トレンドの正体

※この記事は、2019年1月31日に特定の人向けに公開したものを再編集して公開しています。

まずは、お題を

突然ですが、ちょっと下のチャート図を見て下さい。

これ、ポンド円の1時間足チャートに20期間移動平均線を表示したものです。以前、「エントリーのタイミングをどう考えるか?トレンドフォロー編」の記事の中で解説に用いた画像なんですが・・・覚えてますかね?

赤丸Bで上昇トレンドが確定したとすると、それ以降に20SMAを表示して

  • 価格が20SMAを上抜いたところで買う
  • 価格が20SMAで反発したところで買う
  • 価格が20SMAを完全に下抜いたら決済

という極めてシンプルなルールでトレードを試みました。

すると、裁量なので個人差が生まれますが、大体6、7回トレードして5回ほどの勝利になります。この程度の回数じゃ正確な勝率は導き出せませんが、この場面だけで言うと勝率70%以上ということになりますね。

トレードは、特に凝ったことをやらなくとも、シンプルに対応することで、十分通用するということを説明したんですが・・・

ただ、この移動平均線を使ったトレード、実は王道の20SMAを使っているから機能しているというわけではありません。

実は、期間をいくつに設定しても勝てるんですよ。

なぜでしょう?

 

シンキング・タ~イム!!

 

・・・

 

・・・

 

・・・

 

さて、分かりましたか?

まぁ、正解するかしないかよりも、考えることの方が重要です。

考えましたか?

では、今回の記事はこのチャート図を題材にして、トレードに対する本質的な部分に少し迫ってみようかと思います。

皆さん、自分なりの考えを持ちながら、読み進めていってください。

まずは相場環境を確認

どの様な期間の移動平均線を用いても機能するかどうかを確認する前に、まずはこのチャート図の相場環境を確認しておきましょう。

先ほどのポンド円1時間足の素のチャートが、下図になります。

ぱっと見て、上昇トレンドです。

では、まずはこのチャートに「トレンドは上ですよ」ということを意識するために、トレンドラインを引いてみましょうか。

すると、こんな感じになります。(チャート画像を保存した日が異なるので、下図は上図よりもやや時間が経過しています)

Aを起点にトレンドラインが引けます。既に出来上がったチャートのなので上手く引けてますが、リアルタイムでこのラインが引ける様になるのは、早い人でC、確実なところで言えばDの部分だと思います。

緑色で囲った部分がトレンドラインから突き抜けていますが、ご存知の通りBOZ流のライン引きでは、これをオーバーシュートとして片づけ、これを横切ってもOKということになっています。

これにより、遅くともDのポイントで、トレンドラインが引けることになり、上昇トレンドの根拠が1つ完成です。

さらにこの上昇トレンドを根拠づけるのが、先ほどの緑色で囲ったオーバーシュートの部分です。

オーバーシュートとは「行き過ぎ」のことです。相場というものは常に過熱を帯びると行き過ぎるもので、行き過ぎた後は、一気に戻ってしまいます。

このオーバーシュート、1時間足では数本のロウソク足で形成されてますが、4時間足では2本の包み足であり、陰線を付けた後に長い下ひげを伴った大陽線で形成されています。これ、上昇示唆の形ですね。

さらに、この2本を1本にまとめるとプライスアクションで言うところのピンバーになります。しかも長ヒゲだけでなく陽線も大きめです。完全な上昇示唆ですよね。

しかし、なぜこの大きなオーバーシュートが上に向かう根拠となるかというと・・・

下に大きく下げた時に売りを建てた人たちが多数いるはずですが、その中には、一気にせり上がった時に捕まったまま逃げきれずに、まだ売りポジションを持ったままの人たちが数多くいるからです。

つまり、含み損を持った損切り予備軍がたくさんいるってこと。売り方の損切りは、買い決済です。しかも投げ売りならぬ投げ買いですから、上昇力が強い。(今回は下につけたオーバーシュートですが、もちろん上につけたオーバーシュートの場合はこの反対となります)

ですから、オーバーシュートは大きければ大きいほど上昇示唆(反対の場合は下降示唆)になるわけですね。

さて、次に最も大切なダウ理論。ダウ理論を活用するために、高値安値に注目する必要があるんですが、下の図をご覧ください。

一見すると、高値安値が規則正しく切り上げているわけではなく、ゴチャゴチャしていて、何が何だかわかりません。

こういった場合、スイングラインを引く一定のスキルがないと難しく、おまけにそのスイングラインの引き方すら、いくつかの見解があり、人によって引き方が違ってきます。

じゃあ、どうしたらいいの?

ということですが、よくわからない場合は、俯瞰して見ます。ロウソク足の表示を小さくして全体をより広く見る様にするか、1つ上の時間軸を見ると良いです。

俯瞰することで、余計な波は見えなくなり、大切なポイントとなる波と高値安値が浮き彫りになりやすくなるんですよ。下は、時間軸を上げた4時間足チャートです。

赤丸が低値で青丸が高値ですが、随分とスッキリとしましたね。オーバーシュート部分を無視すれば、高値安値も順調に切り上げているのが分かると思います。

ちなみに、この4時間足のチャートからの判断は、1時間足よりもっとシンプルですね。

下降トレンドを上抜けた後、再度下落を2回ほど試しますが(2回目はオーバーシュートの部分)、いずれも下降トレンドラインがサポートとなって跳ね返されています。つまり、オーバーシュートが終わったことで、やはり上昇する根拠が強くなっています。

では、1時間足に戻ってみましょう。

4時間足で確認した高値安値を1時間足で強調し、それ以外の高値安値は薄くしてみました。こうしてみるとトレンドラインが確定したDのポイントよりも、早く上昇トレンドが発生していることが掴めると思います。

が、

最も大切なのは、誰の目から見てもわかるトレンドです。高いスキルを持った一部の人にしか分からないものは、相場参加者の多くが分からないわけですから。

なので、スイングラインのスキルがあまりない人でも、

「これ、上昇トレンドじゃね?」

と分かるようなポイントを考えることも大切です。

となると、やはりトレンドラインが遅くとも引けた赤丸Dのポイントまで待って上昇トレンド確定と思った方が、確実ですね。

 

ということで、Dの時点までくると上昇トレンドを裏付ける

  • ダウ理論
  • トレンドライン
  • オーバーシュート

という3つの強力な根拠が揃ったことになります。

移動平均線の期間を変更してみよう

では次に、移動平均線の期間をどの様に設定しても、本当に勝てるのかを考えましょう。

いくつかの期間に変更して、見ていきます。エントリーのルールは、先ほどの20SMAの時と同じで、移動平均線を上抜くか反発で買うこととします。エグジット(利確・損切り)も先ほどと同じで、移動平均線の下抜け確定としましょうか。

では、まずは10MAから行きますか。

やはり裁量で判断するので、エントリーの回数やポイントは人によってやや異なるとは思いますが、基本的に青色とオレンジ色の丸の部分でエントリーすることになると思います。

青色はほとんどの人が利確できるエントリーポイントで、オレンジ色がほとんどの人が損切りか良くてチャラで終わったエントリーポイントです。

ちなみに、チャート画像に印をつける際、最後の方でエントリーできるポイント2箇所つけ忘れてました。1つは青丸になり、もう1つはオレンジ色になります。見れば分かりますよね。

で、緑色の丸なんですが・・・

緑丸Aは、通常ここを反発したと捉えますが、その前に3回ほど上昇を止められています。正直手を出しづらいところなので、このラインを越えられないなら見送る場面です。

また、緑丸Bのところは、人によって判断が違うでしょうが、僕なら反発したと捉えない箇所です。

以上の様に見ていくと、10MAを用いてエントリーした場合、計13トレード、10勝3敗です。おまけにその3敗もほぼ建値かその付近で損切りできますから、利大損小という理想的な展開です。

では次に、40MAを見ていきましょう。

同様に、青色の丸は利確できるエントリーポイントで、オレンジ色の丸は損切りで終わるエントリーポイントです。 

計8トレード、6勝2敗です。

当然ですが、期間を増やすほどトレードチャンスは少なくなります。

また、「移動平均線の角度は無視で」というルールにしてましたが、移動平均線の期間をこの程度の期間まで大きくしていくと、角度も重要になってきているのが分かると思います。

MAが下向きの時は反発・上抜けをスルーというルールにすると、オレンジ色の丸は2つともスルー。また、最初のオレンジ色の丸の次の青丸もスルーになります。

そうすると、結果は5戦5勝0敗になりますね。

次に75MA。

エントリーポイントはザックリと青丸で囲っただけにしてます。もう、解説しなくともお分かりですね。

この様に見ていくと分かる通り、移動平均線の期間を変更してみても、結果的に勝ててしまうわけです。

他の期間のMAに関しては、ご自分で試してみてください。結果的にどの期間に設定しても勝てることになりますから。言わずもがな、期間が大きすぎるとトレードがほとんど出来ない状態になりますが・・・

また、単純移動平均線(SMA)だけでなく、指数(平滑)移動平均線(EMA)や加重移動平均線(WMA)などを用いて調べてみるのも面白いかもしれません。いずれにしても、結果勝てることになりますから。

なお、上記は解説のため、ほんの数回の結果で勝率を出していますが、実際に検証する際は、ほんの数回・数十回程度のトレード回数では統計上意味をなさないです。予め、考慮しておいてください。

なぜ、期間を変更しても機能するのか?

さて、上図の様な上昇トレンドで移動平均線を用いた場合、どの様な期間に設定したとしても、結果的に勝つことが出来るということが分かったと思います。

では、期間をどの様に設定しても結果的に勝てるのはなぜでしょう?

 

以前、この質問をTwitterで僕が出した際、この質問に対する皆さんの考えはほとんど、

移動平均線の性質に意識が行き過ぎ

ていました。

このブログ記事を読んで考えた人も、恐らくほとんどの人が、移動平均線が機能する理由を、移動平均線の性質に理由を求めたんじゃないでしょうか?

皆さん、移動平均線の方に意識が行き過ぎなんですね。

もっと言いましょうか。

 

皆さんは、トリガーばかりに意識が行き過ぎです。

 

そして、トレードの本質はそこにはありません。

 

僕は「これがBOZ流!ライントレードの基礎(6)」の中で、

手法には、セットアップとトリガーが存在する

とお話しています。(読んでない人は、読んで!必ず)

トリガーとは、実際にエントリーする時の具体的な合図のことでしたよね。エントリーのタイミングを計る時のものです。ほとんどの人は、このトリガーが手法そのものであると誤解しています。

しかしこのトリガーは、前提条件があって初めて有効です。そして、その前提条件が「セットアップ」というわけです。

実はトリガーというのは別の言い方をすると、「買いなら買い」「売りなら売り」と予め決まっている前提条件の中で、損失や利益、精度を最も効率的に行えるポイントを知らせる合図のことです。

つまり、

買う(売る)という方針が既に前提条件によって整っている中で、効率的な売買が行えるポイントを見つけるために用いるのがトリガー。

ということです。

じゃあ、その前提条件が整うって?

はい、それが「セットアップ」でしたね。

セットアップとは、トリガーを発動させるための前提条件のことです。このセットアップが完了することなく、トリガーを発動させることはありません。というより、セットアップを無視してトリガーを発動させることは、無意味以上に危険です。

じゃあ、今回の解説、トリガーは何でしたっけ?

移動平均線ですね。

じゃあ、セットアップは?

 

・・・

 

・・・(考えてください)

 

・・・

 

・・・

 

・・・(考えましたか?)

 

・・・

 

・・・

 

ヒント:トリガーは価格が移動平均線を上回るか反発するかでしたね。では移動平均線を表示させる前に何を解説してましたっけ?

 

・・・

 

・・・(もうお分かりですよね?)

 

・・・

そうです。

セットアップが完了したのは、「上昇トレンドが確定した」というところです。もう一度、その時のチャート画面を見てください。

上昇トレンドが確定したのは、Dの場面でしたね。

その根拠は、

  • ダウ理論上、上昇トレンドは継続している
  • 遅くともDの場面でトレンドラインが引ける
  • 大きなオーバーシュートがある

かなり強い根拠です。もう上がるしかない。

もっと言ってしまえば、下降トレンドやレンジが発生する根拠が見当たらない。

つまり、「上昇トレンド確定」というセットアップが完了した以上、「買う」という行為は確定。あとは、「いかに効率的に買うか?」という視点で、トリガーを待つだけなんですよ。

僕は、

「セットアップが重要。極端に言えばトリガーなんてどうでも良い」

という話をしているはずです。

もし「買う」ためのセットアップが完了していたら、その前提条件がなくなるまでは、基本的に何をやっても(トレンドの最高値未満で買えば)ほぼ勝てるんですよ。

どの様に移動平均線を用いたとしても。また、それ以外のインジケーターを用いたとしてもです。

結果的に、何をやっても勝てるんですよ。

証明してみせましょうか?

トレンドの正体

まずは、今まで解説に用いてたチャートの状況をもっと明確にするために、上図の期間よりも先に進んだチャート画像を新たに取得しました。それが、下の図です。

トレードはダウ理論を核にして行います。ダウ理論における上昇トレンドは、

  • 高値を切り上げ続けている
  • 低値を切り上げ続けている

ことで成立するんでしたよね。

ですから、高値が切り下がり低値が切り下がった時点で、上昇トレンドは終了と判定することになります。

で、ここで上昇トレンドが確定した時点から、トレンドが終了した時点までを確定させて、上昇トレンドの範囲を明確化します。それが、以下の図です。

赤い丸が先ほどまで解説してきて上昇トレンドが確定してセットアップが完了した場面。

その後、高値が切り下がり(緑丸)低値も切り下がってトレンドラインを割り込みました(青丸)。ここで、トレンドの終了が確認できるわけです。

では、ここに20MAを表示してみましょうか。

見やすい様に色を変えてみました。緑色の枠で囲った部分が上昇トレンドが確定している範囲で、青丸で囲った部分が20SMAを下回った部分です。

では、ルールを決めましょうか。

損切りは、ダウ理論を利用して、直近低値を下回ったところ。利確はとりあえずエントリー値よりも価格が上昇していることが分れば良いので、直近高値を更新したらどのタイミングでも良しとしますか。

では、先の解説とは逆に、20MAを下回ったところで、買ってみてください。

 

「え!?下回ったところで買うの?」

 

はいそうです。

 

「でも、ちょっとそれは・・・」

 

つべこべ言わずにやってみてください。

 

で、負けましたか?

負けるどころか、勝ちましたよね?

20MAを下回ったところで買っても、価格は直近下値を下回る前にエントリーポイントを越えて上昇しています。

これを見れば分かる通り、移動平均線を上抜けようが下抜けようが、結局はどこで買っても基本的には勝つんですよ。

いや、移動平均線だけでなく、どの様なインジケーターを用いたとしても、ほぼ勝つことが出来ます。

例えばこれ、MACD。

俗にエントリーポイントと言われているところを、ザックリと印つけてみました。

先ほどと同じルールでやってみると、最後の青丸部分は逃げきれない人多そうですが、それ以外はほぼ利確できます。

じゃあ、次はストキャスティクス。パラメータは弄るの面倒なので、見やすい様にラインの色を変える以外はデフォルトのままでやってみます。

ストキャスティクスは、パラメーターを「5-3-3」でやってしまうとダマシを連発するので有名ですが、それでも圧勝です。

最後の4回は損切りする可能性が高いですが、それでも微益決済か建値決済で逃げる余地はありますよね。

まぁ、他のインジケーターでも試しにやってみて下さい。

何をやっても勝てますから。

 

もちろん、目をつぶっていても、です。

 

目をつぶって、チャートを見ずに自分勝手なタイミングで適当に買って見ても、勝てちゃいますよ。

流石にそれは言い過ぎだと思います?

じゃあ、やってみますか。

緑色の四角で囲った部分が、上昇トレンドの部分でした。

では、この四角い部分を、目をつぶって適当に指差ししてみて、そこをエントリーポイントとしてみて下さい。

そして、直近低値を下回る(損切りする)前に、そのポイントよりも価格は上昇しているかどうかを確認してみましょう。

何度も何度も試してみてください。

 

で、負けましたか?

恐ろしいほどの高確率で勝ちましたよね?

 

勝てる可能性が低くなるのは、下図の通りトレンド終了の直前のM字の波動(青と赤で示したライン)だけのはずです。

しかも、このM波動で買ったとしても、損切りせずに建値決済や微益決済で済むことが多いです。

高確率で損切りとなるのは赤丸で囲った最高値圏か、最後の調整波(赤色のライン)だけです。

それ以外は、どこでエントリーしようとも、直近低値を下回る前に確実にエントリーポイントよりも上昇して利益になるんですよ。

 

で、これがトレンドの正体です。これがトレンドの本質なんです。

 

上昇トレンドというのは、高値低値を切り上げていく構造であるため、トレンド終焉の場面、つまり最高値圏かトレンド最後の調整波で買わない限りは、エントリーポイントよりも確実に価格は上昇するんです。

端的に言ってしまえば、

上昇トレンド中は、インジケーターに関係なく、買って買って利確しまくって、最後の1回だけ利確できずに直近低値を下回って損切りになる。損切りになったらトレンド終了だと思って買いを控えれば良い。

ただ、それだけなんですよ。

「セットアップが重要、トリガーは極端に言えばどうでもいい。」

という意味が、分かったでしょうか?

「上昇トレンド確定」というセットアップが完了していたら、後はどこで買っても高確率で勝てる。目をつぶって買っても勝てるんです。

トレンドとは構造上、そういった本質を持っているんですよ。

ところが、

多くのトレーダーの視点はトリガー、つまりインジケーターの動きばかりに集中し、見当外れのトレードをしてしまっているんですね。本質から全く離れたところで、トレードしているんです。

 

セットアップが重要。トリガーはセットアップが大前提でしか意味をなさず、単に売買を効率化するためのもの

 

このことを、繰り返し繰り返し、頭の中に叩きこんでください。

ということで、僕が出した質問の答えは、

「移動平均線の期間どころか、それを上抜けしようが下抜けしようが、上昇トレンドというセットアップが完了していれば、どこで買っても、高確率で勝てるから」

ということになります。

億トレーダーが生まれる日

億を稼いだトレーダーというと、何やら有能な技法や能力を持っている様に思いがちですが、実はそうでもなかったりします。

先に示したポンド円のチャート図はわずか数十日間のトレンドですが、株式市場なんかはトレンドが数年に渡ることは当たり前の様にあります。

「永遠のレンジ相場」と呼ばれるFX市場でさえ、数か月に及ぶトレンドもありますし、トレンドが長続きしない代わりにレバレッジを株式よりも大きくかけることができます。

そんな金融市場で、上昇トレンドが発生している最中にトレードを始め、直近低値を下回らない限り損切りせずに買って買って買いまくり、利確しまくっていたら、倍々ゲームで資産がみるみる増えてしまうんですよ。

下手に勉強して知識を蓄えてしまい、トレードして上手くいかない恐怖を知ってしまう前の「無知」な状態が、むしろ億トレーダーを生む重要な要素になっていたりします。

だから、億を稼いだトレーダーは次から次へと消えていくんですよ。

自分は巧みな手法と巧みな判断力を用いてトレードして稼いでいるつもりでいても、実は単に「上昇相場」という環境の中で泳がされていただけ。まるで、お釈迦様の掌で暴れてただけの孫悟空かのように。

そして、そんな上昇相場が終わってしまえば、今までのその手法とやらは通用せずに、億を稼いだ期間よりも遥かに早い勢いで資産を溶かしていくわけです。

トリガーの意味

じゃあ、トレンド中はどこで買っても勝てるなら、適当に買ったらいいじゃん!

ということに、最終的にはなりますよね。

ただ、それではあまりにも効率が悪すぎる。含み損を長く持ちすぎたり、リスク・リワード比が悪すぎたり。

また、トレンドが発生したと思っていても、直ぐに終わってしまうかもしれません。もっと大きな時間枠で見たら、そのトレンドは単なる調整波でしかないことも当たり前のようにありますから。

だから、僕らトレーダーはトレンドが発生しているからといっても、単にどこでも買って良いという言葉で済ますわけにはいかないんですよ。

  • 含み損が発生しても、出来るだけ小さく短いポイントで
  • リスク・リワード比が良いポイントで
  • 実際の損切りも、打撃が大きくなり過ぎないポイントで

そんな風に効率化を図るために、出来るだけ効率的なトリガーを設定する必要があるんですよ。

逆に行ってしまえば、トリガーとは、トレードの効率化を図る単にそれだけのことなんです。

自分の性格や資金状況、ライフスタイルなどにあったトリガーを探す。

そんな意味合いで、インジケーターを用い出すと、今まで見えていたチャートの景色は、少し違って見えてくるようになるのかもしれませんね。

 

さて、今回はこれにてお終い。皆さんの目から鱗が落ちてくれたら、幸いです。

それじゃあ、また。

 

BOZ流!ライントレードの基礎(リターンズ)

一応、ライントレードの基礎シリーズは一旦お休み、ということだったんですが・・・

ライントレードにおいて基本的な、というか物凄く大切なことを書いてなかったことを思い出したんですね。

で、それを話しておかなくちゃこのシリーズは一旦休止できないなと思い、やや慌てる感じで戻ってまいりました。

ということで、早速ですが、始まり始まり~!

ラインを引く意味

誰が見ているのか?

そもそも、なぜトレードするのにラインを引くのか?

という問いかけに対し、既にこの基礎シリーズではお話しています。

ラインを引く理由、それは市場参加者の大多数が注目しているポイント(値)を見つけ出すこと。

市場参加者の多くは、どのポイントに注目しているだろう?つまり、どの価格帯で、大量の資金が流れ込み、敗者は撤退し、勝者は利確をするんだろう?

ということをラインを引くことで視覚化していこうというのが、ライン・トレードの姿勢です。

ですから、ごく少数の特異な人しか引かないラインを見つけることや、自分しか知らない秘密のポイントを見つけることが、ライン引きの目的じゃないんですね。

まぁ、言われてみれば当たり前のことでしょうが、実際にチャートに向かってラインを引いていくと、気が付けば相場の謎を解明しようと躍起になってしまっていたりします。

そして、本題から外れていく・・・

そうなりがちなので、ラインを引く際は、きちんと目的意識をもってそこから外れない様に心がける必要があります。

規則性を見つけよう

BOZ流ライントレードにおける環境認識とは、相場の秩序・規則性を見出すというものでした。

規則性がなく、不規則にただ漂う価格であれば、僕らはトレードできません。いや、することはできますが、その方向性に優位性を見出すことは出来ません。

規則性があるからこそ、僕らはトレードが可能となるわけです。

ですから、取引のバックボーン(環境認識)だけではなく、実際の取引のタイミングを模索するためのライン引き(現状認識)においても、規則性を見出す必要があります。

今回は、ここに少し焦点を当てながら、お話を展開させていきたいと思いますが、チャートと向き合う際には必ず、

  • 多数が注目する値を見出すこと
  • 規則性を見出すこと

の2点を念頭に置きながら、ラインを引くようにしてください。

いつの間にか複雑に

クシにおける補足

前回の「ライントレードの基礎7β」でお話したクシですが、図で確認すると、こんなでしたね。

クシとは、トレンドに対して反対側に進む調整波をサポート(レジスタンス)する斜めラインのことでした。

で、上図における下降トレンド中には、同じ角度のクシが引け、ここを割り込むとトレンドが再開しています。

で、前回お話し忘れていたことが2点。

まず、BOZ流において水平線やトレンドラインは1時間足以上で引くというのがルールでしたが、

クシはパターンラインと同じで分足に引いてもOKです。

なぜなら、クシは実際のトレードでタイミングをとるのに活用するためのラインだからです。

BOZ流は、1時間足が基本となる時間軸で、タイミングをとる際に分足を活用するんでしたよね。

なので、クシはパターンラインと同じで分足に引いてもOKです。

そしてもう1点。

それは、トレンド中に発生する複数のクシは、いつも同じ角度に引けるわけではないということです。

(まぁ、同じ角度で引こうと思えば引けなくもないですが、そうすると本来の調整波としての意味合いから外れてしまいますので、それを僕は「クシ」としての位置づけにはしていません)

そして、クシが常に平行に引けなければいけない必要性も、ありません。

クシとは調整波を支える斜めラインなわけです。なので、単にクシをブレイクすれば、トレンドは再開するんですよ(もちろん、確率論として)。

しかし、このクシが「同じ角度に引ける」という規則性が現在の相場にあるのであれば、さらに使い勝手が良くなります。

前回は、その実例をお話したと思います。まだ見ぬ未来の価格の動向を予め想定し、クシを引いて待ち構えることによって、計画性のあるトレードが可能になるわけです。(詳しくは、前回の記事をご覧ください)

規則性を見出すというのは、トレードを行なううえで、とっても便利なんですね。

いつの間にか複雑に

で、クシの様なラインは割と扱いやすくて結構役に立つんで、この手のライン引きに慣れていくと、実際のトレードをで多用していくことになります。

しかし、それを繰り返していくと、いつの間にかこんな感じになるかと。

相場を把握しようと夢中になればなるほど、どんどん狭い感覚でクシが並んでいき、チャートがゴチャゴチャとしてきます。

なぜ複雑になっていくかというと、理由は2つ。

  • 実際にこのクシがラインとして機能しているから
  • 目先のことに集中してしまうから

ということになるでしょうか。

上図は4時間チャートなので分かりづらいかもしれませんが、1時間足チャートなどに落として実際にトレードしていくと、この斜めラインは結構効いているんですね。

おまけに、この斜めラインは相場の規則性を体現しているので、等間隔に引けることが多い。

なのでラインを1本追加し、さらに1本追加し・・・と、目先の値動きを追いながらトレードしていると、いつの間にラインが狭い感覚でどんどん増えていくわけです。

もちろん、これでトレードを繰り返すことも可能です。しかし、判断の仕方や扱いは今まで比べて難しくなります。

つまり、それって上級者のやることです。

ライントレードの基礎を学んでいる真っ最中の人が、こういったことをやっていくと、むしろ相場がどんどん分からなくなっていきます。

相場の流れを捉えようとすればするほど、実はその局面を把握することが難しくなっていくんですね。

そして、

「どうやったら、今の流れが把握できるんだろう?」
「何処と何処をどう結んだら、機能するラインが引けるんだろうか?」
「こう引いたら、ラインが効いてるんじゃ?」

などと考えながら、色んなラインを引いてみたりします。

例えばこんな感じかな。

別にこういったことが悪いわけじゃありません。

色んなラインを引いていって、検証していく分には構わないんですよ。検証していって、自分なりのライントレードのスタイルを築いていくのは、大切なことです。

でも、今この場合は、そうではないですよね?

様々なラインを検証する目的ではなく、チャートを分析してトレードするつもりでラインを引いてたんですよね。

であれば、本末転倒。

機能するかどうか知りもしないラインを引いて、一体何をしようというのでしょうか?

冒頭でお話したラインを引く目的を、完全に見失ってますよね。

じゃあ、どうすれば良いかというと・・・

基本に立ち返ろう

複雑化してしまう自分に気づこう

チャート分析を続けていくと、気が付けば上記の様にラインが増え、また別のラインも足し、それでも分からないので様々なインジケーターを表示して、現在の相場を解明しようとしてしまいがちです。

つまり、頑張って分析すればするほど、僕らはモノゴトを複雑に捉えようとしてしまうんですね。

しかし、複雑な状況を上手く渡り歩けるのは、上級者だけ。

いや、上級者だって複雑な道のりは安易には歩けないはずです。

そうであれば、初心者や初級者にとっては尚更のことです。複雑難解な世界に入り込んでしまえば、負けを繰り返し続け、結局は退場してしまうことになります。

なので、大切なのは自分自身を客観視すること。一生懸命になり過ぎて、チャートを複雑化してしまっている自分自身に気づき、本来のラインを引く目的から目をそらさないことが大切なんですね。

本来の意味を思い出そう

ちょっと先ほどのクシを並べ過ぎたチャート画像を、もう1度見てもらいましょうか。

クシがゴチャゴチャっと並んだ局面ありますよね。これの一番上のクシをブレイクした後の価格は、一番下の水平線にタッチした後に反転上昇し、ジリ上がりしています。

つまり、これってレンジ相場です。

ここで下降トレンドは終了するのかもしれませんし、調整局面のレンジ相場を終えると再び下落するかもしれません。もちろん、未来のことは誰にも分かりません。

しかし、少なくとも言えることは、ここで下降トレンドは一旦休止ということです。

じゃあ、クシの役割は?

クシとは、トレンドの調整波を捉えるためのものでした。レンジ相場の上昇波に引くラインではありません。

ですから、この斜めラインが機能していようがしてなかろうが、「クシ」としての役割は一旦終了ということになります。

つまり、この局面はクシを引き続ける必要がない場面、ということですね。


もちろん、調整波ではない上昇波や下降波にラインを引いてはダメということではありません。

クシというのは、あくまでトレンド中の調整波に引いて活用するもので、そうでない局面での上昇波や下降波に引く斜めラインとは意味合いや活用の仕方が異なります。

そういった意味で、「クシを引き続ける必要がない場面」と言っています。

上述した様に、この斜めラインは機能していますので、これでトレードできる人は、引いてトレードしても構いません。


まずはリセット

では、チャートが複雑化してしまった時は、どうするか?

答えは簡単です。

まずは、チャートをその局面だけでよいので、出来るだけ真っ新な状態にします。つまり、ゴチャゴチャ引いてしまったラインを、思い切って消しちゃうんですね。

リセットするつもりで、ね。

とりあえず、環境認識に使うライン以外は外してしまいましょうか。すると、こんな感じになります。

等間隔に引いた水平線と日足チャネルのラインだけ残しました。

では、今現在の局面をもう1度見直していくことにしましょう。

振り出しから見直そう

さて、リセットしたところで、もう1度気分を新たに相場を見直します。見る場所はもちろん、下図の赤丸部分です。

これを見ると分かる通り、価格は日足チャネルの下限ラインに到達すると、そこで揉み合っている状態です。

大きな時間軸の重要なラインでは、売り方と買い方の攻防が交錯して激しく揉み合うので、値動きが不安定になりやすくなります。

では、もう少し値動きを細かく見ていきましょうか。

分かりやすい様に線を色分けしてみました。

まず赤丸Aの部分を見てください。赤色ラインと青色ラインが交錯する部分で、揉み合った後に反転上昇。上の黒ラインまで到達すると再度下落します。

その後、赤色ラインと青色ラインの間で揉み合った後に下に抜け、緑色ラインまで到達(緑丸B)すると反転上昇。

しかしその後は、赤色ラインと青色ラインを交差する様にして何度も揉み合っています。

この時、赤色ラインと青色ラインは確かに「効いている」と言えます。

しかし、赤丸や青丸を見れば分かる通り、価格は各ラインをまたぐ形で揉み合っているわけですから、実際のトレードにおいては、このラインをそのまま活用しようとすると、

「一体どこで抜けた反転したを判断したらよいんだろう?」

となってしまいます。判断しづらいんですね。

なので、ラインをまたいで揉み合っていることが常態化している場合は、トレードしやすい様に、その揉み合っている高値や安値にラインを引いて、トレードしやすくします。

するとこんな感じですかね。見やすくなる様に、先ほど色分けしたラインの色はもとに戻してあります。

上図の通り、複雑に動いていた様に見えたこの局面は、実は単に平行する水平線の間を上下している値動きに過ぎないことが分かると思います。レクタングル・フォーメーションですね。

でも、ちょっと待ってください。よく見れば、このレクタングル・フォーメーションを形成しているかに思える局面は、高値安値を切り上げている様に見えます。

であれば、水平線ではなく斜めラインが引けそうですよね。チャネルを想定してラインが引けそう。

しかし、その場合に考えられるチャネル・ラインは2つです。

1つは、Bを基点に引いた緑色の斜めラインです。チャネル展開することを想定して上にも1つラインを引いています。

もう1つは、元の鞘ですが、今まで引いていたクシと同じ角度の斜めラインです。

Bよりも1つ上の安値、さらにもう1つ上の安値を基点とすると、今までのクシと同じ角度でラインを引くことができますね。これを基準としてチャネル展開を想定することができます。

(赤色のラインが3本引いていますが、規則性を表すために敢えて引いています。一番上の垢ラインは、実際には特に引かなくてもOKです)

ラインという名の道具

どれが正しい?

さて、一旦リセットしてから改めてチャートを見直してみました。

しかし、見直してみると・・・

  • レクタングル・フォーメーション
  • チャネル

の2つの違った展開が考えられます。しかも、チャネルを想定しても、そこには2種類の違うチャネルが考えられます。

一体、どの見方が正しいのでしょうか?

さて、それでは恒例のシンキング・タ~イム!!

 

・・・

・・・

・・・

 

「BOZ流は水平線に優先順位を置くから、レクタングル・フォーメーションを想定すべきなんじゃ?」

まぁ、確かに水平線が基軸です。が、この局面では、その選択が正しいのでしょうか?

再び、シンキング・タ~イム!!

 

・・・

・・・

・・・

 

「今までの一連の規則性に沿った方が良いから、チャネルを想定した方が正解なんじゃ?」

おぉ!考えましたねぇ。でも、本当にその判断は正しいのでしょうか?

 

・・・

・・・

・・・

 

答え、言いますね。

その答えは・・・

 

 

どっちでも良い

 

 

です。もっと言えば、

 

好きにやったら、良いさ

 

ということになります。

すみません、ひっかけ問題みたいな質問して。でも冗談ではなく、ホントどっちでも良いんですよ。どちらを選択しても、正解です。

ラインはトレードするための道具

ラインは、相場の真実を暴き出すためのものでも、相場の真理を導き出すものでもありません。

う~ん・・・ちょっと言い過ぎかな。

僕自身、ラインを引いていて、その深遠さに驚くことも多々ありますし、ラインとは相場の真理や摂理の一端を導き出すための重要なツールである側面は確かにあると思います。

でも、端的に言ってしまえば、

ラインとは、ライン引きの職人がトレードをするために使う道具でしかない

というのが、僕の考えです。

「このケースの場合は、この道具を用いた方が良い」

という使い分けは確かに存在します。

ゴルファーがパターを使い分けたり、彫刻師が彫刻刀を使い分ける際には、その局面において向いている道具を選びます。

ただ、それがセオリーだからといって、自分が扱いきれない道具を使ってモノゴトを成し遂げようとするのも、本末転倒です。

彫刻師は、セオリー以前に、その部分を表現するのに自分が最も上手く扱える彫刻刀を選ぶのではないでしょうか。自分が上手く扱えない彫刻刀で掘ってみても、素晴らしい彫刻は出来上がりませんからね。

トレードもそれと同じです。

ラインは、チャート分析をしてトレードの判断に用いるための道具ですが、何を使うのが正しいのかは、自分がきちんと扱えるものを選択するのが最適解です。

ですから、斜め線であろうが水平線であろうが、パターンラインであろうがチャネルラインであろうが、自分がトレードをするにおいて扱いやすい方を選べば良いんです。

上手く扱えるものを選び、上手く扱えないのなら使わない方が良い。それは、道具を使ってモノゴトを成し遂げようとする職人であれば、当然の判断です。

さらに言ってしまえば、

チャート分析において、どの道具(ライン)を使うかというのは、

どの視点からチャートを分析するのか?
どういったアプローチでチャートを観察するのか?

ということでしかありません。

トレーダーは自分なりのアプローチで、相場を正しく解釈する方法を身に着け、それによってチャートから相場の動きを浮き彫りにしていけば良いんですよ。

それぞれのアプローチが正しい方法で行われているのであれば、どのアプローチを用いたとしても、正しく機能します。

「えぇっ!マジっすか!?」

マジっすよ。

ということで、今回のチャート判断において、レクタングル・フォーメーションを選ぶべきかチャネル・ラインを選ぶべきかは、たいした問題ではありません。

自分が扱いやすい方を選ぶべきなんです。

(もちろん、両方を上手く使いこなせるんであれば、それはそれで構いません。僕自身、今回のこの局面では両方を利用していますし)

それではこれから、レクタングル・フォーメーションとチャネル・ラインを用いた場合でのトレードを個別に解説してくことにしましょうか。

どちらも、使える道具ですよ。


予定としてはこの記事は、相場がお休みの週末にアップしたかったんですが、体調を崩してしまい、今日にずれ込んでしまいました。

本当は、相場が動き出す前に解説をして、「さて、ではこれからどう動くんですかねぇ?楽しみですね」として終わった方が面白いかなと思ってたんですが、週も明けてしまい、もう結果はある程度出てしまっています。

タイミングを逃してしまったので後付け解説感は否めないですが、まぁその辺はご愛嬌ということでご覧ください。


レクタングル・フォーメーションの場合

レクタングル・フォーメーションを利用してトレードする場合は、至ってシンプルです。

このボックスを上抜けしたら買い、下抜けしたら売り。このボックス内に収まって上下にレンジを形成し続けるのであれば、レジスタンスを反転したら売り、サポートで反転上昇するなら買い。

考え方と方針は、至ってシンプルですね。

そこに、未来予測はありません。価格が向かう方向についていくだけです。

では、結果を見ていきましょうか。

これ、4時間足チャートなんで、もう少し詳しく見るために1時間足チャートで見てみましょう。

ちょとトリガーまで解説するのは難儀なので、値動きだけで解説しますね。(手抜きとか言わない様に)

一昨日(7月1日)の月曜日朝は、窓開けのレンジブレイクという状態で始まりました。この後、一気に価格は上昇するわけですが、1時間足レベルの水平線(オレンジ色)に阻まれてAの地点で反転下落します。

Aではタイミングをとるのが難しいかもしれませんが、絶好の売り場と考えられます。

(ただ、この早朝の段階で、どの程度の人がトレードするかは分かりませんけどね。スプレッドは広いし、商い薄のため価格が不安定になる可能性も否めませんから。まぁ、見送るというよりチャート見ていない人の方が多いでしょうね。僕も見てませんし)

その後、窓埋めセオリー通りに窓を埋める形でボックス内に価格は戻ってきます。窓埋め狙いなら売りエントリーもありですが、この辺りは売り買いの攻防が繰り返される場面でもあるので、見送った方が安全です。

もし窓埋めセオリーで売りエントリーしているなら、窓を埋めたら速攻逃げた方が良い場面です。

で、ボックス内に戻ってきた価格はBでラインに阻まれて反転上昇し、ボックス上限のレジスタンス付近でCの様に揉み合います。

丸半日以上揉み合っているので、この場合は上下どちらかに抜けたら素直に付いていって良い場面です。

結果として下に抜けました。

ただ、ここは展開が早い場面で見逃したり入り遅れるかもしれません。その場合は、リスクをとれないのであれば、価格を後追いするのは控え、指をくわえて価格が戻るのを待っていた方が安全です。そのまま下落を続けるかもしれませんが、少なくとも損はしませんからね。

しかし、今回は指をくわえていて正解だったようです。再び価格は点線ラインまで戻ってきますが届かずにDで反転下落を始めます。ここ、絶好のエントリーポイントですね。

下落した価格はボックス下限に到達します。Eを見れば分かる通り、ここは日足チャネルの下限ラインと合致する場面ですね。

大事な節目ですから、タッチすると同時に一旦利確して、抜けるか抜けないかを様子見て再エントリーを判断した方が良い場面です。深夜ですから、利確して寝ちゃうのも最善策です。

ただ今回は大きく揉み合うことなく、割と早い段階で下抜けたようです。ロウソク足の陰線の長さを見れば分かる様に、下落の強さが伺えます。

尚、今回は先週末からのチャートをもとに週明けからの展開を解説していますが、この相場つきがレクタングルのレンジだと早めに気づいているのであれば、ブレイク前にレンジ内取引を繰り返すことが十分できたはずですね。

ということで、今回のこの局面、レクタングル・フォーメーションを利用してトレードするのは正解だったということが、分かったかと思います。

では次に、チャネルを利用したトレード解説に移るとしましょうか。

チャネル・ラインの場合

チャネル・ラインを引いてトレードする場合、2種類のラインが考えられるとお話しましたね。

この段階では、どちらが機能するかが分からないので、2つとも引いたままにしておきます。

この後の値動きの展開で、どちらのチャネルが機能しているか判断し、それに合わせてトレードすることになります。

ただ、ここで1つ補足を。

これはライントレードというよりは、波形分析になるんですが・・・

ちょっと、この場面を思い出してもらいたいんですよ。

前回、クシを説明した際に用いた画像ですが、

レンジ中の上昇波には一定の角度がありました(青色斜めライン)が、この上昇波の角度が緑色で囲った部分で緩やかになり(つまり上昇波が弱まった)、その直後にレンジをブレイクして下降トレンドが始まっています。

これ、「波形が崩れた・・・」って言うんでしたよね。

じゃあ、もう一度、先ほどのチャート図を見てみましょうか。

気づきました?気づきましたね。

赤い斜めラインは、今までの下降トレンドにおける調整波(上昇波)の規則性を表しています。

しかし、緑色の斜めラインは、今までの赤い斜めラインよりも角度が緩やかになっています。

ということは、もしこの後に、価格が赤色ではなく、緑色のチャネルに沿って動くとすれば、

上昇波の強さが弱まっている

と判断できるはずです。

つまり、緑色のチャネルに沿って動いていることが確定した後は、価格は下落傾向を強める可能性が濃厚になってくる、ということです。

おぉ!なんか、ワクワクしてきましたねぇ。本当はこれこそが、今週の相場が始まる前にお話したかったことだったんですが・・・

まぁ、グダグダ言っても仕方ないので、結果を見てみましょうか。

 

Aの部分を見てもらえば分かる通り、緑色のチャネルラインにタッチした後に反転下落しています。

緑のチャネルが機能したということになりますね。

しかも、先ほどお話した通り、緑チャネルが機能していることから上昇波が弱まっていることが判明し、この後には下落を強めてチャネルを下方ブレイクする結果となりました。

1時間足に切り替えて、少し細かく見ていきましょう。

チャネルラインの真ん中には、このラインと同じ角度のラインが引けて節目となるということは、以前お話しています。(詳しくは「価格の値動きを生み出すゾーンのお話」をご覧ください)

で、チャネルを用いてトレードするとは言え、このライントレードはBOZ流ですから、環境認識上に必要なラインは残してありますし、これを抜きにトレードはしません。

なので、それらを加味してチャートを覗いてみましょう。

まず、窓を開けて始まった相場は、そのまま上昇を続けますが、緑色のチャネル上限のラインに阻まれて(赤丸Aの部分)反転下落をします。

ここで、緑色のチャネルが上昇波動であると確定するわけです。絶好の売り場ですね。(ただ、この辺の解説は先ほどのレクタングル・フォーメーションの時にやったので省略します)

その後、価格はチャネルのミドルラインを一旦抜けますが点線の水平線に阻まれてBで揉み合った後に反転上昇。

しかし、今度はチャネルミドルラインにて、Cの様に揉み合いを続けます。この揉み合いは半日以上も続いているので、抜けた方向に素直についていけばOKです。

で、下方向に抜けますが、一旦点線ラインまで戻します。Dの場面では点線ラインに阻まれ、反転下落しますので、ここはやはり絶好の売り場となります。

おまけに赤いチャネル・ラインを想定していた人からしても、このDの場面は、ラインを下方ブレイクした後に戻ってきたものの赤いチャネル・ライン内に戻りきれなかったと判断する場面です。

こりゃあ、絶好の売り場として逃す手はありません。

しかも、緑チャネルが機能したことで上昇波動が弱まっているといことが確定しているわけですから、相対的にこの後の下落の勢いは強まっていきます。下落の強さは、見ての通りです。

価格は、あっけなくチャネル下限ラインを抜けます。

そして、日足チャネル下限まで到達。ここで一旦決済して、様子見した方が良さそうです。その後、Eの部分では日足チャネル内に価格は戻しきれずに、再度下落を始めていきました。

・・・と、チャネルを利用したトレードの解説は、駆け足ですが以上となります。

正しいアプローチ

もうご覧の方は、気づいていると思いますが・・・

レクタングル・フォーメーションで解説したポイントA~Eと、チャネル・ラインで解説したポイントA~Eは、全く一緒です。

重ねてみましょうか。

結局のところ、レクタングル・フォーメーションでトレードしようが、チャネル・ラインでトレードしようが、見ているポイントはほとんど一緒になります。

ここからも分かる様に、

どの道具を使ってトレードするのが正解なのかではなく、その道具の使い方が正しければ、どの道具を使っても正しいトレードは出来る

ということなんですよ。

どのラインが優秀だとか、どの種類のラインを使うのが正しいのかではなく、正しくラインを用いて正しいアプローチでトレードを行なうことが、大切なんですね。

そして、これこそがBOZ流ライントレードの本懐となります。

両方用いた方がより信頼性あるトレード

ちなみにですが、例のごとく、この局面における僕のトレードをご紹介します。

実際の僕のチャートでは、緑色で囲った様なボックス表示はしていません。この図のボックスの上限と下限にラインが引いてあるだけです。上図は読者が分かりやすい様にレクタングル・フォーメーションをボックス表示しています。

で、さらに追加されているラインは、

このレクタングル・フォーメーションの中央に引いたミドル・ラインです。

そして、このボックスの上限レジスタンス付近に引いた赤い太めの斜めラインです。

これを見ればお分かりの通り、レクタングル・フォーメーションやチャネル・ラインを単独で用いるより、両方を用いた方が、

大切なポイントにおいては、両者のラインは合致しやすい

ということから、より信頼性のあるトレードが出来ます。自信をもってトレードが出来るんですね。

ということで、水平線にしろ斜めラインにしろ、いくつかのラインを使いこなせるのであれば、併用して用いることをお勧めします。

もちろん、1つだけでも充分トレードは出来ますが、腕を磨いたうえで複数を同時に扱うことが出来れば、より信頼性の高いトレードが実現できるわけです。

で、僕の実際のトレードですが・・・

僕はこの赤い太めの斜めラインを引いて、昨日の夕方、ここに価格が到達するのを待ち構えてました。

で、到達後に反転を確認して上の青丸の部分で売りエントリーをします。

その後の下落を見ながら、レクタングルの中央に引いたミドル・ラインでの攻防を見て、「一旦ここから戻すかな?」ということで下の青丸部分で利確しました。やったね!

そして、もちろん戻しを形成した後の反転を捉えて、Dの辺りを過ぎたところで全力で売りをかまします。どうです?凄いでしょ?

と言いたいところなんですが、僕は利確した後に体調が悪いのにもかかわらずお酒を飲んでしまい、Dの辺りではチャートを見てるどこじゃなくなってました。

ということで、例のごとくアホなことを繰り返す日々を送っています。

「良いんだよ、負けなきゃ」

と、僕は自分で自分を慰めるのに、今日も必死です。

終わりに

タイミングの取り方

僕は、ライントレードについて、もう1つ大切なことを言い忘れていました。

それは、タイミングの取り方です。

ラインに到達したその後に、

  • そこを抜けたと判断するタイミング
  • そこから反転したしたと判断するタイミング

は、どうやって計ったら良いのでしょうか?という、問題あるある。

これに対して、僕の答えは明確です。

 

「好きにやったら、いいさ」

 

セットアップさえ整っていれば、トリガーは自由であると、

それが僕の考え方です。

事あるごとにこのブログでは言ってますが、タイミングの取り方は、各自が得意とするテクニカルで「これが自分には一番合ってる」と思うやり方でやれば良いと思っています。

ただ、1つだけ僕からお伝えしたいのは(先日、twitterでも呟きましたが)、

みんな、欲深さから初動を獲りたがるけど、それがフライングのもと

だということです。

ラインに近づいてきたら、タイミングをとる準備をします。これは徒競争で言うところの

「位置について~」

です。

そしてラインにタッチ、というよりはライン周辺を含むゾーンに侵入(ラインを突き抜けることも含む)してきたら、

「よ~い」

なんですよ。

でも、ほとんどの人がこの「よ~い」がかかったら、次の「ドーン!」を待たずに、エントリーしちゃうんです。

つまり、フライングです。

フライングしたら、そのレースは失格です。

しかし、「ドーン!」で多少出遅れたとしても、失格にはなりません。やや不利な状況かもしれませんが、ゴールまで走りきる権利は手にすることが出来るんですよ。

もちろん、スタートが明らかに遅過ぎたら、勝負にならないので走り出さないことが必須条件ですけどね。

そういった場合は、次のレースまで待ちます。

この様に、

「位置について、よ~い、ドーン!」のタイミングをきちんと体で覚え込ませること。

これが今の僕に言える、たった1つの、そして大切なタイミングの取り方です。

ライン職人として

「トレードは知識ではなく、技術である」ということも、僕は事あるごとに言っています。

ですから、トレーダーは職人気質であるべきだと、僕は思っています。

そしてライントレーダーは、ライン引きの職人として、日々腕を上げることを目指していかなければいけないと思っています。

「ここはこうやってラインを引いて、ここはこんな具合でバーっとやって、グーっと堪えて、ほらよって感じで利確するんでぃ!」

って、そんな感じで良いのかもしれません。

僕は、「トレードを教えられるようになれたら」という想いで、とりあえずこうやって言葉にしてブログを書いていますが、本来トレーダーは職人ですから、言葉にできなくたって良いんだと思うんですよ。

日ごろ積み重ねた練習と検証と経験から、腕を磨いていって、それを言葉で説明できなくとも、身体に染み込ませた感覚で的確なトレードをやる。

語るよりも腕で見せる。

それが、裁量トレーダーとしての本懐じゃないかと。

知的に振る舞ってうんちくを語るよりも、むしろそのことの方が大切なんじゃないかと、そう僕は思っています。

いつか近い未来、このブログを読んだ職人たちが、ラインという道具を用いて、チャート画面に相場本来の姿を思い思いに浮き彫りにできる様になれたら・・・

そんなことを思いながら、このライントレードの基礎シリーズは、ここで一旦幕を下ろしたいと思います。

 

あー、やっぱ今日のBOZは一際カッコ良いわ、マジで。

ということで、それじゃあ、また。

これがBOZ流!ライントレードの基礎7β

終わりのはじまり

ライントレードの基礎について、僕なりの考え方を、これまで6回に渡ってお話してきました。

ただ、僕はまだまだ甘ちゃんなので、書けば書くほど自分の中の曖昧さや抜けている部分に気づかされてしまいます。

そんなこんなで、色々と思うところがあり、ライントレードの基礎シリーズは今回の第7話で一旦終了(つか、お休み)しようかな、と。

もっと自分の中にあるもの、そしてまだないものが上手く解決し、誰かに伝えられるくらい概念化できる様になるまでね。

まぁ、夏休みの自由研究といった感じですかね。

ということで今回は、今までの総括的なところから、もう少しだけ突っ込んだお話をしていこうかと思っています。

ベータ版的な側面は否めませんが、実際のトレードに活用できる様な実践的な内容で締めくくられたら良いかな、と。

それでは、始まり始まり~!

なんてったって水平線

さて、久しぶりのライントレードの基礎シリーズなので、まずはサラッとおさらいを兼ねたところから入っていきましょうか。

水平線とは

端的に言ってしまえば、水平線とは価格そのものです。チャートは時間の流れが横軸となって左から右へと流れていきますから、価格という点がその流れに伴って線となっているだけの話です。

ただ、もう少し正確に言うならば、

水平線とは、注目される価格周辺を端的に表したもの

ということになりますかね。

特に何の捻りも加わらない、単なる水平に引けるラインなわけですが、しかしこの水平線が、BOZ流ライントレードの中核となります。

秩序を表す水平線

BOZ流ライントレードにおいて、環境認識とは、相場の秩序を見出すことでした。

そして、その代表格が水平線です。

端的に言ってしまえば、相場の中で推移する価格は、ほぼ等間隔で引ける水平線、つまり同じ値幅の価格帯の中を単に上下に移動しているだけでした。

ちょっと、チャートを見ながら簡単に復習してみますか。以下は、ポンド円の日足チャートです。

通常は、波が形成する山と谷に注目してラインを引いていきます。

しかし今回は、まず上から2番目と3番目のラインを引いた後に、山と谷は気にせずに、そのライン間の値幅と等間隔になる様なラインを上下に引いてみました。

ところが、どうでしょう。なんと、波の山と谷にほぼ合致しています。

ここからも分かる様に、価格は等間隔で結ばれる水平線(つまり同じ値幅領域)を単に移動しているだけということが分かると思います。

これが、相場における基本的な秩序です。

水平線と水平線の間の値幅領域1つを1ブロックと呼ぶとすれば、

  • 上昇トレンドとは、各ブロックをまるで階段の様に駆け上がる様子
  • 下降トレンドとは、各ブロックをまるで階段の様に駆け降りる様子
  • レンジとは1ブロック内を、または複数のブロックをまたぎながら、行ったり来た入りする様子

と見ることが出来ると思います。

NもEも必然の世界

持っているポジションをどこで決済するかを考える際に良く使われるのが、

N値・E値・V値・NT値

です。波の一辺同士が同じ値幅になるという考え方から、エグジットのタイミングを計る際に使われます。

しかしこれ、上図を見てもらえれば分かる通り、相場が等間隔で引かれる水平線の間を移動している世界であることを考えれば、N値もE値もV値もNT値も、全て必然となりますよね。

相場の秩序を把握していれば、特に迷うことはありません。

ブロックの中の中身

さて、これまでのライントレードの基礎の解説では、

週足から日足、4時間足、1時間足・・・といった具合に、時間軸を下げながら、各時間軸の波の山と谷に注目して水平線を引いていく

という手順を踏んでいました。

しかし・・・

実は、そんなことをわざわざしなくても、適切なラインは引けるんですよ。

ちょっと、もう一度この言葉の意味を考えてみてください。

「価格は、規則性をもって、等間隔に引けるラインの間を移動している」

さて、気づきましたか?

規則性を持って等間隔の値幅を移動しているんですから・・・

そう、実はわざわざ時間軸を下げながら波の山と谷を確認しなくとも、何も考えずに先の水平線と水平線の間に、再度等間隔なラインを引いていけば、適切なラインが引けるんですよ。

実際に、先ほどの日足チャートのラインとラインのちょうど真ん中に点線のラインを引いてみます。すると、こんな感じになります。

では、時間軸を落とした4時間足チャートで確認してみましょう。

機能してますね。

このことからも分かる様に、1ブロックをさらに2等分しても、機能する水平線がきちんと引けるんですね。

そして、その2分割したブロックをさらに分割していっても、適切なラインを引くことが可能です。

もちろん、分割すればするほど、ラインとしての機能は弱くなりますが。

で、もう1点付け加えるならば・・・

時に、ブロックを2分割しても機能しないラインが引けてしまうことがあります(1時間足レベルのラインが多い)。しかしその際は、ラインとラインを2等分ではなく、3等分にしてみてください。これがまた、不思議と機能するラインになるんですねぇ。

ということで、このやり方を踏襲すると、過去に戻らなくとも、未来に機能するであろうラインを引くことが可能になります。

「へー、そうなんだ!」

じゃなくて、実際に自分でチャートを開いて、きちんと確認してくださいね。そうじゃないと、自分のモノにはいつまで経ってもなりませんから。

斜めラインの難儀と妙技

斜めラインの難儀な側面

斜めラインは僕にとって、難儀に感じる側面と貴重に感じる側面とが混在しています。

今回は、その斜めラインの絶妙さを1つご紹介するつもりですが、褒めまくる前に、まずは先にディスっといてバランスをとっておきましょうかね。

BOZ流のスタイルでは扱いづらい

仕事や家事子育てなどに忙しく、チャート画面にずっと張り付いていられる環境が難しいトレーダーは沢山います。

また、取引する時間軸が大きい人の場合も、ずっとチャート画面に張り付いているのは合理的ではありません。

その様なトレードスタイルの場合、斜めラインには扱いづらい側面があります。

例えば、指値・逆指値を利用するトレーダーからすると、斜めラインは実際に注文を出す値の判断が難しくなります。

下図をご覧ください。

価格の推移の緩急の違いで、同じラインに到達するにしても、その価格は違ってきます。急落するとAの価格で到達しますが、緩やかに落ちてくるのであればBの辺りで到達することになり、Aよりも高い価格に位置することになるわけです。

このことからも分かる通り、斜めラインを基準にした場合、指値や逆指値は実際どこに置いたら良いのか迷ってしまうことになります。

指値や逆指値を利用するトレーダーにとって、斜めラインには扱いづらい側面があるんですね。

また、極めて単純な作業上の問題として、

  • マウス操作が下手なのか、思った通りの斜めラインが上手く引けない
  • チャートの時間軸を変えると、斜めラインはズレやすい
  • ラインの引き方の定義が、水平線より難しい

などもあるでしょうね。

ただ、個人的にもっと厄介なのが・・・・

概念化の難しさ

僕がこのライントレードの基礎シリーズのブログ記事を書いていて、最も難しく感じているのが、

斜めラインは、既成の概念では説明しきれない

ということです。

僕の頭の中では、従来の説明では収まりきれない性質が、斜めラインには存在するんですよ。同じ斜めに引くラインでも、それが意味するものや扱い方などには色んな特徴があって、一様ではありません。

じゃあ、それを僕自身が自分の言葉で語っていけたら・・・とは思ってはいるんですが、正直なところ、

僕自身が、斜めラインをきちんと概念化できていない

というのが現実です。

斜めラインには、その性質やら特徴を区別していくと、大体5つくらいに分けられるんじゃないかなー、と個人的には思っているんですが、その区別する境界線は曖昧で、説明もしづらいし、なんかモヤモヤとしちゃうんですね。

このライントレードの基礎シリーズにおいて、今のところ斜めラインは

  • トレンドライン
  • チャネルライン
  • パターンライン

の3つについて説明していますが、正確に言えば、トレンドラインを除く他の2つの斜めラインですら、実は定義づけが曖昧です。

なので、斜めラインを説明しようと思っても、今僕の中で確定している部分部分でしか、解説できないんですよ。

そういった理由もあって、僕自身がこのライントレードの基礎シリーズを一旦お休みしようと思っているわけです。

ということで、ここからはまだ僕がこのブログで紹介していない斜めラインの使い方を1つ、今伝えられる範囲内でお話しようと思います。

志半ばとは言え、結構ためになる解説だと思うので、しばしご清聴の程、よろしくお願いしますね。

価格と時間の推移を包括する妙技

復習のお時間です

僕は、このブログやTwitterなんかで事あるごとに、

「価格が同じ値幅を移動するという規則性に対して、その移動時間も一定であるという規則性が存在するならば、同じ角度の斜めラインを複数引くことが出来る」

ということをお話しています。

以前、こんな図を使って説明したと思います。

三角形で例えるとするならば、価格が推移した値幅(高さ)と価格が推移した時間(底辺)の比率が同じであれば、三角形の大きさがどうであろうが、斜辺の角度は等しくなります。

つまり、

価格そのものである水平線に時間推移の概念を加えたものが斜めラインの大きな特徴

であると。

なので、移動値幅と移動時間に規則性が相場にある場合、

  • 同じ角度の斜めラインが重なり、1つのラインとして機能する
  • 同じ角度の斜めラインが平行に複数引くことができる

ということが考えられます。

で、この代表格が、チャネルラインになるわけですが、今回は僕の中ではチャネルラインではない、平行する斜めラインについて、今語れる範囲内でお話していきます。

これ、実はライン分析というより、僕の波形分析に隣接する部分なので、実際のトレードにかなり活用できるんじゃないかなー、と思います。

では、お話していきましょう。

平行する斜めラインも十人十色

斜めラインの厄介なところは、引こうと思えばいくらでも引ける、ということでしょうか。例えば先の解説を踏まえて、

「平行した斜めラインが複数引けますよ」

と言われると、恐らく多くの人がこんな感じでラインを引くんじゃないでしょうか。下図は、先ほどのポンド円4時間足チャートです。

平行な斜めラインが等間隔に引けてますねぇ。他にも色んな方向で斜めラインが引けそうです。

とりあえず、上図チャートの時間軸を落として1時間足チャートを覗いてみましょうか。

ラインが効いています。特に水平線と斜めラインが出会う場面は、絶好のチャートポイントとなりそうですね。具体的な方法論を用いれば、効果的なトレードが出来そうです。

ただ、僕が今回説明するのは、こういったラインではありません。

「何だよー!回りくどいことしてないで、早く教えろよ」

そんな声が聞こえてきそうなので、次に進むとします。

吾輩は斜めラインである。名前はまだ無い。

価格が形成する波の強弱やら状況を分析することを、僕は波形分析と言っていますが、その中で斜めラインを利用することがあります。

そのラインは性質上、トレンドラインともチャネルラインとも、またパターンラインとも違っていて、名前はまだ無いという状態です。

ただここでは便宜上、書籍「実践FXトレーディング」(イゴール・トシュチャコフ著)において、良く似た斜めラインが紹介されている(触れる程度でしか解説されてないので、詳しくは良く分からないのですが)ので、それに倣って、

「クシ」

と呼ぶことにします。ひょっとしたら、この世界のどこかで誰かが既にこの斜めラインをきちんと概念化して名前を付けているかもしれませんが、僕はそれを知る由もないので。

とりあえず、その「クシ」を、ちょっとチャートで説明します。

下の図は、先ほどのポンド円4時間足チャートに、注目ポイントを書き加えたものです。

価格はネックラインにサポートされながら揉み合っていましたが、そこをブレイクすると下降トレンドを形成します。

で、ここで注目しているのは、赤い斜めラインの部分。

下落に対して戻す値動きをサポートするラインですが、今回はこれを「クシ」と呼ぶことにします。

で、この戻しの値動きですが、ここに規則性があるのであれば、他の戻しの値動きにも同じ角度のラインが引けることになります。

では、やってみましょうか。

ご覧の通り、下降トレンドに入ってからの調整波(上昇波)を支えるラインの角度は、そのほとんどが均一です。

そしてこのラインを割ることで、価格の下落が加速しています。

この様に、この下降トレンドの流れの中における上昇波には規則性があるということになりますから、このラインはチャートポイントとして、実際のトレードにおいて十分に機能するということが考えられます。

しかも、この現象は水平線の時と同じく、小さな時間軸に移して小さな波を見ていっても、同様の角度での斜めラインが引けることが多いです。各自、確認しておいてください。

(青丸で囲った部分だけ波形が崩れています。こういったことがどうして起こるのかは、話がそれるのでお話しませんし、僕も上手く答えられないので、あしからず)

では、実際にこのクシを利用したトレードを具体的に紹介しましょうかね。

下図は、僕が今このブログを書いている時点でのポンド円4時間足チャートにおいて、2日ほど前までを隠してみたものです。

チャート上に青色で斜めの下降ラインが見えると思いますが、これは日足チャネルのラインです。

価格はチャネル上限から下落してチャネル下限に到達。そこで反発上昇するわけですが、緑色ラインが示す通り、下降フラッグを形成した後、そこを割り込んで再度下落しました。

赤丸の部分を見てほしいのですが、再度価格はチャネル下限にぶつかり、少し反発して点線の水平線まで到達しました。

さて、ここから実際にこのクシを使ってどうトレードしていくのか、ということですが・・・

1時間足に切り替えてみましょう。

チャネル下限から反発した価格は、点線の水平線に頭を抑えられて越えられそうにない感じを醸し出しています。抜けきれずに、15分足や5分足などで反転確認がとれたら、売りを仕掛けたい場面ですね。

ただ、ここでちょっと待った!

仮にこの点線ラインで反転したとしても、上図赤色の矢印の様に、素直に反転下落して下値を試すとは限りません。落ちきれずにせり上がっていくケースも十分考えられます。

なぜなら、下値を支えているのは、日足レベルのチャネルラインだからです。

このラインは、結構強いんだぞ!

このチャネルライン下限で反発上昇した価格は、そのままチャネル上限に向けて大きく上昇し続ける

という選択肢を、絶対に持っておかなくちゃいけないんです。

ということで、転ばぬ先の杖。念のためにラインを引いておきましょうか。

まずは、下降フラッグを下抜けた値動きを捉えるトレンドラインをまず引いておきます。簡単ですね。

続いて、下降フラッグと同じ角度のクシを引いておきましょう。

赤線が新たに追加したクシですね。予めどの様な値動きになるかは想定できないので、念のために上下に2本引いてあります。

この範囲内で収まる値動きをしているのであれば、「今現在の(下降トレンドという)秩序は保たれている」と判断します。つまり、下落は継続すると判断するんですね。

もし、この2本のクシで想定する値動きの流れよりも強い値動きで上昇するのであれば、「従来の秩序は崩れ、本格的に反転上昇する可能性が高まったかもしれない」と判断します。

仮に点線の水平線で頭を抑えられているところから反転を上手く捉え、売りを仕掛けたとしても、下方のクシは気を付けるポイントになります。ここを越えられずに反転してせり上がる可能性があるからです。

では、この後の展開を見ていきましょう。

はい、予定調和ですね。

aを基点にして売りを仕掛けた人は、bのポイントで決済を検討する場面です。

ちなみに僕はこの日、仕事を終えてスマホを覗いたら、aから反転する局面にちょうど出くわしたんですね。なので、売りを仕掛けました。

で、その後は「もちろんbで利確!」と言いたいところなんですが・・・

僕のTwitterをご覧の方はご存知かと思いますが、僕はこの日、家に帰った後はお酒を飲みながら音楽聴いてノリノリだったので、すっかりこの局面を見逃してしまいました。ホント、いい歳したおっさんのくせに大馬鹿者です。

さて、話を戻しますが、bで下方のクシに到達して反転上昇した後は、見ての通り再び上方のクシに到達します。しかもこのcの場面は、下降フラッグ下抜けからの下降トレンドラインと交差するところです。

かなり強力。

ということで、利確のタイミングを逃したお馬鹿な僕は、ここで渾身のショートをかまします。

で、結果は・・・

今度は見事クシを下抜けて下降トレンドが再開し、次に目指すべき実線の水平線まで到達します。

その後は急反発。再度チャネル下限の上抜けを試すことになりました。

ちなみに僕は、この実線の水平線の手前135.50に指値を置いて待ち構えていたんですが、エントリーした次の日、ちょうど仕事の休憩でチャートを覗いたら、指値手前で揉み合ってたんで、成行で決済して仕事に戻りました。めでたしめでたし。

・・・とまぁ、以上が実際のチャート解説でしたが、いかがでしたでしょうか?

クシという存在は、実際のトレードに対して、目を見張るくらいに活用できるものだと思っていただけたら何よりです。

もちろん、今回は下降トレンドに対する上昇波に注目していますが、下降する波に注目しても、色々な気づきがあると思いますよ。

 

ということで、これにてこのクシの解説は終了~!!

と思ったんですが、どうせここまで解説したんで、ついでにもう1点だけ。

では、解説する前に、まずはここで質問です。

もう1度、このチャート図を見てください。

なぜ僕は、ネックラインからの戻しを支えるこの赤いラインに注目し、それを基点にし、それ以降に同じ角度のラインを引こうとしたのか、分かる人いますか?

シンキング・タ~イム!

・・・

・・・

・・・

え?ネックラインを割り込む前の調整波だから重要なんじゃないかって?

う~ん・・・まぁ、それも一考ですけど、それは後付けでチャートを見た場合だから言えるんですよね。つまり、ラインを割り込んだ後だからそう判断できるわけじゃないですか。根本はそこにはありません。

下落を開始するその前に、チャートの異変を読み取ることが大切です。

それでは再び、シンキング・タ~イム!

・・・

・・・

・・・

答え、気が付きましたか?

分からない?

じゃあ、簡単に答えを言うと・・・

レンジ相場の時の上昇波を見てください。ここに引いた青色のラインは、角度がほぼ一定で、それぞれが平行に並んでいます。

ところが、この上昇波の角度が、緑丸の部分で転換して弱まり、緩やかになっています。

他にもいくつかの理由がありますが、ザックリと言えばこのクシの角度の転換が

「あ、波形が崩れた」

ということなんですね。このケースは波形が崩れる際の1つの重要パターンなんですよ。

どうです?ちょっとは皆さんのトレードの役に立つ内容になりましたかね?

BOZ流ライントレードの終着点

なぜ、「BOZ流」なのか?

僕はこのブログにおいて、僕なりのライントレードの考え方を

「BOZ流」

としています。まぁ、BOZスタイルでもBOZ式でも、言い方は何でも良いんですけどね。

で、なぜそういった風に名付けるのかと言えば、別に僕は自己顕示欲とかそういった類で用いてるわけではないんですよ。

トレードには、色んな視点・考え方でもって、様々なスタイルがあります。

それはライントレード1つとっても、です。

ライン1本引くのにも、各ライン・トレーダーが、それぞれの考え方や理論構築の上に基づいて引いていると思うんですよ。

そして、それはきっと各トレーダーの努力の賜物。

なので、ライン・トレードを勉強しようと思って、色んなトレーダーさんの色んな方法を上っ面だけ撫でる様に良いとこ取りしようと思っても、結局は上手くはいかないと思ってるんですよ、僕は。

むしろ、そういった上っ面だけを撫でようとする行為は、それを考え抜いて構築したトレーダーに対する冒涜とも言えるんじゃないかと。

しかし、真面目にライン・トレードに取り組もうと思う人にとっては、同じライン・トレードでも色々なスタイルや理論がありますから、

良いとこ取りするつもりはないのに結果としてそうなってしまたり、
誰のどこを信じて良いか分からなくなったりと、

「結構混乱するんじゃねーの?」

と思うわけで。

そういった意味で、僕は僕なりのライントレードの考え方を「BOZ流」として枠組みすることで、これからライントレードを学んでいこうとする人にとっての混乱を少しでも避けられたらな、と思う次第なんです。

僕なりのBOZ流でライン引きを学習するにしろ、他の優秀なトレーダーさんのライントレードを学習するにしろ、どれを選択し、どう没頭してモノにしていくかは、結局のところ、皆さんの手に委ねられています。

僕なりのトレードスタイルで

各トレーダーのトレードスタイルというのは、各自の性格やら生活スタイルに左右される、というかそれに合わせるべきだと僕は思ってるんですね。

僕の場合、

  • 仕事忙しいし、
  • 忙しいからチャート見る時間も限られるし、
  • フリーな時間はわずかだから、家族との時間も大切にしたいし、
  • でも、趣味もあるから、そっちの時間も確保したいし、

ということで、ずっとチャート画面の前にへばりつくことはしたくないんですね。僕が四六時中チャートとにらめっこしていても全然平気な人であるということとは別問題として。

でもそうなると、チャートをずっと見続けなくても良いトレードスタイルを確立しておかなければいけないわけで。

すると、必然的にチャートポイントの数は極力省く必要が出てきます。

だって、小さな時間軸ばかりを見ていたり、ラインを沢山引いたり等、たくさんのチャートポイントがチャートに表示されていたら、

逐一そのチャートポイントでの値動きや経過を気にかけることになるじゃないですか。

そうなると、結果としてチャートをずっと眺め続けることになります。

なので、僕なりのスタイルを突き詰めるならば、できるだけチャートポイントは少ない方が良いわけです。

であれば、

BOZ流ライントレードの進むべき方向性は、ラインは出来るだけ省いていき、シンプルに重要なラインだけを残していく

ということが大切になりますし、そうであればこそ

BOZ流ライントレードの究極の目的は、ラインを削ぎ落していくこと

に他なりません。

到達すべきは、ラインを引かないというライン・トレード。

とも言えるでしょう。

あー、なんか僕、今ものすごくカッコいいこと言っちゃった気がする。

でもまぁ、いくら格好つけたところで、その目標に僕自身がまだ到達していないというのが玉に瑕なんですが・・・

 

さて、これにてライントレードの基礎シリーズは、一旦終了となります。

僕の頭の中にあるもの、全てを語っているわけではありませんが、実際にトレードするための考え方や方法は、このブログの記事にヒントとして、たくさん散りばめられていると僕は思っています。

ライントレードを学習することで、皆さんのトレードの上達に、少しでも貢献出来たら良いな。

そんな感じで、このシリーズの幕は下ろすとしましょう。

それじゃあ、また。