チャート・デザインのすすめ(4)

これまでの3回に渡って、チャート・デザインの骨子であるガイドラインの作成とその利用例をお話しました。

で、今回こそはディテールのお話へと進めていきますね。

それでは、始まり始まり~!

ディテールとは

ガイドラインとディテール

一般的にディテールと言えば、「詳細」とか「細部」ということになります。

で、トレードにおけるチャート・デザインのディテールも、ガイドラインに対して「詳細」という意味合いを持ちます。デッサンの後に、細かい部分を作り込んでいく様なイメージですね。

でも、ちょっと分かりづらいかなぁ?

じゃあ、順を追って説明しますね。

まず、「トレードには、セットアップとトリガーがある」というのは、このブログの読者なら既にご存知ですよね。

で、その手順としては

  1. 環境認識等によって、トレードの前提条件となる状況を判断する(セットアップ)
  2. セットアップによって売買の方針が決まったら、エントリーのタイミングを計る(トリガー)

という順番を踏むことになります。

であれば、その目的と手順に沿ってテクニカルも適用していく必要があるわけですよね。

ということで僕は、

その目的と手順をハッキリとさせて、自分に必要なテクニカルを適用する様を「チャート・デザイン」とし、

  1. ガイドラインの設定・・・セットアップのためのテクニカルの適用
  2. ディテールの設定・・・トリガーのためのテクニカルの適用

という手順を踏みながら、チャートをデザインしていくことで、的確なトレードに臨むことが出来るんじゃないか?

という僕なりの方法論を、ここ数回に渡ってお話しているわけです。

なので、これからお話する「ディテール」というのは、トリガーを判断するためのテクニカルの適用の仕方だと思って、読み進めていってください。

例えば、ガイドラインによって今の相場状況を

「上昇トレンドであり、押し目買い方針」

と判断したならば、次にディテールによって、その押し目買いのタイミングを見つけようとする。

そんな風に考えてもらえたらな、と。

では、具体的にお話をしていきましょう。

ディテールの目的

もう一度基本に戻ってもらいたいんですが、ガイドラインによって4大局面を判別したら、とるべき方針は、以下の5つでした。

  1. 上昇トレンド中は押し目買い方針
  2. 下降トレンド中は戻り売り方針
  3. レンジ中はレンジ内取引(レンジ上限で売って、レンジ下限で買う)
  4. レンジを抜けたらブレイクアウト狙いで、抜けた方向でエントリー
  5. 分からない局面ではトレードはしない

で、1の上昇トレンド中の押し目買いとは、価格が一旦下落してから反転上昇したポイントを買うということですし、2の戻り売りはその逆ですね。

いずれも、反転したところをエントリーポイントとします。

じゃあ、3のレンジ内取引は?

レンジ上限まで到達した価格が反転下落したところを売り、レンジ下限に価格が到達したら反転上昇したところを買うわけですね。

つまり、1や2と同様に反転したところをエントリーポイントとします。

じゃあ、4のブレイクアウト狙いは?

これは、レンジを抜けたところでエントリーしますので、反転狙いじゃないですね。

しかし、レンジ・ブレイクはダマシが多いため、多くの場合はブレイクしたら直ぐにそれに乗っかるのではなく、ロール・リバーサールを待ってエントリーする方法が多くとられます。

で、ご覧の通り、ロール・リバーサルを用いるなら、やっぱりそれも反転狙いです。

要するに、エントリーポイントって、ほぼほぼ「反転するポイント」のことなんですよ。

ですから、トリガーを判断するためのディテール設定も、まさにそのまんま。

ディテール設定とは、反転ポイントを探るためのテクニカルを用いる

ということになるんです。

なんか、ほとんどの人がトレードを難しく考えてますけど、それって値動きの全てを捉えようと勝手に複雑に考えすぎてるだけなんですよ。

相場の4大局面を把握したら、後は

  • 買い方針なら買うための反転ポイント探し
  • 売り方針なら売るための反転ポイント探し
  • 分からないならトレードしない

という、実は反転ポイント探ししかすることはないんです。

 

はい!たった今、目が覚めた人、手を挙げて!

 

\(o ̄∇ ̄o)/ハーイ

 

至ってシンプルです。

 

4大局面を把握したら、後は反転ポイント探しするだけ。たった、これだけです。

これなら、トレードを勉強するポイントも明確だし、焦点を絞って検証も練習もできるし。

 

おっと、これがBOZ流!

( ̄∇+ ̄)vキラーン

 

何度も言ってますが、上昇トレンド中の押しの1波を獲ってみたりなど、縦横無尽に相場を渡り歩くことに憧れるのは構いませんが、そういったことは勝てる様になってから考えたら良いんですよ。

まずは、勝てる様になればいいんです。

全ての値動きを捉えることや天底を当てること。それに対して、トレードで勝つこと。これはイコールじゃないですから。

さて、僕のドヤ顔もこれくらいにして、次に進みましょうかね。

ディテール適用時の考え方

目的をハッキリとさせよう

ディテールに用いるテクニカルですが、これもガイドラインの時と同じで、

「何を使うかは自分次第」

ということになります。

ただ、「あの人が使ってるから」とか、闇雲に何でも使えば良いってわけじゃないです。

きちんと目的意識を持って取り組まないと。

じゃあ、その「目的」って何?って話ですが、ティテールの目的は先ほどお話していますよね。

反転ポイントを探る目的で、テクニカルを用いる

でしたね。

じゃあ、反転ポイントを探るって、具体的には?

  1. どのくらいまで押し戻しは進行するのか?
  2. 反転したと判断するには?

の2つになります。

下降トレンドの際、戻しはじめた価格は、一体どこまで上昇するんだろうか?どこで上げ止まるんだろうか?

という視点と、

下降トレンドで戻していた価格が、再度反転下落したと判断するにはどうしたら良いんだろうか?

という2つの視点ですね。

で、この2つの視点それぞれを意識してテクニカルを用います。

1の様に、到達点を探る目的に用いるテクニカルで例を挙げるとすると

  • ライン
  • フィボナッチ各種
  • 移動平均線(グランビルの法則)

2の様に、反転確認を探る目的に用いるテクニカルで例を挙げるとすると

  • ロウソク足(プライス・アクション等)
  • オシレーター
  • 移動平均線(ゴールデン・クロス等)

になります。

移動平均線は1と2の両方を考えるうえでも使えるテクニカルの代表格ですね。

まぁ、どのテクニカルを用いるにしろ、きちんと目的意識を持って的確なツールを選択する必要があるわけです。

ちなみにですが・・・

1の視点だけでエントリーする人もいます。

見当をつけていたポイントまで押し戻しの価格が到達したら、そこで即エントリーするという方法です。

そして、エントリー・ポイントから少しでも逆行したら、即損切りします。(スキャの場合は、少しでも利が乗ったら建値にSTOPを置いて、損失ゼロで逃げる準備をしたりもします)

この場合、上手くいったら利幅は大きくなりますし、損切り幅は最小限に抑えられます。ただし、想像できる通り、勝率は低くなります(スキャは別ですが)。

また、2の視点だけでエントリーする人もいます。

どこまで押し戻しが進行するのかの見当は付けずに、単に何らかのテクニカル(なんちゃってテクニカルも含む)を根拠に「反転した」と判断してエントリーする方法です。

1に比べ損切り幅は大きくなりますが、「反転した」という安心感から、エントリーは比較的しやすい傾向にあると思います。

しかし、僕の見解からすると、きちんとしたチャートポイント以外のところでテクニカルが反転を示唆したとしても、機能しないことが結構多いです。いわゆる、「ダマシ」を食らいやすいんですね。

なので、勝率を上げていくためには、

押しや戻しがどこまで進むのかを見当をつけ、そのポイントできちんと反転したかどうか?を判断してから、エントリーするという、1と2の視点を併用した方法が望まれます。

まぁ、1や2のみの視点でエントリーするか、1と2の両方の視点でエントリーするかは、トレーダーの性格や方針次第ですけどね。

ちなみに僕の場合で言うと、方向感がシッカリしている時に強いチャートポイントまで到達した場合は、そのまま1のみの視点でエントリーすることが結構ありますが、基本は1と2の視点を併用することを心がけています。

テクニカルの特徴を理解しよう

先ほど、目的別にテクニカルをいくつか挙げてみましたが・・・

そもそもテクニカルを用いる際には、それぞれの目的に沿って、それに適したテクニカルを選択しなくちゃいけません。

「それって効くの?もっと効くやつない?」

といった乏しい発想は、薬物中毒者の発言と全く変わりがありません。

ですから、目的に沿ったテクニカルを選択するには、そのテクニカルの特徴や本質を踏まえておかなければいけません。

しかし、残念なことに、テクニカルの教科書を開いてみても、通り一辺倒なことしか書いてないか、裏技や必殺技じみたことしか書いてないものしかないというのが実情です。

だから、自分でチャートにテクニカルを表示し、問題意識を持ちながら手と頭を動かし続けてでしか、1つのテクニカルの本質を掴むことは出来ません。

まぁ、仮に書いてあったとしても、細かいニュアンスとか感覚的な部分って多いですから、やっぱりそれを読んで知ったところで、実際に使い込まなければ、実践で用いるには程遠いと思った方が良いです。

繰り返し言ってますが、

スポーツや工芸、ゲームや仕事・・・この世のあらゆるモノゴトは、知ったからと言って出来るわけじゃありません。経験の中でしか掴めないことの方が多いんですよ。

そしてそれは、トレードにおいても例外ではありません。

完全な答えを求めない

ガイドラインの設定時でもそうなんですが、特にディテールを設定する際に気を付けなくちゃいけないことがあります。それは

正解探し(聖杯探し)

です。

トレードというのは、確率で考えます。簡単に言ってしまえば、「絶対はない」ということです。

まぁ、頭じゃ分かってるんでしょうけどねぇ・・・

実際にディテールを設定しようとすると、どうしても「たった1つの答え」を探そうとしてしまいがちになるんですよ。

子供の頃からずっと、学校で出された問題には、必ず「答え」がありました。そして、そこにある正解はいつも「1つ」であり、「それ以外は間違い」という学習を繰り返すことで、僕らは成長しています。

無意識に「完全なる正解」を探しがちになるのは、僕らの性質とも言って良いのかもしれません。

ですから、そういった自分の持っている性質には注意しながら、ディテールの設定を行なう必要があります。

心がけとしては、

「効いてる?効いてるな。こっちは?おお!こっちも効いてる!」

といった感じで、闇雲に効いてるポイントばかり探すのではなく、

「このポイントは効いてるけど、こっちは効いてない。この違いは何だろう?」

と、効いてるポイントと効いてないポイントを比較して、その背景にどんな違いがあるのだろうか?という問題意識を持ちながら考えることです。

そうすることによって、「たった1つの正解探し」から解放されてモノゴトを考えられる可能性は高まると思いますよ。

完璧を求める姿勢は大切ですが、それよりはまず、自分が勝てる様になることが先です。聖杯探しは、それが出来るようになってから、少しずつ求めていけば良いんじゃないでしょうかね。

( ̄ー ̄)ニヤリ

切り捨てる勇気

完璧な答えなどなく、トレードは確率で考えるのであれば、最も大切なことは

分からないところでは、トレードはしない

ということになります。

トレードが確率であれば、自分が「分かる」という局面でも勝率は100%にはなりません。

じゃあ、「分からない」局面は?

もちろん、「分からないん」ですから、この局面での確率はガッツリと低くなります。つまり、やればやるほど負けが込むんですよ。

だったら、分からないところは、思い切って切り捨てる。

そして、「分かる」局面に絞って、徹底的に検証・練習を重ねることで、勝つ確率を高めていくしかないわけです。

経営戦略で言うところの「選択と集中」ってやつですね。

僕らの時間は有限です。限られた時間の中で、何に集中すべきか?

「目先の値動きに釣られて飛び乗ったら、やられちゃったー!」

なんて感じで、欲望に振り回されてる時間など、僕らにはないんですよ。

ガイドラインの時点で切り捨てる

前回使ったガイドラインを用いたチャートを、ちょっとここで表示してみます。

これを初心者向けのガイドラインを適用すると、以下の様な感じになるんでしたよね。

で、移動平均線のみをガイドラインで用いる場合は、レンジはレンジでも、それが取引可能なレンジなのかどうかは、わかりません。

なので、ここは全て「分からない」局面として、思い切って切り捨てます。

「いつか使うかもしれないから・・・」

とか言って、いつまでもとっておいちゃダメです。汚部屋から脱出するかの様に、思い切って切り捨てちゃってください。

その「いつか」は、待ってるだけじゃ永遠に来ません。腕を磨いて、新たに実際にガイドラインに適用できるレベルになるまでは、ディテールの検証からは切り捨てます。

現時点で分かるところだけで、ディテールを考えます。

ディテールからも切り捨てる

ディテールを考えていくと、ドツボに嵌ることがあります。例えば、移動平均線をトリガーとした場合の例を挙げてみましょうか。

これ、ユーロドルの1時間足にガイドラインとして75SMAを表示したものです。

もちろん、このガイドライン自体をトリガーとして利用することも可能です。

上図、緑色の丸で記したポイントが、それですね。

でも、トレードできるタイミングは、かなり少ないですよね。指をくわえながら上昇していく価格を見てるだけの方が多くなってしまいます。

しかしよく見ると、それ以外のところでいくつか押し目を付けてますから、そこも狙いたいところです。

ということで、移動平均線をもう1本追加して見ます。

 

追加してみたのは、40SMAです。見ての通り、エントリーポイントが増えました。やったね!

しかし、良く見てください。まだ押し目を付けてるところは、ありますよねぇ。

この部分も、上手く捉えられたらなぁ・・・って思いますよね?

じゃあ、更に移動平均線を追加してみましょうか。

追加したのは、15SMAです。これを見ると、かなりのポイントでエントリーすることが可能だということが分かります。

どうでしょう?凄くないですか?
これでアナタの欲望は、見事に達成されたわけです。

 

Σ( ̄口 ̄*)はっ!

 

こういった感覚でテクニカルを用いていくと、ドツボに嵌っていくわけなんですよ。

ドツボその1

まず、こういった感覚でテクニカルを追加していくと、その数は際限なくなってしまいます。

もう1度先ほどのチャートを見てみましょうか。

追加した移動平均線2本(40SMAと15SMA)は、上手く価格の押し目を捉えてますよね。

どうしてだと思います?

答えは簡単です。

既に出来上がったチャートに、後付けで移動平均線のパラメータを当ててみて、上手く効いてる期間のMAを採用してみたからですよ。

しかし、相場というのはその時々で色々な顔を見せます。同じ上昇トレンドでも、強弱はありますし、押し目を付ける深さも千差万別です。

違う場面の上昇トレンドを抽出したら、上記の期間のMAはあまり機能せず、違う期間を用いた方が機能することも普通にあるわけで。

ですから、そうやって様々な状況に対応しようとして移動平均線を加えていったら・・・

際限なく移動平均線の数は増えていく
(((;゚Д゚)))ガクガクブルブル

わけなんですよね。

で、増やしていった結果、一体どの期間の移動平均線を見て、どう判断すればよいのかが、全く分からなくなってくるわけです。

汚部屋に逆戻り!

本末転倒とは、まさにこのことなんですね。

ドツボその2

もう一度、先ほどのチャート図を見てみましょうか。

これ見た時に、何か気づきませんでしたか?

ちょっと、良く見てください。

分かりました?

じゃあ、ちょっと下の図を見てください。

トレンド中というのは、その終盤以外で順張りをしてしまえば、下手なエントリーであっても大体救われるんですが・・・

先の見えない不安の中でのトレードというのは

  • 戻ってくることを期待して、損切りできない
  • 損失を小さく抑えたい気持ちが強すぎて、損切り貧乏

といった損切り2大症候群を発症しやすいのが特徴です。

で、上図1や2のポイントでエントリーした場合、比較的直ぐその後にエントリーポイントを下回って含み損が発生します。損切り貧乏の症状が発生しやすいポイントですね。

また3、4、5のポイントでエントリーしてしまった場合、直ぐに逃げてしまえば十分に利益を残せますが、利を伸ばそうと粘ってしまうと、結果的に含み損を発生させてしまいがちな場面です。

こういった場合って、なぜか判断を誤りやすいんですよねぇ。

3の場合は損切りできずに損失を膨大に膨らませてしまいがちですし、4や5の場面では損切り貧乏になりやすい場面です。

意外と難しい局面なんですよ。

で、何が言いたいかというと、要するに

エントリーポイントを増やせば増やすほど、リスクも同時に増えてしまう

ということなんです。

「たくさんエントリーしたい!」

という欲望を満たそうとすればするほど、リスクの数も増やしてしまうわけです。

でね、僕も不思議なんですが・・・

エントリーポイントを増やしたと同時にリスクが増えたとしても、この上図を見る限り、確率的には勝率も高い(チャートで見える範囲だけなら勝率7割以上)ですし、リスクリワードだって良いはずです。

しかし、実際にトレードしたとするとなぜか、その様なパフォーマンスにはならないんですよ。

これ、裁量トレードの面白いところです。

仕事やら用事やらでチャート見れない時に限って、なぜか絶好のエントリーポイントだったりします。

で、ようやく時間が出来てエントリーして見ると、先ほどの1の様な場面で損切り。

で、怖くなって次のポイントを見送ると「あー、エントリーしておけば良かった!」となって、次にエントリーすると、それは先ほどの2のポイント。やっぱり損切りしちゃうんですねぇ。

その後は、恐る恐るエントリーしたり出来なかったりを繰り返し、利益が出てもチキン利食い。

で、グングン伸びた上昇トレンドの結果をチャートで見ながら、じれったい気持ちを抱えるんですねぇ。

そして、チキン利食いや見逃しエントリーを反省して、揺れ動く自分の心を叱咤激励し、気持ちを固めます。

「よしっ、ここだ!」

そう覚悟してエントリーした渾身の一撃は、見事トレンドの頂上付近。高値掴みをした挙句、覚悟の度合いに比例して損切りが出来ない・・・

欲しがれば欲しがるほど、怖がれば怖がるほど、相場は僕らの弱いところを突いてくる

これが、「トレードあるある」の本質です。

だからね、エントリーポイントを増やすことで利益を伸ばそうという発想より先に、

リスクは、思い切って切り捨てる

ってことが大切だと、僕は思うんですよ。

もちろん、全てのリスクを排除することなんて出来ません。

しかし、大きな不確定要素は、徹底的に潰す。

そういった心がけが大切です。

そのためには、検証と練習を繰り返していくしか他になく、その過程で小さくできない大きなリスクは、切り捨てることが必要なんですよ。

「これは効いてる。こっちも効いてる」

という視点の前に、

「このリスクは排除できる?もしくは対応できる?」

という視点です。

このチャート図で示した例で言えば、

  • 深い押し目を拾う(期間の長いMAでポイントを探る)場合は、エントリーの数は少ないがリスクの数も少ない
  • エントリー数を増やそうと、浅い押し目を拾おうとすればするほど、その後に深い押し目を付けることも多くなり、リスク(不確定要素)も増えてくる

ということなんですよ。

もし、浅い押し目を拾おうとすることが原因でリスクが増え、そのリスクに自分が対処できないのであれば、思い切って15SMAは切り捨て、深めの押し目だけを狙う。

という発想も大切なんです。

自分が望んだエントリー数と増大するリスクに対して、どうバランスをとるのか?このリスクに対して、自分は対応できるのか?

それが出来ないのであれば、思い切って切り捨てることが大切です。

相場の強弱を考慮しよう

ちょっとこれは、先ほどのお話と重複してしまうんですが、大切な事なので改めて解説します。

相場の波を捉えるためには、その波の強弱を考慮することが必要です。具体的に言えば、

  • トレンドの強弱
  • 押し戻しの強弱

の2つがあります。

例えば、同じトレンドといっても、角度の鈍い(弱い)トレンドもあれば、角度の鋭い(強い)トレンドもあります。

ザックリと赤い矢印でトレンドの角度を示してみましたが、それぞれに強弱の違いがあるのが分かると思います。

また、同じトレンドの中でも、複数の強弱の違いがあるのも分かりますよね。

こういった場合、例えば同じ期間の移動平均線を用いても、その流れの強さを上手く捉えきれなかったりします。

上図を確認してもらえれば分かる通り、緩やかなトレンドの時はトレンドの波に沿う様に移動平均線も表示されますが、トレンドが強くなればなるほど移動平均線と価格には乖離が生まれます。

こういった点も踏まえながら、テクニカルを適用していく必要があります。

また、トレンドごとに、押しや戻しの大きさの度合いに違いがあります。

上図を見ての通り、ほとんど押し戻しを付けずに進行していくトレンドもありますし、深く押し戻しを付けながら進んでいくトレンドもありますよね。

では、この図に2本の移動平均線を加えてみますね。青色が10SMAで赤色が40SMAです。

移動平均線で押し戻しを判断する場合、価格が移動平均線に届いていないと、押し戻しを判断しにくくなります。

で、この図を見れば分かる通り、深い押し戻しは40SMAまで届いていますが、浅い押し戻しは40SMAに届いていませんよね。

深い押し戻しには40SMAは向いていますが、浅い押し戻しを推し量るのに40SMAは向いていないことが分かります。

しかし、10SMAは40SMAよりも期間が短く、価格推移に寄り添いやすい傾向があるため、10SMAは浅い押し戻しを上手く捉えることができています。

この様に、同じMAであっても、その期間によってトレンドの強弱や押し戻しの深さを上手く表現きるかどうかが違ってきます。

移動平均線に限らず、波の強弱を考慮しながら、テクニカルをどう適用したら良いかを考えることも大切です。

一寸先の闇に慣れよう

どのテクニカルを適用すべきか?パラメーターはどうすべきか?

実際にディテールの設定を模索する際は、まずは出来上がったチャートを使って、そこにテクニカルを表示します。そして自分なりに、

「あーでもねぇ、こーでもねぇ」

と、頭と手を動かしながら、模索していくことになります。そうやって、試行錯誤の中でディテールは作られていくわけです。

ただ、出来上がったチャートで作り上げたディテールは、そのまま実践でも使えるとは思わないでください。

インジケーターって、出来上がった後から見ると

「効いてる!」

って見えるんですが、価格形成途中だと上手くそのポイントを捉えられないことが多いんですよ。

後付けで見たら機能してる様に見えても、

  • 実は、上手くいってる箇所ばかりに目が行ってしまってることが多くて、上手くいかないケース(ダマシ等)を見逃していたり
  • 止まってるチャートでは簡単そうに見えても、実際に動いているチャートだとエントリーが難しくて慣れが必要だったり

検証や練習を繰り返している人は、既にご存知ですよね。

ですから、後付けのチャートでディテールの叩き台が出来上がったら、次は実際に先の見えないチャートで検証をします。

これ、重要ですからね。

先の見えない状態で検証と練習を重ねないと、腕も上がらないですし、自分とそのインジの相性も分からないはずです。

慣れてくると、先が見えるチャートでも、「この動きだと、俺は結構騙されやすいんだよなぁ」とか判断できる様になりますよ。何事も慣れです。

より深く考える

多くのトレーダーは、自分で勝手に相場を複雑にしている。

僕はそう思うんですよ。

確かに、相場というものは複雑怪奇であって、決して単純なものではありません。

しかし、だからといって、トレーダー自身が相場を複雑に捉え、複雑に考えて複雑に行動しようとしても、かえって身動きがとれなるだけです。結局は、その複雑さの中に溺れてしまうだけ。

ですから、むしろシンプルに考えシンプルに行動する。

そっちの方が、複雑な相場の世界を身軽に渡り歩くことに繋がっていきます。

しかし、シンプルというのは「簡易さ」「お手軽さ」のことではありません。

シンプルであっても、それは底の浅いものではなく、深いものなんだと思うんですよ。

だから、少数精鋭。

無数に散らばるモノではなく、1つもしくは限られた少数のモノたちを深く深く追求する姿勢が大切です。

多分・・・いや、きっと僕らは、

モノゴトを足し算で考えがちなんです。モノも情報も、加えて加えてため込んでいくことで、何かを得ようとしているのかもしれません。それが豊かさだと思っているのかもしれません。

しかし、本当に大切なのは、引き算をして突き詰めていくこと。その方が、むしろ本質へとたどり着く近道なのかもしれません。

┐(  ̄ー ̄)┌ フッ・・・

 

ということで、ディテールのお話は、まだ前置きでしかないのに、随分と長くなってしまいました。

話は尽きないので、今回はこの辺でお開きにしようと思います。

トリガーについて、もっと深く考えたい方は、

をぜひ読んでおいてください。

今回のお話や上記リンク先の内容は、トリガーを考えるうえで、非常に大切な内容です。

できれば、今回の話は次に進む前に、繰り返し読んで頭の中に叩き込んでほしいなー、と。

で、次回の内容ですが・・・

実際にディテールを設定していく作業を、具体的な例を挙げながらお話していこうと思ってます。

ガイドラインに移動平均線を利用したんで、ディテールにも移動平均線を用いようかな、と思ってます。今のところ。

それまでの間、とりあえずはガイドラインの検証と練習、頑張ってください。できればガイドラインも、先の見えないチャートで練習した方が良いかな。

検証ソフトも今は、無料のものもあります。ThinkTraderというアプリは、無料でいいの?レベルで機能も充実しています。英語が苦手でも、日本語で解説しているサイトもいくつかありますので、十分活用できると思いますよ。

こういったものを活用して、ぜひ検証と練習に励んでみて下さい。

それじゃあ、また。

チャート・デザインのすすめ(3)

さて、前回の予告からすれば、今回は設定したガイドラインに沿って、ディテールを作成してく解説をする予定でした。

が、ちょっとその前に・・・

ガイドラインにそって、実際に相場を見ていく例を挙げておいた方が良いかなぁ、と。

細部に移る前に、骨子の部分をきちんと把握できるようにしておかないとね。

ということで、始まり始まり~!

ガイドラインを用いてみよう

前回に使ったユーロドルの1時間足に日足5SMAをガイドラインに用いたチャート図が、これでした。

とりあえず、これを使ってチャートの左側から少しずつガイドラインを適用させながら判断していこうと思います。

左側の方までチャートを隠しながら説明しますね。

ここ、前回説明しましたが、価格は2度ほど下降する75SMAの上抜けを試みますが、抜けきれずに失敗した場面です。

下降トレンドと判断し、売り方針という場面ですね。

もちろん、この段階で飛び乗るのではなく、75SMAに向かって価格が一旦上昇してから再び反転下落をするタイミング、つまり戻り売りのタイミングを待つ場面です。

で、この戻り売りの方針は、価格が下降する75SMAを明確に上抜けるまで続きます。

この方針で戻り売りを狙った場合、上図赤丸で記した辺りで4回ほどのエントリーポイントがあったことになります。


もう少し細かく見れば他にも数箇所の戻り売りのタイミングがありますし、より小さい時間軸でタイミングを狙うと、もっとエントリーポイントは探せるはずです。

が、ここはチャートデザインのお話なので、この1時間足のみで考えることにします


で、実際にこの戻り売りのポイントをどう捉えるのか?

というのを見つけようとテクニカルを適用していくのが、この後に解説することになる「ディテール」の作成ということになります。

なので、今はガイドラインの解説なので、その辺は飛ばしていきます。

今の段階では、ガイドラインに従って上図赤丸の様な戻り売りのポイントを売る「方針」を立てる局面であると分かってもらえれば、OKです。

さて、続けましょう。

この赤丸の部分も、前回お話しました。75SMAを価格が上抜けた後、しばらく(2~3時間)はその上に滞在します。

ですから、この時点で「下降トレンドではなくなった可能性大」ということで、

「分からない局面に突入した」

と判断します。ここからは、何らかのガイドラインが適用されるまでは「分からない」としてトレードはしてはいけない局面ということになります。

ちなみに、移動平均線だけでなく、ダウ理論や値動きなどもガイドラインに用いていたとしたら・・・

まず、低値Aから低値Bの切下げた値幅に注目して下さい。それまでは大きく低値を切り下げ続けてきましたが、Bの時点では低値の切下げ幅が極端に小さくなっています。

75SMAのガイドラインに従って下降トレンドは進行中と判断は続けますが、この時点で

「あれ?下降する力が弱まってきてるかな?」

と、一応は警戒心を持ってチャートを眺めることになります。

そして次の低値C。この時点で、低値はBからCへと切り上がりました。

ということで、ダウ理論もガイドラインに用いているのであれば、Cの時点で「下降トレンドは少なくとも一旦終了」という判断になります。

75SMAだけをガイドラインに用いるよりも、「分からない」「手を出してはいけない」と判断するタイミングが早くなるわけですね。

そしてその後、75SMAを上抜け。しかし、赤い丸の部分は直近高値と同値で止められたため、やはり「分からない」局面であるとハッキリします。

まぁ、この様にガイドラインに用いるテクニカルは複数の方がより的確に4大局面を判別することが可能になります。

が、前回もお話した通り、慣れないうちはまず1つのテクニカルに集中して習熟度を上げる努力をした方が良いです。

話がそれました。続けましょう。

上図赤い丸のポイントを見てください。75SMAが上を向き出し、価格が75SMAの上で反転上昇を始めました。

この時点で、「分からない」という局面は終了し、

「上昇トレンドが発生したと判断し、押し目買い方針」

というガイドラインが適用されることになります。この赤丸のポイント以降は、75SMAが上を向きつつ価格が75SMAより上にある限り、この押し目買いの方針は続きます。

ちなみにですが、これもダウ理論を用いていれば、もっと早く局面の切り替わりを判断できています。

上図青丸を見れば分かる通り、高値も低値も75SMAが反転上昇始める前に既に切り上がっていますので、より早く上昇トレンド発生を感知できたことになりますね。

次に、上図赤丸Eを見てください。価格は75SMAを下抜けたまま滞在しています。75SMAはまだ上を向いたままですが、この時点で上昇トレンドが継続するかは「分からない」ことになりました。

ということで、ここで買い方針は終了。「分からない」局面に突入したので、Eのポイントからはトレードはしない方針に切り替わります。

DからEまでの上昇トレンド中には、大まかに5か所の押し目買いポイントがあったのが分かると思います。

なお、ダウ理論では、まだ直近低値FはEの時点では切り下げていませんので、まだ上昇トレンドは終わっていないことになります。

続いて、上図赤丸のポイント。ここはちょっと面白い場面です。

まだ慣れていない人は、75SMAは横を向いたままなので、ここはまだ「分からない」と判断します。

その後、価格の下落が続き、75SMAが下を向き出せば、その段階で初めて「下降トレンド開始。売り方針」と判断することになります。

欲を出して早めに仕掛けてしまうと、ガイドラインの意味をなさなくなりますので、初心者は注意しなくちゃいけない場面です。

しかし、この場面は慣れた人だと、ちょっと違ってきます。この赤丸の時点で

「75SMAに頭を抑えられて抜けそうもないかな。この揉み合いを下抜けたら75SMAは下を向き出すことになるので、下抜けたと同時に売り方針に転換しよう」

という判断を下す人も出てくると思います。この辺が、経験値・習熟度によるところなんですよねぇ。

ただし、初心者は絶対にこういった判断は止めてください。経験と腕による判断ではなく、欲望に左右された判断になりますから。

前回も言いましたよね。検証と練習によってガイドラインは具体性を加えていきますが、初心者が技術もないのにいきなりトレードで新たなガイドラインを加えるのは間違いだと。

欲望にまみれただけの醜い姿でしかないんですよ。

こういった早合点を繰り返すのは、むしろトレードの上達から遠ざかってしまいますので、注意してください。

さて、初歩向けのガイドラインに従うとすると、大体赤丸Gの辺りで75SMAは下向き出しますから、この辺りにきてようやく

「下降トレンド開始。戻り売り方針」

という判断になります。この方針は、75SMAを価格が上抜くまで続きます。

で、Hのポイントで、価格は75SMAを上抜いたまま滞在します。なので、ここからは

「分からない局面。トレードはしない方針」

ということになるわけですね。

・・・とまぁ、実際にガイドラインを適用しながら相場を見ていきました。

みなさん、この例をもとに、相場状況の4大局面を判断して売買方針を立てる検証と練習を繰り返してみて下さい。

この感覚が身に付けば、後はエントリーポイントを探るディテールを作っていけば良いだけです。

ただ、ここから新たに解説に入っていくのはちょっと長すぎるので、今回はこの辺でお開きとします。

次回こそは、チャート・デザインにおけるディテールの作業についてお話しますね。

それじゃあ、また。

チャート・デザインのすすめ(2)

さて前回は、ゴチャゴチャとなったチャートから抜け出す最初の視点をお話しました。

で、今回は実際に素のロウソク足チャートから、きちんとした視点を持ちながら、テクニカルを加えていくというチャートの設計の仕方、いわば「チャート・デザイン」を具体的な例を使いながらお話していこうかな、と。

まずはガイドラインを設定しよう

ガイドラインとは

ガイドラインというのは、トレードを行なううえでの「指針」のことです。つまり、

何を軸にしてトレードをするのか?

もっと言えば、

何を軸にして、相場状況を判断して方針を決めるのか?

ということです。

ただ、これでもちょっと抽象的過ぎると思う人もいるんじゃないのかなぁ?

なので、改めて具体的に説明しますが、

相場には4つの大きな局面があります。それは、

  • 上昇トレンド
  • 下降トレンド
  • レンジ
  • 分からない

ということですね。

で、今の相場は、この4つの局面のうち、どの局面にあるのか?

を把握することが、トレードの判断において、最も大切であり、最初にやるべきことになります。

(これ、何度かこのブログでお話してます。知らない人は「相場の局面を考えてみる」をご覧ください)

で、この4つの局面が分れば、自ずと自分がとるべきトレードの方針が

  • 順張りで売買
  • 逆張りで売買(レンジ内取引)
  • ブレイク・アウト狙い
  • トレードしない

のどれに当たるのか?が分かるわけですよ。

つまり、基本的な方針がこの状況把握だけで決まるわけです。

で、こんな話をすると

「そんなの、当たり前~。知ってるし」

という人がいるんですよね。

 

勝てないくせに。

 

勝てない人というのは、お勉強してそういったことは知っていても、実際のトレードでは活用できてません。

状況把握をしても、それとは全く関係ないところで売買をしたり、酷けりゃ知ってるだけで把握もせずにトレードします。

まぁ、言い聞かせていても、出来ないことって多々ありますからねぇ。

なので、この4つの局面を把握し、意識して実行できる様にするために、まずはガイドラインを設定します。

ガイドラインを設定しよう

ガイドラインって、別の言い方をするなら、イラストを描く時なんかのデッサンやスケッチみたいな感じでしょうかね。

対象物の骨子を浮き彫りにするイメージです。

じゃあ、チャートの局面を浮き彫りにするために、具体的には何を用いれば良いのでしょうか?

まぁ、何でも良いですよ。

先の4大局面を把握できるものであれば、何でも良いです。

例えば例を挙げると

  • ダウ理論
  • ライン
  • 移動平均線

が最も一般的でしょうか?

「じゃあ、その中ならどれを使うのが一番良いの?」

という他人本位な声も聞こえてきそうですが、これに関してはどれが良いという答えはありません。

どんなツールが優秀なのか?

に興味が行きがちですが、何を持たせたところでしょせんはその人の腕次第です。習熟度によって、同じ道具を使っても結果が違うのは、スポーツにしろ工芸にしろ、どの世界だって当然のことです。

例えば、こんな素のチャートがあります。ユーロドルの1時間足です。

この相場状況を把握するために、ダウ理論を用いるとしても、以下の様に判断が分かれる部分はどうしても出てきます。

人によって高値安値をどう結ぶかは違います。主義主張によっても、習熟度によっても違います。

もちろん、既に出来上がったチャートでは天底を見つけてトレンドの端から端までを示すことは出来ますが、

価格の推移を形成途中では、今この状況を常に誰もが同じように説明できるとは限らないんです。

仮にラインを用いて、状況を判断しようと思っても、

一見スッキリしているようですが、これも主義主張や習熟度によって引き方は人それぞれですし、トレンドの転換点やレンジに移行するタイミングも、その判断は人によって変わってきます。

また、上図は後付けで引いたラインです。

価格推移が形成途中で、リアルタイムでトレンドラインを引こうとすると(流儀によって違いはあるでしょうが例えば)、

こんな感じで、価格が推移するごとに、常に引き直しをする羽目になり、リアルタイムでトレードしようとすると、

「一体、どこでトレードすれば良いんだ!?」

なんて現実にも直面したりします。

移動平均線だって同じですよ。

上記は40SMAで、この相場の価格推移を比較的上手く捉えてはいますが、これで何もかも分かるわけじゃありません。

基本的に移動平均線はトレンド系インジケーターですから、トレンドを把握するには向いていますが、

じゃあ、レンジはどこから始まって、どこで終わり?

ということは、やはり人それぞれになってしまいます。

また、上手く相場の流れを説明してくれそうな期間を探せば探すほど、人は深みにハマっていきます。

上手く押しや戻し、転換点を捉えるパラーメーターを求める旅がはじまり、突き進めて行けば結局のところ

こんな感じで、無数のMAを表示する羽目になってしまいます。

しかし、これじゃあ下手な鉄砲数打ちゃ当たる作戦にしかならず、本来のガイドラインの役目、つまり4大局面を炙り出す目的からは、徐々に離れていくんですよ。


ただし、GMMAというインジがあります。これは上図の様に数多くの移動平均線を張り巡らすことで、相場を判断しようとするものです。

上記の説明でいけば、このGMMAの考え方は否定されるように感じますが、これはむしろ逆で、チャート・デザインを仕上げた結果、人によってはGMMAの様な形態になったりします。

この辺のことは、後ほどお話することになると思います。


 

結局のところ、どのツールを使うかは、その人次第ですし、テクニカルに優劣があるというよりも、その人の習熟度によって優劣が生まれるわけです。

ですから、多くは望まない。

まずは1つ。

たった1つのテクニカルを徹底的に突き詰めて、実際のトレードで扱えるようにする必要があるんです。

で、どれを選択し、どれを磨き上げるかは、その人次第です。問題意識を持ってどれだけ取り組むかにかかってるわけですよ。

そうやって、まずは自分のトレードの軸となるものを1つ用意することが大切です。

で、これがアナタがトレードする上でのガイドライン(指針)となっていくわけです。

もちろん、ガイドラインは複数あった方が、トレードの根拠が増えます。

なので、1つ自信のあるガイドラインが出来たら、その後で別のガイドラインを加えていく。そんな感じで、取り組んでいったら良いと思います。

時間のガイドラインを設定しよう

分かっている様で、実際にはなかなか実行できないのが、ガイドラインですが、ここでもう1つ気を付けなくちゃいけないことがあります。それが

時間のガイドライン

です。

この時間のガイドラインには大きく分けて2つのガイドラインが必要です。

  • ポジション保有時間
  • メインとなるチャート時間軸

これ、軽く見てる人も結構多い様なのですが、実際はトレードの骨格をなす大切な部分なので、予めガイドラインを設定しておく必要があります。

ポジション保有時間のガイドライン

これは、自分がどれだけの期間ポジションを保有するトレードスタイルをとるかによります。

大まかに分かりやすく言えば、

  • スキャルピング
  • デイトレード
  • スイングトレード
  • ポジショントレード

のどのスタイルでトレードしようかということです。

ただ、同じスタイルであっても、その内訳はさらに分かれます。

例えば、デイトレードと一口に言っても内容は様々で、一日の最大値幅を目標に獲りに行くことを目的としている人もいれば、エントリーしてからエグジットまでの保有時間が平均2時間程度の人もいます。もっと短い人もいますよねぇ。

スキャルピングであっても、数秒で決済を繰り返す人もいれば、30分程度は平気で保有している人だっています。

単純にスキャだとかデイだとかで分けられない部分があり、その保有時間は、各自のライフスタイルや性格等で分かれることになります。

なので、予めこの保有時間を設定しておきます。

これによって、次に説明する基準となるチャートの時間軸が決まってきますから。

もちろん、伸ばせるときは伸ばすスタイルの人もいますから、その内容は厳密ではなくてOKですよ。「時間」そのものではなく、例えば「波」などを基準にして取引する人もいますからね。

ただし、結果が出ない時の最大保有時間は決めておくべきかもしれません。

含み損を抱えてしまっていた場合、STOPに届かなくとも、タイムリミットでポジションを解消するという考え方は大切です。

また、エントリーした後に建値付近でしばらくウロウロしてしまったり、含み益が出た後に同じく方向感をなくしてウロウロしてしまい、判断に困るケースもあると思います。

こういった場合も、タイムリミットで決済するということも、実は大切なんですね。

いつまでも塩漬けにしたままにするより、早々と切ってしまい、その資金を次のトレードに回すことは、有益な考え方です。

また、人によってはスキャもやるしデイもやる、スイングだってやるという人もいます。

それ自体は全く問題ないんですが、どれがスキャでどれがデイなのかを曖昧にしていると、ドツボに嵌ります。

このトレードはスキャで、こっちのトレードはデイ。

といった具合に、ポジション保有時間を明確にしてトレードする必要があります。

ポジション保有時間は、自分のスケジュール管理だと思って、予め設定しておくことが大切です。

チャート時間軸のガイドライン

ポジション保有時間のガイドラインが決まったら、次に自分がトレードする際にメインとするチャート時間軸を設定します。

同じデイトレードでも、ポジションの保有時間だったり、トレードの主旨によって、メインとなる時間軸が変わってきますからね。

上級者であれば、自分がどの時間軸で何をやっているかを把握してトレードできますが、

初心者の場合は、メイン時間軸のガイドラインを設定していないと、単に軸がブレまくりのトレードを繰り返す原因になります。

1時間足では売りたい場面だけど、4時間足では売ってはダメだったり、15分足ではむしろ買えとサインが出ていたり・・・

各時間軸で整合性を見てトレードするのが良いのですが、初心者のうちは混乱しか生まれません。

その都度、違う時間軸でトレードするというのは、様々な思案を巡らせてやった結果の様に思えて、実はポジりたい気持ちを満たすための行為だったりするんですよ。

ですから、まずは自分のトレードの時間軸をハッキリとガイドラインとして設定することが、ブレないトレードをするための第1歩になります。

ガイドラインを具体化しよう

移動平均線を用いた例

それでは、実際にガイドラインを設定してチャートを構築(デザイン)していく例をお話していこうと思います。

で、今回ガイドラインに利用するのは移動平均線。しかも、用いるのは日足5SMAの考え方です。

(日足分析5SMAについて分からない人は、「デイトレーダーのために日足分析」シリーズをご覧ください)

では、やっていきましょう。

まず、時間軸チャートですが、これはデイトレーダーとして最も多いであろう1時間足をメインとして用いることにします。

含み益が上手く伸びなかった場合の最大ポジション保有時間は5時間としましょうか。もちろん、順調に伸びているのであれば、そのまま保有時間は延長します。

で、トレードのガイドラインとなるツールは、日足5SMAです。

この日足5SMA、1時間足での近似値は75SMAでした。

ということで、実際にチャートにこのガイドラインを用いてみると

こんな感じになりますね。

これがチャートデザインにおける骨子の部分、デッサンに当たります。

「え?たったこれだけ?」

はい、これだけです。

さっきも言いましたが、1本のMAから何をどれだけつかみ取るかというのは、個人の習熟によります。

分からないからといって、闇雲にMAの本数を増やすのは、ガイドラインの意味を失います。

で、ガイドラインの基本ベースは

  • 75SMAが上を向いていて、価格が75SMAの上にある場合は、「上昇トレンド」と判断して買い方針
  • 75SMAが下を向いていて、価格が75SMAの下にある場合は、「下降トレンド」と判断して売り方針
  • 75SMAが横を向いた場合は、「レンジ」もしくは「分からない」と判断する
  • 75SMAに傾斜はあっても、価格がそれを跨いでしまった場合は、「レンジ」もしくは「分からない」と判断する

となりますよね。(より具体的な内容は、日足5SMA分析シリーズをご覧ください)

このガイドラインを軸にして、トレードを行なうことになります。

ガイドラインをより具体化しよう

冒頭でお話した様に、ガイドラインとは指針であり骨子です。絵で例えるならばデッサンやスケッチの様なものです。

ですから、ガイドラインをあまりに細かく規定してしまっては、ガイドラインとしての意味を失ってしまいます。

しかし、あまりに曖昧な部分が多過ぎては、逆にトレードの指針としては乏しくなってしまいます。

例えば、先ほどのガイドラインで

「75SMAに傾斜はあっても、価格がそれを跨いでしまった場合は、レンジもしくは分からないと判断する」

といった部分があります。

しかし、例えば下降する75SMAを価格が上抜いたとしても、もう一度75SMAの下に戻ってしまうケースがあります。実際のチャートで確認すると、いくつかのパターンが存在することが分かると思います。

こういったケースは、各自で検証をして、「この場合はこうするが、あの場合はああする」といたガイドラインを設定してください。

でもまぁ、今回は75SMAを例に出して解説してますから、とりあえずガイドラインの設定の仕方の例も挙げておきますね。

まず、上図の赤い丸1ですが、これは75SMAを一旦越えるも直ぐに戻ってしまっているパターンです。

この場合は、75SMAの角度も保持されたままで直ぐに75SMAの下に押し戻されていますから、「75SMAを越えきれなかった」と判断してOKな場面です。

75SMAの下に直ぐに押し戻された後は、

「75SMAが下を向いていて、価格が75SMAの下にある場合は、「下降トレンド」と判断して売り方針」

というガイドラインを適用して大丈夫ということですね。

次に赤丸2ですが、これは75SMAを5本のロウソク足が越えている形跡がありますよね。

この場合、越えた足のほとんどは終値ベースで75SMAの下に押し戻されていますし、終値ベースで75SMAの上に位置していても、高値は更新できていないわけです。

もう見た目から、75SMAを越えようとして実際はその真上でくすぶっている感を醸し出してますよね。

こういったケースも、やはり「75SMAを越えきれなかった」と判断して良い場面ですから、

「75SMAが下を向いていて、価格が75SMAの下にある場合は、「下降トレンド」と判断して売り方針」

というガイドラインを適用してOKにします。

ところが、赤丸3を見てください。

3の場合は、2とは違ってシッカリと価格は75SMAを上抜けていますし、1と違って75SMAを上抜いた後は少なくともロウソク足2本分以上の時間はそこに滞在し、直ぐには下に引き戻されていません。

こういった場合、再度価格が75SMAを下抜け、更に75SMAは傾斜を保ったままだとしても、

「う~ん・・・これ、分からなくなったな」

と判断します。

つまり、少なくとも下降トレンドは一旦終了し、その後の展開は規則性のあるレンジに突入するのか、下降トレンドを再開するのか、上昇トレンドが始まるのか、

「分からない局面」

になったと判断し、トレードは控える場面です。その後の展開が分かる様になるまでは、待たなくちゃいけない場面ですね。

同様に赤丸4の場面も、「分からない」という場面になると思います。

とまぁ、以上の様にガイドラインを具体化していく例を挙げてみました。

これ、あくまで例なので、本当に上に挙げた例が正しいのかどうかは、各自が検証してみて下さい。わざと僕、嘘ついてるかもしれませんよ。

( ̄ー ̄)ニヤリ

ガイドライン作成の注意点

以上、お話してお分かりだと思いますが、ガイドラインの曖昧な部分は、検証等によって各自の習熟度が上がるたびに、より具体化していくことが可能です。

ただし、先ほども言いましたが、今やっている作業は、あくまで「ガイドライン」です。

つまり、ガイドラインは骨子となる4大局面を浮き彫りにするためのデッサンであって、それ以外の細かい部分を表現するためのモノではありません

そして、ガイドラインをより具体化していくという作業は、4大局面の移り変わる部分を曖昧にせずに、出来るだけキッチリと区分けできるようにする作業のことです。

もっと言えば、

局面の移り変わる部分の曖昧な部分が「分からない」という局面で、その「分からない」という部分を出来るだけ明確にする作業になります。

多くの負ける原因って、

  • 分からない局面を
  • 分からないくせに
  • 何とか分かろうとして色々インジを引っ張り出して
  • 分析した気分になって時間をかけ
  • 結局分かっていないのにもかかわらず
  • 分かった気になってトレードを繰り返す

ということばかりなんですよ。

分からない局面を色んなテクニカルを用いて分かろうとするのは、実際にトレードする際にやることではないんですよ。

そういったことは、「検証の場」でやってください。

当たり前じゃないですか。

4回転を飛ぶ技術のないフィギュアスケートの選手が、いきなり試合で4回転を飛ぼうとしますか?

しないですよね。4回転にチャレンジするのは、まずは練習と検証の場のはずです。

で、その技術が使える様になってから、初めて本番でチャレンジするわけです。

この世間では極めて当たり前の事実を、自分のトレードでも適用させる。それが、チャート・デザインの骨子となるガイドラインの具体化なんですね。

さて、今回はここまで。

次回は、作成したガイドラインにそって、ディテール(細かい部分)を表現していく作業に移るとします。

それじゃあ、また。