはずです。だったら、買い方針の方に妙があるんじゃ?

しかし、この4時間足だけの「止められた」という事実だけで買い判断し、反転上昇を狙って買うのは、ちょっと勇気が必要です。

なので、この時点で4時間足の波でトレードすることは考えられません。

次に行きましょう。1時間足です。

200SMAに頭を抑えられながら続いていた平行レンジを下限ブレイクした後は、綺麗な下降トレンドを描いて、一旦止められていますね。

ここでは表示していませんが、止められているのはブレイク前の平行レンジとちょうど同じ値幅を少し超えたところです。

RSIを見ると、低値を更新できずに低値圏を上に脱しています。

う~ん・・・

これがもう少し早く、昨晩遅くだったら買いで仕掛けられたかもしれませんが、今から買いに行くのはちょっと遅すぎ感満載です。STOP置くのも直近低値からは60pips以上あるみたいですし。

じゃあ、売りは?

下降トレンドの最中ですから、売りで攻めるのセオリーです。戻しをつけている様にも見えます。

ここで、実際に戻しの到達点を確認して見ました。チャートには表示してませんが、今現在の価格の戻しは、先の平行レンジの値幅のちょうど2倍の位置で頭を抑えられた後に陰線をつけ始めたところです。

売るにはギリギリ間に合うかなー、というところでしょうか。

ただ、もうちょっとチャートの詳細を見たいので、15分足に切り替えます。

下降トレンドの中、戻している局面はチャネルを形成していることがハッキリしてきました。

これって、下落を示唆する下降フラッグじゃん!

で、実際に僕がこのラインを引いたタイミングで、価格は下降フラッグチャネルにタッチするかしないかまでに迫ってきたんですね。

ブレイクするなら売りのセットアップ、ブレイクせずに反転上昇するなら買いのセットアップです。

チャートポイント付近に価格が近づいてきたので、ここで初めてトリガー画面を見ることになります。トリガー画面を見ながら、下降フラッグを価格がブレイクするか反転するのかを見ることにします。

ただ、ここでちょっと寄り道。

ミニチャートにボリンジャーバンド(40)を使ったので、トリガー用画面のテクニカルにもボリンジャーバンドを用いてみようかと思います。

ボリンジャーバンドの設定は、ミニチャートと同様にミドルバンドには40期間を使ってみますか。5分足40SMAって、1分足200SMAの近似値なんですよねぇ。ゴールドでは1分足200SMAも割と機能するので、使う価値はあると思います。

また、標準偏差は±2σと±3σを表示します。

個人的には2σで十分なんですが、既に説明した通り、レンジの時は±2σに収まることが圧倒的ですが、トレンド時は3σまで伸びることの方が多いので、まぁスキャルでのエントリーやエグジットに使えるかなということで、表示することにしてみますね。

以下がトリガー画面です。(トレード時より先を隠すのは面倒なので、手を加えずに説明しますね)

5分足の方は、一旦画面を最大化して下降フラッグのラインを引いた後に、元のサイズに戻してあります。(ちなみに、僕はこの時、セットアップ画面とトリガー画面の両方を見ながら観察してたので、ラインは引いてません。引いた方がトレードしやすいなら、引いた方が良いです)

番号を振ってますが、5分足と1分足で同じ番号の場合は、同じ場面だったということです。

で、まず1を見てください。下降フラッグのラインは一旦抜けたかに見えて単なるオーバーシュート(行き過ぎ)だったことがわかります。

5分足も1分足も共に̠̠-2σに支えられてチャネル内に戻ってきました。1分足のストキャスは上手く反転を捉えてます。

ということで、次は下降フラッグの上限に向けて上を目指すので、セットアップ完了と同時に買いのトリガーを引くことになります。

簡単ですね。

と言いたいところなんですが、こういった判断はセットアップに入りそうな局面で既に方針を持っておくなどして、瞬時に判断し行動に移さないと、見ての通り、一気に駆け上がってしまいエントリーのタイミングを逃してしまいます。

そう、分かりやすい局面というのは、誰もが反応するんで、躊躇していたら他者に先んじられてしまうんですよ。トレードというのは、奪い合いなんです。

で、偉そうに言っている僕も実はこの時、別なことをしながらチャート見てたんで、出遅れてしまい、見送る羽目になってしまいました。

(* ̄∇ ̄*)ゞ テヘッ♪

ということで、気を取り直して、次は下降フラッグ上限での値動きの振る舞いを見ることにします。

一気に上昇した価格は、直ぐに下降フラッグ上限に達しました。

で、2の部分を見てもらいたいんですが、5分足では+3σに頭を抑えられ、1分足では+2σの内側まで戻ってきました。ストキャスも反転し出したので、ここで売りエントリーです。

と言いたいところなんですが、値動きの最先端だけじゃなく、もうちょっと広い範囲でトリガーも見てほしいんですよね。

5分足も1分足も2の時点では、値動きの上昇が衰えているとは言い切れませんよね。ボリンジャーバンドは上向いたままで、上昇の勢いが衰えていないことを表しています。

つまり、「反転」ではなく、単に「反発」しただけの可能性が高いわけで。

1の時は上昇過程の中での下落からの反発上昇なので、価格は一気に反転したわけですが、2の時は逆張り。上昇力が弱まっているわけではないので、簡単に反転してくれるとは限らないんですよ。

しかも5分足200SMAを越えてきてるので、一旦下に押し戻されても、再度上に反発してくる可能性は高いわけです。実際に、そうでしたしね。

なので、こういった時は慌てず様子を見た方が賢明です。

ただ、僕は先ほども言いましたがこの時は他のこともしながらだったので、再びチャンスを逃すのが嫌でした。STOP位置もそれほど大きくならないでしょうから、僕はこのポイントで売りエントリーしています。

では、次の展開を見ていきましょう。

案の定、2で反発下落はしたものの、5分足では200SMAが抵抗となり、1分足ではミドルバンドに支えられる形で、再び上に向かい出してます。

で、注意点ですが・・・

ここで1分足ばかり見ていると、3で入りやすいんですよねぇ。前回の高値を越えてないところで、一度陰線が出てますし、ストキャスも反転し出してますし。

しかし、やっぱりその直後に上昇を再度始めます。3でインした人は、ビビッて直近高値を越えた直後に損切りしちゃったりするんじゃないかと。で、嫌味の様にそこが最高値になるわけですが。

覚えておいてもらいたいんですが、トリガーは値動きが強い局面じゃないと、5分足よりも1分足の方がノイズが多く、テクニカルでもダマシを連発しがちです。

ゴールドの様なボラの高いものであっても、今は下降トレンド中の緩やかな調整局面でしかありません。モミモミすることを繰り返しながら緩やかに上昇しているだけなんですよ。

こういった局面の中で、小さい方のトリガー画面ばかりを見てると、いくらセットアップからのトリガーという正しい手順を踏んでいても、値動きに振り回されちゃいがちになります。

逆に、強い方向性が出ているなどモミモミがほとんどない局面では、大きな時間軸のトリガーを見ていても、入りどころがなかなか掴めません。むしろ小さい時間軸のトリガーを使ってタイミングを計るべきです。

大切なことなんで、もう一度言いますよ。

トリガーは、方向性のシッカリした値動きの強い局面以外は、大きい時間軸の方でタイミングをとらないと、ノイズに振り回されやすくなります。大小両方を見るクセをつけるか、それほど器用に振る舞えないのであれば、方向性が強くモミモミが少ない時以外は、大きい時間軸を見てタイミングをとる要領を掴みましょう。

話を元に戻します。

再び上昇してきた価格は、やはり下降フラッグ上限のラインにタッチして止められます。

5分足の4を見てもらうと、小さな上ひげを2回つけた後、価格は+2σの内側に押し戻されました。このタイミングでストキャスも高値圏から反転を始めます。

先ほど、1分足ばかり見ていると・・・という話をしましたが、そのくせ反転というのはその兆候が小さな時間軸から徐々に大きな時間軸へと受け継がれていきます。

この場合もそうで、1分足の4では、ボリンジャーバンドは上昇を止めて横を向き出してますよね。5分足よりも先に反転の入り口が示されています。

で、僕はちょうどこのタイミングでチャートを見ていたので、すかさず玉増しの売りエントリーをしています。結果的にナンピンですが、これは正しいナンピンのやり方です。(詳しくは、「建玉操作としてのナンピンについて」をご覧ください)

また5分足5を見ると、ここが三尊の右肩となっておりストキャスも反転を示唆しているため、保守的にここで入ることもお勧めです。僕は見てなくて入ってないですけど。

さて、利確のタイミングですが・・・

本来はこれ、下落継続の可能性が高い下降フラッグですから、フラッグ下限でブレイクするかしないかの挙動を見るわけです。ブレイクするならそのまま持っていれば良いですし、反転するなら利確です。

ただ今回は、スキャルピング寄りのそれほど値幅の広くない下降フラッグ内でのトレードなので、下限ラインにタッチで一旦利確し、その後に反転するかブレイクするかを見て再びエントリーをした方が、1度のトレードできちんと値幅が獲れます。

僕は今回、ちょっとこの後はチャートを落ち着いて見れくなりそうだったので、6の陰線の2つ前にある陽線のヒゲの辺りで利確して相場を抜けました。

ところで、6の部分をもう一度見てください。下降フラッグの下限ラインに価格がタッチした後に、上昇を始めますが、今度はミドルバンド(40SMA)がレジサポとなって頭を抑えられています。

で、この部分、よく見ると三尊のネックラインと同じ場所です。

そう、つまりSMAから見ても三尊から見ても、ロールリバーサル!

ということで、ライン際の近くでこれが起こった場合は、ラインをブレイクしやすいんですね。確かに見ての通り、その直後に綺麗にブレイクしています。

なので、ブレイク前にここで売りエントリーをするということも可能ですし、これを見てラインブレイク直後にエントリーしても、ダマシに引っ掛かる可能性は少なくなります。

で、ブレイク後の利確ポイントですが・・・

日足を見た時に、下から上昇してくる200SMAで止められていたのを覚えてますか?

日足200SMAは強力で一筋縄ではいかないので、僕だったら直近低値手前を利確目標にします。今チャート見ましたが、やはり直近低値に届かず反転上昇してますしね。

先にも述べましたが、余程のスキャルでもない限り、ポジション保有後は、トリガー画面を注視するのは止めて、セットアップ画面で俯瞰して見ます。

その方が、小さな値動きに振り回されてチキン利食いをしてしまうのを防ぎやすくなります。セットアップに固定した時間軸の波が、自分の乗りたい波になるわけですから、その中にあるもっと小さな小さな波に振り回される必要はないんですよ。

 

さて、ここまで、僕の考えたチャートの表示の仕方とその使い方をお話してきました。今回はこの辺でお開きとしましょうか。

ただ、注意してもらいたいのは、いくら表示の仕方を変え、トレードの手順を整え、トリガー画面を小さくしてみたとしても、1分足をガン見し続けることは可能です。

トレード履歴が浅く悪い癖がつき切ってない人は、割と改善しやすいと思いますが、下手にトレード履歴が長くなると、長く身についてしまった悪い習慣から抜け出すのは、一苦労も二苦労もあります。

僕がその悪い例ですから。(* ̄∇ ̄*)ゞ テヘッ♪

なので、手順を意識しつつ、小さな足ばかりをガン見しない様、トレードを仕事として捉え、作業工程を遵守できる様に常に心掛けながら、トレードに励んでください。

それじゃあ、また。

エントリーの背景(1)

前回は、エントリーポイントを捉えるための基本的な考え方をまとめた復習的なお話でした。

で、今回はもう一歩実践的なエントリーポイントについて踏み込んいこうと思って書き進めてたんですが、

「ちょっとこの辺、理解している前提で書き進めて良いのかなぁ?」

と気になるところがいくつかあったので、止めました。

ということで、今回はエントリーポイントそのものではなく、

エントリーポイントの背景

に焦点を当てたお話をしようと思います。

これに関しても、今まで度々お話してきたことなんですが、やや手短に話していた部分も多々ありますんで、この機会に一度、まとめてお話しておくことにしますね。

これをきちんと踏まえてないと、お門違いなエントリーばかりを狙いがちになってしますので、シッカリと頭に叩き込んでおきましょう。

それでは、始まり始まり~!

エントリーの背景にあるもの

売買には理由がある

トレードする際、売るには売るための理由、買うには買うための理由があるはずです。

まぁ、当たり前の話ですよね。下がると思ったから売ったわけで、その下がると思ったのには「理由」があるはずです。

ところが、勝てない人のトレードにおいては、その理由が曖昧なことが非常に多いんですよ。

もちろん、自分ではきちんと理由があってトレードしている気になっているんですが、

「なぜそこで買ったのか?」

と問いかけてみても、そのテクニカルの根拠をきちんと答えられないことがほとんどです。

仮にその根拠を

「MAが価格と〇〇してて、RCIも△△だったから」

なんて風には言えても、それはエントリー・ポイントを決定した理由でしかなくて、それ以前の

買うべきなのか?
売るべきなのか?

を決定した理由は、言葉に出来なかったりします。

まぁ、だから勝てないんですが。

考えている様で、実は考えていない。分かってる気になって、実は何も分かっちゃいない。分析した気になって、実は先入観と欲望に振り回されているだけ。

それって、トレードあるあるなんですよね。

しかし、きちんとした理由もなく売買して勝てるほど、トレードは甘い世界ではありません。

エントリーするにしても、そのポイント以前の「買うのか?売るのか?」を決定させるその理由、その背景を、自分の頭の中でハッキリとさせておく必要があります。

きちんと背景に沿って、エントリーポイントは探さないと。

しかし、じゃあ

「その背景って、なに?」

と言われると、言葉に詰まる人もいるんじゃないかと。せいぜい言えるのは「環境認識」という言葉くらい。

確かにトレードを学習していると、「環境認識が大切」ということは、嫌というほど目にするはずです。しかし、

「じゃあ、環境認識って、実のところ何?」

と言われると、やっぱり言葉に詰まったり、人によって言ってることがバラバラだったり。実は、環境認識って受け取り方が違うんですよ。

なので、こっからがBOZ流。

他のトレーダーさんの話とは、言葉の定義が乖離してしまうかもしれませんが、僕なりの定義づけをしながら、エントリーにいたるまでの「背景」について、これから詳しくお話しを進めていくことにします。

エントリーまでの過程

僕らトレーダーが、エントリーに至るまでに行なうことは、端的に言って「分析」と「実行」の2種類、そして各々に2種類の手順があります。以下がその内容です。

分析手順

  1. 環境認識
  2. 現状認識

実行手順

  1. セットアップ
  2. トリガー

チャート分析には、環境認識と現状認識があり、トレードを具体的に実行するための手段として、セットアップとトリガーがあります。

「セットアップ」と「トリガー」という言葉は、システムトレーダーならご存知でも、裁量トレーダーにとっては馴染みのない言葉だと思います。「現状認識」という言葉に至っては、僕の完全オリジナルです。

僕らは学者ではないので、言葉の定義に拘る必要はないと思うんですが、正直なところ世の中の常識は、

チャート分析=環境認識
手法=トリガー

といった感じで、誤って捉えられています。

なので、きちんとモノゴトを概念化して、形式知として明確にしておいた方が、これからトレードを頑張ろうと思っている人にとっては、インチキな人たちの戯言に惑わされて、遠回りせずにすむと思うんですよ。

それどこか、各自が自分なりのトレードのロジックや手法を組み立てる際に便利じゃないかと。

ということで、エントリーに至るまでの過程を、これから具体的に解説していきますね。

環境認識と現状認識

分析手段として

チャート分析をする際の手順として、まず環境認識があり、そこから現状分析へと落とし込む作業が必要になります。それぞれについて、詳しく説明していきます。

環境認識とは

環境認識とは、一般的に言えば

「価格は一体、どんな相場環境を前提として動いているのかを、俯瞰して見ること」

となります。

例えばトレードの1時間足のチャートを見たら、上昇トレンドの最中で、絶好の押し目買いポイントに来ていたとします。

もちろん、買いますよね。

でも、買った途端に・・・

上図の様に、思いっきり下げるなんてこと、あるかもしれません。

しかし、日足チャートでこの局面を俯瞰して見ると・・・

実は日足ではレンジを形成していて、買いエントリーした付近は、レンジ上限付近。つまり、絶好の売り場だったりするわけです。

要するに、「木を見て森を見ず」ということなんですね。1時間足チャートで見ているのは、日足からしてみれば、ごくごく局所的な部分でしかないということです。

なので、トレードする際はまず、大きな時間軸から俯瞰的にチャートを見ていくことで、相場全体がどの様な環境、どの様な状況にあるのかを把握しておく必要があります。

そして、それが「環境認識」です。

トレードする部分的な局面ではなく、もっと大局から相場環境を把握していくことを「環境認識」と言うんですね。

でも、しかし・・・

相場を俯瞰して見るといっても、僕らはチャートから一体何を見ようとするんでしょうか?

その答えは、

「今現在の相場環境には、どの様な秩序や規則性があるのか?」

ということになります。

秩序・規則性とは、

  • 価格の流れの軌道にどの様な秩序があるのか?
  • 高値低値にどの様な規則性があるのか?

ということです。

これらを見ることで、相場環境の傾向を把握していきます。

では、実際のチャートで見てみましょうか。下の図は、ポンド円週足です。

ザクっとラインを引いて見ましたが、ここから相場環境がどの様な傾向(秩序や規則性)のもとに動いているのか?を考えていきます。

まず注目すべきは、③ラインと④ラインで囲った赤色のゾーン。価格は過去に何度となく、このゾーンを試してますが、いずれも跳ね返されてしまっています。

このゾーンはかなり強力。

まずはこの点を、シッカリと把握しておく必要があります。

では、次に気になる点ですが・・・

ゾーンに跳ね返される時の特徴ですかね。すんなりと跳ね返されるわけじゃなく、a~eを見ての通り、レンジを形成しながら、幾度となく赤いゾーンへの侵入を試みていますよね。

この揉み合い方を見ていると、レンジ形成箇所は、①ー②のゾーンと、②-③のゾーンであることが分かります。

ということで、今現在はfにあるわけですが、可能性としては②ー③のゾーン内でしばらく揉み合いながら、何度か下値を試す可能性が考えられます。

以上の様に、週足という大局の中で価格が移動するポイント、ある程度把握できたと思います。

(ちなみに、eのレンジ箇所をもう少し詳しく見てみると、価格推移は「チャネル」を形成していますね。もし、このチャネル内に現在価格があるのであれば、このチャネルを意識しておく必要があります)

おっと、忘れるところでした。

この週足チャート、更に高値と低値の規則性も見ていくと、1つの可能性が見えてきますよね。

高値は切下げ、低値は切り下げていない・・・

そう、これは黒太ラインで示した様に、「ディセンディング・トライアングル」を形成している可能性があります。

つまり、ポンド円の価格はこの時点で言えば、このトライアングルの先の方に進めば進むほど、移動する値幅は収束していき、いずれこのトライアングルの上限下限のどちらかをブレイクした時点で大きく価格は値を動かしていく可能性です。

(ちなみにディセンディング・トライアングルは、下方ブレイクする可能性の高いフォーメーションですが、あまりそれには縛られず、上下どちらに抜けるかをフラットに見ておいた方が良いです)

とまぁ、こんな感じで見ていくのが環境認識です。

大きな時間軸を用い、俯瞰した状態で相場の大局を見ることで、相場環境の全体像を炙り出そうとする行為が、環境認識なんですね。

この環境認識で把握した相場の秩序と規則性を大前提として、各自がその都度選択した時間軸の中で、トレードを行なっていくことになります。

尚、今回の例では、インジケーターは使わずに行いましたが、別に使っちゃいけないわけではありません。

例えば、「価格は週足200SMAに頭を抑えられて激しく揉み合っている」とか「オシレーターはダイバージェンスを起こしながら、現在は反転上昇を示唆している」だとか。

僕はインジも使いますが、基本ライントレーダーなんで、上記の様な解説をしてみたまでです。

この例に囚われず、各自が得意とするテクニカルを用いて、縦横無尽に環境認識していけば良いと思います。

(ただまぁ、個人的には、まずはインジを使わずに実際の値動きで環境認識できる様にしていくことをお勧めしますが)

現状認識とは

この「現状認識」という言葉は、勝手に僕が名付けたもので、やっている人は自然とやっていることなんですが・・・

現状認識とは、俯瞰した状態で行なったチャート分析(環境認識)から、徐々に時間軸を下げながら分析していくことで、実際にトレードする時間軸まで掘り下げていく作業のことを言います。

週足から日足、4時間足、1時間足へと自分のメインとする時間軸へと近づけながらチャート分析していくことで、現状がどんな状況にあるのかを、より具体的に把握していきます。

自分が今いる場所を、日本地図から東京の地図へ、東京の地図から新宿区の地図、新宿区の地図から新宿駅駅前の地図へと、俯瞰した状態から徐々に高度を下げていって、より現在地を具体的に見ていく行為と同じと思ってもらえたら、イメージしやすくなると思います。

この作業をすることで、現在の局面をトレード可能なところまで掘り下げていきます。

「トレード可能なところまで」というのは、具体的に言えば、「相場の4大局面」を把握することです。

相場の4大局面とは

  • 上昇トレンド
  • 下降トレンド
  • レンジ
  • 分からない

のことであり、その4大局面を判断することによって

  • 上昇トレンド時は押し目買い
  • 下降トレンド時は戻り売り
  • レンジ中はレンジ内取引
  • レンジをブレイクしたらその方向へ売買
  • その局面が分からないのでトレードはできない

という方針が出来ます。(これに関する詳しい内容は、「相場の局面を考えてみる」等をご覧ください)

そして、その方針に沿って、シナリオ作りができることになりますよね。シナリオ作りとは、「〇〇になったら、△△する」という具合に、考えられる可能性を具体的にしてく作業のことです。

例えば、価格が現在、平行レンジの真ん中あたりをウロウロしているなら、

  • 価格がレンジ上限に向かって動き出したら、レンジ上限に到達して反転下落し出したら売り
  • 価格がレンジ上限に向かって動き出し、レンジ上限をブレイクしたら買い
  • 価格がレンジ下限に向かって動き出したら、レンジ下限に到達して反転上昇し出したら買い
  • 価格がレンジ下限に向かって動き出し、レンジ下限をブレイクしたら売り

というシナリオを作ることが出来ます。

現在の局面が上昇トレンド時であれば、初学者なら基本「押し目買い」1択のシナリオとなります。

まぁ、多くのトレーダーさんは自然とやっている行為だと思いますが、この「現状認識」を概念化しておいて手順をハッキリさせておいた方が、トレードを独学で学びながら彷徨っている人には都合が良いと思うんですね。

ということで、現状認識とは端的に言えば、

「俯瞰した状態での環境認識から、徐々に時間軸を小さくしながら分析していき、現在の局面を実際にトレード可能なシナリオ作りのレベルまで掘り下げていく作業」

だと思ってください。

では、実際のチャートを使って、現状認識をしていきましょうか。

使用するのは、先ほど環境認識したポンド円です。週足は分析したので、次に日足に落とし込んで見ていきます。

見ての通り、現在は下降トレンドが続いているところですね。下降トレンドはチャネル上限から始まり、チャネル下限をブレイクした後は、その勢いをより強めながら続いています。

しかし、週足で見た赤色ゾーンの上限(上図赤色の水平線)で止められて、今現在はちょうど反発したところにいます。

オシレーター(上図はストキャス)を見ると、下限から反転上昇を始めてますね。

じゃあ、次に4時間足を使って、この局面をもう少し具体的に見てみましょう。

日足で見た状況が、より詳しく見えてきますね。緑のラインで分かる通り、高値低値をシッカリと切り下げながら下降トレンドが続いていますが、例の赤い水平線で止められて反発しています。

そして今現在は、赤い丸で囲った部分。揉み合ってますねぇ。

週足や日足で見るオシレーターは、低値圏から反転上昇し始めていましたが、4時間足でオシレーターを見ると、この揉み合い状態の中では、50%ラインを跨ぐ形で上下しています。

さて、ここから上下どちらにいくんでしょうか?

では、この赤い丸の部分を中心に、もう少し詳しく状況を見ていきたいんで、1時間足(今回のメイン時間軸)に切り替えて見ていきましょう。

下降トレンドを描いてきた価格は、赤色の水平線で止められて勢いよく反発上昇した後は、その反発時の高値を切り上げることも低値を切り下げることもできずに、保ち合い状態になっています。

この段階では、価格が上に行くのか下に行くのか分からないですよね。揉み合いも、いつまで続くかわかりません。

可能性は、いくつもあるわけです。

で、その可能性を

「〇〇なので、△△になったら買おう」
「XXになるまで待ち、YYになったら売ろう」

という風に、具体的な内容にしていくことが

「シナリオ作り」

でしたね。

ではちょっと、その可能性を具体的に浮き彫りにしていける様に、テクニカルを用いながら判断していきましょうか。

今回もラインを引いていきますね。

ぱっと見、⑤ラインと⑥ラインでアセンディング・トライアングルを形成しているのがわかります。上に抜ける可能性の高い保ち合いパターンですね。

なので、

  • ⑤ラインを上抜けたら買い
  • ⑥ラインを下抜けたら売り

という2つのシナリオが考えられます

 

ん?

でも、そのシナリオで本当に良いんですかね?

 

局所ばかりに注目してしまうと、枝葉末節に囚われてしまい、大切な大局の部分を、うっかり忘れてがちになります。

そもそもこの例にあるポンド円を最初に環境認識した時は、どう考えてみたんでしたっけ?

俯瞰して見た場合、強力な赤色ゾーンに下落を阻まれたんで、ここからは上昇していく可能性が高いですが、①-②ソーンと②-③ゾーンは揉み合うゾーンでしたから、fの局面からすんなり上に上がらずに揉み合う可能性は大でした。

この大前提をもとに、現状の局所的な展開はと言えば・・・

上図4時間足で見た通り、今現在は下降トレンドから下値を抑えられて反発した局面です。

そう、現在の局面は、まだ下降トレンドなんです。いくら強力な赤色の水平線で反発上昇したからと言っても、下降トレンドを形成する直近高値を価格が越えない限り、下降トレンドは否定されたことになりません。

今現在の局面は、もっと具体的に言えば、

「下降トレンドの戻しで揉み合っている局面」

なんですよ。

そして、下降トレンド継続中である限り、トレードは「戻り売り」方針が基本的セオリーです。

であれば、単にこのトライアングルを上抜けたら買い、下抜けたら売りとシナリオを決めるのは、短絡的です。もう一度、見直してみましょう。

1時間足で見たアセンディング・トライアングルを上抜けて上昇したからと言っても、それはまだ下降トレンドの戻しの上昇途中の可能性があります。トライアングルを上抜けたので買ったら、そこが戻しの頂点となって、反転下落を始めるかもしれません。

下降トレンドが否定されるのは、トレンドを形成している波の直近高値を越えるまで、つまり上図1時間足の⑦ラインを越えた時です。

でしたら、このラインを越えるまでは、下降トレンドが継続中と判断して「戻り売り」方針のシナリオで攻めるのが、王道中の王道です。

つまり、シナリオを具体的に立てるとするならば、

1.アセンディング・トライアングルを下抜けた場合

  • アセンディング・トライアングルの上限が、下降トレンドの戻しの到達点であったと判断し
  • アセンディング・トライアングルの下限ブレイクは、戻し高値を付けて反転したと判断し
  • そのポイントで戻り売りエントリー

2.アセンディング・トライアングルを上抜けた場合①

  • アセンディング・トライアングルの上限をブレイクしたとしても、まだ下降トレンドは継続中であるため
  • 下降トレンドの直近高値である⑦ラインを越える前に、戻し高値を付け(到達確認)て反転確認がとれたら
  • そのポイントで、戻り売りエントリー

3.アセンディング・トライアングルを上抜けた場合②

  • アセンディング・トライアングルの上限をブレイクし、そのまま⑦ラインを越えてしまったら、下降トレンドは一旦終了したと判断
  • その後は、レンジを形成するか上昇トレンドに移行すると判断し、戻り売り方針は撤回
  • その後の様子によって、新たなシナリオを作成する

ということになります。

ただし、環境認識上、今は揉み合うゾーンにいたはずです。そして低値にはあの強力な赤いゾーンが待ち構えています。

ですから、下降トレンド継続中とはいえ、売った後は、あまり深追いをしないことを頭の片隅に置いておくべきです。

とまぁ、以上の様に、実際のシナリオ作りまで現状の局面を掘り下げて把握していくことが、現状認識となるわけです。

なお、分析手順に関するもう少し詳しい話は、「環境認識から現状認識へ」をご覧ください。

セットアップとトリガー

実行手段として

トレードをシステム化していく際に用いる概念が、この「セットアップ」と「トリガー」です。(と、僕は理解してます)

ですから、裁量トレーダーにとっては、馴染みの薄い言葉かもしれません。

また、そのせいかトレーダーの多くは、トリガーそのものが「手法」だと勘違いしていることが多い様に思います。

しかし実際は、セットアップとトリガーの両方が揃って、はじめて「手法」となります。

セットアップとトリガーというのは、先ほど見た分析手段ではなく、

「テクニカルが具体的に、〇〇になったら買い方針を決め、△△になったらエントリーする」

といった様に、エントリーを実行するために用いるテクニカルの具体的な方法のことを言います。

ですから、裁量トレーダーにおいても、これらはきちんと踏まえておく必要があります。

セットアップとは

セットアップとは、エントリーのタイミングを計る際に前提となる条件のことで、端的に言ってしまえば「売り方針」「買い方針」を決定する条件のことです。

具体的に説明すると・・・

トレードをシステム化する場合、

「毎度チャートを覗いては、環境認識をして現状認識に落とし込み、シナリオ作りをして・・・」

なんてことはせずに、一定のテクニカル上の条件が揃った時点で、買い(売り)方針が決定するというロジックを利用したりします。

例えば、移動平均線ではお馴染みのパーフェクトオーダー。

このパーフェクトオーダーを用いて、

  • 上昇トレンドのパーフェクトオーダーが完成したら、買い方針
  • 下降トレンドのパーフェクトオーダーが完成したら、売り方針
  • パーフェクトオーダーが完成していなければ取引はしない

というルールを採用している人であれば、このパーフェクトオーダーの完成の有無が、買い方針や売り方針が定まる前提条件になるわけです。

その場合、このパーフェクトオーダーの完成が、このトレーダーにとっての「セットアップ」になります。

もちろん、これはほんの一例でしかなく、他のテクニカルを用いて、

「〇〇になったら買い方針」
「△△となったら売り方針」

という条件をルール化した場合、そのルールがセットアップになります。

セットアップである条件を満たし、買いや売りの方針が決定した状態になったことを、

「セットアップが整った」とか
「セットアップ完了」とか
「セットアップに入った」とか

そんな感じで僕は表現しています。


注:実際に有効なシステムを構築する際は、単に「パーフェクト・オーダーが揃ったら」というだけでなく、もっと複雑な使用になるはずです。あくまで解説のための例として考えてください。


トリガーとは

トリガーとは、売買の方向性が定まった(セットアップ)後、実際にエントリーするタイミングを計ること、またタイミングをとるための条件やルールのことを言います。

セットアップが整ったからと言って、いつでもどこでも買えば良いわけじゃありません。できるだけ低いところで買って高いところで売ることが、リスクリワード比を高めたり、心理的負担が軽減できたりと、効率が良くなりますからね。

先のパーフェクトオーダーの例で言えば、

上図Aの様に、パーフェクトオーダーになっているからと言っても、高いところで買ってしまえば、

最終的には含み益なるにしても、買って直ぐに下がってしまうことで、含み損を抱え続ける心理的負担は大きくなります。途中で耐え切れず、損切りしてしまい、勝てる戦を負けてしまうこともあります。

また、STOPを置く位置はエントリー位置から遠くなるため、仮に損切りとなった場合の損失額は大きくなります。結果、そういったことを繰り返していくと、リスクリワード比(損失額と利益額の比率)が悪くなってしまいます。

しかし、Bの様に押し目を付けた後に上昇し始めた局面で買った場合は、安く買ったことになります。

買って直ぐに含み益が出るため、心理的負担も少ないですし、STOPを置く位置も、エントリーしたポイントから比較的近くなるので、損失額も小さくすみます。

この様に、同じセットアップであっても、エントリーするタイミングの効率の良し悪しで、トレードの成績は大きく変わってくることになります。

ですから、トリガーはセットアップが完了した後に、より効率の良いポイントでエントリーできる様に考えて設定する(ルール化する)必要があります。

上図の例で言えば、Aの場合は

「価格が目先グングン伸びていたので慌てて飛び乗った」

という何のロジックもないトリガーです。

しかしBの場合は、

「75SMA、40SMA、20SMAが上を向きながらパーフェクトオーダーを完成した(セットアップに入った)けど、直ぐには買わずに、価格が一旦20SMAに近づいてきてから再度上に放たれていったタイミングで買う」

という、効率的なエントリー方法がトリガーになっています。

以上の様に、トリガーとは効率的なエントリーポイントの条件(ルール)のことを言います。

で、そのトリガーの条件が整った場合を、「トリガーが発動」などと呼び、トリガーが発動して実際にエントリー・ボタンを押す行為を「トリガー(引き金)を引く」などと(少なくとも僕は)表現します。

裁量トレーダーのためのエントリー背景の確立化

さて、ここまで「環境認識」「現状認識」「セットアップ」「トリガー」の4つを解説していきましたが、世間一般にトレードのやり方というのは、

  • 裁量トレード=環境認識+手法
  • システムトレード=セットアップ+トリガー

といった感じで、別個にしか解説されていないんじゃないかなー、と思うんですよ。特に裁量トレードに関しては結構いい加減な解説で。

だから、勘違いしてトレードを考える人が後を絶たないんじゃないのかな?

なので、ここからは、これらの概念を整合性を持たせた形で解説していくことにしす。

裁量トレーダーとしての基本的セットアップとトリガー

先ほど、「手法とは、セットアップとトリガーの両者が合わさったもの」と解説しましたが、それを受けて

じゃあ、「裁量トレード=環境認識+セットアップ+トリガー」ってこと?

となりそうですが、それも違います。

裁量トレーダーにおける分析手順は、既に解説した通り、

  1. 大きな時間軸によるチャート分析(環境認識)
  2. 徐々に時間軸を下げていく(現状認識)
  3. トレードしようとする局面が4大局面のどれにあたるかを把握(現状認識)
  4. シナリオ作り(現状認識)

という流れを踏みます。

で、3番目の4大局面を把握した段階で、僕ら裁量トレーダーは

  • 上昇トレンドなら押し目買い
  • 下降トレンドなら戻り売り
  • レンジなら上限からの反転で売り
  • レンジなら下限からの反転で買い
  • レンジをブレイクしたら、その方向に売買
  • 局面が判断できないならトレードしない

という売買方針が決まるんでしたね。

ですから、この4大局面を把握できた段階で、セットアップは完了です。

そして、シナリオ作りの段階にきて具体的なエントリーのタイミングを模索するわけですから、そこがトリガーに相当するわけです。

先ほどまで解説してきたポンド円の例で言えば・・・

下降トレンドを描いてきた価格は、赤い水平線に止められて一旦戻しをつけて揉み合っている局面でした。

下降トレンド=戻り売り方針ですから、この局面を把握した時点で「セットアップ完了」です。

後は、どの様にしてエントリーのタイミングを捉えるか(トリガー)を考えるために、シナリオを作ります。

この際に作った3つのシナリオを、1つ1つ見ていきましょう。

 

1.アセンディング・トライアングルを下抜けた場合

  • アセンディング・トライアングルの上限が戻しの到達点であったと判断し
  • アセンディング・トライアングルの下限ブレイクは、戻し高値を付けて反転したと判断し
  • そのポイントで戻り売りエントリー

この場合、特にインジケーターを用いてトリガーを引く必要はありませんね。

トライアングル上限に到達(到達確認)した後、トライアングル下限をブレイク(反転確認)となるので、このブレイクした段階でトリガーを引くことになります。

ただ「ブレイクした」と判断するモノサシは各自必要です。「終値でブレイクしたら」とか「ロールリバーサルしたら」とか、それによってトリガーを引きます。

 

2.アセンディング・トライアングルを上抜けた場合①

  • アセンディング・トライアングルの上限をブレイクしたとしても、まだ下降トレンドは継続中であるため
  • 下降トレンドの直近高値である⑦ラインを越える前に、戻し高値を付け(到達確認)て反転確認がとれたら
  • そのポイントで、戻り売りエントリー

トライアングル上限をブレイクした後は、前回のエントリーポイントの解説でお話した様に、レジサポやフィボナッチ等を用いて、到達ポイントを予測します。

そして、到達ポイントで戻り高値を付けた後に、プライスアクションやオシレーターなどのテクニカルを用いて反転確認がとれた段階で、トリガーを引くことになります。

(仮に想定した到達ポイントに到達しなくとも、あるポイントで止められた場合は「到達した」と判断します。その点に関しては、以前どこかで説明した気が・・・)

 

3.アセンディング・トライアングルを上抜けた場合②

  • アセンディング・トライアングルの上限をブレイクし、そのまま⑦ラインを越えてしまったら、下降トレンドは一旦終了したと判断
  • その後は、レンジを形成するか上昇トレンドに移行すると判断し、戻り売り方針は撤回
  • その後の様子によって、新たなシナリオを作成する

この場合は、戻り売り方針の前提条件となるセットアップ(下降トレンド)が一旦終了したため、トレードも白紙撤回となります。

次のセットアップに入るまで、トレードは出来ないことになります。

 

とまぁ、以上の様に、シナリオ作成に合わせてトリガーを引くことになるわけですが・・・

シナリオ作成はあくまで「分析手段」です。

実際にエントリーを実行するためには、予め「どのテクニカルをどう用いて自分はエントリーするタイミングを計るのか」という具体的な実行手段を持っている必要があります。

  • 押し目買い、戻り売りの局面には、AとBのテクニカルが〇〇となったらエントリーする
  • レンジ内取引の場合は、Bのテクニカルが〇〇となって、Cのテクニカルが△△となったらエントリーする
  • レンジをブレイクした場合は、Dが〇〇したらブレイクしたと判断してエントリーする

この様な具体的な実行手段がトリガーになるわけです。

で、僕が前回お話していたのは、このトリガーのロジックについてなんですね。

さて、ここまでの解説は、基本中の基本として初学者は絶対に身に着けてもらいたいトレードの考え方です。

ただ、この後はせっかくなので、基本的なトレード方法を既に身に付けた方に向けて、次のステップの解説をしてみようかと。

中級者からのセットアップとトリガー

例えば、上昇トレンドの際は「押し目買い1択」が、基本セオリーでした。

しかし、上昇トレンドの押し目買いで獲れる様になってきたら、次のチャレンジとして

「押し目として下降する波も獲ってみたい」

となるかもしれません。

もちろん、5分足チャートで起こる上昇トレンドの押し1波を獲るのは、値幅も小さいし値動きの展開も早くなるため、難易度は高くなりますが、

1時間足チャートでの上昇トレンドの場合、その押し1波は、値動きが急転しやすいとはいえ、値幅が十分にあるので、きちんとしたポイントでエントリー出来る様になっていれば、50pipsや100pipsは十分に狙えるトレードが可能です。デイトレードなら、十分な収益幅ですよね。

ということで、ここからは初学者から一歩ステップアップした人向けの解説をしてみようと思います。

セットアップとトリガーもフラクタル

これまでの解説では、例えば上昇トレンドの場合、基本セオリーは「押し目買い1択」なので、相場の4大局面を認識した時点でセットアップに入り、押し目買いのタイミングを計るのがトリガーとなっていました。

しかし、上昇トレンドの押し目下降1波も獲ろうとする場合は、上昇トレンド中も買いや売りで入ることになります。

なので、4大局面を把握した段階でセットアップには入りません。

ここからは、ちょっと解説がややこしくなるので、注意深く読み進めていってくださいね。

例えば上昇トレンド中の押し目1波を獲ろうとすることを考えてみましょう。上図で言えば、赤い色で示した波を獲りたいと考えます。

この場合、まず上昇波から押しの調整波に移行したことを確認する必要があります。

上昇波が一旦目標値に到達して止められ、反転下落したタイミングを、前回解説したエントリーポイントの狙い方と同様に、①到達確認→②反転確認で捉えます。

しかし、ここから売りエントリーするのは、危険です。基本的に上昇トレンドは上昇力が強いため、安易に入ると踏み上げられて損失を被ります。なので、こういった入り方は上級者だと割り切って、見送ることが賢明です。

ただ、この①到達確認と②反転確認によって、調整波が始まった可能性は非常に大きいわけですから、調整波が始まったと仮定しながら、次の展開を伺うことになります。

で、この時点で理解しておくべきことは、その「下降する調整波は、下降トレンドとも言える」ということです。相場の波はフラクタル構造ですからね。

ということで、この調整波である下降トレンドを売りで獲りにいくことを考えるわけですね。

しかし、ここで注意が必要なことがあります。

基本セオリーでは「下降トレンドが確認出来たら」セットアップに入るわけで、この下降トレンドとは

「高値と低値が切り下がっていることを確認して、下降トレンドが始まったと判断」

するんでしたよね。

しかし、今回の下降トレンドとは、上昇トレンド中の調整波でしかないので、高値と低値の切り下がりを待って判断していると、波に乗り遅れるなどして、この調整波を獲ることは難しくなってしまいます。

なので、ここが少し厄介。

上昇トレンド中の調整波を獲りに行く場合は、下降トレンドが始まったことを確認してセットアップに入るのではなく、下降トレンドがはじまったであろう可能性(到達確認と反転確認のみ)で、セットアップに入るんですね。

つまり、

  1. 上昇トレンドの局面であることを確認
  2. 上昇波が一旦止められ(到達確認)
  3. 反転下落を始めたことを確認したことで
  4. 調整波の下落が開始した

この一連の流れで調整波としての下降トレンドが始まったと仮定してセットアップに入ります。

トレンドが確定してセットアップに入るのではなく、トレンドが始まったと仮定してセットアップに入るのが、トレードの難易度が高まった証です。

難易度が上がった分、基本セオリーでトレードするよりも、判断力や柔軟性が問われるわけで、これが「初心者はやっていけない」という理由そのものです。

しかも、この調整波のセットアップのロジックって、通常のトリガーのロジック(到達確認と反転確認)を使って行われるんですよ。

ややこしいですねぇ・・・

しかし、こういったトレードの手順が理路整然と実行に移せるようになってはじめて、様々に上下する波の中を縦横無尽に渡っていける様になるわけです。道のりは遠いですけどね。

話を元に戻しましょう。

では、この下降トレンドが始まったと仮定してセットアップに入った後はどうするんでしょう?

もちろん、トリガーを引くのを待つわけです。トリガーの設定は下降トレンドのエントリーポイントの狙い方と同じです。

トリガーのロジックそのものは全く変わりません。

簡単ですね。

と言いたいところなんですが・・・

言うは易し行なうは難しで、この場合の①到達確認は、通常の下降トレンドの到達確認よりも難易度が高くなります。

もちろん、日足レベルの上昇トレンドの調整波は1時間足では大きな下降トレンドになるので判断しやすいんですが、時間軸が小さくなればなるほど調整波のトレンドは小さくなるため、その押しや戻しの到達点を判断するのは難しくなります。

要するに、単なる下降トレンドの戻り売りよりも、調整波としての下降トレンドの戻り売りの方が判断が難しく、また時間軸が小さくなればなるほど同様に判断が難しくなるということです。

セットアップの判断だけでなく、トリガーの判断も、基本セオリーでトレードするよりも難易度が上がるんですね。その点は覚悟して、トレード技術のステップアップに取り組むことが必要です。

では、ここからはちょっと実際のチャートを用いて、調整波を捉えるトレードを解説していきましょうか。

実際のチャートで見てみよう

せっかくなので、今までの解説に用いていたポンド円チャートを使って説明しますね。下の1時間足を見てください。

先の1時間足に、移動平均線を表示して見ました。期間は10(灰色)、20(青)、75(緑)、200(赤)です。

上昇する調整波を獲りに行くので、単純に⑤ラインをブレイクしたら買いとしても良いんですが、ちょっと今回は移動平均線に注目してトレードしていこうと思います。

で、まずは上図の左側、つまり下降トレンド時とMAの関係を見てください。

下降トレンド全体の大きな波は、75SMA(緑)に止められながら下降していますよね。つまり、この下降トレンドの大きな波1辺の「流れ」は、75SMAが体現しています。(詳しくは「時間軸に関係なく流れの目線を固定しよう」を参照)

その中の小さな波は20SMAが体現しています。

で、下降トレンド全体の流れを体現する75SMAは価格の上昇を止めるレジスタンスの役割を果たしていたわけですが、赤い水平線で価格は反発すると、75SMAをいとも簡単にブレイクします。

そして、下を向いていた75SMAが上を向き出しながら、今度は下落する価格を75SMAがサポートし出しているのが見て取れると思います。レジサポの機能を、ラインではなく、75SMAが果たしているわけです。

また、75SMAが価格の下落を止めて弾き返した後を見てください。10SMA・20SMA・75SMAは、パーフェクト・オーダーとなっています。(基本、僕のMAの使い方では、200SMAをパーフェクト・オーダーに含めることはしません)

この時点で、下降トレンドは戻しをつけ始めた(調整波が始まった)と判断します。つまり、

  • 上向き出した75SMAに価格はサポートされている
  • パーフェクトオーダーが完成している

ということで、買いのセットアップに入ったわけです。

じゃあ、トリガーは?実際に買いエントリーするタイミングはどうしましょうか?

僕の場合、まず75SMAの直ぐ上にある200SMAに注目します。

価格が75SMAを抜いた後は、200SMAがレジスタンスとなって何度も上昇を止めていますよね。しかし、価格は上昇する他のMA達に支えながら、ついには200SMAを上抜くことに成功しています。

今現在は、価格が上から200SMAにちょうどタッチしているところです。この次は、この200SMAがレジサポとなって、上昇を支えるかもしれません。

ということで、200SMAに下落を阻まれて反転上昇始めたら、実際に買いエントリーを行なう準備を始めることにします。

では、次の展開を見ていきましょう。

価格は一旦200SMAをやや下抜けましたが、直ぐに引き戻されます。その後、20SMAに乗って上昇を始めました。

  • 200SMAのレジサポ確認(到達)
  • 20SMAに乗って上昇を始める(反転確認)

これが、トリガーとなって、上図赤い丸で買いエントリーをすることになります。

で、その後の展開を見ると・・・

価格は⑤ラインは越えたものの、⑦ラインより手前の⑧で上値を止められています。

う~ん・・・どうします?

忘れてはいけないのは、今は下降トレンドの戻しの上昇波を捉えようとしているわけです。つまり、いつ強く下落を再開してもおかしくはないわけで。

ということで、上値を3回も止められているんで、この時点で利確してもOKですかね。結果的に、100pipsは獲れた感じになります。

仮に、⑧ラインの上抜けを狙ってもう少し粘ろうとする場合は、今のところ⑤ラインと⑧ラインの間でレンジを形成していると考え、⑤ラインのすぐ下にSTOPを置きます。

じゃあ、次の展開でも見ていきましょうか。

先ほどのレンジを下方ブレイクしました。

粘ってポジションを持っていた場合は、⑧ラインを下抜けた時点で、STOPにかかって利確となります。50pipsくらいの利益ですかね。

で、この時点で、下降トレンドは戻り高値をつけてたと判断して、売りエントリーを考えても良いかもしれません。

具体的なトリガーですが、⑤ラインと75SMAはほぼ重なっていますから、この両者が抜けたオレンジ色の丸のところでエントリーになりますかね。もう少し保守的に⑥斜めラインを抜けてからエントリーという手も考えられますが、この斜めラインは75SMAの軌道を体現しているので、75SMA抜けで判断した方が結果的に有利な位置でエントリーできると思います。

ただ、ダウ理論的にはまだ上昇トレンドは終わっていませんし、200SMAが下から待ち構えているので、ここで止められる可能性もあります。

売りエントリーしても、早めの撤退を想定しておくことが前提です。

ということで、次の展開を見てみると、

やっぱり200SMAに止められ、再び⑤ラインと⑧ラインに囲まれたレンジ内に戻ってきました。欲張らずに200SMAで利確しておいてOKでしたね。

また、これらの挙動により、

  • 低値を切り下げることが出来なかったため、ダウ理論上の上昇トレンドは継続中
  • 結果的に⑤ー⑧のレンジの下限ブレイクはオーバーシュートで終わったため、逆にこのレンジを上抜ける可能性が強くなった

と判断できるため、戻りの上昇はまだ続く可能性が高まってきました。

なので、買いエントリーを狙う方針を継続させますが、その際の買いポイントとして最も有力なのは⑧ラインを上方にブレイクした時です。ただ、直ぐ上に⑦ライン(これを越えたら、下降トレンドは終了)があるので、美味しいエントリーとは言えないかもしれません。

また、戻りの上昇はまだ続く可能性が高まっているので、⑤-⑧レンジの下限で買っておくというのも1つの手です。

なお、200SMAで反転した赤い丸部分で買いエントリーできていたとしたら、かなり美味しいポイントでポジションを掴んだことになると思います。

では、次の展開を見ていきましょう。

下降トレンド時の直近高値から引いた⑦ラインを越えました。この段階で、下降トレンドは、終了と判断します。

ここからは、このまま上昇トレンドを継続させていくのか、レンジなのかを判断し、売買の方針を決めていく作業に移るわけなんですが・・・

ちょっとこの記事が長くなり過ぎたのと、ここからの解説は脱初心者ステップよりも更にレベルが上の解説になるので端折りますが、

この上昇波動は、推進波ではなく調整波の体を崩していないので、このまま上昇トレンドが続くというより、この辺りからレンジを形成します。

つか、大きなトレンドの後は直ぐに反対方向にトレンドが形成される確率は少なく、基本的にはレンジを挟みます。週足を見た時でも、今は揉み合いやすいゾーンでしたよね。

ということで、今は上昇高値付近の保ち合いなので、上に抜けたら買い、下に抜けたら売りでOKですが、上値余地はそれほど大きくはないと思われるので、上にブレイクしてもついていく場合は要注意とみた方が良いです。

また、下抜けで売った場合も、今のところ機能している200SMAと⑤ラインが重なってきていますから、あまり欲張らずにその辺りで利確した方が得策かもしれません。

さて、今回はこの辺で終了しようと思います。上の解説の続きが気になる方は、各自チャートを照らし合わせながら考えてみて下さい。

う~ん・・・

今回の記事も長くなってしまいました。しかし、このエントリーの背景及びエントリーポイントの狙い方についての話は、まだまだ続きますので、次回もこの辺りの話を続けていく予定です。

それじゃあ、また。