チャート・デザインのすすめ(7)

前回に引き続き、今回もディテール作成のレシピ集をお送りします。

これまでのお話は、

ということで、忘れちゃったという人は確認してから、読み進めていってください。

それでは、始まり始まり~!

ディテールを設定しよう(3)

レシピその5(騙し絵を見抜く)

前回、1時間足と5分足の見え方が大きく異なるというお話をしました。そのせいで、買い時を売り時と勘違いしてしまうこともあるわけです。

で、そんな乖離を埋めるために、前回は5分足のデザインを変えてみるという作業をしましたよね。覚えてますか?

1時間足の流れの目線を5分足に固定させるという工夫をしてみたんですよね。

しかし、だからといって、

「じゃあ、5分足も15分足も、40SMAや75SMAの情報を・・・」

なんて考えてしまうと、際限なくインジケーターが増えていってしまいます。

そうなったら、元の木阿弥。

なので、今持っている情報を活用することで工夫します。どうするのかというと、

MA同士の関係性を把握することで、下位足を見たまま上位足の様子を想像できる様にしてしまう

という感じでしょうか。

ちょっと何言ってるか分からないと思うんで、実際にやってみましょうか。

これ、200SMAを加えてデザインを手直しする前のチャート図です。売り目線になってしまいがちな見え方ですね。

しかし、この様な状態になる時の1時間足って、どの様な状況だったでしょうか?

そう、1時間足10SMAまで価格が落ちてきた時です。以下がその1時間足。

要するに、1時間足が10SMA辺りにある時って実は、

5分足だと、75SMA付近にいる時(上図青い四角部分)なんですよ。

ということはですよ・・・

1時間足で上昇トレンド中でも、価格が10SMAを割り込んでくると、5分足では75SMAを割り込んでくるので、価格は下降し出した様に見え始めてくるんですね。

上図5分足チャートは、トレンドラインを割り込んだだけでなく、3本のMAはデットクロスして、パーフェクトオーダーが完成しています。ここから売りを仕掛けたくなる様な局面です。

しかし、先のMAの関係性を知っていれば、1時間足が上昇トレンド中なら、価格はまだ1時間足10SMAを下抜けた程度だということが、想像できると思います。

1時間足で確認してみましょうか。

上図を見ると、先ほどの5分足で見た局面は、1時間足では10SMAは下抜けたものの、20SMAまでは届かずに押し目を付けて反転上昇する直前の局面だったことが分かります。

この様に予め、

価格が5分足75SMA付近 ≒ 価格は1時間足10SMA付近

という関係性を知っていれば、

「価格が5分足で75SMAを割り込んできて売り時に見えてきた」

という状況は、わざわざ1時間足を見なくとも

「ということは、1時間足だと10SMAを割り込んで押し目を付けてきた辺りなのかな?」

と想定しながら、5分足チャートを見ることが可能になるんですよ。

まるで視点を変えることで、同じ絵でも違う人の顔に見える騙し絵を見抜くかの様に、ね。

ちなみにですが、15分足の場合も同じようなことが出来ます。

端的に言ってしまうと、1時間足が上昇トレンドにある場合、

  • 価格が15分足40SMA付近にあるなら、1時間足では10SMA付近
  • 価格が15分足75SMA付近にあるなら、1時間足では20SMA付近
  • よって価格が15分足75SMAを越えて下降し出しても、1時間足では40SMA付近にいることが多い

という傾向が見えてきます。便利ですねぇ。

ただ、注意してもらいたいのは、これらはあくまで「傾向」でしかありません。

僕が他の記事でお話している

「日足5SMA、4時間足20SMA、1時間足75SMA」

というのは、かなり近似値で、

「1時間足20SMA、5分足200SMA」

は、それよりもやや近似値から離れるのですが、

このレシピその5でお話している事例は、それらよりも傾向が低いものです。

相場つきによって表情は変わり、例えば1時間足において各移動平均線がかなり接近してきているポイントでは、5分足ではどうとでも受け取れる様に見えたりします。

なので、あくまで1つの基準として見る様にしてください。

もし、もっと整合性を図りたいのであれば、各自で検証して、近似となる数値を探し出して利用してください。

ただ、それを突き詰めると、各時間軸で違うパラーメーターのMAを用いることになったりして、むしろ混乱する可能性もありますが。

いずれにしろ、各自が各自のスタンスできちんと検証することでしか、その感覚(コツ)は掴めません。

レシピその6(自分のセンスと視力の限界を知る)

こういった話をしながら、下の様な図を見せると、

「1時間足では押し目でも、5分足では下降トレンドなんだから、5分足レベルで考えて売って利益を得た方が良いじゃん」

って考える人は、結構いると思います。

確かにこの図を見ると、5分足では赤い四角で囲ったポイントから下降トレンドを形成しています。ここで売っていたら、結構な利益になっていたはずです。

でも、それって既に出来上がったチャートを見て、既に下降トレンドを形成しているのを後付けで見てるから、そう考えるわけですよね?

じゃあ、リアルタイムで先が見えない状況の中だったら?

そのポイントから売って、きちんと利益が出るくらいに下降トレンドを形成するって、どう判別するんですか?

そういったスケベ心でチャートをいつも見ているから、先ほどのレシピ5で挙げた5分足チャートの様に、

こういった場面で売りを仕掛け、売った直後に

売ったポイントが底となって、爆上げしたりするんですよ。

まさに、負けるべくして負けてるわけです。

僕は何度も言ってます。

全ての波を獲ろうとするのは、単なる欲でしかなく、それがやりたいなら、きちんとした場面できちんと勝てる様になってから考えればよい、と。

1時間足上昇トレンド中の下降する1波(押し目)を獲ろうとするのは、

  • きちんと上昇波を獲れる様になり
  • その後、その押し目が反転するポイントを高確率で想定できる様になり
  • さらには素早い展開に対応できる臨機応変さと技術を持ち合わせる様になり

その時になって、初めてチャレンジすれば良いんです。

だから、本気で勝ちに行きたい人は、前回の記事で解説したこと、もう1度心に刻んでくださいね。

「順張りからの順張り」

そこが、アナタの主戦場です。

レシピその6(200SMA)

200SMAは、それだけでチャート・ポイントとなる不思議な移動平均線です。

細かいことは、僕の200SMAの記事に譲りますが、この移動平均線を1本引いておくだけで、何かと便利です。

例えば、前回の記事のレシピ4の解説で用いた1時間足の深い押し目のポイント。

この部分を15分足で見ると・・・

黒と赤い水平線がチャートポイントとなって、反転上昇をしているのが分かると思います。

じゃあ、この15分足チャートに200SMAを引いてみますね。すると、

赤い水平線と200SMAが合致したポイントで、価格は反転しているわけです。

ついでなんで、この15分足を200SMAだけ残して、俯瞰して見てみましょうか。すると、

まぁ、相場つきによって価格の流れは一様ではないのですが、上図の周期の流れの中では、200SMAがキー・ポイントとなっているのが、分かると思います。

200SMAは、前回お話した5分足における1時間足20SMAの代用MAとなるだけではなく、各時間軸のチャートポイントを提示してくれることが多く、非常に便利なツールなんですね。

値動き主体のトレーダーでも、この200SMAだけは引いておくという人もいるくらいです。

200SMAを1本加えておく、というのもディテールの作成の上で、大きな1つのアイデアになります。

レシピその7(圧力を表現する)

同じ移動平均線を見て、同じところで押しや戻しを付けているのを見ても、そこでエントリー出来る人と出来ない人がいます。

例えば、上図下降トレンド中の戻しを拾おうと考える局面(赤丸部分)を見ても、

「お!チャンス!」

と思う人もいれば、

「いや、まだまだ上昇するかも・・・」

と思ってしまう人もいるでしょう。

これまで、色んなお話をしてみましたが、それでもやっぱり躊躇してしまう人って、いるんじゃないかなぁ・・・?

で、このレシピ7では、そんな人に向けて、更にデザインを強化してみよう、ってお話。

 

移動平均線って、各期間の終値の平均値を繋いだものでした。大雑把な言い方をすれば、売買結果の平均値ですね。

ということは、移動平均線は「売り方と買い方の勢力の境界線」という見方も出来るわけです。

で、この境界線の傾きは、買い方と売り方の勢力の強弱を表していることになります。

  • 移動平均線(境界線)が上を向いている時は、買い勢力が優勢で買い圧力を増している
  • 移動平均線が下を向いている時は、売り勢力が優勢で売り圧力を増している
  • 移動平均線が横を向いている時は、両勢力の力が拮抗している

図にしてみると、

こんな感じになると思うんですよ。

で、2つの移動平均線の間が広がったり縮んだりする様も、その圧力の増加と縮小を意味することになります。

短期買い圧力が一旦治まり、一時的に売り圧力が巻き返しを図っているところが「押している」局面ですね。

その後、売り勢力が返り討ちにあって再び買い圧力が増し始めると、短期移動平均線は「U字」の形を描き、そこが「押し目」であることを表現してくれます。

で、そんな「圧力」を意識してチャートを見れるようになると、まだ躊躇してしまう人でも、見え方が変わってくるんじゃないかな、と思うんですよ。

それじゃあ、もう1度チャート図を挙げますので、そんな圧力を視覚的に感じながら、もう1度見てみて下さい。

見えますか?

う~ん・・・難しいかなぁ・・・

まぁ、見えなくもないことはないんですが、図で書いた様には単純に見えませんよねぇ。

ということで、こういった移動平均線による圧力を感じるためには、今以上にデザインしていく工夫が必要です。

ただ幸いなことに、こういった移動平均線の視覚性を意識してチャートをデザインしてくれるインジケーターは、いくつかあります。

例えば、GMMA。

長期的なEMAを期間順に並べる(上図、赤色のEMA群)ことで長期的動向を表すと同時に、短期的なEMAを期間順に並べる(青色のEMA群)ことで短期的動向をを表現するというインジケーターです。

赤色の長期EMA群がガイドラインを表し、青色の短期EMA群がディテールを表しているということになりますかね。

具体的なGMMAの使用方法は他に譲るとしますが、

長所は以下の点。

  • 長所1・・・売買の圧力の増減を、視覚的に容易に把握できる
  • 長所2・・・相場のトレンド局面も、視覚的に一目瞭然
  • 長所3・・・トレンドの転換局面は、自動的にトレードできない仕様になっているので、無駄なトレードを排除できる

短所は以下の点。

  • 短所1・・・EMAの数が多過ぎて、値動き自体が見づらい
  • 短所2・・・レンジ局面でトレードしたい人には、トレードがやりにくい
  • 短所3・・・メインチャートに他のテクニカルを用いにくい

これを用いるかどうかは、やっぱり各自の判断に委ねられます。

ただ、数多くのMAを用いなくとも、その両端にあるMA(最短期間のMAと最長期間のMA)を表示しておけば、その2つの線同士の広がりや狭まる様を見ることで、圧力の増減は十分確認できるはずです。

う~ん・・・

そう言えば、これさっきもやりましたね。ここから、もっと視覚的にハッキリ分かる様に工夫したかったんでした。

じゃあ、このMA同士の間隔を塗りつぶすとか色付けしちゃうとかは?

で、そんな視点から恐らく作られたのが、MAリボンというインジケーターです。これをGMMA的に表示すると、

こんな感じになりますね。(GMMAの最短EMAの期間は3ですが、ちょっと見づらくなるので上図では期間を5にしています)

また、僕がこの記事で例えている様なガイドラインとディテールの考え方を、このMAリボンを使ってデザインすると、次の様な感じになったりします。

まずは、ガイドラインの75SMAとディテール25EMAにMAリボンを用いた例。

続いては、ガイドラインに75SMA、ディテールを25EMAと40SMAにしてMAリボンを用いた例です。

この様に、MAリボンを使って移動平均線同士の間を色付けすることで、それがまるで「壁」の様に視覚的に圧力を感じることができますよね。

単に「線」だと心もとなく感じる人は、これを「帯」や「壁」「水圧」などに見立てることで、価格が押し戻されるイメージの手助けにすることもできるんですね。

もちろん、MA同士の間を色付けしなくとも、十分判断できる人は、それでOKです。

これは、チャートの見た目を自分の個性に合わせてデザインすることで、自分の視覚的な認知の仕方を、適切なトレードが出来る様に合わせていくための

「チャート・デザイン」

なんですから。各自が各自の個性を活かして、目的に合わせたデザインを心がけてみて下さい。

レシピその7(反転確認を強化する)

色々とディテールを考えてみましたが、

「移動平均線はトレンド系インジケーターだし、これで反転確認をしていくのは、どうも自信がない」

という人がいても、おかしくはありません。

で、そういう人は、オシレーターを加えてみるのも1つの手段です。

上図は、20SMAと40SMAのディテールに、オシレーターの1つであるRCIを加えたものです。

僕のRCIの解説では、3本RCIを解説しています。既に扱えるようになている人は、3本用いても構いませんが、情報は増やせば良いというわけでもないので、最初のうちは短期線1本で十分かと。

で、上達していって、もっとMAとRCIの関係性を考えながらトレードしたくなったら、1本ずつRCIを加えていけば良いだけですから。

ただまぁ、繰り返し言ってますが、更に上達していけば、今度は「引いていく」ことになりますけどね。

もちろん、RCIじゃなくとも、ストキャスティクスなど別のオシレーターを用いても構いません。自分が最も扱いやすいものを選べば良いと思います。

詳しくは、僕のオシレーターやRCIの記事を参考にしてください。

レシピその8(利確のディテール)

エントリーよりも、難しいのがエグジット(利確・損切り)です。

で、説明するのもエグジットの方が難しい(特に利確の方は)ですが、スルーするわけにもいかないので、チャート・デザインのディテール設定という視点に絞って、解説していきましょう。

利確の考え方

エントリーよりもエグジットの方が難しいという大きな原因は、精神的なプレッシャーによるものです。

人は含み損を膨らますより、含み益が減ってしまうのを嫌がる性質を持ってますから、冷静な判断が出来なかったりします。

また、仕事や家庭との兼ね合いなどにより、ポジションを持っていられる時間も人それぞれですし、

ポジションを持った後は、しばらく放置できる人もいれば、チャートで監視し続けないと不安な人もいるでしょう。

各自の性格や生活状況によっても、大きく左右されるのがエグジットなんです。

で、そんなエグジットには大きく分けて2つの考え方が想定できます。

  • いくつもの波を乗り越えながら、出来るだけ利を伸ばす
  • 大きな押しや戻しは避け、波1辺の出来るだけ先っぽで利確を目指す

前者は、一時的に含み益が減ったりしますし、下手をすれば大きな利益を吹っ飛ばしかねませんので、メンタルの負担は大きいですが、伸びた時の利益はバカになりません。

逆に後者は、精神的負担は少ないですが、利幅は限定的な、勝率重視の考え方です。

で、教科書的なことを言えば、出来るだけ利益を伸ばすことを考えた方が良いです。

が、僕としては、一概にそうとは思わないんですよねぇ。

相場つきとしてボラが大きくないと、伸ばそうとして逆に失敗することって珍しくないんですよ。

「もっと利を伸ばせたはずなのに!!」

と嘆いて、頑張ってみたら急にボラが大きくならずに、70pipsあった利益が逆に損切り。

それを何度も繰り返し、反省して早めに利食ったら、今度はどんどん価格は伸びていく・・・

ってことは珍しいことではないんですね。

むしろ、ボラティリティを予め考慮しながら利益の伸ばし方をその都度変更するなんてのは、結構な腕前にならないと、難しいんですよ。

ですから、各自が自分のメンタルや技術、また生活スタイル等を考慮しながら、どちらを選択するか?

というより、その両者の間のどの辺りを目指すか?

を考えながら、自分のスタイルを確立するべきだと、僕は思います。

ラインを用いる場合

利確のディテールを設定する際の考え方は、エントリーポイントを見つける時と、原則同じです。

  • 到達ポイントを探る
  • 反転するのかしないのかを探る

という2つの視点のうち、どちらか1つ、もしくは両方を用います。使うテクニカルも、既にお話したものと、ほぼ同様になります。

到達ポイントだけで利確する人は、出来るだけ狙った波の先っぽを捉えて終わらしたいという考え方です。

反転するかどうかを探る人は、これ以上伸びる様だったらまでポジは持ったまま、反転するなら利確するという考え方です。

また両者を合わせながら、出来るだけ長く、上下する波を乗りこなそうとする人もいるでしょう。

で、先ほども言いましたが、自分がどの様にして利確のディテールを設定するのかは自由です。今の自分に最も適した「最適解」を探していけば良いんだと思います。

ただ1時間足をメイン時間軸としているデイトレーダーは、あまり複数の波を渡り歩くほどの時間はないと思います。伸ばそうとすると、どうしてもスイングになりがちなんで。

ということで、数十分から10時間以内で利確することを想定しながら、具体例をお話しましょう。

上図、赤い丸で売りエントリーをしたとします。

下落すると想定した価格の到達ポイントを、上図では4時間足で認識できるレベルの水平線を使って想定してみました。現在価格から近い順で、ラインを引いていきます。

この中で、どれをエグジットの目標値にするかは、人それぞれですね。

最も保守的なのは、1の水平線でタッチしたら即利確するというものです。

あまりポジションを持っていられない、もしくは持っていたくない人は、ここで決済するのもアリです。

でもまぁ、これは1時間足チャートなので、1で利確したとしても40pips前後の利幅にはなるでしょう。

チャートを監視しながらエグジットを考えられる環境なら、1で反転するか抜けるかを見て、次は2で反転するか抜けるかを見る・・・を繰り返して、利益を伸ばすことも可能ですね。

また、他のテクニカル(フィボナッチなど)を用いて、根拠が複数あるポイントを目標値として、そこに指値を置いて待ち構えるという方法も考えられますね。

で、結果はこんな感じですね。

理想的なエグジットのタイミングは3か4でした。オシレーターも低値圏に到達していますしね。ただしポジション保有時間は8時間以上ですが。

なお、オシレーターを用いる場合は、後付けだと上手く効いてる気がしますが、実際に動いてるチャートで用いると判断が難しいので、慣れが必要です。(まぁ、テクニカル全てに言えるんですが)

ロウソク足を用いる場合

もう1つ、利確の仕方を紹介しましょうか。ロウソク足だけを見てやるやり方です。

これ、きちんとトレンドに乗ってないと上手く使えないんですが・・・

単純なルールは、

  • 売りで入った場合は、陰線が続くまでポジションを持つ
  • 買いで入った場合は、陽線が続くまでポジションを持つ

というものです。

ただ、実際に扱う場合は、ここに各自が若干のルールを加えます。

例えば、「売りで入った場合は、陰線が続くまでポジションを持つ」ということは、最後の足が陽線で終わった場合にエグジットするということです。

しかし、この陽線が前の足(陰線)のハラミ足等で終わった場合は、次の足の挙動を見ます。

で、例えば、

  1. 次の足が、陽線の高値を抜いた時点でエグジットする
  2. 次の足が、陰線で終わったならエグジットせずに次の足の挙動を見る

という2つのどちらかのルールで、利確します。

実際の例を用いながら、お話しますね。

エントリー1で売りを建てた場合、ロウソク足が陰線を描き続けるまでは利確しません。

で、aで陽線が出ました。しかし、手前の陰線よりも低値をつけてますし、実体だけで考えると、ハラミ足になります。

ということで、次の足の挙動を見ます。

先のルール1「次の足が、陽線の高値を抜いた時点でエグジットする」を用いるのであれば、bがaの高値を抜いた時点でエグジットします。

しかし、ルール2「次の足が、陰線で終わったならエグジットせずに次の足の挙動を見る」を用いている場合は、bは陰線で終わったので、更に次の足の挙動を見ることになります。

で、cは陽線ですが、完全にハラミ足です。そのまま次の足の挙動を見ます。

最終的に、dの陽線は手前の陰線と実体はほぼ同じであると同時に、完全に包み足です。なので、上昇力が強いと判断して、ここで利確します。

次にエントリー2を見てみましょう。

陰線が続いた後、eで陽線が出ますが、ハラミ足です。なので、そのまま様子を見ます。

ルール1を用いている場合は、fがeの高値を抜いた時点で利確します。

ルール2を用いている場合は、そのルールを適用し続けると、gまで持つことになりますね。手前の陰線を抜いて陽線を付けて終わったところで利確します。

この2つの例だけを見れば、いずれもルール2を用いた方が得の様に感じるでしょうが、1のルールで利確しなければ、その後大きく上昇を続けてしまい、利確どころか損切りになるケースも多々あります。

なので、どちらが正解ということはありません。

保守的に利確したい人はルール1を、伸ばせるときは伸ばしたい人はルール2を用いることになるでしょう。

もちろん、別のルールを作って見てもOKです。

移動平均線を用いる場合

また、移動平均線によって利食いするという方法もありますよね。

売りポジションの時は、特定のMAを上抜けてロウソク足が確定したら利確するとか。エグジット用のMAを2本用意して、そのクロスでエグジットするとか。

ただ移動平均線をエグジットのディテールとして用いる際には、注意が必要です。

確かにこのやり方は、トレンドが比較的緩やかだったり、トレンドが強くともしばらくは深い押しや戻しをつけない場合は、とても有効です。

上図を見ての通り、利幅を伸ばせるところまで伸ばせちゃいます。

しかし、トレンドの押しや戻しの上下が激しい場合は、結構振り回されます。

上図の様な押しや戻しが激しい時は、下手に移動平均線でエグジットを試みると、利を伸ばすどころか薄利撤退や損切りを繰り返す羽目になります。

この様に、相場つきによってパフォーマンスがかなり違ってきますので、注意してください。

もちろん、たった1つの正解はありませんし、エントリー以上に利確のためのエグジットには、たくさんの答えがあると思います。

それくらい、各トレーダーの事情に合わせた自分なりの答えが必要なんですね。

最初は、チキン利食いでもOKじゃないですか。徐々に対策を講じていけば良いんです。

「利食い千人力」

と、先人たちはそう言っています。

レシピその9(損切りのディテール)

今回のチャート・デザインは、トレンド中の順張りがガイドラインですから、損切りに関しては、明確です。

  • 上昇トレンドの際は、直近低値を抜いたら損切り
  • 下降トレンドの際は、直近高値を抜いたら損切り
  • 直近のレジサポを抜いたら損切り

というものです。

ただ、直近高値(低値)より手前にあるレジサポは、破られることが多々あります。

ですから、「直近高値(低値)を抜いたら」を損切りの基本としておいてください。

で、ここで考えるべき点が2点。

まず1点目は、「直近高値(低値)をどの程度(何pips)抜いたら、『抜けた』と判断すべきか?」という問題です。

で、その答えですが、

「ズバリ言って、10pipsです。10pips開けてSTOPを置いてください。」

 

って、僕が言うと思いますか?

言わないですよ。自由にやってください。

 

そういったことはやはり、自分で検証して、自分なりの答えを出すしかないんです。

抜けたと思ったら、それは単なるオーバーシュートで、価格は直ぐに引き戻されるかもしれません。

その際に、直近高値(低値)の直ぐそばに置いていれば切られる確率は高くなります。しかし、遠く離して置いていた場合、いざ損切りとなった時の損失幅は大きくなります。

何をどう考え、どのスタンスをとるかは、やっぱり各自が自分の検証と考えに基づいて決めるしかありません。

さて、注意すべき点の2つめですが、これは

「どこを直近高値(低値)とするべきか?」

という問題です。

上図のAで反転確認をとって、売りエントリーをした場合、直近高値はBでしょうか?それともCでしょうか?

答えは、Cです。

(その理由は割愛しますね。このシリーズで解説し出したらキリがないんで、各自が勉強しておいてください)

ただ、もう1つ考え方があるんですよ。

もう一度、チャートを良く見てください。

下降トレンド中の価格がAまで戻りをつけて、そこで反転下落すると考えて、売りエントリーしたんですよね?

ということは、思惑通りであれば、そのAが次の直近高値になるはずです。

ですから、Aを直近高値として、そのすぐ上にSTOPを置いちゃうという考え方もできるんですよ。

ただし、この考え方というのは、損切りするということに抵抗がない人なら採用してOKな考え方です。

「BやCにSTOP置いたら、損失幅が大き過ぎる。出来るだけ小さく抑えたい。損切りは厭わないし、切られてもまた戻り売りの場面が来たら入れば良いんだから」

と思える人限定のやり方ですかね。

で、結果どうなるかといえば、

Aでエントリーした売りポジションは、Zまで踏み上げられて損切りされ、損切り直後に反転下落するんですね。

まぁ、こういった風になっても

「全然OK。切られても直ぐに入り直せば良いだけだし。大きな額の損切りになるよりはマシ」

という考え方の人が採るべきSTOPの考え方なんですよ。

ちなみに、僕もこの考え方でSTOPを置くことが(ケースバイケースですが)結構あります。性格的に、僕はこっちの方があってるんで。

ただ、きちんとしたポイントでエントリーできない人は、これやると小さな損切りを連発して、塵も積もれば山となる方式で資金を溶かしていきますので、お勧めはしませんよ。

さらに追加で言わせてもらうと、仮に僕がこの図のAのポイントで売ったとしたら、実際にSTOPを置く場所は、

上図に引いたレジサポの上になります。これ、さっきSTOPを置く場所として挙げたもう1つのポイントの部分です。

ここに置いておくことで、一旦踏み上げられても、損切りされずに済む可能性が高まるわけです。

さて、エグジットのディテール設定についての考え方は、これくらいにしておきましょうか。

レシピその10(デザインの仕上げ)

各自ディテールの設定が定まったら、最終的に視覚的な仕上げをしていきます。

まぁ、単純に言ってしまえば、重要度や優先順位などを踏まえながら、認識しやすい様にテクニカルの色や太さを変えていくという作業です。

例えば、チャート・デザインでもっとも根幹をなすのは、ガイドラインでした。

しかし、ディテールに目ばかりが言ってしまいがちの人は、

ガイドラインに用いるテクニカルの表示を太くしてみたり、目立つ色にしてみることで、まずはそこに目が行く工夫をします。

また、重要度の順番に目立つ色を使い分けることを考えたりもします。

どの色が目立つかは、人によりますけどね。

更に、テクニカルを数種類用いる場合は、全体を眺めながら、整理整頓することを心がけます。複雑さは、意味を持つどころか混乱しか生まれませんから。

例えばこれ、RCIの解説記事の時にお話しましたが、

上図の様に移動平均線3本とRCI3本の計6本の線を、個別に考えてバラバラに並べて見ても、一体何のどこをどう見て良いか分からなくなります。

しかし、移動平均線とRCIの各線を同期をとり、同じ同期をとったもの同士を同じ色で表示してしまえば、

随分とスッキリします。同じ6本線が表示されていても、どれのどこをどう見て良いかが一目瞭然になります。

この様に、テクニカルの色や太さだけでなく、パラメーター等にも規則性を持たせることで、視覚情報を整えることも大切です。

ディテールの作成がある程度出来上がったら、もう一度、チャート全体を見渡してください。

そして、整合性を図ります。

統一できるものは統一し、順序立てることができるものは順序だてます。そして、要らないものは容赦なく削ぎ落していくんですよ。

そうやって、チャート・デザインは1つの作品として完成していきます。

レンジのデザインについて

レンジは実力に比例する

ご存知の通り、僕が言うところの「相場4大局面」は、世間一般的なレンジをレンジとして解釈はしていません。

  • 取引が可能だと判断できるレンジ=レンジ局面
  • 取引が可能かどうか判断できないレンジ=分からない局面

でしたね。

なので、用いたガイドラインから「レンジ」を判別できるなら、そちらもデザインを試みるべきです。

しかし今回は、初心者向けにガイドラインを設定したので、「レンジ」は自ずと省かれる形になってしまいました。

だってね、

後付けでチャートを解釈するだけなら、「これはレンジです」なんて、ちょっと勉強すれば誰だってできるんですよ。

しかし、リアルに相場が動きながら価格が形成されている中で、それがレンジであるといち早く認識するのは、実力に比例します。

初心者であればあるほど、皮肉なことに、

「あ、これはレンジだ」

と分かった頃が、大体レンジの最終局面だったりします。

しかし、実力が上がっていけば行くほど、そこがレンジであると認識できるタイミングは早くなっていきます。

トレンドとレンジは別物

もう言わずもがなでしょうが、トレンド局面をチャート・デザインしていくことと、レンジ局面をチャート・デザインしていくことは、全くの別物です。

それを構成するロジック自体が、全く違ってきますし、用いるテクニカルにだって、トレンドを捉えるのが得意なものと、レンジを捉えるのが得意なものがあります。

同じテクニカルでトレンドにもレンジにも対応できるものもありますが、その見方や考え方は、トレンドとレンジの時では違ってきます。

ですから、レンジにおけるディテールを設定していく際には、違うテクニカル、もしくは同じテクニカルであっても違う発想で、取り組む必要があります。

で、このレンジに対するチャート・デザインの解説は、今回のこのシリーズでお話するつもりはありません。

理由は、このシリーズでお話したロジックに焦点を当てて、検証と練習を重ねれば、順張りだけで十分勝てる様になると思っているからです。

まぁ、このシリーズで、レンジを書き出したら、それこそ膨大な量になり過ぎるというのが本音なんですが。

ということで、レンジ(トレンドの反転局面も含む)について、今後この「チャート・デザイン」シリーズでお話するかは、今のところ不明です。

レンジ7割のホントとウソ

巷ではよく、

「相場の中でレンジは7割(8割)」

と言います。

確かにその通りなんですが、だからと言って、

「レンジの局面が圧倒的に多いから、チャンス的にはレンジを先に極めた方が得だな。レンジからやりたい」

という素人感覚は、完全のNGです。

その世間でいうところのレンジの多くは、僕が言うところの「分からない局面」ですから。トレードが実質可能なレンジ局面をリアルタイムで判別するには、実力が伴わないといけないんですよね。

ですから、実力が伴わないうちは、むしろレンジはトレンドよりも少ないかもしれません。

また、レンジのエントリーポイントは、基本的にレンジ上限到達時とレンジ下限到達時なので、値幅のあるレンジは、そこに到達するまでに時間を要します。

しかし、トレンドは1度発生してしまえば、押しや戻しを形成する場面は、何度もあるわけです。

そういった面を考えると、エントリーチャンスとしての頻度は、実際のところ、レンジよりもトレンドの方に分があるかもしれませんよ。

(もちろん、トレーダーの技術によってエントリーチャンスは増えていくのは、言わずもがなです)

ですから僕としては、まずはトレンド攻略に絞ってチャート・デザインをしていくことをお勧めします。

トレンドで獲れる様になってから、レンジのことは考えれば良いんです。焦る必要はどこにもありません。

レンジを考え出すころになったら、僕のその他のレンジに関係する記事を参考にして、ガイドラインとディテールを作成してくださいね。

シリーズの終わりに

新型コロナウィルスによる自粛活動の中、僕は今までにないペースで、この「チャート・デザイン」シリーズを更新してきました。

しかしまぁ、このシリーズもとりあえずは、今回で終了です。

僕なりに分かりやすく書いたつもりですし、初心者に向けてこのレベルで書いている解説書は、有料無料を問わず、そうはないかな、という自負も僕なりにはあります。

もちろん、だからといって読んだだけでトレードが上達するわけじゃあ、ありませんけどね。

実際にやってみると、それこそ右往左往ばかりの日々になってしまうかもしれません。

でも、それで良いんですよ。

冒頭でも言いましたが、そうやってでしか自分の道は切り開けません。

誰かの頭で誰かに答えをもらおうという姿勢は、この勝負の世界においては

「負け犬根性」

でしかないんですよ。

もちろん、何から何までゼロから始めろ、という話はしていません。最初は、誰かのモノマネから始めても構いません。いや、むしろそっちの方が近道です。

ただし、きちんとその人のテクニカルの考え方を踏まえながら、きちんとチャートに向き合っていかなければ、どんなにマネしてみたところで、本質そのものからは遠ざかってしまうだけです。

僕らはモノマネがしたくてトレードをやっているわけじゃなく、お金を手にしたいからトレードをやっているわけです。

それなのに、誰かの表面的な部分のモノマネで終わってしまえば、それはモノマネですらなく、贋作でしかありません。

そのデザインでお金を稼ぐことは出来ず、ひょっとしたら、その贋作を売るというインチキ商売でお金を得ようとしてしまうかもしれません。

しかし、このブログをご覧の読者さんは、きっとそれは本望ではないはず。

でしたら、自分の道は自分で切り開いていってください。

各自が各自の個性を活かす形で、チャート・デザインをしていく。

そうやって道が開かれていくことを、僕は願ってやみません。

それじゃあ、また。

チャート・デザインのすすめ(6)

ここ数回に渡り、チャート・デザインという視点に立って、テクニカル適用のやり方ををお話してきました。

で、今回はその第6話。いよいよ、ガイドラインに沿ってディテールを作成していく事例をご紹介します。

出来上がるまでの手順を示しながら作り上げるレシピ集という感じですかね。

それでは、始めていきましょう。

ディテールを設定しよう(2)

まずは、1つだけ

ガイドラインは、これまで通り75SMA1本だけ。局面認識は以下の通りです。

ここからディテールを作成していくわけですが、

まず最初に、トリガーとしてのテクニカルを1つだけ用意します。そう、1つだけです。

今回の解説では、やはりガイドラインと同じく移動平均線にすることにしましょう。期間は20SMA(下図、赤色の線)です。

まずは、この状態でトレードするを考えます。

「自分の今の技術だけで、本当にこれだけでトレードできるのか?」

とうことを、頭に汗をかきながら、手を動かしながら考えます。

  • 今、自分に見えて、自分に見えないモノって何だろう?
  • 見えていると思っているモノだけで、本当にトレードできるんだろうか?
  • 自分が見えないモノって、具体的には何だろう?
  • 見えないモノの中で、まず知らなくちゃいけないコトって何だろう?
  • それを知るためには、どんなツールが必要だろう?

それでは、実際のディテール設定の考え方を、いくつか例を出しながら解説していきますね。

レシピその1(深い押しや戻しを捉えたい)

ディテールとして20SMAを1本加えてみたチャートは、以下のチャート図でした。

念のために、別な通貨ペアも。

さて、この状態から

  • 何が見えて何が見えないのか?
  • 何を他に知りたいのか?

ということを考えるんでしたね。

で、まず最初に

「20SMAをガッツリと越えている深い押しや戻り。僕は20SMAだけじゃ、これを捉えること出来ない。さてどうしよう?」

と考える人は、多いと思います。

前回解説した様に、ラインを引いてあげれば20SMA1本でも十分だと思う人も多いでしょうが、ライン引きに自信がない人もいますからね。

また、後付けで出来上がったチャートでは「余裕」と思えることでも、実際のトレードでは「何もできなかった・・・」って人、結構多いでしょ。

例えば、

上図の赤い丸の様に、価格が大きく上昇しているのを見ると、

「もっと価格は上昇するんじゃないか?」

と不安になって、エントリーできなくなったりするんですよ。

そして、その不安が解消されるころには、随分と価格が下落した後になるんで、

「今売ってもSTOPが大き過ぎるし、なんか勿体ない気がする」

ということで、やっぱりエントリーを見送ったりします。

また、連敗が続いているなど、その時の心理状況によっては、上図の青い丸程度のオーバーシュート(行き過ぎ)ですら、躊躇してしまいます。

なので、仮に戻り到達点にラインを引いていたとしても、視覚的に

「止められてる感」

をさらに演出してあげる工夫が必要な人もいるわけですよ。

こういった人は、まず20SMAよりも大きい期間の移動平均線を用意することで、問題を解決する必要があります。

75SMAと20SMAの中間付近でキリの良い数字をとって、40SMAを表示して見ました。

この1本を追加することで、

グングンと上昇してしまうイメージから、

「届かない感」
「止められた感」
「抜けきれなかった感」

へと、視覚的に受ける印象が全く違ってきます。

こうしておけば、MAだけで深い押しや戻しも捉えることが出来る環境が整うわけですから、仮にライン引きも併用していれば、根拠は更に深まり、自信を持ってトレードすることが可能になります。

システム・トレーダーは、厳密な売買の検証結果によって、使うテクニカルやらパラメーター等を検討しますが、

裁量トレーダーは、売買の検証結果が向上する様に、テクニカルという視覚情報を自分の個性に合わせてデザインしていくんですよ。

裁量トレーダーは、システムの様にして精密な売買は出来ない反面、システムでは表現しづらい暗黙知な部分を活用してトレードするんですから。

心理的な負担は、技術だけでなく、視覚情報を工夫することでも、十分軽減できるんです。

レシピその2(浅い押し戻しも狙いたい)

今回、メイン時間軸に使用しているのは1時間足なので、実際にトレードしようとする場合は、

押しや戻しを待ってる時間が長過ぎる

という問題が出てきます。

なので、出来れば20SMAでは捉えきれない様な、浅い押しや戻しも狙いたいと思うのは、ごく普通の感覚です。

で、これを解決するには、20SMAよりも更に短い期間の移動平均線を表示すれば良いんでしたね。

以下は、10SMAを表示したものです。移動平均線の数を増やすとチャートが見づらくなるので、先ほどの40SMAは外し、10SMAを青色の線で表示しました。

より期間の短い移動平均線を表示したことで、20SMAでは捉えきれなかった浅い押しや戻しを捉えることが出来ていますよね。

ただ、既にお話している様に、浅い押しや戻しを狙うほど、ダマシが増えます。

反転したと思って売った直後に踏み上げられて損切りし、損切りした後に再度下落・・・みたいなことは、初心者の方は嫌というほど味わってるんじゃないかと。

なので、浅い押しや戻しも狙おうとする場合は、それに対処するための方策(損切りも含めて)を同時に用意しておかなくちゃいけません。

対処できないら、容赦なく切り捨てるんでしたよね。

より短いMAは使わないし、浅い押しや戻しも狙わないんです。不確定要素が大き過ぎるものに関しては、多い切って切り捨てます。

ただ、別に短いMAを用いなくとも、浅い押しや戻しを捉えることは、十分できるんですよ。それは、

短い時間軸のチャートに切り替える

ということです。例えばですねぇ・・・

ディテールに20SMA(赤)と40SMA(青)を表示しただけのチャート図を、もう1度見てみましょうか。

この図の真ん中辺りにある青い丸の部分を見てください。20SMAに届かずに押し目をつけてますよね。

ここを捉えるために、試しにテクニカルの設定はそのままで、15分足に切り替えてみます。すると・・・

これを見れば分かる通り、15分足の20SMAと40SMAで十分に押し目を捉えていますよね(青色の四角で囲った部分)。

浅い押しや戻しを捉えるために、移動平均線を無闇に増やす必要は、取り立ててないんですよ。

チャートを視覚情報として有効利用するためには、こういった考え方も必要です。

レシピその3(5分足の情報を整理する)

先ほどは、1時間足の浅い押し目を15分足にて捉えました。

でも、中には5足を使いたいって人も、いるんじゃないでしょうか?

ただ、1時間足と5分足では、その倍率は12倍と差があり過ぎるので、チャートの見え方がかなり異なって見えます。

それが、支離滅裂なトレードを繰り返す原因にもなりやすいんですね。

先ほどの15分足で見たポイントを、5分足で見てみましょうか。

平坦なレンジを形成してますね。

ライン・トレーダーならお手の物ですが、この局面を移動平均線で獲ろうとすると、どうでしょうかねぇ・・・

これ、先が見えてるので簡単な様に見えますが、実際にリアルに直面すると、MA同士が入り組みだして、ちょっとした挙動で買ってみたり、逆に下げ出した様に見えて売ってしまう人も出たりするんですよ。

ただ、上図のケースは、まだ良い方です。

今度は、右上の赤い丸の局面を見てください。

75SMAは横を向き、20SMAと40SMAは下を向きながらデットクロス。まもなくパーフェクトオーダーが完成しそうな局面ですよね。

これ、メイン時間軸となる1時間足の状態をシッカリと把握しながら見ておかないと、ウッカリと売りを仕掛けてしまいそうな局面です。

しかし、この局面を1時間足で見ると、

上図の赤い丸の部分です。押し目買いの局面であって、決して売ってはいけない局面なわけですよ。

つまり、1時間足と5分足では、売買の判断が真逆に見えてしまうことが、非常に多いんですよ。

なので、こういったことに惑わされやすいタイプの人であれば、メインとする1時間足に準じて5分足も見える様に、チャートの視覚情報を変えておく必要があります。

例えば、こんな感じに。

こちらの方が、騙されそうになったポイントも、上昇中の押し目感が出ています。

これ、どういう風にデザインしたかというと・・・

赤く太い移動平均線は、200SMAです。5分足における200SMAは、1時間足の20SMAに(近似値までとは言いませんが)比較的近い動きをします。

5分足200SMA ≒ 1時間足20SMA

なので、5分足に200SMAを表示させることで、1時間足20SMAを見ていた視点を5分足にも固定させるわけです。

そうやって、5分足を見ながら、1時間足20SMAより浅い押し目を拾おうとしている感を演出しています。

また、上図の例では、5分足の20SMAを省いてみました。

5分足の小さな挙動に振る舞わされないようにすることで、1時間足に準じる見方を極力固定しようという考え方です。

そうやって、自分の目的や性格に合わせて、視覚情報をデザインし直していけば良いんですよ。

MT4で用いるインジケーターは、時間軸別に表示・非表示を設定することが出来ますし、MTFに対応したインジケーターもあり、1時間足20SMAと同じ軌道のものを5分足に表示出来たりもします。

こういったものを利用することで、効率的にチャートをデザインしていけば良いわけです。

なお、その様な細かい設定が出来ないチャートソフトを用いている方は、各期間に使う色を固定させておき、色別でどのパラメーターの線を見ているのかを一目瞭然にしすることで、極力混乱を防ぐような工夫をしてください。

レシピその4(「順張り」と心に刻む)

浅い押しや戻りを、分足で捉えるディテールが整ってくると、

「深めの押しや戻しも、5分足や15分足を見ることでタイミングを計りたい」

と考える人も多いはずです。出来るだけ早いタイミングで入りたいですもんね。

でも、それを安易にやってしまうと、痛い目に合うんですよ。

メインチャートを見ていたら、価格は下落を始めて、20SMAを下抜いてしまいました。

ここで、押し目を拾おうと、例えば5分足に切り替えるとしましょうか。テクニカル表示の設定はとりあえず1時間足と同じにしておきますね。

すると、こんな感じです。

下降する価格を5分足で観察していたら、価格は反転上昇始め、ついには5分足20SMAも上抜けました。

じゃあ、買いますか?

正直、買いづらいですよねぇ。5分足では下降トレンドが始まって、今は戻している局面の様にも見えます。つか、そうとしか見えないかも。

しかし、1時間足では今まさに押し目を付けて反転上昇し始めた場面かもしれませんよ?どうします?

大体こういう時(欲が勝っている時)って、人は正しい方向とは逆の方を選択します。

ですから、買っちゃうんですよ。

「えー?それはないでしょ。」

と冷静な時は、そう思うんですけどね。でも、実際は買っちゃうんですよ。いち早く押し目となる底を捉えたい気持ちが強くて。

で、ご想像の通り、

下げま~す!

Aで買って下がり、損切りした後にBで買って再び下げます。

やっぱり「待てる人」というのは、上図の大きな赤い丸部分に来るまで待てるんですよ。

下降していた20SMAは反転上昇し、価格は40SMAも上抜いて揉み合った結果、ついには75SMAも上抜いてロウソク足が終わりました。

ようやくここで買いです。今まで2回失敗した人も、ようやくここまできて、自信を持って買うことができます。

ということで、

 

やっぱ、下がるんだな。これが。

щ( ̄∀ ̄)ш ヶヶヶ

 

で、この下落局面を、欲を出して買ってしまった人達の損切り(売り)が全て終わった後に・・・

ご覧の通り、価格は見事に反転上昇を始めます。

相場とは非情なものですねぇ・・・

 

では、なぜこんなことが起こってしまうのか?

答えは簡単です。

このチャート・デザインのシリーズで、今まで僕らが一生懸命学んできたことって、言ってしまえば全て、

「順張り」

なんですよ。ガイドラインに従って、順張りのロジックを考え、順張りのディテールを作成してきたんです。

  • 1時間足チャートで押しと戻しを拾う順張りのディテール作成
  • 1時間足で拾えない浅い押しや戻しを拾うために、5分足や15分足に切り替えて押しや戻しを拾うための順張りのディテール作成

しかし、1時間足での深い押しや戻しを拾う順張り局面は、5分足などの小さな時間軸では「逆張り」の局面なんです。

もう一度、先ほどの5分足を見てみましょうか。

やろうとしていた行為が、下降トレンドから上昇トレンドに転換するところを狙う逆張りだったことが分かると思います。

順張りのロジックしか持ち合わせていない人間が、逆張りの局面でどんなに頭をひねろうが、そりゃあ、負けるわな。

1時間足での深い押しや戻しを、分足でいち早く捉えようとするならば、逆張りのロジックを用いなくちゃいけないんですよ。

しかし、順張りロジックと逆張りロジックは、全く別物です。

逆張りロジックを実際のトレードで用いるようにするには、まずガイドライン時にトレンドの転換を見つけるためのロジックを見つけるところから、始めなくちゃいけません。

それに費やす時間と労力といったらもう・・・

とりあえずは、順張りロジックだけで勝負して、勝てる様になってからにした方が良いですよね。

なので、この時点では逆張りという視点は、バッサリと切り捨ててしまいます。

じゃあ、この1時間足の深い押しや戻しは、どの様に考えて狙っていけば良いのでしょうか?

では、ここでもう1度、基本に立ち返ってみましょう。

1時間足でガイドラインを設定した時のことを思い出しながら、再び5分足チャートを見直してください。

逆張りを狙ってやっていたことって、「トレードしないゾーン」で買い、「戻り売りゾーン」でも買い続けていたわけですね。

欲に目が眩むって、まさにこういうこと。

じゃあ、欲に惑わされることなく、己の実力をきちんと知っている人だったら、どの局面を狙っていたでしょうか?

で、これまでのガイドライン設定で想定しているレベルの実力で獲れる様になる局面に来るのは・・・

上図の「押し目買いゾーン」からですね。

そう、1時間足の「押し目買いゾーン」での押し目を狙う時(順張り)は、5分足でも「押し目買いゾーン」での押し目を狙う(順張り)ことになるんですよ。つまり、

順張りからの順張り

上位時間軸での押しや戻しを狙う時、下位時間軸は上位時間軸に対して順張りの局面でしかトレードしてはいけないんです。

これ、大切なことなんで、もう一度言いますね。

順張りからの順張り

小さな時間軸に切り替える時は、このことを絶対に意識しておかなくちゃいけません。

では、具体的に今回の場合は、どのタイミングでエントリーするべきだったんでしょうか?

図にすると以下の様になります。

早い人で、直近高値を抜いた後のロール・リバーサルの局面(A)、遅くとも、1時間足で引ける水平線と20SMAで止められて反転上昇した局面(B)で、買いエントリーですね。

でもねぇ・・・

じゃあ、このAとBのポイント、1時間足ではどのタイミングになるでしょうか?見やすい様に拡大して見ると・・・

5分足Aのポイントは1時間足だと、20SMAを抜いた局面であり、Bのポイントは1時間足レベルの水平線に一旦止められた後に抜き返した局面です。

つまり、1時間足だけ見てても、獲れる場面なんですよ。

つか、緑色で囲ったCを見てください。40SMAに弾かれて反転上昇したポイントと押しを表す斜めラインを上抜いたポイントが重なってますね。2重の根拠ですから、この時点で自信を持ってエントリーすることができた局面です。

欲を張って小さな時間軸を見ない方が、むしろ早めに押し目を拾えたという、実に皮肉なケースです。

ノ( ̄0 ̄;)\オー!!ノー!!!!

 

ということで、今回もこの辺でお終いにします。

実は、今回でこのシリーズを終わらすつもりだったんですが、書いてたらやたらと長くなってしまったので、分割してお届けすることにしました。

次回のお話も、半分以上は出来上がってるので、それほどお待たせせずに更新できる予定です。

つか、このハイ・ペースに、読者は皆さんはついていけてるんだろうか?

ということで、それじゃあ、また。

 

チャート・デザインのすすめ(5)

前回からディテールの解説に入ってますが、案の定長くなり過ぎて、考え方の説明だけで終わってしまった感があります。

ということで、今回はディテール作成に用いるテクニカルについてのポイントを具体例を挙げながら、お話していくことにします。

それでは、始まり始まり~!!

ディテールを設定しよう(1)

まずはポイントを再確認

今回設定するディテールですが、ガイドラインはここまでお話した流れを踏まえて、

1時間足チャートに日足5SMA分析

を初心者レベルの解釈で用いることを前提にお話を進めていくことにします。

すると、こんな感じでしたね。

で、分からない局面では、トレードはしない方針でしたので、ここにディテールを設定することはありません。

不確定要素(リスク)の大きい場面を対処できな場合は、容赦なく切り捨てるんでしたね。

ですから、ディテールを設定する際は、上図の「戻り売りゾーン」と「押し目買いゾーン」だけで考え、検証することになります。

で、ディテールを設定する際に必要な視点は

  • 押し戻しの到達点を探るためのテクニカル
  • 反転確認をするためのテクニカル

の2つでした。考えるべきポイントは、至ってシンプルです。

では、これからディテール作成に用いるテクニカルについて、もうちょっと具体的に解説していくとしましょう。まずは、到達ポイントを探るテクニカルから。

到達ポイントを探るテクニカルについて

到達点を探るテクニカルとは

押しや戻しがどの程度まで進行するのか、その到達ポイントを見当つけるためのテクニカルの主なものとして

  • ライン
  • フィボナッチ
  • 移動平均線

があると、前回お話しました。

ラインやフィボナッチは、チャートポイントを探るためのテクニカルです。

押しや戻しは、チャートポイントを少なくとも一旦は目指す(試す)という「相場の原理」みたいな考え方を利用して、到達ポイントを探ります。

また、移動平均線も、同様に到達ポイントを探るツールとして使えます。

え?そうなの?

と思う人も多いですが、確かにその通りなんです。

要は、「グランビルの法則」で考えるんですよ。全部説明するには、かなりの内容になりますので、要点だけ述べると、

「移動平均線から離れた価格は、やがて移動平均線に近づき、そして再び離れていく」

というものです。

これを今回のお話に準(なぞら)えると、

「トレンドを形成しながら移動平均線から離れた価格は、やがて調整局面(押しや戻し)によって移動平均線に近づき(到達ポイント)、そして再び離れて(反転して)いく」

ということになります。

ですから、移動平均線を用いた場合、価格の到達ポイントを探るためのテクニカルになり得るわけです。

また、これは至って不思議な現象ですが、代表的な期間の移動平均線に価格が到達する場合は、なぜかライン等で見当をつけたポイントと合致することが多いです。

これ、不思議なんですよねぇ。偶然の一致なんでしょうが、偶然にしては多い様な気がします。

いずれにせよ、これらのテクニカルを1つないし複数用いて、押しや戻しの到達点を探ることになります。

もちろん、1つよりも複数のテクニカルが重なったポイントは、より根拠が強くなりますよ。

ラインを用いた具体例

ちょうど前回のブログを書いている最中に、お手本の様な展開があったので、それを用いながら解説するとしますね。

これ、ドル円1時間足です。赤い矢印で示した通り、ガイドラインでは戻り売り狙いのゾーンに入ってます。

このゾーンに入ってから見る限り、少なくとも3回は戻り売りを狙えるポイントがあったのが、チャートを見ると分かると思います。

で、僕は昨日、鼻くそをほじりながら前回のブログ記事を一生懸命書きながら、上図赤い丸のポイントに価格が到達したところで、売りエントリーをしたんですね。

では、僕は何を根拠に、このポイントでエントリーしたでしょうか?

まぁ、ライン引きを練習している人にとっては簡単ですね。

ここにレジサポになり得るラインが引けるからです。

ただ、アップして良く見てもらえれば分かると思いますが、正確にはこのラインに到達はしていません。

まぁ、僕のブログをご覧の方は、

「ラインとは、価格がピタリとタッチしするとは限らないし、それを期待するためのモノでもない」

というのは、ご存知のはずです。

ラインとは、その周辺で売買の攻防が行われることを視覚的に表す方法でした。

ラインの上や下、あるいはラインをまたぎながら攻防が繰り返されるわけで、「ラインにピタリと止められて反転する」というのは、その攻防の1形態でしかないんですね。

ということで、次にこの戦いが繰り広げられるであろう域帯(ゾーン)を見当つけてみると、以下の様な感じになります。

中核となるラインの上下に、点線でラインを引いてみました。この上下の点線に囲まれたゾーンが主戦場になるんじゃないかと、見当をつけます。

で、このゾーンは結構強力です。

上図は4時間足ですが、先ほど引いた水平線は、4時間足もから引けるレベルであることがわかります。しかもこの水平線は、日足でも確認できるレベルです。

だから強力なんですよ、このチャートポイントは。

でね、ガイドラインによってこの局面は「下降トレンド」、つまり売り勢力が圧勝している場面だということを、僕らは把握しています。

ですから、仮に買い方が巻き戻しを図って上昇してきても、売り方はこの主戦場に圧倒的な主力部隊を待機させて待ち構えている可能性が高いわけです。

つまり、「返り討ち」ポイント。

これが、押し戻しの到達点になる可能性が高いわけです。

で、僕はこのライン付近に価格が近づいた時点で、5分足に切り替えて、その価格の振る舞いを観察します。

上図5分足チャートにおいて、最初に価格がこのチャートポイントに侵入した陽線のロウソク足を見てください。

一旦ゾーンに入り込みますが、ゾーンの外側に押し出されてこのロウソク足は終わっています。

で、このロウソク足が終値を付けた時は、1時間足のロウソク足も終値をつけたタイミングでした。

なので、次の足の振る舞いを見て判断します。隣の陰線ロウソク足ですね。

これを見ると分かる通り、価格はもう1度上値を試しますが、先ほどの高値にも届かずに再びゾーンの外側へと追いやられてしまいます。

で、僕はそれを見た時点で売りエントリーをしました。上図の赤い矢印の辺りですね。

通常は、ロウソク足が確定した時点で判断しますが、この場合はチャートポイントが強力であるのと、下降トレンドとしての方向感がシッカリしていた(売り勢力の強い)ので、それを待たずにエントリーしたわけです。

さて、何となくでしょうが、押しや戻しの到達点を探ることの大切さ、分かってもらえたでしょうか?

こういった到達ポイント探しは、常に意識する必要があります。

ライン引きを始めたばかりの人でも引ける様なラインを引いてみました。

これを見ても、戻り売りのポイントを、ラインは上手く捉えているのが分かると思います。

上図、赤い丸は、価格がラインに綺麗に到達した後に反転下落したポイントです。

もしそこが強力なチャートポイントであれば、ヒゲ先で入るのが、ある意味ライントレーダーの真骨頂とも言えます。ただし、強弱が見極められなきゃNGですけどね。

で、次に青い丸をご覧ください。これらは、ラインに到達せずに反転下落したポイントです。

しかしこの、「ラインに到達せずに反転下落した」という事実も大切です。

「売り圧力が強いので、ラインに到達できなかった」

と判断できるからです。(ラインでピタリと止まるとは限らないという考え方でしたよね)

ただし、その辺の細かい判断は、経験値や技術的に個人差がありますけどね。このブログの読者さんなら、言わずもがなでしょう。

ただ、上図の場合で言えば1点。Aのポイントはラインから離れすぎているため、実際にこれだけでエントリーするのは、経験上難しいかなぁー、と思いますけどね。

また、Bはラインではなくガイドラインとして用いている75SMAです。この75SMAはディテールとしても活用できるため、このポイントでエントリーを意識するのは十分可能ですね。

移動平均線を用いた具体例

次に、移動平均線を到達ポイントを探るテクニカルに用いる場合なんですが・・・

とりあえず長所と短所を挙げておきますね。

  • 長所・・・到達ポイントを探ると同時に反転確認もできる
  • 短所・・・ラインより、やや判断が遅れることがしばしば

まぁ、短所は短所とも言えないレベルです。

例えば、レジサポを探しても上手く探せずにラインを引けない時って、特に初心者ではあるんですよ。

でも、そんな時に移動平均線は、まるで正義の味方の様に颯爽と登場し、押しや戻しの到達点を示してくれることがあるんです。

なので、むしろ長所の方を評価した方が良いのかなぁ、というのが僕の印象です。

で、移動平均線を到達ポイントを探るテクニカルとして用いる場合ですが、ラインと同様に、「ピタリと止められるか」などとは考えなくても良いです。

緑色の丸のポイントは、教科書的にピタリと止められた箇所です。

まぁ、こういったのはパラメーターの調節によって作為的に表示できるので、むしろ「ピタリ」は偶然の一致と思っておいた方が良いくらいかも。

上図の青い丸のポイントの様に、一旦抜けた後に押し戻される方が、珍しくありません。

これ、ガイドラインの設定の時にもお話したと思いますが、一旦越えても直ぐに引き戻されたり、直ぐに引き戻されなくともライン際でくすぶってる状態であれば、

「止められて、弾かれた」

と判断します。トランポリンで跳ね返されるイメージで良いかと思います。

ただ、これもガイドラインの設定時にお話しましたが、キッチリ抜けた後に直ぐに戻らない場合(上図、赤い丸のポイント)は、注意が必要です。

一旦引き戻されても、再びMAを抜いてくる可能性も高くなります。

戻ってきた時に、MAの傾斜がきちんとついているかどうかも、大切なポイントになってきますから、注意して観察する必要があります。

では、先ほどライン引きで用いた時のチャートに、今度はディテールとして移動平均線を表示して見ましょうか。

とりあえず、そうですねぇ・・・僕が好んで使う20SMAを1本だけ表示してみますね。

上手く戻したポイントを捉えてくれていますね。

で、もちろんですが、移動平均線と共にラインを用いるなど、複数の根拠をもとにトレードした方が、エントリーには信頼が持てる様になります。

見ての通り、2つのテクニカルを用いて判断した方が、より強い根拠づけとなります。やや曖昧な部分でも、2つのテクニカルによってエントリーの根拠が強くなっているのが分かると思います。

さて、到達点を探るテクニカルの例は、これくらいにしておきましょう。

次に、反転を探るためのテクニカルの例を解説していきます。

反転を探るためのテクニカルについて

前回、反転を探るためのテクニカルとして

  • ロウソク足
  • オシレーター
  • 移動平均線

の3つを挙げてみました。

ちょっと、これらについて説明していきましょう。

ロウソク足について

ロウソク足で判断するというのは、例えばプライス・アクションだとか酒田五法だとかですね。

ありがちなのは「ピンバー(長ヒゲ)」ですかね。

またロウソク足レベルでダウ理論を用いることもあります。

ちょっと図が適当で申し訳ないんですが・・・

例えば、ロウソク足の高値と低値を結んで、それを波として見るんですね。で、この高値と低値を見ながら、ダウ理論を適用すると・・・

頂点となるロウソク足の次の足で、上昇トレンドが崩れたことになり、更にその次の足で下降トレンドが発生したことになります。(もちろん、ロウソク足レベルでの話ですよ)

また、この波を良く見ると三尊(トップ&ショルダー)であることも分かると思います。反転示唆のパターンですね。

こういった感じで、ロウソク足レベルで反転を確認することが可能です。

よく値動き主体のトレーダーが、

「インジは遅い。値動きが最速」

と言いますが、理由はこういった風にロウソク足単位で値動きを判断しているからです。インジは過去の値動きを計算して表示しますから、その意味では値動きが最速です。

ただし、これには注意が必要です。そこには真実と嘘が入り混じってますから。

これについては、後ほど軽く触れておくつもりです。

オシレーターについて

オシレーターは、主にレンジの高値や低値からの反転を捉えることに使われるテクニカルです。

しかし、トレンド中の押し戻しの反転を捉えることも、可能なんですね。

例えば、ストキャスティクスを使った場合は、こんな感じです。

見ての通り、移動平均線で頭を抑えられた後の反転下落を、ストキャスティクスは上手く捉えています。

もちろん、オシレーターは、レンジに強くトレンドに弱いのが特徴ですが、使い様によっては十分に役に立つテクニカルとなります。

詳しくは、「オシレーター概要」をご覧ください。

移動平均線について

移動平均線については、既にお話している通り、押し戻しの到達点を探ると同時に反転を判断するのにも用いることが可能な、お得感丸出しのテクニカルです。

到達ポイントを探る際に用いた画像は、これですね。

イメージとしては、移動平均線をトランポリンの様にして見ると、お話しましたよね。

ピタリと止められようが、一旦抜けようが、そこから押し戻された場合、

「移動平均線で、価格は反発した」

と見ます。

で、この反発を既に「反転した」と判断することもできます。

もちろん、これは移動平均線の傾きがシッカリしている場合に限るとか、各トレーダーによって判断は違ってきますが。

また、単に反発をしただけでは反転下落(反転上昇)とは見なさずに、そのまま反発した方向に価格が進行するのを確認してから、「反転した」と判断する人もいるでしょう。

例えばですねぇ・・・

ロウソク足単位でラインを意識するという方法もあります。

反発したロウソク足の低値や終値を次の足が抜いたら、反発から反転下落へと格上げして判断するとか、

反発したロウソク足の手前周辺のロウソク足群から抵抗帯を割り出し、そこを価格がブレイクしたら、反転下落したと判断するとか、

要は、ロウソク足1本ではなく、複数のロウソク足の値動きを見て反転を判断するという方法ですね。

こちらの方が、ロウソク足1本で判断するよりは、保守的ですが高確率となります。

また、より反転確認に信ぴょう性を持たせようとする場合に用いられるものに

2つの移動平均線のクロス

があります。ゴールデン・クロスとデット・クロスですね。

上図は、8SMAと13SMAを用いた例です。赤い丸で示したところが、クロスをしている箇所で、上手く機能していると思います。

ただ、クロスを用いると反転確認に信ぴょう性は増しますが、その分タイミングは遅くなります。

上図では、クロスしたポイントに赤い丸をつけてますが、その赤丸の価格でエントリーしているわけではありません。実際にエントリーする箇所は、そのクロスしたポイントにあるロウソク足です。

実際のエントリーは、価格が比較的進行した後になります。

なので、出来るだけ反応を早くするために、期間も出来るだけ短いものを用いたくなるんですが、2つの期間が短ければ短いほど、無駄なクロス(ダマシ)も増えていきます。

逆に、2つの移動平均線の期間が大きいと、押しや戻しを上手く拾えなかったりします。

まぁ、どの方法、どの期間を用いるかは、人それぞれの判断です。

ミスは多くとも判断が早い方を好む人もいれば、判断が遅くなっても確実性を望む人もいますから。むしろ、一挙両得を望むと毎回の取引がちぐはぐになって、パフォーマンスは低下します。

いずれにせよ、各自が検証と練習を重ねた結果、自分が最も適していると思う基準で、「反転確認」をディテールの設定に加えるべきですね。

この辺りに、トレーダーの「個性」が出てくるんじゃないかと。

反転確認のみの危うさ

押しや戻しを捉えるには、到達ポイントを探るテクニカルと反転確認を行なうテクニカルを併用することで、高い信ぴょう性を確保できます。

が、状況によっては、両方の条件が揃わなくとも、どちらか一方で判断する場合もあると思います。

ただ、僕の経験則から言わせてもらえば・・・

到達ポイントの視点のみでエントリーするよりも、反転確認の視点のみでエントリーすることの方が、失敗するケースが圧倒的に多いです。

例えば、先ほどから利用しているドル円チャートの5分足ですが、

この赤い矢印でのエントリーは、「反転」とまでは言い切れない段階でのエントリーです。

しかし、なぜここでエントリーが可能だったかと言えば、先ほど言った通り、チャートに引いたこの抵抗帯のゾーンが強力だからです。

戻しの到達ポイントとして、このゾーンは強力だと判断していたからですね。

しかし、到達ポイントを無視して、反転を探るためのテクニカルだけで戻り売りをしていたら、どうなっていたでしょうか?

下の図を見てください。

先ほどのドル円5分足で、戻しを形成している途中の場面です。

赤い丸のポイントで、ロウソク足はピンバーを作ってます。上ヒゲの長さは全体の長さの8割弱(78.6%)、おまけに陰線で終わっています。

俗説的テクニカル解説に従えば、「ここで売らなくちゃ!」レベルの反転示唆です。その後のロウソク足も下落に従っていますし。

しかし、ふたを開けてみれば・・・

教科書の様なダブル・ボトムからのロール・リバーサルで上昇しています。

つまり、このピンバーを戻り売りの根拠としてエントリーしてしまったら、見事に失敗。無傷で逃げるの難しい場面ですよねぇ。

まぁ、これはほんの一例でしかありませんが、

「ロウソク足1本で判断するテクニカルは、当てにならない」

というのが、実際のところです。

世間では、当たり前の様に「ピンバー!ピンバー!」って、横文字使って言ってますけど、僕からすると

え?マジで言ってんの?

レベルです。

もうちょっと正確に説明しましょうか。

ロウソク足1本~3本レベルで判断するテクニカルは、的確なチャートポイントで用いる場合はかなり有効ですが、単独ではちょっと怪しい

という代物です。

もちろん、大きな時間軸になるほど、信ぴょう性は増してきますが。

上図は5分足チャートですが、1時間足レベルであっても、チャートポイントではないところで出現するピンバーは、ダマシになるケースが数多く見受けられるんですよ。

試しに、1時間足チャートをつらつら~っと眺めてみて下さい。効かないピンバーは続々と出てきます。そして、反転をきちんと示唆したピンバーは、チャートポイントで出現していることがほとんどなんです。

つか、単独のピンバーよりも、チャートポイントで見せるたいして大きくもないヒゲの方が、むしろ信ぴょう性が高かったりします。

ただ、このことは何もロウソク足に限ったことじゃないんですよ。

反転確認に用いるテクニカルって、きちんとしたチャートポイントでは割と機能するんですが、そうでない場所ではダマシが結構多いんです。

なので、僕は反転確認のみを根拠にエントリーすることは、あまりお勧めしません。

  • チャートポイント付近で反転示唆をしているのか?
  • 複数のテクニカルが反転確認を示唆しているのか?
  • チャートパターンなどの複数のテクニカルの中で、その反転示唆を示すテクニカルはきちんと意味を持っているのか?

といった感じで、複合的に見ることで反転確認の信ぴょう性は増すということを、頭の片隅にでも置いておいてください。


余談ですが、先ほどのチャートをもう一度確認してみて下さい。

実はこのピンバーのヒゲ先、5分足レベルですが価格が一旦止められている形成があるの、分かります?破線で示してあるのが、それです。

もちろん、5分足レベルの抵抗線なので、チャートポイントとしてはとっても弱いわけですが、スキャルピングであれば、ヒゲ先で入って、ダブル・ボトムのネックライン付近で利確するといったことが可能なんですね。

また、ダブルボトムをブレイクした後のロールリバーサルから、下降トレンド中の戻しの1波を次のチャートポイントまで買いで獲ることも可能ですね。

でもまぁ、最初はこういった細かいことは考えなくても良いです。これは、トレードが上達してからチャレンジしてみたら?という余談だと思っておいてください。

まずは、きちんとした局面できちんとしたトレードが出来るようになることが先決です。


 

さて、ディテール作成に用いるテクニカルについてのポイントを、サラッと解説してみました。まぁサラッと言っても十分長すぎますが。

ということで、今回はここまで。

次回は・・・というか次回こそは、実際にテクニカルをチャートに当てはめてみながら、ディテールを仕上げていく例というかアイデアを紹介していこうと思います。お楽しみに。

それじゃあ、また。