エントリーの背景(1)

前回は、エントリーポイントを捉えるための基本的な考え方をまとめた復習的なお話でした。

で、今回はもう一歩実践的なエントリーポイントについて踏み込んいこうと思って書き進めてたんですが、

「ちょっとこの辺、理解している前提で書き進めて良いのかなぁ?」

と気になるところがいくつかあったので、止めました。

ということで、今回はエントリーポイントそのものではなく、

エントリーポイントの背景

に焦点を当てたお話をしようと思います。

これに関しても、今まで度々お話してきたことなんですが、やや手短に話していた部分も多々ありますんで、この機会に一度、まとめてお話しておくことにしますね。

これをきちんと踏まえてないと、お門違いなエントリーばかりを狙いがちになってしますので、シッカリと頭に叩き込んでおきましょう。

それでは、始まり始まり~!

エントリーの背景にあるもの

売買には理由がある

トレードする際、売るには売るための理由、買うには買うための理由があるはずです。

まぁ、当たり前の話ですよね。下がると思ったから売ったわけで、その下がると思ったのには「理由」があるはずです。

ところが、勝てない人のトレードにおいては、その理由が曖昧なことが非常に多いんですよ。

もちろん、自分ではきちんと理由があってトレードしている気になっているんですが、

「なぜそこで買ったのか?」

と問いかけてみても、そのテクニカルの根拠をきちんと答えられないことがほとんどです。

仮にその根拠を

「MAが価格と〇〇してて、RCIも△△だったから」

なんて風には言えても、それはエントリー・ポイントを決定した理由でしかなくて、それ以前の

買うべきなのか?
売るべきなのか?

を決定した理由は、言葉に出来なかったりします。

まぁ、だから勝てないんですが。

考えている様で、実は考えていない。分かってる気になって、実は何も分かっちゃいない。分析した気になって、実は先入観と欲望に振り回されているだけ。

それって、トレードあるあるなんですよね。

しかし、きちんとした理由もなく売買して勝てるほど、トレードは甘い世界ではありません。

エントリーするにしても、そのポイント以前の「買うのか?売るのか?」を決定させるその理由、その背景を、自分の頭の中でハッキリとさせておく必要があります。

きちんと背景に沿って、エントリーポイントは探さないと。

しかし、じゃあ

「その背景って、なに?」

と言われると、言葉に詰まる人もいるんじゃないかと。せいぜい言えるのは「環境認識」という言葉くらい。

確かにトレードを学習していると、「環境認識が大切」ということは、嫌というほど目にするはずです。しかし、

「じゃあ、環境認識って、実のところ何?」

と言われると、やっぱり言葉に詰まったり、人によって言ってることがバラバラだったり。実は、環境認識って受け取り方が違うんですよ。

なので、こっからがBOZ流。

他のトレーダーさんの話とは、言葉の定義が乖離してしまうかもしれませんが、僕なりの定義づけをしながら、エントリーにいたるまでの「背景」について、これから詳しくお話しを進めていくことにします。

エントリーまでの過程

僕らトレーダーが、エントリーに至るまでに行なうことは、端的に言って「分析」と「実行」の2種類、そして各々に2種類の手順があります。以下がその内容です。

分析手順

  1. 環境認識
  2. 現状認識

実行手順

  1. セットアップ
  2. トリガー

チャート分析には、環境認識と現状認識があり、トレードを具体的に実行するための手段として、セットアップとトリガーがあります。

「セットアップ」と「トリガー」という言葉は、システムトレーダーならご存知でも、裁量トレーダーにとっては馴染みのない言葉だと思います。「現状認識」という言葉に至っては、僕の完全オリジナルです。

僕らは学者ではないので、言葉の定義に拘る必要はないと思うんですが、正直なところ世の中の常識は、

チャート分析=環境認識
手法=トリガー

といった感じで、誤って捉えられています。

なので、きちんとモノゴトを概念化して、形式知として明確にしておいた方が、これからトレードを頑張ろうと思っている人にとっては、インチキな人たちの戯言に惑わされて、遠回りせずにすむと思うんですよ。

それどこか、各自が自分なりのトレードのロジックや手法を組み立てる際に便利じゃないかと。

ということで、エントリーに至るまでの過程を、これから具体的に解説していきますね。

環境認識と現状認識

分析手段として

チャート分析をする際の手順として、まず環境認識があり、そこから現状分析へと落とし込む作業が必要になります。それぞれについて、詳しく説明していきます。

環境認識とは

環境認識とは、一般的に言えば

「価格は一体、どんな相場環境を前提として動いているのかを、俯瞰して見ること」

となります。

例えばトレードの1時間足のチャートを見たら、上昇トレンドの最中で、絶好の押し目買いポイントに来ていたとします。

もちろん、買いますよね。

でも、買った途端に・・・

上図の様に、思いっきり下げるなんてこと、あるかもしれません。

しかし、日足チャートでこの局面を俯瞰して見ると・・・

実は日足ではレンジを形成していて、買いエントリーした付近は、レンジ上限付近。つまり、絶好の売り場だったりするわけです。

要するに、「木を見て森を見ず」ということなんですね。1時間足チャートで見ているのは、日足からしてみれば、ごくごく局所的な部分でしかないということです。

なので、トレードする際はまず、大きな時間軸から俯瞰的にチャートを見ていくことで、相場全体がどの様な環境、どの様な状況にあるのかを把握しておく必要があります。

そして、それが「環境認識」です。

トレードする部分的な局面ではなく、もっと大局から相場環境を把握していくことを「環境認識」と言うんですね。

でも、しかし・・・

相場を俯瞰して見るといっても、僕らはチャートから一体何を見ようとするんでしょうか?

その答えは、

「今現在の相場環境には、どの様な秩序や規則性があるのか?」

ということになります。

秩序・規則性とは、

  • 価格の流れの軌道にどの様な秩序があるのか?
  • 高値低値にどの様な規則性があるのか?

ということです。

これらを見ることで、相場環境の傾向を把握していきます。

では、実際のチャートで見てみましょうか。下の図は、ポンド円週足です。

ザクっとラインを引いて見ましたが、ここから相場環境がどの様な傾向(秩序や規則性)のもとに動いているのか?を考えていきます。

まず注目すべきは、③ラインと④ラインで囲った赤色のゾーン。価格は過去に何度となく、このゾーンを試してますが、いずれも跳ね返されてしまっています。

このゾーンはかなり強力。

まずはこの点を、シッカリと把握しておく必要があります。

では、次に気になる点ですが・・・

ゾーンに跳ね返される時の特徴ですかね。すんなりと跳ね返されるわけじゃなく、a~eを見ての通り、レンジを形成しながら、幾度となく赤いゾーンへの侵入を試みていますよね。

この揉み合い方を見ていると、レンジ形成箇所は、①ー②のゾーンと、②-③のゾーンであることが分かります。

ということで、今現在はfにあるわけですが、可能性としては②ー③のゾーン内でしばらく揉み合いながら、何度か下値を試す可能性が考えられます。

以上の様に、週足という大局の中で価格が移動するポイント、ある程度把握できたと思います。

(ちなみに、eのレンジ箇所をもう少し詳しく見てみると、価格推移は「チャネル」を形成していますね。もし、このチャネル内に現在価格があるのであれば、このチャネルを意識しておく必要があります)

おっと、忘れるところでした。

この週足チャート、更に高値と低値の規則性も見ていくと、1つの可能性が見えてきますよね。

高値は切下げ、低値は切り下げていない・・・

そう、これは黒太ラインで示した様に、「ディセンディング・トライアングル」を形成している可能性があります。

つまり、ポンド円の価格はこの時点で言えば、このトライアングルの先の方に進めば進むほど、移動する値幅は収束していき、いずれこのトライアングルの上限下限のどちらかをブレイクした時点で大きく価格は値を動かしていく可能性です。

(ちなみにディセンディング・トライアングルは、下方ブレイクする可能性の高いフォーメーションですが、あまりそれには縛られず、上下どちらに抜けるかをフラットに見ておいた方が良いです)

とまぁ、こんな感じで見ていくのが環境認識です。

大きな時間軸を用い、俯瞰した状態で相場の大局を見ることで、相場環境の全体像を炙り出そうとする行為が、環境認識なんですね。

この環境認識で把握した相場の秩序と規則性を大前提として、各自がその都度選択した時間軸の中で、トレードを行なっていくことになります。

尚、今回の例では、インジケーターは使わずに行いましたが、別に使っちゃいけないわけではありません。

例えば、「価格は週足200SMAに頭を抑えられて激しく揉み合っている」とか「オシレーターはダイバージェンスを起こしながら、現在は反転上昇を示唆している」だとか。

僕はインジも使いますが、基本ライントレーダーなんで、上記の様な解説をしてみたまでです。

この例に囚われず、各自が得意とするテクニカルを用いて、縦横無尽に環境認識していけば良いと思います。

(ただまぁ、個人的には、まずはインジを使わずに実際の値動きで環境認識できる様にしていくことをお勧めしますが)

現状認識とは

この「現状認識」という言葉は、勝手に僕が名付けたもので、やっている人は自然とやっていることなんですが・・・

現状認識とは、俯瞰した状態で行なったチャート分析(環境認識)から、徐々に時間軸を下げながら分析していくことで、実際にトレードする時間軸まで掘り下げていく作業のことを言います。

週足から日足、4時間足、1時間足へと自分のメインとする時間軸へと近づけながらチャート分析していくことで、現状がどんな状況にあるのかを、より具体的に把握していきます。

自分が今いる場所を、日本地図から東京の地図へ、東京の地図から新宿区の地図、新宿区の地図から新宿駅駅前の地図へと、俯瞰した状態から徐々に高度を下げていって、より現在地を具体的に見ていく行為と同じと思ってもらえたら、イメージしやすくなると思います。

この作業をすることで、現在の局面をトレード可能なところまで掘り下げていきます。

「トレード可能なところまで」というのは、具体的に言えば、「相場の4大局面」を把握することです。

相場の4大局面とは

  • 上昇トレンド
  • 下降トレンド
  • レンジ
  • 分からない

のことであり、その4大局面を判断することによって

  • 上昇トレンド時は押し目買い
  • 下降トレンド時は戻り売り
  • レンジ中はレンジ内取引
  • レンジをブレイクしたらその方向へ売買
  • その局面が分からないのでトレードはできない

という方針が出来ます。(これに関する詳しい内容は、「相場の局面を考えてみる」等をご覧ください)

そして、その方針に沿って、シナリオ作りができることになりますよね。シナリオ作りとは、「〇〇になったら、△△する」という具合に、考えられる可能性を具体的にしてく作業のことです。

例えば、価格が現在、平行レンジの真ん中あたりをウロウロしているなら、

  • 価格がレンジ上限に向かって動き出したら、レンジ上限に到達して反転下落し出したら売り
  • 価格がレンジ上限に向かって動き出し、レンジ上限をブレイクしたら買い
  • 価格がレンジ下限に向かって動き出したら、レンジ下限に到達して反転上昇し出したら買い
  • 価格がレンジ下限に向かって動き出し、レンジ下限をブレイクしたら売り

というシナリオを作ることが出来ます。

現在の局面が上昇トレンド時であれば、初学者なら基本「押し目買い」1択のシナリオとなります。

まぁ、多くのトレーダーさんは自然とやっている行為だと思いますが、この「現状認識」を概念化しておいて手順をハッキリさせておいた方が、トレードを独学で学びながら彷徨っている人には都合が良いと思うんですね。

ということで、現状認識とは端的に言えば、

「俯瞰した状態での環境認識から、徐々に時間軸を小さくしながら分析していき、現在の局面を実際にトレード可能なシナリオ作りのレベルまで掘り下げていく作業」

だと思ってください。

では、実際のチャートを使って、現状認識をしていきましょうか。

使用するのは、先ほど環境認識したポンド円です。週足は分析したので、次に日足に落とし込んで見ていきます。

見ての通り、現在は下降トレンドが続いているところですね。下降トレンドはチャネル上限から始まり、チャネル下限をブレイクした後は、その勢いをより強めながら続いています。

しかし、週足で見た赤色ゾーンの上限(上図赤色の水平線)で止められて、今現在はちょうど反発したところにいます。

オシレーター(上図はストキャス)を見ると、下限から反転上昇を始めてますね。

じゃあ、次に4時間足を使って、この局面をもう少し具体的に見てみましょう。

日足で見た状況が、より詳しく見えてきますね。緑のラインで分かる通り、高値低値をシッカリと切り下げながら下降トレンドが続いていますが、例の赤い水平線で止められて反発しています。

そして今現在は、赤い丸で囲った部分。揉み合ってますねぇ。

週足や日足で見るオシレーターは、低値圏から反転上昇し始めていましたが、4時間足でオシレーターを見ると、この揉み合い状態の中では、50%ラインを跨ぐ形で上下しています。

さて、ここから上下どちらにいくんでしょうか?

では、この赤い丸の部分を中心に、もう少し詳しく状況を見ていきたいんで、1時間足(今回のメイン時間軸)に切り替えて見ていきましょう。

下降トレンドを描いてきた価格は、赤色の水平線で止められて勢いよく反発上昇した後は、その反発時の高値を切り上げることも低値を切り下げることもできずに、保ち合い状態になっています。

この段階では、価格が上に行くのか下に行くのか分からないですよね。揉み合いも、いつまで続くかわかりません。

可能性は、いくつもあるわけです。

で、その可能性を

「〇〇なので、△△になったら買おう」
「XXになるまで待ち、YYになったら売ろう」

という風に、具体的な内容にしていくことが

「シナリオ作り」

でしたね。

ではちょっと、その可能性を具体的に浮き彫りにしていける様に、テクニカルを用いながら判断していきましょうか。

今回もラインを引いていきますね。

ぱっと見、⑤ラインと⑥ラインでアセンディング・トライアングルを形成しているのがわかります。上に抜ける可能性の高い保ち合いパターンですね。

なので、

  • ⑤ラインを上抜けたら買い
  • ⑥ラインを下抜けたら売り

という2つのシナリオが考えられます

 

ん?

でも、そのシナリオで本当に良いんですかね?

 

局所ばかりに注目してしまうと、枝葉末節に囚われてしまい、大切な大局の部分を、うっかり忘れてがちになります。

そもそもこの例にあるポンド円を最初に環境認識した時は、どう考えてみたんでしたっけ?

俯瞰して見た場合、強力な赤色ゾーンに下落を阻まれたんで、ここからは上昇していく可能性が高いですが、①-②ソーンと②-③ゾーンは揉み合うゾーンでしたから、fの局面からすんなり上に上がらずに揉み合う可能性は大でした。

この大前提をもとに、現状の局所的な展開はと言えば・・・

上図4時間足で見た通り、今現在は下降トレンドから下値を抑えられて反発した局面です。

そう、現在の局面は、まだ下降トレンドなんです。いくら強力な赤色の水平線で反発上昇したからと言っても、下降トレンドを形成する直近高値を価格が越えない限り、下降トレンドは否定されたことになりません。

今現在の局面は、もっと具体的に言えば、

「下降トレンドの戻しで揉み合っている局面」

なんですよ。

そして、下降トレンド継続中である限り、トレードは「戻り売り」方針が基本的セオリーです。

であれば、単にこのトライアングルを上抜けたら買い、下抜けたら売りとシナリオを決めるのは、短絡的です。もう一度、見直してみましょう。

1時間足で見たアセンディング・トライアングルを上抜けて上昇したからと言っても、それはまだ下降トレンドの戻しの上昇途中の可能性があります。トライアングルを上抜けたので買ったら、そこが戻しの頂点となって、反転下落を始めるかもしれません。

下降トレンドが否定されるのは、トレンドを形成している波の直近高値を越えるまで、つまり上図1時間足の⑦ラインを越えた時です。

でしたら、このラインを越えるまでは、下降トレンドが継続中と判断して「戻り売り」方針のシナリオで攻めるのが、王道中の王道です。

つまり、シナリオを具体的に立てるとするならば、

1.アセンディング・トライアングルを下抜けた場合

  • アセンディング・トライアングルの上限が、下降トレンドの戻しの到達点であったと判断し
  • アセンディング・トライアングルの下限ブレイクは、戻し高値を付けて反転したと判断し
  • そのポイントで戻り売りエントリー

2.アセンディング・トライアングルを上抜けた場合①

  • アセンディング・トライアングルの上限をブレイクしたとしても、まだ下降トレンドは継続中であるため
  • 下降トレンドの直近高値である⑦ラインを越える前に、戻し高値を付け(到達確認)て反転確認がとれたら
  • そのポイントで、戻り売りエントリー

3.アセンディング・トライアングルを上抜けた場合②

  • アセンディング・トライアングルの上限をブレイクし、そのまま⑦ラインを越えてしまったら、下降トレンドは一旦終了したと判断
  • その後は、レンジを形成するか上昇トレンドに移行すると判断し、戻り売り方針は撤回
  • その後の様子によって、新たなシナリオを作成する

ということになります。

ただし、環境認識上、今は揉み合うゾーンにいたはずです。そして低値にはあの強力な赤いゾーンが待ち構えています。

ですから、下降トレンド継続中とはいえ、売った後は、あまり深追いをしないことを頭の片隅に置いておくべきです。

とまぁ、以上の様に、実際のシナリオ作りまで現状の局面を掘り下げて把握していくことが、現状認識となるわけです。

なお、分析手順に関するもう少し詳しい話は、「環境認識から現状認識へ」をご覧ください。

セットアップとトリガー

実行手段として

トレードをシステム化していく際に用いる概念が、この「セットアップ」と「トリガー」です。(と、僕は理解してます)

ですから、裁量トレーダーにとっては、馴染みの薄い言葉かもしれません。

また、そのせいかトレーダーの多くは、トリガーそのものが「手法」だと勘違いしていることが多い様に思います。

しかし実際は、セットアップとトリガーの両方が揃って、はじめて「手法」となります。

セットアップとトリガーというのは、先ほど見た分析手段ではなく、

「テクニカルが具体的に、〇〇になったら買い方針を決め、△△になったらエントリーする」

といった様に、エントリーを実行するために用いるテクニカルの具体的な方法のことを言います。

ですから、裁量トレーダーにおいても、これらはきちんと踏まえておく必要があります。

セットアップとは

セットアップとは、エントリーのタイミングを計る際に前提となる条件のことで、端的に言ってしまえば「売り方針」「買い方針」を決定する条件のことです。

具体的に説明すると・・・

トレードをシステム化する場合、

「毎度チャートを覗いては、環境認識をして現状認識に落とし込み、シナリオ作りをして・・・」

なんてことはせずに、一定のテクニカル上の条件が揃った時点で、買い(売り)方針が決定するというロジックを利用したりします。

例えば、移動平均線ではお馴染みのパーフェクトオーダー。

このパーフェクトオーダーを用いて、

  • 上昇トレンドのパーフェクトオーダーが完成したら、買い方針
  • 下降トレンドのパーフェクトオーダーが完成したら、売り方針
  • パーフェクトオーダーが完成していなければ取引はしない

というルールを採用している人であれば、このパーフェクトオーダーの完成の有無が、買い方針や売り方針が定まる前提条件になるわけです。

その場合、このパーフェクトオーダーの完成が、このトレーダーにとっての「セットアップ」になります。

もちろん、これはほんの一例でしかなく、他のテクニカルを用いて、

「〇〇になったら買い方針」
「△△となったら売り方針」

という条件をルール化した場合、そのルールがセットアップになります。

セットアップである条件を満たし、買いや売りの方針が決定した状態になったことを、

「セットアップが整った」とか
「セットアップ完了」とか
「セットアップに入った」とか

そんな感じで僕は表現しています。


注:実際に有効なシステムを構築する際は、単に「パーフェクト・オーダーが揃ったら」というだけでなく、もっと複雑な使用になるはずです。あくまで解説のための例として考えてください。


トリガーとは

トリガーとは、売買の方向性が定まった(セットアップ)後、実際にエントリーするタイミングを計ること、またタイミングをとるための条件やルールのことを言います。

セットアップが整ったからと言って、いつでもどこでも買えば良いわけじゃありません。できるだけ低いところで買って高いところで売ることが、リスクリワード比を高めたり、心理的負担が軽減できたりと、効率が良くなりますからね。

先のパーフェクトオーダーの例で言えば、

上図Aの様に、パーフェクトオーダーになっているからと言っても、高いところで買ってしまえば、

最終的には含み益なるにしても、買って直ぐに下がってしまうことで、含み損を抱え続ける心理的負担は大きくなります。途中で耐え切れず、損切りしてしまい、勝てる戦を負けてしまうこともあります。

また、STOPを置く位置はエントリー位置から遠くなるため、仮に損切りとなった場合の損失額は大きくなります。結果、そういったことを繰り返していくと、リスクリワード比(損失額と利益額の比率)が悪くなってしまいます。

しかし、Bの様に押し目を付けた後に上昇し始めた局面で買った場合は、安く買ったことになります。

買って直ぐに含み益が出るため、心理的負担も少ないですし、STOPを置く位置も、エントリーしたポイントから比較的近くなるので、損失額も小さくすみます。

この様に、同じセットアップであっても、エントリーするタイミングの効率の良し悪しで、トレードの成績は大きく変わってくることになります。

ですから、トリガーはセットアップが完了した後に、より効率の良いポイントでエントリーできる様に考えて設定する(ルール化する)必要があります。

上図の例で言えば、Aの場合は

「価格が目先グングン伸びていたので慌てて飛び乗った」

という何のロジックもないトリガーです。

しかしBの場合は、

「75SMA、40SMA、20SMAが上を向きながらパーフェクトオーダーを完成した(セットアップに入った)けど、直ぐには買わずに、価格が一旦20SMAに近づいてきてから再度上に放たれていったタイミングで買う」

という、効率的なエントリー方法がトリガーになっています。

以上の様に、トリガーとは効率的なエントリーポイントの条件(ルール)のことを言います。

で、そのトリガーの条件が整った場合を、「トリガーが発動」などと呼び、トリガーが発動して実際にエントリー・ボタンを押す行為を「トリガー(引き金)を引く」などと(少なくとも僕は)表現します。

裁量トレーダーのためのエントリー背景の確立化

さて、ここまで「環境認識」「現状認識」「セットアップ」「トリガー」の4つを解説していきましたが、世間一般にトレードのやり方というのは、

  • 裁量トレード=環境認識+手法
  • システムトレード=セットアップ+トリガー

といった感じで、別個にしか解説されていないんじゃないかなー、と思うんですよ。特に裁量トレードに関しては結構いい加減な解説で。

だから、勘違いしてトレードを考える人が後を絶たないんじゃないのかな?

なので、ここからは、これらの概念を整合性を持たせた形で解説していくことにしす。

裁量トレーダーとしての基本的セットアップとトリガー

先ほど、「手法とは、セットアップとトリガーの両者が合わさったもの」と解説しましたが、それを受けて

じゃあ、「裁量トレード=環境認識+セットアップ+トリガー」ってこと?

となりそうですが、それも違います。

裁量トレーダーにおける分析手順は、既に解説した通り、

  1. 大きな時間軸によるチャート分析(環境認識)
  2. 徐々に時間軸を下げていく(現状認識)
  3. トレードしようとする局面が4大局面のどれにあたるかを把握(現状認識)
  4. シナリオ作り(現状認識)

という流れを踏みます。

で、3番目の4大局面を把握した段階で、僕ら裁量トレーダーは

  • 上昇トレンドなら押し目買い
  • 下降トレンドなら戻り売り
  • レンジなら上限からの反転で売り
  • レンジなら下限からの反転で買い
  • レンジをブレイクしたら、その方向に売買
  • 局面が判断できないならトレードしない

という売買方針が決まるんでしたね。

ですから、この4大局面を把握できた段階で、セットアップは完了です。

そして、シナリオ作りの段階にきて具体的なエントリーのタイミングを模索するわけですから、そこがトリガーに相当するわけです。

先ほどまで解説してきたポンド円の例で言えば・・・

下降トレンドを描いてきた価格は、赤い水平線に止められて一旦戻しをつけて揉み合っている局面でした。

下降トレンド=戻り売り方針ですから、この局面を把握した時点で「セットアップ完了」です。

後は、どの様にしてエントリーのタイミングを捉えるか(トリガー)を考えるために、シナリオを作ります。

この際に作った3つのシナリオを、1つ1つ見ていきましょう。

 

1.アセンディング・トライアングルを下抜けた場合

  • アセンディング・トライアングルの上限が戻しの到達点であったと判断し
  • アセンディング・トライアングルの下限ブレイクは、戻し高値を付けて反転したと判断し
  • そのポイントで戻り売りエントリー

この場合、特にインジケーターを用いてトリガーを引く必要はありませんね。

トライアングル上限に到達(到達確認)した後、トライアングル下限をブレイク(反転確認)となるので、このブレイクした段階でトリガーを引くことになります。

ただ「ブレイクした」と判断するモノサシは各自必要です。「終値でブレイクしたら」とか「ロールリバーサルしたら」とか、それによってトリガーを引きます。

 

2.アセンディング・トライアングルを上抜けた場合①

  • アセンディング・トライアングルの上限をブレイクしたとしても、まだ下降トレンドは継続中であるため
  • 下降トレンドの直近高値である⑦ラインを越える前に、戻し高値を付け(到達確認)て反転確認がとれたら
  • そのポイントで、戻り売りエントリー

トライアングル上限をブレイクした後は、前回のエントリーポイントの解説でお話した様に、レジサポやフィボナッチ等を用いて、到達ポイントを予測します。

そして、到達ポイントで戻り高値を付けた後に、プライスアクションやオシレーターなどのテクニカルを用いて反転確認がとれた段階で、トリガーを引くことになります。

(仮に想定した到達ポイントに到達しなくとも、あるポイントで止められた場合は「到達した」と判断します。その点に関しては、以前どこかで説明した気が・・・)

 

3.アセンディング・トライアングルを上抜けた場合②

  • アセンディング・トライアングルの上限をブレイクし、そのまま⑦ラインを越えてしまったら、下降トレンドは一旦終了したと判断
  • その後は、レンジを形成するか上昇トレンドに移行すると判断し、戻り売り方針は撤回
  • その後の様子によって、新たなシナリオを作成する

この場合は、戻り売り方針の前提条件となるセットアップ(下降トレンド)が一旦終了したため、トレードも白紙撤回となります。

次のセットアップに入るまで、トレードは出来ないことになります。

 

とまぁ、以上の様に、シナリオ作成に合わせてトリガーを引くことになるわけですが・・・

シナリオ作成はあくまで「分析手段」です。

実際にエントリーを実行するためには、予め「どのテクニカルをどう用いて自分はエントリーするタイミングを計るのか」という具体的な実行手段を持っている必要があります。

  • 押し目買い、戻り売りの局面には、AとBのテクニカルが〇〇となったらエントリーする
  • レンジ内取引の場合は、Bのテクニカルが〇〇となって、Cのテクニカルが△△となったらエントリーする
  • レンジをブレイクした場合は、Dが〇〇したらブレイクしたと判断してエントリーする

この様な具体的な実行手段がトリガーになるわけです。

で、僕が前回お話していたのは、このトリガーのロジックについてなんですね。

さて、ここまでの解説は、基本中の基本として初学者は絶対に身に着けてもらいたいトレードの考え方です。

ただ、この後はせっかくなので、基本的なトレード方法を既に身に付けた方に向けて、次のステップの解説をしてみようかと。

中級者からのセットアップとトリガー

例えば、上昇トレンドの際は「押し目買い1択」が、基本セオリーでした。

しかし、上昇トレンドの押し目買いで獲れる様になってきたら、次のチャレンジとして

「押し目として下降する波も獲ってみたい」

となるかもしれません。

もちろん、5分足チャートで起こる上昇トレンドの押し1波を獲るのは、値幅も小さいし値動きの展開も早くなるため、難易度は高くなりますが、

1時間足チャートでの上昇トレンドの場合、その押し1波は、値動きが急転しやすいとはいえ、値幅が十分にあるので、きちんとしたポイントでエントリー出来る様になっていれば、50pipsや100pipsは十分に狙えるトレードが可能です。デイトレードなら、十分な収益幅ですよね。

ということで、ここからは初学者から一歩ステップアップした人向けの解説をしてみようと思います。

セットアップとトリガーもフラクタル

これまでの解説では、例えば上昇トレンドの場合、基本セオリーは「押し目買い1択」なので、相場の4大局面を認識した時点でセットアップに入り、押し目買いのタイミングを計るのがトリガーとなっていました。

しかし、上昇トレンドの押し目下降1波も獲ろうとする場合は、上昇トレンド中も買いや売りで入ることになります。

なので、4大局面を把握した段階でセットアップには入りません。

ここからは、ちょっと解説がややこしくなるので、注意深く読み進めていってくださいね。

例えば上昇トレンド中の押し目1波を獲ろうとすることを考えてみましょう。上図で言えば、赤い色で示した波を獲りたいと考えます。

この場合、まず上昇波から押しの調整波に移行したことを確認する必要があります。

上昇波が一旦目標値に到達して止められ、反転下落したタイミングを、前回解説したエントリーポイントの狙い方と同様に、①到達確認→②反転確認で捉えます。

しかし、ここから売りエントリーするのは、危険です。基本的に上昇トレンドは上昇力が強いため、安易に入ると踏み上げられて損失を被ります。なので、こういった入り方は上級者だと割り切って、見送ることが賢明です。

ただ、この①到達確認と②反転確認によって、調整波が始まった可能性は非常に大きいわけですから、調整波が始まったと仮定しながら、次の展開を伺うことになります。

で、この時点で理解しておくべきことは、その「下降する調整波は、下降トレンドとも言える」ということです。相場の波はフラクタル構造ですからね。

ということで、この調整波である下降トレンドを売りで獲りにいくことを考えるわけですね。

しかし、ここで注意が必要なことがあります。

基本セオリーでは「下降トレンドが確認出来たら」セットアップに入るわけで、この下降トレンドとは

「高値と低値が切り下がっていることを確認して、下降トレンドが始まったと判断」

するんでしたよね。

しかし、今回の下降トレンドとは、上昇トレンド中の調整波でしかないので、高値と低値の切り下がりを待って判断していると、波に乗り遅れるなどして、この調整波を獲ることは難しくなってしまいます。

なので、ここが少し厄介。

上昇トレンド中の調整波を獲りに行く場合は、下降トレンドが始まったことを確認してセットアップに入るのではなく、下降トレンドがはじまったであろう可能性(到達確認と反転確認のみ)で、セットアップに入るんですね。

つまり、

  1. 上昇トレンドの局面であることを確認
  2. 上昇波が一旦止められ(到達確認)
  3. 反転下落を始めたことを確認したことで
  4. 調整波の下落が開始した

この一連の流れで調整波としての下降トレンドが始まったと仮定してセットアップに入ります。

トレンドが確定してセットアップに入るのではなく、トレンドが始まったと仮定してセットアップに入るのが、トレードの難易度が高まった証です。

難易度が上がった分、基本セオリーでトレードするよりも、判断力や柔軟性が問われるわけで、これが「初心者はやっていけない」という理由そのものです。

しかも、この調整波のセットアップのロジックって、通常のトリガーのロジック(到達確認と反転確認)を使って行われるんですよ。

ややこしいですねぇ・・・

しかし、こういったトレードの手順が理路整然と実行に移せるようになってはじめて、様々に上下する波の中を縦横無尽に渡っていける様になるわけです。道のりは遠いですけどね。

話を元に戻しましょう。

では、この下降トレンドが始まったと仮定してセットアップに入った後はどうするんでしょう?

もちろん、トリガーを引くのを待つわけです。トリガーの設定は下降トレンドのエントリーポイントの狙い方と同じです。

トリガーのロジックそのものは全く変わりません。

簡単ですね。

と言いたいところなんですが・・・

言うは易し行なうは難しで、この場合の①到達確認は、通常の下降トレンドの到達確認よりも難易度が高くなります。

もちろん、日足レベルの上昇トレンドの調整波は1時間足では大きな下降トレンドになるので判断しやすいんですが、時間軸が小さくなればなるほど調整波のトレンドは小さくなるため、その押しや戻しの到達点を判断するのは難しくなります。

要するに、単なる下降トレンドの戻り売りよりも、調整波としての下降トレンドの戻り売りの方が判断が難しく、また時間軸が小さくなればなるほど同様に判断が難しくなるということです。

セットアップの判断だけでなく、トリガーの判断も、基本セオリーでトレードするよりも難易度が上がるんですね。その点は覚悟して、トレード技術のステップアップに取り組むことが必要です。

では、ここからはちょっと実際のチャートを用いて、調整波を捉えるトレードを解説していきましょうか。

実際のチャートで見てみよう

せっかくなので、今までの解説に用いていたポンド円チャートを使って説明しますね。下の1時間足を見てください。

先の1時間足に、移動平均線を表示して見ました。期間は10(灰色)、20(青)、75(緑)、200(赤)です。

上昇する調整波を獲りに行くので、単純に⑤ラインをブレイクしたら買いとしても良いんですが、ちょっと今回は移動平均線に注目してトレードしていこうと思います。

で、まずは上図の左側、つまり下降トレンド時とMAの関係を見てください。

下降トレンド全体の大きな波は、75SMA(緑)に止められながら下降していますよね。つまり、この下降トレンドの大きな波1辺の「流れ」は、75SMAが体現しています。(詳しくは「時間軸に関係なく流れの目線を固定しよう」を参照)

その中の小さな波は20SMAが体現しています。

で、下降トレンド全体の流れを体現する75SMAは価格の上昇を止めるレジスタンスの役割を果たしていたわけですが、赤い水平線で価格は反発すると、75SMAをいとも簡単にブレイクします。

そして、下を向いていた75SMAが上を向き出しながら、今度は下落する価格を75SMAがサポートし出しているのが見て取れると思います。レジサポの機能を、ラインではなく、75SMAが果たしているわけです。

また、75SMAが価格の下落を止めて弾き返した後を見てください。10SMA・20SMA・75SMAは、パーフェクト・オーダーとなっています。(基本、僕のMAの使い方では、200SMAをパーフェクト・オーダーに含めることはしません)

この時点で、下降トレンドは戻しをつけ始めた(調整波が始まった)と判断します。つまり、

  • 上向き出した75SMAに価格はサポートされている
  • パーフェクトオーダーが完成している

ということで、買いのセットアップに入ったわけです。

じゃあ、トリガーは?実際に買いエントリーするタイミングはどうしましょうか?

僕の場合、まず75SMAの直ぐ上にある200SMAに注目します。

価格が75SMAを抜いた後は、200SMAがレジスタンスとなって何度も上昇を止めていますよね。しかし、価格は上昇する他のMA達に支えながら、ついには200SMAを上抜くことに成功しています。

今現在は、価格が上から200SMAにちょうどタッチしているところです。この次は、この200SMAがレジサポとなって、上昇を支えるかもしれません。

ということで、200SMAに下落を阻まれて反転上昇始めたら、実際に買いエントリーを行なう準備を始めることにします。

では、次の展開を見ていきましょう。

価格は一旦200SMAをやや下抜けましたが、直ぐに引き戻されます。その後、20SMAに乗って上昇を始めました。

  • 200SMAのレジサポ確認(到達)
  • 20SMAに乗って上昇を始める(反転確認)

これが、トリガーとなって、上図赤い丸で買いエントリーをすることになります。

で、その後の展開を見ると・・・

価格は⑤ラインは越えたものの、⑦ラインより手前の⑧で上値を止められています。

う~ん・・・どうします?

忘れてはいけないのは、今は下降トレンドの戻しの上昇波を捉えようとしているわけです。つまり、いつ強く下落を再開してもおかしくはないわけで。

ということで、上値を3回も止められているんで、この時点で利確してもOKですかね。結果的に、100pipsは獲れた感じになります。

仮に、⑧ラインの上抜けを狙ってもう少し粘ろうとする場合は、今のところ⑤ラインと⑧ラインの間でレンジを形成していると考え、⑤ラインのすぐ下にSTOPを置きます。

じゃあ、次の展開でも見ていきましょうか。

先ほどのレンジを下方ブレイクしました。

粘ってポジションを持っていた場合は、⑧ラインを下抜けた時点で、STOPにかかって利確となります。50pipsくらいの利益ですかね。

で、この時点で、下降トレンドは戻り高値をつけてたと判断して、売りエントリーを考えても良いかもしれません。

具体的なトリガーですが、⑤ラインと75SMAはほぼ重なっていますから、この両者が抜けたオレンジ色の丸のところでエントリーになりますかね。もう少し保守的に⑥斜めラインを抜けてからエントリーという手も考えられますが、この斜めラインは75SMAの軌道を体現しているので、75SMA抜けで判断した方が結果的に有利な位置でエントリーできると思います。

ただ、ダウ理論的にはまだ上昇トレンドは終わっていませんし、200SMAが下から待ち構えているので、ここで止められる可能性もあります。

売りエントリーしても、早めの撤退を想定しておくことが前提です。

ということで、次の展開を見てみると、

やっぱり200SMAに止められ、再び⑤ラインと⑧ラインに囲まれたレンジ内に戻ってきました。欲張らずに200SMAで利確しておいてOKでしたね。

また、これらの挙動により、

  • 低値を切り下げることが出来なかったため、ダウ理論上の上昇トレンドは継続中
  • 結果的に⑤ー⑧のレンジの下限ブレイクはオーバーシュートで終わったため、逆にこのレンジを上抜ける可能性が強くなった

と判断できるため、戻りの上昇はまだ続く可能性が高まってきました。

なので、買いエントリーを狙う方針を継続させますが、その際の買いポイントとして最も有力なのは⑧ラインを上方にブレイクした時です。ただ、直ぐ上に⑦ライン(これを越えたら、下降トレンドは終了)があるので、美味しいエントリーとは言えないかもしれません。

また、戻りの上昇はまだ続く可能性が高まっているので、⑤-⑧レンジの下限で買っておくというのも1つの手です。

なお、200SMAで反転した赤い丸部分で買いエントリーできていたとしたら、かなり美味しいポイントでポジションを掴んだことになると思います。

では、次の展開を見ていきましょう。

下降トレンド時の直近高値から引いた⑦ラインを越えました。この段階で、下降トレンドは、終了と判断します。

ここからは、このまま上昇トレンドを継続させていくのか、レンジなのかを判断し、売買の方針を決めていく作業に移るわけなんですが・・・

ちょっとこの記事が長くなり過ぎたのと、ここからの解説は脱初心者ステップよりも更にレベルが上の解説になるので端折りますが、

この上昇波動は、推進波ではなく調整波の体を崩していないので、このまま上昇トレンドが続くというより、この辺りからレンジを形成します。

つか、大きなトレンドの後は直ぐに反対方向にトレンドが形成される確率は少なく、基本的にはレンジを挟みます。週足を見た時でも、今は揉み合いやすいゾーンでしたよね。

ということで、今は上昇高値付近の保ち合いなので、上に抜けたら買い、下に抜けたら売りでOKですが、上値余地はそれほど大きくはないと思われるので、上にブレイクしてもついていく場合は要注意とみた方が良いです。

また、下抜けで売った場合も、今のところ機能している200SMAと⑤ラインが重なってきていますから、あまり欲張らずにその辺りで利確した方が得策かもしれません。

さて、今回はこの辺で終了しようと思います。上の解説の続きが気になる方は、各自チャートを照らし合わせながら考えてみて下さい。

う~ん・・・

今回の記事も長くなってしまいました。しかし、このエントリーの背景及びエントリーポイントの狙い方についての話は、まだまだ続きますので、次回もこの辺りの話を続けていく予定です。

それじゃあ、また。

エントリーポイントの狙い方(1)

今までこのブログでは、エントリーポイントに関するお話を何度かしてきました。

が、今回はちょっとその「まとめ」的なところから入って、そこから少し実践向きな内容をお話していこうかと。

このブログの読者さんからすれば、もうお馴染みの話で始まりますが、そこは復習だと思って読み進めてください。それが基本となって、その後は今までには触れていないお話まで突っ込んでいきますんで、期待してくださいね。

それでは、始まり始まり~!

勝てない人のエントリーパターン

トレードで勝てない人というのは(まぁ自分も昔はそうでしたが)

  • 買えば下がり売れば上がる
  • 損切りすれば元の方向へ反転する
  • 損切りしてドテンすれば往復ビンタ

ということが、怖いくらいに繰り返されます。

どうしてそんなことが起きるかというと、頭では色々とテクニカルを駆使して分析した気になっていても、実際はロジックではなく、欲望に振り回されてトレードしてしまっているからです。

勝てない人の典型的なパターン1

勝てない人は、まだ値動きが大きくない局面で、

「ここから価格が大きく伸びたら勿体ない!」

という感情から、価格を後追いしてしまいがちです。

上図の様に、値動きに釣られて後追いしながらトレードしてしまうと、買ったところが高値になりやすく、売ったところが安値になりやすくなります。

値動きを後から追っかけているわけですから、当然ですよね。

また、直近高値を上抜いたりすると「ブレイクした!価格がここからグングン伸びたら勿体ない!」と慌てて飛び乗ってしまいますが、そのブレイクは結果的にダマシとなり、やはり高値掴みとなってしまいます。

これって全て、値動きを後から追いかけてしまうから、そうなってしまうんですよねぇ。

勝てない人の典型的なパターン2

ところが、一旦価格が大きく動き出した(トレンドが始まっている)のを見てしまうと、勝てない人の行動パターンは、感情によって変質します。

「あー、既に価格は大きく動き出してしまって勿体ないことをした。大きく上に伸びちゃった後だから、ここから追いかけても魅力がない。むしろ伸びた分だけ戻してくれる値幅の方が魅力的!」

ってことで、値ごろ感からトレンド中に逆張りを繰り返します。

上昇トレンド中に、値ごろ感で売りをし続けますが、その度に担がれて損切りを繰り返してしまいます。

そして、逆張りを諦めたところで価格は大きく下がり出す・・・

トレンドが始まってしまっているなら、値動きが小さい時の様に値動きの後追いしていても、実際は逆に十分勝てるはずなんですよ。

ところが、実際に価格が大きく動き出してしまった後は、欲望によって後追いは止めて、逆張りをしてしまうんですね。

結果として、まるで相場にからかわれているかの様に、やることなすことすべてが逆を行ってしまって負け続けるのが、勝てない人のエントリーポイントです。

全ては、感情に振り回され目先の値動きに振り回されてしまっているだけで、実際はロジックでトレードしていないことが原因なんですよね。

正しいエントリーポイント

では、勝つためのエントリーポイントとは、実際どの様なものなんでしょうか?

既に何度もお話していますが、正しいエントリーポイントの概要を、以下にまとめてみました。

レンジの場合

価格が上下に行ったり来たりしている場合、つまりレンジ内で価格が上下している場合は、

レンジ上限に到達して反転したところを売り、レンジ下限に到達して反転したところを買います。

またレンジブレイクの際は、ブレイク直後に飛び乗るとダマシに引っ掛かりやすいので、下図の様にロールリバーサールでエントリすることを基本にします。

ブレイク後のレジサポ確認後の反転を狙うわけですね。

(ただし、レンジ内取引が出来ないレベルの小さな値幅のレンジやフォーメーションの場合は、ロールリバーサルを確認せずにブレイク後に飛び乗ってもOKです)

先ほどの勝てない人の典型的パターン1と見比べてみて下さい。

勝てない人は負けるべくして負けるポイントでエントリーし、勝つ人は勝つべくして勝つポイントでエントリしているのが対比されて、分かりやすいと思います。

トレンドの場合

トレンドというのはダウ理論に習って定義するならば、

  • 上昇トレンドは高値低値を切り上げ続けている状態
  • 下降トレンドは高値低値を切り下げ続けている状態

というのは、もうお馴染みの話です。

で、トレンド時におけるエントリーポイントというのは、基本的に2種類あります。

上昇トレンドを例にとって説明すると、

  • 直近高値を越えたポイント
  • 直近低値を下回らずに反転上昇したところ

の2つです。図で示すと、

直近高値を越えた上図エントリーポイント1か、直近低値を下回らずに反転上昇した(低値を切り上げた)エントリーポイント2でエントリーすることになります。

では、この2つのポイント、どの様な特徴があるんでしょうか?

詳細は「エントリーのタイミングをどう考えるか?トレンドフォロー編」に譲りますが、端的に説明すると

エントリーポイント1でエントリーする場合、エントリーの難易度は低いですが、損切り幅は大きくなりますし、含み損になった場合、それに耐える金額と時間が大きくなりがちです。

逆に、エントリーポイント2でエントリーする場合は、押し目を付けた後に反転上昇するタイミングを捉えるため、テクニカルの技術が必要になります。

しかし、損切り幅がポイント1よりもはるかに小さくなるため、リスクリワード比(利益が出た場合の値幅と損失が出た場合の値幅の比率)が良く、また含み損に耐える時間も少ないというメリットがあります。

で、僕がエントリーポイント2を狙うことをお勧めしているのは、既にブログの読者さんは承知のことと思いますが、もう少しこの点について、お話しますね。

低く買って高く売るということ

昔からトレンドフォローのスタイルは

「高く買って、より高く売る」

と言われていますし、また相場格言でも

「押し目待ちに押し目無し」

とも言われているのは、ご存知だと思います。

ただ、ことFXトレードに関しては、株式トレードと比べると、少し勝手が違います。

株式相場というのは、数年に渡って長期にトレンドが続く大相場が、当たり前のようにあります。トレンド形成期間が長いんですね。

こういった相場つきでは、トレンド方向に沿ってガンガン売買した方が吉と出ることが多いので、新高値更新で買うという手法も有効な場面がかなり多くなります。

しかし、外為相場というのは、「永遠のレンジ相場」と言われる通り、株式市場の様に長くトレンドが続くことはそれほど多くなく、上下に行ったり来たりする機会が多くなります。

ですから、高値安値更新でエントリーしていると、買ったと思ったら価格は下に向かい出し、売ったと思ったら逆に上に向かい出したりと、値動きに振り回されてしまいがちになるんですよ。

また、ご存知の通り、高値低値更新(ブレイク)でのダマシも、かなり多いですよね。ブレイクしたと思ってついていくと、反転して損切り・・・なんてのは当たり前に起こるのがFXの世界です。

つまり、FXトレードにおいては、高値低値更新でエントリーしていくというのは、リスクが大きくなりがちで、得策とは言い切れないことになります。

エントリーポイントとはつまり反転ポイント

以上のことから、エントリーポイントをまとめると、

  • レンジ内取引ではレンジ上限下限に到達して反転したらエントリー
  • レンジをブレイクしたら、ロールリバーサルによってレジサポに一旦戻ってきてから反転したところをエントリー
  • トレンド時は、押しや戻しを付けて反転したところをエントリー

ということがエントリーの基本になり、要するに全ての局面において

反転ポイントがエントリーポイント

ということになります。

そう、いつだって反転を捉えてエントリーするのが基本なんですよ。

下手くそな図で申し訳ありませんが、上図の様に反転を始めたところを捉えながらエントリーするのが正しいポイントです。

正しいエントリーとは、常にジグザグと描く波の山越えで売り、谷越えで買うということになるんですね。

エントリーポイントを「反転ポイント」に絞り込むことで、反転にのみ集中して検証と練習を続ければ良い

というメリットが生まれます。

そう、これがBOZ流の考え方でした。

とってもシンプルですよね。

 

ただし!

 

これ、頭で分かってても、実際には欲望に釣られてなかなか出来ないことなんで、頭で覚えるのではなく、身体に刻み付ける様にしておいてください。

なお、この辺の詳しい解説は、「ジグザグと描く波の渡り方」をご覧ください。

エントリーポイントの探り方

厄介なトレンドの押し戻し

エントリーポイントとは、反転ポイント。

これは分かったと思います。

レンジの場合は、レンジ上限に達して反転したら売り。レンジ下限に達して反転したら買いです。

レンジをブレイクしたら、ブレイクとなったレジサポをもう一度試して反転したら(ロールリバーサル)、反転した方向にエントリーです。

しかし、実は厄介なのはトレンド時です。

トレンド時には押し戻しを付けて反転したらエントリーですが、じゃあ一体その押しや戻しはどこまで進んでから反転するんでしょうか?

後付けで、「ここが押し目を付けたポイントです」とドヤ顔するのは簡単です。

しかし、僕らは先の見えないチャートを見ながら、押し目はどこまで進んで、どこに達したら反転してトレンドを再開するのか?ということを考えてトレードしなくちゃいけません。

じゃあ、トレンド時の押し戻しを狙ったエントリーはどの様に考えたら良いのでしょうか?

エントリーポイントを考える2つの視点

押し戻しからのエントリーポイントを探るには2つの視点が必要です。それは、

  • 価格の到達点を探る視点
  • 価格の反転を確認する視点

です。以下に、説明を加えます。

到達を探る視点

到達を探る視点とは、押しや戻しはどれくらいまで進行するのだろうか?ということを考え、価格のその到達ポイントを探る行為です。

要するに、価格がどの辺りまで押し戻しをつけるまでエントリーを「待つ」のか?ということですね。

上昇トレンドで例えるならば、

上昇トレンドの中、値動きを後追いするのではなく、まずは価格が押し目をつけるのを待ちます。

そして、下げてきた価格がどこで下げ止まるのかを、テクニカルを用いて予め想定します。

到達ポイントを探るためのテクニカルの代表格は、

  • ライン(レジサポ等)
  • 移動平均線
  • フィボナッチ

ですかね。

以下は、テクニカルを用いて到達ポイントを探った具体例です。

上図を見ると、下降トレンド中、直近安値がレジサポとなって、戻しの到達ポイントになっていることが分かると思います。

また、上図の青丸Bは、移動平均線が価格の戻し到達ポイントの例です。

詳しくは「チャート・デザインのすすめ(5)」を参照してください。

以上が、価格の到達ポイントを探る視点です。

反転を確認する視点

エントリーポイントを確定するには、もう1つ別の視点が必要です。

それは、反転確認。

押し戻しが想定したポイントに到達した後、きちんと反転し、トレンド方向へと再び価格が進みだすのかどうかを確認する作業です。

なぜなら・・・

到達ポイントを想定していても、実際に価格はそのポイントを越えて更に進んでいくかもしれません。

想定していたポイントに到達したからといって、無闇にエントリーしても、そこを越えて価格が進んでしまったら、損失を招いてしまいます。

ですから、

想定していた到達ポイントで価格が止まり、そして反転してトレンドが再開したことを確認してエントリーする必要があります。

反転確認をするためのテクニカルとして代表的なものは

  • プライスアクション
  • 移動平均線
  • オシレーター

などがあります。

下の図は、移動平均線とオシレーターを用いて反転確認を行った例です。

見ての通り、まず移動平均線によって到達が確認された後、そこできちんと止められ反発しているのが、赤い丸部分で分かると思います。

それと同時にストキャス(オシレーター)が青い丸で反転を示唆しています。

これによって、下降トレンド中の戻しが終了しトレンド再開したことが確認できたので、ショートでエントリーすることになるわけですね。

これら反転確認に関する詳しい内容は、先ほどと同様、「チャート・デザインのすすめ(5)」を参照してください。

以上が反転確認の概要です。

2つのポイントの優先順位

必ずしも到達確認と反転確認の両条件が揃ってなければエントリーは出来ないのか?と問われれば、

「そんなことはない」

というのが僕の答えです。

しかし、そこには注意が必要です。

価格の到達確認と反転確認では信ぴょう性が異なります。2者のうち、より重要なのは、「到達確認」になります。

理由は簡単です。

テクニカルを用いて反転確認を行なう際、その反転示唆がきちんとしたチャートポイントでないところで起きても、実際はダマシを連発します。

つまり、きちんとしたチャートポイント(到達ポイント)でテクニカルが反転を示唆しなければ、反転確認におけるテクニカルの判断は、信ぴょう性が薄いということです。

しかし、それに対して、到達ポイントだけでエントリー判断しても、上手くいくことは結構あるんですね。

ただ、そのためにはプライスアクションやトレンドの強弱等の判断に熟知している必要があります。

なので、到達確認の後に反転が確認されたという2つの条件が揃ったところでエントリーするのが基本だということは、必ず覚えておいてください。

 

さて、ここまでが今まで僕のブログに散らばっていたエントリーポイントに関する概要のまとめになります。

では、ここからはより実践的な内容に入っていくことにしましょう!

と思ったんですが、ちょっとまとめ記事の割には長くなってしまいました。

ということで、続きは次回でお話することにします。

「なんだよ。肩透かし喰らっちまったじゃねーか!」

と思う方もいるかもですが、今回のお話は絶対避けて通ってはいけない基本中の基本です。これを抑えていないと、次回のお話は分かったつもりでも、実践では使いこなせなくなります。

なので、復習だと思ってこの記事を再度頭に叩き込みながら、次回作を待っていただけたらな、と思います。

それじゃあ、また。

ライン引きの手引き(3)

ラインの引き方を学習したとしても、いざ現実のトレードにそのラインを活用しようとした時に、

「水平線はここに引いた方が良いのかな?それともう少し下に?いや、もう少し上?」

なんて戸惑ったりすること、ありませんか?

基本的なことは学習したしラインを引く練習もしてみたけど、細かいところがねぇ・・・

という人って、結構いると思うんですよね。

ということで、今回は引こうとする水平線のチューニングの仕方をお話しようかと思います。

改めて水平線とは

一言でライン引きといっても、様々な考え方や流儀があります。

なので、ここでお話するラインの具体的な引き方は、「これがBOZ流!ライントレードの基礎知識」シリーズに譲りますが・・・

改めて注意してもらいたいことは、

「水平線とは、価格がそこでピタリと溜まったりする様な代物ではない」

ということです。

繰り返しお話する通り、水平線とは市場参加者が注目する価格帯にラインを引くことで視覚化したものです。

仮に市場参加者が「100円」という価格に注目してたとしても、実際に売買されるのは常に「100円」という価格ではありません。

上図の様に、「100円」という価格に注目していても、その周辺を含めて売買が行われることになります。

ですから、下落してきた価格が反発するにしても、それは100円ちょうどの場合もありますし、100円を割り込んでから反発することもあります。もちろん、100円まで落ちきらずに反転上昇を始めることもあるでしょう。

なので、100円という価格に水平線を引いたとしても、それを単なる「線」として認識するよりも、そのライン周辺を含めて「域帯(ゾーン)」として捉えた方が、より正確な判断の仕方ができます。

ちょっと実際のチャートで確認してみましょうか。

下のチャート図の赤く囲った2つの波の頂点(山)のヒゲ先に水平線を引いてみました。すると・・・

見ての通り、きちんとラインが効いていそうなものもありますが、オーバーシュート気味だったり、届かなかったりという箇所もあります。

では次に、先の赤く囲った2つの山のロウソク足達に出来るだけ多くラインが交差する様に、先ほどよりも少し下にずらして水平線を引いてみます。

すると・・・

上図を見ての通り、上手く機能していなかった様に見える部分は改善されましたが、逆に先ほどまで上手く効いてた箇所が、今度は判断しづらくなってしまいました。

この様に、同じ価格帯にラインを引くにしても、細かい部分による引き方の違いで、効いてる様に見える箇所とそうでない箇所が、色々と違ってきてしまいます。

ですから、水平線を1本引いたとしても、それはあくまでも「目安」にすぎず、実際の認識の仕方としては、下図の様に

上下に幅のある域帯(ゾーン)として認識しておいた方が、実際のトレードでの判断は格段にしやすくなるわけです。

しかし・・・

ラインのチューニング

「1本の線を域帯(ゾーン)として認識しましょう!」

確かに言うだけなら簡単です。

しかし、現実として、やり辛い側面があるのは確かです。

頭の中では「ゾーンとして認識するぞ!」と思っていても、実際にはライン1本しか引いてないわけですから、視覚の上では惑わされたりします。

例えば・・・

上図の様にして水平線を引いてしまうと、一番左側の青丸の部分では、ラインを終値ベースで下抜けているロウソク足が2本もありますから、

「抜けた!」

と判断して売ってしまいやすい場面です。

また、右側の青丸3つは、ラインに届かずに反転下落していますから、ラインに届くのを待っていたら、いつまで経ってもエントリーチャンスは訪れません。

頭では「ゾーン」と思ってはいても、実際にはたった1本のラインで上手く立ち回るのは難しい・・・なんて人、多いかもしれません。

なので、実際のライン引きにおいては、自分が最も判断しやすい様に、ラインの引き方を調整(チューニング)しておくことが大切になってきます。

いくつか例を紹介しますね。

線ではなくゾーンとして引く

最も安全なのは、ライン1本だけ引くのではなく、ゾーンとして考えられる範囲の上下に計2本のラインを引いておくということです。

上図の様に、ゾーンの上限下限に見当をつけて、予め2本引いておけば、判断を誤ることは極端に少なくなります。

ただし、それでも価格はオーバーシュートしたり、届かずに反転することも、あるんですよ。絶対はありませんから、「これで大丈夫」と高を括らないことが大切です。

また、実際にゾーンとして2本ラインを引いていくと、煩雑かつ見づらくなることも多々あります。

上図は1時間足ですが、ゾーンを表す2本線を複数引いて、15分足などの下位足を表示した場合、一体どの線がどのゾーンの上限下限のラインなのか、分けわからない状態になったりもします。

それを避けるために、ラインを色分けしたりなどの工夫をすると、今度はラインを引く手順が増えて、作業が煩雑になりがちです。

視認性を良好に保つことと煩雑さがトレードオフな関係だということは、知っておくべきでしょう。

ラインを価格に近付けて調整する

ラインを2本引くにせよ、1本でやり過ごすにせよ、相場つきによってラインは引き直される運命にあります。(ラインの寿命はそれぞれですが)

なので、どうせ引き直したりするのであれば、自分が理解しやすい位置へと、微調整をその都度かける様にします。

具体的にどうするかというと・・・

今回は、「ラインを価格の方向へと近づけて調整する」というやり方をお話しますね。

これは、「オーバーシュートは常にあり得る」ということを大前提にすることで、逆に視認性を良くしてしまうやり方です。

このやり方、他で話している人いないかもしれませんが、結構使えるチューニング方法ですよ。

では、先ほどのチャート図を用いて、具体的に見ていきましょうか。

まず赤い丸で囲った2つの山を基準にラインを引いてみますが、その際に価格はラインよりも下に位置しています。

なので、「この山のどの辺りでラインを引こうかなぁ?」と思ったら、まず価格に近い側(この時点で想定できるゾーン下限)を基準として水平線を引きます。

すると・・・

価格が一旦上抜けた後に再度下落した際、

「価格が下抜けた」

とは判断しづらくなり、むしろ水平線に支えられて再度上昇(ロールリバーサル)したのが確認できるため、エントリーがしやすくなります。

では、次にどう調整するか見てみましょう。

価格がラインを上抜けたまま滞在しているので、今度は水平線を価格側(上方向)にずらして調整します。想定できるゾーン上限へとずらしたのが、上図です。

では次の展開で、価格が水平線を上から試してみた時の挙動を確認してみましょうか。

ラインを上方向に調整したおかげで、判断がしやすくなりました。

では、再び価格がラインを下抜けたので、ラインを下にずらして調整し直します。現時点で想定できるゾーン下限までラインをずらした後のチャート図が下のものです。

やはり、ラインに価格が届かないということがなくなり、トレードの判断がしやすくなったと思います。

この様に、1つのゾーンを表す水平線1本を価格に近い側に調整し直すことで、判断の誤りが極端に少なくなります。

ただし!

これには1つ、注意が必要です。

それは・・・

価格が水平線を抜けたからといって、直ぐにラインの調整をかけないこと

です。

なぜなら、このラインの調整方法は、常にオーバーシュート(価格の行き過ぎ)が起こることを想定しているからです。

同じ水平線でも、価格に近い方にラインを引いてますから、価格はラインにタッチしやすい反面、抜けやすくなります。

抜けやすいということは、オーバーシュートによるダマシも食らいやすいということですよね。

にもかかわらず、価格がラインを抜けた直後に、ラインを価格の抜けた側に近づけてしまうと・・・

少し価格が戻しただけなのに、「オーバーシュートだ!ダマシだ!」と勘違いすることも増えます。

ですから、価格がラインを抜けた後、価格が一旦戻してきた際に

  • ロールリバーサル(ブレイク成功)になるか?
  • オーバーシュート(ブレイク失敗)になるか?

を見極める必要があります。

ブレイクが完全に成功したのか失敗したのかを確認出来た後、ようやく水平線の調整を行なうことになるんですよ。

また、水平線をゾーンの下限(上限)に合わせたからといって、そのゾーン反対にある上限(下限)を全く意識しなくとも良いというわけでもありませんので、この点も注意しておいてくださいね。あくまでゾーンはゾーンです。

自分が判断しやすい基準を持とう

水平線を引く際のチューニングのやり方を、今回は紹介しました。他にもやり方は、色々とあると思います。

が、どの様にすべきかは、自分で決めるべきことです。

価格に近い側へと水平線を引くことが誰かにとって有益でも、アナタにとって有益とは限りません。

アナタがもし、基本に忠実に引いて、上下に域帯が広がってるイメージをした方が取引しやすいのであれば、それがアナタにとっての正解となります。

わざわざ2本ラインを引くのが面倒であっても、アナタにとってそれが最も判断を間違えない方法なのであれば、2本引いた方が良いに決まってます。

どんなに偉い人が、

「そのラインの引き方違うでしょ。もっと下に引いた方が良くね?」

と言ったところで、それはその偉い人が判断しやすい引き方であって、アナタが判断しやすいとは限らないんですよ。

偉い人の言うとおりにして、アナタが判断を誤ったとしても、その偉い人はアナタの損失を補償してくれるわけじゃありません。

そんな偉い人には、素直に

「ご教授ありがとうございます!」

と言って、心の中では

( ̄へ  ̄ 凸

って、中指立てておけば良いんですよ。( ̄ー ̄)ニヤリ

「チャート・デザイン」シリーズでもお話しましたが、人の視認性や、視覚情報からの判断の仕方には、人それぞれです。自分が最も判断しやすい様に視覚情報は変更していく必要があります。

ですから、アナタはアナタが最も判断しやすい方法を、試行錯誤の上で定めれば良いのです。

それで勝てるのであれば、誰が何と言おうとも、それが正解です。

自由にやったら良いさ。

しかし、その自由に責任を持つのも、アナタ自身です。

(ただし、師匠のいる方は、師匠の言われることに従った方が良いと思います。自分の中途半端なアレンジは、むしろ師匠のやり方をきちんと受け継ぐことは出来ませんからね。師匠のいる方は、独り立ちできる様になってから、改めて自分のやり方を模索するのが賢明かと)

宿題

ちょっとここで、宿題でも出しておこうかと思います。

しかし、その宿題の内容は、水平線ではありません。斜めラインです。小さな斜めラインですが。

で、やり方ですが・・・

上図の様にまずは大きな波をトレンドラインでざっと把握し、レンジであればレンジを表す線をざっと引いて把握します。(上図では、それ以外の水平線が引いてありますが、無視してOKです)

で、ざっと大きな流れを把握したら・・・

その後は、その大きな波の中になる小さな波に、斜めラインを引いていきます。上図の赤・青・緑の色で引いたラインがそれですね。

下降する波であれば高値を結んだ斜めライン、上昇する波であれば、低値を結んだ斜めラインを引いていきます。

今回の宿題の主たる目的は、この色付きの小さな斜めラインを引くことにあります。

引き方のルールは、自分で模索してください。ラインの色分けは、別にしなくても良いです。(上図は見やすい様に色分けしただけです)

自分で模索しながら、

  • どんなラインが引けるのか?
  • どんなラインが有効なのか?
  • 引いたラインにどんな特徴があるのか?

を常に考えながら、とにかく量をこなしてください。

手と頭の両方を使って、繰り返し繰り返しやってみて下さい。

何が正解なのか分からなくても良いです。

「こんなことやって、一体どんな意味があるんだろう?」

なんて具合に、きっと迷うと思いますが、迷うなら迷うだけ迷ってください。

ただし、答えを見つける気は捨てずにね。

それが、今回の宿題です。

そして、この宿題を受けて、次回のお話をしていきます。

やった人は、やらない人に数倍の差をつけることが出来ると思って、とにかく手と頭に汗をかいてください。

モニターに映るチャート図にラインを引いても構いませんが、印刷して手書きしてみた方が、より理解が深まるかもしれません。

ひょっとすると、僕が次回のお話を知る前に、多くのことを自分で気が付いてしまうかもしれませんよ。

( ̄ー ̄)ニヤリ

ということで、次回は「波動」についてお話します。

それじゃあ、また。