現状認識の実際(2)

さて、今回は「現状認識の実際」の第2回目です。

前回は理解しやすい様に、単純かつ極端な図を用いて、現状認識の手順を解説してみましたが、実際の相場というのは、そう単純とは限りません。

まぁ、分かりやすい局面もあるっちゃあるんですが、相場は千差万別な顔を見せてくるため、分かりづらい時の方が多いのかなぁ・・・

でも、実際は自分で勝手に相場を難しくしちゃってることも、多いですからね。

ということで、今回は実際のチャートを使って、現状認識を解説していきたいと思います。

使うのは先日1月14日のゴールド(XAU/USD)です。

値動きに振り回されやすい人にとっては、ちょっと認識改めるきっかけになるんじゃないかと思います。

それでは、始まり始まり~!!

実際のチャートで考えてみよう

先日、GOLD(XAU/USD)のチャートを見ていた時に、

「あー、これって今度ブログのネタになりそうだなぁ」

と思ってスクショ撮ってあったのがあります。なので、ここからはそれを用いて解説しようと思います。

ですが、そのスクショを出す前に、まずはゴールドの週足から環境認識していきましょうか。(環境認識で用いるチャートは、スクショ撮った後のものになりますが・・・)

上図は、月足レベルで全体が見れるように、ロウソク足を縮小して表示した週足チャートです。

ぱっと見で分かる通り、①ー②ー③ー④と高値安値を切り上げて上昇トレンドを形成しています。

もう少し詳しく見るならば・・・

②ー③と下降した後に価格は三角保ち合いを形成しています。その後、価格は上へとブレイクし、大きく上に推進していきました(③ー④)。

この③ー④の中の波をザックリ見る(上図赤いライン)と、今は上昇トレンドから押し目をつけている局面に見えますよね。

では、この赤いラインの波を、時間軸を下げて、もう少し詳しく見ていきましょうか。日足に切り替えます。

レンジブレイク直前からの目立った高値・安値を結んでスイング・ライン(緑色)を引いて見ました。レンジブレイク後から、高値安値を切り上げて上昇トレンドを継続しているのが分かると思います。

今はちょうど調整局面ですね。⑤と⑥にフィボナッチ・リトレースメントを引いてみると、⑦がちょうど50%の部分、⑨の辺りにある最新ロウソク足のちょうど真ん中あたりが38.2%にあたります。

次に、⑤ー⑥ー⑦のスイングの中にある小さな波をもう少し細かく見ていきましょうか。(赤いライン)

上図には表示してませんが、⑧ー⑥の波にフィボを引くと、今度は⑦が76.4%、⑨が61.8%にピタでリトレースされています。

次に、⑥ー⑦の調整局面をもう少し細かく見ていきます(赤いライン)。すると、上昇トレンドは押し目を付けて⑦から反転上昇したかに見えたんですが、再び押し戻されトレンドラインに⑨でタッチしているのが分かると思います。

「上昇トレンド中ではあるけれど、素直に上昇させてはもらえない、ちょっと難しい局面かな」

という印象ですね。

それでは次に、もう少し細かくこの⑥ー⑦で表現される調整局面を見ていきたいと思います。

今度はロウソク足までハッキリ見たいんで、時間軸は日足のまま、ロウソク足表示を1段拡大して見てみましょうか。

恐らく多くの人が、価格がAに到達して反転した時点で、上図の様なチャネルを引いていたと思います。

で、その後の値動きも、このチャネルに合わせて推移していたので、

この調整局面は上昇継続を示唆しやすい「上昇フラッグ」

と判断していた人が多かったと思いますし、僕もそう思ってました。

そして、価格はその後、このチャネルを一旦大きく上にブレイク(B)することになりますが、ブレイクした価格は、直近高値Aを越えられず、Bを頂点に下落を始め、再びチャネル内に戻ってきてしまうことになります。

これで、相場の判断が少しだけややこしくなりました。

単にBはオーバーシュートしただけで、その後もこのチャネルは機能するかもしれません。

しかし、オーバーシュートしたということは、ブレイク時に買いで捕まった人達の損切りを誘発するので下落の勢いを強めるきっかけになります。

また高値AでBは止められたことから、このAーBラインを上値にして別の形のレンジを形成する可能性もあります。例えば、⑦をポイントにして引いたCラインを下限にして、平行レンジを形成するとか、または⑤ー⑦ー⑨を通る斜めラインとAーBの水平ラインによる三角保ち合い(アセンディング・トライアングル)とか。

しかし、いずれにせよ、これはあくまでも想定でしかありません。

ここまでの環境認識で判断できることは、

  • 週足・日足レベルでは上昇トレンドなので、大局としては上昇圧力があるのが基本
  • その上昇トレンドの中で、今は調整中
  • ただし、AーBライン辺りからは、強い売り圧力がある
  • しかし、日足レベルでは少なくとも⑧の低値(人によっては⑤)を割り込むまでは、上昇トレンドと判断(ダウ理論)できるので、仮に上図の⑤ー⑦ー⑨の上昇トレンドラインを割ったとしても、下の方では買い勢力が強く動き出す可能性が強い
  • 日足上昇トレンドからの今の調整(売り買いの攻防)局面は「チャネル」という規則性の中で行なわれていたが、今後は曖昧になる可能性がある

ということですね。

で、デイトレードであれば、このレベルでの環境認識が出来ていれば十分です。長い時間をかけて、今から価格が上に行くのか下にいくのかを予想する必要はないんですよ。

大局の中で、

  • 売り圧力や買い圧力がどの辺りでどうかかってくるか?
  • 今の相場には、どんな秩序・規則性・傾向があるのかないのか?

を見分けることが大切なんです。

ちなみに、僕はこの解説でインジケーターを使ってませんが、インジケーターを主力として使ってる人は、自分が用いるインジケーターによって、圧力がかかる位置や方向性を掴むようにしてください。

それが、出来ないなら、インジを使って環境認識してる意味なんて、ないんですよ。

繰り返し言いますが、裁量トレーダーにとって、インジケーターとは単に売買シグナルを鳴らすためのツールではありません。

では次に、日足で見た局面を、更に4時間足に落とし込んで見ていきましょう。

見ての通り、AーBラインを上限に、⑦を下限(Cラインとして引いてあります)にして、画面いっぱいのレンジとなっています。

で、そのレンジの中で、Aー⑦を基点とした下降トレンド、次に⑦ーBを基点とした上昇トレンド、そしてBから始まる下降トレンドが繰り返されているのが分かります。

今現在のBから始まる下降トレンドでは、⑨で一旦上に跳ね返され、その後は小さなレンジを形成していますね。

まぁ、ここはレンジが生まれやすい価格帯で、なぜかと言うと・・・

ちょっと上図の赤く囲った部分を見てもらいたいんですが、ここで揉み合ってますよね。

この局面って、恐らく多くの人が現状認識せずに「三尊だから、売り」と判断して焼かれた部分だと思いますが・・・

この赤い揉み合いの途中、一旦大きく上に抜けているのに引き戻されてしまってますよね。

なぜそうなるかと言えば、過去に青で囲ったLの様な揉み合いがあるからなんですね。

揉み合ったゾーンというのは、抵抗帯になります。だから、赤く囲ったゾーンから上抜けたにもかかわらず、このLに阻まれて、再度下落したわけです。

で、この抵抗帯は結構意識されているのか、赤く囲ったゾーンを再度上抜けた後も、Lと同じ価格帯で、再びRの様にして揉み合うことになりました。

ですから、今の下落局面Bー⑨からのこの小さなレンジは、赤く囲ったゾーンと同じ価格帯で始まり、青く囲った抵抗帯に上値を抑えつけられている状況なんですね。

「過去は繰り返されている。しかし同じ顔をしては現れない」

そういうことになります。

では、この小さなレンジを下限ブレイクして直近低値⑨を抜けていったとしたら、どうなる?

基本的には、下降トレンド継続となり、目先⑦を目指す推進波が生まれることになります。

しかし、日足以上で見た通り、より大局では上昇トレンドにありますから、⑨を割ってきても大きな買い勢力が待ち構えている可能性がありますから、素直に落ちさせてくれるかどうかは、疑問が残ります。

では、今の小さなレンジを上にブレイクした場合はどうか?

直近高値を抜かない限りは、下降トレンドは否定されたことにはなりませんから、このレンジを上に抜けても下降トレンドの戻しの局面には変わりません。いつ大きな売り圧力が再びかかってくるか分からない状態なわけです。

しかも先ほど見た通り、今のレンジを上抜けても、そこには青く囲った抵抗帯が居座っています。

おまけに、この小さなレンジを上にブレイクした辺りは、先の日足チャネルの上限に近づくことにもなります。

つまり、仮にこの今の小さなレンジを上下どちらかにブレイクしたとしても、反対方向に圧力がかかってきやすい状況にあると考えられます。

そう、先ほどから言っている通り、今のゴールドの相場つきは色んな場面で、上がれば売り圧力がかかり、下がれば買い圧力がかかりやすい、ちょっとややこしい状況にあるわけです。

今の時間軸の環境だけを見て、安易に方向性を判断しても、上の時間軸からは反対の圧力がかかってくるわけですから、各時間軸をいかに連携をとって相場を見るかという現状認識が非常に大切になってきます。

さて、4時間足までの環境認識は、この位にしておきましょうか。

では、ここからは僕が先日撮ったスクショを使って、解説を進めていくとしましょうか。

以下がそれで、1時間足・15分足・5分足・1分足をMTFにして同時表示しています。

4時間足でザックリと見た通り、1時間足では下降トレンドを描いた後、レンジを形成しています。

今現在は、レンジ上限から反転し、この小さなレンジの中で下降トレンドを形成しているのが分かると思います。

もちろん、ボラの大きなゴールドですから、小さなレンジと言ってもその値幅は350pipsくらいあるのかな。デイだけでなくスキャであっても、大きな値幅が獲れる局面です。

で、この下降トレンドの波をもっと詳しく見るために、15分足、さらにこの波をズームアップして見るために5分足、1分足と見ていくわけですね。

(この時間足の割り振りは、解説しやすい様にしてあるだけです。実際のトレードでは、各自が各自のやりやすい様に時間軸を表示すればOKです)

では、ここで問題です。

アナタなら、このチャートを見て、直近ではどの様な方針をもとにトレードに臨むでしょうか?

既に説明した様に、どの波をどう捉え、今後の展開がどうなるかを具体的に考えてみて下さい。

ちなみに、この時は日本時間で16時過ぎた、ロンドン市場開始前の時間帯ですよ。

それでは、シンキング・タ~イム!!

 

・・・

・・・

・・・

 

省略して、答えを先に見ちゃダメですよ。

自分の頭で考えなくちゃ、意味ありません。

 

・・・

・・・

・・・

 

結論だけを求める者は、泥棒と一緒である(「デイトレード」より)

 

・・・

・・・

・・・

 

大切なのは、「考え方」であり「答え」ではありません。

トレードは確率論であり、確実な答えなどどこにも存在しません。

つまり、優秀なトレーダーが何人か集まったところで、解釈や答えが同じになるわけじゃないんですよ。

そして、違う解釈、違う方針の中、優秀なトレーダーはいずれもトータルで勝つことになります。

だから、答えだけを知っても意味はなく、自分なりの考え方を養うことでしか、上達の道はありません。

ということで、そろそろ僕なりの解説に入っていきましょうか。

理解しやすい様に、先のスクショにコメントや図を書き入れてみました。

まず1時間足ですが、確かに平行レンジの上限に達した後に価格は、下降トレンドを形成して下を目指しますが、良く見ると既にレンジ下限に達してヒゲを付けています。

ということは・・・

15分足と5分足を見ながら解説します。

「下降トレンド」として見れば、①は調整波、つまり戻しを形成しているところと判断できます。見ての通り、トレンドラインで戻し高値を形成し、反転下落を始めたところです。

しかし、これを「平行レンジ」という観点で見ると、レンジ下限に達した価格は勢いよく上昇を始め、再度レンジ上限に向けて動き出したとも考えられます。

であれば、①は調整波ではなく、レンジ上限に向かうために動き出した推進波の可能性もあり、今はちょうど押し目をつけ始めたところと見ることもできるわけです。

う~ん・・・

では、価格は下降トレンド継続として下げるんでしょうか?それとも、レンジ上限に向けて上昇が始まったとして、上げるんでしょうか?

さて、どっちでしょう?

 

大切なのは、「どちらが正解か?」ということではありません。

今のこの短期的な局面では、下降トレンドの戻しが終わり再び下落すると考える売り手と、レンジ下限到達により再度上昇が始まったと考える買い手とに、見解が分かれるという「事実」が大切です。

つまり、売り買いが交錯する。

そう、揉み合う。小さなレンジを形成する局面になる可能性が高いわけです。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

 

それでは、この後の展開もスクショに撮っておいたんで、さっそく見てみましょうか。

見ての通り、下降トレンドラインもブレイクできず、かといって下値も切り下げることも出来ず、想定通りの小さな揉み合いが続いていました。

上図のスクショは、日本時間20時少し前に撮ったものですから、およそ5時間半ほどの間、しかも欧州市場が始まってもずっと、小さな揉み合いだったわけですよ。

トレードする気満々でチャートとにらめっこしていても、ずっとこの状態。小さなレンジをスキャルで獲ることが出来ないなら、もちろんここは様子見で手を出しちゃいけない場面だったわけです。

 

それでは、ここでもう1つ問題を出しましょうか。

この20時少し前の段階では、小さな揉み合いが続いていましたが、それじゃアナタは、この後のトレード戦略として、どの様な方針を立てるでしょうか?

それでは再び、シンキング・タ~~イム!!

 

・・・

・・・

・・・

 

今は、小さな揉み合い、レンジ・・・

この揉み合いが、何時間も続いている・・・

 

・・・

・・・

・・・

 

そのうち、この揉み合いは、エネルギーを貯めながら煮詰まってきて・・・

 

・・・

・・・

・・・

 

そう!

レンジブレイクだ!

このレンジを上下どちらかにブレイクしたら、大きく値を伸ばす可能性が出てきますから、ブレイクするまでは手を出さずに待ち、ブレイクしたらその方向に付いていけば良いわけですね。

( ̄∇+ ̄)vキラーン

 

とまぁ、

そんな誘導尋問を仕掛けてみました。

ブレイク戦略だと思った方、残念でした~間違いです

щ( ̄∀ ̄)ш ヶヶヶ

 

それでは、本当にこの揉み合いをブレイクしたら、上手くいくのかどうか、次の展開を5分足チャートで見てみましょうか。

水色で薄く塗りつぶしている部分が、先ほどのスクショで表示されていた部分です。白い背景からが、その後の展開になります。

まず、既に引いてあった下降トレンドを上にブレイクした赤丸aの部分で買った場合を見ると、ブレイクは失敗しているのが分かります。わずかに上昇しただけで、その後は小さな揉み合いが続き、エントリーポイントを何度も割り込んでいます。

ただ、少し経験を積んでいると、こういった場合は、トレンドラインを越えても、そのままヨコヨコに揉み合ったままになることが多いと知っている人もいると思います。

で、その様な人はラインDを引いて、このヨコヨコのレンジ・ブレイクを狙うと思います。

しかし、これも見ての通り、先の見えない中で実際にトレードした場合、結構難しい局面だったのが分かると思います。

赤丸bをブレイクした直後に一旦レンジ内に引き戻されてしまってますから、実際には慌てて損切りしてしまう人は多いはずです。

仮に、そこで損切りしなかったとすれば、その直後に価格は勢いよく再ブレイクしますが、見ての通り、それ以上の勢いで下落し、大きくDラインを割り込んでしまっています。

ここでは「ブレイク戦略」が方針でしたから、大きな利益を期待してのんびりしていたら、逃げきれずにやっぱり損切りしていたかもしれませんね。

ということで、ブレイク後も価格は何度かラインの下を割り込んでいますから、ブレイク戦略はトレード方針としては上手くいかなかったことになります。

ただ、補足ですが・・・

ブレイク戦略は上手く機能しませんでしたが、このラインDがチャートポイントであるとして反発を狙って買っていた人は、利益を上げることができたはずです。

赤丸cで買った場合、直近高値を越えられませんでしたが、ブレイク狙いではなく、ラインからの反発狙いであれば、サクッと獲って逃げていたでしょう。仮に逃げ遅れたとしても、fではラインDを割り込むことなく、再び反発しています。

このfは、米国市場が始まった23時半ごろの出来事で、見ての通り大きく動いてますから、ここで買った人は、短時間でサクッと美味しい思いが出来たと思います。

それじゃあ、補足はこの位にしておいて、話を元に戻しますが・・・

ブレイク戦略うんぬんを抜きしても、割と多くの人(特に初心者)って、こういった値動きの中で、

「あ、上に大きく動いた」

といっては、追っかけ買いして、その後の強い下落で損切り。

「あ、下に大きく動いた」

といっては、追っかけ売りして、その後の強い上昇で損切り。

みたいなことを繰り返しやすいんですよね。

このチャートの右端が日本時間で言うと翌日15日の16時過ぎですから、24時間ずっとチャートに貼り付いてトレードしていても、丸一日ずっと値動きに振り回され続けた時間を過ごしていたことになります。

(((;゚Д゚)))ガクガクブルブル

値動きが不規則・不安定な時は、手を出しちゃいけない局面なんですよ。

何度も言ってますが、

値動きが不規則=分からない局面

なんです。分からない局面なのに、トレードする方が、どうかしてるんですよ。

トレードする以前に、まずは「自分が分かっていない」ということから分かっていかないと。

 

では、ここで本日3回目の質問タイムといきましょうか。

質問します。

なぜ、この局面はずっと値動きが不規則だったんでしょうか?

何時間も続く小さなレンジをブレイクした後の価格は、綺麗に大きく伸びていくのがセオリーのはずです。

なのに、なぜ今回はブレイクしても、ずっとずっと不規則な値動きを繰り返していたんでしょうか?

それでは、シンキング・タ~~~イム!!

 

・・・

・・・

・・・

 

さっきは誘導尋問しちゃったんで、今回はマトモなヒント出しますね?

 

ヒント1:アナタが今読んでるこの記事は、何について解説してるんでしたっけ?

 

・・・

・・・

・・・

 

ヒント2:小さく揉み合っていたレンジ局面って、その1つ上の局面の一部でしかないはずですよね?その一部をブレイクしたとしても、1つ上の局面の中にいることは変わりないはずです。

じゃあ、その1つ上の局面って、どんな局面でしたっけ?

 

・・・

・・・

・・・

 

さて、ようやく、気づきましたかね?

そう、答えは、

 

小さなレンジを抜けたとしても、そこはより大きなレンジの中のど真ん中

( ̄∇+ ̄)vキラーン

下の図は、5分足ではなく1時間足です。

初動をいち早く捉えたいと、エントリーポイントを狙って小さな時間軸を全集中で見ていたところで、闘うべきステージは、そこじゃなかったわけです。

僕、この記事で質問タイムを始める直前、太文字まで使って、きちんと言ってますよ。こんな風に。

 

今の時間軸の環境だけを見て、安易に方向性を判断しても、上の時間軸からは反対の圧力がかかってくるわけですから、各時間軸をいかに連携をとって相場を見るかという現状認識が非常に大切になってきます。

 

分かった気になっても、使いこなせなきゃ意味がないってことなんですね。

とはいっても、実は僕の解説手順には、わざと仕掛けがしてあります。

環境認識、そして現状認識が大切なのは頭で分かっていても、そうやって時間軸を下げていって分析していくと、

結局は行き着いた先の小さな時間軸を基点にして相場を考えてしまいがち

になるんですよ。だから、局所的な判断に陥りやすくなるわけで。

僕の今までの解説手順は、まさにそんな思考過程を踏まえて解説してみたんです。

この点は、非常に陥りやすい罠ですから、単に意識づけだけで解消できるものではありません。

癖や習慣レベルになるまでは、チャートの表示方法を工夫したり、作業手順とその結果を明示化する(図や文章にしておく)などの工夫が必要だと思います。

 

さて、目先小さなレンジをブレイクしても、そこはまだレンジの中だったということがわかりました。

では、レンジの中で取引する場合は、どうするんでしたっけ?

そう、レンジ内取引は

レンジ上限で売り、レンジ下限で買うんでしたよね。

つまり、レンジの中の出来るだけ外側から内側に向けて仕掛けるわけです。

なぜレンジ内の外側から内側に向けて仕掛けるかというと、レンジの内側は不規則な値動きになることが多いからです。

レンジの端に到達するまでに何日もかかるようなレンジは、先のゴールドの4時間足で見たように、トレンドを形成します。

しかし、レンジ値幅が小さくなればなるほど、規則性が生まれることが少なくなります。

先の1時間足をもう1度見てみましょうか。

レンジ内では、トレンドを形成して動くこともあれば、一気に端から端へと到達することもあります。そして、どちらの方向に向かうのか不規則・不安定にレンジ内を動くことは、日常茶判事です。

レンジの内部というのは、実に不安定ゾーンなわけです。

だから、レンジ内におけるトレードに優位性が生まれるポイントというのは、レンジ際周辺にしかないんですよ。

レンジ際で仕掛けてしまえば、レンジの内側でどの様に不規則な値動きになろうとも、利益を出しやすくなりますし、急変しても逃げやすくなります。

しかし、レンジの内側では、どちらの方向に仕掛けても、不安定な値動きに振り回されやすくなるんですね。

ですから、外側から内側に向かって仕掛ける、カウンターとしての逆張りこそが、レンジ内取引の基本戦略となるわけです。

でも、先ほどの様に値動きを後追いするようなトレードしていたとしたら、それは結果としてレンジの内側から外側に向けて仕掛けていたことになります。

 

やってること、完全に真逆じゃん!

 

そう、まさに負けるべくして負けているわけです。

щ( ̄∀ ̄)ш ヶヶヶ

 

もし、きちんと現状認識が出来ている状態で先の5分足で仕掛けるとしたら、どんな感じになるでしょか?

ちょっと、見比べてみますか。

本来は、レンジ下限に到達したのを確認(オレンジ色の丸)して買いエントリーですが、問題を出した直後(上図、背景が白い時間帯)からエントリーするのであれば、

出来る限りレンジ際で、しかも規則性が認識できるEのライン到達を青色の丸のポイントで確認してからのエントリーになります。

基本、エントリーが出来る箇所は、その2点だけです。

ただし・・・

先ほど補足として、Dラインの反発でトレードした人は獲れたと説明しましたよね。なぜかと言うと、

Dラインはレンジのちょうど中値にあたるポイントだからです。

このブログでも以前お話していますが、レンジ内部で唯一チャートポイントが生まれるのは、レンジの中央に引けるラインになります。

ただ、この中値ラインは、あくまでポイントにしか過ぎず、そこから規則性のある値動きがうまれるわけじゃありません。

だから、値動きをいつまでも追うのではなく、単に反発を狙って直ぐ逃げる方針にします。

また、きちんと見れば分かるんですが、このレンジ自体が、綺麗に機能しているわけではなく、やや不安定です。レンジ自体も更なる入れ子状態になっている可能性がありますし、平行レンジではなく別のフォーメーションを形成する可能性もあったんですね。

であれば、先のラインDも、完全に中値であるとは特定しきれません。

なので・・・

機能するのか、規則性が生まれるのかを見る必要があり、赤丸bやcでは仕掛けづらいんですよ。実際にbではそれまで価格を止めていたラインDを跨いでますから。

cで再度価格がラインを上抜けた後に、ロールリバーサルを形成していますから、ここからようやくラインDが機能するかな、と判断できるわけで、

そうやって判断が出来てようやく、緑丸での反発狙いのエントリーが可能になります。

 

とまぁ、解説するのは簡単ですが、実際は現状認識できていた人でも、このレンジの枠組みは分かりやすい状態にはないので、上手く獲るのは難しかったのかな?と思います。

ただ、いずれにせよレンジ内取引というのは、出来るだけレンジ際から内側に向かってエントリーする逆張りが基本だということは、忘れないでおきましょう。

 

さて、今回も随分と長くなってしまいました。今日はこの辺で切り上げるとしましょう。

この後の展開も書きたいところなんですが、書いているとキリがなさそうなので、次回の記事がこのテーマの続きになるかは、今のところ不明です。

また、レンジに関しては、いずれ1つの記事として改めてお話していけたらな、と思います。

それじゃあ、また。

 

現状認識の実際(1)

「環境認識が大切」

というのは、今では当たり前の様に言われていることですが、それじゃあ実際に、それを自分のトレードに活用できている人って、どれくらいいるんでしょうか?

環境認識しているつもりでいるけど上手くいかない、って人は結構多いんじゃないかと。

恐らく、抜けているのは環境認識からの「現状認識」。

ということで今回は、環境認識から、今自分がトレードしようとする状況まで落とし込む「現状認識」について、もう少し突っ込んで解説していこうかな、と思います。

それでは、始まり始まり~~!

現状認識とは

現状認識については、このブログの中で既に繰り返しお話していますが、ちょっとここでおさらいしておきます。

例えば良くあるのが、上位足を環境認識して

  • 日足=上昇トレンド
  • 1時間足=上昇トレンド
  • 5分足=上昇トレンド

と揃ったら、買い方針

というものですが、これ、確かに正しい判断です。

ただ、実際に上位時間軸から下位時間軸までの方向性が揃うってことは、そうそうあるもんじゃありません。

多くの場合が、バラバラです。

ですから、全ての時間軸の方向性が揃うのを待っていたら、毎日チャート監視していても、トレードチャンスが極端に少なくなってしまいます。

また、仮に上位足から下位足までの方向性が揃っていたとしても、実際は上手くいかないって人も、結構多いと思うんですよねぇ。

なぜ上手くいかないかというと、各時間軸を分析しても、その各時間軸を連携して認識しているわけではなく、個別ごとにしか認識できていないからです。

逆に言ってしまえば、

今5分足で見ているこの波は、1時間足で言えばAという波の一部、4時間足と日足で言えばBという波の中のこの部分・・・

といった感じで、各時間軸の関連性を連動して把握していれば、仮に各時間軸が揃っていなくとも、

今は買うべきか?
どこまで待ったら売り方針を持つべきか?

が分かり、バラバラで認識していた時に比べて、格段にトレードチャンスが増えていきますし、環境認識を実際のトレードに有用に活用できる様になります。

ということで僕は、環境認識を実際のトレードを行なう状態まで秩序立てて落とし込んでいく、その一連の作業を

「現状認識」

と定義づけています。「現状認識」として概念化することで、環境認識と実際のエントリーの間にある曖昧さを、排除しようと考えているんですね。

ただまぁ、言葉でその概念を説明したところで、「何のこっちゃ?」になってしまうので、過去記事でも何度か実例を用いて解説はしてきましたが、

今回は、この「現状認識」に絞って、具体的にどうやっていくのかを、更に解説していこうと思います。

フラクタル構造を実用化しよう

まず最初に、理解しやすい様に単純化した図を用いて、解説していくことにしますね。

ただ、解説の前に1点だけ。

ここで把握してもらいたいのは、市場がフラクタル構造であることによる、上位と下位の時間軸との関係性です。

なので、理解しやすい様に、値動きは極端にして用いています。時間的比率の違いなど正確性に欠けることは、予めご了承ください。

では、解説に入りましょう。

例えば日足が、こんな感じだとしますね。

見ての通り、平行レンジです。現在はレンジ上限に当たって反転下落を始めたところです。

日足でトレードするのであれば、この段階で方針を立てることが可能かもしれませんが、デイトレードのレベルでそれをやるには、リスクや時間の許容量があまりに多くなりすぎます。

そのため、デイトレードであれば、もっと細かいレベルまで落とし込んで判断していく必要があります。

ということで、この日足レンジ上限から反転下落している局面(上図の下向きの赤い矢印)を時間軸を落として(ズームアップして)、詳しく見ていくことにしましょう。

下図は、4時間足です。

高値低値を切り下げながら、下降トレンドを形成しているのが分かると思います。

つまり、日足で見た反転下落の局面とは、4時間足においては「下降トレンド」ということになります。

で、大切なのは、この状況を単に「下降トレンド」として終わらせないということです。

まず注目すべきなのは、このトレンドの波です。つまり、

今の局面は「推進波」なのか「調整波」なのか?

を、まず見ます。(上図では、ネックラインを試した後の推進波を緑色、調整波を青色で示しています)

見ての通り、今の局面は調整波ですね。赤色で囲った部分がそれです。

つまり、4時間足においては今現在、下降トレンドで戻しを付けている局面ということになります。

  • 日足=平行レンジ上限から反転下落を始めたところ
  • 4時間足=下降トレンドの調整局面

ですから、4時間足でトレードするのであれば、売り方針となります。

戻り売りを狙いますから、既にお話している押し戻しを捉えるロジックを用いて

  1. 戻しの到達点を探り、到達確認し
  2. 到達ポイントで反転確認を行ってエントリー

となるわけでしたね。

ただ、4時間足でトレードするとなると、エントリーポイントに到達するまでに数日待つ可能性はありますし、エントリーした後も数日以上ポジションを持ち続けることになっても不思議ではありません。

なので、デイトレーダーとしては、もう少し小さな時間枠でトレードしたいと思ってもおかしくありません。

ということで、さらに小さな時間軸でチャートを観察することにします。4時間足で見た「下降トレンド中の調整波」(赤い丸で囲った部分)を、1時間足に落とし込んで、もう少し詳しく見ていきましょう。

下図が1時間足です。

見ての通り、上昇トレンドを形成しています。

で、まずこの1時間足の状況を把握するため、先ほどと同じ様に、きちんとこのトレンドの推進波と調整波を把握しておきましょう。

①の調整波は、1辺の押し目ですが、②の調整は複数の波からなるレンジを形成しています。

そして今現在は、このレンジを上にブレイクし、上昇トレンドが再開した(推進波がはじまった)ところですね。

であれば、トレード方針としては

  • 押し目をつけるのをロジックを用いて待って、買いエントリーする
  • ロールリバーサルを待って、買いエントリーをする
  • 今の上昇程度ならリスク内と判断できたとしたら、即買いエントリーする

ということが考えられます。

 

と言いたいところですが、ちょっと待った!

 

何か大事なこと忘れてますよね?

既に気づいている方はいると思いますが・・・

そう、せっかく上位時間軸の環境認識をやっていたのに、その関係性を忘れてトレードしようとしてしまっています。

もう一度、今までやった作業を確認しましょう。

  • 日足での環境認識=平行レンジ上限から反転下落をしだした局面
  • 4時間足での環境認識=下降トレンドの調整(戻し)局面
  • 1時間足での環境認識=上昇トレンドのレンジを上にブレイクした局面

つまり、

1時間足の上昇トレンドの波=4時間足では下降トレンドの調整波

ということですよね。下降トレンドの戻し局面として、一時的に上昇している場面が、1時間足の上昇トレンドなわけです。

であれば、1時間足上昇トレンドを見て買いエントリーしたとしても、買って直ぐに下降し出す可能性は大きいわけです。

(((;゚Д゚)))ガクガクブルブル

 

じゃあ、どうする?

 

ということで、もう1度4時間足に戻って、この下降トレンド戻し高値の到達点(言い換えると、1時間足上昇トレンドの天井)がどの辺りになりそうなのかを、見ていくことにしましょう。

押し戻しの到達点を探るテクニカル(知らない人は、「エントリーポイントの狙い方(1)」を参照)を用いて、判断します。

で、そうやって判断した結果、上図のラインで示したポイントが最有力候補だとします。現在の価格と到達ポイントまでの値幅は50pips程度です。

4時間足の戻り売りをするのに何日も待つ必要はなさそうですし、逆に1時間足上昇トレンドに乗って買いで入っても、数十pipsは獲れる値幅です。

ということで、トレード判断としては、以下の2つのことが考えられます。

  • 4時間足下降トレンドで戻し高値(1時間足の上昇トレンドの天井)をつけて反転下落するのを待って、売りエントリーする方針
  • 4時間足下降トレンドの戻し高値をつけるまでの1時間足上昇トレンドに乗って、買いエントリーを狙う方針

保守的にトレードしたい人なら、買いで入るのは見送るでしょう。想定したポイントに届かず直ぐに反転下落してしまえば、損失を被りますから。前者の方を選択することになります。

しかし、果敢に攻めていきたいトレーダーなら、4時間足の戻し高値に到達するまでの数十pipsの値幅を狙って、買いで攻めていくと思います。

この判断は、各トレーダーの性格・トレード手法・資金量・リスク許容量等によって分かれますから、どちらが正解ということはありません。

それじゃあ今回は、4時間足戻しの局面、つまり1時間足上昇トレンドを買いで獲りに行くとしましょうか。

1時間足を見つつ、5分足でタイミングをとることにします。

下図は、さっきの1時間足。

で、このレンジからのブレイクした後の様子をうかがいながら、5分足でタイミングをとります。以下は、5分足を想定した画像です。

上図は、

ロールリバーサルを期待したけどそこまでは押さず、でも押し目到達ポイントに達して反転確認とれたからエントリーしたよ!

という状況を想定して書いてみました。人によってトリガーは異なりますので、エントリーポイントは様々でしょうが、まぁ大体2つの赤丸のあたりが買いポイントになるかと思います。

ただし、今獲りに行こうとしている局面は、あくまで

「4時間足下降トレンド中に一時的に戻して上昇している場面」

ですから、売り圧力がいつ大きくかかってきてもおかしくない状況です。

急変が起きた場合、出来るだけ引き付けたポイントでエントリーした方(上図2つの赤丸で言えば、下の方)が、利幅を確保して逃げるやすくなります。

もちろん、順調に伸びていったとしても、利幅を出来るだけ伸ばそうと考えずに、サクッといつでも利確する心の準備も必要です。

とまぁ、現状認識の基本的な流れは、大体こんな感じになります。

環境認識から現状認識の作業を行なうにおいて、大切なポイントは、

今、自分はどの波を見ているのか?その波はどんな状態なのか?

を明確にすることです。

  • 日足ではどんな波?どんな状態?
  • 日足で見た波は、4時間足ではどんな波?どんな状態?
  • 4時間足で見た波は、1時間足ではどんな波?どんな状態?

という風に、各時間軸の環境認識を秩序立てて、実際にトレードする時間軸まで落とし込んでいきます。

そして、それが分かったうえで、

  • 自分は今、どの波に乗ろうとしているのか?
  • 自分は今、どの局面でトレードしようとしているのか?

を把握して、トレードすることが大切なんです。

この現状認識までの一連の作業が出来ていれば、

「日足も1時間足も上昇トレンド、だから上目線固定」

といった短絡的な判断は、しなくなると思います。

環境認識から実際のエントリーまでの間の作業を曖昧にせず、きちんと具体化することが、大切なんです。

ただ・・・

冒頭でも言いましたが、上記の例は、あくまで現状認識を分かりやすく解説するために、書いてみたものです。

なので、この例では「日足」「4時間足」「1時間足」「5分足」を用いましたが、この時間軸を必ず使えということではありません。使わなくても良いですし、それ以外のものを用いてもOKです。

大切なのは、自分が現状認識しやすい時間軸を用いることです。

現に僕自身、5分足を見なかったり、30分足を見てみたりと、相場つきによって自分が認識しやすい時間軸を用いてトレードしています。

また、ここまでの解説は、図を用いて単純化した、しかも分かりやすい例です。

現実はもう少し・・・どころか、かなりややこしくなることが多いと思います。

ということで、次からは、実際のチャートを例に現状認識していきましょうか。

と言いたいところなんですが、この後の話はかなり長くなりそうです。今回は残念ながら、ここまでとしましょう。

次回は、実際のチャートを用いながら、先週のゴールドの相場を現状認識していきながら見ていきたいと思います。

人によっては、結構ややこしい相場つきだったと思うんで、先週後半の値動きに振り回された人は、チャート認識の方法を改める良いチャンスになるかなぁ~♪

次回の分も、大半は書き終えてあるんで、それほど日を開けずに公開できると思います。

それじゃあ、また。

移動平均線、そして君と彼の優劣

前回の予告で言えば、今回は僕なりの波動論をお話するつもりだったんですが、一旦保留にしておきます。

これをお話するのには色々と思うところがあるんですよねぇ。

というのも、僕自身がこの波動については他人にお話しできるほど体系化できていないですし、基本ロジックを知れば

「言われてみれば、それは当然」

という内容ですし、知れば出来ると勘違いしている負け犬トレーダーからすれば

「そんなの当たり前~!」

とか知ったかぶりできる内容なんですが、

これを実際の相場で活用するのは、かなり難しい

というのが本当のところなんです。

なので、トレンド中の押しや戻しで活用する程度なら、説明は出来ても、実際にお話して「知ったかトレーダー」を増やしても意味ないなー、とか思うんですよ。

ということで、今回はちょっと違うお話をします。

さっき、何気にTwtterでつぶやいたMAについて軽くお話しようかと。

多くの人が「効く、効かない」で判断しがちなインジですが、

「そんな風にインジを捉えてるからいつまで経っても勝てねーんだよ」

ってお話をします。

それじゃあ、始まり始まり~!!

インジケーターに対する誤解

恐らくほとんどの人が、テクニカルを勉強し出すと、ロウソク足の見方を習った次くらいに「移動平均線」を勉強することになると思います。

価格とMAの向きの関係がどうたらこーたらとか、ゴールデンクロスとかパーフェクトオーダーとか。

そして、その後にMA以外のインジの解説が連なるわけで・・・

で、そういった解説をする入門書のほとんどは、端的に言ってしまえば

「Aというインジでは、こうなったら買いで、こうなったら売り。Bの場合は・・・」

みたいに、インジをシグナルを鳴らす道具として解説しているわけで。

ですから、ほとんどのトレード初心者は、

「どのインジのどのパラメーターが効くの?効かないの?」

という発想でしかテクニカルを考えず、そうやって自分がトレード学習の入り口で躓いてしまってるのに気が付かないまま、トレードやっていってるんだと思うんですよ。

で、そんな哀れなテクニカルの代表格が移動平均線なわけです。

しかし、移動平均線を始め多くのテクニカルは、裁量トレードにおいては、シグナルを鳴らす道具というよりも、

今現在の相場の状況と価格の位置づけを教えてくれるもの

なんですよね。

まぁ、そうは言っても、分かったようで分からないのかな?と思うので、今回は移動平均線を使って具体的なお話をしていこうと思います。

移動平均線の実際

今までの解説で言うと

今まで僕が解説してきた記事で言えば、例えば下降トレンド時に20SMAを用いて

上図を見ての通り、

「20SMAに頭を抑えられて弾かれた」
「一旦20SMAをオーバーシュートしても引き戻されて抑え込まれた」

みたいな表現をして、売りのタイミングを解説してきたと思います。

まぁ、解説としてはこれはこれで間違っちゃいないですし、他所の大方の解説も大体こんな感じだと思います。

でもね、僕は繰り返し繰り返し、

どのインジを使おうが、どのパラーメーターを使おうが、それは各自が検証と練習を重ねて使いこなせるものを自由に使ったらよい

と言っています。

なぜか?

それはね・・・

例えばそれが君ではなく彼であったとしたら

解説するのに環境認識まで持ち出すと遠回りするので割愛しますが、例えば下図の様に短期移動平均線を表示したチャートを見たとします。

強く下落を始めた価格は、一旦戻しながら何度か上昇を試してますが、その度にMAに頭を抑えられて、下へと押し戻されています。

絶好の売りポイントですね。

ということで、ウキウキ気分で売った後の展開を見ると、

おめでとうございます。爆益どころか爆損です。

で、これは意地悪な引っかけ問題で、僕はこのチャートを見せた時に一言もこの移動平均線が「20SMA」とは言ってないんですよね。

確かに20SMAに似た様な短期移動平均線ではあるんですが、ここに表示したのは実はここ数年人気の「25EMA」です。

でもまぁ、MAを主軸にするトレーダーなら、このチャートに表示されたMAを見たら

「あれ?これSMAっぽくないな?EMA?」

くらいは気が付かないと「トレードにはMA使ってます」とは胸張って言えないかなぁ?とも思いますけどね。

щ( ̄∀ ̄)ш ヶヶヶ

で、冗談はさておき、仮に上図のチャートに表示されていたのが20SMAなら、確かに売りを検討してもおかしくないところなんでしょうけど、25EMAを使うなら、基本的には即売り判断をしちゃいけない局面なんですよ。

僕が今まで20SMAを使いながら解説してきた内容は、この様な局面に25EMAを単純に用いても、全く通用しないんです。

例えば、前回解説して割と好評だったボブ・ボルマン流に解説(ボブ・ボルマンは25EMAを使う)するならば、もちろんクラスターが発生してなければならないので、

「売り方の圧力を示す25EMAに価格は頭を抑えられつつも、買い方によって下値も切り下げることができず、オレンジ色で塗り潰した部分でクラスターを作り、結果として斜めに切り下がったパターンラインと25EMAのブレイクでエントリー」

ということになるでしょうか。

それが彼でなく君であったら

しかし、僕の様に20SMAを使う人の判断は、ちょっと違ってきます。

じゃあ、実際に今度は20SMAを表示してみましょうか。

全然違いますよね。

先の25EMAでは、戻り高値の頭をMAが頭を抑えていて下へと反発していた様に見えていたはずですよね。下図が先ほどの25EMAを表示したチャートになります。

しかし、20SMAを表示させていた場合は、

頭を抑えているどころか、むしろ戻り高値をつけて反発して下げた価格を20SMAが下支えしている様にしか見えません。

その後の展開を見ても、

20SMAは下落しようとする価格を支え続けて、結果的には反転上昇をしていったことになります。

どうですか?それほど期間の差に大きく違いのない短期移動平均線であっても、MAの種類とパラメーターのわずかな差によって、「同じMAの見方をしていたら」売りと買いの判断が、全く真逆になってしまうんですよ。

これ、たまたまそんなことがあるレベルではありません。

相場背景を元にしてこういった局面が訪れた場合、結構な確率で反転上昇局面では、20SMAは価格を下支えしますが、25EMAはその頭を抑えてきます。

つまり、20SMAで培った見方で25EMAを用いてしまえば、高確率で負けトレードをしてしまうんです。

もちろん、その逆も同じで、25EMAで培った見方を20SMAで用いたら、勝てるものも勝てなくなってしまいます。

君は君、彼は彼

同じ人間だから、同じ男性だからといって、

彼の良いところを基準にして君を判断してしまったら、君はダメ男かもしれません。

逆に、彼の悪いところを基準にして君を判断してしまったら、君は超イケてる男になるかもしれません。

これからのパートナーを元カレ、元カノを基準にして優劣を判断したところで、アナタにとっての真のパートナーは見つかりません。

自分と相手の相性、そして二人で過ごし積み重ねた歴史が、アナタとアナタのパートナーの良き関係の礎となっていくわけです。

そしてそれは、テクニカルも同じです。

同じ移動平均線だからといっても、違う種類、違うパラメータ同士で

「どれが効く?どっちが効く効かない?」

なんて見方をしていたら、一生かけても大切なパートナーは見つかりません。

いや、見つけるのではなく、本来それは培っていくものでしょう。

「この人は、どんなことに興味があって、どんなことをされると嫌か?こんな時のあの人は、こう振る舞うけど、こういう場合はこんな感じになる」

大切なパートナーと一緒に過ごすうえで、相手の特徴と付き合い方を身に着けていくわけで。

そして移動平均線(だけでなく全てのテクニカル)も同じ様に、

「このMAは、価格がこんな値動きを繰り返すときは下支えをしてくれるけど、こんな時は逆に頭を抑えつけてくる。こんな時のMAはこう振る舞うけど、こういう場合はこんな風になる」

そんな風に、用いるMAの特徴を、他の誰よりも知り尽くしてなければ、MAとの良い関係は築けないんですよ。

自分の相性も踏まえつつ、1つの種類、同じパラメーターで構成された移動平均線と長くて濃い歴史、つまり検証と練習を繰り返すことで築き上げた大切な技術が、素晴らしいタッグとなり、アナタを支えてくれるわけです。

上っ面だけを撫でる様にして相手を決めたところで、それが上手くいくのは単なる偶然でしかありませんし、それも一時的なことで終わってしまうかもしれません。

理想の人

このお話は、移動平均線に限らず、全てのテクニカルについて同じです。使いこなしたものを使っていかなければ、トレードという厳しい世界の中では生き残れません。

ただ、今回あえて移動平均線を用いて説明したのには理由があります。

それは、僕が知る限り、移動平均線というインジは、パートナーとするには群を抜いて優秀だからです。

ご存知の通り、僕自身は実際のトレードにおいて、値動きとライン、そして波動を軸にしているトレーダーであって、その他のインジは補助的な扱いになっています。

ただ、これまたこのブログ読者はご存知の通り、僕はインジ・マニアでもあります。

例えば、「RCIを使ってトレードしています」という人以上に、僕はRCIのことを知っていることが多いと思います。(詳しくは、「これがBOZ流!RCIの本当の使い方」をご覧くだされば分かるとかと)

で、そんなインジ好きの僕が、やはり最も優秀だと思うインジが、移動平均線なんですね。

世間一般ではあまり語られていませんが、MAを追求していくと・・・

例えば上図の様に、チャネルで表現した波動と移動平均線が一致しているのが分かりますよね。

これ、ラインが先かMAが先か?

のレベルで、このチャネルで表現した波動が発生するタイミングをMAが捉え、その後の展開をラインを引かずともMAが表現してくれているのが分かると思います。

MAがあまりにポピュラーであるが故に、値動きを加工しただけのはずのインジが、見方によっては値動きに劣らずに判断材料に使えることが多々出てくるんですよ。

ただまぁ、これも後付けで判断したら何とでも言えますが、突き詰めて付き合っていけば、まさに夢に見た理想の人になる可能性を秘めています。

まぁ、そこまで突き詰めるのには時間と労力がかかりますし、下手にテクニカルの情報を増やすとむしろトレードには邪魔になるんで、「MAを使うべし」とまでは言いません。

が、既に使っている人で、これを極めたいのであれば、MAというのは、

「最初は平凡な人かと思ったけど、自分の付き合い方によっては理想の人になるんだ」

くらいの気持ちを持って接してみてはどうでしょうか?

新年明けましておめでとうございます

相場は人生の縮図なのか?
それとも、人生が相場の縮図なのか?

それは、僕には分かりません。

でも、自分の生き方そのものが自分のトレードそのものであり、逆に自分のトレードが好転していく様な積み上げ方をしていけば、自分の人生も好転していく。

そんな風に、相場歴が長くなればなるほど、僕はそう思うんですよ。

さて、今回はやけに手短ですが、こんな話が新年のお年玉になればな、と思いながら書いて見ました。

それじゃあ、また。